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【発明の名称】 蒸着装置
【発明者】 【氏名】土居 二朗

【要約】 【課題】蒸留酒を精製する工程では、蒸留装置によりアルコール蒸気に色、香り、旨味を蒸着できないことを蒸着装置により可能とする。

【解決手段】蒸着カプセル110内部へ装填するホールカップ109本体を備え、該本体底部にはピンホールシャフト108を備え、このピンホールシャフトの上部にはホール盤106を備え、ホールカップの上部にホール盤を固定するネジ102を有し、ホール盤とネジとの間に入れたコイルスプリング104の上下に円形のワッシャー103,105を入れて、前記コイルスプリングの弾発力でホール盤106を押さえてホール盤の圧力を自動調節している。ホールカップの中に充填した原料107の上蓋であるホール盤106、そのホールカップ109の底部と周囲部、ピンホールシャフト108のそれぞれには無数の小孔が設けられ、着色、香り、旨味の素となる原料の中をアルコール蒸気が通過し易くした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着カプセル内部に装填するホールカップ本体を備え、該本体底部にはピンホールシャフトを備え、このピンホールシャフトの上部にはホール盤を備え、ホールカップの上部にホール盤を固定するネジを有し、ホール盤とネジとの間に入れたコイルスプリングの上下に円形のワッシャー102,105を入れて、前記コイルスプリングの弾発力でホール盤を押さえて、ホールカップに充填した原料を押さえるホール盤の圧力を自動調節していることを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
ホールカップの中に充填した原料の上蓋であるホール盤には、無数の小さな穴を開けた円板であって、そのホールカップには、底部と周囲部に無数の小さな孔を形成して、ホールカップの底部にピンホールシャフト108を設けて、このピンホールシャフトには無数の小孔が設けられ、ホールカップに充填されている着色香りの素となる原料107をアルコール蒸気が通過し易くしたことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホールカップ本体は、液化装置8に連結される円筒形の蒸着カプセルの中に装填し、底部を備えた円筒形筒体であって、その円筒形筒体の中に原料107を充填して円筒形の蒸着カプセルの中に搬入することが容易にできるようにしたことを特徴とする蒸着装置。
【請求項4】
ロウを過熱して発生させたアルコール蒸気が蒸留釜1から連結パイプ4を通り、ピンホールシャフトの小孔を通過して、ホールカップに充填した原料内を流れて、ホールカップ内を対流しながら、アルコール蒸気が接触した原料の色、香り、旨味を蒸留酒に蒸着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留酒に着色、香り付け、旨味を付ける蒸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒸留酒の原料を蒸留装置に入れて、蒸留してアルコール蒸気を作り、アルコール蒸気を冷却して蒸留酒を精製する。精製された蒸留酒は、その蒸留酒の精製工程で蒸留酒の原料の色、香り、旨味は蒸留によって失われるので全くわからない。
このために蒸留酒は、無色、透明になるものが一般的である。例えば、原料麦を蒸留して精製された麦焼酎、原料芋を蒸留して精製された芋焼酎、原料栗を蒸留して精製された栗焼酎は、蒸留の過程でそれぞれの原料の色、香り、旨味が精製されるので無色透明の焼酎になる。
蒸留酒には、ウイスキー、ブランデー、ジン、ウヲッカ、ラムといった種類があるが、日本国内で醸造されている蒸留酒として、焼酎が知られている。焼酎は、原料とされる素材により、米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、栗焼酎、泡盛などが知られているが、製品はいずれも無色透明なものである。このために、原料である麦、米、栗等穀類、芋類、粟といったナッツ類の焼酎の素材の色、香り、旨味などの味わいを得ることができない。
国内で製造される焼酎と、前記蒸留酒との違いは、ウイスキーは発芽させた穀類から、ブランデーは果実から、ラム酒は糖蜜や砂糖等の糖質からそれぞれ得られる。蒸留酒は、大きくその三種類に分類されている。
芋、麦、米、黒糖、栗、粟その他を原料として蒸留された直後の焼酎は、味が荒く、煙臭がしたり、穀物に含まれた油成分(フーゼル油)により白く濁っている。焼酎を貯蔵タンクに貯蔵して数日間、若しくは数ヶ月熟成をさせることにより煙臭が消え、油成分がタンクの表面に浮遊する。その油成分を除去してタンク内で熟成し、味が慣れてきた頃合を測って割り水し瓶詰めされて製品となる。特に、沖縄の泡盛では3年以上貯蔵熟成させたものを「古酒」と呼ばれて評価が高いものになる。又本格焼酎は、3年以上貯蔵熟成させた焼酎を50%以上ブレンドしている。蒸留酒は、色や、香り、旨味を人工的に付けない限り、元々無色透明なものが特徴である。然し、商品に特徴を持たせる目的で長期に渡って熟成を促しながら人工的に着色し、個性を持たせる場合もある。焼酎は、その蒸留方法により、発酵したアルコールを含んだ液体を加熱して、沸騰させて発生するアルコールや揮発成分を含んだ蒸気を冷却して液化したものである。この製法を単式蒸留法といい、蒸留装置を用いる。蒸留酒の製造方法を大きく分類すると常圧蒸留法と減圧蒸留法の三種類の製法がる。
【0003】
本発明は、蒸留酒の製造工程で精製される蒸留酒にはそれぞれの原料の色、香り、旨味を味わうことができないという欠点があったのでその課題を解決しようとするものである。
【0004】
本発明装置は、前記の課題を解決するために蒸留装置により精製された無色透明な蒸留酒に、蒸留酒の原料により特有の色、香り、旨味を付けるために提案されている蒸着装置である。芋類、穀類、ナッツ類等の原料の色付けや香り付けをした焼酎製品は開発されていない。本発明装置により、原料の色、香り、旨味を味わうことができる蒸留酒を開発することを目的としている。
【0005】
特許文献1〜5は、蒸留酒に味、香り、旨味を付けるために提案されている。特許文献1は、発明の名称「イ草を用いたアルコール飲料の処理方法」に関するものである。特許文献2は「紫芋を用いた栗焼酎様のリキュールの製造方法」に関するものである。特許文献3は「麦焼酎の製造法」に関するものである。特許文献4は「コーヒーアルコール飲料の製造方法」に関するものである。特許文献5は「河豚ヒレ酒用原酒の製造方法」に関するものである。これらの文献を含む公開された特許文献に蒸着装置に相当すると思われるものはなかった。
【特許文献1】特開2003−009842号公報
【特許文献2】特開2002−281954号公報
【特許文献3】特開2001−103959号公報
【特許文献4】特開平11−318429号公報
【特許文献5】特開平11−046749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、発酵によってつくった酒を更に蒸留する工程では、蒸留釜と液化装置(ボイラーと冷却器)を主要な構成とする蒸留装置により精製されるため、アルコール蒸気に色、香り、旨味を蒸着できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、蒸留酒に色、香り、旨味を蒸着可能とするため、蒸留酒の原料に酵母菌を混ぜて発酵させた諸味(以下、ロウという。)から出るアルコール蒸気を着色、香り付け、旨味を付ける原料に通して蒸留酒に色、香り付け、旨味を付けることを最も主要な特徴とする蒸着装置に関する。
前記蒸着装置は、蒸着カプセル内部に装填するホールカップ本体を備え、該本体底部にはピンホールシャフトを備え、このピンホールシャフトの上部にはホール盤を備え、ホールカップの上部にホール盤を固定するネジを有し、ホール盤とネジとの間に入れたコイルスプリングの上下に円形のワッシャーを入れて、前記コイルスプリングの弾発力でホール盤を押さえて、ホールカップに充填した原料を押さえることによりホール盤の圧力を自動調節している。
ホールカップの中に充填した原料の上蓋であるホール盤には、無数の小さな穴を開けた円板であって、そのホールカップには、底部と周囲部に無数の小さな孔を形成して、ホールカップの底部にピンホールシャフトを設けて、このピンホールシャフトには無数の小孔が設けられ、ホールカップに充填されている着色香りの素となる原料の中をアルコール蒸気が通過し易くしたので、アルコール蒸気がそこを通過するまでは無色香りのないものであったものが効率的に原料に接触して、色、香り、旨味が蒸着することになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蒸着装置は、ロウを蒸留装置にいれて加熱し蒸発したアルコール蒸気を冷却して液化した蒸留酒を精製する工程で発生するアルコール蒸気を原料に通過させて、蒸気を冷却精製することで、色、香り、旨味のある蒸留酒を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本来の製品は無色透明なものである蒸留酒に蒸留酒の原料が持っている特有の色、香り、旨味を付けるようにするという目的を実現した。
【実施例1】
【0010】
実施例において、 図1は、蒸着装置の実施方法を示した説明図、図2は、蒸着装置の各部品の組立図、図3は、蒸着装置の斜視図、図4は、蒸着装置の蒸着カプセル内をアルコール蒸気が流れる状態を示す斜視図、図5は、蒸着カプセル中に装填したホールカップ内をアルコール蒸気が流れる状態を示す斜視図である。

【0011】
蒸着装置の実施方法を示した説明図(図1)により説明すれば、原料からアルコール飲料を蒸留しようとする原料を酵母菌を混ぜて発酵させたロウを蒸留装置の蒸留釜1の中に入れて、ロウを加熱し、アルコール蒸気3を発生させる。アルコール蒸気は、供給機5により蒸留釜1と蒸着カプセル6に連結した連結パイプ4を通過して、蒸着カプセル6の上部に送られる。蒸着カプセル6のも一方には高温のアルコール蒸気を冷却してアルコールを液化する液化装置8を介して、貯蔵タンク10を設ける。前記液化装置8にはアルコール蒸気を通過させてアルコールの液化を円滑に行うための吸引装置9を設けてある。貯蔵タンク10の中にはアルコール蒸気の液化装置8より滴下するアルコールが貯蔵される。
【0012】
更に貯蔵タンク10に貯蔵された蒸留酒の中に、蒸留酒の色、香り、旨味をつけるために原料を浸漬するようにしても良い。
【0013】
図2は蒸着装置の各部品の組立構造を斜視図によって示すものであり、図2に基づいて、蒸着装置の部品の組立構造を説明する。蒸着装置の上蓋101は、蒸着カプセル110本体の蓋として結合させる。この上蓋は、図1に示す蒸留釜1から送り込まれるアルコール蒸気を蒸着カプセル110の中に閉じ込めて流出を防ぐ密封蓋である。
【0014】
ナット102は、蒸着カプセル110内部へ充填するホールカップ109本体と上部ホール盤106を固定するネジである。円形のワッシャー102,105はコイルスプリング104の上下に入れて、ホール盤106とホール盤を固定する前記ネジとの間に入れた前記コイルスプリング104の弾発力でホール盤106の圧力を自動調節しているものである。コイルスプリングは、自動調整スプリングである。コイルスプリングによりホール盤106を押さえて、ホールカップ109に詰められた蒸留酒に色、香り、旨味を蒸着する。原料107にアルコール蒸気が吸収されて膨張させて、アルコール蒸気が原料を円滑に通過させる。
【0015】
ホール盤106は、無数の小さな穴を開けた円板であって、原料107の上蓋である。原料は、(着色、香り、旨味の素に為る。)ホールカップ109の中に充填される。ホールカップ109には、底部と周囲部に無数の小さな孔を形成してある。ホールカップ109の底部7にピンホールシャフト108を設けてある。このピンホールシャフト108には無数の小孔が設けられ、ホールカップ109に着色香りの素となる原料107を充填し、原料1お7の上蓋としてホール盤105を乗せてあり、ワッシャー105、コイルスプリング104、ワッシャー103をそれぞれ介してナット102を締めて、原料107がホールカップ109の中に充填されている。
【0016】
前記ホールカップ109は、円筒形であって、底部7の中心にピンホールシャフト108を設けたものである。そのホールカップ109は、底部と周囲部に無数の小孔を形成して、ホールカップ109に原料107を充填して蒸着カプセル110の中に搬入すると共に蒸留釜1で蒸発したアルコール蒸気3が連結パイプ4を通り、ホールカップ109の中に充填された原料を通過させて効率的に蒸着する役割を有する。
【0017】
蒸留釜1内に充填されたロウを過熱して発生させたアルコール蒸気が連結パイプ4を通り、ホールカップ109の原料107内を通過して、ピンホールシャフト108の小孔を通過して、蒸着装置内を対流しながら、原料に接触し、原料の香り、色素、旨味が蒸着してゆく効果がある。更に液化装置でアルコール蒸気が気体から液体アルコールへ液化されて貯蔵タンクに貯蔵される。
【0018】
焼酎は、米や麦、芋、栗などの原料を麹と水と酵母を加えて発酵させたいわゆる濁り酒を蒸留釜に入れて、ロウを加熱することにより発生したアルコール蒸気を液化して作られている。そのアルコール蒸気を連結パイプに通して、本発明の蒸着装置に導入する。ホールカップ内には、着色、香り、旨味の原料を充填してあり、充填した原料にアルコール蒸気を吹きつけ、水分を原料(素材)に吸収させて、ふやかした素材にアルコール蒸気を接触通過させることにより、素材の成分である色素、香り、旨味をアルコールに蒸着させることができる。アルコール蒸気は、除熱管を通過して液化装置で液化されて貯蔵タンクへ収納して、熟成される。
【0019】
蒸着原料の製法について、説明する。蒸留酒の原料となる素材を焙煎、乾燥したものや、原料となる素材から抽出したエキス等を他の素材へ蒸着した原料などから、香り、色素、旨味などをアルコール飲料や液体飲料などへ蒸着することができる。
原料例1
焙煎による原料製法としては、果肉付き栗渋皮は栗カテキン等による極度の渋味を含むため、そのまま使用すると食感を損ね、飲料、酒類などの原料としては不向きであったが、栗の鬼皮と果肉付渋皮を粉砕加工したものを焙煎して原料とする。
原料例2
蒸留酒の原料の何れかの素材から抽出したエキスを素材等に吸着させて乾燥させて原料とする。
原料例3
一度、蒸留させたロウ及びロウの絞り粕を冷風乾燥させて原料とする。
原料例4
一度、蒸留させたロウ及びロウの絞り粕に未使用の素材をブレンドし乾燥したものを原料とする。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明装置は、焼酎の着色、香り付けのために開発されたものであるが、ウイスキー、ブランデー、ジン、ウオッカ、ラム等といった蒸留酒の着色、香り付けにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】蒸着装置の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図2】蒸着装置の各部品の組立図である。(実施例1)
【図3】蒸着装置の斜視図である。(実施例1)
【図4】蒸着装置の蒸着カプセル内をアルコール蒸気が流れる状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図5】蒸着カプセル中に装填したホールカップ内をアルコール蒸気が流れる状態を示す斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0022】
1 蒸留釜(ボイラー)
2 ロウ(諸味)
3 アルコール蒸気
4 アルコール蒸気を蒸着装置へ送る連結パイプ
5 搬送ポンプ
6 蒸着装置
7 ホールカップの底部
8 アルコール蒸気を液体アルコールへ液化する液化装置(冷却器)
9 吸引装置
10 液化アルコールのj貯蔵タンク
11 貯蔵タンク内に浸漬された原料(色、香り、旨味を付ける蒸着原料)
101 蒸着カプセルの上蓋
102 ナット
103 ワッシャー
104 コイルスプリング
105 ワッシャー
106 ホール盤(原料の上蓋)
107 色、香り、旨味付けの素となる原料
108 ピンホールシャフト
109 ホールカップ(底部と周囲壁に無数の小孔を穿ったカップ)
110 蒸着カプセル


【出願人】 【識別番号】395023440
【氏名又は名称】土居 二朗
【識別番号】500549294
【氏名又は名称】土居 里美
【出願日】 平成19年3月5日(2007.3.5)
【代理人】 【識別番号】100071892
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆一


【公開番号】 特開2008−212071(P2008−212071A)
【公開日】 平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願番号】 特願2007−54940(P2007−54940)