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【発明の名称】 保形性に優れた脂質組成物および製品
【発明者】 【氏名】石田 賢哉

【氏名】枇榔 千代美

【氏名】山本 哲也

【要約】 【課題】メントールの保管時での凝集またはケーキングを防止する技術を提供すること。また、メントールの保管時や製品への配合時の温度が高くとも熱的安定性に優れ、メントール粉末、粒子、フレーク、ペースト、スティック等が互いに凝集することが無い保形性が保持される脂質組成物を提供すること。

【解決手段】50〜90質量%のメントールに対して、ステロール類を50〜10質量%添加・配合し、加熱・溶融する。脂質組成物を基準として20質量%以下のパラフィン類をさらに添加・配合してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メントールとステロール類とから構成されたことを特徴とする、保形性に優れた脂質組成物。
【請求項2】
メントールを50〜90質量%、ステロール類を50〜10質量%含む請求項1記載の脂質組成物。
【請求項3】
脂質組成物を基準として20質量%以下のパラフィン類をさらに含む請求項2記載の脂質組成物。
【請求項4】
脂質組成物を基準として20質量%以下の下記物質をさらに含む請求項1〜3のいずれか記載の脂質組成物。
物質:メントン、カンファー、プレゴール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−[(l−メントキシ)エトキシ]−エタノール、N−エチル−l−メンチルカルボキサミド、パラメンタン−3,8−ジオール、乳酸l−メンチル、N−メチル−(2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、ワニリルエーテル類、カプサイシン、サリチル酸エステル類、ハッカ油、ペパーミント油、及びスペアミントからなる群から選ばれる少なくとも1種以上。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の脂質組成物を含有することを特徴とする飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品およびタバコから選ばれた製品。
【請求項6】
メントールとステロール類とから構成されることを特徴とする保形性に優れた共融混合物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は保形性に優れた脂質組成物及び該脂質組成物から構成される製品あるいは該脂質組成物を含有する製品に関し、とくにメントールとステロール類とから本質的に構成され、保形性に優れた脂質組成物及び該脂質組成物から構成される飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品およびタバコから選ばれた製品あるいは該脂質組成物を含有する製品それを含有する飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品およびタバコから選ばれた製品に関する。
【背景技術】
【0002】
メントールは独特の冷涼な香気・香味をもち、また清涼感を与えることができるという特徴があり、古くから広く利用されている。そして現在、リップクリームなどの香粧品、筋肉痛などの症状を緩和する医薬の配合品などの分野において多用されているところである。
メントールは天然にはシソ科の多年生草であるハッカのハッカ油から取り出される。一方、メントールの化学的合成法も盛んに研究開発され、多数の合成法が知られている。
【0003】
それらメントールは粉末、粒状、フレーク状、ペレット状、スティック状などの形態で保管され、必要に応じて保管場所から取り出され、製品に配合される。その場合、保管時にメントールが凝集し、取り扱い性が損なわれるという問題点があり、その問題点を解決するための技術の開発が求められていた。その技術の一つとして、メントールを50kNの圧縮圧で圧縮する処理を施す技術が報告されている(特許文献1)。この方法は、圧縮処理していないメントールとの比較においては確かに凝集またはケーキングの点においては優れているということができるかもしれないが、十分に満足できるという程度ではない。特に夏場での熱的安定性を満足させるには不十分であった。また、圧縮機を利用するので、その購入、維持、管理などの点で、経済的に不利であり、操作上の煩わしさも残る。
【0004】
【特許文献1】特表2005−528436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、簡単な操作で、しかも満足できる程度まで、保管時のメントールの凝集などを防ぐ技術の開発が待たれている。
本発明の課題は、その要請にこたえる技術を提供することにある。すなわち、メントールの保管時での凝集またはケーキングを防止する技術を提供することにある。また、メントールの保管時や製品への加工時の温度が高くとも安定性に優れ、メントール粉末や粒子やフレークやペレットやスティックが互いに凝集することが無い技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決しようとする目的でいろいろと研究を進めていく間に、メントールとステロール類との共融混合物が意外にも上記問題点を見事に解決できるという知見を得た。この意外な知見に基づきさらに研究を重ね、ついに本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の以下の発明を包含する。
(1)メントールとステロール類とから構成されたことを特徴とする、保形性に優れた脂質組成物。なお、本発明の脂質組成物にはメントールと前記ステロール類とを加熱して得られる溶融物も含まれる。
(2)メントールを50〜90質量%、ステロール類を50〜10質量%含む上記(1)記載の脂質組成物。
(3)脂質組成物を基準として20質量%以下のパラフィン類をさらに含む上記(2)記載の脂質組成物。
【0008】
(4)脂質組成物を基準として20質量%以下の下記物質をさらに含む上記(1)〜(3)のいずれか記載の脂質組成物。
物質:メントン、カンファー、プレゴール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−[(l−メントキシ)エトキシ]−エタノール、N−エチル−l−メンチルカルボキサミド、パラメンタン−3,8−ジオール、乳酸l−メンチル、N−メチル−(2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、ワニリルエーテル類、カプサイシン、サリチル酸エステル類、ハッカ油、ペパーミント油、及びスペアミントからなる群から選ばれる少なくとも1種以上。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の脂質組成物を含有することを特徴とする飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品およびタバコから選ばれた製品。
(6)メントールとステロール類とから構成されることを特徴とする保形性に優れた共融混合物。
【0009】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の脂質組成物を構成する一つの成分がメントールである。メントールは既に知られた物質である。本発明ではメントールは、光学活性体であってもラセミ体であってもよいが、l−メントールのみであることが望ましい。なお、l−メントールに、l−メントール以外の異性体が共存していてもよい。また、l-メントールの代わりにdl-メントールであってもよい。上記l−メントール以外の異性体量は特に制限されない。
メントールの形状は特に限定されないのであって、必要に応じて適宜最適な形状のメントールを用いればよい。なお、メントールの形状としては、粉末状、粒状、フレーク状、ペレット状、スティック状などがあるがこれに限定されない。また、メントールの結晶でもよいし、無定形でもよい。
【0010】
本発明の脂質組成物を構成する他の成分がステロール類である。このステロール類は、下記式1で表される骨格を有する化合物であって、炭素数が27〜30の化合物をいう。即ち、式1で表される化合物、その誘導体、それらの配糖体あるいはそれらの混合物をいう。ここで、その誘導体とは式1で表される化合物の水素原子がアルキル基などの有機基で置換された化合物を意味する。
(化1)


【0011】
上記ステロール類はすでに公知の化合物である。本発明では、コレステロール、フィトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール 、カンペステロール 、スピナステロール 、ブラシカステロールなどの一種あるいは二種以上が用いられるが、それらに何ら限定されない。好ましくは、コレステロール、フィトステロールであり、より好ましくコレステロールである。
【0012】
本発明の脂質組成物は、前記メントールとステロール類とを、メントールを50〜90質量%、ステロール類を50〜10質量%含むようにすると好ましい結果を得ることができる。とくに、メントールを50〜80質量%、ステロール類を50〜20質量%含むようにすると好ましく、メントールを50〜70質量%、ステロール類を50〜30質量%含むようにするとより好ましい効果をもたらす。
この割合とすることで保形性に優れた脂質組成物とすることができる。
【0013】
本発明の脂質組成物は、メントールと前記ステロール類とを、加熱し、共融混合物とすることにより調製することができる。すなわち、本発明はメントールと前記ステロール類とを加熱して得られる溶融物を含む。
前記加熱条件は特に制限されないのであって、メントールと前記ステロール類との脂質組成物溶融物(以下、脂質組成物ということがある)が形成できる限り、どのような条件を設定してもよい。加熱温度は用いるメントールとステロール類の種類と量により変動するので一概に規定することができないが、メントールあるいはステロール類の一部が溶け始める温度よりも高い温度以上に設定することが求められる、通常は、メントールの融点以上の温度で加熱することが望ましい。具体的には常圧にて40〜120℃の範囲で加熱することが望ましい。さらに、常圧にて45〜110℃の範囲で加熱することが好ましく、常圧にて50〜100℃の範囲で加熱することがより好ましい。加熱時間については、用いるメントールとステロール類の種類と量および加熱条件により変動するので一概に規定することができない。
ステロール類が、10質量%より少ないと保形性を保つことができず、50質量%より多いと均一な混合物にならず、共融混合物を得ることができない。
Cなお、本発明の脂質組成物は、上記保形性に優れており、更に、冷感(清涼感)を有する。
【0014】
本発明の脂質組成物では、メントールとステロール類とから本質的に構成されるが、さらにパラフィン類を含んでもよい。
ここでいうパラフィン類は、鎖状の飽和炭化水素であり、炭素数は30以下の化合物である。
このパラフィン類の脂質組成物における量は調製される脂質組成物を基準として20質量%以下とすることが好ましい。このパラフィン類が脂質組成物に存在すると保形性の点で好ましい効果をもたらすことができる。
【0015】
本発明の脂質組成物には、メントン、カンファー、プレゴール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−[(l−メントキシ)エトキシ]−エタノール、N−エチル−l−メンチルカルボキサミド、パラメンタン−3,8−ジオール、乳酸l−メンチル、N−メチル−(2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、ワニリルエーテル類、カプサイシン、サリチル酸エステル類、ハッカ油、ペパーミント油、及びスペアミントからなる群から選ばれる少なくとも1種以上が含まれてもよい。これら物質はすでに知られている。
これら物質の脂質組成物における量は調製される脂質組成物を基準として20質量%以下とすることが好ましい。これらの物質が脂質組成物に存在すると、冷感や清涼感を更に改善させることができる。
こうして調製された本発明の脂質組成物は保形性に優れている、ここで保形性とは、メントール又はメントールを含む脂質組成物が、熱的安定に形状が保持される性質をいい、例えば、スティック状、ペレット状またはフレーク状の形状に調製したときに、メントールの融点(例えば45℃)以上、具体的には、50℃で24時間おいてもその形状が保持されるという意味である。また、メントール又はメントールを含む脂質組成物の使用時において、例えばその操作性が不都合とならない程度まで形状が保持されるという意味でもある。
【0016】
かくして調製された脂質組成物を、粉末、粒状、フレーク状、ペレット状、スティック状などの形態に加工して使用することができる。加工方法については、特に制限されないものであり、公知の方法を適宜利用することによって調製することが出来る。加工形態としては、粉末、粒状、フレーク状、ペレット状、スティック状などが挙げられるが、好ましくフレーク状、ペレット状、スティック状である。
このような形態に加工した脂質組成物を、その形態で製品に配合するができる、具体的な製品として飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品などを例示することができる。これら製品への配合量は、脂質組成物を調製するときに用いられる化合物の種類とその配合量、加工形態などによって変化するものであり、一概に規定することはできない。あえて記載すれば、例えば製品中に製品を基準として40質量%程度以上であり、本発明においては、脂質組成物100質量%とからなる製品としても、保形性に優れていることから、製品とすることができる。
また、本発明の脂質組成物を含有する飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品などのメントールが配合される対象製品で常用される配合剤を予め配合させておくことができる。
それらの配合剤はとくに制限されない。具体的に例示すると、例えば、界面活性剤、油剤、一価アルコール、香料、染料、還元剤、酸化剤、金属キレート剤、抗酸化剤、粘度調整剤、防腐剤、動植物抽出物、消炎剤、殺菌剤、酸化防止剤、パール化剤、紫外線吸収剤、保湿剤、有機又は無機塩、pH調整剤、色素などが挙げられる。
【0017】
かくして調製された脂質組成物(以下、組成物ということがある)は、飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品、タバコ等に配合することができる。
【0018】
その飲食品はとくに限定されないのであり、例えば、畜肉類、鳥肉、魚貝類などを原料とする加工食品類、ス−プ類、調味料類、ふりかけ類、インスタント食品やスナック食品類、かんずめ食品類、乳製品類、菓子類、冷菓類、茶、コーヒー、野菜ジュース、青汁などの飲料を例示できる。
本発明の組成物の飲食品への配合量は、組成物を構成する物質の種類、飲食品の種類などによっても異なるのであり、一概に規定することができない。あえて記載すれば、例えば飲食品を基準として0.001〜40質量%程度であり、好ましくは0.01〜10質量%程度である。
【0019】
上記トイレタリー製品や香粧品はとくに限定されないのであり、例えば、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアースティック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤などの頭髪化粧品;シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックなどのヘアケア製品;香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンなどのフレグランス製品;洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなどの基礎化粧品;ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなどの仕上げ化粧品:制汗剤、アフターシェービングローションおよびジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料などの薬用化粧品:化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸などの石鹸;ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなどの身体洗浄剤:衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸などの洗剤;ソフナー、ファーニチアケアーなどの柔軟仕上げ剤;台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤などの台所用洗剤を例示することができる。
【0020】
本発明の組成物のトイレタリー製品や香粧品への配合量は、組成物を構成する物質の種類、トイレタリー製品や香粧品の種類などによっても異なるのであり、一概に規定することができない。あえて記載すれば、例えばトイレタリー製品に対して0.001〜40質量%程度であり、好ましくは0.01〜10質量%程度である。また、香粧品を基準として0.001〜40質量%程度であり、好ましくは0.01〜10質量%程度である。
【0021】
本発明の組成物を口腔用製品に配合することもできる。その口腔用製品はとくに限定されないのであり、例えば、口腔洗浄料、マウスウオッシュなどを例示できる。
本発明の組成物の口腔用製品への配合量は、組成物を構成する物質の種類、口腔用製品の種類などによっても異なるのであり、一概に規定することができない。あえて記載すれば、例えば口腔用製品を基準として0.001〜40質量%程度であり、好ましくは0.01〜10質量%程度である。
【0022】
上記入浴剤はとくに限定されないのであり、例えば、バスソルト、バスタブレット、バスリキッドなどを例示できる。上記医薬品はとくに限定されないのであり、例えば、パップ剤、軟膏剤のような皮膚外用剤、内服剤などを例示できる。
本発明の組成物の入浴剤や医薬品への配合量は、組成物を構成する物質の種類、入浴剤や医薬品に含まれる成分などによっても異なるのであり、一概に規定することができない。あえて記載すれば、例えば入浴剤を基準として0.001〜40質量%程度であり、好ましくは0.01〜10質量%程度である。また、医薬品を基準として0.001〜40質量%程度であり、好ましくは0.01〜10質量%程度である。
上記タバコとしては、特に限定されないが、例えば、シガレット、シガー(葉巻)、スニッフ(嗅ぎタバコ)、チューイングタバコ(噛みタバコ)などが挙げられる。
本発明の組成物のタバコへの配合量は、組成物を構成する物質の種類、タバコに含まれる成分などによっても異なるのであり、一概に規定することができない。あえて記載すれば、例えばシガレットに対しては、刻み、巻き紙又はフィルター等へ添加する場合、メントールとステロールの配合割合にも因るが、メントール単体としての添加量は0.01〜20質量%程度とすることが好ましく、0.1〜5質量%程度とすることがより好ましい。シガー(葉巻)に対しては、刻み等へ添加する場合、メントール単体としての添加量は0.01〜20質量%程度とすることが好ましく、0.1〜5質量%程度とすることがより好ましい。スニッフ(嗅ぎタバコ)に添加する場合、メントール単体としての添加量は0.001〜20質量%程度とすることが好ましく、0.01〜5質量%程度とすることがより好ましい。チューイングタバコ(噛みタバコ)に添加する場合、メントール単体としての添加量は0.001〜20質量%程度とすることが好ましく、0.01〜5質量%程度とすることがより好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、熱安定性に優れ、メントール含量が高い脂質組成物を提供することができた。この脂質組成物は比較的高温下で保管しても、凝集することがないか、または少ない。また、これら脂質組成物を飲食品、トイレタリー製品、香粧品、入浴剤、医薬品およびタバコに添加するときにも、メントール含有製品の凝集が殆ど無いので、作業性の点で有利である。本発明は極めて実用的な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
(実施例1〜4)脂質組成物の調製
メントール及びコレステロールを表1記載の成分比率となるように所定量秤取り、容器内にて混合した後、常圧にて50〜100℃にて加温処理してメントール及びコレステロールの共融混合物を得た。その混合物を室温にて固化させ、脂質組成物を調製した。
実施例1〜3の脂質組成物の融点は表1のとおりであった。なお、融点は、自動融点測定器(METTLER TOLEDO−FP900)を用い、30〜80℃(1℃/分)で実施した。
【0025】
表1



【0026】
(比較例1)
比較例1として、l−メントールとコレステロールを表2記載の成分比率となるように所定量秤取り、これ以降は実施例1〜4と同様に操作したが、均一な混合物を形成せず共融混合物を得ることができなった。
(比較例2〜3)
比較例2として、l−メントールとコレステロールを表2記載の成分比率となるように所定量秤取り、これ以降は実施例1〜4と同様に操作し脂質組成物を得た。比較例3として、コレステロールを使用せず、l−メントールのみ使用した以外は、実施例1〜4と同様に操作し脂質組成物を得た。
(試験例1)
実施例1〜4、比較例2〜3の脂質組成物を加熱溶融し、室温にて固化させた後、50℃の恒温槽に24時間保管し、外観を下記評価基準に基づき、10名のパネラーにより評価し、それぞれの保形性を判定した。比較例1として、l−メントールとコレステロールを表2記載の成分比率となるように所定量秤取り、これ以降は実施例1〜4と同様に操作し脂質組成物を得た。比較例2として、コレステロールを使用せず、l−メントールのみ使用した以外は、実施例1〜4と同様に操作し脂質組成物を得た。
測定結果を表2に示した。
評価基準
◎ 固形状態の変化無し
○ やや硬度は低下するが、固形状態は維持
△ 流動性が認められ、固形状態を維持できにくい
× 流動性が高く、固形状態は維持できない
【0027】
表2



なお、表中、評価結果は最も多数のパネラーの評価結果を示した。
【0028】
(実施例5〜12)組成物の調製
メントール及び表3記載のステロール類を表3記載の成分比率となるように所定量秤取り、容器内にて混合した後、実施例1と同様に操作し、脂質組成物を調製した。
実施例5〜12の脂質組成物を試験例1と同様に操作し、それぞれの保形性を判定した。測定結果を表3に示した。
(実施例13〜17)組成物の調製
メントール、表3記載のステロール類及びパラフィンを表3記載の成分比率となるように所定量秤取り、容器内にて混合した後、実施例1と同様に操作し、脂質組成物を調製した。
実施例13〜17の脂質組成物を試験例1と同様に操作し、それぞれの保形性を判定した。測定結果を表3に示した。
【0029】
表3


表中、パラフィンはセルシン810(日興リカ社製)を用いた。
【0030】
(比較例4〜12)比較用組成物の調製
メントール及び表4記載の比較化合物類を表4記載の成分比率となるように所定量秤取り、容器内にて混合した後、実施例1と同様に操作し、比較4〜12の脂質組成物を調製した。
比較例4〜12の脂質組成物を試験例1と同様に操作し、それぞれの保形性を判定した。測定結果を表4に示した。
【0031】
表4


表中、球状ナイロンパウダーは(SP−500:東レ社製)である。
【0032】
(実施例18〜45)組成物の調製
メントール及び表5記載の物質を表5記載の成分比率となるように所定量秤取り、容器内にて混合した後、実施例1と同様に操作し、脂質組成物を調製した。
実施例18〜45の脂質組成物を試験例1と同様に操作し、それぞれの保形性を判定した。測定結果を表5に示した。
【0033】
表5































【0034】
表中、LMはl−メントールを示し、STはコレステロール(日本精化株式会社)を示し、SEはセレシン810を示し、CA10は3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール(高砂香料工業株式会社)を示し、冷感剤ベースはイソプレゴール、CA10,CA38,サリチル酸グリコールの等モル混合物を示し、CA38はパラメンタン3,8−ジオール(高砂香料工業株式会社)を示し、シリコーンは環状ジメチルシリコーン(シリコーンKF995:信越シリコーン社製)を示し、PEG6000はポリエチレングリコール6000を示し、PEG1000はポリエチレングリコール1000を示す。
【出願人】 【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
【出願日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【代理人】 【識別番号】100100734
【弁理士】
【氏名又は名称】江幡 敏夫


【公開番号】 特開2008−239986(P2008−239986A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2008−48872(P2008−48872)