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【発明の名称】 ウェルプレート
【発明者】 【氏名】野地 澄晴

【氏名】植松 淳

【氏名】竹原 誠

【要約】 【課題】保持すべき試料によってプレート表面が汚染されず、プレートを操作する手指に試料が付着する危険性がないウェルプレートを提供する。

【構成】本発明は、生体物質、菌類、細胞等の試料を保持する保持体21を収容するための少なくとも1つのウェル9を有するウェルプレートであって、平板状のウェルプレート本体1を備え、前記ウェルプレート本体1は、該ウェルプレート本体1の一方側の面の一部に設けられた少なくとも1つの凹部7と、当該ウェルプレート本体1を把持するための把持部3とを有し、前記ウェル9は、前記凹部7の底面に該底面の少なくとも全周縁部7aを残して設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体物質、菌類、細胞等の試料を保持する保持体を収容するための少なくとも1つのウェルを有するウェルプレートであって、
平板状のウェルプレート本体を備え、
前記ウェルプレート本体は、該ウェルプレート本体の一方側の面の一部に設けられた少なくとも1つの凹部と、当該ウェルプレート本体を把持するための把持部とを有し、
前記ウェルは、前記凹部の底面に該底面の少なくとも全周縁部を残して設けられていることを特徴とするウェルプレート。
【請求項2】
前記凹部の周壁に前記ウェルから溢れ出る液体試料を前記把持部以外の方向へ排出する溢流路をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項3】
前記凹部の周壁がステップ状に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウェルプレート。
【請求項4】
前記ウェルプレート本体が熱可塑性樹脂で構成され、前記ウェルの底面の少なくとも一部を溶融させることにより、前記ウェルの底面に前記保持体が溶着されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のウェルプレート。
【請求項5】
前記ウェルの底面に、該ウェルに収容された前記保持体を押し出すピンを挿通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のウェルプレート。
【請求項6】
前記凹部の底面に、前記ウェルの底面へ通ずる溝部が設けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のウェルプレート。
【請求項7】
前記ウェルに嵌入し、該ウェルの底面との間に前記保持体を挟持する枠体をさらに備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のウェルプレート。
【請求項8】
前記ウェルの底面における前記枠体に対応する部分に、当該ウェルに収容された前記保持体を押し出すピンを挿通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載のウェルプレート。
【請求項9】
前記凹部は、該凹部の周辺部から、当該凹部における底面の周縁部にわたって設けられた凹状部又は切欠き部をさらに備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のウェルプレート。
【請求項10】
前記凹部に、該凹部における底面の略全体を覆う蓋体が収容されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のウェルプレート。
【請求項11】
前記蓋体が透湿性の材料によって形成され、該蓋体により前記ウェルが密閉されていることを特徴とする、請求項10に記載のウェルプレート。
【請求項12】
前記ウェルの底面に、前記保持体を固着して支持するための複数の小突条及び小突起の少なくともいずれかが設けられていることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載のウェルプレート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質、菌類、細胞等の試料を保持する保持体を収容するための少なくとも1つのウェルを有するウェルプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生体物質、菌類、細胞等の試料を保持する保持体を収容するためのウェルを有するウェルプレートとして、種々のものが提案されている。例えば、特許文献1に記載のマルチウェルプレートでは、図8及び図9に示すように、複数のシート51,52,53,55が積層されて形成された一枚のプレートに、透孔57,58によって形成された複数(図示例では96個)のウェルが設けられており、このウェル内に微生物含有液等(試料)を保持する吸収性素材54が収容されている。そして、カバーシート56を剥離した状態で、液体状の試料を吸収性素材54に滴下して保持させている。
【特許文献1】特開2006−42810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このマルチウェルプレートは、複数のウェルがプレートの表面全体に配置されるように構成されていため、カバーシート56を剥離した状態では、ウェル内の試料を汚染しないように、ウェルの配置されていないプレートの周縁部を把持する等して操作しなければならない。
【0004】
しかしながら、これらのウェルは、プレート表面に単に円筒状の凹部を形成しているに過ぎないので、このウェルに液体状の試料を所定の量より多く滴下した場合や、操作中にプレートを誤って傾け、吸収性素材54から試料が染み出た場合には、ウェル内から試料が溢れ出し、プレート表面上を流れて、プレートを操作する手指に付着する恐れがあった。そのため、溢れ出した試料が病原菌等の危険物である場合には、特に危険であった。
【0005】
また、上記のように一枚のプレートに複数のウェルが形成されている場合には、溢れ出た試料が他のウェルに流入して、他のウェル内に保持された異種の試料を汚染するという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、保持すべき試料によってプレート表面が汚染されず、プレートを操作する手指に試料が付着する危険性がないウェルプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生体物質、菌類、細胞等の試料を保持する保持体を収容するための少なくとも1つのウェルを有するウェルプレートであって、上記問題を解決するためになされたものであり、平板状のウェルプレート本体を備え、前記ウェルプレート本体は、該ウェルプレート本体の一方側の面の一部に設けられた少なくとも1つの凹部と、当該ウェルプレート本体を把持するための把持部とを有し、前記ウェルは、前記凹部の底面に該底面の少なくとも全周縁部を残して設けられていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ウェルの周囲が凹部により形成された溝によって取り囲まれるようになっている。そのため、ウェル内に保持された保持体に液体状の試料が所定量より多く滴下されたり、ウェルプレート本体が水平状態から傾けられ、保持体から液体状の試料が染み出たりして、ウェルから試料が溢れ出た場合に、この溢れ出た試料をこの溝によって受け止め、凹部内から流出させないようになっている。したがって、保持すべき試料によってウェルプレート本体の表面が汚染されることがない。また、これによって、把持部が汚染されることもないので、把持部を把持する手指に試料が付着することがない。よって、この試料が病原菌等の危険物であっても、手指への付着による危険がない。また、上記のように試料がウェルプレートの表面に流出することがないため、ウェルが複数個形成されている場合には、ウェルから溢れ出た試料によって他のウェル内に保持された異種の試料を汚染することを防止できる。
【0009】
また、上記ウェルプレートは、前記凹部の周壁に前記ウェルから溢れ出る液体試料を前記把持部以外の方向へ排出する溢流路をさらに備えていることが好ましい。このように構成することで、ウェルから溢れ出た液体試料をウェルプレート本体の外部へ排出できるので、試料の乾燥が促進される。また、試料の排出が把持部以外の方向へなされるので、把持部を汚染することがなく、手指への付着が防止できる。
【0010】
また、前記凹部の周壁は、ステップ状に形成されていることが好ましい。こうすることで、例えば、所定の高さにステップを設けて、滴下する液量の許容範囲を設定することができる。また、ステップが複数段で設けられていれば、保持体が収容されたウェルに液体試料を滴下するときに、何段目のステップまで液体試料が及んでいるかによって、滴下する液量の目安とすることができる。
【0011】
また、前記ウェルプレート本体が熱可塑性樹脂で構成され、前記ウェルの底面の少なくとも一部を溶融させることにより、前記ウェルの底面に前記保持体が溶着されていてもよい。こうすることで、例えば、濾紙や不織布等の繊維質の保持体を溶着する場合には、ウェルの底面側の保持体の表面の一部だけが溶融された樹脂によって固定される。そのため、保持体による試料の吸着には問題を生じない。また、この場合、溶着された保持体をピンセット等でつまみ出すことができるので、保持体の取り出しが簡単である。また、保持体をウェル内に固定するための構成が簡単であるため、ウェルプレートの製造コストを低減できる。
【0012】
また、前記ウェルの底面に、該ウェルに収容された前記保持体を押し出すピンを挿通するための貫通孔が形成されていることが好ましい。これにより、ウェルプレート本体の裏側からピンを挿通して、保持体を容易に取り出すことができる。
【0013】
また、前記凹部の底面に、前記ウェルの底面へ通ずる溝部が設けられていてもよい。これにより、この溝部にピンセット等の先端部を挿入してウェルに収容された保持体の裏側にその先端部を配置することができるので、保持体を把持する等して容易に取り出すことができる。
【0014】
また、上記ウェルプレートは、前記ウェルに嵌入し、該ウェルの底面との間に前記保持体を挟持する枠体をさらに備えていてもよい。この構成によれば、枠体をウェル内に嵌め込むだけで、保持体を容易に固定することができる。
【0015】
この枠体を備えるウェルプレートにおいては、前記ウェルの底面における前記枠体に対応する部分に、当該ウェルに収容された前記保持体を押し出すピンを挿通するための貫通孔が形成されていることが好ましい。これにより、ウェルプレート本体の裏側からピンを挿通して、保持体並びに枠体を容易に取り出すことができる。
【0016】
また、上記ウェルプレートにおいて、前記凹部は、該凹部の周辺部から、当該凹部における底面の周縁部にわたって設けられた凹状部又は切欠き部をさらに備えていてもよい。こうすることで、凹状部又は切欠き部にピンセット等の先端部を挿入して、凹部に収容された蓋体の底面側にその先端部を配置することができるので、その先端部で蓋体を引っ掛けたり、把持したり等してその蓋体を容易に取り外すことができる。
【0017】
また、上記ウェルプレートにおいて、前記凹部に、該凹部における底面の略全体を覆う蓋体が収容されていてもよい。この構成によれば、蓋体が凹部内で位置決めされ、ウェルの開口部を容易に塞ぐことができる。
【0018】
また、この蓋体が透湿性の材料によって形成され、該蓋体により前記ウェルが密閉されていてもよい。このすることで、ウェルが密閉される一方、保持体に保持された液体試料の水分だけを透過させるように構成される。これにより、雑菌等の進入を防止しつつ、保持体に保持された液体試料の乾燥を行うことができる。
【0019】
また、上記ウェルプレートにおいて、前記ウェルの底面に、前記保持体を固着して支持するための複数の小突条及び小突起の少なくともいずれかが設けられていてもよい。こうすることで、熱溶着によって、小突条又は小突起と保持体とが、接触する小さな面又は点で固着して支持される。これにより、保持体が固着する力を小さくすることができ、熱可塑性素材等からなる保持体を使用する場合であっても、保持体を容易に取り外すことができる
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るウェルプレートによれば、保持すべき試料によってプレート表面が汚染されず、プレートを操作する手指に試料が付着する危険性がないウェルプレートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るウェルプレートの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るウェルプレートの組立状態を示す斜視図であり、図2は、図1のウェルプレートが組み立てられた状態のA−A断面図である。尚、本実施形態では、図1及び図3〜6のX軸の正方向を「右」、負方向を「左」、Y軸の正方向を「後」、負方向を「前」と称することとする。また、以下に説明する各実施形態を通じて、同一又は同種の構成部分に同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るウェルプレートは、平板状のウェルプレート本体1を備えている。このウェルプレート本体1は、樹脂製又はガラス製であり、一端部(前端部)には、ウェルプレート本体1を把持するための把持部3が設けられ、他端部側(後端部側)には、複数(図示例では3つ)のウェル5が設けられている。このウェル5の内部には、後述する保持体21及び枠体31が収容されており、ウェル5の開口部が蓋体41によって塞がれている。
【0023】
把持部3は、ウェルプレート本体1を操作する際に、人の手指によって把持できる大きさであればよく、例えば、親指と人差し指によってウェルプレート本体1の表裏面を把持できるように、親指の腹程度の大きさであればよい。また、この把持部3には、後述する保持体21によって保持された試料を識別するために、文字や図形を直接書き込んだり、ラベルを貼り付けたりすることも可能である。
【0024】
ウェル5は、ウェルプレート本体1の上面に形成された複数(図示例では3つ)の凹部7の各底面に、各底面の周縁部7aの全体を残して凹状に形成されている。このように構成することで、ウェル5の周囲が凹部7により形成された溝によって取り囲まれ、後述するように、ウェル5から溢れ出した液体試料をこの溝で受け止め、ウェルプレート本体1の上面に流出させないようなっている。
【0025】
また、各凹部7の左右の周壁7bにはそれぞれ、左右方向に延びる溢流路11が形成されている。これにより、ウェル5から溢れ出し、凹部7内に流入した液体試料を溢流路11を通してウェルプレート本体1の左右両側の外部へ排出するようになっている。また、この溢流路11は、ウェルプレート本体1における凹部7の周辺部7cから、凹部7における底面の周縁部7aにわたって設けられた凹状部13と一体化されている。すなわち、溢流路11が凹部7の周縁部7aの一部を切欠き、溢流路11の底面が凹部7の底面より低い位置に形成されるように構成されている。そのため、後述するように、この凹状部13にピンセット等の先端部を挿入して、凹部7に収容された蓋体41の底面側にピンセット等の先端部を配置することができるので、その先端部でこの蓋体41を引っ掛けたり、把持したり等して容易に取り外し可能となっている。
【0026】
また、ウェル5の底面には、複数(図示例では4つ)の貫通孔9が形成されている。この貫通孔9は、ウェル5に嵌入された後述する枠体31に対応する部分に配置されており、後述するように、この貫通孔9に、ピンやピペットチップ等の先細状部材を挿通し、ウェル5内に収容された保持体21及び枠体31を押し出すためのものである。ここでは、複数の貫通孔9を設けているが、保持体21及び枠体31を取り外すことが可能であれば、1つであってもよい。
【0027】
保持体21は、試料を保持するためものであり、ウェルプレート本体1のウェル5の底面と略同じ大きさを有し、ウェル5内に収容されている。この保持体21としては、試料を吸着して保持可能な、濾紙、不織布、脱脂綿、ナイロンメンブレン、多孔性樹脂(発泡ポリウレタン、焼結ポリエチレンフィルターなど)等の吸水性を有するものが例示できる。また、試料としては、生体物質、菌類、細胞等が例示でき、保持体に保持される前は通常、これらを含有した状態で液体状となっている。尚、本発明においては、この液体状の試料を液体試料と称することとする。
【0028】
枠体31は、保持体21の上からウェル5内に嵌入されており、これによって、ウェル5の底面と枠体31との間に保持体21を挟持して固定している。
【0029】
蓋体41は、凹部7の底面と略同じ大きさを有し、枠体31の上から凹部7内に収容されており、凹部7の底面の略全体を覆って、ウェル5の開口部を塞ぐように構成されている。蓋体41は、こうして凹部7内に収容されているため、凹部7内で前後左右方向にある程度規制されている。この蓋体41としては、通気性、透湿性、ガス遮蔽性、又は透明性等を有する樹脂シート、樹脂フィルム、又はガラス板等が例示でき、ウェル5が複数である場合は、各ウェル5に異なる特性を有する蓋体41を使用してもよい。
【0030】
次に、上記のように構成されたウェルプレートの使用方法を説明する。
【0031】
本実施形態に係るウェルプレートは、通常、把持部3を手指で把持し、プレート本体1を水平又は略水平状態に保持した状態で使用される。この状態で、まず、蓋体41を凹部7から取り出し、ウェル5内に収容された保持体21に液体試料を所定量滴下する。そして、液体試料が保持体21に吸着して保持された後、蓋体41を凹部7内に戻して、ウェル5の開口部を蓋体41によって塞ぐ。これにより、保持体21に保持された試料に手指等が直接触れたり、外部から雑菌等が進入することがないため、試料が安定的に保管される。
【0032】
ところで、上記のように使用する際に、液体試料を所定の量より多く滴下してしまうと、液体試料がウェル5から、図1の太線矢印で示すように溢れ出る場合がある。この場合、本実施形態に係るウェルプレートでは、この溢れ出た液体試料を凹部7内で受け止めるようになっている。そのため、液体試料をウェルプレート本体1の上面に流出させない。また、凹部7内へ溢れ出た液体試料は、溢流路11を通ってウェルプレート本体1の左右の外部へ排出されるようになっている。このように、溢れ出た液体試料は、溢流路11を通ってウェルプレート本体1の把持部3以外の方向に排出される。そのため、把持部3を把持する手指等に液体試料が付着することがない。
【0033】
また、上記のように液体試料を保管した後、ウェル5内の保持体21を取り出して使用するときは、まず、凹状部13にピンセット等の先端部を挿入し、蓋体41を把持する等して取り外す。次いで、ウェルプレート本体1の底面に形成された貫通孔9に、裏側からピン等を挿通し、保持体21及び枠体31を押し出すことにより、保持体21を取り出す。
【0034】
以上のように、本実施形態のウェルプレートによれば、ウェル5から溢れ出た液体試料を凹部7内で受け止めるようになっている。そのため、溢れ出た液体試料によってウェルプレート本体1の表面が汚染されることがない。したがって、把持部3が汚染されることもないので、把持部3を把持する手指に試料が付着することもない。よって、この試料が病原菌等の危険物であっても、手指への付着による危険がない。また、上記のように液体試料がウェルプレート本体1の表面に流出することがないため、ウェル5が複数個形成されている場合には、ウェル5から溢れ出た試料によって他のウェル5内に保持された異種の試料を汚染することを防止できる。
【0035】
また、本実施形態のウェルプレートでは、溢流路11によって、ウェル5から溢れ出た液体試料をウェルプレート本体1の外部へ排出できるので、液体試料の乾燥が促進される。また、この溢流路11による液体試料の排出が把持部3以外の方向へなされるので、把持部3を汚染することがなく、手指への付着が防止できる。
【0036】
また、本実施形態のウェルプレートによれば、枠体31をウェル5内に嵌め込むだけで、保持体21を容易に固定することができる。一方、貫通孔9がウェル5の底面における枠体31に対応する部分に形成されているので、ウェルプレート本体1の裏側からピン等を挿通して、保持体21並びに枠体31を容易に取り出すことができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
上記実施形態では、枠体31によって保持体21をウェル5内に固定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ウェルプレート本体1をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、塩化ビニル、ポリカーボネイト、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタート等の熱可塑性樹脂で構成し、ウェル5の底面の少なくとも一部を溶着させることにより、ウェル5の底面に濾紙や不織布等の保持体21を固定するようにしてもよい。このとき、保持体21が、濾紙や不織布等のように繊維素材でできていないものや、ナイロンメンブレン、発泡ポリウレタン等のようにウェルプレート本体1と同様に熱可塑性の素材でできているものである場合は、熱溶着によってウェル5の底面に強固に固着されてしまうことがある。上記のように濾紙等が溶着された場合は、ピンセット等でウェル5から容易につまみ出すことができるが、このように熱可塑性素材等からなる保持体21が強固に固着された場合は、ウェル5から容易に取り出すことができない。そのため、このような熱可塑性素材等からなる保持体21を使用する場合は、ウェル5の底面に、図3に示すように複数の小突条5aを設ける、或いは、図4に示すように複数の小突起5bを設けることが好ましい。こうすることで、熱溶着によって、小突条5a又は小突起5bと保持体21とが、接触する小さな面又は点で固着して支持される。これにより、保持体21が固着する力を小さくすることができ、熱可塑性素材等からなる保持体21を使用する場合であっても、保持体21を容易に取り外すことができる。また、小突条5a又は小突起5bは、組み合わせて構成してもよく、これらの配置も、格子状、渦巻き状、千鳥状等、種々の配置をとることができる。
【0039】
また、このように保持体21を溶着によって固定した場合には、貫通孔9は、上記のように枠体41に対応する部分に必ずしも配置する必要はなく、ウェル5の底面の任意の場所に配置すればよい。また、保持体21を溶着する場合には、上記のようにピンセット等で保持体21をつまみ出すことができるので、貫通孔9を省略してもよい。
【0040】
また、図5に示すように、貫通孔9の代わりに、凹部7の底面に、ウェル5の底面に通ずる溝部15を形成してもよい。これによっても貫通孔9の場合と同様に、ピン等をこの溝部15に挿入して、保持体21及び枠体31を容易に取り出すことができる。
【0041】
また、図6に示すように、凹部7の周壁にステップ7dを設けることにより、凹部7の周壁をステップ状に形成してもよい。この場合、ステップ7dがウェル5の開口部全体を取り囲むように構成することが好ましい。こうすることで、例えば、所定の高さにステップを設けて、滴下する液量の許容範囲を設定することができる。また、ステップ7dが複数段で設けられていれば、保持体21が収容されたウェル5に液体試料を滴下するときに、何段目のステップまで液体試料が及んでいるかによって、滴下する液量の目安とすることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、蓋体41を凹部7の底面上に単に載置するようにしているが、これに限定されるものではない。蓋体41は、液体試料を保持体21へ滴下する際に取り外し可能に構成されていればよく、例えば、凹部7の底面に、脱着可能な程度に貼り付けられたり、接着されていてもよい。或いは、ウェルプレート本体1及び蓋体41が熱可塑性樹脂等からなるものであれば、溶着することも可能である。また、保持体21が液体試料を吸着した後に、再び蓋体41を接着等により固定すると、試料をより安定的に保管できる。
【0043】
また、このような接着等を蓋体41の周縁部全体に施すことにより、蓋体41でウェル5を密閉するようにしてもよい。特に、蓋体41が上記の透湿性を有する場合には、ウェル5が密閉される一方、保持体21に保持された液体試料の水分だけを透過させるように構成される。これにより、雑菌等の進入を防止しつつ、保持体21に保持された液体試料の乾燥を行うことができる。
【0044】
また、上記実施形態では、蓋体41でウェル5の開口部を塞ぐように構成されているが、保持体21や試料への雑菌等による汚染を考慮する必要がない場合や、試料の保管時に必要でない場合等は、蓋体41を省略しても問題はない。
【0045】
また、上記実施形態では、保持体21を収容するウェル5を複数設け、各ウェル5に溢流路11を左右方向に2つずつ設けているが、ウェル5及び溢流路11の個数は、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、ウェル5及び溢流路11をそれぞれ1つだけ設けるようにしてもよい。この流路11について詳細に説明すると、この流路11は、ウェルプレート本体1の後端縁から凹部7の周縁部7aの一部にわたって形成されている切欠き部14によって構成されている。こうすることで、流路11によりウェル5から溢れ出す液体試料をウェルプレート本体1の後方へ排出することができる。流路11は、このように、把持部3以外の方向へ液体試料を排出するように構成されていればよく、その方向は特に限定されない。また、この流路11は、すなわち、凹部7の周辺部7cから凹部7の底面における周縁部7aにわたって設けられているため、図1のウェルプレート本体1における凹状部13と同様の役割を果たしている。以上のように構成された図7のウェルプレートは、上記説明から明らかなように、図1と同様の効果を奏する。
【0046】
また、以上のように構成された本実施形態に係るウェルプレートは、凹部7に蓋体41を収容可能に構成されているので、蓋体41の板厚が凹部41内に完全に収容されるように設定されている場合は、ウェルプレートを上下に積み重ねて保管することができる。或いは、把持部3を台座に設けられたスリット等に挿入する等して、ウェルプレートを立設した状態で保管することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るウェルプレートの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のウェルプレートのA−A断面図である。
【図3】図1のウェルプレートの変形例を示す斜視図である。
【図4】図1のウェルプレートの変形例を示す斜視図である。
【図5】図1のウェルプレートの変形例を示す斜視図である。
【図6】図1のウェルプレートの変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るウェルプレートの他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】従来例のマルチウェルプレートの平面概略図である。
【図9】従来例のマルチウェルプレートのA−A断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ウェルプレート本体
3 把持部
5 ウェル
5a 小突条
5b 小突起
7 凹部
7a 周縁部
7b 周壁
7c 周辺部
7d ステップ
9 ウェル
11 溢流路
13 凹状部
14 切欠き部
15 溝部
21 保持体
31 枠体
41 蓋体
【出願人】 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
【識別番号】390026413
【氏名又は名称】深江化成株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100076510
【弁理士】
【氏名又は名称】掛樋 悠路

【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一


【公開番号】 特開2008−29244(P2008−29244A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205262(P2006−205262)