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【発明の名称】 真空蒸米冷却調湿方法およびその装置
【発明者】 【氏名】日向野 三雄

【氏名】齋藤 銑四郎

【氏名】高橋 藤一

【要約】 【課題】清酒醸造用蒸米の冷却、調湿作業を定量的に、かつ短時間で行える真空蒸米冷却調湿方法および装置の提供。

【解決手段】蒸米を収納密閉する真空容器と、この容器内を高度真空度に保持し蒸米の水分を蒸発させその蒸発潜熱により冷却させる真空ポンプ20と、その蒸発させた水蒸気を復水する凝縮器14と、凝縮器内の冷却管群と冷却水を還流させる冷却水循環装置19と,蒸米から蒸発させた水分の減量を常時計測する電子はかり13と、蒸米の含水率を目標値に設定して前記真空ポンプを停止させるパソコンと、雑菌除去できる空気導入装置11を含む装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗米浸積された浸積米を蒸煮し蒸煮終了後、真空容器内で減圧中に蒸米の水分を急速に蒸発させて、その蒸発潜熱により蒸米全体を均一に冷却させることを特徴とする真空蒸米冷却方法。
【請求項2】
洗米浸積された浸積米を蒸煮し蒸煮終了後、真空容器内で減圧中に蒸米の水分を急速に蒸発させて、蒸米全体を均一に調湿してまた蒸米の含水率を目標値まで迅速にかつ定量的に調湿させることを特徴とする真空蒸米調湿方法。
【請求項3】
洗米浸積された浸積米を蒸煮し蒸煮終了後、真空容器内で減圧中に蒸米から急速に蒸発させた水蒸気を迅速に復水させて昇圧防止させることを特徴とする真空保持方法。
【請求項4】
蒸煮米を収容し密閉する真空容器と、その真空容器内を高真空度に保持し蒸米の水分を蒸発させてその蒸発潜熱により冷却させる真空ポンプと、その蒸発させた水蒸気を冷却管群に接触させて復水に戻し真空容器内を高真空度に保持する凝縮器と、凝縮器内の冷却管群に冷却水を送り込み還流した温水を再び冷水にする冷却水循環装置と,蒸米から蒸発させた水分の減量を常時計測し蒸米の含水率が目標値に到達したことを定量的に確認できる電子はかりと、減圧中の真空容器に大気圧の空気を導入する際に雑菌を除去する空気導入装置を備えることを特徴とする真空蒸米冷却調湿装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主として清酒醸造業における蒸米を蒸煮した後、真空冷却させて蒸米全体の温度および含水率を均一にかつ定量的にさらに迅速に仕上げられる真空蒸米冷却調湿方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸煮された蒸米をネットコンベヤまたはスチールベルト(開孔ステンレス製薄板)のコンベヤの上に堆積し、このコンベヤを通過する際、大気を蒸米に当てて冷却するか、冷風を作り蒸米に当てて冷却してながら水分を飛ばしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、コンベヤ上の蒸米を連続的に冷却する際に、蒸米の表面に大気もしくは冷風を当てるために、蒸米の堆積層の内部と上面、下面との間に温度差が生じる恐れがあった。従って蒸米の表面温度は目標温度に冷却されていても、内部温度が下がっていないために、コンベヤ上を通過し終わった蒸米の温度が表面と内部で均一でないという問題があった。
【0004】
また、コンベヤ上の蒸米を連続的に冷却する際に、蒸米の表面に大気もしくは冷風を当てるために、蒸米表面の水分は蒸発させることができるが、内部に篭っている水分は時間をかけないと、なかなか減少させることができない。従って蒸米の含水率は表面では目標値まで下がっていても、内部では下がっていないために、コンベヤ上を通過し終わった蒸米の含水率が表面と内部で均一でないという問題があった。
【0005】
さらに、大気または冷気を蒸米に直接当てるから、蒸米の堆積層の表面層では米がガラス化して麹菌の生育が困難な状況になり、少なくない破棄米が生じていた。
【0006】
なお、大気または冷気を蒸米に直接当てるから、冷却工程で蒸米が大気中または冷気中の雑菌により汚染される恐れがあった。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点を解決するために、従来技術の問題点を有効に解決し、蒸米の表面と中心部との温度差がなく、かつ蒸米全体の含水率が均一化され、米のガラス化および雑菌による汚染の恐れがなく、清酒の醸造に最適な状態の蒸米を確保する真空米冷却調湿方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために、本発明は、洗米浸積された浸積米を蒸煮し蒸煮終了後、真空容器内を高度真空度に保持し、蒸米の水分を蒸発させてその蒸発潜熱により冷却させ、その冷却温度を好適な10度C〜30度Cにすることを特徴とする真空蒸米冷却方法である。
【0009】
また、本発明は、浸積米を蒸煮終了後、真空容器内で減圧中に蒸米の水分を急速に蒸発させて、蒸米の含水率を目標値32〜33質量%まで迅速にかつ蒸米全体を均一に調湿させることを特徴とする真空蒸米調湿方法である。
【0010】
さらに、本発明は、浸積米を蒸煮終了後、蒸米を収納密閉する真空容器と、前記真空容器内を高度真空度に保持して蒸米の水分を蒸発させその蒸発潜熱により冷却させる真空ポンプと、その蒸発させた水蒸気を冷却管群に接触させて復水に戻し真空容器内を高真空度に保持する凝縮器と、凝縮器内の冷却管群に冷却水を送り込み還流した温水を再び冷水にする冷却水循環装置と,蒸米から蒸発させた水分の減量を常時計測する電子はかりと、蒸米の含水率を目標値に設定して前記真空ポンプを停止させるパソコンと、減圧中の真空容器に大気圧の空気を導入する際に雑菌を除去する空気導入装置を備えることを特徴とする真空蒸米冷却調湿装置である。
【0011】
このように、蒸煮米を密閉して前記真空容器内を高真空度に保持し、蒸米の水分を蒸発させその蒸発潜熱により、蒸米の表面と中心部とに温度差がなく、また含水率が蒸米全量のどこでも均一に調湿され、蒸米のガラス化や雑菌による汚染の恐れもない清酒の醸造に最適な蒸米を確保するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の真空蒸米冷却調湿方法および装置は、蒸米を高度真空度の真空容器内に保持し、蒸米の水分を蒸発させその蒸発潜熱により、その冷却温度を10度Cないし30度Cに冷却させることによって、従来技術の問題点が有効に解決され、蒸米の表面と中心部との温度差がなく冷却され、蒸米全量に温度差がなく、蒸米の含水率がどこでも均一に調湿され、蒸米のガラス化や雑菌による汚染の恐れもなく、後の工程における処理も効果的となり清酒の醸造に最適な蒸米を有効に確保するものである。また、蒸米の調湿作業が、従来手法に比較して非常に迅速に行われることは、酒造工程の作業時間の大幅な短縮に繋がり、製品コストの低減化、労働環境の改善に貢献する可能性が大いにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の一実施形態である真空蒸米冷却調湿装置の概略構成図を示している。真空蒸米冷却調湿装置1は、主として、真空容器釜6とその蓋である真空容器蓋3から成る真空容器と、凝縮器14と、真空ポンプ20と、電子はかり13およびパソコン(図示省略)とから構成されている。
【0015】
なお、真空容器蓋3には真空計2が設置され、気密シール材4で真空容器釜6との間で気密性が保持される。また、真空容器釜6には、その内部底部付近に蒸米堆積用として有孔板8と、そこに堆積した蒸米の温度を計測する温度センサ10と、減圧中の真空容器に大気圧の空気を導入する際に雑菌を除去する空気導入装置11および空気導入弁12と、そして釜底部にドレーン弁9が設置されている。
【0016】
凝縮器14は、その内部の上部に設置された冷却管群15に冷却水を送り込み還流した温水を再び冷水にする冷却水循環装置19と、ドレーン弁18と、真空容器から減圧ライン弁5を介した配管と、真空ポンプ20とを連結する配管から成る。
【0017】
以上のような構成により、真空容器蓋3を開放して蒸米を真空容器内に入れ、真空容器蓋3を閉めて気密シール材4で真空容器釜6との間の気密性を保持しながら、真空ポンプ20を起動して前記真空容器内を高度真空度に保持し、その蒸発潜熱により蒸米の水分を蒸発させる。その際、真空容器を載せた電子はかり13は、始めに蒸米を堆積させて蓋3を閉めた直後の真空容器と蒸米の合計質量を、続いて真空ポンプ20で減圧中の真空容器と蒸米の合計質量を計測して、蒸米から蒸発した水分の減量を常時表示する。この水分減量と真空容器に投入された直後の蒸米の質量との差からから真空冷却調湿作業中の蒸米の含水率がパソコンを使用して算出される。
【0018】
なお、パソコン(図示省略)には真空蒸米冷却調湿装置運転および含水率設定プログラムがインストールされており、この含水率設定により真空ポンプ20を起動し、真空状態に達すると、蒸米中の水分が蒸発するために、蒸発潜熱により蒸米は冷却され、蒸発した水分の減量が電子はかり13で計測され、設定した蒸米含水率の目標値に到達すると、空気導入弁12を開けて真空容器の内圧を大気圧に戻し、真空ポンプ20を停止させる。この後、真空容器蓋3を開放して、冷却され調湿された蒸米を真空容器釜6から取り出すことにより一連の作業は完了する。
【実施例2】
【0019】
図2は真空蒸米冷却調湿テストの結果を示している。
本実施例では、真空蒸米冷却調湿装置として、直径600mm、高さ250mm、内容積約70リッターの容量の真空容器を使用し、これに試料として精米率50%、質量20キログラムの酒米(山田錦)を初期含水率37.5%、初期温度約45度Cで投入した場合である。
【0020】
図2において蒸米温度40度C未満は、蒸米に麹菌を散布するに適する温度である。また蒸米温度40度C未満は、かけ米として酒の製造に適する温度である。
【0021】
図2において蒸米の含水率32〜33質量%は、製麹工程では最も望ましい値である。
【0022】
このように、真空蒸米冷却調湿装置により、真空容器内で蒸米中の水分を飛ばし、その際の蒸発潜熱により、90分後には蒸米は10度Cに冷却され、蒸米の表面と中心部との温度差がなく温度が均一化され、また90分後には蒸米中の含水率は32.5質量%になり、その分布が均一化されて、蒸米のガラス化や雑菌による汚染の恐れがなく、取り出された蒸米は直ちに製麹工程および清酒の仕込み工程に移ることが可能である。
【0023】
特に製麹工程で最も望ましいとされる蒸米の含水率を32〜33質量%に仕上げる時間は、従来手法では半日程度と言われているが、この真空蒸米冷却調湿方法の所要時間は1時間30分と非常に短時間であり、非常に迅速な蒸米調湿方法であることが実証された。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜の設計的変更を行うことにより、他の形態においても実施し得るもので、例えば麹を作った後の保存用乾燥もこの方法によって水分をさらに除き乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明装置の1例を示す全体概略構成図である。(実施例1)
【図2】本発明装置の1例で実施した真空蒸米冷却調湿テストの結果である。(実施例2)
【符号の説明】
【0026】
1:装置本体
2:真空計
3:真空容器釜
4:気密シール材
5:減圧ライン弁
6:真空容器釜
7:蒸米収容部
8:有孔板
9:ドレーン弁
10:温度センサ
11:空気導入装置
12:空気導入弁
13:電子はかり
14:凝縮器
15:冷却管群
16:凝縮水溜部
17:凝縮水
18:ドレーン弁
19:冷却水循環装置
20:真空ポンプ
【出願人】 【識別番号】306039418
【氏名又は名称】日向野 三雄
【識別番号】399079933
【氏名又は名称】株式会社齋彌酒造店
【出願日】 平成18年11月20日(2006.11.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−125415(P2008−125415A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−312781(P2006−312781)