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【発明の名称】 リーガルリリー様香料組成物
【発明者】 【氏名】寺嶋 有史

【氏名】城市 篤

【氏名】堀田 龍志

【氏名】松木 敦

【氏名】築比地 保

【氏名】孫 漢董

【要約】 【課題】新しいユリ様香料組成物として、リーガルリリー様香料組成物を提供する。

【解決手段】ユリ花様香気を基調とするベース組成物に、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、4−ターピネオール、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を添加したことを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。さらに、トリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートからなる群より選択される少なくとも1種の香料調整剤を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユリ花様香気を基調とするベース組成物に、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、4−ターピネオール、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を添加したことを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。
【請求項2】
請求項1記載の香料組成物において、ユリ花様香気を基調とするベース組成物に、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート及び4−ターピネオールからなる群より選択される少なくとも1種の第一香気成分と、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種の第二香気成分と、を添加したことを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の香料組成物において、さらにトリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートからなる群より選択される少なくとも1種の香料調整剤を含むことを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の香料組成物において、第一香気成分であるベンジルアセテート、ゲラニルアセテート及び4−ターピネオールの合計配合量が香料組成物中1〜30質量%であることを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載の香料組成物において、第二香気成分であるジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートの合計配合量が香料組成物中0.1〜10質量%であることを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。
【請求項6】
請求項3〜5の何れかに記載の香料組成物において、香料調整剤であるトリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートの合計配合量が香料組成物中5〜40質量%であることを特徴とするリーガルリリー様香料組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は新しいユリ様香料組成物、特にリーガルリリーの香気開発に関する。
【背景技術】
【0002】
ユリはユリ科ユリ属に分類される草本であり、花そのものや全体の姿が美しく、また花の香りが優れているため、古来より多くの人々に愛されている。そして、これまでユリの香りを謳った商品(例えばオーデコロン、化粧品、入浴剤等)が数多く製品化されている。
従来用いられているユリ様香料は、古くから香りが良いと言われているマドンナリリー、てっぽうゆり、ヤマユリ等の香りを応用したものであり、これらのユリの香りを記述した資料は数多い(例えば、非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、最近のユリ園芸品種は多種多様であり(例えば、非特許文献2)、従来のユリ様香料ではそれら多様なユリの香りを幅広く表現できていないのが実状であった。そして、現代の消費者の多様な嗜好に対応し、従来のユリ様香料の香りとは異なった、新しい香質を有する香料組成物の開発が切に要望されていた。
【0004】
リーガルリリー(別名:オウカンユリ、学名:Lilium regale Wilson)は、中国原産の白百合で、数多くの園芸品種の交配親となり、素晴らしい香りをもつ。しかし、リーガルリリーに関しては、例えば非特許文献2〜3などに記載されてはいるものの資料は非常に少なく、その香りについてもほとんど研究されていない。
【0005】
【非特許文献1】特許庁公報 周知・慣用技術集(香料) 第III部香粧品用香料、リリー(401p〜406p)、特許庁(2001−6−15)
【非特許文献2】ビズ(BISES)、37号、3p〜38p、ベネッセコーポレーション(2005−8−1)
【非特許文献3】園芸植物大事典5、206p、小学館(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新しいユリ様香料組成物として、リーガルリリー様香料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等がリーガルリリーの素晴らしい芳香を再現すべく鋭意検討を行った結果、これまでユリの香り素材として認識されていなかった素材を配合することにより、やさしさとコクのあるナチュラルなリーガルリリーの香りを表現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるリーガルリリー様香料組成物は、ユリ花様香気を基調とするベース組成物に、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、4−ターピネオール、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を添加したことを特徴とする。
【0008】
本発明の香料組成物において、ユリ花様香気を基調とするベース組成物に、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート及び4−ターピネオールからなる群より選択される少なくとも1種の第一香気成分と、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種の第二香気成分と、を添加することが好適である。
また、本発明の香料組成物において、さらにトリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートからなる群より選択される少なくとも1種の香料調整剤を含むことが好適である。
【0009】
また、本発明の香料組成物において、第一香気成分であるベンジルアセテート、ゲラニルアセテート及び4−ターピネオールの合計配合量が香料組成物中1〜30質量%であることが好適である。
また、第二香気成分であるジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートの合計配合量が香料組成物中0.1〜10質量%であることが好適である。
また、香料調整剤であるトリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートの合計配合量が香料組成物中5〜40質量%であることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一般的なユリ花様香料組成物をベースとし、これに従来ユリの香り素材としては用いられてこなかった特定の成分を大胆に配合することにより、やさしさとコクのあるナチュラルなリーガルリリー様香気を有する香料組成物が得られ、現代の消費者の嗜好にマッチした新しいユリの香りを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のリーガルリリー様香料組成物は、一般的なユリ花様ベース香料組成物に、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、4−ターピネオール、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートから選択される1種以上を配合することにより得ることができる。
これら成分は、何れも既存の物質であるが、ユリの香気成分として見出されたという報告はない。
【0012】
また、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート及び4−ターピネオールからなる群から選択される1種以上(本発明において第一香気成分ということがある)に加えて、ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートからなる群から選択される1種以上(本発明において第二香気成分群ということがある)を配合すると、リーガルリリーの持つやさしさとコクのあるナチュラル感がより向上する。
よって、本発明の香料組成物においては、第一香気成分の1種以上と、第二香気成分の1種以上とを配合することがより好ましい。
【0013】
第一香気成分であるベンジルアセテート、ゲラニルアセテート及び4−ターピネオールは、フローラル系の香調を持つ成分であり、それらの配合量は、合計量で、香料組成物中1〜30質量%であることが好ましく、さらには5〜20質量%、特に8〜12質量%が好ましい。配合量が少なすぎる場合には本発明の効果が発揮されない場合があり、一方、多すぎる場合には香気のバランスが悪くなり、リーガルリリーの持つやさしさとコクのあるナチュラル感とはかけ離れてしまうことがある。
第一香気成分を1種以上配合することにより本発明の効果が発揮されるが、合計配合量が同じ場合で比較すると、第一香気成分を2種以上、さらには3種を組み合わせて配合する方がより好ましい。
【0014】
第二香気成分であるジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート及びアニシルアセテートは、グリーン系・フルーティー系・スパイシー系の香調を持つ成分であり、それらの配合量は、合計量で、香料組成物中0.1〜10質量%であることが好ましく、特に1〜5%質量%であることが好ましい。配合量が少なすぎる場合には第二香気成分による効果が十分発揮されない場合があり、一方多すぎる場合には香気のバランスが悪くなり、リーガルリリーの持つやさしさとコクのあるナチュラル感とはかけ離れてしまうことがある。
第二香気成分を1種以上配合することによりその効果が発揮されるが、合計配合量が同じ場合で比較すると、第二香気成分を2種以上、さらには3種を組み合わせて配合する方がより好ましい。
【0015】
また、本発明においては、香料調整剤としてトリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートからなる群から選択される1種以上を配合することができる。香料調整剤の配合により、リーガルリリー様の自然な香りを損なうことなく、その香りのパフォーマンス(保香性、相溶性)を向上させることができる。
【0016】
香料調整剤であるトリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート及びジハイドロメチルアビエテートの配合量は、合計量で、香料組成物中5〜40質量%であることが好ましく、さらには10〜20質量%であることが好ましい。配合量が少なすぎる場合には香料調整剤による効果が十分発揮されない場合があり、一方多すぎる場合には香り立ちが弱くなったり、香気のバランスが悪くなることがある。
【0017】
本発明のリーガルリリー様香料組成物は、ユリ花様香気を基調とするベース香料組成物に、第一香気成分によるフローラル系の香調や、第二香気成分によるグリーン系・フルーティー系・スパイシー系の香調、そして香料調整剤による香りのパフォーマンスがバランスよく混和して、やさしさとコクのあるナチュラルな新しいユリの香りを豊かに表現できる。
本発明において、ユリ花様香気を基調とするベース香料組成物としては、少なくともフェニルエチルアルコール、リナロール、フェニルエチルアセテート、1,8−シネオール、α−ターピネオール、メチルベンゾエート、オイゲノール及びベンジルベンゾエートを含むことが好ましい。
【0018】
なお、本発明にかかる香料組成物には、そのリーガルリリー様香気を阻害しない範囲でポリオキシエチレンラウリル硫酸エーテルなどの界面活性剤、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレートなどの溶剤、ダマスコン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、レモンオイル、ローズオイルなどの香料物質などが配合可能である。
このようにして得られた本発明の香料組成物は、各種化粧品類、芳香剤類、保健衛生材料、その他製品の香気成分として使用することができる。
【実施例】
【0019】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系中に占める割合を質量%で示す。以下で用いたベース香料組成物、試験方法は次の通り。
【0020】
(1)ユリ花様ベース香料組成物
下記組成のユリ花様ベース香料組成物を用いた。
―――――――――――――――――――――――――――――
成分 配合量(質量%)
―――――――――――――――――――――――――――――
メチルジハイドロジャスモネート 20
リナロール 20
フェニルエチルアルコール 5
1,8−シネオール 5
フェニルエチルアセテート 20
α−ターピネオール 10
ベンジルベンゾエート 10
メチルベンゾエート 5
オイゲノール 5
―――――――――――――――――――――――――――――
合計 100
―――――――――――――――――――――――――――――
【0021】
(2)香り評価
専門パネラー3名により、下記評価基準に基づいて実施した。
◎:非常に優れたリーガルリリー様の自然な香気を有する。
○:優れたリーガルリリー様の自然な香気を有する。
△:リーガルリリー様の自然な香気を有する。
×:リーガルリリー様の香気はほとんどしない。
【0022】
(3)保香性
専門パネラー3名により、下記評価基準に基づいて実施した。
◎:非常に優れた保香性を有する。
○:優れた保香性を有する。
△:通常の保香性を有する。
【0023】
試験例1 第一香気成分の配合
上記ベース香料組成物に、第一香気成分(ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート又は4−ターピネオール)を配合し、香りを評価した。
その結果、表1のように、第一香気成分を配合することによりリーガルリリー様の自然な香りとすることができ、特に3種を組み合わせて配合するとより高い効果が得られた。
【0024】
【表1】


【0025】
また、第一香気成分の配合量を変えた場合についても試験を行った。その結果、表2のように、リーガルリリー様の香りとするためには、第一香気成分は香料組成物中1〜30質量%、さらには5〜20質量%、特に8〜12質量%が好ましいことが明らかとなった。
【0026】
【表2】


【0027】
試験例2 第二香気成分の配合
上記ベース香料組成物に、第二香気成分(ジメトキシメチルベンゼン、メチルアンスラニレート又はアニシルアセテート)を配合し、香りを評価した。
その結果、表3のように、第二香気成分を配合することによりリーガルリリー様の自然な香りとすることができ、特に3種を組み合わせて配合するとより高い効果が得られた。
【0028】
【表3】


【0029】
また、第二香気成分の配合量を変えた場合についても試験を行った。その結果、表4のように、リーガルリリー様の香りとするためには、第二香気成分は香料組成物中0.1〜10質量%、さらには1〜5質量%が好ましいことが明らかとなった。
【0030】
【表4】


【0031】
また、第一香気成分に加えて第二香気成分を配合し、香りを評価した。
その結果、表5のように、第一香気成分及び第二香気成分を配合することにより、リーガルリリー様の自然な香りが一段と良好となり、特に3種を組み合わせて配合するとより高い効果が得られた。
【0032】
【表5】


【0033】
また、第二香気成分の配合量を変えた場合についても試験を行った。その結果、表6のように、リーガルリリー様香気の点から、第二香気成分は香料組成物中0.1〜10質量%、さらには1〜5質量%であることが好適であることが明らかとなった。
また、本発明者等の検討によれば、第一香気成分と第二香気成分の比率(質量比)は、100:1〜1:1、さらには10:1〜2:1であることが好適である。
【0034】
【表6】


【0035】
試験例3 香料調整剤の配合
さらに、香料調整剤(トリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、テトラハイドロメチルアビエテート、ジハイドロメチルアビエテート)を配合し、香り評価と保香性評価を行った。
その結果、表7のように、香料調整剤を単独あるいは組み合わせて配合することにより、リーガルリリー様の香りを損なうことなく、保香性を高めることができた。
【0036】
【表7】


【0037】
また、香料調整剤の配合量を変えた場合についても試験を行った。その結果、表8のように、リーガルリリー様香気や保香性の点から、香料調整剤は香料組成物中5〜40質量%、さらには10〜20質量%であることが好適であることが明らかとなった。
【0038】
【表8】


【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のリーガルリリー様香料組成物は、入浴剤、香水、オーデコロン、芳香剤の他、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション、頬紅、おしろい、アイシャドー、口紅、あぶら取り紙、紙おしろい、シャンプー、リンス、ヘアスプレー、制汗スプレー、ボディパウダー、ベビーパウダー等の化粧料;ティッシュペーパーやペーパータオル、ナプキン、ノート、メモ帳等の紙用品;雑巾、歯磨き粉、マスク、医療用ガーゼ、柔軟仕上げ剤、衣料用洗浄剤、台所用洗浄剤、芳香剤等の日用雑貨類等に応用可能である。化粧料に配合する場合、その配合量は特に限定されるものではないが、一般的な濃度範囲、例えば化粧料全量に対し0.001〜50質量%とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【識別番号】390019460
【氏名又は名称】稲畑香料株式会社
【出願日】 平成19年3月28日(2007.3.28)
【代理人】 【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司


【公開番号】 特開2008−239886(P2008−239886A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−84925(P2007−84925)