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【発明の名称】 蝶豆アルコール飲料
【発明者】 【氏名】飯田 保春

【氏名】磯部 哲宏

【要約】 【課題】チョウマメ花色素を、効率よく抽出材料として調整し、内在成分に変性が生じることなく、高濃度に、安全に、しかもアルコール飲料に添加したとき沈殿物を発生せず、かつ明度、彩度、耐性の良いチョウマメ花色素を工業的に有利に収得すること。

【解決手段】チョウマメ花色素が、チョウマメの花を3〜6時間以上、日陰における自然乾燥を行なう工程、50℃〜100℃のオーブンにて1/11〜1/8の重量となるまで乾燥する工程、前記乾燥した花と、水ないし0.5〜2重量%の有機酸を溶解した水溶液とを混合して色素を溶出させる工程、色素の溶出液をイオン交換樹脂にて吸着させる工程、吸着させた色素を水ないし有機溶剤にて溶出精製させる工程にて抽出されたものであるアルコール飲料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウマメの花から抽出した色素を0.01〜10重量%用いることを特徴とするアルコール飲料。
【請求項2】
チョウマメの花から抽出した色素が、摘み取ったチョウマメの花を網状の棚にて3〜6時間以上、日陰における自然乾燥を行なう工程、50℃〜100℃のオーブンにて摘み取り時の1/11〜1/8の重量となるまで乾燥処理する工程、前記乾燥処理した花と、水ないし0.5〜2重量%の有機酸を溶解した水溶液とを混合して色素を溶出させる工程、色素の溶出液をイオン交換樹脂にて吸着させる工程、吸着させた色素を水ないし有機溶剤にてイオン交換樹脂より溶出精製させる工程にて抽出されたものであるアルコール飲料。
【請求項3】
イオン交換樹脂の粒径が200〜1180μの範囲に96%以上入っているポーラスな樹脂をもちいる請求項1〜2記載のアルコール飲料。
【請求項4】
イオン交換樹脂より溶出精製させる工程後、さらに、減圧状態にて濃縮したものである請求項1〜3いずれか記載の青色アルコール飲料用着色製剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、チョウマメ花色素を用いる青色系統のアルコール飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
チョウマメ(Clitoria ternatea L.)は、マメ科(Leguminosae)に属している植物で青色のきれいな花を咲かせる。この植物は、熱帯地域で広く栽培され、その植物体は緑肥、牧草、カバークロップ等に用いられる。チョウマメの花は、鮮青色を有し、一般に観賞用として栽培されている。また、チョウマメの花は、インドネシアでは米を青色に染めるのに利用されている。また、この花から絞り出した青色色素はマレーシアにおいてマットやライスケーキの着色に、あるいはタイでは菓子の色づけに昔から利用されている。
【0003】
食品類への着色においては、値段が安く、安定性があり、発色の優れたタール系を中心とする合成着色料の占める割合が高かったが、最近それらの安全性に一部疑いがもたれはじめてから使用が大幅に制限されだした。それに伴って、伝統的に用いられ、安全だと考えられている天然着色料が再び見直されつつある。赤〜青を呈する植物色素としては、光に対する安定性が低いにもかかわらず、紫トウモロコシ、赤キャベツなどの野菜類、ブドウ、ベリー類などの果実類の色素が実用化され利用されている。ちなみに、花の色素は存在数が多いにもかかわらず、現在のところ利用されているものはハイビスカスのアントシアニンのみである。しかし、その安定性は非常に悪い。
【0004】
チョウマメからの抽出については、寺原典彦らによるチョウマメ(Clitoria ternatea)の花弁からのデルフィニジン3,3,5−トリグルコシド化合物(青色素)の抽出が報告されている(特許文献1および非特許文献1参照)。
この文献では、チョウマメの花弁の乾燥品を用いているが、乾燥方法についての記載もなく、工業的に良好な色素を効率よくとる方法までは言及されていない。
チョウマメは、比較的温暖な地域にて栽培することに適した植物であり、この花から効率よく色素を抽出するには、摘花した花を効率よく抽出できるように処理することが必要となる。また、抽出の作業場は一般にチョウマメの栽培に適した海外のような遠隔地となることがあり、抽出原料としての良好な処理が、花内の色素の維持を果たし、抽出工程へ大きな役割となる。このような観点での処理方法にはまだ検討がなされていない。
また、寺原らの報告では、チョウマメ花弁の抽出液を精製する際に、酢酸(蟻酸)−メタノール系溶媒を使用している点である。
【0005】
この方法では、最終的に酢酸や蟻酸であっても除去処理しなくてはいけないため、加熱濃縮時に色素構造の一部を反応させてしまうことが考えられ、結果として、本来の天然色素構造物が得られない恐れがある。その他の酸除去方法も存在するが、その処理に莫大な労力を要し実用性にかける。さらに、酸が存在することで吸着剤への吸着力が強まり、吸着剤からの離脱処理に大量の溶媒と時間を要すると同時に、得られる離脱液の色価が低すぎるので長時間の濃縮時間が必要となり、結果としてチョウマメ色素成分の分解が促進されてしまう恐れも含まれている。
【0006】
このように、応用面に関しては実用的でない点が見受けられている。
【0007】
また、チョウマメ花弁からの粗抽出液をそのまま使用すると糖質、蛋白質などの夾雑物が多量に混在し、濃縮や粉末化処理工程に悪影響を及ぼすのは明白である。さらに、食品に添加したとき経時的に沈殿物を発生し、明度、彩度、耐性に悪影響を及ぼすことも危惧される課題である。
【0008】
特許文献2は、チョウマメ乾燥花弁からの青色色素の抽出液による青色色素組成物について、記載されている。食品、化粧品、医薬関連品についての記載はあるが具体的な応用が示されていない。(2003−292810)
特許文献3は、マクロポーラスな芳香族系吸着剤に接触させてチョウマメ花エキスを製造する方法が記載されている。(2004−187524)
しかしながら、いずれも工業用の材料として大量に準備されたチョウマメの花を対象としておらず、大量に扱うために色素分の漏出、分解等による収量低下の原因を考慮されていない。チョウマメ花弁の抽出前の処理についての記載がない。したがって、良好な色素の抽出における方法について十分検討されていない。
【特許文献1】特開平3−223298号公報
【非特許文献1】南九州大学園芸学部研究報告−第23号−別刷(1992年7月30日受理「アシル化アントシアニン色素の構造決定と安定性に関する研究」)
【特許文献2】特開2003−292810号公報
【特許文献3】特開2004−187524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、チョウマメ花色素を、摘花された際の良好な色相の色素を漏出することなく効率よく抽出材料として調整し、天然食用色素として、内在成分に変性が生じることなく、高濃度に、安全に、しかもアルコール飲料に添加したとき経時的に沈殿物を発生せず、かつ明度、彩度、耐性の良いチョウマメ花色素を工業的に有利に収得することを目的としている。鋭意検討した結果、チョウマメの摘花した花を十分に処理することで色素分の変質をなくし効率的に色素分の確保ができることを見出し、アルコール飲料においての良好な着色に至り本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、チョウマメの花から抽出した色素を0.01〜10重量%用いることを特徴とするアルコール飲料に関する。
【0011】
また、本発明は、チョウマメの花から抽出した色素が、摘み取ったチョウマメの花を網状の棚にて3〜6時間以上、日陰における自然乾燥を行なう工程、50℃〜100℃のオーブンにて摘み取り時の1/11〜1/8の重量となるまで乾燥処理する工程、前記乾燥処理した花と、水ないし0.5〜2重量%の有機酸を溶解した水溶液とを混合して色素を溶出させる工程、色素の溶出液をイオン交換樹脂にて吸着させる工程、吸着させた色素を水ないし有機溶剤にてイオン交換樹脂より溶出精製させる工程にて抽出されたものである上記アルコール飲料に関する。
【0012】
さらに、本発明は、イオン交換樹脂の粒径が300〜1180μの範囲に96%以上入っているポーラスな樹脂をもちいる上記アルコール飲料に関する。
【0013】
さらに、本発明は、イオン交換樹脂より溶出精製させる工程後、さらに、減圧状態にて濃縮したものである上記青色アルコール飲料用着色製剤に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チョウマメ花弁中に含有される青色色素を高い収量で分離、収得することができる。そして、チョウマメ花色素をもちいたアルコール飲料は経時的に沈殿物を発生せず、かつ明度、彩度、耐性の良いアルコール飲料であり、これを工業的に有利に収得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にてチョウマメの花からの抽出液は、花弁からの水ないしアルコール等の溶剤にて抽出される。この抽出は、チョウマメの花弁と水ないしアルコールとの混合体からの色素成分の流出を引き起こさせ、この液の濃縮による方法で適宜得られる。しかしながら、以下のような操作により、アルコール飲料への良好な抽出液が得られる。すなわち、チョウマメの花弁は、約1.5mから2mほどの成木から摘花されるが、摘み取り時は過度な水分を有している。この摘み取り花弁は、適宜収集されて処理に供されるが、後の乾燥工程や後々の抽出過程においては、適度な摘み取り後の寝かせが必要で、通気性のよい環境での自然放置があると、人工的乾燥工程における色素の消失が少なくなる。このため、摘花した花弁は、1cm〜2cmの目開きを有している網状の棚にて、0.5〜5cmの厚みにて層状にならべて、通気性を十分とる状態を3〜6時間以上保持させる。
【0016】
この状態によって、植物内の色素の抽出に有効な変化を誘発し、また、人口的乾燥工程における処理不適合(こびりつき、焼きつき、変色、退色)を防止できる。また、乾燥後工程における色素の効率的な抽出が発揮される。
【0017】
なお、網の目ひらきは、チョウマメの花の落下しない目開きであり、最大限、通気性を良好とする棚を形成する。
【0018】
また、0.5〜5cmの厚みにて層状にチョウマメの花を配置すると、チョウマメの自重による圧力にて、色素液が漏出することを防ぐことができる。
【0019】
また、このような自然放置後の乾燥工程は、60〜100℃にて、摘花時の重量の1/11〜1/8とする。この工程も、色素の分解や変質を損なわない条件となる。
【0020】
また、このような乾燥工程は、抽出前の花弁の保存性を長期にわたり安定化させる効果も有しており、花の栽培地と色素の抽出地とが、距離を隔てた地域においても良好に果たすことを可能とした。
【0021】
乾燥した摘み取り時から1/11〜1/8の重量となった花は、その後、水ないし0.5〜2重量%の有機酸を溶解した水溶液にて浸漬され、色素分を液に溶出させる。
このときの乾燥花と水との混合比率は、乾燥花1重量部に対して水1〜100重量部で行なう。このましくは、5から30重量部である。
【0022】
混合浸漬時間は、1〜24時間で行なう。好ましくは5〜20時間で行なう。浸漬して色素液を溶解させた液は、濾過にて夾雑物を除去してとりだす。
【0023】
この濾過液は、次にイオン交換樹脂によるカラムに注いで色素分の吸着を行なう。このカラムにてイオン交換樹脂に吸着させた色素は、さらに、非酸系の水ないし有機溶剤にてイオン交換樹脂より溶出精製させるとチョウマメ花色素のきれいな青色色素液がえられる。必要に応じて、更に、濃縮、さらには、スプレードライ、凍結乾燥等にて色素の粉末化も出来る。
【0024】
なお、吸着工程にて酸性物質を使用すると、次の工程でのイオン交換樹脂(吸着剤)への吸着力を上げる作用を有する。ここで使用される酸性物質は、次の吸着工程で水洗浄によって簡単に除去することができる。
【0025】
また、本発明では、加熱処理は必要ないので濃度を調整すれば色素成分及びそれ以外の共存成分を分解する心配はない。ここで使用される酸性物質としては、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸や酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸、もしくは緩衝液でもよく、濃度は0.001〜1モル濃度であればよい。
緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、ピロリン酸ナトリウム緩衝液、グリシン−ナトリウム緩衝液、グッドバッファーなどがある。pHは2〜7が好ましい。
【0026】
本発明において、イオン交換樹脂は、マクロポーラスなスチレン、ビニルピロリドンなどのビニルモノマーにジビニルベンゼンのような架橋性のモノマーを配合して得られる網状構造を有する樹脂を粒子状にしたものであり、製品名としては、ダイヤモンドシャムロックケミカル社のデュオライトS−30、ES−33、S−37、S−862、S−861、S−587、S−761など、ロームアンドハース社のアンバーライトXAD−2、XAD−4、XAD−7、XAD−8、XAD−16、XAD−1180、XAD−2000、XAD−2010など、三菱化成工業株式会社のダイヤイオンHP−10、HP−20、HP−21、HP−40、セパビーズSP−850など、ダウケミカル社のダウエックスXUS−40323、XUS−40285など、北越炭素工業株式会社のKS、HS、AF、L−1など、ISP社のポリクラールSB−100、ポリクラールスーパーR、ポリクラール10など、東洋曹達工業株式会社のトヨパールHW−40などが挙げられるがこれらに限定されない。また、これらイオン交換樹脂の粒径は、200〜1180μの範囲に96%以上入っていることが好ましい。
【0027】
また、スチレンとジビニルベンゼンから得られる架橋構造を有するイオン交換樹脂も使用でき、塩素原子、臭素原子などの電子吸引性基を含有させたものを粒子状にしてなるもので、製品名としては、三菱化成工業株式会社のセパビーズSP−207などが挙げられる。さらに、これらは単独使用のみではなく、複数の組み合わせで使用しても良い。
【0028】
本発明でイオン交換樹脂に吸着した色素を溶出させるに使用する有機溶剤としては、食品添加物製造の認可を受けた溶剤を使用する。エタノール、メタノール、アセトン、亜酸化窒素、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン、二酸化炭素、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、1−プロパノール、2−プロパノール、プロパン、プロピレングリコール、ヘキサンが挙げられる。(食品添加物公定書の製造基準による)ただし、この中でメタノール、2−プロパノールでは50μg/g、アセトンでは30μg/g、ジクロロメタン及び1,1,2−トリクロロエテンでは30μg/g、ヘキサンでは25μg/gをそれぞれ超えて残存しないように使用しなければならないという規定があり好ましくはない。
上記載溶剤とこの規定に共通する溶剤を使用することが最も好ましい。例えば、エタノール、グリセリン、食用油脂、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0029】
これらの溶剤と水との混合溶媒も使用でき、その混合比は容量比で1〜99:99〜1であれば、製品の色価の調整値に合わせて自由に選択できる。
【0030】
本発明で使用されるチョウマメ花弁は、日本産、タイ産、中国産、マレーシア産、ミャンマー産、ベトナム産などチョウマメの種類、品種に限定されることなく如何なる種類でも良いが、色素の収量を良好にするためには、花弁が八重咲きの種が好ましい。
【0031】
本発明にて、アルコール飲料としては、カクテル、焼酎、ビール、発泡酒、ワイン、ウォッカ、ジン、清酒等の種々のものが対象となる。これらは、通常、無色透明なものが多いが、本発明では、従来の天然色素にて形成できない透明感のある、青色着色が得られる。
【0032】
また、本発明のアルコール飲料は、アルコール成分の多い飲料でありながら沈殿物等のない経時で安定した飲料を提供する。
【0033】
また、チョウマメ抽出色素には、アントシアニン系としての抗酸化性を有し、また、眼精疲労等への効果期待が推定されるものでもある。したがって、新鮮な色および摂取効果を期待するアルコール飲料となる。
【0034】
本発明の工程をさらに詳細に説明する。
(チョウマメの乾燥処理1)
八重種チョウマメ成木からの摘花したチョウマメ花弁を500kg計量ののち、1.5cmの目開きを有する金網棚に約2cmほどの厚さになるように並べた。この棚を上下に空間を有する多段の棚とし、日陰にて約5時間の放置を行い、適度な水分の蒸発と植物内の色素固定を促進した。その後、60℃のオーブンにて、約3〜4時間の乾燥を行い前記計量値の約1/10の重量(49.5kg)とした。
(チョウマメの乾燥処理2)
八重種チョウマメ成木からの摘花したチョウマメ花弁を500kg計量ののち、1.5cmの目開きを有する金網棚に約2cmほどの厚さになるように並べた。この棚を上下に空間を有する多段の棚とし、日陰にて約4時間の放置を行い、適度な水分の蒸発と植物内の色素固定を促進した。その後、65℃のオーブンにて、約4時間の乾燥を行い前記計量値の約1/10の重量(48.5kg)とした。この乾燥品を抽出用の原料花とした。
(チョウマメの乾燥処理3)
摘花したチョウマメ花弁を炎天下での乾燥を実施した。この乾燥工程では、十分な乾燥ができず不均一な状態であった。一部カビの発生も確認され、色素抽出には使用できないと判断された。
(チョウマメの乾燥処理4)
摘花したチョウマメ花弁をステンレスバットにひきつめ多段棚による強制乾燥を実施した。花弁とステンレス面との接触面にて花弁の変質を発生しやすく、色素の退色部分が多くみられた。
(チョウマメの乾燥処理5)
摘花したチョウマメ花弁を目開き1.5cmの金網上に引き詰め、強制乾燥をいきなり実施した。
(チョウマメの乾燥処理6)
摘花したチョウマメ花弁をステンレスバットにひきつめ多段棚による強制乾燥を実施した。温度を高くしたことで乾燥が良好であったが、ステンレス面との接触部にて退色した花弁が増加した。上記載の乾燥処理1〜6を施したの乾燥花弁の比較を表1に示した。乾燥処理1、乾燥処理2の方法が、乾燥処理3〜6の方法に比べて不良乾燥花が少ないことが判る。
【0035】
【表1】



【0036】
[実施例1]
乾燥処理2と乾燥処理6を施した原料花を栽培地および乾燥処理地からの工業設備を備えた遠隔地まで輸送し、抽出原料として以下の抽出工程を実施した。
【0037】
乾燥処理2および乾燥処理6を施した原料花をそれぞれ5Kg、全量10Kgの乾燥花弁を、1%酢酸水500リットルに15時間浸漬した後、ろ過処理を行い、チョウマメ花弁粗抽出液450リットルを得た。このろ過液を、ダイヤイオンHP−20(平均粒子径500μ(90%以上が250μ以上))、15リットル容量を詰めたカラムに供し、チョウマメ色素成分を吸着させた。色素の吸着した樹脂を20リットルの水で洗浄した後、50%エタノールで色素成分を離脱抽出し、10リットル容量の濃い青色抽出液を得た。pH6の緩衝液を用いて色価E10%値を測定した結果、E10%=175のチョウマメ花エキスが得られた。このチョウマメ花エキスを60℃で濃縮し粉末化した後、イオン交換水10リットル容量で溶解させたところ完全に再溶解した。pH6における色価測定を行ったところ、E10%=172という値が得られた。濃縮処理における色素残存率は、98%で色素分解が生じないことがわかった。
【0038】
[実施例2]
実施例1と同様のチョウマメ乾燥花弁10Kgを、1%酢酸水500リットルに15時間浸漬した後、ろ過処理を行い、チョウマメ花弁粗抽出液450リットルを得た。このろ過液を、ダイヤイオンHP−20、15リットル容量を詰めたカラムに供し、チョウマメ色素成分を吸着させた。色素の吸着した樹脂を20リットルの1%水で洗浄した後、1%酢酸−70%メタノールで色素成分を離脱抽出し、21リットル容量の濃い赤紫色抽出液を得た。水酸化ナトリウムを用いてpHを6に調整して色価を測定したところE10%=79という結果が得られた。これは、1リットル換算にしてE10%=166であることを示す。回収色素量はほぼ同量の値を示したが、離脱抽出液量は、2.2倍になった。明らかに離脱効率が悪いと判断された。この赤紫色抽出液を130℃で濃縮し粉末化した後、イオン交換水10リットル容量で溶解させたところ、完全溶解せず沈殿物が得られた。沈殿物をろ過後、pH6における色価測定を行ったところ、E10%=20という値が得られた。濃縮処理における色素残存率は、12%であった。メタノールが先に除去され酢酸濃度が高くなるにつれて130℃の加温状態で明白な色素量の減少が認められ、沈殿物も確認された。さらに、130℃における粉末化でも酢酸は除去することができず、酢酸臭が嫌悪感をもたらせた。
【0039】
色素成分をカラムに吸着させた後、カラムから色素を離脱抽出する際に、離脱溶出液として酸性有機物を含有する溶剤を使用した場合、その後の製剤化処理において酸性有機物が除去されず、最終製品に悪影響があることが判った。
【0040】
[実施例3〜8]
上記載の乾燥処理1〜6(乾燥処理3の場合はカビ発生花弁を除去して使用した)を施した乾燥原料花を抽出原料として以下の抽出工程をそれぞれ実施した。
【0041】
乾燥花弁10Kgを、イオン交換水500リットルに20時間浸漬した後、ろ過処理を行い、チョウマメ花弁粗抽出液約430リットルを得た。これを調整して、それぞれ450リットルとした。このろ過液を、セパビーズSP−207(平均粒子径500μ(90%以上が250μ以上))、15リットル容量を詰めたカラムに供し、チョウマメ色素成分を吸着させた。色素の吸着した樹脂を20リットルの水で洗浄した後、70%エタノールで色素成分を離脱抽出し、8.5リットル容量の濃い青色抽出液を調整して得た。pH6の緩衝液を用いて色価E10%値を測定した。この青色抽出液をそれぞれ60℃で濃縮し、容量を0.5Lまで一旦濃縮した。その後、濃縮増粘した抽出液をイオン交換水にて、再度8.5リットル容量まで溶解させた。pH6における色価測定を行ない、濃縮工程での色素の再測定をおこなった。
【0042】
また、別途、濃縮をつづけ、一旦抽出液を固形化したのち、再度、8.5リットルまでの溶解をおこなった。その溶解状態を比較した。結果を表2に示した。
【0043】
【表2】


【0044】
チョウマメ花弁の乾燥処理方法によって回収される色価の収量に影響があるものの色素製剤としては同様のものが得られた。ちなみに、乾燥処理1および乾燥処理2の方法の乾燥花弁において回収色素量の優位性が確認された。
【0045】
[実施例9〜12および比較例1、2]
下記の表3に記載の実施例および比較例によって、アルコール飲料を試作し、アルコール飲料についての評価を示した。なお抗酸化活性は、 DPPH(ジフェニルピクリルヒドラジン)のエタノール溶液による515〜520nmの吸光度の変化にて確認した。
チョウマメ色素入りのアルコール飲料において耐光性、経時沈殿発生、耐熱性などの物性において安定性が高く、抗酸化活性も有することがわかった。
【0046】
【表3】




【出願人】 【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
【出願日】 平成19年1月29日(2007.1.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−182924(P2008−182924A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−17971(P2007−17971)