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【発明の名称】 果実らしい味わいと質感を備えたアルコール飲料
【発明者】 【氏名】木村 実果

【要約】 【課題】果実らしいとろみを有し、かつ果実香及び風味を損ねるデキストリン由来の糊臭がないアルコール飲料であって、しかも製造工程(特に、製品の充填工程)において「泡吹き」等の不都合を生じないアルコール飲料を提供することを目的とする。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストリンの含有量が1%W/V以上であり、糖分含量が6%W/V以上である、果実らしい味わいと質感を備えることを特徴とするアルコール飲料。
【請求項2】
デキストリンの含有量が1〜20%W/Vである請求項1に記載のアルコール飲料。
【請求項3】
デキストリンがDE10〜20のものである請求項1又は2に記載のアルコール飲料。
【請求項4】
糖分含量が6〜15%W/Vである請求項1〜3のいずれかの項に記載のアルコール飲料。
【請求項5】
アルコール度数が1〜40%W/Vである請求項1〜4のいずれかの項に記載のアルコール飲料。
【請求項6】
該アルコール飲料が、炭酸ガスを含有する飲料である請求項1〜5のいずれかの項に記載のアルコール飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、果実らしい味わい及びとろりとした質感のあるアルコール飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、果実風味のアルコール飲料が数多く上市されている。特に低アルコール飲料においてはより果実の食感を楽しめるようなとろみのあるものが求められるようになっている。一般に、飲料について果実食感を付与する場合は、果実ピューレや増粘多糖類などを使用するが(特許文献1、特許文献2)、低アルコール飲料においては炭酸ガスを含有するものが多く、飲料の充填時等に「泡吹き」を生じるなど製造上の課題があるため、飲料に粘度を付与する果実ピューレや増粘多糖類の使用が困難であった。その為アルコール飲料の製造においては果実らしいとろみを出す手段として、デキストリンが使用されている。しかしながら、デキストリンを1%W/V(重量/容量)以上配合するとデキストリン特有の糊臭が出て、本来の果実の香及び風味を損ねてしまう。したがって、これまではデキストリンの配合率は1%W/V未満であったが、1%W/V未満という低い配合率では、飲料に好ましいとろみを付与することはできなかった。
【0003】
また、糖分を6%W/V以上とすることは、商品設計上望ましい甘さの程度を逸脱することから、商品設計としてこのような高濃度の糖分を使用することは知られていなかった。
【特許文献1】特開平9−187259号公報
【特許文献2】特開2005−87031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は果実らしいとろみを付与する為に、デキストリンを1%W/V以上含有し、且つ果実香及び風味を損ねるデキストリン由来の糊臭がないアルコール飲料及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、果実らしいとろみを付与するために、デキストリンを1%W/V以上含有し且つ果実香を損ねる糊臭がないアルコール飲料及びその製造方法を鋭意研究した結果、デキストリンを1%W/V以上含有し且つ6%W/V以上の糖分を含むことにより糊臭を押さえ、果実らしい味わいやとろりとした質感が得られることを見出した。また、このようなデキストリンと糖分との含有量のバランスにおいては、商品設計上望ましい甘味の程度を逸脱しない、という驚くべき事実を見出した。すなわち、本発明は、デキストリンの含有量が1%W/V以上であって、かつ糖分を6%W/V以上含有し、果実らしい味わいや質感を備えたことを特徴とするアルコール飲料及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
本発明は次に通りである。
1. デキストリンの含有量が1%W/V以上であり、糖分含量が6%W/V以上である、果実らしい味わいと質感を備えることを特徴とするアルコール飲料。
2. デキストリンの含有量が1〜20%W/Vである上記1に記載のアルコール飲料。
3. デキストリンがDE10〜20のものである上記1又は2に記載のアルコール飲料。
4. 糖分含量が6〜15%W/Vである上記1〜3のいずれかの項に記載のアルコール飲料。
5. アルコール度数が1〜40%W/Vである上記1〜4のいずれかの項に記載のアルコール飲料。
6. 該アルコール飲料が、炭酸ガスを含有する飲料である上記1〜5のいずれかの項に記載のアルコール飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、果実らしいとろみを備え、かつデキストリン由来の糊臭のない、嗜好性の高いアルコール飲料を、製品の充填工程等において泡吹きを生じることのない簡単な方法により、提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、デキストリンを1%W/V以上含有し、且つ6%W/V以上の糖分を含むことにより糊臭を押さえ、果実らしい味わいやとろりとした質感を持つアルコール飲料に係るものである。本発明アルコール飲料はカクテル、チューハイなどの低アルコール飲料、混成酒(リキュール)等として製品化できる。
【0009】
また、本発明のアルコール飲料は、例えば、アルコール成分、糖類、デキストリン、果汁、香料、酸味料等の一般に飲食品として摂取されている原料を使用して製造される。また、アルコール飲料を含む各種飲料の製造に際して、通常使用されるその他の各種添加剤や原料を適宜添加することもできる。
【0010】
本発明のアルコール飲料について、以下に詳細に説明する。
(果汁)
本発明に適用可能な果汁としてはレモン、グレープフルーツ、ライム、みかん、うめ、すもも、あんず、さくらんぼ、カシス、ブルーベリー、くり、くるみ、パパイヤ、キウイフルーツ、マンゴー、ブドウ、リンゴ、オレンジ、ライチ、桃、パイナップル、なし、和柑橘、バナナ、すいか、メロン、いちごなどを挙げることができるが、これらに限定している訳ではなく、適用可能なフルーツは全て使用することができる。
(糖類)
本発明の飲料に使用する糖類としては砂糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、グルコシルシュクロース、イソマルチュロース、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、還元デンプン糖化物などが使用可能である。含有量は単糖及び二糖類の場合は糖類重量で、また、三糖類以上、または高甘味度甘味料の場合は、砂糖を1とした時の相対的な甘味度により糖分と置き換えて使用することも可能である。高甘味度甘味料としては、具体的にはステビア甘味料、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、チクロ、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなどがある。糖分にはデキストリン由来のものと、果汁など糖類以外で糖分を含む原料由来のものも含む。含有量としては6%W/V以上、好ましくは6〜15%W/V、より好ましくは8〜12%W/Vが望ましい。なお、W/Vとは重量/容量のこととする。
(アルコール成分)
本発明の飲料は酒類に糖類及びデキストリンと、果汁及び/又は香料などのアルコール飲料に使用可能な原料とを混合したアルコール飲料であることが望ましい。使用する酒類としては、原料用アルコール、スピリッツ、リキュール、ウイスキー、ブランデー、果実酒、甘味果実酒、清酒、しょうちゅう、発泡酒などを挙げることができるが、これらに限定している訳ではなく、適用可能な酒類は全て使用することができる。
【0011】
本発明の飲料は酒類に糖類、デキストリン、果汁、及び香料などのアルコール飲料に使用可能な原料をを混合したアルコール飲料が望ましい。したがって、酒類に適用可能な原料を予め混合してあるアルコール飲料は全て使用することができる。本発明の方法はアルコール度数40%V/V(容量/容量)以下、特に15%V/V未満、さらに好ましくは9%V/V以下の低アルコール飲料に好適に用いることができる。
(香料)
本発明に適用可能な香料としてはレモン、グレープフルーツ、ライム、みかん、うめ、すもも、あんず、さくらんぼ、カシス、ブルーベリー、くり、くるみ、パパイヤ、キウイフルーツ、マンゴー、ブドウ、リンゴ、オレンジ、ライチ、桃、パイナップル、なし、和柑橘、バナナ、すいか、メロン、いちご香料などを挙げることができるが、これらに限定している訳ではなく、適用可能なフルーツ香料は全て使用することができる。
(酸味料)
本発明に適用可能な酸味料としてはくえん酸、d-酒石酸、dl-酒石酸、フマル酸、dl-リンゴ酸、酢酸、乳酸、りん酸、フマル酸ナトリウム、氷酢酸、グルコン酸などを挙げることができる。酸度は果物の適性により、0.01〜0.8%W/V、より好適には0.05〜0.5% W/Vで調整を行うことができる。
(デキストリン)
本発明の飲料のデキストリン含有量は1%W/V以上、好ましくは1〜20 %W/V、より好ましくは1〜5%W/Vである。澱粉の分解物として得られるデキストリン全般に使用可能であるが、好ましくはDE10〜20のものが望ましい。DEとは総量に対する還元糖の割合に100を乗じたものである。
(その他)
本発明の飲料は炭酸ガスを付与することも可能である。炭酸ガスの配合量は0.1 Kg/cm2以上、好ましくは0.3〜4.0 Kg/cm2、より好ましくは0.5〜3.0 Kg/cm2の範囲であり、所望の果物風味により、適宜調整を行うことができる。
【実施例】
【0012】
以下、製造例及び実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
製造例
ニュートラルスピリッツ、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、サンデック#150(三和澱粉社製、DE15〜18)を用いて、表1のようなアルコール糖酸デキストリン溶液を作成した。アルコールは5%V/Vとし、糖分の調整には果糖ぶどう糖液糖を使用した。
【0013】
【表1】


【0014】
実施例1:糊臭評価官能試験
前述の要領で調製したアルコール糖酸デキストリン溶液について、専門パネルによる官能評価を行った。評価項目は「糊臭」で、それぞれ「全く感じない」0、「わずかに感じる」1、「感じる」2、「強く感じる」3、として評価を行った。
【0015】
結果を(糊臭)を表2に示す。
【0016】
【表2】


【0017】
本試験により、デキストリン(1)〜(3)のどの水準についても糖分6%以上で糊臭を「感じる」2、レベルを下回ることが示された。
製造例
下記の表3に示すように、ニュートラルスピリッツ、果糖ぶどう糖液糖、無水クエン酸、サンデック#150(三和澱粉社製、DE15〜18)、香料、炭酸を用いて低アルコール飲料を作成した。デキストリンと糖分の濃度は表4の通りとして、配合の異なる低アルコール飲料を調製した。アルコールは5%V/Vとし、糖分の調整には果糖ぶどう糖液糖を使用した。なお、調整した低アルコール飲料の炭酸ガス圧は1.8 Kg/cm2であった。
【0018】
【表3】


【0019】
【表4】


【0020】
実施例2:とろみ評価官能試験
前述の要領で調製したアルコール糖酸デキストリン溶液について、専門パネルによる官能評価を行った。評価項目は「とろみ」で、それぞれ「全く感じない」0、「わずかに感じる」1、「感じる」2、「強く感じる」3、として評価を行った。
【0021】
結果(とろみ)は表5にしめす。
【0022】
【表5】


【0023】
以上の結果より、デキストリンを1%W/V以上配合することで好ましいとろみが得られた。また、デキストリンの配合量を上げる程とろみの官能評価点が高いことが示された。
実施例3:とろみ評価官能試験
実施例2の方法で調整したカクテルに桃果汁5%を配合し、同様の方法でとろみの評価を行ったところデキストリン配合量が多い程好適な結果が得られた。
【出願人】 【識別番号】000001904
【氏名又は名称】サントリー株式会社
【出願日】 平成19年3月23日(2007.3.23)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100075236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 忠彦


【公開番号】 特開2008−228699(P2008−228699A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−76769(P2007−76769)