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【発明の名称】 そば焼酎及びその製造方法
【発明者】 【氏名】山口 哲司

【要約】 【課題】そば本来の風味を付加した新規なそば焼酎並びにその製造方法を提供する。

【解決手段】一次仕込において麹米に汲水及び酵母を加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cの醪温度で3〜5日間かけて発酵を図り一次醪を得る。そして更に、二次仕込においては、本発明の特徴である麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を掛原料として、二次仕込用の麹米及び汲水と共に上記一次醪に加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cで7〜10日間かけて発酵させて二次醪と成し、続いて当該二次醪を単式蒸留機に移し、加熱、蒸留してそば焼酎を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そば焼酎の製造方法の二次仕込において、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を掛原料として用いて製造したことを特徴とする、そば焼酎。
【請求項2】
そば焼酎の製造方法の二次仕込において、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を掛原料として用いて製造することを特徴とする、そば焼酎の製造方法。

【請求項3】
一次仕込において麹米に汲水及び酵母を加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cの醪温度で3〜5日間かけて発酵を図り一次醪を得、更に、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を二次仕込の掛原料として、二次仕込用の麹米及び汲水と共に上記一次醪に加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cで7〜10日間かけて発酵させて二次醪と成し、続いて当該二次醪を単式蒸留機に移し、加熱、蒸留して製造したことを特徴とする、そば焼酎。
【請求項4】
一次仕込において麹米に汲水及び酵母を加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cの醪温度で3〜5日間かけて発酵を図り一次醪を得、更に、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を二次仕込の掛原料として、二次仕込用の麹米及び汲水と共に上記一次醪に加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cで7〜10日間かけて発酵させて二次醪と成し、続いて当該二次醪を単式蒸留機に移し、加熱、蒸留することを特徴とする、そば焼酎の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、そば本来の風味を付加したそば焼酎及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
そばの原産地は東南アジア北部といわれ、中国・朝鮮から日本に渡来したと言われている。また、そばは奈良時代以前から食用として栽培されてきたが、そば焼酎は1973年頃宮崎県の酒造場が開発したものとされ、清酒等と比べれば極めてその歴史は浅い。一方、そば焼酎には独特の煎りと旨味に特徴があり、味わいには独特のコクがあり、ふんわりと柔かく、ほんのりとした甘みがそば焼酎ファンに支持される理由と言われている。

【0003】
ところで、従来のそば焼酎は、原料処理、製麹、一次醪、二次醪、蒸留、貯蔵、割水、瓶詰等の工程によって製造されことが一般的である。先ず、原料処理においては麹原料である米または麦を水洗いし、一定時間浸漬して水切り後に蒸しを行なう。次に、製麹においては蒸米または蒸麦を冷却してから種麹(白麹菌または黒麹菌)の胞子を散布してよく混ぜ合わせ、約40時間かけて麹をつくる。続いて、一次醪は上記麹に水を加え、櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cの醪温度で5〜6日間かけて酵母の増殖を図る。続いてまた、二次醪においては、予めそば種子類に対して30〜40%程度の撒水をして、1時間以上吸水させて、50分間程度蒸しを行なうか、又は、予めそば種子類を水に30分間浸漬し、水切りを2時間程度行なって40分程度蒸す方法によって処理された蒸しそば原料と、水とを上記一次醪に加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cで13〜15日間かけて発酵させる。更にまた、蒸留においては上記二次醪を単式蒸留機に移し、加熱して蒸留する。そして、貯蔵では上記蒸留によって生成された原酒をステンレス製等のタンクに入れて貯蔵することにより、焼酎を熟成させる。そしてまた、割水においては焼酎原酒を加水して、アルコール度数を調整する。そして最後に、瓶詰においては上記アルコール度数を調整した焼酎を仕上げ濾過し瓶詰して市販のそば焼酎としていた。
【0004】
ここで、上記従来のそば焼酎の製造工程において特に注意を要する部分は、二次仕込に用いられるそば種子類に対する吸水及び糊化手段であると指摘されている。即ち、上記二次仕込において記載の限定吸水操作を誤るとそば種子類に粘りが発生し、二次仕込におけるタンクへの投入に支障を生じるという問題、撒水率の厳守や撒水時の吸水むらによって品質が低下する問題等があり、細心の注意を要するという課題がある。以上のような問題を解決する方策として、特開2001−95511に係る発明が見受けられる。上記特開2001−95511は、そば種子類を吸水させずそのまま又は乾燥させて、加熱処理する方法により得られたそば種子類処理物は、吸水操作において長時間浸漬させても、更にその後に糊化を行っても粘りが発生しないとの知見に基づき成されたものと考えられ、そば種子類処理物において、そば種子類をそのまま又は乾燥させて、焙炒処理を除く加熱処理を行なうことにより粘りを低下させたことを要旨とするものであった。
【特許文献1】特開2001−95511
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記背景技術に記載の問題等に鑑み成されたものであり、二次仕込において用いられるそば原料の処理に対して限定吸水させる等の細心の注意を要さず、極めて安定したそば原料によって、そば本来の風味を付加した新規なそば焼酎並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため成されたものであり、そば焼酎の製造方法の二次仕込において用いられるそば種子類に対する長時間の吸水又は吸水後の糊化に伴う粘りの発生問題について鋭意研究した結果、意外にも、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱して糊化した蒸そば麺を二次仕込の掛原料として用いることによって、製造工程上の作業性が良好であると共に、そば本来の風味を付加したそば焼酎が得られるとの知見を得て、本件発明に至ったものである。
【0007】
即ち、本発明に係るそば焼酎は、そば焼酎の製造方法の二次仕込において、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を掛原料として用いて製造したことを第一の要旨とするものである。
【0008】
更に、本発明に係るそば焼酎の製造方法は、そば焼酎の製造方法の二次仕込において、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺をそば原料として用いて製造することを第二の要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のそば焼酎は、従来のそば焼酎に比較し特有の青臭さ、苦味感、えぐ味等のないものであって、焼酎としての味が良好で、ほんのりとした甘みに加え、そば本来の高貴な香りを秘めた高品位なそば焼酎とすることができる。
【0010】
更に、本発明に係るそば焼酎の製造方法によれば、そば焼酎の製造方法の二次仕込において、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺をそば原料として用いるものであるから、そば原料の不用意な粘りの発生からタンクへの投入操作に支障を生じるという問題、撒水率の厳守や撒水時の吸水むらによって品質が低下するという問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
本発明に係るそば焼酎の製造方法は、一次仕込において麹米に汲水及び酵母を加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cの醪温度で3〜5日間かけて発酵を図り一次醪とする。そして更に、二次仕込においては、本発明の特徴である麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を掛原料として、二次仕込用の麹米及び汲水と共に上記一次醪に加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cで7〜10日間かけて発酵させて二次醪を製造するものとする。そして、その後の蒸留、貯蔵、割水、瓶詰については従来の方法に従うことができ、蒸留においては上記二次醪を単式蒸留機に移し、加熱して蒸留する方法によることができる。そして、貯蔵では上記蒸留によって生成された原酒をステンレス製等のタンクに入れて貯蔵することにより、焼酎を熟成させる。そしてまた、割水においては焼酎原酒を加水して、アルコール度数を調整する。そして最後に、瓶詰においては上記アルコール度数を調整した焼酎を仕上げ濾過し瓶詰して市販のそば焼酎とすることができる。またこの際、麺線化したそば麺の製造方法については、限定されるものではなく、そば粉と水のみから成る所謂十割そばであっても、小麦粉等のつなぎ材が入ったそば麺であっても良い。更に、麺線の状態についても長短・太細を問わない。続いて、本発明に係るそば焼酎は、一次仕込において麹米に汲水及び酵母を加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cの醪温度で3〜5日間かけて発酵を図り一次醪を得、更に、麺線化したそば麺を20〜30分間蒸熱し糊化した蒸そば麺を二次仕込の掛原料として、二次仕込用の麹米及び汲水と共に上記一次醪に加え櫂棒等でよく撹拌し、25〜30°Cで7〜10日間かけて発酵させて二次醪と成し、続いて当該二次醪を単式蒸留機に移し、加熱、蒸留して製造したもので良い。
【0013】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
二次仕込の掛原料として、玄そばを挽いてそば粉を得、当該そば粉と水のみによって製麺した、所謂十割そばの麺線使用して、そば焼酎の製造を行った。一次仕込の原料としては、乾燥麹米及び汲水を用い、二次仕込の掛原料にはそば麺、乾燥麹米及び汲水を用いた。その際の仕込配合を表1に示す。
【0015】
【表1】


【0016】
ここで、一次仕込は乾燥麹米100kgに汲水140リットル、酵母100gを加えて醸造タンクに仕込を行った。またその後、2回の櫂入れを行い3日目の一次醪の品温は29°C、アルコール度数は12.1度であった。
【0017】
次に、4日目において二次仕込を行った。この際の仕込は、一次醪に対する掛原料として、そば麺250kg、乾燥麹米20kg及び汲水450リットルを加えたものである。この際、二次仕込用の掛原料であるそば麺は、玄そば270kgを製粉機によって処理して200kgのそば粉を得、これに所要量の水のみを加えて十割そばとして麺線化しそば麺を製造し、次に当該そば麺を25分間蒸熱して蒸そば麺250kgとしたものである。
【0018】
続いて、以上のように二次仕込を行い、その後6回の櫂入れを行い6日間発酵させて蒸留前の二次醪を得た。この時点での品温は22.5°C、アルコール度数は15.3度であった。また、一次仕込から二次醪までの時系列的な操作及び要素の変化を表2に示した。
【0019】
【表2】


【0020】
更に続いて、上記二次醪を単式蒸留機に移し、加熱、蒸留して本発明に係るそば焼酎を製造した。そして、一次仕込、二次仕込、蒸留段階の実数量とアルコール度数の経過を下記の表3に示す。
【0021】
【表3】



【0022】
上記のようにして製造した本発明のそば焼酎と市販のそば焼酎4品を加えた、全5品目についてパネラー6名によって、官能検査を実施し、その結果を下記の表4から表8に示した。ここでの評点は、味について、非常に良い・・・5点、良い・・・4点、普通・・・3点、やや劣る・・・2点、劣る・・・1点。また、香りについて、良くそばの香りが出ている・・・5点、そばの香りが出ている・・・4点、普通・・・3点、今ひとつ出ていない・・・2点、出ていない・・・1点。総合評価について、全体のバランスが非常に良い・・・5点、全体のバランスが良い・・・4点、普通・・・3点、バランスがやや欠ける・・・2点、バランスに欠ける・・・1点。
【0023】
【表4】


【0024】
【表5】


【0025】
【表6】


【0026】
【表7】


【0027】
【表8】


【0028】
上記各表の結果のように、本発明に係るそば焼酎は、市販の従来品に比較し、焼酎としての味が良好で、そば本来の高貴な香りを有した高品位なそば焼酎であるとの評価を得た。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、蒸熱処理した蒸そば麺を二次仕込の掛原料に用いるという独特な製造方法によって高品位なそば焼酎を工業的規模によって生産することができると共に、本発明に係るそば焼酎は、ほんのりとした甘みを具備する一方そば本来の高貴な香りを醸しだす高品位なそば焼酎である。
【出願人】 【識別番号】300028252
【氏名又は名称】笹の川酒造 株式会社
【出願日】 平成18年10月20日(2006.10.20)
【代理人】 【識別番号】100074686
【弁理士】
【氏名又は名称】本名 昭


【公開番号】 特開2008−99620(P2008−99620A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−285675(P2006−285675)