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【発明の名称】 着色混成酒
【発明者】 【氏名】山下 英一

【氏名】隅田 元博

【要約】 【課題】従来の着色混成酒の欠点である保存陳列時の退色の問題を解消すること。

【解決手段】各種の蒸留酒の着色に利用されてきたコチニールと同じアントラキノン系の天然色素であっても、ラック色素によって着色した混成酒は従来の着色混成酒よりも色あいが同系統の色調を有し、コケニールよりも光に対して安定した特性があることを見出して利用したもので、弱酸性の蒸留酒に、ラック色素を蒸留酒1000ml当たり、0・1g〜2・0g添加混合した着色混成酒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱酸性の蒸留酒に、ラック色素を添加混合したことを特徴とする着色混成酒。
【請求項2】
弱酸性の蒸留酒に、ラック色素を蒸留酒1000ml当たり、0.1g〜2.0g添加混合したことを特徴とする請求項1記載の着色混成酒。
【請求項3】
弱酸性の蒸留酒に、さらにガムシロップやその他のリキュール形成用の副原料を添加したことを特徴とする請求項1又は2記載の着色混成酒。
【請求項4】
ラック色素が溶剤を配合した液状のラック色素製剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色混成酒。
【請求項5】
混成酒の着色を水割りによってオレンジ色からバイオレット色に変化させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色混成酒。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、pHが中性から弱アルカリ性のミネラルウォータで割ることにより色合いが変化する色素によって着色した混成酒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、蒸留酒にグレナディン・シロップを添加混合してオレンジ色に着色した混成酒が知られている(特許文献1)。
【0003】
ところが、元来オレンジ色を呈するグレナディン・シロップは、その中に含まれるコチニール色素が紫外線により分解して時間の経過とともに退色し商品価値が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、この混成酒における退色の問題を解消するために、下記特許文献2、3には、蒸留酒にコチニール色素を多量に添加混合することによって着色量を強くし、これによって退色を目立たなくなるようにした混成酒が提案されている。
【0005】
この混成酒は、長期間保存してもその退色の程度が目立つことがなく、また、弱アルカリ性のミネラルウォータ、炭酸水で割ることによって赤色やバイオレット色に変化させることができ、飲用に際して、その色合いの変化を楽しむことができるものである。
【特許文献1】特開昭63−63371号公報
【特許文献2】特開2001−8677号公報
【特許文献3】特開2002−191349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、コチニールを添加混合した混成酒は、グレナディン・シロップを含有させた混成酒程ではないにしても、光が当たる場所に陳列保管された場合には、時間の経過とともに退色し商品価値の低下は免れないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、従来の着色混成酒の欠点である保存陳列時の退色の問題を解消することにあって、光が当たる場所に長期間にわたって陳列保管しても退色することのない混成酒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来から各種の蒸留酒の着色に利用されてきたコチニールと同じアントラキノン系の天然色素であっても、ラック色素によって着色した混成酒は従来の着色混成酒よりも色合いが同系統の色調を有し、コチニールよりも光に対して安定した特性があることを見出して利用したものである。
【0009】
本発明の混成酒を得るために使用する蒸留酒としては、焼酎、ウオッカなどの弱酸性のものが使用できる。
【0010】
ラック色素は、カイガラムシ科ラックカイガラムシが分泌する樹脂状物質を、室温の常温水あるいは沸騰下の熱水などの水分によって抽出して得られるアントラキノン系の天然色素である。それ自体は、酸性溶液中でオレンジ色、中性溶液中で赤色を呈する。タンパク質が存在する環境のもとで紫変するため、通常はミョウバン、酒石酸ナトリウムの存在の下で色調を安定させる。通常は、かまぼこ、ハム・ソーセージ、漬物、餡、ゼリー、アイスクリーム、ポリジュースのための色素として幅広く使用されているものである。
【0011】
耐光性については、ラック色素は、コチニール色素より若干優れているが、混成酒の着色剤として使用した場合、それを商品として光の当る場所で陳列した場合には、混成酒の退色の程度は、ラック色素を用いた場合の方が、コチニールを用いた場合より明らかに色の残りの具合が良い、言い換えれば耐光性はラック色素を用いた場合の方が遙かに優れていることを意味する。
【0012】
本発明において蒸留酒の着色剤として使用するラック色素は、コチニール色素と比べ若干オレンジ色がかった暗みのある色調となるが、pHに対する挙動に両者はさほど差はなく、アルコールに対する溶解性は添加混合する蒸留酒のアルコール度数が高くなる程、ラック色素の方が良い。 また、ラック色素それ自体は、長期間保存しても変質せず安定しており、また、衛生面においてもコチニール色素と同様に問題はない。コチニール色素は、水に溶けやすく、ラックには水に溶けにくいという性質があり、着色した液に沈殿を生じさせる欠点がある。その反面、一度着色してしまえば、水に溶出しにくい利点がある。
【0013】
本発明は、弱酸性であってアルコール度数が高くなる程溶解性は良くなるという性質を利用することによって水溶性には劣る欠点を解消し、耐光性には優れているというラック色素の利点を活かすことに成功したものである。
【0014】
得ようとする混成酒のオレンジ色の濃淡は、添加するラック色素の量によって調整でき、添加するラック色素の量は、蒸留酒のアルコール量にもよるが、40度以下の通常の焼酎その他の蒸留酒の場合、1000ml当たり0.1g〜2.0g程度の添加混合で混成酒として一般のリキュール並のオレンジ色の鮮やかな色調を得ることができる(実施例参照)。また、本発明のラックによって着色した混成酒は、水や湯による割り量に応じて、オレンジ色からバイオレット色に変化し、同じアントラキノン系の天然色素のコチニールを添加混合した場合と比較して同系統の色調を有し、コチニールよりも光に対して安定しているという特長がある。
【0015】
また、本発明の混成酒には、通常のリキュールに配合されているガムシロップや他の副原料を任意添加できるが、その添加によって使用する蒸留酒の透明度と弱酸性を失われない性質を有するものが、その耐光性と水割りする場合の色合いの変化の鮮やかさを失われないようにするのに都合がよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の混成酒は、透明な弱酸性の蒸留酒に、ラック色素を添加混合することで一般のリキュール並のオレンジ色の混成酒が得られ、この混成酒の鮮やかな色合いを室内光の下でも長く維持できる。
【0017】
また、飲酒に際しては、水又は湯で割ることでオレンジ色からバイオレット色に変化させて色彩の変化を楽しむこともできる。
【0018】
本発明の混成酒は、単独のみではなく、各種リキュールの原料酒として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、実施例によって本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0020】
本発明の混成酒のための蒸留酒として、pHが約5.0の長崎大島醸造造株式会社製のアルコール度が25度の市販の麦焼酎である市販名「いつもの奴」を用い、これに着色料としてラック色素10.0質量%、プロピレングリコール溶剤90.0質量%を配合した液状のラック色素製剤(「ラッカインレッドL」キリヤ化学株式会社製)を用いた。
【0021】
麦焼酎1000ccとラック色素製剤0・5gを常温下で混合して、鮮やかな色調のオレンジ色に着色した。着色した混成酒のpHは4.7であった。
【0022】
この混成酒は、平均18℃の日光の下で2日間放置しても、オレンジ色の色調を確認することができた。
【0023】
これに対して、同量のコチニール色素を添加混合し得た同色系の混成酒は、2日間でほぼ退色してしまい、いわゆるリキュール基礎剤としての商品価値は低下した。
【0024】
次ぎに、この混成酒を常温の水道水を一日放置した水によって、水割りした際の変色の程度を調べた。結果を表1に示す。
【表1】


【0025】
上記の色調の変化は、混合割合が5:5から2:8までの間では極めて明瞭であった。また、ラック色素製剤の混合量を変化させてお湯割りによる色合いの変化を調べたところ、ラック色素製剤の添加量が、焼酎1000ml当たり、0.1g未満、または、2・0gを超える場合には色合の変化が見づらくなった。 従って、肉眼で色調の変化を明確に出現するための範囲としては、0.1〜2.0gの範囲が都合がよいことが分かった。
【0026】
本発明のラック色素によって着色された混成酒は、従来、各種の蒸留酒の着色に利用されてきたコチニールを添加混合した場合と比較して同系統の色調を有していた。
【0027】
上記実施例においては、蒸留酒として麦焼酎を使用した例について説明したが、pHが4〜6の範囲内であって、無色透明または半透明であれば、単一に限らず混合酒であっても同様の効果があることが分かった。
【出願人】 【識別番号】399095069
【氏名又は名称】長崎大島醸造株式会社
【出願日】 平成18年12月26日(2006.12.26)
【代理人】 【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益

【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人


【公開番号】 特開2008−161057(P2008−161057A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−350469(P2006−350469)