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【発明の名称】 泡盛にごり酒の製造方法
【発明者】 【氏名】石黒 新海

【要約】 【課題】泡盛において、清酒の濁り酒のような白濁を生じさせ、泡盛の成分や香味を大きく変化させることなく、均一で外観の良い白濁を有する泡盛の濁り酒を提供することを課題とする。

【解決手段】蒸留したアルコール度数の高い泡盛に対して急速に硬水または軟水を加水し、白濁させることを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法であり、硬水と軟水を交互に加水させて安定した白濁処理を行う。また、白濁した凝固物をろ過分離し、乾燥粉末処理した凝固パウダーを泡盛に添加して濁り酒とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸留したアルコール度数の高い泡盛に対して急速に加水し、白濁させることを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法。
【請求項2】
前記の泡盛は、蒸留後の初溜液を用いることを特徴とする請求項1に記載の泡盛にごり酒の製造方法。
【請求項3】
前記の加水する水が硬水であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の泡盛にごり酒の製造方法。
【請求項4】
前記の加水する水が軟水であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの項に記載の泡盛にごり酒の製造方法。
【請求項5】
前記の加水工程において、複数回、加水を繰り返すことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの項に記載の泡盛にごり酒の製造方法。
【請求項6】
前記の加水処理後、白濁液中の凝固物をろ過分離し、該分離した凝固物を乾燥・粉砕処理後、再度添加することを特徴する請求項1から請求項5までのいずれかの項に記載の泡盛にごり酒の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加水処理により白濁させることを特徴とする泡盛のにごり酒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の泡盛は、一般的に以下の方法で製造されている。
【0003】
1)洗米工程
米の表面に付いている細いほこりや雑菌などをキレイに取り除き、米の中まで柔らかくするため水を充分に吸わせる。
【0004】
2)蒸米工程
ボイラーの蒸気を回転ドラム内の米に吹き付け蒸す。
【0005】
3)製麹工程
蒸米に黒麹菌を加えて保温し、こうじ米を作る。
【0006】
4)仕込み及び発酵工程
こうじ米に水と酵母を加え、もろみを作り発酵させる。
【0007】
5)蒸留工程
熟成もろみを単式蒸留機で蒸留する。
【0008】
6)貯蔵工程
泡盛を長期間貯蔵タンクで熟成させる。
【0009】
泡盛は、このような製造方法で製造されるが、蒸留で、出来たばかりの泡盛原酒を貯蔵し、熟成させ、年月の経過とともに香味が良くなる。
【0010】
従来より、おいしい泡盛を製造するために、各泡盛製造業者によりさまざまな工夫がなされてきており、各製造工程を工夫したり、熟成方法を工夫したりしてきており、各製造業者によりおのおの泡盛の香味が異なり、独自の工夫がなされている。
【0011】
また、特開平10−215855号公報では、ハーブ成分を抽出させた泡盛の製造方法が開示されている。
【0012】
また、特開平11−113554号公報では、薬草成分を抽出させた泡盛が開示されている。
【0013】
また、特開2006−314220号公報では、サトウキビの成分を抽出させた泡盛が開示されている。

【特許文献1】特開平10−215855号公報
【特許文献2】特開平11−113554号公報
【特許文献3】特開2006−314220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の新しい製造方法による泡盛は、泡盛の製造工程において、蒸留方法に工夫をすることで味に変化を与えたものや、上記に示すように、果物やハーブ、薬草などのエキスを混合したものなどであり、味覚に特徴があるものである。
【0015】
近年、泡盛が非常に注目されるようになり、沖縄県だけではなく、全国的に注目されており、種々の商品開発が行われている。また、味、香、アルコール度数の他、色や口当たりなどの視覚的な印象や食感的な印象も商品価値として重要視されている。
【0016】
本発明は、清酒などで商品価値が高く、愛好者の多い、「にごり酒」に注目し、泡盛において、にごり酒を開発できないかと思考錯誤を繰り返した結果、加水条件により、味、口当たりの良いにごり酒を開発するに至り、本発明を完成させたものであり、外観、のど越しなどを向上させた泡盛によるにごり酒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、蒸留したアルコール度数の高い泡盛に対して急速に加水し、白濁させることを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法である。
【0018】
請求項2お発明は、前記の泡盛において、蒸留後の初溜液を用いることを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法である。
【0019】
請求項3の発明は、前記の加水する水が硬水であることを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法である。
【0020】
請求項4の発明は、前記の加水する水が軟水であることを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法である。
【0021】
請求項5の発明は、前記の加水工程において、複数回、加水を繰り返すことを特徴とする泡盛にごり酒の製造方法である。
【0022】
請求項6の発明は、前記の加水処理後、白濁液中の凝固物をろ過分離し、該分離した凝固物を乾燥・粉砕処理後、再度添加することを特徴する泡盛にごり酒の製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0024】
1)泡盛において、白濁を生じさせることができ、濁り酒とすることができる。
【0025】
2)硬水を急激に加水することにより、容易に白濁を生じさせることができる。
【0026】
3)硬水の加水後に軟水で加水することにより、白濁を均質化することができる。
【0027】
4)軟水を加水することにより、硬度を調整し、まろやかになる。
【0028】
5)硬水と軟水を交互に加水することにより、白濁を安定化させ、長期に白濁状態を維持できる。
【0029】
6)分離した凝固物を乾燥粉砕してから、泡盛に戻すことにより、泡盛の成分を変化させることなく、にごり酒を製造することができる。
【0030】
7)凝固物のパウダーを他の泡盛に添加することで、泡盛のアルコール度数を変化させることなく、簡単に濁り酒とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明の一実施形態について図面を用いて具体的に説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書に記載した事項から明らかになる技術的思想の範囲全体に及ぶものである。
【0032】
本発明の泡盛は、一般的な泡盛の製造工程により蒸留を行った後に以下の工程で製造されるものである(図1参照)。
【0033】
S−1)硬水加水工程
泡盛の初溜液63〜65度を35度まで硬水にて加水する。
初溜液とは、蒸留により最初に抽出されるアルコール液で度数は50〜70度前後 (冷却後に加水する)である。
【0034】
硬水とは、硬度が100以上の水のことであり、硬度は、カルシウムとマグネシウムの含有量で決まる数値であり、含有量が多いと硬度が高く、含有量が少ないと硬度が低くなる。
【0035】
本実施例で使用する硬水は、硬度が150〜200とされる沖縄県の水を使用した。本発明に使用する硬水の硬度は150〜500が好ましく、さらに好ましくは300〜500が良い。
【0036】
アルコール度数が63度の初溜液、100リットルに対して、硬水(硬度:200)を71.4リットルを加水して、アルコール度数35度の硬水加水液を得た。加水は、一度に急速に加水することにより、白濁を生じる。
【0037】
S−2)軟水化水工程
硬水加水液に軟水を加えて25度とする。
軟水とは、水道水を軟水処理装置(三浦工業社製軟水器)にて、軟水化処理したものであり、硬度は、20〜80が好ましく、さらに好ましくは20〜50が良い。
【0038】
硬水加水液、100リットルに対して、軟水(硬度:50)を40リットル加水し、アルコール度数25度の白濁液が得られる。
【0039】
S−3)保安ろ過工程
保安ろ過をかけた後、瓶詰めをする。
保安ろ過とは簡易的なろ過方法で主に塵などを取り除く処理である。白濁液を8〜12番のろ紙でろ過し、凝固物を取り除き、ほぼ均一に淡く濁った、泡盛にごり酒を得る。
【0040】
〔分離した凝固物を用いた実施例(図2参照)〕
T−1)乾燥処理工程
白濁液からろ過分離した凝固物を乾燥処理する。
凝固物を乾燥処理装置で減圧乾燥させる。乾燥処理は、凝固物が変色せずに乾燥できるものであればいずれの乾燥方法でも良く、自然乾燥、強制乾燥(熱風乾燥、冷凍乾燥、真空乾燥、天日乾燥)などでも良い。
【0041】
T−2)粉末処理工程
乾燥した凝固物を粉砕処理装置で粉末処理し、10ミクロン以下の凝固物パウダーを得る。
【0042】
T−3)白濁処理工程
泡盛に上記の凝固物パウダーを添加し、白濁させて泡盛にごり酒を得る。
該凝固物パウダーを添加する際には、再度凝固しないように、十分に攪拌処理を行う。また、再度ろ過処理を行っても良い。
【0043】
このように、凝固物パウダーを添加することで、成分を元に戻すことができ、また、アルコール度数を変化させずに白濁させることが可能となる。
【0044】
上記の製造方法により出来上がった泡盛の濁り酒は、従来の泡盛のような透明感はなく、また、清酒の濁り酒とも若干異なり、淡く均一に白濁した独特の濁り酒となっている。
【0045】
また、味わいにおいても、通常の泡盛とは若干異なり、柔らかなのど越しと、濁り酒らしい、コクのある味わいとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による泡盛にごり酒の製造工程を示すフロー図である。
【図2】本発明による凝固物を用いた泡盛にごり酒の製造工程を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0047】
S−1 硬水加水工程
S−2 軟水加水工程
S−3 保安ろ過工程
T−1 乾燥処理工程
T−2 粉末処理工程
T−3 白濁処理工程
【出願人】 【識別番号】506428609
【氏名又は名称】有限会社島酒家
【出願日】 平成19年1月16日(2007.1.16)
【代理人】 【識別番号】100138726
【弁理士】
【氏名又は名称】島袋 勝也


【公開番号】 特開2008−173009(P2008−173009A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−6544(P2007−6544)