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【発明の名称】 スフィンゴ脂質含有組成物の製造方法
【発明者】 【氏名】向井 克之

【氏名】松村 賢次

【要約】 【課題】安全性が高く、配合時の問題もなく、抽出に要する溶媒の使用量も低く抑えることが可能なスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法を提供する。

【解決手段】カンキツ類の果実を搾汁して得られる搾汁残さに有機溶剤を添加し、該有機溶媒中にスフィンゴ脂質を抽出することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法、カンキツ類の果実を搾汁して得られる搾汁残さに酵素を添加して酵素処理することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法、又はカンキツ類の果実を搾汁して得られる果汁を、重遠心分離して沈殿部を回収することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンキツ類の果実を搾汁して得られる搾汁残さに有機溶剤を添加し、該有機溶剤中にスフィンゴ脂質を抽出することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法。
【請求項2】
カンキツ類の果実を搾汁して得られる搾汁残さに酵素を添加して酵素処理することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法。
【請求項3】
カンキツ類の果実を搾汁して得られる果汁を、重遠心分離して沈殿部を回収することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法。
【請求項4】
カンキツ類の果実を搾汁して得られる果汁を、軽遠心分離して上清を得、次いで重遠心分離して沈殿部を回収することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法。
【請求項5】
カンキツ類の果実を剥皮した後に搾汁する請求項1〜4のいずれかに記載のスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られたスフィンゴ脂質含有組成物を含むことを特徴とする機能性食品。
【請求項7】
皮膚の美容用であることを特徴とする請求項6記載の機能性食品。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、みかん及びオレンジなどのカンキツ類に含まれるスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法及びそれを含む機能性食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴ脂質には、最近の研究の結果から様々な機能性があることが明らかとなってきている。例えば、スフィンゴ脂質であるセラミド及びグリコシルセラミドは、ヒトの角質層に多く存在し、体内から水分の蒸散防止と外部刺激からの防御の役割を担っていることが明らかとなっている。
【0003】
また、スフィンゴ脂質は基礎化粧品に配合されて保湿剤として、シャンプー・リンスなどに配合されて髪のダメージ防止剤として、様々な化粧品・医薬部外品に使用されている。
【0004】
これらスフィンゴ脂質は、動物・植物から抽出されたもの、又は化学合成により製造されたものなどが使用されているが、用途を食品に限定した場合、動物由来は感染の危険性があり、化学合成品は食品として利用の制約があるため、現在では植物由来のスフィンゴ脂質が食品として主に使用されている。スフィンゴ脂質の中でもグリコシルセラミドとしては、コメ(非特許文献1)及び米糠(特許文献1)、小麦(非特許文献2)、大豆(特許文献2)、とうもろこしなど穀類・豆類由来のものが従来用いられてきたが、遺伝子組み替えやアレルギーの心配がされていた。
【0005】
そこで、これら穀類・豆類由来のグリコシルセラミドに代わるものとして、こんにゃく芋(特許文献3)などからの由来のものが食品として安全性が高いことから、多く使用されている。
【0006】
しかしながら、こんにゃく由来のグリコシルセラミドは、こんにゃく芋特有の臭いの問題があり、配合する食品によっては使用に際し、香料などを過剰添加する必要がある。これら従来技術によるグリコシルセラミドは、安全性の問題や配合時の問題を抱えており、そのような問題のないグリコシルセラミドが待ち望まれていた。
【0007】
カンキツ類のグリコシルセラミド量を測定した文献としては、非特許文献3や非特許文献4がある。非特許文献3中には、温州みかん皮中のグリコシルセラミド含有量として18mg/100g、非特許文献4中には、温州みかん中のグリコシルセラミド含有量として4.9mg/100gとの記述があるが、この程度の含有量では小麦やこんにゃくの方が含有量が高く、原料として用いても溶媒の使用量が多くなるなど、様々な問題がある。
【非特許文献1】Agric. Biol. Chem. 49, 2753 (1985)
【特許文献1】特開平5−38273号公報
【非特許文献2】Agric. Biol. Chem. 49, 3609 (1985)
【特許文献2】特開2000−159663号公報
【特許文献3】特許3650587号公報
【非特許文献3】Bioresource Tech. 96, 1089-1092 (2005)
【非特許文献4】Lipids 34, 1231-1237 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安全性が高く、配合時の問題もなく、抽出に要する溶媒の使用量も低く抑えることが可能なスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、カンキツ類の果実の搾汁残さにグリコシルセラミドが多く含まれることを見出し、また、少ない有機溶剤量で抽出が可能であること、また酵素処理により濃縮が可能であること、もしくは遠心分離操作を組み合わせることにより濃縮が可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
【0010】
すなわち本発明の第一は、カンキツ類の果実を搾汁して得られる搾汁残さに有機溶剤を添加し、該有機溶剤中にスフィンゴ脂質を抽出することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法を要旨とするものである。
【0011】
本発明の第二は、カンキツ類の果実を搾汁して得られる搾汁残さに酵素を添加して酵素処理することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法を要旨とするものである。
【0012】
また本発明の第三は、カンキツ類の果実を搾汁して得られる果汁を、重遠心分離して沈殿部を回収することを特徴とするスフィンゴ脂質含有組成物の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、カンキツ類の果実を搾汁して得られる果汁を、軽遠心分離して上清を得、次いで重遠心分離して沈殿部を回収することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第四は、上記したいずれかに記載の方法により得られたスフィンゴ脂質含有組成物を含むことを特徴とする機能性食品を要旨とするものであり、好ましくは、皮膚の美容用であることを特徴とする前記の機能性食品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少量の有機溶剤や酵素を用いることで、安全性の高いスフィンゴ脂質を容易に抽出・濃縮することができ、様々な食品に配合することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明におけるカンキツ類とは、ミカン科などに属する植物を挙げることができる。より具体的には、イヨカン、温州みかん、オレンジ、カボス、カワバタ、キシュウミカン、清見、キンカン、グレープフルーツ、ゲッキツ、三宝柑、シイクワサー、ジャバラ、スウィーティー、スダチ、ダイダイ、タチバナ、デコポン、ナツダイダイ、ハッサク、バレンシアオレンジ、晩白柚、ヒュウガナツ、ブンタン、ポンカン、マンダリンオレンジ、ヤツシロ、ユズ、ライム、レモン、カラタチなどを例示することができる。これらの中でも、生産量が多く、搾汁され残さが多く発生するものとして温州みかん、オレンジが好ましい。
【0017】
本発明ではまず、上記したカンキツ類の果実を搾汁する必要がある。搾汁にはインライン搾汁機、チョッパーヘルパー搾汁機、ブラウン搾汁機など従来から用いられているものが好適に使用できる。搾汁した後、パドル型又はスクリュー型のフィニッシャーなどでろ過又は篩別、又は遠心分離により果汁と搾汁残さに分離する。また、果実を剥皮した後に搾汁を行ってもよく、その場合にはピーラーのような機器を用いてカンキツ類の果実の外皮を剥いた後、前述の方法で搾汁して果汁と搾汁残さに分離すればよい。剥皮した果実を用いると、本発明の製造方法によるスフィンゴ脂質含有組成物中のスフィンゴ脂質含有量が増大するため好ましい。このように調製されたカンキツ類の果実の搾汁残さは、そのままでもよいし、これらに対しすりつぶし、破砕、粉砕、加熱、脱水、乾燥などの物理的処理を行ったものでもよい。これらの処理を行うと酵素処理効率、抽出効率が上がるため好ましい。
【0018】
本発明の第一の方法は、上記のようにして得られた搾汁残さに有機溶剤を添加し、その有機溶剤中にスフィンゴ脂質を抽出する方法である。抽出工程に用いる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、エーテル類、ピリジン類、ポリエーテル類、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。これらのうち、本発明においては食品用途に使用するため、安全性の観点から、アセトン、エタノール、ヘキサン、超臨界二酸化炭素を用いるのが特に好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、混合物を用いてもよい。また有機溶剤に水や界面活性剤などの添加物を加えることもできる。
【0019】
抽出に用いる有機溶剤の量としては、特に限定されず被抽出物からスフィンゴ脂質を抽出するのに十分な量であればよい。具体的には、被抽出物の固形分重量に対して0.5〜100倍、好ましくは1〜50倍がよい。
【0020】
抽出の温度は使用する溶剤の沸点にもよるが、例えばエタノールを用いた場合では、好ましくは0℃〜80℃がよい。抽出温度がこの範囲以下であれば抽出効率が低下し、またこの範囲以上であれば溶剤の揮発をもたらし、またエネルギー使用量が増えるのみである。抽出時間は特に限定されないが、抽出効率と作業性から好ましくは10分〜24時間がよい。
【0021】
なお、抽出操作は1回のみの回分操作に限定されるものではない。抽出後の残査に再度新規な溶剤を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶剤を複数回被抽出物に接触させることもできる。すなわち、抽出操作としては、回分操作、半連続操作、向流他段階接触操作のいずれの方式も使用可能である。また、ソックスレー抽出、還流抽出など公知の抽出方法を使用してもよい。
【0022】
抽出後の残さの分離除去も公知の方法で行えばよく、具体的には吸引濾過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、濾過遠心機などを用いればよい。以上の方法によりスフィンゴ脂質含有組成物が得られる。必要に応じてさらに、引き続いて不純物類を取り除いてもよい。不純物の除去方法としては、例えば水洗浄、有機溶媒洗浄、シリカゲルカラムや樹脂カラム、逆相カラムなどを通す方法、活性炭処理、極性の異なる溶媒による分配、再結晶法、真空蒸留法などが挙げられる。
【0023】
このようにして得られたスフィンゴ脂質含有組成物は、その後濃縮やカラムなどによる精製、乾燥、粉末化、担体、乳化剤などへの混合などの処理を行うことにより、あらゆる食品に用いることができる。
【0024】
本発明の第二は、搾汁残さに酵素を添加して酵素処理を施した後、固液分離して固形分を回収する方法であり、この方法により結果的にスフィンゴ脂質が濃縮されることとなる。酵素処理に使用する酵素は、カンキツ類に含まれる有機物、特に細胞壁などを構成する生体高分子などを分解することができるものであれば特に限定されず、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、マセレーションエンザイム(細胞壁崩壊酵素)などが用いられる。これらの中でも糖質加水分解酵素であるセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、マレーションエンザイムがスフィンゴ脂質を濃縮する効率が高いために好ましい酵素である。添加する酵素剤は、これらの精製酵素を用いてもよいし、これらの活性を示す微生物菌体や培養物、これらの粗精製物を用いてもよい。また、市販酵素も用いることができ、例えば、ペクチナーゼには、スミチームPX(新日本化学工業株式会社製)、スミチームSPC(新日本化学工業株式会社製)、ペクチネックスSRL(ノボザイムズジャパン株式会社製)、スミチームPMAC(新日本化学工業株式会社製)などを用いることができ、ヘミセルラーゼには、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)、セルロシンHC(エイチビィアイ株式会社製)などを用いることができ、セルラーゼには、セルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業株式会社製)、エンチロンMCH(洛東化成工業株式会社)、セルラーゼR10(ヤクルト薬品工業株式会社製)、スミチームCAP(新日本化学工業株式会社製)、セルラーゼTP−3(協和化成株式会社)などを用いることができ、プロテアーゼには、プロテアーゼM(天野エンザイム株式会社製)、オリエンターゼ20A(エイチビィアイ株式会社製)などを用いることができる。
【0025】
これらの酵素は単独で用いてもよいし、2種類以上の酵素を混合して用いてもよい。添加する酵素の量は、特に限定されず酵素の反応性に応じて添加すればよい。例えば、ペクチナーゼを用いた場合であれば、搾汁残さ100gに対して1〜100,000ユニットであることが好ましく、更に10〜10,000ユニットであることが好ましい。
【0026】
上記酵素を添加したのち、攪拌などにより酵素と被抽出物を均一に混合して酵素反応を進行させる。このときの反応温度としては、酵素が失活せず、かつ腐敗の起こりにくい条件、またスフィンゴ脂質が喪失しない条件下で行うことが望ましい。具体的には、温度は0℃〜90℃、好ましくは0℃〜80℃、さらに好ましくは0℃〜70℃がよい。反応のpHとしては酵素の至適条件下で行うのが望ましいのは言うまでもなく、pH2〜12、好ましくはpH2.5〜8とするのがよい。反応時間は使用する搾汁残渣と酵素の量に依存するが、通常1〜48時間に設定するのが作業上好ましい。反応の際、この反応物を攪拌しながら反応を行ってもよいし、静置反応でもよい。
【0027】
酵素処理終了後、酵素処理された反応物をそのままスフィンゴ脂質含有組成物としてもよいし、なんらかの加工を行ってスフィンゴ資質含有素組成物としてもよい。具体的には、反応物を固液分離した残さ、固液分離した残さを乾燥させたもの、固液分離せず反応物そのままを乾燥させたものなどを用いてもよい。また、酵素処理された反応物を固液分離し、更に水を添加した後、再度固液分離することにより、酵素処理で生成した糖などの反応生成物を容易に除去することができる水洗浄法を用いると、不純物を簡単に取り除けるため好ましい。更引き続いて不純物類を取り除いてもよい。不純物の除去方法としては、例えば水洗浄・有機溶剤洗浄、アルカリ処理などの化学処理が挙げられる。
【0028】
本発明の第三の方法は、搾汁して得られる果汁を遠心分離処理して得られる、微細なパルプ分である沈殿部を回収する方法である。このような微細なパルプ分には、更にスフィンゴ脂質の含有量が高いため、好ましい原料であり、かつそのままでも機能性食品として利用することが可能である。
【0029】
遠心分離によりスフィンゴ脂質を濃縮する方法としては、軽遠心分離と重遠心分離を組み合わせる方法が好ましい。ここで、軽遠心分離とは、カンキツ類の果実の果汁に含まれる比較的大きな粒子を分離できる方法であり、重遠心分離とは、比較的小さな粒子を分離できる方法である。すなわち、通常の使用においては軽遠心分離の遠心強度を3,000×g・分以下に設定し、重遠心分離の遠心強度を1,500×g・分以上に設定し、かつ軽遠心分離の遠心強度を重遠心分離の遠心強度より低く設定することにより、粒子の小さな果汁中のパルプ分を集めることができる。この小さな粒子の中にスフィンゴ脂質が多く含まれているため、このような操作をすることによりスフィンゴ脂質の濃縮が可能となる。
【0030】
更に、酵素処理による製造方法と同様に、遠心分離により濃縮された粒子そのままを用いてもよいし、なんらかの加工を行ったものを用いてもよい。具体的には、小さなパルプ分そのまま、小さなパルプ分を乾燥させたものなどを用いてもよい。また、遠心分離終了後、更に水を添加し、再度遠心分離すると、混在する糖などの不純物を簡単に取り除けるため好ましい。更に引き続いて不純物類を取り除いてもよい。不純物の除去方法としては、例えば水洗浄・有機溶剤洗浄、アルカリ処理などの化学処理が挙げられる。
【0031】
本発明の第一〜第三の製造方法においては、これらの方法を適時組み合わせることにより、更なるスフィンゴ脂質の濃縮が可能である。例えば、酵素処理した後に有機溶剤を添加してスフィンゴ脂質を抽出する方法や、果汁を遠心分離した後に酵素処理を実施しスフィンゴ脂質を濃縮する方法、果汁を遠心分離した後に有機溶剤を添加してスフィンゴ脂質を抽出する方法など、必要に応じて製造方法を組み合わせることが可能である。
【0032】
上記した本発明の製造方法により得られるスフィンゴ脂質含有組成物に含まれるスフィンゴ脂質とは、スフィンゴシンと称する炭素数14〜24程度からなるアミノアルコールあるいはこれと類似した構造を有する長鎖アミノアルコールと、長鎖脂肪酸などの脂肪酸とがアミド結合した一群の化合物を言い、それらに糖類が結合した化合物や、リン酸基が結合した化合物なども含まれる。脂肪酸は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖であってもよく、1以上の水酸基が置換していてもよい。また、アミノアルコールの水酸基には、糖、リン酸、シアル酸、コリン、エタノールアミンなどが結合していてもよい。糖類としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、ラクトースなどが結合していることが好ましく、特にグルコースが結合していることが更に好ましい。リン酸基が結合したものでは、リン酸基を介してイノシトール、更に糖が結合したスフィンゴ脂質も含まれる。本発明は、特定の鎖長のものや構造のものを対象としているわけではなく、スフィンゴ脂質と呼ばれる全てのものが含まれる。
【0033】
本発明の第四の機能性食品は、上記のスフィンゴ脂質含有組成物を含むものであり、その含有量としては、0.0001質量%〜95質量%であり、好ましくは0.01質量%〜80質量%であり、更に好ましくは0.1質量%〜50質量%である。含有量がこれより少ない場合、本発明の効果発現が少なくなる傾向があり、これより多くしても精製に要する費用が高くなるだけで効果の向上が見込めない。本発明の機能性食品は、1日あたりスフィンゴ脂質として0.01mg〜10mg、好ましくは0.1mgから6mgを摂取できるように製品設計や配合設計することが好ましい。
【0034】
本発明の機能性食品は、さまざまな機能性を発揮することとなるがその中でも特に皮膚の美容に対して効果を発揮する。具体的には、保湿、美白、シワ・しみ・そばかす・にきび・肌荒れ・アトピー性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎・乾皮症・吹き出物の改善、養毛、育毛、枝毛予防などである。
【0035】
本発明の機能性食品を摂取する方法としては、本機能性食品を単独でそのまま摂取してもよいし、粉末、錠剤、顆粒、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ゲル、ペースト、シロップ、懸濁液、乳化液、ドリンク剤などに加工して摂取してもよい。
【0036】
更に本発明の機能性食品は、飲食品、医薬品、医薬部外品などに混合して摂取してもよい。医薬品としては、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、シロップ剤、内服液剤、トローチ剤などの形態で摂取することができる。
【0037】
また、本発明の機能性食品を配合した飲食品は、一般食品、特定保健用食品、健康食品、機能性食品など、すべての食品及び/又は飲料が含まれる。該食品及び/又は飲料は特に限定されるものではなく、例えば上記の医薬品的な形態のものに加え、パン、うどん、そば、ご飯等、主食となるもの、チーズ、ウインナー、ソーセージ、ハム、魚肉加工品等の食品類、アイスクリーム、クッキー、ゼリー、プリン、キャンディー、チューインガム、ヨーグルト、グミ、チョコレート、ビスケットなどの菓子類、ジャムなどの調味料類、果汁飲料、清涼飲料水、酒類、栄養ドリンク、茶、牛乳などの飲料が挙げられる。
【0038】
以下に本発明の実施例を記す。
【実施例】
【0039】
以下に本実験の実施例を記す。なお本発明はこの実施例によりその範囲を限定するものではない。なお、スフィンゴ脂質の定量には、カラム(Inertsil SIL100A、ジーエルサイエンス社製)を接続した高速液体クロマトグラフィー(CLASS LC10、島津製作所製)を用い、光散乱検出器(500ELSD、ALLTECH社製)で検出した。移動相は、クロロホルムとクロロホルム/メタノール(1/1)の2液によるリニアグラジェントを用い、流速1.0ml/分、37℃で測定した。
【0040】
実施例1
バレンシアオレンジをインライン搾汁機で搾汁し、フィニッシャー(0.5mmスクリーン)で搾汁残さを集めた。その搾汁残さ(オレンジジュース粕、水分率約90%)8kgを凍結乾燥した後、エタノール3Lを加えて2時間撹拌し、スフィンゴ脂質を抽出した。ろ過して、エタノール画分を回収し、エバポレーターを用いてエタノールを留去した後、300mlの水を加えて撹拌した後、ろ過し水不溶性成分を回収し、同様な操作を2回繰り返した。その結果、オレンジエキス6.2gが得られた。このエキス中には、スフィンゴ脂質が5.4質量%含まれていた。
【0041】
実施例2
温州みかんを剥皮した後、ブラウン搾汁機で果汁を搾り、フィニッシャー(0.5mmスクリーン)で搾汁残さを集めた。その搾汁残さ(みかんジュース粕、水分率約90%)8kgに、食品加工用ペクチナーゼ酵素剤スミチームPX(新日本化学工業株式会社製、ユニット数:ペクチナーゼ5,000u/g、アラバナーゼ90u/g)10gとセルラーゼ、ヘミセルラーゼ酵素剤であるセルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業株式会社製、ユニット数:セルラーゼ30,000u/g)10gを添加し、よくかき混ぜて室温で8時間静置反応を行った。この反応液を遠心分離し、上清を除去した後、水を添加して撹拌し、再度遠心分離により上清を除去し、ドラムドライヤーを用いて、ドラム温度110℃、1回転/分の回転速度で乾燥した。粉砕機で粉砕した粉末50g中には、スフィンゴ脂質が3.3質量%含まれていた。
【0042】
実施例3
温州みかんをインライン搾汁機で搾汁し、フィニッシャー(0.5mmスクリーン)で濾別した果汁に対し、遠心分離機(アルファ・ラバル株式会社BRPX417)により軽遠心分離(2,500×g・分)を施した。軽遠心分離の上清部に対して、同遠心分離機により重遠心分離(4,000×g・分)を施し、沈殿部を回収した。その搾汁残さ(みかんジュース微細パルプ、水分率85%)8kgを凍結乾燥し、粉砕機で粉砕した粉末1.2kg中には、スフィンゴ脂質が0.48質量%含まれていた。
【0043】
比較例1
バレンシアオレンジの果実をそのままミキサーでペーストとした後、凍結乾燥した。凍結乾燥品800gに対して、エタノール3Lを加えて2時間撹拌し、スフィンゴ脂質を抽出した。ろ過して、エタノール画分を回収し、エバポレーターを用いてエタノールを留去した後、300mlの水を加えて撹拌した後、ろ過し水不溶性成分を回収し、同様な操作を2回繰り返した。その結果、オレンジエキス8.1gが得られた。このエキス中には、スフィンゴ脂質が0.28質量%含まれていた。
【0044】
比較例2
温州みかんの果実を剥皮し、その剥皮した外皮を凍結乾燥した。凍結乾燥品800gを粉砕した後、エタノール3Lを加えて2時間撹拌し、スフィンゴ脂質を抽出した。ろ過して、エタノール画分を回収し、エバポレーターを用いてエタノールを留去した後、300mlの水を加えて撹拌した後、ろ過し水不溶性成分を回収し、同様な操作を2回繰り返した。その結果、温州みかん外皮エキス15.4gが得られた。このエキス中には、スフィンゴ脂質が 0.52質量%含まれていた。
【0045】
試験例1
健常人30名(男性20名、女性10名、平均年齢35.7歳)に実施例2で製造したスフィンゴ脂質を含む粉末をソフトカプセルに加工し、毎日2錠(粉末20mg/錠)のソフトカプセルを4週間摂取した。試験は、粉末を含まないソフトカプセルをプラセボ錠として二重盲検法で実施した。経皮水分蒸散量(TEWL)を水分蒸散量計TEWAMETER TM210(C+K社製)を用いて、摂取開始前、2週間後、4週間後に頬、背中の2点を測定した。その結果を図1(左:頬、右:背中)に示す。スフィンゴ脂質を含む粉末40mg/日(スフィンゴ脂質換算で1.3mg/日)を2週間以上継続摂取することにより頬と背中において、TEWLの低下が観察され、皮膚の保湿性が向上し、美容に効果があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のスフィンゴ脂質摂取後の経皮水分蒸散量(TEWL)の変化を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【出願日】 平成19年4月27日(2007.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−274106(P2008−274106A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−119250(P2007−119250)