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【発明の名称】 マイクロインジェクション装置
【発明者】 【氏名】佐々木 順

【氏名】矢吹 彰彦

【氏名】西山 秀作

【氏名】▲高▼崎 育史

【要約】 【課題】インジェクション動作の際に微小針を操作するマニピュレータなどに微小針を短時間で取り付けることができると共に、微小針の破損及び汚染を抑制できるマイクロインジェクション装置の提供を課題とする。

【構成】導入物質が充填され所定の待機位置に配置された微小針10を着脱自在に把持し、所定の導入準備位置まで搬送する微小針搬送手段12と、所定の導入準備位置に配置された微小針10を着脱自在に把持し、微小針10の先端を被導入体13に挿入及び抜脱するマニピュレータ14と、マニピュレータ14によって把持されている微小針10の内部に所定の圧力を加えることによって、微小針10内の導入物質を吐出させる導入物質吐出手段15と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小針の内部に充填された導入物質を被導入体に導入するマイクロインジェクション装置において、
前記導入物質が充填され所定の待機位置に配置された前記微小針を着脱自在に把持し、所定の導入準備位置まで搬送する微小針搬送手段と、
前記所定の導入準備位置に配置された前記微小針を着脱自在に把持し、前記微小針の先端を前記被導入体に挿入及び抜脱する微小針挿抜手段と、
前記微小針挿抜手段によって把持されている前記微小針内の前記導入物質に所定の圧力を加えることによって、前記微小針内の前記導入物質を吐出させる導入物質吐出手段と、
を備えるマイクロインジェクション装置。
【請求項2】
前記微小針は針先を保護するキャップを有し、
前記微小針搬送手段は前記キャップを把持する請求項1に記載のマイクロインジェクション装置。
【請求項3】
前記微小針は、中空のガラス管と、前記ガラス管の中間部を保持する第1の保持部、及び前記ガラス管の基部を把持する第2の保持部を有するホルダと、を有する請求項1に記載のマイクロインジェクション装置。
【請求項4】
前記導入物質吐出手段は、前記微小針内内に挿入可能なチューブを有し、
前記ホルダは、前記チューブを前記微小針内に案内する案内孔を有する請求項3に記載のマイクロインジェクション装置。
【請求項5】
前記微小針挿抜手段は、前記微小針における中心軸線方向の位置決めを行う中心軸線方向位置決め手段と、前記微小針の前記中心軸線と直交する方向の位置決めを行う直交方向位置決め手段と、を有する請求項1に記載のマイクロインジェクション装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロインジェクション装置に係り、更に詳細には、微小針を用いて、細胞などの微細粒子内に遺伝子溶液や薬剤溶液などを導入するマイクロインジェクション技術や、細胞分析などのバイオ分野における微粒子搬送技術に好適なマイクロインジェクション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生医療や新薬開発等の分野においては,細胞に所定の物質を導入してその効果の有無を検証する物質導入技術が用いられている。
【0003】
従来の物質導入技術は,ウィルスベクター法やリポフェクション法によって代表される。これらの方法では、導入対象となる細胞及び導入すべき導入物質全体をひとつの塊として取り扱っていた。このような物質導入方法を、バッチ式物質導入法という。
【0004】
このバッチ式物質導入法は、操作が簡便な反面、一回の導入実験で使用する細胞及び導入物質の量が多くなる。従って、貴重な細胞や試薬を使用する場合には不向きであった。従って、バッチ式物質導入法は、今後要求される微量薬剤の導入による効果の検証に適用できないという問題がある。
【0005】
一方、今後は、微量の細胞および導入液体を用いて、多くのパターンの実験を行う必要があると考えられる。このような背景から、105〜106個程度の大量の細胞などの粒子に、個々に定量の導入物質を無菌的、且つ短時間で確実に導入する技術が要求されている。
【0006】
そこで、個々の細胞などに、定量の導入物質を導入することができる技術として、マイクロインジェクション法が提案されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。このマイクロインジェクション法は、人工授精などの分野では一般的に用いられている。
【0007】
また、従来、マイクロインジェクション法によって導入物質を個々の細胞に導入するマイクロインジェクション装置が提案されている。
【0008】
マイクロインジェクション装置は、マニュピレータによって微小針を操作し、微小針内に充填されている導入物質を細胞などの粒子内に導入するように構成されている。
【非特許文献1】伊藤 紗弥、マイクロインジェクション、[online]、[平成18年4月14日検索]、インターネット<URL:http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/bnsikato/protocol/7-3.html>
【非特許文献2】斉藤 美佳子、単一細胞操作支援ロボットを用いたES細胞へのナノインジェクション、[online]、[平成18年4月14日検索]、インターネット<URL:http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/2005/081b.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のマイクロインジェクション装置は、マニュピレータに対する微小針を取り付けを手作業で行っていた。このため、微小針の取り付け及び交換に長時間を要するという問題があった。
【0010】
また、従来のマイクロインジェクション装置では、マニュピレータに微小針を取り付け
る際に、手指が針先に接触して針先が破損及び汚染されるおそれがあった。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、マニュピレータなどに微小針を短時間で取り付けることができると共に、微小針の破損及び汚染を抑制できるマイクロインジェクション装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明は、
微小針の内部に充填された導入物質を被導入体に導入するマイクロインジェクション装置において、
前記導入物質が充填され所定の待機位置に配置された前記微小針を着脱自在に把持し、所定の導入準備位置まで搬送する微小針搬送手段と、
前記所定の導入準備位置に配置された前記微小針を着脱自在に把持し、前記微小針の先端を前記被導入体に挿入及び抜脱する微小針挿抜手段と、
前記微小針挿抜手段によって把持されている前記微小針内の前記導入物質に所定の圧力を加えることによって、前記微小針内の前記導入物質を吐出させる導入物質吐出手段と、
を備える。
【0013】
微小針のガラス管は、外径が1.0〜1.2mm程度、内径が0.5〜0.7mm程度で、針先の外径が1μm、内径が0.5μm程度のものを例示できる。
【0014】
また、微小針挿抜手段として、微小針を互いに直交するX軸及びY軸方向、及び水平方向に対して斜めの方向に移動させるマニュピレータなどを例示できる。また、被導入体として、細胞などを例示できる。
【0015】
本発明では、導入物質が充填され所定の待機位置に配置されている微小針を、微小針搬送手段によって所定の導入準備位置まで搬送する。次に、微小針の先端を微小針挿抜手段によって被導入体に挿入し、導入体吐出手段によって微小針内の被導入体に圧力をかけて被導入体に導入する。このように、本発明は、待機位置に配置された微小針の搬送から被導入体に導入体を導入するまでの動作を自動的に行うことができる。
【0016】
従って、マニュピレータなどの微小針挿抜手段に対する微小針の取り付け及び交換を短時間で行うことができる。また、微小針に手指が触れることがないので、微小針の破損及び汚染を抑制できる。
【0017】
ここで、前記微小針は針先を保護するキャップを有し、
前記微小針搬送手段は前記キャップを把持する構成にできる。
【0018】
この構成によれば、キャップを微小針搬送手段で把持し、微小針を微小針挿抜手段で把持した状態で、微小針搬送手段を微小針挿抜手段から離れる方向に移動させることにより、キャップを微小針から簡単に取り外すことができる。
【0019】
また、前記微小針は、中空のガラス管と、前記ガラス管の中間部を保持する第1の保持部、及び前記ガラス管の基部を把持する第2の保持部を有するホルダと、を有する構成にできる。
【0020】
この構成により、ガラス管の基部と中間部の2箇所をホルダによって保持できるので、ガラス管を安定よく保持できる。
【0021】
また、前記導入物質吐出手段は、前記微小針内の前記導入物質に圧力を加えるチューブを有し、
前記ホルダは、前記チューブを前記微小針内に案内する案内孔を有する構成にできる。
【0022】
この構成により、チューブを微小針内に確実に挿入できる。従って、微小針内の導入物質を確実に吐出できる。
【0023】
前記微小針挿抜手段は、前記微小針における中心軸線方向の位置決めを行う中心軸線方向位置決め手段と、前記微小針の前記中心軸線と直交する方向の位置決めを行う直交方向位置決め手段と、を有する構成にできる。
【0024】
この構成により、微小針を常に同一の位置に保持できるので、微小針を交換した際に、微小針の取り付け位置を調整する必要がない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、導入物質が充填され所定の待機位置に配置された微小針を微小針搬送手段で所定の導入準備位置まで搬送し、この微小針を微小針挿抜手段で把持して微小針の先端を被導入体に挿入し、導入物質吐出手段で微小針内の導入物質を被導入体に導入するまでの一連の動作を自動的に行うことができる。
【0026】
従って、微小針挿抜手段に対する微小針の取付(把持)を短時間で行うことができるので、作業効率を高くできる。また、作業中に微小針に手指が接触することがないので、微小針が破損及び汚染されるのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るマイクロインジェクション装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る実施の形態のマイクロインジェクション装置1を示す。このマイクロインジェクション装置1は、微小針10の内部に充填された導入物質を被導入体13に自動的に導入するように構成されている。
【0029】
すなわち、このマイクロインジェクション装置1は、微小針10の内部に導入物質を充填して所定の待機位置に配置する導入物質充填手段11と、所定の待機位置に配置された微小針10を着脱自在に把持し所定の導入準備位置まで搬送する微小針搬送手段12と、所定の導入準備位置に配置された微小針10を着脱自在に把持し、微小針10の先端を被導入体13に挿入及び抜脱する微小針挿抜手段としてのマニピュレータ14と、このマニピュレータ14によって把持されている微小針10内の導入物質に所定の圧力を加えることによって、導入物質を微小針10から吐出させる導入物質吐出手段15とを備えている。
【0030】
次に、上記各構成要素について説明する。微小針10は、図2に示すように、極細のガラス管41と、このガラス管41を保持するホルダ40とを有している。
【0031】
ガラス管41は、外径が1.0〜1.2mm程度、内径が0.5〜0.7mm程度の中空状に形成されている。また、ガラス管41の先端部は鋭角に形成されている。ガラス管41の針先の外径は1μm、内径は0.5μm程度に形成されている。
【0032】
ホルダ40は、ガラス管41の中間部41bを保持する第1の保持部42と、ガラス管41の基部41aを保持する第2の保持部43とを有している。第1の保持部42にには
、ガラス管41を保護するキャップ44が着脱自在に取り付けられている。キャップ44は、テーパ状に形成されている。
【0033】
第1の保持部42と第2の保持部43には、それぞれの対向部分に凹部42と凸部43が設けられている。これらの凹部42aと凸部43aとが嵌合されることにより、第1の保持部42と第2の保持部43とが接続されている。
【0034】
第1の保持部42は、略半分が円柱状で残りの半分が漏斗状に形成されている。この第1の保持部42内に、ガラス管41の基部41aが貫通して挿入されている。ガラス管41の中間部41bが、第1の保持部42の先端部分に接着されて保持されている。この第1の保持部42の一端には、フランジ42bが設けられている。
【0035】
第2の保持部43は、円柱状に形成されている。この第2の保持部43内における中間部まで、ガラス管41の基部41aが挿入されている。ガラス管41の基部41aは、第2の保持部43に接着されて保持されている。
【0036】
また、第2の保持部43には、ガラス管41の貫通孔41c(図9参照)に連続する案内孔43bが設けられている。この案内孔43bは、ガラス管41側から外側に向けて徐々に拡がるテーパ状に形成されている。この第2の保持部43の一端には、フランジ43cが設けられている。
【0037】
この微小針10内に充填される導入物質として、遺伝子溶液や薬剤溶液などを例示できる。また、被導入体13として、細胞及び細胞に類似する各種の粒子を例示できる。
【0038】
導入物質充填手段11は、図3に示すように、所定の方向Yに移動自在なカートリッジ21と、このカートリッジ21を移動させるカートリッジ移動機構20と、カートリッジ21の上方に配置された挿入管案内機構22及び挿入管上下移動機構23とを有している。
【0039】
カートリッジ21には、微小針10を供給するマガジン、挿入管24を供給するマガジン、微小針10内に充填すべき溶液が収容されている溶液収容容器25を供給するマガジン、及び挿入管取り外し部材26とが設けられている。
【0040】
微小針10がカートリッジ21によって保持されている状態では、図4に示すように、キャップ44の上部側とホルダ40とが、カートリッジ21上に突出している。また、ホルダ40とキャップ44の上部側の周囲には、適宜な広さの空間が設けられている。これにより、後述のように、カートリッジ21から突出しているキャップ44の上部側を、微小針搬送手段12のハンド31で把持できる。
【0041】
また、挿入管上下移動機構23には、液体制御ポンプ27が上下移動自在に設けられている。この液体制御ポンプ27には、挿入管接続部28が備えられている。
【0042】
この導入物質充填手段11では、まず、微小針10と、挿入管24と、溶液収容容器25の各マガジンと、挿入管取り外し部26とが、カートリッジ21上に設けられたマガジンに各々搭載される。
【0043】
次に、カートリッジ21が水平移動され、挿入管24が挿入管接続部28を介して液体制御ポンプ27に接続される。次に、カートリッジ21がY方向に水平移動され、挿入管24の先端が溶液収容容器25内に挿入される。そして、液体制御ポンプ27によって溶液収容容器25内の溶液が吸引される。
【0044】
次に、液体制御ポンプ27及び挿入管24が上昇され、カートリッジ21が水平移動される。次に、挿入管24が挿入管案内機構22を介して、微小針10内に挿入される。次に、液体制御ポンプ27内の導入物質が、微小針10内に放出される。これにより、微小針10内に導入物質が充填される。
【0045】
次に、液体制御ポンプ27が上昇され、挿入管24が微小針10の上方に移動されるる。次に、カートリッジ21が水平移動されて、挿入管24が挿入管取り外し部26まで移動される。次に、挿入管取り外し部26によって、液体制御ポンプ27に接続されている挿入管24が取り外される。
【0046】
このようにして、微小針10に導入物質が充填された後、カートリッジ21がY方向に移動され、微小針10が所定の待機位置P1に配置される。すなわち、カートリッジ21は、導入物質が充填された微小針10を所定の待機位置P1に配置する待機位置配置手段として機能する。
【0047】
図1の微小針搬送手段12は、図5に示すように、所定の待機位置P1に配置された微小針10を着脱自在に把持し、所定の導入準備位置P2まで搬送する。
【0048】
この微小針搬送手段12は、微小針10を把持するハンド31と、このハンド31を上下移動させる上下移動部32と、上下移動部32を所定の旋回方向Aに、所定の角度だけ旋回させる旋回部33とを有している。
【0049】
ハンド31は、平行に配置された二枚の板部材31a,31bと、これらの板部材31a,31bを保持するアーム31cと、板部材31a,31bを開閉させるモータやシリンダなどの駆動部31dとを有している。また、板部材31a,31bの内面には、柔軟な緩衝材31eが設けられている。
【0050】
このハンド31によってカートリッジ21内の微小針10を把持する際には、図6(A),(B)に示すように、板部材31a,31bが開かれて、カートリッジ21上のキャップ44の両側に配置される。次に、板部材31a,31bが閉じられて、キャップ44すなわち微小針10が把持される。このとき、緩衝材31eがテーパ状のキャップ44に沿って変形する。これにより、キャップ44に均一な把持力が作用する。
【0051】
図5の上下移動部32は、ベース32aと、ベース32a内に設けられたシリンダ32bとを有している。このシリンダ32bのピストンには、ロッド32cが取り付けられている。ロッド32のcの上端には、上記ハンド31が取り付けられている。シリンダ32bのピストンの伸縮によって、ハンド31が上下移動される。
【0052】
旋回部33は、上下移動部32の下端部に設けられている。この旋回部33は、回転ドラム33aと、回転ドラム33aを両方向に回転させるモータ33bとを有している。回転ドラム33aには、上下移動部32のベース32aが取り付けられている。
【0053】
回転ドラム33aの回転によって、上下移動部32が略鉛直方向から所定の旋回位置まで旋回する。これにより、ハンド31に把持されている微小針10が、所定の待機位置から所定の導入準備位置まで搬送される。なお、回転ドラム33aの回転角度は任意に調整できる。
【0054】
図1のマニピュレータ14は、図7に示すように、本体50と、この本体50の先端に設けられた接続部51と、所定の導入準備位置P2に配置された微小針10を着脱自在に
把持するハンド52とを有している。なお、図7中の符号16は、マニュピレータ14を互いに直交するX方向及びY方向に移動させるXYステージである。
【0055】
本体50とハンド52は別体で形成され、同一のベース板58に取り付けられている。また、接続部51は、小径部51aと、この小径部51aの先端に設けられたOリング51bとを有している。
【0056】
接続部51は、本体50内に設けられたシリンダによって、ハンド52に把持されている微小針10に接近及び離間する方向にスライド移動される。接続部51が、微小針10側に移動することにより、接続部51の先端のOリング51bが、ハンド52で把持されている微小針10のホルダ40におけるフランジ43cの端面に押し付けられる。これにより、Oリング51bが潰されて、微小針10と接続部51間の密封が保持される。
【0057】
ハンド52は、図8に示すように、微小針10におけるホルダ40の外周面の一部を支持する一対の支持部53,53と、ホルダ40を支持部53の反対側から押さえる押圧板54と、押圧板54に押圧力Fを加えるシリンダ55とを有している。
【0058】
支持部53,53には、それぞれV溝53a,53aが設けられている。これらの一対のV溝53a,53aによって、ホルダ40における第1の保持部42及び第2の保持部43の外周面42c,43dの一部が支持される。なお、支持部53,53間の隙間には、ホルダ40のフランジ42bが挿入される。
【0059】
押圧板54は、ホルダ40における外周面42c,43dに当接する一対の押圧片54a,54aを有している。押圧片54a,54aの間には、フランジ42bを避ける切り欠き54cが設けられている。また、押圧板54の中間部には、微小針10の中心軸線と略平行な回転軸56が設けられている。
【0060】
この押圧板54は、回転軸56の回転によって、微小針10に接近及び離間する方向Cに旋回される。
【0061】
このハンド52によって把持された微小針10は、マニピュレータ14の接続部51によって中心軸線方向に押圧される。これにより、ホルダ40のフランジ43c,42bが、支持部53,53の側面(支持面)53b,53bに押圧される。これによって、微小針10の中心軸線方向の位置決めが行われる。
【0062】
すなわち、マニピュレータ14の本体50、及びハンド53における支持部53,53の側面53b,53bによって、微小針10の中心軸線方向位置決め手段が構成されている。
【0063】
また、押圧板54によって、ホルダ40の外周面42c,43dがV溝53a,53aの内面側に押圧される。これにより、微小針10の中心軸線方向と直交する直交方向の位置決めが行われる。
【0064】
すなわち、V溝53a,53a、押圧板54及びシリンダ55によって、微小針10の中心軸線と直交する直交方向の位置決め手段が構成されている。
【0065】
図7に示すように、微小針10がマニピュレータ14のハンド52によって把持された後、微小針搬送手段12のハンド31がキャップ44を把持したまま、微小針10から離れる方向Wに後退する。これにより、キャップ44が微小針10から取り外される。
【0066】
微小針10内の導入物質を被導入体13に導入する際には、図9に示すように、微小針10がマニピュレータ14によって把持されている状態で、微小針10におけるガラス管41の基部41a側に、導入物質吐出手段15に接続されたチューブ15aが挿入される。
【0067】
このとき、チューブ15aは、微小針10のホルダ40における案内孔43bによって案内されて、ガラス管41内に挿入される。また、本実施形態では、ガラス管41が、ホルダ40の針挿入孔43dの底面43eに接するまで挿入される。
【0068】
この針挿入孔43dの底面43eは、案内孔43bの最小径部43fと同一面に設けられている。これにより、案内孔43bと針挿入孔43d管に隙間ができないので、チューブ15aがガラス管41内に確実に挿入される。
【0069】
微小針10内にチューブ15aが挿入された後、マニピュレータ14によって微小針10が操作される。そして、図1に示すように、微小針10におけるガラス管41の先端が、トレー17上の被導入体13に挿入される。
【0070】
次に、導入物質吐出手段15が作動し、チューブ15aを介して微小針10内の導入物質に圧力が加えられる。これにより、導入物質が微小針10から吐出され、被導入体13に導入される。なお、導入物質吐出手段15としては、小型の送風機又は圧縮機など適宜な加圧手段を使用できる。
【0071】
微小針10内の導入物質が被導入体13内に導入された後、微小針挿抜手段14によって微小針10が導入準備位置P2に配置される。そして、微小針搬送手段12に把持されているキャップ44が、微小針10に装着される。この微小針10は、マニピュレータ14によって回収容器18に排出されて回収される。
【0072】
〈処理フロー〉
図10は、このマイクロインジェクション装置1の処理フローを示す。この処理では、先ず微小針内に導入物質が充填される(S1)。次に、微小針が所定の待機位置に配置される(S2)。
【0073】
次に、微小針が微小針搬送手段によって把持され、所定の導入準備位置に配置される(S3)。次に、微小針がマニピュレータで把持される(S4)。
【0074】
次に、微小針のキャップが取り外される(S5)。次に、マニピュレータによってインジェクション動作が実行され、微小針内の導入物質が被導入体に導入される(S6)。
【0075】
次に、微小針にキャップが装着される(S7)。次に、微小針が回収容器に排出されて回収、廃棄される(S8)。この後、上記と同様な処理が繰り返し行われる。なお、被導入体13は、手動又は自動で供給される。
【0076】
このように、本発明のマイクロインジェクション装置1は、マニピュレータ14に対する微小針10の取り付けを自動的に行うことができる。従って、微小針10の取り付け及び交換作業を短時間で行うことができる。
【0077】
また、導入物質が充填された微小針10を待機位置から導入準備位置まで搬送する動作、微小針10をマニピュレータ14に取り付ける動作、微小針10内の導入物質を被導入体13に導入する動作、及び微小針10を回収する動作を、自動的に行うことができる。従って、微小針10に手指が接触することがないので、微小針10が破損及び汚染するの
を抑制できる。
【0078】
更に、マニピュレータ14に取り付けられる微小針10は、中心軸線方向及び中心軸線方向と直交する直交方向の位置決めが行われるので、微小針10を交換した際に、微小針10における針先の位置が変わるのを防止できる。
【0079】
従って、従来のように、微小針10を交換する毎に、微小針10の位置調整を行う必要がないので、作業効率を向上させることができる。
【0080】
更に、このマイクロインジェクション装置1によれば、個々の細胞へのアクセスと、細胞のような微小粒子の搬送を同一装置内で実現できる。従って、個々の細胞を認識したままで、大量の細胞に物質を導入することが可能になる。
【0081】
なお、上記実施形態では、導入物質充填手段11を備えた場合について説明した。本発明は、導入物質充填手段11を含まずに構成することができる。この場合は、手動又は適宜な手段によって、微小針10を所定の待機位置P1に配置すればよい。
【0082】
また、本発明のマイクロインジェクション装置は、以下の付記的事項を含むものである。
【0083】
〔その他〕
本発明は、以下のように特定することができる。
【0084】
(付記1)微小針の内部に充填された導入物質を被導入体に導入するマイクロインジェクション装置において、
前記導入物質が充填され所定の待機位置に配置された前記微小針を着脱自在に把持し、所定の導入準備位置まで搬送する微小針搬送手段と、
前記所定の導入準備位置に配置された前記微小針を着脱自在に把持し、前記微小針の先端を前記被導入体に挿入及び抜脱する微小針挿抜手段と、
前記微小針挿抜手段によって把持されている前記微小針内の前記導入物質に所定の圧力を加えることによって、前記微小針内の前記導入物質を吐出させる導入物質吐出手段と、
を備えるマイクロインジェクション装置。
【0085】
(付記2)前記微小針は針先を保護するキャップを有し、
前記微小針搬送手段は前記キャップを把持する付記1に記載のマイクロインジェクション装置。
【0086】
(付記3)前記微小針挿抜手段によって把持されている前記微小針を回収する微小針回収手段を、
更に備える付記1に記載のマイクロインジェクション装置。
【0087】
(付記4)前記微小針は、ガラス管と、前記ガラス管の中間部を保持する第1の保持部、及び前記微小針の基部を把持する第2の保持部を有するホルダと、を有する付記1に記載のマイクロインジェクション装置。
【0088】
(付記5)前記導入物質吐出手段は、前記微小針内の前記導入物質に圧力を加えるチューブを有し、
前記ホルダは、前記チューブを前記微小針内に案内する案内孔を有する付記4に記載のマイクロインジェクション装置。
【0089】
(付記6)前記ホルダは、前記微小針の基部側を挿入する挿入孔を有し、前記挿入孔の底面に前記微小針の端面が当接する付記4に記載のマイクロインジェクション装置。
【0090】
(付記7)前記挿入孔の底面は、前記案内状の孔における最小径部と同一面に設けられている付記6に記載のマイクロインジェクション装置。
【0091】
(付記8)前記ホルダは、外周面が円形に形成されると共に、前記外周面から側方に突出するフランジ部を有する付記4に記載のマイクロインジェクション装置。
【0092】
(付記9)前記微小針挿抜手段は、前記微小針における中心軸線方向の位置決めを行う中心軸線方向位置決め手段と、前記微小針における前記中心軸線と直交する方向の直交方向位置決め手段と、を有する付記4に記載のマイクロインジェクション装置。
【0093】
(付記10)前記中心軸線方向位置決め手段は、前記微小針を中心軸線方向に押圧するシリンダと、前記ホルダにおける前記フランジ部の端面を支持する支持面を有し、
前記直交方向位置決め手段は、前記ホルダの前記外周面を支持するV溝と、前記外周面を前記V溝の反対側から押圧する押圧手段とを有する付記9に記載のマイクロインジェクション装置。
【0094】
(付記11)前記押圧手段は、前記ホルダの前記外周面に当接する板部材と、前記板部材を前記ホルダの外周面に対して接近または離間する方向に回転自在に支持する回転軸と、前記板部材を前記ホルダの外周面側に付勢するシリンダと、を有する付記10に記載のマイクロインジェクション装置。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係るマイクロインジェクション装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る微小針を示す断面図である。
【図3】本発明に係る導入物質充填手段を示す図である。
【図4】本発明に係るカートリッジに収容されている微小針を示す図である。
【図5】本発明に係る微小針搬送手段を示す斜視図である。
【図6】図6(A)は本発明に係るカートリッジに収容されている微小針を微小針搬送手段のハンドで把持する状態を示す図、図6(B)は図6(A)のB矢視図である。
【図7】本発明に係る微小針挿抜手段で微小針を把持する状態を示す図である。
【図8】本発明に係る微小針挿抜手段のハンドを示す斜視図である。
【図9】本発明に係る微小針の案内孔を示す断面図である。
【図10】本発明に係る処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 マイクロインジェクション装置
10 微小針
11 導入物質充填手段
12 微小針搬送手段
13 被導入体
14 マニピュレータ
15 導入物質吐出手段
15a チューブ
16 XYステージ
17 トレー
18 回収容器
20 カートリッジ移動機構
21 カートリッジ
22 挿入管案内機構
23 挿入管上下移動機構
24 挿入管
25 溶液収容容器
26 挿入管取り外し部
27 液体制御ポンプ
28 挿入管接続部
31 微小針搬送手段のハンド
31a,31b 板部材
31c アーム
31d 駆動部
31e 緩衝材
32 上下移動部
32a ベース
32b シリンダ
32c ロッド
33 回転部
33a 回転ドラム
33b モータ
40 ホルダ
41 ガラス管
41a 基部
41b 中間部
41c 孔
42 第1の保持部
42a 凹部
42b フランジ
42c 外周面
43 第2の保持部
43a 凸部
43b 案内孔
43c フランジ
43d 針挿入孔
43e 底面
43f 案内孔の最小径部
44 微小針のキャップ
50 マニピュレータの本体
51 接続部
51a 小径部
51b リング
52 ハンド
53 支持部
53a 溝
53b 側面
54 押圧板
54a 押圧片
54c 切り欠き
55 シリンダ
56 回転軸
58 ベース板
P1 所定の待機位置
P2 所定の導入準備位置
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100090516
【弁理士】
【氏名又は名称】松倉 秀実

【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明

【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔

【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉


【公開番号】 特開2008−11741(P2008−11741A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184550(P2006−184550)