トップ :: C 化学 冶金 :: C12 生化学;ビ−ル;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学

【発明の名称】 梅を原料とする醸造酢およびその製造法
【発明者】 【氏名】東海林 大介

【氏名】中村 務

【要約】 【課題】梅を用いた、新しい加工食品を提供すると共に、梅酢の再利用を図る。

【解決手段】種酢を用い、梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢を含有するアルコール原料液を酢酸発酵させて得られる醸造酢およびその製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢を含有するアルコール原料液を酢酸発酵に付して得られることを特徴とする醸造酢。
【請求項2】
種酢を用い、梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢を含有するアルコール原料液を酢酸発酵させることを特徴とする醸造酢の製造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、梅を原料とする醸造酢およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅を原料とする加工食品は、梅漬、梅干をはじめ、梅酢、梅酒、梅ジュース、梅肉エキス等、種々知られているが、梅の需要を拡大するために、梅を用いた、さらなる新しい加工食品の開発が望まれている。
一方、従来から各種の果実を原料とする果実酢が知られているものの、梅を原料とする食酢は見当たらない。食酢の醸造は、糖類や澱粉原料をエタノール発酵、ついで酢酸発酵させて製造するものであるが、梅を原料として如何に食酢を醸造すべきかさえも知られていない。
また、梅漬や梅干の製造の際に副生する、いわゆる梅酢は、調味料として使用されているが、調味料として使用される梅酢の量は限られており、多くは未利用のまま廃棄されている。しかし、梅酢には食塩やクエン酸が多量に含まれているため、その廃棄は環境問題を生じる。特許文献1には、梅酢の再利用を図るため、梅酢から梅ワインを製造する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−238541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、梅を用いた、新しい加工食品を提供すると共に、梅酢の再利用を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、梅を使用した新たな加工食品として、梅のエタノール抽出液を原料として使用することにより、食酢が製造でき、脱塩梅酢も原料として使用できることを見出し、かつ、その製造条件を確立することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢を含有するアルコール原料液を酢酸発酵に付して得られることを特徴とする醸造酢、
(2) 種酢を用い、梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢を含有するアルコール原料液を酢酸発酵させることを特徴とする醸造酢の製造法などを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エタノール抽出液とすることにより梅を酢酸発酵の原料として使用でき、また、脱塩した梅酢も原料として使用でき、梅果実や梅酢由来のクエン酸や、梅酢由来のアスパラギンを豊富に含有する醸造酢が得られる。また、梅酢を原料とすることにより、その再利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の醸造酢における梅のエタノール抽出物に使用する梅は、その種類やサイズを特に限定するものではなく、また、生果実でも、他の加工に使用された果実の再利用品でもよい。梅のエタノール抽出物としては、特に限定するものではないが、例えば、梅の果実を、果実1容に対して0.1〜10容の割合の濃度40容量%以上、好ましくは80容量%以上のエタノールで、10〜30℃において、2〜10日間抽出したものが挙げられる。梅のエタノール抽出物として、いわゆる梅酒を使用してもよい。
【0008】
本発明において使用する脱塩梅酢は、通常の梅漬製造で副生するものいずれでもよく、脱塩は、例えば、電極と膜を組み合わせた公知の方法により行ったものでよい。
脱塩梅酢は単独でも、梅のエタノール抽出物と併用してもよい。脱塩梅酢と梅のエタノール抽出物を併用する場合の混合比率は、特に限定するものではないが、例えば、脱塩梅酢5〜10容に対して、梅のエタノール抽出物95〜90容の割合で使用することが好ましい。
【0009】
アルコール原料液は、酢酸発酵の原料となるエタノールを含有する溶液で、上記した梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢を必須成分として含有するものであれば、特に限定するものではなく、通常、梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢と、脱塩梅酢単独の場合や、エタノール濃度をさらに高める場合は、清酒や、梅酒以外の飲用に供することのできるエタノール原料と、水との混合液であって、発酵に適した約5〜10容量%程度のエタノール濃度にすることが好ましく、この際のクエン酸濃度は約0.5〜4重量%程度が好ましい。
梅のエタノール抽出物および/または脱塩梅酢:必要な清酒や他のエタノール原料:水の混合割合は、所望の製品に応じて適宜選択することができるが、例えば、梅のエタノール抽出物(アルコール濃度20容量%の場合):水の混合割合は、エタノール濃度によるが、通常、容量比で1:1程度とすることが好ましい。脱塩梅酢:エタノール(95.5容量%の場合):水の混合割合は、通常、容量比で1:0.5〜5:5〜10程度とすることが好ましい。
【0010】
本発明の酢酸発酵は、アルコール原料液を種酢で発酵させて行う。
種酢の調製は、自体公知の方法で行うことができ、例えば、清酒:食酢:水を6容:3容:1容の割合で混合し、この混合液1容に対して0.1〜1容の酢酸菌の培養液を接種し、30〜40℃で10〜20日好気的に発酵させ、酢酸濃度として4〜6重量%とすることにより種酢が得られる。
【0011】
本発明における酢酸発酵は、特に限定するものではないが、静置法によって行うことができる。例えば、適宜の量の種酢を入れたタンクに、アルコール原料液を注入し、約25〜35℃、好ましくは約30℃において、酢酸とクエン酸の合計濃度が4.5〜10重量%になるまで、通常、10〜20日間好気的に発酵を行う。所望により、発酵の途中でアルコール原料液や水を追加してもよい。
発酵が終了したものは、その一部を次の発酵の種酢として使用すると共に、通常、常温まで品温を下げ、特に限定するものではないが、7〜30日間熟成させる。熟成の前後に常法に従って濾過してもよい。
これにより、梅由来のクエン酸や梅酢由来のアスパラギンを豊富に含有する醸造酢が得られる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
種菌の調製
酢酸菌を液体培地200mL(グルコース2g、ポリペプトン2g、酵母エキス2g、エタノール40mLを水で1Lとした液体培地)に接種し、30℃で14週間培養した。この培養液1容を、市販の清酒(アルコール分15%)6容、市販の醸造食酢3容および水容の混合液に添加して、30℃で14日間、時々攪拌しながら静置発酵させて、酢酸濃度4.58重量%の種菌を調製した。
【0013】
梅のエタノール抽出物の調製
梅(紀州産南高梅種、クエン酸濃度約5重量%)の生果実容に、95.5容量%エタノール400容、水600容を加え、室温で約7日間保持して、エタノール濃度約19容量%、クエン酸濃度2.58重量%の梅のエタノール抽出物を得た。
【0014】
酢酸発酵
上記で得られた梅のエタノール抽出物をアルコール原料液として使用した。
上記の種酢300容を発酵タンクに仕込み、これにアルコール原料液100容、水600容を加え、30℃にて10日間、時々攪拌しながら静置発酵させた後、常法により膜濾過して、クエン酸濃度2.14重量%、酢酸濃度3.60重量%の醸造酢を得た。
【実施例2】
【0015】
脱塩梅酢(クエン酸濃度25.1重量%、アスパラギン含量0.19重量%)100容を、95.5容量%エタノール100容および水800容と混合してアルコール原料液を得た。
実施例1と同様の種酢300容を発酵タンクに仕込み、これにアルコール原料液700容を加え、30℃にて10日間、時々攪拌しながら静置発酵させた後、常法により膜濾過して、クエン酸濃度4.26重量%、酢酸濃度2.11重量%、アスパラギン濃度0.02重量%の醸造酢を得た。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上記載したごとく、本発明によれば、梅を原料とした新たな加工食品として醸造酢が提供でき、梅酢の再利用を図ることもできる。
【出願人】 【識別番号】506179022
【氏名又は名称】株式会社濱田
【識別番号】593143485
【氏名又は名称】株式会社生物環境システム工学研究所
【出願日】 平成19年2月23日(2007.2.23)
【代理人】 【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏

【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行

【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史


【公開番号】 特開2008−206411(P2008−206411A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−43528(P2007−43528)