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【発明の名称】 泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料
【発明者】 【氏名】山内 文子

【氏名】石原 才子

【氏名】宮崎 敬之

【要約】 【課題】原料由来の香味が良好であり、また、香気が際立つ一方で、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料を提供する。

【解決手段】アルコール飲料にカーボネーションを施すことにより炭酸ガスを含有させた発泡性アルコール飲料であって、アルコール濃度が3〜10v/v%、ガスボリュームが1.5〜3.5であり、かつオクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有することを特徴とする、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料。アルコール濃度が4〜6v/v%であり、かつガスボリュームが2.0〜2.5である構成、オクテニルコハク酸デンプンの含有量が0.01〜0.5w/v%であり、かつキラヤサポニンの含有量が0.001〜0.01w/v%である構成、等が推奨される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール飲料にカーボネーションを施すことにより炭酸ガスを含有させた発泡性アルコール飲料であって、アルコール濃度が3〜10v/v%、ガスボリュームが1.5〜3.5であり、かつオクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有することを特徴とする、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料。
【請求項2】
アルコール濃度が4〜6v/v%であり、かつガスボリュームが2.0〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項3】
オクテニルコハク酸デンプンの含有量が0.01〜0.5w/v%であり、かつキラヤサポニンの含有量が0.001〜0.01w/v%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項4】
さらに果汁を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項5】
さらにガラナ抽出物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は発泡性アルコール飲料に関し、さらに詳細には、特定範囲のアルコール濃度とガスボリュームを有し、オクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有する、泡立ちと泡持ちが改善された発泡性アルコール飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、酒類や醸造アルコールなどのアルコール原料に果実、果汁、糖類、酸味料、水等を加えたアルコール飲料が普及しており、特に、チューハイ類に代表される種々の低アルコール飲料が開発されている。一般に、現在市場に流通している低アルコール飲料は、各種原料を混合した後、缶、瓶、PETボトルなどの各種容器に充填し、その後、加熱殺菌処理を行うことにより製造されている。
【0003】
チューハイは、アルコール飲料にカーボネーションを施すことにより炭酸ガスを含有させた「発泡性アルコール飲料」の代表例でもある。缶入りチューハイは、一般に、所定量の原料用アルコール、水、果汁、糖類、および食品添加物等を調合した後、カーボネーションを行って炭酸ガスを含有させ、容器に充填、密封後に加熱殺菌処理することにより製造されている。
なお、発泡性アルコール飲料では、「香味」と「香気」が品質を決める重要な要素となる。
【0004】
また発泡性飲料においては、「口当たり」も品質を決める重要な要素となり、具体的には生じる泡の「泡立ち」と「泡持ち」が重要である。しかしながら、チューハイ等の発泡性アルコール飲料においては、グラス等に注いだときの泡立ちが悪く、キメの細かい泡を持続することが困難である。すなわち、発泡性アルコール飲料においては、ビールのような泡立ちと泡持ちを実現することが難しく、良質なビール様の泡の性状と、香味良好な品質とを兼ね備えた発泡性アルコール飲料は未だ開発されていないのが実情である。
【0005】
発泡性アルコール飲料の泡立ちと泡持ちとを改善するための技術として、サポニン成分を起泡剤として添加する方法が知られている(特許文献1)。具体的には、アルコール飲料に、サポニン又はサポニン含有製剤と、オリゴ糖、あるいはオリゴ糖及び多糖類とを共に配合した後、炭酸ガスを含有させた(カーボネーションを施した)発泡性アルコール飲料が開示されている。しかしながら、この発泡性アルコール飲料はサポニン成分由来の苦みが感じられる後味が悪いものであり、また、泡立ちと泡持ちについても十分に改善されたものとはいえない。
【0006】
また、飲用時にキメ細かい泡立ちが得られ、泡持ちがよく、かつ食感や味覚に優れた炭酸ベースの発泡性飲料として、オクテニルコハク酸デンプンを含有させた発泡性飲料が開示されている(特許文献2)。さらに、オクテニルコハク酸デンプンは、飲料本来の風味を損なうことなく、長期間にわたり濁りや沈殿の生成が抑制された、安定性に優れた密封容器詰非発泡性酸性飲料の安定化剤として使用することができることも知られている(特許文献3)。
【0007】
しかしながら、発泡性アルコール飲料の実製造において、オクテニルコハク酸デンプンを混合して調合液とする場合には、ハンドリングと溶解性に若干難がある。そのため、その添加量をできるだけ少量とする必要が生じ、十分な泡立ちと泡持ちを実現するためには問題がある。さらに、原料由来のフレーバーリリース(香気の立ち具合)の観点からも、さらなる改善が必要である。
【特許文献1】特開平5−38275号公報
【特許文献2】特開2004−81171号公報
【特許文献3】特開2006―333730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、原料由来の香味が良好であり、また、香気が際立つ一方で、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、アルコール飲料にカーボネーションを施すことにより炭酸ガスを含有させた発泡性アルコール飲料であって、アルコール濃度が3〜10v/v%、ガスボリュームが1.5〜3.5であり、オクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有することを特徴とする、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料である。
【0010】
本発明の発泡性アルコール飲料は、泡立ちと泡持ちとが改善された性質を有するものであり、特定範囲のアルコール濃度とガスボリュームとを有し、かつオクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有することを特徴とする。本発明の発泡性アルコール飲料はオクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンの両方を含有しており、これらの相乗効果によって泡立ちと泡持ちとが高度に改善されている。その結果、飲用時にキメの細かい泡を持続することができ、ビールのような口当たりを得ることができる。さらに、本発明の発泡性アルコール飲料ではオクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを併用しているので、各々の含有量を少なく抑えることができ、キラヤサポニンの苦味とオクテニルコハク酸デンプンハンドリング並びに溶解性の難点とを同時に解消することができる。本発明によれば、原料由来の香味が良好であり、また、香気が際立つ一方で、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料が提供される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、アルコール濃度が4〜6v/v%であり、かつガスボリュームが2.0〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性アルコール飲料である。
【0012】
かかる構成により、フレーバーリリースのバランスにより優れた発泡性アルコール飲料が提供される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、オクテニルコハク酸デンプンの含有量が0.01〜0.5w/v%であり、かつキラヤサポニンの含有量が0.001〜0.01w/v%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性アルコール飲料である。
【0014】
かかる構成により、原料由来の香味の良好性、フレーバーリリースの度合い、並びに泡立ちと泡持ちのバランスが特に優れた発泡性アルコール飲料が提供される。
【0015】
さらに果汁を含有する構成が推奨される(請求項4)。さらにガラナ抽出物を含有する構成も推奨される(請求項5)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本発明によれば、原料由来の香味が良好であり、また、香気が際立つ一方で、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
本発明は、アルコール飲料にカーボネーションを施すことにより炭酸ガスを含有させた発泡性アルコール飲料であって、アルコール濃度が3〜10v/v%、ガスボリュームが1.5〜3.5であり、かつオクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有することを特徴とする、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料にかかるものである。
ここで「アルコール飲料」とは、アルコール原料に、必要に応じて水、糖類、酸味料、香料等の食品添加物、その他の原料を混合して製造されるものをいう。アルコール原料としては特に限定はなく、例えば、醸造アルコール、スピリッツ類(ラム、ウオッカ、ジン等)、リキュール類、ウイスキー、ブランデー又は焼酎(連続式蒸留しょうちゅう、単式蒸留しょうちゅう等)等が挙げられ、さらには清酒、ワイン、ビール等の醸造酒類でもよい。これらのアルコール原料については、それぞれ単独又は併用して用いることができるが、その香味を生かすようなアルコール原料を選択することが好ましい。
【0018】
上記のとおり、本発明でいう「発泡性アルコール飲料」とは、アルコール飲料にカーボネーションを施すことにより炭酸ガスを含有させたアルコール飲料をいう。発泡性アルコール飲料の例としては、いわゆるチューハイ、フィズ、ワインクーラー等のリキュール類等が挙げられる。
【0019】
本発明の発泡性アルコール飲料は、アルコール濃度が3〜10v/v%、ガスボリュームが1.5〜3.5のものであるが、好ましい実施形態では、アルコール濃度が4〜6v/v%、ガスボリュームが2.0〜2.5である。この好ましい実施形態では、フレーバーリリースのバランスが特によい。
【0020】
本発明の発泡性アルコール飲料は、オクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンとを含有し、泡立ちと泡持ちとが改善されている。
オクテニルコハク酸デンプンとは、デンプンに無水オクテニルコハク酸を作用して得られるものである。エステル化の程度は米国食品医薬品局(FDA)で食品用として規定されているもの、すなわちデンプンに無水オクテニルコハク酸が3質量%を超えない量でエステル化しているものが有効である。オクテニルコハク酸デンプンとしては、熱水可溶タイプ、冷水可溶タイプのいずれを用いてもよいが、加熱して溶解させる作業の煩雑さの観点から、冷水可溶タイプのオクテニルコハク酸デンプンを用いるのが好ましい。冷水可溶タイプの例として、商品名エマルスターA1〔松谷化学工業(株)製〕を挙げることができる。
【0021】
サポニンとは、植物に広く分布する配糖体で、ステロイドやトリテルペノイドを非糖部とする一群の化合物の総称であるが、強心配糖体や植物ステロール配糖体は、通常、サポニンには含めない。サポニンの共通した性質としては、その水溶液が著しい起泡性をもつことである。サポニンは、アグリコン(配糖体の非糖部)の種類により、トリテルペノイドサポニンと、ステロイドサポニンに大別できる。トリテルペノイドサポニンは多くの生薬に見られ、オンジ(遠志)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗)、ゴシツ(牛膝)、サイコ(柴胡)、セネガ、モクツウ(木通)、ニンジン(人参)、タイソウ(大棗)、チクセツニンジン(竹節人参)、キラヤなどに含まれている。ステロイドサポニンはユリ科、ヤマノイモ科など単子葉植物に多く見られ、チモ(知母)、バクモンドウ(麦門冬)などに含まれている。
【0022】
キラヤサポニンとは、南米のチリ・ボリビア・ペルー地域に自生するシャボンの木(Quillaja Saponaria MOLINA)と呼ばれるバラ科の常緑樹の樹皮に含まれる天然の界面活性剤で、「キラヤ抽出物」という名称で、乳化剤、洗浄剤、起泡剤、可溶化剤などとして使用されている。キラヤ抽出物には、タイプ1(サポニン含有量20〜26%)とタイプ2(75〜90%)とがある。本発明の発泡性アルコール飲料に含有させるキラヤ抽出物としては、いずれを用いてもよいが、サポニン成分由来の苦みを少なくする上からは、タイプ2の方がより好ましい。
【0023】
オクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンの含有量としては特に限定はないが、好ましい実施形態では、オクテニルコハク酸デンプンの含有量が0.01〜0.5w/v%であり、かつキラヤサポニン含有量が0.001〜0.01w/v%である。この実施形態によれば、原料由来の香味が特に良好であり、また、香気が特に際立つ一方で、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料となるので、特に好適である。
【0024】
本発明の発泡性アルコール飲料においては、上記した成分以外の成分をさらに含有させてもよい。好ましい実施形態では、さらに果汁を含有する。この好ましい実施形態によれば、果汁に由来する成分のフレーバーリリースがよくなり、原料果汁由来の香味が良好であり、また、香気が際立つ一方で、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性果汁含有アルコール飲料を得ることができる。
【0025】
本実施形態における果汁としては、例えば、原料果実から圧搾した搾汁液を用いることができる。果汁には、濃縮果汁とストレート果汁(未濃縮果汁)がある。濃縮果汁の中では、カットバックとフレーバー還元とを併用した濃縮果汁が、原料果汁としては最も風味の優れたものである。ストレート果汁には、無殺菌果汁、殺菌果汁、殺菌冷凍果汁等がある。本実施形態では未濃縮のストレート果汁、特に加熱処理を行っていないストレート果汁を用いることが好ましいが、原料果実由来の香味が良好に保持されていれば特に限定はない。果汁の含有量としては特に限定はないが、例えば0.1〜50%である。
果汁の由来となる原料果実の種類には特に限定はなく、また、1種又は2種以上でもよい。例えば、柑橘類果実(レモン、グレープフルーツ、ライム、オレンジ、温州ミカン、マンダリン、タンジェリン、タンジェロ、カラマンシー等)、リンゴ、モモ、ウメ、メロン、イチゴ、バナナ、ブドウ、パイナップル、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツ、グアバ、アセロラ、ナシ、アンズ、ライチ、カシス、西洋ナシ、スモモ類等が使用できる。
【0026】
本発明の発泡性アルコール飲料には、ガラナ抽出物をさらに含有させてもよい。すなわち、本発明をガラナ飲料に対して適用することにより、ガラナ風味のフレーバーリリースに優れた発泡性アルコール飲料であって、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料が提供される。なお「ガラナ」はムクロジ科の蔓植物である。ガラナ抽出物の含有量としては特に限定はないが、例えば、0.1〜10%である。
【0027】
その他の成分としては、コーラ・ナッツのエキス、コーラの茶葉抽出物なども挙げられる。これにより、コーラ風味のフレーバーリリースに優れた発泡性アルコール飲料であって、泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料が提供される。なお「コーラ」は熱帯雨林に植生するアオギリ科コーラ属の植物である。これらの成分の含有量としては特に限定はないが、例えば、0.1〜5%である。
【0028】
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
1.起泡剤の種類による泡立ち、泡持ちへの影響(予備検討)
発泡性アルコール飲料における、起泡剤の種類による泡立ちと泡持ちの効果を調べるために、モデル液を用いて泡立ち・泡持ち試験を行った。モデル液は、第1表に示す配合により、アルコール、水に果糖ぶどう糖液糖、レモンフレーバーを加え、得られた調合液を冷却、カーボネーション後、140mL壜に充填、密封後、中心部品温において65℃、10分間の加熱殺菌処理を行うことにより調製した(アルコール濃度:5v/v%、ガスボリューム:2.3)。
【0030】
【表1】


【0031】
起泡剤として、オクテニルコハク酸デンプン、キラヤ抽出物、リゾチーム、ホップエキストラクト、キサンタンガム、大豆食物繊維、ペクチン、CMC、小麦グルテン、米エキス、モルトエキス、塩化マグネシウム、緑茶ポリフェノール、及びアルギン酸プロピレングリコールを選択した。起泡剤の添加量は、0.01〜0.5w/v%の範囲内とした。
【0032】
泡立ち・泡持ち試験は以下の方法により行った。まず、約10℃に冷却した140mL壜試料を板に固定した。この板を120°の角度をもって傾けることで500mL容プラスチック製カップに注ぎ入れ、直後の泡の高さA(cm)と、泡が消失するまでの時間B(秒)を測定した。Aを起泡性(泡立ちに相当)、Bを泡保持性(泡持ちに相当)の指標として採用した。
泡の性状は目視により、官能は試料を注いだカップ口より香味について評価した。これらの項目の評価は、「◎:非常によい」、「○:よい」、「△:あまりよくない」、「×:悪い」という4段階で行った。指標A(cm)については、「◎:2.0以上〜4.5以下」、「○:1.5以上〜2.0未満」、「△:1.0以上〜1.5未満」、「×:1.0未満」とした。なお、ビールにおけるAの値は4.5であった。一方、指標B(秒)については、「◎:60以上」、「○:30以上〜60未満」、「△:5以上〜30未満」、「×:5未満」とした。
【0033】
試験を行った結果、オクテニルコハク酸デンプンとキラヤ抽出物以外の起泡剤では、泡立ちと泡持ちの改善効果は認められなかった。オクテニルコハク酸デンプン並びにキラヤ抽出物の添加量を変えた場合の結果を第2表に示す。なお、以下、キラヤ抽出物の添加濃度は、キラヤサポニン濃度に換算して示している。
【0034】
【表2】


【0035】
第2表に示すように、オクテニルコハク酸デンプンを添加した群では、いずれの濃度においても起泡性がよく、0.1w/v%以上の濃度でその効果が特に顕著に認められた。一方、泡保持性については0.1w/v%以上の濃度でその効果が顕著に認められたが、0.025w/v%以下の濃度ではあまりよくなかった。
キラヤ抽出物を添加した群では、いずれの濃度においても起泡性が非常によかったが、泡保持性については効果が限定的であった。泡の性状についても、泡のところどころに陥没が見られ、いわゆるカニ泡様であった。さらに、キラヤ抽出物を添加した群ではサポニン成分由来の苦みが感じられ後味が悪かった。
以上より、オクテニルコハク酸デンプンやキラヤ抽出物を単独で添加した場合は、泡立ち・泡持ちの改善効果と香味の良好さを両立することが難しかった。
【0036】
2.オクテニルコハク酸デンプンとキラヤ抽出物との相乗効果の検討(予備検討)
第1表に示したモデル液を用い、起泡剤としてオクテニルコハク酸デンプンとキラヤ抽出物を併用して、これらの相乗効果を検討した。オクテニルコハク酸デンプン濃度を0.01〜0.5w/v%、キラヤサポニン濃度を0.001〜0.01w/v%として、種々の濃度範囲の組合せを検討した。なおキラヤサポニン濃度については、上記1の10分の1量とすることによりサポニン成分由来の苦みが低減されることを予め確認し、0.001〜0.01w/v%の範囲を選択した。評価方法は上記1と同様の方法で行った。結果を第3表に示す。
【0037】
【表3】


【0038】
第3表に示すように、オクテニルコハク酸デンプン濃度を0.01〜0.5w/v%、かつキラヤサポニン濃度を0.001〜0.01w/v%とすると、起泡性と泡保持性が改善された。さらに、サポニン成分由来の苦みも感じられず、また、泡の性状もカニ泡様は全く見られなかった。
以上より、オクテニルコハク酸デンプンとキラヤ抽出物とを併用することにより、泡立ち・泡持ちの改善効果と香味の良好さを両立できることが示された。また、キラヤサポニン濃度を工夫することによりオクテニルコハク酸デンプン濃度を低く抑えることができ、オクテニルコハク酸デンプンが有するハンドリングと溶解性の問題も解決された。
【0039】
3.泡立ちと泡持ちとが改善された発泡性アルコール飲料の調製
以下の手順により、果汁含有発泡性アルコール飲料(実施例1,2)とガラナ抽出物含有発泡性アルコール飲料(実施例3)を調製した。
第4表(実施例1)、第5表(実施例2)、および第6表(実施例3)に示す配合により、アルコール、水、果汁又はガラナ抽出物に、オクテニルコハク酸デンプン、キラヤ抽出物、果糖ぶどう糖液糖、香料、酸味料、色素を加え、調合液を調製した。これらの調合液を冷却し、常法によりカーボネーターを用いて炭酸ガスを圧入して吸収させた後(カーボネーション)、140mL壜に充填、密封後、中心部品温において65℃、10分間の加熱殺菌処理を行い、3種の発泡性アルコール飲料を調製した(実施例1、実施例2、実施例3)。比較例として、キラヤ抽出物を添加しないものをそれぞれ調製した(比較例1、比較例2、比較例3)。実施例1と比較例1はアルコール濃度5v/v%、ガスボリューム2.3、実施例2と比較例2はアルコール濃度6v/v%、ガスボリューム2.4、実施例3と比較例3はアルコール濃度5v/v%、ガスボリューム2.0であった。なお、以下、キラヤ抽出物の添加濃度は、キラヤサポニン濃度に換算して示している。
【0040】
【表4】


【0041】
【表5】


【0042】
【表6】


【0043】
得られたそれぞれの果汁含有発泡性アルコール飲料(実施例1,2、比較例1,2)とガラナ抽出物含有発泡性アルコール飲料(実施例3、比較例3)について、起泡性、泡保持性、泡の性状、香気の立ち、官能を測定・評価した。すなわち、約10℃に冷却した140mL壜試料を板に固定した。この板を120°の角度をもって傾けることで500mL容プラスチック製カップに注ぎ入れ、直後の泡の高さA(cm)と、泡が消失するまでの時間B(秒)を測定した。Aを起泡性(泡立ちに相当)、Bを泡保持性(泡持ちに相当)の指標として採用した。
泡の性状は目視により、香気の立ちは壜のキャップ開栓時の壜口より、官能は試料を注いだカップ口より評価した。泡の性状の評価は、「◎:非常にキメ細かい」、「○:キメ細かい」、「△:やや荒い」、「×:荒い」という4段階で行った。香気の立ちの評価は、「◎:非常に高い」、「○:高い」、「△:やや低い」、「×:低い」という4段階で行った。官能の評価は、「◎:非常によい」、「○:よい」、「△:あまりよくない」、「×:悪い」という4段階で行った。結果を第7表に示す。
【0044】
【表7】


【0045】
第7表に示すように、オクテニルコハク酸デンプンとキラヤサポニンを含有する発泡性アルコール飲料(実施例1、実施例2、実施例3)の方が、オクテニルコハク酸デンプンのみを含有する発泡性アルコール飲料(比較例1、比較例2、比較例3)よりも、泡保持性がよく、また香料やアルコールの香気の立ちがよく、風味も良好であった。これらの効果はアルコール濃度6v/v%の方が5v/v%よりも大きいという結果となった。
【出願人】 【識別番号】302026508
【氏名又は名称】宝酒造株式会社
【出願日】 平成19年3月29日(2007.3.29)
【代理人】 【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆

【識別番号】100135839
【弁理士】
【氏名又は名称】大南 匡史


【公開番号】 特開2008−245538(P2008−245538A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−88209(P2007−88209)