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【発明の名称】 麦芽発酵飲料
【発明者】 【氏名】角戸 洋一

【氏名】吉田 学

【氏名】木村 孝志

【氏名】川崎 恭嗣

【要約】 【課題】麦芽発酵飲料において、原料中の麦芽の使用比率を高率とすることにより飲み応えを確保しつつ、かつ、喉越しの爽快感、すなわち、キリッとした味わいを有する麦芽発酵飲料を提供すること。

【解決手段】A成分として、麦を原料の一部に使用して発酵させて得たアルコール分が0.5〜7%であるアルコール含有物;および、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A成分として、麦を原料の一部に使用して発酵させて得たアルコール分が0.5〜7%であるアルコール含有物;および、
B成分として、少なくとも麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得たアルコール含有の蒸留液;
からなり、A成分とB成分とを混合してなる麦芽発酵飲料であって、A成分のアルコール含有物由来のアルコール分:B成分のアルコール含有の蒸留液由来のアルコール分の率が、97.5:2.5〜90:10であることを特徴とする麦芽発酵飲料。
【請求項2】
A成分のアルコール含有物の原料として、少なくとも麦芽を用いることを特徴とする請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項3】
A成分のアルコール含有物の原料として、少なくとも、麦芽、ホップ、水を含むことを特徴とする請求項1に記載の芽発酵飲料。
【請求項4】
A成分のアルコール含有物の原料として、更に米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、糖類、麦芽以外の麦、苦味料、または着色料からなるものを用いることを特徴とする請求項3に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項5】
A成分のアルコール含有物が、ビールまたは発泡酒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の麦芽発酵飲料。
【請求項6】
B成分のアルコール含有の蒸留液が、焼酎、ウイスキー、ウオッカ、スピリッツまたは原料用アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項7】
B成分のアルコール含有の蒸留液における原料としての麦が、大麦または小麦である請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項8】
B成分のアルコール含有の蒸留液が、麦焼酎であることを特徴とする請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項9】
B成分のアルコール含有の蒸留液におけるアルコール分が、麦スピリッツであることを特徴とする請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項10】
B成分のアルコール含有の蒸留液におけるアルコール分が、25〜45%であることを特徴とする請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【請求項11】
麦芽発酵飲料のアルコール分が、1〜15%である請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な香味を有する麦芽発酵飲料およびその製造方法に関する。詳しくはアルコール含有の蒸留物を添加することにより、麦芽由来の飲みごたえに加え、爽快な喉越し感と、すっきりとした後味、すなわち「キレ」を増強させた麦芽発酵飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、酒類において新しい香味を創造する試みがしばしば行われてきている。例えば、ビールや発泡酒においては、最近の消費者の多様化した好みに応じて、様々な香味のものが検討され、提供されてきている。そのなかでも、ビールや発泡酒におけるキリッとした味わいの喉越し、いわゆる「キレ」の付与は一つの課題でもある。
【0003】
ところで、キレのある麦芽発酵飲料を製造するためには、原料の麦芽の使用比率を低減することで、ある程度解決されている。しかしながら、当該方法では、麦芽の使用比率が高い麦芽発酵飲料に比較して、飲み応えや喉越しの爽快感が失われる傾向にある。そのため、二単糖であるトレハロースを添加することにより、すっきりとした後味、すなわち「キレ」を有するよう工夫した発酵麦芽アルコール飲料が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、香味を改善する試みとして、複数の酒類の成分を組み合わせたアルコール飲料も提案されており、例えば、清酒に味りんを適量混入することによる、冷酒としての飲みやすさを改善した酒類の製造方法も提案されている(特許文献2)。さらに、コクのあるまろやかな味を有するビールとするべく、発酵後、使用済みのウイスキー樽またはワイン樽の中で熟成させることからなる発酵大麦モルトビール飲料の味覚改善方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、ビールや発泡酒の香味について、飲み応えを失わせることがなく、かつ、キリッとした味わいがある麦芽発酵飲料とするには、これらの手段では十分なものといえない。また、このような特異的な香味を有する麦芽発酵飲料とする技術についての検討は、必ずしも充分なものとはいえなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−299322号公報
【特許文献2】特開平8−322545号公報
【特許文献3】特開平8−236467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、上記した現状に鑑み、麦芽発酵飲料において、原料中の麦芽の使用比率を高率とすることにより飲み応えを確保しつつ、かつ、喉越しの爽快感、すなわち、キリッとした味わいを有する麦芽発酵飲料を提供することを課題とする。
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明者らは種々検討した結果、原料中の麦芽の使用比率が高い麦芽発酵飲料において、アルコール含有物を蒸留して得た蒸留液、とくに、麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得た蒸留液を添加することにより、麦芽発酵飲料の飲み応えを損ねることなく、喉越しのキレが付与できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、以下の態様からなるものである。
1.A成分として、麦を原料の一部に使用して発酵させて得たアルコール分が0.5〜7%であるアルコール含有物;および、
B成分として、少なくとも麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得たアルコール含有の蒸留液;
からなり、A成分とB成分とを混合してなる麦芽発酵飲料であって、A成分のアルコール含有物由来のアルコール分:B成分のアルコール含有の蒸留液由来のアルコール分の率が、97.5:2.5〜90:10であることを特徴とする麦芽発酵飲料;
2.A成分のアルコール含有物の原料として、少なくとも麦芽を用いることを特徴とする前記1に記載の麦芽発酵飲料;
3.A成分のアルコール含有物の原料として、少なくとも、麦芽、ホップ、水を含むことを特徴とする前記1に記載の芽発酵飲料;
4.A成分のアルコール含有物の原料として、更に米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、糖類、麦芽以外の麦、苦味料、または着色料からなるものを用いることを特徴とする前記3に記載の麦芽発酵飲料;
5.A成分のアルコール含有物が、ビールまたは発泡酒であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の麦芽発酵飲料;
6.B成分のアルコール含有の蒸留液が、焼酎、ウイスキー、ウオッカ、スピリッツまたは原料用アルコールであることを特徴とする前記1に記載の麦芽発酵飲料;
7.B成分のアルコール含有の蒸留液における原料としての麦が、大麦または小麦である前記1に記載の麦芽発酵飲料;
8.B成分のアルコール含有の蒸留液が、麦焼酎であることを特徴とする前記1に記載の麦芽発酵飲料;
9.B成分のアルコール含有の蒸留液におけるアルコール分が、麦スピリッツであることを特徴とする前記1に記載の麦芽発酵飲料;
10.B成分のアルコール含有の蒸留液におけるアルコール分が、25〜45%であることを特徴とする前記1に記載の麦芽発酵飲料;
11.麦芽発酵飲料のアルコール分が、1〜15%である前記1に記載の麦芽発酵飲料;
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、原料中の麦芽の使用比率が高く、ビールテイストとして飲み応えや喉越しの爽快感を失わせることがなく、かつ、キリッとした味わいがあり、最近の消費者の多様化した好みに応じた、麦芽発酵飲料が提供される。
特に、これまでのいわゆる発泡酒は、キリッとした切れ味のある後味はあるものの、ビールのような飲み応えが十分ではなかった。しかしながら、本発明により、ビールテイストとして、麦芽由来の飲み応えが確保され、そのうえで飲用後のキレとを合わせ持つ麦芽発酵飲料を提供されことより、消費者の嗜好を満足させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明が提供する麦芽発酵飲料とは、麦を原料の一部として使用し、発酵させた飲料をいい、望ましくは、麦の中でも麦芽を原料の一部として使用して製造したアルコール含有飲料をいう。具体的には、ビール、発泡酒、雑酒、低アルコール麦芽発酵飲料(例えばアルコール分1%未満の麦芽発酵飲料)等をあげることができ、日本における酒税法上の酒類の分類上、ビール、発泡酒、リキュール類、スピリッツ類に分類される発酵麦芽飲料である。
【0012】
この場合において、本発明が提供する麦芽発酵飲料のアルコール分は、特に限定されないが、1〜15%(v/v)であることが望ましい。特に、ビールや発泡酒といった麦芽発酵飲料として消費者に好んで飲用されるアルコール濃度、すなわち、3〜8%(v/v)の範囲であることが望ましい。
【0013】
かかる本発明が提供する麦芽発酵飲料は、上記したように、基本的には、
A成分として、麦を原料の一部に使用して発酵させて得たアルコール分が0.5〜7%であるアルコール含有物;および、
B成分として、少なくとも麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得たアルコール含有の蒸留液;
からなり、A成分とB成分とを混合してなる麦芽発酵飲料であって、A成分のアルコール含有物由来のアルコール分:B成分のアルコール含有の蒸留液由来のアルコール分の率が、97.5:2.5〜90:10であることを特徴とする麦芽発酵飲料である。
【0014】
本発明でいうA成分としての「麦を原料の一部に使用して発酵させて得たアルコール含有物」とは、下記にいう麦を原料の一部に使用して発酵させたアルコール含有物のことである。具体的には、ビール、発泡酒、雑酒、低アルコール麦芽発酵飲料(例えばアルコール分1%未満の麦芽発酵飲料)等のビールテイスト飲料をあげることができる。または、それらを水で希釈したものを用いても良い。
【0015】
このA成分の原料として用いられる麦とは、通常のビールや発泡酒の原料として用いられる麦由来の加工品のことをいい、例えば、麦芽、大麦、精白大麦、大麦エキス、大麦フレーク、小麦、ハト麦、ライ麦、エン麦などをあげることができる。そのなかでも、特に、麦芽を好適に用いることができる。
【0016】
また、本発明において、A成分の原料として用いられるその他の原料とは、麦芽発泡酒の主な原料である麦芽、ホップおよび水以外の原料をいい、例えば、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、糖類、麦芽以外の麦、苦味料、または着色料などをあげることができる。
【0017】
本発明でいう苦味料としては、通常のビールや発泡酒の原料として用いられる苦味料を用いることができ、例えば、イソフムロン類や還元型イソフムロン類等が挙げられる。また、本発明でいう着色料としては、通常のビールや発泡酒の原料として用いられる着色料を用いることができ、例えば、カラメルが挙げられる。
【0018】
また、本発明でいう麦芽の使用比率とは麦芽比率とも呼ばれるが、麦芽、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、麦芽以外の麦、および糖類といった糖質原料中に占める麦芽の重量の比率をいう。例えば麦芽比率100%のビールは、通常、オールモルトビールと称されるものである。
【0019】
本発明が提供する麦芽発酵飲料は、原料中の麦芽比率を高率とすることにより、飲み応えと喉越しの爽快感を確保することから、A成分としてのアルコール含有物については、麦芽比率を20%以上、特に麦芽比率を40%以上とするのが好適である。
A成分としてのアルコール含有物は、ビールや発泡酒を製造する方法と同様の方法に従って製造すればよい。この場合のA成分であるアルコール含有物中のアルコール分は、特に限定されるものではないが、最終製品としてのアルコール含有物におけるアルコール濃度の設計値を勘案して、調整すればよい。例えば、最終製品である麦芽発酵飲料を、ビールテイストとしての香味を有する飲料とする場合には、0.5〜7%程度のアルコール分とすればよい。
【0020】
一方、上記したA成分であるアルコール含有物に添加されるB成分としての「少なくとも麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したアルコール含有の蒸留物」(以下、単に、「アルコール含有蒸留物」と記す場合もある)とは、少なくとも上記した麦を原料の一部としたアルコール含有物を、蒸留機を用いて蒸留したものである。したがって、B成分の原料として用いられる麦とは、麦芽、麦麹、大麦、精白大麦、大麦エキス、大麦フレーク、小麦、ハト麦、ライ麦、エン麦などをいう。
【0021】
この場合のアルコール含有蒸留物は、その原料の少なくとも一部に麦を用い、かつ蒸留する工程により得られたものであることが肝要である。なぜならば、A成分であるアルコール含有物として、麦芽の使用比率が高い原料が用いられていることから、その香味を損なわないように、B成分であるアルコール含有蒸留物においても、少なくとも原料の一部に麦を用いることが必要である。
【0022】
そのようなB成分であるアルコール含有蒸留物としては、具体的には、焼酎、ウイスキー、ウオッカ、スピリッツなど、麦などの穀物を原料の一部としたスピリッツ、原料用アルコールなどの中で、少なくとも原料の一部に麦を用いたものが挙げられる。そのなかでも、最終製品である麦芽発酵飲料に飲用後の後味としてのキレを付与する点から、焼酎やスピリッツであることが好ましい。
【0023】
本発明でいう焼酎とは、麦、米、そばなど穀類や、サツマイモといった芋類を原料として、主に麹菌と酵母を用いて発酵させ、更に蒸留して得られる酒類をいう。本発明の麦芽発酵飲料の製造に使用されるB成分であるアルコール含有蒸留物として用いられる焼酎においては、例えば、麦焼酎、米焼酎、そば焼酎、芋焼酎、本格焼酎、泡盛と称される焼酎のうちで、原料の一部に麦を用いているものを好適に使用することができる。本発明において、「原料の一部に麦を用いている焼酎」とは、原料の一部に麦を用いているもののほか、麹として麦麹を用いることもできる。本発明においては、B成分であるアルコール含有蒸留物として、主な原料が麦であって、麹として麦麹を用いる焼酎(通常、麦焼酎と称される焼酎)が特に好ましい。中でも、大麦、麦麹および水からなる麦焼酎が好ましい。
【0024】
本発明にいうスピリッツとは、麦、米、そばなどの穀物類や、サツマイモ、ジャガイモ、キャッサバといった芋類を原料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させ、更に蒸留して得られる酒類をいう。本発明の麦芽発酵飲料の製造に使用されるB成分であるアルコール含有蒸留物として用いられるスピリッツにおいては、原料の一部に麦を用いているものを好適に使用することができる。なかでも、麦として小麦を用いる小麦スピリッツが好ましい。
【0025】
B成分であるアルコール含有蒸留物の製造において、蒸留方法や蒸留回数といった製造条件は特に限定されるものではない。
アルコール含有蒸留物として焼酎を用いる場合、甲類焼酎(アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分が36%未満の焼酎)、または、乙類焼酎(アルコール含有物を単式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分が45%以下の焼酎)のいずれであっても使用することができる。
【0026】
アルコール含有蒸留物として小麦スピリッツに代表される麦スピリッツを用いる場合、アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したものを用いることができる。また、アルコール分が36%以上としたものを好適に使用することができる。
【0027】
これらB成分のアルコール含有蒸留物は、A成分としてのアルコール含有物の麦芽比率に応じて使い分けることもできる。例えば、A成分の麦芽比率が50%程度の場合にはB成分として麦スピリッツを、A成分の麦芽比率が100%の場合にはB成分として麦焼酎(乙種)を用いることができる。
【0028】
B成分であるアルコール含有蒸留物のアルコール分は、特に限定されない。ただし、最終製品である麦芽発酵飲料のアルコール濃度の設計値や、A成分に対する当該アルコール含有蒸留物の使用比率を考慮して、そのアルコール濃度を適宜設定することができる。なお、アルコール含有蒸留物として焼酎を用いる場合には、本発明が提供する最終製品である麦芽発酵飲料に、飲用後の後味としての「キレ」の付与や、焼酎由来の香味が及ぼす影響、さらにはビールテイスト飲料としての飲み応え等を考慮して、アルコール含有蒸留物のアルコール分は10〜90%、特に25〜45%とすることが好ましい。
【0029】
本発明が提供する麦芽発酵飲料は、上記したA成分にB成分を添加、混合することにより製造される。その場合の添加、混合方法は特に限定されるものではない。また、A成分とB成分の混合割合は、麦芽発酵飲料が求める香味の設計に従って、あるいはA成分とB成分の香味特徴を考慮して、適宜設定することができる。
【0030】
本発明が提供する麦芽発酵飲料にあっては、ビールテイスト飲料としての香味を求める場合には、麦芽由来の飲み応えと爽快感、さらには飲用後の「キレ」を併せ持つのが良く、そのためには、B成分由来の香味を強くし過ぎることがないようにし、かつ、飲用後の「キレ」を感じる量とする必要がある、そのためには、A成分由来のアルコール分:B成分由来のアルコール分の比率が、99.5:0.5〜80:20の範囲にあるのが好ましく、特に、97.5:2.5〜90:10の範囲であるのが好ましい。
【0031】
このアルコール分の由来の比率とするためには、A成分とB成分の混合量(混合容積比)を、A成分およびB成分のアルコール濃度に応じて、適宜設定することができる。ただし、本発明が提供する最終製品である麦芽発酵飲料に、ビールテイスト飲料としての麦芽由来の飲み応えを損なわない範囲にすべきであり、そのためには、B成分の容積比率を20%以下に抑えることが望ましい。なお、B成分の容積比率の下限としては、最終製品である麦芽発酵飲料に飲用後の「キレ」が付与されるに十分なものであれば良く、特に限定されないが、例えば0.1%以上とするのがよい。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1:
A成分として、麦芽比率100%、アルコール分5%のビールを、定法にしたがって、調製した。
B成分として、麦と水を原料とし、発酵に使用する麹として麦麹を用い、蒸留して得たアルコール分44.0%の麦焼酎を、定法にしたがって、調製した。
下記表1に記載するA由来のアルコール分とB由来のアルコール分の比率で上記A成分およびB成分を混合し、総アルコール分を5.0%となる麦芽発酵飲料1〜5(発明品1〜5)を調製した。
なお、混合にあたっては、目的とする麦芽発酵飲料の総アルコール分が5.0%となるよう、A成分のビールは適宜水により希釈した。
【0033】
【表1】


【0034】
なお、比較例として、下記に記載のビール(麦芽比率100%)および発泡酒(麦芽比率25%)をおいた。
比較例1:アルコール分5.0%のビール(麦芽比率100%)を、定法に従って調製した。
比較例2:アルコール分5.0%の発泡酒(麦芽比率10%)を、定法にしたがって調製した。
【0035】
味覚官能試験:
得られた各麦芽発酵飲料について味覚官能試験を行った。
評価項目は、
(1)ビールテイストとしてのコクと飲み応え、および、
(2)飲用後のキレ味、
とした。
専門パネリスト8名により評点法で行い、平均点を算出し、あわせて表中に示した。
なお、評点は、以下のとおりとした。
「十分に強い」=5点;「強い」=4点;「普通」=3点;「弱い」=2点;「無し」=1点
【0036】
上記の表に示した結果から判明するように、比較例1に対し麦芽比率の低い比較例2ではキレ味は向上したものの、飲み応えが大きく低下した。
一方、本発明が提供する麦芽発酵飲料、中でも発明品2〜4のものは、ビールテイストのコクと飲み応えがあり、その上で飲用後の後味として、さっぱりしたキレが付与されているものである。
【0037】
実施例2:
A成分として、実施例1と同様の麦芽比率100%、アルコール分5%のビールを、定法にしたがって、調製した。
なお、B成分として、米焼酎は米を原料として米麹を用いたもの(アルコール分44%)、麦焼酎は麦を原料として麦麹を用いたもの(アルコール分44%)、ブランデーとしては、ブドウを原料としたアルコール分40%の市販のブランデー(サントリーブランデーX・Oデラックス)、ウイスキーとしては、麦芽を原料としたアルコール分43%の市販ウイスキー(サントリーピュアモルトウイスキー山崎(登録商標)12年)を用いた。
A成分由来のアルコール分とB成分由来のアルコール分の率が95:5となるようにA成分とB成分を混合した。目的とする麦芽発酵飲料の総アルコール分が5.0%になるように、A成分のビールを適宜水で希釈した。
【0038】
得られた各麦芽発酵飲料について、味覚官能試験を行い、その結果を併せて表中に示した。
評価項目は、実施例1と同様に8名の専門パネリストによる、(1)ビールテイストとしてのコクと飲み応え、(2)飲用後のキレ味に加え、(3)飲み易さとした。
(1)のビールテイストとしてのコクと飲み応え、および(2)の飲用後のキレ味の評価方法は、実施例1に準じ、(3)の飲み易さの評点は、以下のとおりとした。
「かなり飲みやすい」=5点;「飲みやすい」=4点;「ふつう」=3点;「飲みにくい」=2点;「かなり飲みにくい」=1点
【0039】
【表2】


【0040】
上記の表2に示した結果から、いずれの飲料でも飲み応えは良かったものの、B成分として麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留して得たアルコール含有の蒸留液を添加した場合に、飲用後の後味としてさっぱりしたキレが付与され、また飲みやすいことが判明した。
【0041】
実施例3:
A成分の麦芽比率を変えて、B成分添加の効果を評価した。
A成分として、各麦芽比率を10%、20%、40%および100%として、アルコール分5%の麦芽発酵飲料を、定法にしたがって調製した。
B成分として、小麦と水を原料とし、糖化、発酵、蒸留(連続式蒸留機を使用)して得たアルコール分44.0%のスピリッツを、定法にしたがって、調製した。
A成分由来のアルコール分と、B成分由来のアルコール分の率が95:5となるようにA成分とB成分を混合し、目的とする麦芽発酵飲料の総アルコール分が5.0%になるように、A成分の麦芽発酵飲料を適宜水で希釈した。
なお、比較例として、B成分を含まない各種麦芽比率のビール(または発泡酒)を評価した。
評価項目および評価方法は実施例1に準じた。
その結果を下記表3に示した。
【0042】
【表3】


【0043】
表中の結果からも判明するように、発明品にあっては、麦芽比率を10%、20%、40%および100%と変更した飲料の場合であっても、B成分を添加することによって、飲み応えを損なうことがなく、キレ味の評価が増加した。特に、麦芽比率が20%〜100%、なかでも40%以上の場合にキレ味の付与効果が顕著であった。
以上より、麦芽発酵飲料において、各種麦芽使用比率のA成分に、B成分を組み合わせることにより、飲み応えがありながら、かつ、喉越しの爽快感、キリッとした味わいのある麦芽発酵飲料が提供されることが判明した。
【0044】
実施例4:
A成分の原料の麦芽比率と、B成分の種類の組合せを検討した。
A成分として、麦芽の使用比率を49%または100%として、アルコール分5%の麦芽発酵飲料を定法にしたがって調製した。
B成分として、麦焼酎(乙種)または小麦スピリッツを用いた。
麦焼酎(乙種)は大麦を原料として麦麹を用い、蒸留を単式蒸留機にておこなったものを用いた(アルコール分44%)。
小麦スピリッツは、小麦を原料とし、アルコール含有物を連続蒸留機で蒸留したものを用いた(アルコール分44%)。
A成分由来のアルコール分とB成分由来のアルコール分の率が95:5となるようにA成分とB成分を混合した。目的とする麦芽発酵飲料の総アルコール分が5.0%になるように、A成分の麦芽発酵飲料を適宜水で希釈した。
なお、比較例として、B成分を含まない麦芽発酵飲料(麦芽比率:49%または100%)を評価した。
評価項目および評価方法は実施例1に準じた。
その結果を下記表4に示した。
【0045】
【表4】


【0046】
本発明品にあっては、いずれの麦芽比率を有する飲料の場合でも、B成分として麦焼酎(乙類)または小麦スピリッツを添加することによって、飲み応えを損なうことなく、キレ味の評価が増加した。
このうち、A成分として麦芽比率が49%の麦芽発酵飲料を用いた場合には、B成分として麦焼酎(乙類)を用いるほうが、小麦スピリッツを用いるよりキレ味の評価が優れていた。
【0047】
一方、A成分として麦芽比率が100%の麦芽発酵飲料を用いた場合には、B成分として小麦スピリッツを用いるほうが、麦焼酎(乙類)を用いるよりキレ味の評価が優れていた。
【0048】
これは、原料における麦由来の香味の強さによると考えられた。すなわち、単式蒸留機を用いるB成分は、原料由来の香味がある程度含まれていることから、A成分として麦芽比率の高い場合により有効にキレが付与できる。一方、連続蒸留機を用いたB成分は原料由来の香味成分は少ないことから、A成分として麦芽比率の高すぎない場合(例えば、麦芽比率:49%)に好適に用いることができると考えられた。
【0049】
実施例5:
A成分として麦芽比率が60%の麦芽飲料を製造した。
麦芽60%および糖液50%の組成の原料を用い、定法どおりに麦汁を製造した。糖液は、市販の糖液を用いた。糖化した麦芽に糖液を加え、エキス分12%の麦汁を得た。これに市販のビール酵母(Weihenstephan-34)を添加して定法により発酵させ、アルコール分が5.5%のA成分を得た。
B成分として、小麦スピリッツを用いた。小麦スピリッツは、小麦を原料とし、アルコール含有物を連続蒸留機で蒸留したものを用いた(アルコール分44%)。
A成分1500LにB成分9.7Lを添加した。A成分の製造工程中、酵母除去のための濾過工程の直前で培養槽中にB成分を添加混合した。得られた発酵飲料を無菌的に濾過し缶に充填して、本発明の麦芽飲料を製造した。
得られた発酵飲料は、飲み応えとキレのいずれをも有するものであった。
【0050】
実施例6:
A成分として麦芽比率が40%麦芽飲料を製造した。
麦芽40%、麦10%および糖液50%の組成の原料を用い、定法どおりに麦汁を製造した。糖液は、市販の糖液を用いた。麦芽と麦を糖化し、それに糖液を加え、エキス分12%の麦汁を得た。これに市販のビール酵母(Weihenstephan-34)を添加して定法により発酵させ、アルコール分が5.5%のA成分を得た。
B成分として、小麦スピリッツを用いた。小麦スピリッツは、小麦を原料とし、アルコール含有物を連続蒸留機で蒸留したものを用いた(アルコール分44%)。
A成分1500LにB成分9.7Lを添加した。B成分は、A成分の製造工程中、酵母除去のための濾過工程の直前で培養槽中に添加、混合した。得られた発酵飲料を無菌的に濾過し缶に充填して、本発明の麦芽飲料を製造した。
得られた発酵飲料は、飲み応えとキレのいずれをも有するものであった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上記載したように、本発明により、麦芽発酵飲料において、原料中の麦芽の使用比率を高率とすることにより飲み応えを確保しつつ、かつ、喉越しの爽快感、すなわち、キリッとした味わいを有する麦芽発酵飲料が提供される。本発明が提供する麦芽発酵飲料は、ビールテイストとして、麦芽由来の飲み応えが確保されているものであり、そのうえで飲用後のキレとを合わせ持つ。したがって、消費者の嗜好を満足させることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000001904
【氏名又は名称】サントリー株式会社
【出願日】 平成20年6月11日(2008.6.11)
【代理人】 【識別番号】100083301
【弁理士】
【氏名又は名称】草間 攻


【公開番号】 特開2008−206528(P2008−206528A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2008−152582(P2008−152582)