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【発明の名称】 野菜リキュール及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鶴見 昌士

【氏名】加藤 大志

【氏名】柴田 勝

【氏名】鬼頭 利光

【要約】 【課題】成分的にも外観的にも優れ、青臭さが少なくて喉越しが良いため飲みやすく、しかもあまり手間をかけずに効率よく工業的に造ることができる野菜リキュールの製造方法を提供する。

【解決手段】本発明は、緑黄色野菜の搾汁液と白ワインとの混合物であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減された野菜リキュールの製造方法である。まず、緑黄色野菜を蒸気で熱処理する前処理工程を行う。次に、熱処理後の緑黄色野菜を常温よりも低い温度で所定期間貯蔵する低温貯蔵工程を行う。次に、低温貯蔵後の緑黄色野菜から搾汁液を採取する搾汁液採取工程を行う。次に、採取された搾汁液と白ワインとを混合する混合工程を行い、野菜リキュールを得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑黄色野菜の搾汁液と白ワインとの混合物であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減された野菜リキュールの製造方法であって、緑黄色野菜を蒸気で熱処理する前処理工程と、熱処理後の緑黄色野菜を常温よりも低い温度で所定期間貯蔵する低温貯蔵工程と、低温貯蔵後の緑黄色野菜から搾汁液を採取する搾汁液採取工程と、採取された搾汁液と白ワインとを混合する混合工程とを含むことを特徴とする野菜リキュールの製造方法。
【請求項2】
アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上であることを特徴とする請求項1に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項3】
前記白ワインは、シャルドネ種白ワインであることを特徴とする請求項1または2に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項4】
前記白ワインは、シャルドネ種白ぶどう濃縮果汁を原料として用い、これをアルコール発酵して得た、アルコール度数が12%以上かつ糖度が5%以上の高糖度白ワインであることを特徴とする請求項1または2に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項5】
前記前処理工程では緑黄色野菜を80℃〜140℃の蒸気で10分〜50分熱処理し、前記低温貯蔵工程では熱処理後の緑黄色野菜を0℃〜10℃で30分間〜3時間貯蔵することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項6】
前記搾汁液採取工程では、低温貯蔵後の緑黄色野菜に希釈水を添加して機械的に細かく潰すことにより搾汁液を作製した後、その搾汁液を濾過して固形物の少なくとも一部を除去した状態の搾汁液とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項7】
前記緑黄色野菜としてニンジンを用いて製造された、橙色系の色調を有するニンジンリキュールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項8】
前記緑黄色野菜として青シソを用いて製造された、黄色系または緑色系の色調を有するシソリキュールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項9】
前記緑黄色野菜としてトマトを用いて製造された、橙色系または赤色系の色調を有するトマトリキュールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の野菜リキュールの製造方法。
【請求項10】
緑黄色野菜の搾汁液とシャルドネ種白ワインとの混合物であり、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減された野菜リキュール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、緑黄色野菜を原料とする低アルコール含有量の野菜リキュール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、野菜類は各種ビタミン類や各種ミネラル類などの生理活性物質を多量に含むことから、抗酸化力の強化、健康増進、アンチエイジング、QOLの向上に優れた効果があることは周知である。同時に野菜類は、食物繊維や葉緑素なども多量に含むことから、デトックス効果(解毒効果)も大きいと言われている。それゆえ、従来から野菜中の機能性成分の積極的摂取が提唱されており、とりわけこの種の成分に富む緑黄色野菜の積極的摂取が望まれている。しかしながら、野菜中の機能性成分を日常の食事を通じて多量に摂取することは、現実的には相当困難である。このため、野菜中の機能性成分を簡便に摂取できる食品形態として、野菜ジュースなどの飲料が注目されている。ところで、単なる野菜ジュース、とりわけ青汁等に代表される緑黄色野菜ジュースは、機能性成分に富むというメリットを有する反面、大部分のものは独特の苦味・えぐ味・青臭さがあるため飲みにくいというデメリットを有している。つまり、緑黄色野菜ジュースは多くの人に好んで飲まれる嗜好性の高い飲料であるとは言いがたく、健康増進のために多少我慢をしてでも飲むべき飲料として位置付けられている。従って、緑黄色野菜ジュースは、飲む人に精神的な開放感・高揚感を与えるという類の飲料ではない。
【0003】
一方、飲む人に精神的な開放感・高揚感を与えることができる嗜好性の高い飲料の例としては、ビール、日本酒、焼酎、ウイスキーなどといったアルコール類が従来よく知られているが、栄養学的に見るとアルコール類は明らかに野菜ジュースに見劣りする。そこで、これら二つの特徴を併せ持つアルコール飲料が出来たとしたら、それを飲むことによって健康増進効果及び開放感・高揚感の両方を同時に得ることが可能になるものと予想される。
【0004】
ここで、従来におけるこの種のアルコール飲料として、アルコール類に野菜由来の成分を含有させたものがいくつか提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。例えば、特許文献1,2には、発酵野菜ジュースをさらにアルコール発酵することによって得られる低アルコール飲料及びその製造方法が開示されている。また、特許文献3には、野菜溶液を低温で数週間保存して自然に酸化させた後、補糖してアルコール発酵させることによって得られる低アルコール飲料及びその製造方法が開示されている。また、特許文献4には、酒粕抽出液に野菜ジュースを添加してなるアルコール分1%未満の低アルコール飲料及びその製造方法が開示されている。また、特許文献5には、生の野菜を20%以上の高濃度アルコール(即ち蒸留酒)に浸漬した後、減圧蒸留することによって得られる高アルコール飲料及びその製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−75787号公報
【特許文献2】特開平11−75788号公報
【特許文献3】特公平3−37911号公報
【特許文献4】特開平5−763226号公報
【特許文献5】特開2002−125653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、野菜由来の成分を含有する従来のアルコール飲料には、下記のような問題点があった。
【0006】
1.緑黄色野菜における独特の苦味・えぐ味・青臭さを軽減する1つの方法としては、単純にアルコール類の含有比率を高くすればよいが、これでは高アルコール飲料となり、摂取量を多くすることが難しくなる。また、この場合には野菜中の機能性成分量も少なくなり、飲用しても健康増進効果を期待することができない。従って、ある程度飲みやすくするためには、アルコール分が数%程度の低アルコール飲料であることが望ましい。
【0007】
2.近年では消費者における健康志向がますます強くなり、緑黄色野菜中の機能性成分の有無、さらにはその含有量に関心を寄せる消費者も少なくない。加えて、製品購入時において消費者に外観的を通じてアピールするためには、緑黄色野菜固有の自然な色彩をできるだけ残したアルコール飲料としておきたい。しかしながら、アルコール発酵を伴う特許文献1、2、3の製造方法や、蒸留を伴う特許文献5の製造方法によると、製造の過程で機能性成分や色彩成分(色素)が分解または分離されてしまう。従って、消費者が購買意欲を抱くような、成分的にも外観的にも優れたアルコール飲料を得ることは、到底困難である。
【0008】
3.野菜中の成分を含有するアルコール飲料は、ある程度手間や時間をかけずに製造可能なものであることが望ましい。ところが、アルコール発酵を伴う特許文献1、2、3の製造方法の場合、発酵に手間や時間がかかりすぎるため、所望とするアルコール飲料を効率よく工業的に造ることができない。特に特許文献3の製造方法では、さらに数週間の低温保存も行う必要があり、多大な手間と時間とが要求され、好ましくない。
【0009】
4.野菜中の成分を含有するアルコール飲料をアルコール発酵や蒸留を伴わずに製造するには、例えば、緑黄色野菜ジュースと醸造酒とを単純に混合すればよいとも考えられる。ところが、通常この場合には粘度が高くてトマトジュースのような「ざらつき感のある液体」、換言すると「喉越しの悪い液体」となる可能性が高く、当然ながら飲み心地の悪いアルコール飲料となってしまう。また、このアルコール飲料は緑黄色野菜固有の色調を有するとはいうものの、外観的に劣ったものとなる。ここで、粘度増大の原因としては緑黄色野菜に含まれる食物繊維の量が多いことが挙げられるが、これを除去しすぎると逆に緑黄色野菜固有の機能性成分や色彩成分が減少してしまう。
【0010】
5.特許文献4の低アルコール飲料は、酒粕抽出液に野菜ジュースを添加してなり、アルコール発酵や蒸留を伴わずに製造できる点で好ましい。ところが、酒粕抽出液をベースとして用いていることから、喉越しや外観の点で劣っている。しかも、当該低アルコール飲料は、アルコール度数が低すぎるため酒税法にいう「酒類」の範疇には属しないものとなる。ゆえに、低アルコール飲料に開放感・高揚感・高級感を求める消費者にとって、十分にアピールできるような製品であるとは言い難い。そのため、この種の低アルコール飲料を実現するうえでは、ベースとして用いる醸造酒の選択が重要課題となる。
【0011】
6.野菜中の成分を含有するアルコール飲料の飲みにくさを解消するための1つの手法としては、ある程度糖度を高めて甘味を付与すればよいとも考えられる。しかしながら、例えば特許文献5のアルコール飲料の場合には、そもそもベースとなる蒸留酒に殆ど糖分やエキス分が含まれていないことから、補糖を行わずに所望の甘味を付与することは困難である。なお、消費者に対するアピール度を考慮すると、できれば補糖を行わず基本的に緑黄色野菜及び醸造酒の組み合わせだけで所望の甘味を付与できることが望ましい。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、成分的にも外観的にも優れ、青臭さが少なくて喉越しが良いため飲みやすく、しかもあまり手間をかけずに効率よく工業的に造ることができる野菜リキュール及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、緑黄色野菜の搾汁液と白ワインとの混合物であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減された野菜リキュールの製造方法であって、緑黄色野菜を蒸気で熱処理する前処理工程と、熱処理後の緑黄色野菜を常温よりも低い温度で所定期間貯蔵する低温貯蔵工程と、低温貯蔵後の緑黄色野菜から搾汁液を採取する搾汁液採取工程と、採取された搾汁液と白ワインとを混合する混合工程とを含むことを特徴とする野菜リキュールの製造方法をその要旨とする。
【0014】
従って、請求項1に記載の発明では、所定の前処理工程後に所定の低温貯蔵工程を行うことにより、粘度増大を抑制しつつ酵素反応を停止させているため、青臭さが軽減されることに加え、ざらつき感が減って喉越しが良くなる。ゆえに、飲みやすい低アルコール飲料とすることができる。また、この製造方法では、アルコール発酵や蒸留を伴わずに、緑黄色野菜の搾汁液と白ワインとの混合で足りるため、あまり手間をかけずに効率よく工業的に低アルコール飲料を造ることができる。しかも、アルコール発酵や蒸留を伴わないことから機能性成分や色調が損なわれにくく、成分的にも外観的にも優れた低アルコール飲料とすることができる。なお、ベースとなるアルコール類として選択された醸造酒は、それ自体殆ど色を有しない白ワインであるため、緑黄色野菜固有の色調を際立たせてそれを前面に出すことができる。また、白ワインをベースとして用いた場合には、酒粕等を用いた場合と比較して、開放感・高揚感・高級感のある低アルコール飲料を実現しやすくなる。
【0015】
この場合、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上であることが好適である(請求項2)。
【0016】
前記白ワインは、シャルドネ種白ワインであることが好適である(請求項3)。
【0017】
前記白ワインは、シャルドネ種白ぶどう濃縮果汁を原料として用い、これをアルコール発酵して得た、アルコール度数が12%以上かつ糖度が5%以上の高糖度白ワインであることが好適である(請求項4)。
【0018】
前記前処理工程では緑黄色野菜を80℃〜140℃の蒸気で10分〜50分熱処理し、前記低温貯蔵工程では熱処理後の緑黄色野菜を0℃〜10℃で30分間〜3時間貯蔵することが好適である(請求項5)。
【0019】
前記搾汁液採取工程では、低温貯蔵後の緑黄色野菜に希釈水を添加して機械的に細かく潰すことにより搾汁液を作製した後、その搾汁液を濾過して固形物の少なくとも一部を除去した状態の搾汁液とすることが好適である(請求項6)。
【0020】
前記野菜リキュールは、前記緑黄色野菜としてニンジンを用いて製造された、橙色系の色調を有するニンジンリキュールであることが好適である(請求項7)。
【0021】
前記野菜リキュールは、前記緑黄色野菜として青シソを用いて製造された、黄色系または緑色系の色調を有するシソリキュールであることが好適である(請求項8)。
【0022】
前記野菜リキュールは、前記緑黄色野菜としてトマトを用いて製造された、橙色系または赤色系の色調を有するトマトリキュールであることが好適である(請求項9)。
【0023】
請求項10に記載の発明は、緑黄色野菜の搾汁液とシャルドネ種白ワインとの混合物であり、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減された野菜リキュールをその要旨とする。
【発明の効果】
【0024】
以上詳述したように、請求項1〜10に記載の発明によると、成分的にも外観的にも優れ、青臭さが少なくて喉越しが良いため飲みやすく、しかもあまり手間をかけずに効率よく工業的に造ることができる野菜リキュール及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明における野菜リキュールは、緑黄色野菜と白ワインとを原料とする低アルコール性飲料であって、より具体的にいうと緑黄色野菜の搾汁液と白ワインとを混合してなる低アルコール飲料(低アルコール混成酒)である。この野菜リキュールにおいては、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で、原料として使用した緑黄色野菜固有の青臭さが軽減されている。
【0027】
白ワインは、従来から広く飲用されている醸造酒の一種であって、本発明の野菜リキュールではアルコールベースとして用いられる。本発明では蒸留酒ではなく醸造酒を用いる必要がある。蒸留酒には殆ど糖分やエキス分が含まれていないため、これをアルコールベースとして用いたとしても所望の甘味を付与できず、飲みやすいアルコール飲料を実現できないからである。また、蒸留酒の分量を多くすると、アルコール度数が高くなりすぎる結果、かえって飲みにくくなり摂取量を多くすることが難しくなるからである。なお、醸造酒であってもビール、紹興酒、清酒、酒粕抽出物、ワイン以外の果実酒などの使用は適当ではなく、この場合には白ワインのときほど飲みやすい低アルコール飲料とすることができない。その点、白ワインは醸造酒のなかでも果実であるブドウを原料とした酒類であるため、ブドウ由来の心地よい甘さ及び芳香を有しており、本発明の野菜リキュールにおけるアルコールベースとしての使用に好適である。よって、白ワインを使用した場合には、他の醸造酒を使用した場合に比べて飲みやすい野菜リキュールを製造することができる。
【0028】
また、ビールや紹興酒などは褐色であるため、緑黄色野菜固有の色調を際立たせてそれを前面に出すのには不向きである。これに対し、白ワインは一般的に無色または淡黄色であるため、緑黄色野菜固有の色調を際立たせてそれを前面に出すことができる。よって、白ワインの使用は野菜リキュールの外観向上に大いに貢献する。なお、ワインであっても赤ワインは、外観向上という観点からするとあまり好適ではないため、本発明の野菜リキュールでは使用しない。
【0029】
ここで白ワインとしては、特に限定されず任意のものが使用可能であり、その具体例としては、リースリング種、ソーヴィニヨン・ブラン種、セミヨン種、シャルドネ種などといった白ブドウを原料とする各種白ワインを挙げることができる。また、このような白ワインとしては、非発泡性ワイン(スティル・ワイン)、発泡性ワイン(スパークリング・ワイン)のいずれも使用可能である。そして、これら白ワインの中でも、特にシャルドネ種白ワインの使用が好適である。その理由は、国内外のワインを多数テストしたところ、シャルドネ種白ワインをアルコールベースとして使用した野菜リキュールが、最も飲みやすく美味しく感じるという結果を得たからである。
【0030】
さらに好ましいシャルドネ種白ワインとしては、シャルドネ種白ぶどう濃縮果汁を原料として用い、これをアルコール発酵して得た、アルコール度数が12%以上かつ糖度が5%以上の高糖度白ワインを挙げることができる。そして、これを用いた場合には、あえて補糖を行わなくても、野菜リキュールに品の良い甘味を確実に付与することができる。
【0031】
本発明において緑黄色野菜とは、ダイコンやハクサイなどの淡色野菜とは異なり、緑色、黄色、赤色などの色の濃い野菜のことを指し、より具体的には可食部100g当たりカロチン含量が600μg以上の野菜及びそれに順ずる野菜を指している。緑黄色野菜の具体例としては、例えば、トマト、ニンジン、ピーマン、赤ピーマン、パセリ、グリーンアスパラガス、ミニトマト、ミニキャロット、ホウレンソウ、コマツナ、赤シソ、青シソ、ブロッコリー、カボチャ、モロヘイヤ、バジル、ケールなどが挙げられる。
【0032】
このような緑黄色野菜に含まれる代表的な機能性成分としてはカロチンがある。カロチンとは「カロチノイド」のことを意味し、赤色や黄色の色素であってニンジン等に多く含まれるβ−カロチンやα−カロチン、赤色の色素であってトマト等に多く含まれるリコピンなどがよく知られている。例えば、β−カロチンは体内でビタミンAに変わって体の調子を整えるために働くことが知られている。また最近では、カロチノイド自身にガンや生活習慣病の予防効果があることも報告されている。リコピンにはガンの活性を抑える抗酸化作用があり、その効果はβ−カロチンを上回るとも報告されている。また、リコピンには、前骨髄性白血細胞の成長や悪玉コレステロールの抑制効果もあると言われている。緑黄色野菜に含まれる別の機能性成分としては、赤紫色の色素であるアントシアニンや、緑色の色素であるクロロフィル(葉緑素)などが挙げられる。
【0033】
このほか、緑黄色野菜には、各種ビタミン類(ビタミンB、C、D、E、K、U等)、各種アミノ酸類(GABA等)、各種ミネラル類(鉄、カリウム、カルシウム等)、食物繊維なども多く含まれている。
【0034】
ここで、本発明の野菜リキュールは、いわゆる低アルコール飲料であることが望ましく、それゆえ一般的に知られている蒸留酒や醸造酒よりもアルコール度数が低く設定されている必要がある。具体的にいうと、アルコール度数は12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、3%〜9%が最も好ましい。即ち、アルコール度数がこの範囲内であると、飲みやすくなるため摂取量を多くすることができるとともに、飲用することによって開放感・高揚感・高級感を得ることが可能になるからである。
【0035】
本発明の野菜リキュールは少なからず甘味を有していることがよく、具体的には糖度が5%以上、特には5%〜10%に設定されていることが好ましい。糖度が少なすぎると、甘味が十分に付与されず、苦味・えぐ味・青臭さをマスキングして飲みやすくすることができなくなる。逆に糖度が多すぎると、甘味が強くなりすぎて味のバランスが悪くなり、かえって飲みにくくなるおそれがある。またこのような高糖度に設定しようとすると、補糖が必要になるという欠点もある。
【0036】
本発明の野菜リキュールは上記のごとく食物繊維を含んでいることがよく、その含有量は0.1%以上であることがよい。食物繊維含有量が0.1%未満であると、所望とする機能性を十分に発揮できないからである。また、消費者の立場からすると、粘性のないサラサラの低アルコール飲料よりも、多少粘性のあるトロ味のついた低アルコール飲料のほうが、健康増進につながるイメージを抱きやすいからである。
【0037】
以上のことから、本発明の好適な実施形態としては、緑黄色野菜の搾汁液とシャルドネ種白ワインとの混合物であり、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上の野菜リキュールを挙げることができる。さらに、本発明の別の好適な実施態様としては、例えば、1)緑黄色野菜としてニンジンを用いて製造された、橙色系の色調を有するニンジンリキュール、2)緑黄色野菜として青シソを用いて製造された、緑色系の色調を有するシソリキュール、3)緑黄色野菜としてブロッコリーを用いて製造された、薄黄色系または薄緑色系の色調を有するブロッコリーリキュールなどを挙げることができる。
【0038】
以下、本発明の野菜リキュールの製造方法について詳細に説明する。この製造方法では、前処理工程、低温貯蔵工程、搾汁液採取工程及び混合工程を順次行うことを特徴としている。
【0039】
まず、緑黄色野菜を準備し、これを蒸気で熱処理する前処理工程を行う。このような熱処理を行う主な理由は、緑黄色野菜中の酵素を失活させて酵素反応を停止させるためである。仮に加熱処理を全く行わないと、自己酵素反応が進行し、緑黄色野菜特有の苦味・えぐ味・青臭さが増すからである。熱処理を行う際の具体的手法としては、煮る、茹でる、焼く、炒める、揚げる、焙煎する、超音波を照射する、電磁波を照射するなどが考えられるが、本発明の製造方法ではこれらの手法はあえて採用しない。例えば、煮る、茹でるといった加熱法では、緑黄色野菜中の成分の大半が溶出してしまい、原材料の利用効率が悪化するからである。また、焼く、炒める、揚げる、焙煎するといった加熱法では、高温によって成分が変質しやすく、また、焦げも生じやすいため、緑黄色野菜元来の味や成分を保持できなくなるからである。超音波や電磁波の照射の場合についても同様の問題がある。これに対し、蒸気を用いて熱処理する本発明によれば、成分の変質・溶出を伴いにくいので緑黄色野菜中の成分を丸ごと有効利用できるとともに、緑黄色野菜中で生ずる自己酵素反応を確実に停止させることができる。また、蒸気加熱を行った場合には、組織が膨潤して軟質化するため、後工程において搾汁液の採取を容易に行うことができる。また、蒸気加熱により緑黄色野菜中の食物繊維の分解が進み、搾汁液としたときの粘度が低くなるものと推測される。
【0040】
前処理工程を行う場合、あらかじめ緑黄色野菜を滅菌水で洗浄して、表面の汚れを落としておくことがよい。洗浄後、緑黄色野菜を蒸し器等の蒸気加熱装置に入れて所定時間、所定温度に加熱する。このとき、緑黄色野菜を適当な大きさに切断しておいてもよい。皮むきは任意であるが、緑黄色野菜中の成分の利用効率を上げるために、皮は残しておくほうがよい。
【0041】
前処理工程における加熱温度及び加熱時間は、使用する緑黄色野菜の種類によって異なり、それぞれにつき適した条件に設定されるが、その目安としては箸が容易に突き刺さる程度になるまで緑黄色野菜を加熱することである。より具体的にいうと、緑黄色野菜を80℃〜140℃の蒸気で10分〜50分熱処理することが好適である。80℃未満または10分未満の熱処理であると、酵素反応を十分に停止できないほか、緑黄色野菜を十分に軟質化できなくなる。140℃超または50分超の熱処理であると、緑黄色野菜中の成分が分解・変質しやすくなり、成分の利用効率が悪化してしまう。
【0042】
本発明の製造方法においては、前処理工程を経た段階にてまだ緑黄色野菜から搾汁液を採取する工程を実施せず、その前に低温貯蔵工程を実施する。即ち、熱処理後の緑黄色野菜は、ピューレ状、ペースト状、粉末状にすることなく、形状をほぼそのまま維持した状態で低温にて貯蔵される。
【0043】
続く低温貯蔵工程では、熱処理後の緑黄色野菜を常温よりも低い温度で所定期間貯蔵することを行う。低温貯蔵工程を行うと、緑黄色野菜に含まれる蛋白質、脂質、糖分等に変質を生じさせることができ、苦味・えぐ味・青臭みを大幅に軽減することができる。また、低温貯蔵を経ると、後工程で緑黄色野菜から搾汁液を採取する際に細分化しやすくなり、得られる搾汁液中の固形分の粒度が小さくなるため、液の粘度増大を効果的に抑制することができる。
【0044】
低温貯蔵工程では、熱処理後の緑黄色野菜を従来周知の冷蔵庫などにおいて0℃〜10℃で30分間〜3時間貯蔵することがよい。即ち、この条件の範囲内であれば、生産性の低下や品質の劣化などを来たすことなく低温貯蔵による効果を十分に得ることができるからである。貯蔵温度が0℃未満の場合、つまり凍結保存の場合には、解凍が必要となるなど生産効率が低下するおそれがあるほか、生産コストが増大するおそれもある。逆に、10℃超の場合には、低温貯蔵による効果が十分に得られないばかりか、腐敗が起こるリスクが高くなって品質が劣化してしまう。貯蔵時間が30分間未満の場合には、低温貯蔵による効果が十分に得られないおそれがある。逆に、貯蔵時間が3時間超の場合には、低温貯蔵による効果が十分に得られる反面、生産性の向上にとってはマイナス要因となる。ただし、低温貯蔵時間が最長の3時間であったとしても、特許文献3に記載の冷却処理期間(数週間)に比べたら相当短い期間であるため、実際には生産性を大幅に低下させる要因にはなりにくいといえる。
【0045】
続く搾汁液採取工程では、低温貯蔵後の緑黄色野菜から搾汁液を採取することを行う。前処理工程及び低温貯蔵工程を経た緑黄色野菜は、十分に軟質化しているため、比較的容易に潰すことができ、効率よく搾汁液を得ることができる。搾汁液を採取する場合、具体的には以下の手法によることが好ましい。まず、低温貯蔵後の緑黄色野菜に希釈水を添加し、従来周知の装置を用いて緑黄色野菜を機械的に細かく潰すことにより、搾汁液を作製する。希釈水を用いた搾汁であると、多くの成分を効率よく抽出でき、ひいては生産性の向上にもつがなるからである。ただし、緑黄色野菜自体が多くの水分を含んでいるような場合には、希釈を省略してもよい。この後、従来周知の濾過装置を用いてその搾汁液を濾過し、固形物の少なくとも一部を除去した状態の搾汁液とする。濾過を行うと、液中の大きな粒子が取り除かれ、ざらつき感がいっそう軽減されるため、飲みやすくなるからである。また、液の粘度が高いと濾過手段が詰まって濾過作業に困難を来たし、作業効率が大幅に低下してしまうが、本発明ではあらかじめ前処理工程及び低温貯蔵工程を実施して液の粘度増大を効果的に抑制しているため、濾過作業を困難なく効率よく行うことができる。
【0046】
ここで、希釈水に用いる水は特に限定されず、水道水、井戸水、天然水、蒸留水を問わず任意に選択することが可能であり、例えば健康に良いとされている機能水(磁気などの作用によって活性化された水や、特殊なセラミック多孔質体を通過させて活性化された水)などを用いることも好ましい。なお、搾汁液を希釈する場合には、搾汁液よりも希釈水の分量を少なくすることが好ましい。
【0047】
続く混合工程では、採取された搾汁液と白ワインとを混合することを行って、所望の野菜リキュールを製造する。この工程では、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上となるような分量で両者を混合することが好ましい。その理由は既に述べたとおりである。また、白ワインとしてシャルドネ種白ワインを用いることの優位性についても、既に述べたとおりである。
【0048】
なお、混合工程においては、採取された緑黄色野菜の搾汁液及び白ワインの2種のみを混合して野菜リキュールを製造することが好ましいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内であれば、必要に応じて糖分、果汁、香料、酸化防止剤、着色料、強化剤、白ワイン以外の酒類等を少量添加することが許容される。
【0049】
混合工程を経て製造された野菜リキュールは、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で、青臭さが軽減されたものとなっている。ゆえに、その優れた色調を消費者に見せるようにするため、透明または半透明な容器に収容された製品形態を採ることが望ましい。容器の形、材質については特に限定されず任意に選択することができるが、例えば透明または半透明なガラス瓶が好適である。
【0050】
以下、本発明の野菜リキュール及びその製造方法を具体化した実施例をいくつか紹介する。
[実施例1]
【0051】
本実施例では、ニンジンジュース(緑黄色野菜の搾汁液)、白ワイン、ニンジンリキュール(緑黄色野菜の搾汁液と白ワインとの混合物である本発明の野菜リキュール)の3種を用意し、それらの成分を比較した。
【0052】
ニンジンジュースの製造手順について説明する。まず、原料である熊本産のニンジンを滅菌水でよく洗浄した後、適当な大きさに切断し、蒸し器に入れて120℃前後で15分程度加熱した(前処理工程)。次に、蒸しあがったニンジンを7℃以下(約5℃)の冷蔵庫に入れて60分間貯蔵した(低温貯蔵工程)。低温貯蔵後、冷蔵庫からニンジンを取り出して、これに少量の希釈水(鶴見酒造株式会社にて汲み上げた地下水)を添加した。このときのニンジンがおよそ40重量%となるように希釈を行った。次に、市販のジューサーミキサーを用いてニンジンを機械的に細かく潰すことにより、粗ニンジンジュースを得た。この粗ニンジンジュースを濾布で漉すことにより、固形物の一部を除去し(搾汁液採取工程)、ある程度精製した状態のニンジンジュースとした。
【0053】
白ワインについては、シャルドネ種白ワインの市販品を購入してそのまま用いた。なお、本実施例で用いたシャルドネ種白ワインは、具体的には、シャルドネ種白ぶどう濃縮果汁(6倍濃縮液)を原料として用い、これをアルコール発酵して得たものであって、アルコール度数が約15%かつ糖度が約8%の高糖度白ワインであった。
【0054】
ニンジンリキュールは、上記ニンジンジュースと上記シャルドネ種白ワインとを常温で混合することにより製造した。ここでは両者の混合比(重量比)を1:1として、アルコール度数が約5%となるようにした。
【0055】
このようにして得た3種のサンプルについて、外部検査機関(財団法人日本食品分析センター)に成分分析試験を依頼した。分析項目は、ビタミンA(レチノール当量)、α−カロチン、β−カロチン、食物繊維、果糖、ブドウ糖、ショ糖、クエン酸、リンゴ酸、ビタミンCとした。これらのうち、食物繊維については酵素−重量法による測定を行い、それ以外の成分については高速液体クロマトグラフ法による測定を行った。その結果を表1に示す。
【表1】


【0056】
表1から明らかなように、ニンジンジュースには、ビタミンA、α−カロチン、β−カロチン、ビタミンC、食物繊維などが多く含まれる反面、甘味成分である果糖、ブドウ糖、ショ糖はそれほど多く含まれていなかった。また、酸味成分であるクエン酸、リンゴ酸といった有機酸は検出されなかった。
【0057】
これに対して、白ワインには、甘味成分である果糖やブドウ糖、酸味成分であるクエン酸やリンゴ酸、ビタミンCが含まれていた。その反面、ショ糖、ビタミンA、α−カロチン、β−カロチン、ビタミンC、食物繊維が殆ど含まれていなかった。
【0058】
そして、両者の混合物であるニンジンリキュールは、概してニンジンジュース及び白ワインの特徴を相乗的に併せ持っていた。例えば、カロチン類についてはニンジンジュースに匹敵する量を含有していた。糖分については両者より若干多くなっていた。クエン酸、リンゴ酸、ビタミンCについても両者より若干多くなっていた。また、白ワインには含まれない植物繊維を100g中0.2gも含んでいた。以上の結果からもわかるように、本発明のニンジンリキュールは、成分的に優れたものとなっていた。
[実施例2]
【0059】
本実施例では、実施例1で作製したニンジンジュース(緑黄色野菜の搾汁液)と、実施例1で用いたシャルドネ種白ワインとの混合比を変えて、ニンジンリキュールのサンプルを数種類製造した。サンプル1は、ニンジンジュースと白ワインとを1:1で混合したものであって、基本的に実施例1のニンジンリキュールと同一のものである。サンプル2〜6では、ニンジンジュースと白ワインとの混合比をそれぞれ1:1.5、1:2、1:3、1.5:1、2:1に設定してニンジンリキュールを製造した。作製した各サンプルについては、アルコール度数(%)、糖度(%)、食物繊維(%)の測定を行った。
【0060】
また、15人のパネラー(男性5名、女性10名)を集めて従来周知の手法により官能試験を行い、外観及び飲みやすさについての評価を行った。外観については、ニンジン固有の橙色系の色調が保持されているかどうかを主なチェックポイントとし、◎(良好)、○(やや良好)、△(やや不良)及び×(不良)の4段階で評価を行うものとした。飲みやすさについては、ニンジン特有の苦味・えぐ味・青臭さの程度、甘さ、香り、喉越しのよさ等をチェックポイントとし、◎(良好)、○(やや良好)、△(やや不良)及び×(不良)の4段階で評価を行うものとした。その結果を表2に示す。
【表2】


【0061】
表2から明らかなように、外観に関してはサンプル1,2,3,5,6が優れており、いずれもニンジン固有の橙色系の色調が十分に保持されていて、見た目もきれいであった。しかし、サンプル4では、ニンジンジュースの比率が他のものより少ないことから、橙色が薄い色調となり、見た目がやや悪くなっていた。飲みやすさに関してはサンプル1,5が特に良好であり、これらに次いでサンプル2,3,4が良好であった。しかし、サンプル6では、ニンジンジュースの比率が他のものより多いことに加え、糖度が低いことから、ニンジン特有の苦味・えぐ味・青臭さが十分にマスキングされておらず、他のものに比べて飲みにくかった。
【0062】
以上の結果を総合すると、ニンジンジュースと白ワインとをほぼ同量ずつ混合することにより(サンプル1,2,5)、成分的にも外観的にも優れ、しかも青臭さが少なくて喉越しが良く、美味しくて飲みやすいニンジンリキュールを製造できることがわかった。
[実施例3]
【0063】
本実施例では、前処理工程及び低温貯蔵工程の条件を変更してニンジンジュース(緑黄色野菜の搾汁液)を作製し、これと実施例1で用いたシャルドネ種白ワインと混合して、ニンジンリキュールのサンプルを複数種類製造した。サンプル7〜14,16A〜16Eでは、いずれも前処理工程後に低温貯蔵工程を行うことを必須とした。なお、サンプル7〜11,16A〜16Dでは本発明における好適範囲内で条件を設定したのに対し、サンプル12,13,16Eではあえて当該好適範囲外となるように条件を設定し、サンプル15では蒸気加熱ではなく煮沸加熱を採用した。また、サンプル16では前処理工程を省略して低温貯蔵工程のみを行った。サンプル17では前処理工程のみを行って低温貯蔵工程を省略した。そして、これらサンプルについて、実施例2と同様の手法で官能試験を行い、外観及び飲みやすさの評価を行った。なお、本実施例では、粗ニンジンジュースを漉して精製ニンジンジュースとするときの容易さ(濾過性)に関しても4段階評価を行った。それらの結果を表3に示す。
【表3】


【0064】
表3から明らかなように、サンプル7〜11,16A〜16Dに関しては、濾過性、外観、飲みやすさの各項目において優れており、それゆえ総合評価も高かった。これに対して、サンプル12,13に関しては、前処理工程及び低温貯蔵工程を行っているにもかかわらず、温度・時間を好適範囲内に設定しなかったことから、サンプル7〜11,16A〜16Dよりも劣る結果となった。また、サンプル14,15,16,16Eに至っては、粗ニンジンジュースが粘ってしまうため、濾過の際に濾布が目詰まりしやすく、作業性が悪かった。また、外観や飲みやすさの項目についても、あきらかにサンプル7〜11,16A〜16Dに劣っていた。
[実施例4]
【0065】
本実施例では、アルコールベースとして用いるワインの種類を変更し、これと実施例1のニンジンジュース(緑黄色野菜の搾汁液)と混合して、ニンジンリキュールのサンプルを数種類製造した。これ以外の事項については実施例1に準じた。サンプル17はシャルドネ種ブドウを用いて醸造された白ワインの市販品を使用したものであって、基本的に実施例1のものと同一である。サンプル18は、国産ブドウ(甲州種)を用いて醸造された国産白ワインの市販品を使用して製造されたニンジンリキュールである。サンプル19は、国産ブドウ(甲州種)を用いて醸造された国産赤ワインの市販品を使用して製造されたニンジンリキュールである。そして、これらサンプルについて、実施例2と同様の手法で官能試験を行い、外観及び飲みやすさの評価を行った。その結果を表4に示す。
【表4】


【0066】
表4から明らかなように、サンプル17に関しては上記のとおり全項目において好結果を示した。また、色を殆ど有しない白ワインを使用したサンプル18では、サンプル17と同じく、ニンジン固有の橙色の色調を際立たせてそれを前面に出すことができ、外観において好結果を得た。なお、この白ワインはニンジン特有の苦味・えぐ味・青臭さをマスキングする効果を有していたが、糖度が若干低いことから、その効果は実施例1のシャルドネ種白ワインほど顕著ではなかった。また、赤ワインを使用したサンプル19は、比較的飲みやすいものであったが、実施例1のシャルドネ種白ワインに比べて糖度が低いため、ニンジン特有の苦味・えぐ味・青臭さをマスキングする効果が若干弱く感じた。また、濃い赤色を有しているため、ニンジン固有の橙色の色調が前面に出ず赤色に隠れてしまい、それゆえ外観に劣るものといわざるを得なかった。
[実施例5]
【0067】
本実施例では、原材料である緑黄色野菜として青シソを用い、これから搾汁液を得た後、白ワインと混合することにより、本発明のシソリキュールを製造した。以下、シソリキュールの製造手順について説明する。
【0068】
まず、原料である青シソを滅菌水でよく洗浄した後、蒸し器に入れて80℃前後で30秒程度加熱した(前処理工程)。次に、蒸しあがった青シソを7℃以下(約5℃)の冷蔵庫に入れて60分間貯蔵した(低温貯蔵工程)。低温貯蔵後、冷蔵庫から青シソを取り出して、これに少量の希釈水(鶴見酒造株式会社にて汲み上げた地下水)を添加した。このときの青シソがおよそ40重量%となるように希釈を行った。次に、市販のジューサーミキサーを用いて青シソを機械的に細かく潰すことにより、粗青シソジュースを得た。この粗青シソジュースを濾布で漉すことにより、固形物の一部を除去し(搾汁液採取工程)、ある程度精製した状態の青シソジュースとした。このようにして得られた青シソジュースと、実施例1で用いたものと同じシャルドネ種白ワインとを常温で混合し、所望とする青シソリキュールを製造した。ここでは両者の混合比(重量比)を1:1として、アルコール度数が約5%となるようにした。
【0069】
このようにして得られた青シソリキュールは、原料として使用した青シソ固有の黄色系または緑色系の色調を有していて、外観的にも優れたものとなった。官能試験を行ったところ、美味しくて飲みやすいという意見が多かった。また、青シソ固有の機能性成分も多く含まれ、成分的にも優れたものとなっていた。
[実施例6]
【0070】
本実施例では、原材料である緑黄色野菜としてブロッコリーを用い、これから搾汁液を得た後、白ワインと混合することにより、本発明のブロッコリーリキュールを製造した。以下、ブロッコリーリキュールの製造手順について説明する。
【0071】
まず、原料であるブロッコリーを滅菌水でよく洗浄した後、適当な大きさに切断した後、蒸し器に入れて100℃前後で15分程度加熱した(前処理工程)。次に、蒸しあがったブロッコリーを7℃以下(約5℃)の冷蔵庫に入れて60分間貯蔵した(低温貯蔵工程)。低温貯蔵後、冷蔵庫からブロッコリーを取り出して、これに少量の希釈水(鶴見酒造株式会社にて汲み上げた地下水)を添加した。このときのブロッコリーがおよそ40重量%となるように希釈を行った。次に、市販のジューサーミキサーを用いてブロッコリーを機械的に細かく潰すことにより、粗ブロッコリージュースを得た。この粗ブロッコリージュースを濾布で漉すことにより、固形物の一部を除去し(搾汁液採取工程)、ある程度精製した状態のブロッコリージュースとした。このようにして得られたブロッコリージュースと、実施例1で用いたものと同じシャルドネ種白ワインとを常温で混合し、所望とするブロッコリーリキュールを製造した。ここでは両者の混合比(重量比)を1:1として、アルコール度数が約5%となるようにした。
【0072】
このようにして得られたブロッコリーリキュールは、原料として使用したブロッコリー固有の黄色系または緑色系の色調を有していて、外観的にも優れたものとなった。官能試験を行ったところ、美味しくて飲みやすいという意見が多かった。また、ブロッコリー固有の機能性成分も多く含まれ、成分的にも優れたものとなっていた。
[実施例7]
【0073】
本実施例では、原材料である緑黄色野菜としてトマトを用い、これから搾汁液を得た後、白ワインと混合することにより、本発明のトマトリキュールを製造した。以下、トマトリキュールの製造手順について説明する。
【0074】
まず、原料である完熟トマト(愛知県産)を滅菌水でよく洗浄した後、蒸し器に入れて140℃前後で10分程度加熱した(前処理工程)。次に、蒸しあがったトマトを7℃以下(約5℃)の冷蔵庫に入れて60分間貯蔵した(低温貯蔵工程)。低温貯蔵後、冷蔵庫からトマトを取り出して、これに希釈水の添加を行うことなく、市販のジューサーミキサーを用いてトマトを機械的に細かく潰すことにより、粗トマトジュースを得た。この粗トマトジュースを濾布で漉すことにより、固形物の一部を除去し(搾汁液採取工程)、ある程度精製した状態のトマトジュースとした。このようにして得られたトマトジュースと、実施例1で用いたものと同じシャルドネ種白ワインとを常温で混合し、所望とするトマトリキュールを製造した。ここでは両者の混合比(重量比)を1:1として、アルコール度数が約5%となるようにした。
【0075】
このようにして得られたトマトリキュールは、原料として使用したトマトリー固有の橙色系または赤色系の色調を有していて、外観的にも優れたものとなった。官能試験を行ったところ、美味しくて飲みやすいという意見が多かった。また、トマト固有の機能性成分も多く含まれ、成分的にも優れたものとなっていた。
【0076】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0077】
(1)アルコール抽出も発酵も行わずに得た緑黄色野菜の搾汁液とシャルドネ種白ワインとの混合物であり、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減されるとともに、補糖を伴うことなく製造された野菜リキュール。
【0078】
(2)シャルドネ種白ぶどう濃縮果汁を原料として用い、これをアルコール発酵して得た、アルコール度数が12%以上かつ糖度が5%以上の高糖度白ワインと、アルコール抽出も発酵も行わずに得た緑黄色野菜の搾汁液との混合物であり、アルコール度数が3%〜9%、糖度が5%〜10%、食物繊維含有量が0.1%以上であり、原料として使用した緑黄色野菜固有の機能性成分及び色調が保持される一方で青臭さが軽減されるとともに、補糖を伴うことなく製造された野菜リキュール。
【出願人】 【識別番号】000215604
【氏名又は名称】鶴見酒造株式会社
【識別番号】507054490
【氏名又は名称】名古屋デリカフーズ株式会社
【出願日】 平成19年12月27日(2007.12.27)
【代理人】 【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦


【公開番号】 特開2008−228725(P2008−228725A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−335647(P2007−335647)