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【発明の名称】 醸造酢およびその製造方法
【発明者】 【氏名】田村 吉史

【氏名】吉川 修司

【氏名】伊藤 信昭

【氏名】辰田 幸伸

【氏名】笠井 信孝

【氏名】堀内 恭永

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑豆類を主原料とした醸造酢
【請求項2】
雑豆類の餡粒子を酵素分解すると同時に酵母による発酵とを並行させ、得られたアルコール液を酢酸発酵して醸造した醸造酢の製造方法。
【請求項3】
雑豆類がささげ属、いんげん属、えんどう属、小豆、金時、手亡、中長である請求項1又は2の醸造酢又は醸造酢の製造方法
【請求項4】
酵素分解に用いる酵素剤は、プロテアーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼであることを特徴とする請求項2記載の醸造酢の製造方法。










【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、小豆等の雑豆類の餡粒子を酵素分解しながら酵母を添加しアルコール発酵させ、ついで酢酸発酵をすることにより得られる小豆等雑豆類を用いた醸造酢及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
清酒等の穀物を原料とした醸造酒のアルコール発酵は、穀物のでんぷん質を麹等を用いた酵素分解により麦芽糖あるいはぶどう糖に分解し、酵母の発酵を行う。ところが、小豆など雑豆類は大豆と比較して以下のようにでんぷん含有量が多いにもかかわらず、通常の穀物のようにアルコール発酵の原料として利用されていない。
・雑豆類: 炭水化物約60%、タンパク質20%、脂肪分2%
・大 豆: 炭水化物約30%、タンパク質35%、脂肪分20%
【0003】
その理由は小豆等に吸水させて加熱すると餡になるからであり、餡粒子はでんぷんをタンパク質やペクチン、キシランなどが取り囲んだ構造であることから、でんぷん分解酵素による分解が容易には進まないからである。
【0004】
そこで、各種酵素(タンパク質分解酵素・デンプン分解酵素・ペクチン分解酵素・キシラン分解酵素)により餡粒子を分解することにより、発酵に利用できる糖分の生成方法を検討したところ、酵素添加による餡粒子の分解による内部のデンプン分解による糖分の増加が認められた。
【0005】
次いで、この糖分を酵母によるアルコール発酵に供し、さらにアルコール発酵液に酢酸菌による酢酸発酵に供したところ良好に酢酸発酵することを見いだした。
【特許文献1】特開2003−47456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
でんぷん質が多いにもかかわらず、これまで、発酵食品の原料とすることが出来なかった雑豆類を原料に食酢を製造とすることができれば好ましい。
【0007】
そのためには、餡粒子を分解し内部のでんぷんを酵素分解し麦芽糖あるいはぶどう糖に分解する必要がある。
【0008】
各種酵素による分解で餡粒子を分解し内部のでんぷんから麦芽糖あるいはぶどう糖を生成させることが出来る。
【0009】
しかしながら、この方法では、糖分が増加する一方で、原料由来による雑菌汚染が進行する。すなわち、豆類にはバチルス属菌が付着しており、生菌は加熱により死滅するものの、胞子が残りこれが酵素分解時に発芽生育し腐敗を起こすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を達成するために、雑豆類を酵素分解と同時に酵母による発酵を並行させ、次いで酢酸発酵を行う。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、酢酸発酵に充分なアルコールの確保と、同時に雑菌属類の腐敗を防止することができた。また、得られたアルコール発酵液は各種酵素作用により多用な成分を含んでおり、次いで行う酢酸発酵に於いて酢酸菌の生育を促進し、良好に食酢を製造することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図1を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
乾豆の雑豆類、主に小豆を原料に用いる。その他、金時、手亡、中長等を原料にする。
【0014】
これら乾豆を秤量後、淡水にて洗浄する。
【0015】
次に、乾豆の状態で水又は温水から炊き上げ(煮熟)る。この際、乾豆を予め水浸した状態から炊き上げることも可能である。炊き込み時間、水分量については、季節、乾豆の水分量などを鑑みながら調整する。
【0016】
次に、煮熟後の豆及び煮汁をマスコロイダーにて摩砕する。摩砕はマスコロイダー機器によるものの他、ミキサー等あるいはハンマーミルなど、煮豆をできるだけ潰砕できるものであればどのような機器でもよい。
【0017】
次に、上記の生成物に、速やかに酵素を添加し、恒温状態で攪拌し、でんぷん質の加水分解を促す。本実施例では、50℃で、2〜3時間の反応時間とする。
【0018】
加水分解の進んだ生成物の糖度を確認し、酵母活性の至適温度に調整し、酵母を添加・攪拌する。糖度はブリックスで10%以上、至適温度(酵母活性温度)25℃である。この酵母添加を速やかに行うことにより、雑菌の繁殖が防げ、なおかつ、酵素処理と酵母による発酵が同時に行われるため効率のよい処理が可能になる。
【0019】
次は、アルコール発酵の段階であり、恒温室にて、酵素反応、アルコール発酵が並行して進行する。恒温室の温度20℃に設定し、発酵時間約72時間、アルコール発酵を行う。この時アルコール度数は6%以上になる。
【0020】
次に、フィルタープレス機器等を用いて、固形物を分離する。分離は遠心分離機等でも可能である。
【0021】
上澄み液を70℃前後で10〜20分間加熱し、酵素の失活と酵母の殺菌処理を行う。加熱処理後は速やかに冷却する。本工程はあった方がより良いが必ずしも必要ではない。
【0022】
次に、本液に酢酸菌を添加し発酵温度は30℃で酢酸発酵を行う。添加する酢酸菌は種酢として加えることが望ましい。
【0023】
次に、酢酸発酵が終了した後、濾過を行い、熟成、おり下げ及び火入れ殺菌を行う。
【0024】
以上の工程により、雑豆類を原料とする醸造酢が完成する。
【実施例】
【0025】
本実施例では、雑豆類として小豆を使用し、酵素はペクチナーゼ製剤、アミラーゼ製剤、キシラナーゼ製剤の3種類を使用した。
【0026】
また、酵母はアルコール発酵に使用されているものであれば何れでもよく、乳糖発酵性酵母でもよい。本実施例で使用した酵母は清酒用きょうかい701号(日本醸造協会)である。
【0027】
酢酸菌は醸造酢に用いることができるものであれば何れでもよい。本実施例で使用した酢酸菌はIFO14814である。
【0028】
雑豆類として小豆を使用する場合につき説明する。まず、小豆を炊き、熱いままマスコロイダーにて磨砕する。
【0029】
磨砕された小豆を50℃に冷却し3種類の酵素を添加し、2時間、酵素反応を行う。2時間後にはブリックス値が約2上昇する。
【0030】
次いで、25℃まで冷却し酵母の添加を行う。
【0031】
20℃で4日間酵母によるアルコール発酵を行う。アルコール発酵を行うことにより本磨砕物中のアルコール濃度は約7%となる。
【0032】
次いで、プレスにより固液分離を行い、液体部分を回収する。
【0033】
小豆アルコール発酵液は70℃、10分の加熱により添加酵素の失活と酵母の殺菌を行う。
【0034】
次いで、酢酸菌を添加し、30℃で静置発酵を行う。
【0035】
酢酸発酵終了すると約5%の酢酸を含んだ小豆酢が得られる。
【0036】
出来上がった小豆酢は、図2に示すように多くの市販食酢と比較してポリフェノールが豊富で、図3に示すように抗酸化性が強いものになる。
また、図4に示すように、カリウムとマグネシウムが非常に高い食酢となる。
【0037】
手亡、金時を原料として用いた場合は、図2、図3に示したように小豆酢と同等の高いポリフェノールを含有しており、抗酸化性においては、小豆酢には及ばないが市販食酢よりも高い活性を持つ。
【0038】
小豆同様にカリウムとマグネシウムが非常に高い食酢となる。
【0039】
また、小豆とは異なり粘性の高い食酢になる。この粘性の高さは従来の酢にはない大きな特徴である。粘性が高くなると、酢独特の刺激が弱められる。
【0040】
また、酢の物等に使用した場合には、通常の食酢を使用した場合と比べ、食材表面の滑りが良くなり喉の通りがよくなる。喉の通りが悪くなっている嚥下障害者の介護的食材にすることもできる。
【0041】
また、いずれの原料を用いた場合でも、原料の特長を生かした食酢とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る小豆等雑豆類を原料とした醸造酢の製造方法のフロー図
【図2】本発明に係る小豆等雑豆類を原料とした醸造酢と市販食酢のポリフェノール含有量のグラフ
【図3】本発明に係る小豆等雑豆類を原料とした醸造酢と市販食酢のDPPHラジカル消去活性を用いて示した抗酸化性
【図4】本発明に係る小豆を原料とした醸造酢と市販食酢の一般成分
【出願人】 【識別番号】591190955
【氏名又は名称】北海道
【識別番号】501189750
【氏名又は名称】株式会社丸勝
【出願日】 平成18年12月18日(2006.12.18)
【代理人】 【識別番号】100141221
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和明

【識別番号】100091764
【弁理士】
【氏名又は名称】窪谷 剛至

【識別番号】100103366
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 礼至


【公開番号】 特開2008−148615(P2008−148615A)
【公開日】 平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願番号】 特願2006−339289(P2006−339289)