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加熱及び冷却を監視する温度センサー素子 - 特開2008−17842 | j-tokkyo
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【発明の名称】 加熱及び冷却を監視する温度センサー素子
【発明者】 【氏名】エマド サロフィム

【氏名】ゴラン サバティク

【要約】 【課題】混合物を加熱及び冷却するシステム、カートリッジを加熱するデバイス、温度プロファイルを実行する方法、及び核酸を増幅する方法を提供する。

【構成】カートリッジ1内の混合物の温度を、少なくとも1つのセンサー素子15によって検知することにより、混合物を制御下に加熱及び冷却するシステム、チャンバーを含んでなるカートリッジを加熱するデバイス、デバイス内で温度プロファイルを実行するための方法、上記システムを用いて核酸を増幅する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物を制御下に加熱及び冷却するシステムであって、カートリッジとデバイスとを含んでなり、
当該カートリッジが少なくとも、
当該混合物を収容するためのチャンバーと、
当該デバイスに接触するための接触面であって、チャンバー接触面及びカートリッジ本体接触面を有する接触面とを含んでなり、
当該デバイスが少なくとも、以下の順序で上方から下方へと層状に形成されてなる、
第1の実質的に平らな温度センサー素子と、
熱伝導基板と、
ヒーター層とを含んでなり、
当該センサー素子が、当該デバイス及び当該カートリッジを物理的に接触させた場合に、当該カートリッジの当該接触面の方を向くように、当該デバイスの当該熱伝導基板の表面上に配置されることにより、当該デバイスの当該第1のセンサー素子と、当該カートリッジの当該カートリッジ本体接触面又は当該チャンバー接触面との物理的相互作用を許容するように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
当該第1のセンサー素子が、当該デバイスの表面に配置され、当該第1のセンサー素子と当該チャンバー接触面との物理的相互作用を許容するとともに、
第2の実質的に平らな温度センサー素子が、当該デバイスの表面に配置され、当該第2のセンサー素子と当該カートリッジ本体接触面との物理的相互作用を同時に許容する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
当該第1のセンサー素子が、当該デバイスの表面に配置され、当該第1のセンサー素子と当該カートリッジの当該チャンバー接触面との物理的相互作用を許容するとともに、
当該第1のセンサー素子が、当該チャンバーの形状と実質的に同様の形状を有する、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
当該第1のセンサー素子が当該デバイスの表面に配置され、当該第1のセンサー素子と当該チャンバー接触面との物理的相互作用を許容するとともに、
当該第1のセンサー素子の表面がその全体に亘って、当該チャンバー接触面内において当該カートリッジに接触し、且つ、
当該第1のセンサー素子の表面が、当該チャンバー接触面の表面の少なくとも10%を占める、請求項1〜3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
当該第1及び/又は第2のセンサー素子が、バイファイラー構造(bilifer structure)を有する、請求項1〜4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
当該第1及び/又は第2のセンサー素子が、ヒーター素子としても機能する、請求項1〜5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
当該センサー素子の何れかが、抵抗素子とカバー層とを含んでなり、
当該カバー層が、当該抵抗素子を環境との直接接触から保護するとともに、その厚さが25μM未満である、請求項1〜6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
当該センサー素子の厚さが、0.01μmから10μmの範囲、好ましくは0.8μmから1.2μmの範囲である、請求項1〜7の何れか一項に記載のシステム。
【請求項9】
当該熱伝導基板の厚さが、5mmから0.1mmの範囲である、請求項1〜8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
当該熱伝導基板が、電気絶縁材料からなる、請求項1〜9の何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
当該ヒーターが、厚さ30μM未満であり、前記熱伝導基板の当該センサー素子とは反対側の表面上に配置されるとともに、前記センサー素子が前記カートリッジの接触面の方を向くように配置される、請求項1〜10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
当該第1の実質的に平らなセンサー素子と、当該ヒーター層とが結合し、単一のセンサー/ヒーター結合素子を形成している、請求項1〜10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のセンサー素子が、当該デバイスと当該カートリッジとが物理的に接触している場合に、前記カートリッジの前記チャンバー接触面内における、前記第1のセンサー素子の直接的な物理的相互作用を許容するように配置されるとともに、独立に制御及び操作可能な2以上のセンサー素子から構成される、請求項1〜10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項14】
チャンバーを含んでなるカートリッジを制御下に加熱するデバイスであって、以下の順序で上方から下方へと層状に形成されてなる、
少なくとも1つの実質的に平らな温度センサー素子と、
熱伝導基板と、
ヒーター層とを含んでなり、
当該センサー素子が、当該熱伝導基板の表面上に配置されるとともに、当該センサー素子が、当該センサー素子をカートリッジと物理的に接触させた場合に、当該センサー素子と当該カートリッジとの接触面との物理的相互作用を許容する、表面領域を形成することを特徴とするデバイス。
【請求項15】
当該センサー素子が、当該チャンバーの当該断面の形状と実質的に同様の形状である、請求項14記載のデバイス。
【請求項16】
当該センサー素子が、当該断面に沿って延在し、当該断面の10%超を占める、請求項14又は請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
当該センサー素子がバイファイラー構造を有する、請求項14〜16の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
当該センサー素子の厚さが、0.01μmから10μmの範囲、好ましくは0.8μmから1.2μmの範囲である、請求項14〜17の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
当該基板の厚さが、5mmから0.1mmの範囲である、請求項14〜18の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
当該熱伝導基板が、電気絶縁材料からなる、請求項14〜19の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
システムにおける温度プロファイルを実行及び制御するための方法であって、
請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムにおいて、混合物をチャンバー内に収容するカートリッジを、デバイスによって加熱する工程と、
前記加熱工程と当該混合物の温度とを、当該デバイスの当該第1及び/又は第2のセンサー素子を用いて制御する工程とを含んでなる方法。
【請求項22】
前記加熱工程と当該混合物の温度とを前記センサー素子を用いて制御する工程が、
当該カートリッジの当該チャンバー内における当該混合物の温度を、当該デバイスの当該第1及び/又は第2のセンサー素子を用いて測定する工程と、
前記測定された温度を、当該混合物における到達目標として指定された温度と比較する工程と、
前記混合物の温度が前記指定温度よりも低い場合には、当該混合物の温度を上昇させる一方で、前記混合物の温度が前記指定温度と同じ場合には、当該混合物の温度を維持するように、前記混合物にヒーター層を通じて熱を印加する工程とを含んでなる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記測定温度と前記指定温度との比較、並びに、前記混合物に対する熱の印加が、熱制御ユニットにより実行される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
当該カートリッジを冷却する工程を更に含んでなる、請求項21〜23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
当該システムを流体流に晒すことにより当該冷却工程を行なうとともに、当該流体が液体又は気体である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
当該温度プロファイルが、繰り返し熱サイクルを含む、請求項21〜25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムを用いて核酸を増幅する方法であって、
a)核酸を含有する試料を、当該カートリッジの前記チャンバー内に用意する工程と、
b)当該カートリッジの当該チャンバー内の当該試料を、熱サイクルに供する工程とを含んでなる方法。
【請求項28】
試料を制御下に加熱する工程を含む生物学的検定を実施するための機器であって、
請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムを少なくとも含んでなるとともに、
当該カートリッジを前記機器内に挿入して当該デバイスと接触させた場合に、当該カートリッジとの特定且つ所定の物理的相互作用を許容するように、当該デバイスが前記機器内に配置されてなる機器。
【請求項29】
デバイス内で温度プロファイルを実行するための、請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムの使用。
【請求項30】
試料中の核酸を増幅するための、請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、カートリッジ及びデバイスを含んでなり、混合物を制御下に加熱及び冷却するためのシステムと、チャンバーを含んでなるカートリッジを加熱するためのデバイスと、デバイス内で温度プロファイルを実行するための方法と、核酸を増幅するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は特にヘルスケア分野において有用である。本分野では、試料内の成分を高い信頼性の下で分析することが求められる。加熱を必要とする化学反応は周知である。例えば分子診断学においては、二本鎖のハイブリッドからなる核酸に対して、ハイブリッドの融解温度よりも高い熱を印加することにより、核酸が変性する、即ち二本鎖から一本鎖になることが知られている。ここで重要な点は、試料の加熱及び冷却を制御及び監視することである。これらの工程の精度は、こうした方法を正確に行なう上で必須の条件だからである。
【0003】
こうした変性工程を含む反応サイクルを用いた方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。この技術は、特定の配列を有する核酸を、無視できる程度の量から検出可能な量まで増やすツールを提供し、核酸を扱う分野、特に核酸の分析に革命をもたらした。PCRに関する説明は、EP 0 201 184及びEP 0 200 362に記載されている。幅広の金属ブロックを加熱及び冷却して、チューブ内の試料に対する熱サイクルを制御下に実施する機器が、EP 0 236 069に開示されている。
【0004】
カートリッジ及び反応チャンバーの加熱及び冷却を、熱センサーを用いて監視することは、本技術分野では周知である。
【0005】
米国特許出願US2003/0008286には、反応チャンバーのアレイを含有するプラスチックのチップからなる装置が開示されている。全てのチャンバーを試薬で満たしてから、チップを上方の基板に押圧する。チップと基板との間には、一組の温度平衡ブロックが設けられている。個別に制御可能なヒーター及びセンサーが、チップと基板との間に配置され、これによって各チャンバーを、他の全チャンバー及び基板から熱的に絶縁しながら、個別の熱プロトコルに従って制御することが可能となる。ここで、ヒーター及びセンサーは、反応チャンバーと対向しないようにブロックの下部に設けてもよいが、ヒーター及びセンサーをブロックの上部に設け、熱伝導度の高い別のブロックを第1のブロックの上部に配置してもよい。このようなヒーター及びセンサーの配置は、チャンバー内の液体の温度を、導電性ブロックの温度の測定を通じて間接的にしか決定できない、という不利点を有する。更に、チャンバーの全断面に亘って温度が決定される訳ではない。
【0006】
WO 98/38487には、試料を収容して試料を化学反応させることが可能に構成された化学反応チャンバーと、加熱素子を有し、反応チャンバーと効率よく熱接触可能な熱スリーブとを備えたアセンブリーが開示されている。チャンバーの温度は、熱スリーブ上及びその後縁上に配置された、1又は2以上の温度センサーによって監視することができる。しかしながら、このヒーター及びセンサーの配置においては、温度が決定されるのは反応チャンバーの小断面内に限られており、チャンバーの全断面に亘ってではない。従って、測定の結果が必ずしも、反応チャンバー内で優位を占める温度を反映したものにはならない、という不利点を有する。
【0007】
このように、液体の加熱及び/又は冷却工程を有する反応及び/又は熱サイクルにおいて温度を監視する分野においては、通常は熱センサーを用いて試料を収容するチャンバーの外部の温度を測定し、更にアルゴリズムを用いて、熱センサーで測定された温度と試料内の温度との補間及び相関付けを行なうことにより、液体温度を間接的に決定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
即ち、本発明の目的は、熱センサー素子を含んでなり、液体試料内の温度を決定するための特性が改善された、システム及びデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の要旨は、混合物を制御下に加熱及び冷却するシステムであって、カートリッジとデバイスとを含んでなり、
当該カートリッジが少なくとも、
当該混合物を収容するためのチャンバーと、
当該デバイスに接触するための接触面であって、チャンバー接触面及びカートリッジ本体接触面を有する接触面とを含んでなり、
当該デバイスが少なくとも、以下の順序で上方から下方へと層状に形成されてなる、
第1の実質的に平らな温度センサー素子と、
熱伝導基板と、
ヒーター層とを含んでなり、
当該センサー素子が、当該デバイス及び当該カートリッジを物理的に接触させた場合に、当該カートリッジの当該接触面の方を向くように、当該デバイスの当該熱伝導基板の表面上に配置されることにより、当該デバイスの当該第1のセンサー素子と、当該カートリッジの当該カートリッジ本体接触面又は当該チャンバー接触面との物理的相互作用を許容するように構成されたことを特徴とするシステムである。
【0010】
本発明の第2の要旨は、チャンバーを含んでなるカートリッジを制御下に加熱するデバイスであって、以下の順序で上方から下方へと層状に形成されてなる、
少なくとも1つの実質的に平らな温度センサー素子と、
熱伝導基板と、
ヒーター層とを含んでなり、
当該センサー素子が、当該熱伝導基板の表面上に配置されるとともに、当該センサー素子が、当該センサー素子をカートリッジと物理的に接触させた場合に、当該センサー素子と当該カートリッジとの接触面との物理的相互作用を許容する、表面領域を形成することを特徴とするデバイスである。
【0011】
本発明の第3の要旨は、システムにおける温度プロファイルを実行及び制御するための方法であって、
請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムにおいて、混合物をチャンバー内に収容するカートリッジを、デバイスによって加熱する工程と、
前記加熱工程と当該混合物の温度とを、当該デバイスの当該第1及び/又は第2のセンサー素子を用いて制御する工程とを含んでなる方法である。
【0012】
本発明の第4の要旨は、請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムを用いて核酸を増幅する方法であって、
a)核酸を含有する試料を、当該カートリッジの前記チャンバー内に用意する工程と、
b)当該カートリッジの当該チャンバー内の当該試料を、熱サイクルに供する工程とを含んでなる方法である。
【0013】
本発明の第5の要旨は、試料を制御下に加熱する工程を含む生物学的検定を実施するための機器であって、
請求項1〜13の何れか一項に記載のシステムを少なくとも含んでなるとともに、
当該カートリッジを前記機器内に挿入して当該デバイスと接触させた場合に、当該カートリッジとの特定且つ所定の物理的相互作用を許容するように、当該デバイスが前記機器内に配置されてなる機器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
核酸を増幅する方法は公知である。それらは、最初に標的となる核酸がある場合に、それを鋳型として、当該標的核酸の塩基配列を複製可能な酵素を作用させ、大量の核酸を作り出すことを意図したものである。レプリコン自体が、ある配列を複製する際の標的として、好ましくは、既に初回の複製の対象となった塩基配列を複製する際の標的として使用される。こうして、同一の配列を有する膨大な数の核酸が作り出される。
【0015】
核酸を増幅する方法として特に定評があるのは、EP 0 200 362等に開示されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法である。この方法では、反応混合物を繰り返しサイクルからなる温度プロファイルに供する。その温度は、プライマーを標的核酸にアニーリングする工程と、当該標的核酸を鋳型として、当該アリールされたプライマーを伸長させる工程と、伸長により得られた産物を鋳型から分離する工程とが実施されるように設定する。
【0016】
最初のステップでは、核酸を含有する液体が提供される。この液体は、増幅対象の核酸を含有するものであれば任意である。更にこの液体は、核酸の増幅に必要な試薬を含有する。このような試薬は増幅法毎に周知であるが、プライマー伸長剤、好ましくは鋳型依存性DNA又はRNAポリメラーゼと、プライマーに結合してこれを伸長させるための構成要素、例えばヌクレオチドとを含有することが好ましい。更に、この混合物は、使用される酵素の伸長反応条件を確立するための試薬、例えばバッファーや、塩等の補因子を含んでいてもよい。
【0017】
続くステップでは、二本鎖核酸の変性、一本鎖に対するプライマーのアニーリング、及びアニールされたプライマーの伸長が実施されるように、温度を調整する。伸長反応は、ポリメラーゼが活性となる温度にて行なわれる。ポリメラーゼとしては、熱安定性及び熱活性のものを使用することが好ましい。形成された二本鎖は、上記の変性により分離される。
【0018】
診断用途のPCR法、特に高速PCR(rapid PCR)法では、これらの方法や、こうした方法を実施するための機器に、高い精度や正確さが要求される。従って、機器の側では、試料チャンバー内の試料温度の正確さを、また、特に高速PCR法においては、試料の加熱及び/又は冷却が高速且つ十分に、しかも精密に行なわているかどうかを、温度プロファイルの繰り返しサイクルの間、熱センサーを用いて綿密に監視する必要がある。
【0019】
本発明は、液体混合物内の温度の監視特性に優れたシステム、デバイス、機器、及び方法を提供する。このため、例えば核酸を含んでなる混合物を、デバイスと接触しているカートリッジのチャンバー内に入れ、或いは混合物を入れた後にカートリッジをデバイスに接触させる。そして、このデバイスを対象として、冷却及び加熱シークエンスが実施される。これらの冷却及び加熱シークエンスを監視する熱センサーが、少なくとも1つ設けられる。
【0020】
本発明に係る、混合物を制御下に加熱及び冷却するためのこうしたシステムは、少なくともカートリッジ及びデバイスを含んでなる。これらのカートリッジ及びデバイスの構成及び動作は、カートリッジとデバイスとの特定且つ所定の物理的相互作用を許容するように、互いとの関係で設定される。
【0021】
ここで、カートリッジは、混合物を収容するチャンバーと、デバイスに接触するための接触面とを含んでなる。この接触面の一部はチャンバー接触面として機能する。デバイスのチャンバー接触面は、カートリッジのチャンバーとデバイスとの所定の物理的相互作用が生じる位置に配置される。前記接触面の別の部分は、カートリッジ本体接触面として機能する。デバイスのカートリッジ本体接触面は、デバイスとカートリッジの本体及び/又は足場との物理的相互作用を媒介するもので、チャンバー接触面の外部に配置される。
【0022】
冷却及び加熱シークエンスの実施対象となるデバイスは、少なくとも、第1の実質的に平らな温度センサー素子と、熱伝導基板と、ヒーター層とを含んでなる。本発明に係るヒーター層は、実質的に平らな抵抗ヒーターからなる。このようなヒーターは、本技術分野では広く知られている。このヒーター層は、高い電気抵抗を有する材料からなることが好ましく、このような材料の例としては、酸化ルテニウム、銀、銅、金、白金、パラジウム、又は互換性のある他の金属、導電材、又はそれらの合金からなる群より選択される材料が挙げられる。最も好ましい材料は酸化ルテニウムである。この層の厚さは、10μmから30μmの範囲が好ましく、より好ましくは15μmから20μmの範囲である。このヒーター層の形成は、ペースト状の材料を特定の形状となるように被覆或いはスクリーン印刷し、当該組成物を上記の特定の材料が焼結する温度まで加熱することにより行なうのが好ましい。この材料は、焼結することによって、下の層に結合することが好ましい。
【0023】
ここで、ヒーター素子を機械的及び化学的な破壊から保護するために、カバー層を設けることが好ましい。このカバー層は、ガラス又はガラスセラミックからなることが好ましく、その厚さは好ましくは1μmから25μmの範囲である。この層は、本技術分野では周知の厚膜蒸着法により形成することが好ましい。加えて、この層は電気伝導度が低く、熱伝導度が高いことが好ましい。
【0024】
ここで使用される実質的に平らな温度センサー素子は、配置された場所の温度を測定するように構成される。これらの素子は当業者には周知であるが、高い電気抵抗を有する材料、例えば酸化ルテニウム、白金、金、銀、ニッケル、パラジウム等の材料からなる抵抗素子であることが好ましい。特に有用なセンサーは、その厚みが0.01μmから10μmの範囲、好ましくは0.8μmから1.2μmの範囲にあるものである。市販のセンサー素子の例としては、厚さ1μmのものが、薄膜温度センサーの製造業者、例えばHeraeus Sensor Technology(Kleinostheim, Germany)やJUMO GmbH & Co. KG(Fulda, Germany)から入手できる。これらの素子はコネクターを有し、これによって素子を制御ユニットに対して、ワイヤーを介して永久的又は可逆的に接続することができる。このセンサー素子は、公知の方法(例えば薄層技術)に従って製造することができる。センサー素子を独立に作製してから、公知の手法、例えば接着により、他の要素に対してしっかり固定してもよい。中でも、本材料からなる層をスパッタリング法により、対応する層に対して形成することが好ましい。薄層を塗布する方法も公知である。センサー素子に好ましい材料としては、ニッケル及び白金が挙げられる。中でも、白金又は白金と他の貴金属との混合物から形成することが好ましい。好ましい実施形態においては、センサー素子はバイファイラー構造(bifilar structure)を有する。この温度センサーは基本的に、長い電気抵抗線からなる。ここでいうバイファイラー構造とは、この線上の互いに隣接する実質的に平行な二つの部位において電流が反対方向に流れるように、この線が屈曲して形成されることを意味する。ここで、両方向の電流は互いに同じ強度を有することが望ましい。これら二つの隣接する部位の周囲に互いに反対の磁場が形成され、それらが重畳して磁場が0となる。即ち、磁場が放出も吸収もされないことになる。
【0025】
ここで、温度センサー素子を機械的及び化学的な破壊から保護するために、カバー層を設けることが好ましい。更に、このカバー層は電気伝導度が低く、熱伝導度が高いことが好ましい。このカバー層はガラス又はガラスセラミックからなることが好ましく、その厚さは好ましくは1μmから25μmの範囲である。この層は厚膜技術により形成することが好ましい。従って、デバイスのセンサー素子とカートリッジの接触面との相互作用は、センサー素子を形成する材料とカートリッジの材料との間で、直方的(straight)且つ直接的に生じてもよいが、センサー素子及び/又はカートリッジがカバー層により覆われている場合には、間接的且つ斜方的(oblique)に生じてもよい。
【0026】
この温度センサー素子は、試料内の温度と十分な相関を有するように設計されることが好ましい。このためには素子の形状を、試料を収容するカートリッジのチャンバーの形状と、極めて近い形状にすればよい。好ましくは、センサー素子(特定の実施形態では保護カバー層を有する)の接触面を、デバイスの接触面と密着させる。カートリッジ及びデバイスの配置が特定されるため、センサー素子で測定された温度に基づいて、試料内の温度を極めて確実且つ正確に外挿することが可能となる。この温度測定の結果を用いれば、カートリッジ及びデバイスを含んでなる機器において、加熱及び冷却工程を制御することが可能となる。
【0027】
本発明に係るデバイスは更に、実質的に平らな、剛性の熱伝導基板を含んでなる。この基板は、2×103から5×106W/m2Kの範囲の熱伝導係数を有する材料から構成されることが好ましい。更に、当該基板が平らであるとは、その厚みが好ましくは0.1から5mmの範囲よりも小さく、より好ましくは0.25から2mmの範囲であることであっる。この基板は、剛性である、即ち、相当な機械的歪みに対しても安定であるという特徴を有する。更に、この熱伝導基板は、電気伝導度が0.1Ω-1-1未満の電気絶縁材料からなることが好ましい。加えて、この基板は、熱時定数(密度×熱容量/熱伝導度)が低いこと、好ましくは105s/m2未満であるという特性を有することが好ましい。適切な材料は、アルミナ、銅、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サファイア、銅、銀、金、モリブデン、及び真鍮からなる群より選択される。より好ましいのは電気伝導度が低い材料、特に電気絶縁材料、例えば電気伝導度が10-9Ω-1-1未満の材料である。よって、とりわけ有用な材料としては、セラミック材料、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サファイア等が挙げられる。また、この基板は、公知の方法により製造可能であるが、セラミックスの焼結により製造することが好ましい。この基板は、好ましくは再使用可能な形態で、基板の形状に合わせて一体に形成してもよいが、焼結工程後に適切な大きさの断片に分割してもよい。
【0028】
本発明に係るデバイスの熱伝導基板は、デバイスの熱挙動設計の自由度を高めるという利点がある。例えば、熱伝導基板の選択によって、熱分離と熱伝導の何れも実現可能であるし、電気伝導度及び/又は機械的安定性に影響を及ぼすこともできる。後者は、センサー素子と測定されるカートリッジとの熱接触を確保するために加える力を考慮すると、とりわけ重要である。特に、熱伝導基板も電気絶縁材料からなることが好ましい。ある実施形態によれば、各センサー素子は熱伝導基板の表面上に、カートリッジの接触面の方を向くように配置される。別の実施形態によれば、上述したようなシステムのデバイスにおいて、センサー素子が更にヒーター素子として機能してもよい。この場合、センサー素子はセンサー/ヒーター結合素子として機能し、チャンバー内の温度を検知することができるとともに、チャンバー内の温度が指定温度を下回っている場合には、(僅かな遅れをもって)チャンバーに熱を印加することも可能である。このようなセンサー/ヒーター結合素子は、白金又はニッケルからなることが好ましい。しかしながら、これらのセンサー/ヒーター結合素子は通常、上述したような専用のヒーター層と比較すると、加熱容量が小さい。これは、センサー/ヒーター結合層の厚さが厚膜ヒーターよりも薄く、それに比例して断面が小さくなってしまう結果、電流密度が制限されてしまうためである。電流が過剰だと、センサー/ヒーター結合素子線が、基板を破壊又は剥離してしまう場合がある。これらの実施形態は、その用途を通じて温度が実質的に安定している用途(例えば等温用途)に好適である。更に、これらの実施形態は、ラテラルな(lateral)熱強度分布の測定と、その適宜動的な修正とを、概ね同時に同一領域上で行なうことができるという利点がある。
【0029】
本発明の第1の実施形態によれば、混合物を制御下に加熱及び冷却するシステムは、上述したようなカートリッジ及びデバイスを有する。この場合、センサー素子はデバイスの表面上に、カートリッジの接触面を向くように配置され、カートリッジ本体接触面とセンサー素子との相互作用を許容するように構成される。
【0030】
本発明に係るシステムの別の実施形態によれば、センサー素子はデバイスの表面に、カートリッジの接触面を向くように配置され、チャンバー接触面とセンサー素子との相互作用を許容するように構成される。特定の実施形態によれば、センサー素子の形状は、試料を収容するカートリッジチャンバーの形状と極めて近い形状とされる。この実施形態によれば、カートリッジチャンバーの熱画像をデバイスのセンサー素子によって測定し、カートリッジチャンバーとデバイスのチャンバー接触面との界面全体の温度を平均することが可能となる。更に、この実施形態によれば、カートリッジチャンバーとデバイスのチャンバー接触面との接触が全界面に及んでいるかどうか、或いは、カートリッジチャンバーの一部がデバイスのチャンバー接触面と物理的に非接触状態となっていないかどうか、監視することが可能となる。
【0031】
本発明に係るシステムの特定の実施形態によれば、センサー素子はデバイスの表面上に、センサー素子の表面がその全体に亘って、当該カートリッジのチャンバー接触面内において、カートリッジと接触するように配置されるとともに、センサー素子の表面が、チャンバー接触面の表面の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%を占めるように構成される。更なる実施形態によれば、チャンバー接触面と接触するセンサー素子の表面全てがセンサー構造によって占められている必要はなく、ラテラルに(laterally)展開する熱強度分布、幾何学的特性、及びチャンバーシーリングの機械的剛性又は変形能に応じて、環状や他の形状など、液体中の温度を画像化及び平均化するのに適した形状とすることも可能である。この場合、センサー素子の表面が、デバイスとカートリッジとの接触時において、カートリッジと面し、カートリッジとの物理的相互作用を実質的に生じさせる、センサー素子の上部であると看做される。更に、この表面は、センサー素子を形成する材料により形成されていてもよく、センサー素子を被覆するカバー層により形成されていてもよい。この実施形態によれば、カートリッジチャンバーの熱画像の大部分を、デバイスのセンサー素子によって測定することができ、カートリッジチャンバーとデバイスのチャンバー接触面との界面全体の温度を代表する平均値を得ることが可能となる。
【0032】
別の実施形態によれば、本システムのデバイスは、少なくとも2つのセンサー素子を含んでなり、第1のセンサー素子がデバイスの表面上に、チャンバー接触面と第1のセンサー素子との相互作用を許容するように配置されるとともに、第2の実質的に平らな温度センサー素子がデバイスの表面上に、カートリッジ本体接触面と当該第2のセンサー素子との相互作用を同時に許容するように配置される。この実施形態によれば、カートリッジチャンバーとデバイスのチャンバー接触面との界面全体の平均温度を、より一層正確に決定できるという利点がある。特定の実施形態によれば、これら2つのセンサーを用いて、カートリッジとデバイスとの接触面においてラテラルに展開する温度勾配を測定してもよい。このような実施形態の利点は、接触面においてラテラルに分布する熱強度勾配を監視し、得られた勾配を考慮してチャンバー中の液体の温度の不一致を補正することにより、液体内の温度をより正確に決定し、保持することが可能になるという点である。
【0033】
本発明に係るシステムのある実施形態によれば、カートリッジは、混合物を収容するためのチャンバーを2以上有していてもよい。このようなシステムでは、デバイスもまた、センサー素子を2以上有していてもよい。これらのセンサー素子の配置は、当該デバイスの各チャンバーについて、第1のセンサー素子が当該デバイスの表面上に、当該カートリッジの当該接触面の方を向くように配置され、特定のチャンバーのカートリッジ本体接触面又はチャンバー接触面と、当該第1のセンサー素子との相互作用を許容するような配置とすることが好ましい。即ち、このような実施形態によれば、デバイスは、カートリッジの各チャンバー毎に1つのセンサー素子を有する。更に、ある実施形態によれば、各チャンバーに対応する第1のセンサー素子が、当該デバイスの表面上に、この特定のチャンバー接触面と当該第1のセンサー素子との相互作用を許容するように配置されるとともに、第2の実質的に平らな温度センサー素子が、当該デバイスの表面上に、当該カートリッジ本体接触面と当該第2のセンサー素子との相互作用を同時に許容するように配置される。この場合、当該第1のセンサー素子の形状が、当該特定のチャンバーの形状と実質的に同一の形状であることが好ましい。更に、後者のデバイスを用いて、1のチャンバーを含んでなる2以上のカートリッジを、各々1のデバイスで検知及び加熱してもよい。これらの実施形態の何れにおいても重要なのは、1又は複数のカートリッジとデバイスとの特定の相互作用が、所定の位置において極めて正確且つ精密に行なわれるという点である。このようなシステムの実施形態は、複数の反応を個別のチャンバー内で、制御下且つ監視下において、同一システムにより同時に並行して実施する場合に特に有用であり、従って、高スループット用途に使用することが可能である。即ち、デバイスが同一の熱伝導基板上に複数のセンサー又はセンサーペアを有し、複数のチャンバーを有する1のカートリッジと接触し、或いは少なくとも1のチャンバーを各々有する複数のカートリッジと接触している場合でさえも、ラテラルな熱流量を監視し、補正することが可能である。
【0034】
本発明に係るシステムにおいて、デバイスのヒーター層は、センサー素子と同じ材料か、センサー素子と同様の製造条件下で処理可能な材料からなることが好ましい。特に、白金、ニッケル、又は白金若しくはニッケルと他の貴金属との混合物等の材料が使用できる。ある実施形態によれば、ヒーター層の厚さは30μM未満である。特定の実施形態において、ヒーターとセンサー素子とは同一層に配置される。この実施形態によれば、ヒーター及びセンサー素子を同一層に有するデバイスは、比較的簡素且つ容易な手順で作製できるという利点がある。このような実施形態においては、ヒーター及びセンサー素子は、同一層内に埋設される場合であっても、2つの別個且つ独立の構成要素として当該層に取り付けられる。
【0035】
本発明に係るデバイスは、更に熱伝導基板を含んでなる。センサー素子は熱伝導基板の表面上に、カートリッジの接触面の方を向くように配置される。ヒーターは、熱伝導基板のセンサー素子と同じ側の表面上に配置されてもよいが、好ましい実施形態においては、ヒーターは熱伝導基板のセンサー素子とは反対側の表面上に配置される。何れの実施形態においても、センサー素子はカートリッジの接触面の方を向くように配置される。この場合、ヒーター及び/又はセンサー素子を熱伝導基板に対し、上述したような方法で取り付けてもよく、熱伝導基板を形成する材料の表面内に埋め込んでもよい。
【0036】
特定の実施形態によれば、センサー素子をヒーターとして使用してもよい。これによって、温度を検知するとともに、温度が指定温度を下回っている場合には、引き続き加熱インパルスを加えることにより、ヒーター層による混合物への熱の印加を補助することができる。更に、当該第1の実質的に平らなセンサー素子及び当該ヒーター層が結合し、単一のセンサー/ヒーター結合素子を形成するようにしてもよい。このような実施形態においては、ヒーター層と第1の実質的に平らな温度センサー素子とは同一であるので、ヒーター/センサー結合素子を用いて加熱及び温度検知サイクルを交互に実施することができる。この実施形態は特に、加熱操作を殆ど必要としない用途、例えば、一定温度の保持が特に必要とされる等温用途等への使用に有用である。この場合、ヒーター/センサー結合素子が、カートリッジのチャンバー内の温度を検知するとともに、チャンバー内の温度が指定温度よりも低い場合には、短時間の加熱インパルスの印加に使用される。
【0037】
好ましい実施形態によれば、本発明に係るシステムは、試料中の核酸の増幅に使用される。
【0038】
図1は、本発明に係るシステムの一例について、主な構成要素を含む断面を示す図である。
【0039】
図1Aに、混合物(2)を収容するチャンバーと、カートリッジ本体(4)とを有するカートリッジ(1)の断面を示す。このカートリッジは更に、カートリッジ本体及びチャンバーを被覆し、保護機能に加えて熱伝導機能を備えたカバー層(3)と、デバイスと接触するための接触面(5)とを含んでなる。この接触面は、チャンバー接触面(6)及びカートリッジ本体接触面(7)からなる。
【0040】
図1Bに、第1のセンサー素子(12)及び第2のセンサー素子(13)を備えてなるデバイス(11)の断面を示す。このセンサー素子は熱伝導基板(15)に取り付けられ、センサー素子用のカバー層(14)によって保護されている。更に、このデバイスはヒーター層(16)を有し、このヒーター層(16)は熱伝導基板(15)の表面に取り付けられ、センサー素子(12,13)とは反対側の表面に配置される。
【0041】
図1Cに、カートリッジ(1)とデバイス(11)との間に特定の物理的相互作用を生じさせる際の、システムの断面を示す。カートリッジ(1)とデバイス(11)との接触は、第1のセンサー素子(12)がカートリッジ本体接触面(7)と相互作用するように、且つ、第2のセンサー素子(13)がその全体に亘ってチャンバー接触面(6)内に位置するように確立される。
【0042】
図2は、一例に係るシステム(C)の主要構成要素を含む断面を示す図である。ここで、カートリッジ(A)は、混合物を収容するカートリッジチャンバー(2)を2以上有し、デバイス(B)は、カートリッジの各チャンバー毎に、第1のセンサー素子(12)及び第2のセンサー素子(13)を含んでなる。
【0043】
図2Aに、混合物を収容するための2つのチャンバー(2)とカートリッジ本体(4)とを有するカートリッジ(1)の断面を示す。このカートリッジは更に、カートリッジ本体及びチャンバーを被覆し、保護機能に加えて熱伝導機能を有するカバー層(3)と、デバイスと接触するための接触面(5)とを含んでなる。接触面は、特定のチャンバーの各々に対応するチャンバー接触面(6)と、カートリッジ本体接触面(7)とからなる。
【0044】
図2Bには、カートリッジの各チャンバー毎に、第1のセンサー素子(12)及び第2のセンサー素子(13)を備えてなるデバイス(11)の断面を示す。これらのセンサー素子は熱伝導基板(15)に取り付けられ、センサー素子用のカバー層(14)によって保護されてなる。更に、このデバイスはヒーター層(16)を含んでなり、これは熱伝導基板(15)の表面に取り付けられ、センサー素子(12,13)とは反対側の表面に配置される。
【0045】
図2Cには、カートリッジ(1)及びデバイス(11)が所定の物理的相互作用を行なう際のシステムの断面を示す。カートリッジ(1)とデバイス(11)との接触は、第1のセンサー素子(12)の各々がカートリッジ本体接触面(7)と相互作用するとともに、各第2のセンサー素子(13)がその全体に亘って、特定のチャンバーの各々のチャンバー接触面(6)内に位置するように確立される。
【0046】
本発明に係る別の実施形態は、チャンバーを含んでなるカートリッジを制御下に加熱するデバイスであって、カートリッジチャンバーの断面と平行な面内に位置する、少なくとも1つの実質的に平らな温度センサー素子と、熱伝導基板と、ヒーター層とを含んでなる。ここで、センサー素子は熱伝導基板の表面上に、カートリッジのチャンバーの方を向くように配置され、カートリッジとセンサー素子との相互作用を許容するように構成される。ヒーター層は、熱伝導基板のセンサー素子と同じ側の表面に配置されてもよいが、好ましい実施形態によれば、ヒーターは熱伝導基板のセンサー素子とは反対側の表面に、カートリッジのチャンバーの方を向くように配置される。特定の実施形態によれば、このセンサー素子の形状は、カートリッジチャンバーの断面と実質的に同一の形状とされる。この実施形態の利点は、センサー素子をカートリッジチャンバーと物理的接触させた状態で、カートリッジチャンバーの熱画像をデバイスのセンサー素子によって測定し、カートリッジチャンバーとデバイスのセンサー素子との界面全体の温度を平均化することが可能となるという点にある。更に、この実施形態によれば、カートリッジチャンバーとデバイスのセンサー素子との接触が界面全体に及んでいるかどうか、また、カートリッジチャンバーの一部がデバイスのセンサー素子と物理的接触してしないかどうかを、監視することが可能となる。デバイスの特定の実施形態によれば、センサー素子はカートリッジチャンバーの断面の10%超、好ましくは25%超、より好ましくは40%超に亘って延在していることが好ましい。即ち、センサー素子とカートリッジチャンバーとの物理的相互作用により、センサー素子の表面が、カートリッジチャンバー表面の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%と相互作用する。更なる実施形態によれば、チャンバー接触面と接触するセンサー素子の表面は、その全てがセンサー構造によって占められている必要はなく、ラテラルに展開する熱強度分布、幾何学的特性、及びチャンバーシーリングの機械的剛性又は変形能に応じて、環状やその他の形状等、液体内の温度を画像化及び平均化する上で好適な形状に形成されていてもよい。従って、上述の接触は、センサー素子を形成する材料と、カートリッジチャンバーの材料との間で直接形成されてもよく、センサー素子及び/又はカートリッジがカバー層で被覆されている場合には、間接的に形成されていてもよい。更なる実施形態によれば、センサー素子はバイファイラー構造を有し、その厚みは0.01μmから10μmの範囲、好ましくは0.8μmから1.2μmの範囲である。この熱伝導基板は、厚さが0.1mmから5mmの間であり、電気絶縁材料からなることが好ましい。
【0047】
図3は、本発明に係るデバイスについて例示される、2つの異なる実施形態の断面を示す図である。
【0048】
図3Aには、第1のセンサー素子(12)及び第2のセンサー素子(13)を含んでなるデバイスの断面を示す。これらのセンサー素子は熱伝導基板(15)に取り付けられ、センサー素子用カバー層(14)によって保護される。更に、このデバイスはヒーター層(16)を有し、これは熱伝導基板(15)の表面に取り付けられ、センサー素子(12,13)とは反対側の表面に配置される。
【0049】
図3Bは、同様に2つのセンサー素子(12,13)を含んでなるデバイスの第2の実施形態である。第1の実施形態とは異なり、2つのセンサー素子は、熱伝導基板(15)を形成する材料の表面に埋め込まれてなる。これら2つのセンサー素子(12,13)は、センサー素子用のカバー層(14)によって保護されるとともに、ヒーター層(16)が熱伝導基板(15)のセンサー素子とは反対側の表面に取り付けられる。
【0050】
図4は、デバイスについて例示される種々の実施形態の上面図である。ここに示される実施形態の何れにおいても、センサー素子はコネクター(17)を有し、これによって素子を制御ユニットに対し、ワイヤーを介して永久的又は可逆的に接続することが可能となっている。
【0051】
図4Aにおいて、デバイスは第1のセンサー素子(12)及び第2のセンサー素子(13)を含んでなる。これらの素子は、上述したような熱伝導基板上に配置され、この基板に対して取り付けられてなる。第1のセンサー素子(12)は、カートリッジ本体接触面の内部及びチャンバー接触面の外部において、当該第1のセンサー素子とカートリッジとの直接的な物理的相互作用が可能となるように配置されるとともに、第2のセンサー素子(13)は、カートリッジのチャンバー接触面内における当該第2のセンサー素子の直接的な物理的相互作用が可能となるように配置される。コネクター(17)の位置については、熱伝導基板(15)の表面上の3つの異なる位置を例示しているが、当該デバイスを有する機器の空間的必要条件に合わせて、当該表面上の任意の位置に自由に配置することが可能である。
【0052】
図4Bは、センサー素子を1つのみ含んでなるデバイスの実施形態である。図4Bの最初の図では、デバイスが有する第1のセンサー素子(12)が、センサー素子とカートリッジのカートリッジ本体接触面との直接的な物理的相互作用を可能とするように配置されている。2番目の図では、デバイスが有する第1のセンサー素子(12)が、カートリッジのチャンバー接触面内における第1のセンサー素子の直接的な物理的相互作用を可能とするように配置されている。特定の実施形態においては、当該第1のセンサー素子が、カートリッジチャンバーの断面の形状と実質的に同一の形状を有する。3番目の図では、カートリッジは2つのセンサー素子(18)を有する。これらは1つのセンサー素子として機能するものの、互いに独立に制御及び操作可能となっている。何れのセンサー素子(18)も、カートリッジのチャンバー接触面内における直接的な物理的相互作用を可能とするように配置される。最後の実施形態は、センサー素子の冗長度の面で利点を有する。即ち、センサー素子の一方が作動しなくなった場合でも、他方のセンサー素子によって温度を検知することが可能である。この実施形態は、温度の正確さが厳しく要求される分野において好ましい。更に、センサー素子の一方をセンサー素子として使用し、もう一方のセンサー素子をヒーターとして機能させてもよい。
【0053】
図4Cも、デバイスの実施形態を示す図であるが、ここで第1のセンサー素子は、カートリッジのチャンバー接触面内における第1のセンサー素子の直接的な物理的相互作用を可能とするように配置されるものであって、独立に制御及び操作可能な2以上のセンサー素子(18)からなる。この実施形態もまた、センサー素子の冗長度の面で利点を有する。即ち、センサー素子の一方が作動しなくなった場合でも、他方のセンサー素子によって温度を検知することが可能である。更に、センサー素子の一方をセンサー素子として使用し、もう一方のセンサー素子をヒーターとして機能させてもよい。
【0054】
図4Dの最初の図は、第1のセンサー(12)素子と、センサー/ヒーター結合素子(19)とを備えてなるデバイスの実施形態を示す図である。ここで第1のセンサー素子は、カートリッジ本体接触面の内部及びチャンバー接触面の外部における、第1のセンサー素子とカートリッジとの直接的な物理的相互作用を可能とするように配置される。この実施形態は、温度が大きく異なる複数の加熱サイクルを実施する用途であって、適切な時間内で加熱するためにヒーター層では不十分な場合に有用である。この場合、センサー/ヒーター結合素子を補助及び予備として機能させてもよい。特定の実施形態によれば、このセンサー/ヒーター結合素子(19)は、デバイスのヒーター層である。この実施形態は、加える温度間の差が殆どない用途(例えば等温用途)に有用である。図4の2番目の図に、このデバイスの実施形態を示す。ここで、第1のセンサー素子は、2以上の独立したセンサー素子からなる。
【0055】
本発明の別の実施形態は、システムにおける温度プロファイルを実行及び制御するための方法であって、
本発明に係るシステムにおいて、混合物をチャンバー内に収容するカートリッジを、デバイスによって加熱する工程と、
前記加熱工程と当該混合物の温度とを、当該デバイスの当該第1及び/又は第2のセンサー素子を用いて制御する工程とを含んでなる方法である。
【0056】
温度プロファイルとは、混合物が到達すべき温度のシークエンスである。当該プロファイルの温度は全て、室温よりも高く設定することが好ましく、より好ましくは37から98℃の範囲、最も好ましくは40から96℃の範囲である。プロファイルは、昇温プロファイル、即ち温度が経時的に上昇するものであってもよく、降温プロファイル、即ち温度が経時的に降下するものであってもよい。最も好ましいのは、極大温度と極小温度とを有するプロファイル、即ち、昇温及び降温を伴うプロファイルである。本発明の最も好ましい実施形態によれば、当該温度プロファイルは、PCRに必要とされるように、繰り返し熱サイクルを含んでいる。これらの熱サイクルによれば、極大温度において二本鎖核酸が一本鎖へと変性し、極小温度において一本鎖核酸が二本鎖へとアニールする。更なる実施形態によれば、温度プロファイルは昇温プロファイルであってもよい。この場合、温度を経時的に昇温するとともに、1又は2以上の所定の温度水平域(temperature plateau)において、所定期間に亘って一定に維持する。このような実施形態は、例えば、DNA二重鎖又は多重鎖を加熱して溶融及び変性させ、DNA融解曲線を作成する際に有用である。別の実施形態によれば、温度プロファイルは定温プロファイルであってもよい。この場合、温度を1又は2以上の所定の温度水平域において、所定期間に亘って一定に維持する。この実施形態は等温用途、例えば、Phi29等のポリメラーゼを用いたローリングサークル増幅等の用途に有用である。
【0057】
例えばPCRにおいて、温度プロファイル、好ましくは温度サイクリングに有用な繰り返し温度サイクルの温度プロファイルのパフォーマンスを確保すべく、加熱工程と、カートリッジチャンバー内の前記混合物の温度とを、センサー素子を用いて制御する工程は、
当該カートリッジの当該チャンバー内における当該混合物の温度を、当該デバイスの当該第1及び/又は第2のセンサー素子を用いて測定する工程と、
前記測定された温度を、当該混合物における到達目標として指定された温度と比較する工程と、
前記混合物の温度が前記指定温度よりも低い場合には、当該混合物の温度を上昇させる一方、前記混合物の温度が前記指定温度と同じ場合には、当該混合物の温度を維持するように、前記混合物にヒーター層を通じて熱を印加する工程とを含んでなることが好ましい。
【0058】
従って、極めて好ましい態様によれば、本発明は、加熱工程を液体の温度に応じて、コンピュータプログラムにより制御及び調節する工程を含んでなる。ヒーターを制御するとともに、測定温度と指定温度との比較及び混合物への熱の印加を行なうために使用するユニットを、熱制御ユニットと呼ぶ。ここで、熱制御ユニットは少なくとも、システムに対する主体的/能動的な入力、即ちヒーター/クーラーと、センサー、即ち温度センサー素子と、温度を指定されたレベルに調節する閉ループアルゴリズム、例えばPIDとを含んでなる。測定された温度を指定温度と比較するために必要なアルゴリズムは、複雑なものではなく、むしろ単純なものである。即ち、本技術分野で公知のPID(比例、積分、微分:proportional, integral, derivative)制御アルゴリズムに、デバイスとカートリッジのチャンバー内の液体との物理的相互作用を記述する式を組み入れたものを、閉ループ調節に使用することができる。このような、z変換式を用いた閉ループPID調節の例を図5に示す。ここで「h」は時間間隔、例えば5ms、10ms、20ms、50ms、100ms等を表わし、「Ti」はPIDレギュレータ「K(z)」のための積分時定数を表わし、「Td」はPIDレギュレータのための微分時定数を表わす。PIDレギュレータの式K(z)内において、「Kp」は比例因子項を表わし、「ui(z)=(h/Ti)/(z−l)」は積分項であり、「ud(z)=Td*(z−l)/(h*z)」は微分項である。z変換式は、周波数領域(frequency domain)内の離散式を記述する、周波数領域内の等式である。ラプラス変換を用いることにより、時間領域からの類似関数(analogous equation)を、対応する周波数領域内の類似関数に変換することができる。
【0059】
本発明に係る機器に好ましく使用されるこのソフトウェアは、例えば温度センサー信号等の信号を所定の時間間隔で読み出すため、離散的な時間情報(discrete temporal information)しか扱うことができない。従って、周波数領域内の連続的な類似関数を、周波数領域内の離散形に変換する必要がある。得られた関数(周波数領域内の離散形)自体は、時間領域(time domain)内の離散的な再帰関数(discrete recursive function)に、容易に変換することができる。
【0060】
これによって、z変換によるレギュレータK(z)の安定性を、熱サイクラーとチャンバー内の液体との物理的相互作用H(z)との組み合わせにおいて、閉ループ関数CL(z)によって調べることが可能となる。更に、得られる離散的な時間領域内の関数は、再帰関数である。PIDレギュレータと組み合わせる場合、再帰形はアルゴリズムにとって極めて好ましい("Control Systems Engineering (3rd edition)", Norman S. Nise, John Wiley and Sons Inc.も参照のこと)。即ち、温度センサーの読み出しの時間間隔を固定することによって、ヒーター層の加熱/冷却出力を決定することが可能となる。
【0061】
カートリッジチャンバー内における液体の温度は、それが物理的にカートリッジの接触面と接触している場合には、センサー素子の測定データを用いることにより、また、カートリッジとデバイスとの物理的相互作用を記述する特定のパラメーターを考慮して、決定することができる。液体中の指定温度プロファイルを経時的に制御するためには、PID制御アルゴリズムは、上述したように、直近に測定された時間間隔における指定温度及び測定温度を考慮して、ヒーター素子に必要な加熱/冷却出力を設定し、所望の時点において初期設定温度を達成する。2つのセンサー素子を含んでなる実施形態によれば、チャンバー接触面と接触するこれらのセンサー素子が、公知の手法により温度を測定する。即ち、接触するセンサー素子を基準として、指定されたラテラルな温度強度分布に比例するように、カートリッジ接触面と接触面全面に亘って温度を決定する。もしチャンバー接触面と接するセンサー素子において、測定温度が予想よりも低い場合には、デバイスとカートリッジのチャンバー接触面との機械的接触が十分ではないと判断する。更に、もしカートリッジ本体接触面と接するセンサー素子において、測定温度が予想よりも低い場合には、デバイスとカートリッジのチャンバー接触面との機械的接触が適切ではないと判断する。よって、こうしたシステムを含んでなる分析機器は、測定の初期段階において、分析結果の信頼性の改善を促すエラーメッセージを作成することができる。一方、これら2つのセンサー素子により測定される温度が互いに相関し、且つ、予想される範囲内に収まっている場合には、機械的接触が動作条件内であると判断される。即ち、2つのセンサー素子を含んでなる実施形態では、センサー素子を1つしか用いない場合と比べて測定温度の分解能が2倍となるので、液体内の温度が意図せず逸脱してしまうおそれも、著しく低減される。従って、こうしたシステムによれば、機械的接触の内部制御が可能となり、より信頼できる結果を得ることができるので、生体外診断用途に得に重要である。更に、センサー素子が特に平らであるために、温度測定を迅速に行なうことができる上に、大型の電子機器を用いる必要がない。
【0062】
ヒーターにより熱を印加する手法としては、任意の公知の手法を用いることができる。例としては、電流を抵抗ヒーターに連続的に印加してもよく、当該熱を電流パルスとして、或いは交流を用いて導入してもよい。特定の温度上昇を達成するために必要な当該パルス長や電流量の詳細は、簡単な実験により決定することができる。即ち、典型的な試料中の温度を、電流量及び/又はパルス長を変化させながら、所定の冷却容量の下で決定すればよい。
【0063】
当該加熱は、接触加熱により行なうことが好ましい。接触加熱は、加熱対象の材料を熱媒と接触させ、接触面を介してこれらの間に、熱媒から材料へとエネルギーの移動を生じさせる加熱である。本発明に係る加熱層は、抵抗ヒーターであることが好ましい。抵抗加熱は、径の小さなワイヤーからなる抵抗に電流を通すと、エネルギーが熱となって損失するという効果を利用したものである。好ましい構成は、所定の抵抗を有する加熱コイルを用いて接触加熱を行なうものである。コイルはワイヤーにより形成してもよいが、他の手法により、例えばプリント回路基板上に形成したり、他の種類の導電性材料を用いて、セラミックやポリイミド等の基板上に形成したりしてもよい。別の選択肢としては、コイルを薄膜又は厚膜技術により、好適な基板上に形成することが挙げられる。このコイルは、容器(receptacle)の下、上、又は横に配置してもよく、更には、コイルの構成によっては、カートリッジがコイルの内部に位置するよう、カートリッジの周囲に配置してもよい。
【0064】
本発明に係る方法は更に、当該カートリッジを冷却する工程を含んでなることが好ましい。当該冷却は、システムを、より好ましくはシステムに含まれる冷却素子を、フィン構造又は埋設型ヒートパイプを介して、流体流、好ましくは気体(例えば空気)に晒すことにより行なうことが好ましい。冷却素子の目的は、熱をシステムから、特にデバイスから、効率的に誘導除去することにある。従って、冷却素子は熱伝導性に優れた材料からなることが好ましい。例としては、セラミック化合物、又は、アルミニウム等の金属を、熱エネルギーの環境への流動を促進するべく、表面積の大きいブロックの形態で使用する。表面積を大きくするために、金属ブロック(受動冷却)にファンを設け、冷却素子周囲の対流をファンで増大させてもよい(能動冷却)。ファンの代わりに、液体(例えば水)冷却を使用したり、ヒートパイプを(金属ブロック中)に埋設させ、その他方の端部にフィンを設けて使用したりすることもできる。
【0065】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係るシステムシステムを用いて核酸を増幅する方法であって、
核酸を含有する試料を、当該カートリッジの前記チャンバー内に用意する工程と、
当該カートリッジの当該チャンバー内の当該試料を、熱サイクルに供する工程とを含んでなる方法が提供される。
【0066】
本発明の別の実施形態は、試料を制御下に加熱する工程を含む生物学的検定を実施するための機器であって、本発明に係るシステムを少なくとも含んでなるとともに、当該カートリッジを前記機器内に挿入して当該デバイスと接触させた場合に、当該カートリッジとの特定且つ所定の物理的相互作用を許容するように、当該デバイスが前記機器内に配置されてなる機器である。この機器は更に、カートリッジ内に含まれ、加熱操作に供される試料を分析するための励起ユニット及び検出ユニットと、決定のための試薬及び消耗材とを含んでいてもよい。また、自動化のために、カートリッジ及び/又は試料を扱うためのロボティクスを、任意で備えていてもよい。この機器において、カートリッジとデバイスとの物理的接触は、特定の方法で行なうことにより、カートリッジとデバイスとの間に、適切な且つ所定の物理的相互作用を確実に生じさせるようにする。従って、デバイスのセンサー素子の配置は、カートリッジを接触面の内部において、チャンバー接触面の内部又はカートリッジ本体接触面の内部に接触させるように行なう。
【0067】
更なる実施形態によれば、本発明に係るシステムは、カートリッジにおいて熱勾配プロファイルを実行及び監視するために用いられる。
【実施例】
【0068】
実施例1
本発明に係るデバイスの製造
第1の工程では、Heraeus社から入手した白金製の薄膜温度センサー素子を、CeramTec AG (Plochingen, Germany)社から入手した酸化アルミニウム製のセラミックウエハーで被覆する。これは酸化アルミニウムからなり、厚さ635μmであって、ガラスセラミックスからなる保護層(厚さ20μm)により保護されている。本工程はコーティング機を用いて行なう。
【0069】
第2の製造工程では、ウエハーの反対側に厚膜ヒーターを形成する。このために、当該反対側に酸化ルテニウム膜(厚さ20μm)を被覆する。この厚膜層も、ガラスセラミックスからなる保護層(厚さ20μm)で保護する。基板を少なくともこの薄膜層で保護した上で、更なる工程で処理することにより、絶縁層の厚さを確定するとともに、それによって熱力学的挙動をも確定する。Epoxy Technology Inc.社(Billerica, MA, USA)から入手したエポキシ接着剤の溶液を用いて、本分野で公知のスクリーン印刷法により、ヒーターの保護層上に特定の形状となるように蒸着し、厚さ100μmの絶縁層を得る。更に、冷却ブロックを絶縁層上に接着する。冷却ブロックは、多種の化合物からなる絶縁層がまだ粘性を有するうちに接触させ、その熱接着特性を利用する。最後に温度180℃で焼結工程を行なうことにより、特定の厚さの絶縁層に対して、そのヒーター層側に冷却ブロックを埋め込ませる。
【0070】
実施例2
本発明に係るシステムを用いたPCRの実施と、カートリッジチャンバー内の液体温度の監視
実施例1記載の熱サイクラーにより、市販のリアルタイムPCR検出用キットであるLightCycler ParvoB19 Kit (Cat No 3 246 809, Roche Diagnostics GmbH, Germany)を用いて、キット添付の製造社による説明書に従い、LightCycler Parvo B19 Standardを鋳型として用いて、数回のPCR工程を行なった。図6に示す温度プロファイルを設定し、PCR曲線を生成した。温度勾配は、PCR効率が良好に維持される値であって、且つ、熱サイクラーがもっと遥かに速い勾配にも対応できるような値、例えば20℃/sを選択した。
【0071】
ブレッドボード上で、上記記載の熱サイクラーと、上記記載の温度センサーと、LightCycler ParvoB19 Kit (Roche Diagnostics GmbH, Germany)に記載の蛍光物質を励起及び測定することが可能なブレッドボードリアルタイム蛍光光度計を用いて、測定を行なった。二回の実験の結果を図7にグラフとして示す。
【0072】
図8は、(図5に示すような)PID(比例・積分・微分)温度調節アルゴリズムに必要な全ての温度の例を、ある特定のサイクル(図6における第1のサイクル参照)部分について示す図である。2つの温度センサーと、設定温度と、機器においてリアルタイムに算出された推定(projected)温度とが記載されている。2つのセンサー素子によって測定された温度は、設定温度からの偏差が同等であり、チャンバー接触面とセンサー接触面との熱接触が、許容し得る動作条件内に収まっていたことを示している。液体の入ったチャンバー内のリアルタイムの推定温度については、全ての温度を記録した後に、推定温度を再計算して検証を行なった。リアルタイムの推定温度と再計算された推定温度とはよく一致していたことから、調節アルゴリズムが正しく作動していたことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、カートリッジ(A)及びデバイス(B)を含んでなる、本発明に係るシステム(C)の一例について、主要構成要素を含む断面を示す図である。
【図2】図2は、システム(C)の例について、主要構成要素を含む断面を示す図である。ここで、カートリッジ(A)は、混合物(2)を収容するカートリッジチャンバーを2以上含んでなり、デバイス(B)は、カートリッジの各チャンバーについて、第1のセンサー素子(12)及び第2のセンサー素子(13)を含んでなる。
【図3】図3は、本発明に係るデバイスの2つの異なる実施形態について、その断面を示す図である。
【図4】図4は、デバイスについて例示される種々の実施形態の上方図である。
【図5】図5は、測定温度と指定温度とを比較するのに必要な、(z変換式を用いた)閉ループPID(比例・積分・微分)制御アルゴリズム調節を示す図である。
【図6】図6は、市販のLightCycler ParvoB 19 Kit(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を用いたPCR工程の実施に使用されるPCR曲線を生成するために設定された温度プロファイルである。
【図7】図7は、LightCycler ParvoB19 Kitを用いて行なった2度の実験の結果である。
【図8】図8では、調節アルゴリズムに必要な全ての温度の例を示している。
【符号の説明】
【0074】
1 カートリッジ
2 混合物を収容するためのチャンバー
3 カートリッジのカバー層
4 カートリッジ本体
5 デバイスと接触するための接触面
6 チャンバー接触面
7 カートリッジ本体接触面
8 デバイス
9 第1のセンサー素子
10 第2のセンサー素子
11 センサー素子用のカバー層
12 熱伝導基板
13 ヒーター層
14 コネクター
15 センサー素子
16 センサー/ヒーター結合素子
【出願人】 【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【出願日】 平成19年7月10日(2007.7.10)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬

【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積

【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次

【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝


【公開番号】 特開2008−17842(P2008−17842A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−180676(P2007−180676)