トップ :: C 化学 冶金 :: C11 動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく

【発明の名称】 フコキサンチンを含有する脂溶性油及びその製造方法並びにフコキサンチンの製造方法
【発明者】 【氏名】宮下 和夫

【氏名】細川 雅史

【氏名】佐島 徳武

【氏名】佐々木 荘法

【要約】 【課題】高収率で且つ経済的に抽出されるフコキサンチンを含有する脂溶性油及びその製造方法並びにフコキサンチンの製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】ホンダワラ科の海藻を加熱処理する第一の工程と、第一の工程で加熱処理したホンダワラ科の海藻から有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する第二の工程とをおこなうことでほぼ完全にフコキサンチンを含む脂溶性油が抽出され、更に、この加熱処理したホンダワラ科の海藻から得られ、熱水中にホンダワラ科の海藻を浸すことによりクロロフィルの一部が分解された脂溶性油をシリカゲルのカラムクロマトグラフィに展開させることによりフコキサンチンを容易に精製できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻類から得られることを特徴とするフコキサンチンを含有する脂溶性油。
【請求項2】
前記褐藻類は加熱処理される請求項1記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油。
【請求項3】
アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻を加熱処理する第一の工程と、第一の工程で加熱処理した褐藻から有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する第二の工程とよりなることを特徴とするフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項4】
前記第一の工程の加熱処理が熱水中での加熱処理である請求項3記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項5】
前記熱水の温度は、50℃以上である請求項4に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項6】
前記第一の工程の加熱処理が加熱水蒸気による処理である請求項3に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項7】
前記熱水中又は加熱水蒸気によって1分以上30分以下の加熱を行う請求項4〜請求項6のいずれか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項8】
前記第一の工程で加熱処理する前の前記褐藻の水分含量を50%以下とする請求項3乃至6の何れか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項9】
前記第一の工程で加熱処理し、前記第二の工程で有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する前の褐藻の水分含有量を30%以上とする請求項3乃至6の何れか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項10】
前記第一の工程で加熱処理し、前記第二の工程で有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する前の褐藻の温度を50℃以下とする請求項3乃至6の何れか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項11】
前記有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ケト類、脂肪族炭化水素のハロゲン化合物、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素から選択される少なくとも一種である請求項3に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項12】
前記有機溶媒の温度は、当該有機溶媒の融点以上で且つ沸点未満である請求項3乃至請求項11のいずれか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項13】
前記有機溶媒による抽出回数によってフコキサンチン含量及び/又は水溶性成分含量を制御する請求項3乃至請求項12のいずれか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法。
【請求項14】
褐藻を加熱処理して抽出したフコキサンチンを含有する脂溶性油から、クロマトグラフィを用いてフコキサンチンを単離・精製することを特徴とするフコキサンチンの製造方法。
【請求項15】
請求項3乃至13の何れか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法によって得られたフコキサンチンを含有する脂溶性油から、クロマトグラフィを用いてフコキサンチンを単離・精製することを特徴とするフコキサンチンの製造方法。

【請求項16】
請求項3乃至13の何れか一に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法によって得られるフコキサンチンを含有する脂溶性油。
【請求項17】
請求項14又は請求項15に記載のフコキサンチンの製造方法によって得られるフコキサンチン。
【請求項18】
請求項16に記載のフコキサンチンを含有する脂溶性油又は請求項17に記載のフコキサンチンを添加して成る機能性食品。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、褐藻から抽出されたフコキサンチンを含有する脂溶性油、及び褐藻からフコキサンチンを含有する脂溶性油を高収率で抽出する製造方法、並びに得られた脂溶性油からフコキサンチンを精製するフコキサンチンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
褐藻の脂溶性油に含まれるフコキサンチンはカロテノイドの一種であり、1960年代後半には褐藻から有機溶媒を用いてフコキサンチンを実験室レベルで抽出する方法が報告されている。例えば、参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている非特許文献1では、乾燥させた褐藻20kgからメタノール20Lを用いて、室温で24時間抽出して得られた脂溶性油を、クロマトグラフィによって精製し、乾燥させた褐藻5kg当たり2gのフコキサンチンを得ている。
【0003】
また、参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている非特許文献2では、生の褐藻5.7kgを40℃で2日間乾燥させた後の褐藻1.2kgに対して、アセトンとメタノールの混合溶液(アセトン:メタノール=7:3)4Lを用いて脂溶性油を抽出し、740mgの粗精製フコキサンチン(470mgの精製品)を得ている。
【0004】
これらの学術論文やその論文中で引用されている学術文献からも明らかなように、乾燥させた又は生の褐藻から有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出し、クロマトグラフィにより精製する技術は公知の技術である。
【0005】
近年、この褐藻に含まれるフコキサンチンは、抗肥満効果(参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている非特許文献3)やガン細胞への高いアポトーシス誘導能(参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている非特許文献4)を有することが見出されている。このようにフコキサンチンは極めて高い生理活性作用を有することが明らかにされ、幾つかの製造方法が提供されている。
【0006】
工業的なフコキサンチン製造法としては、乾燥又は生の褐藻から有機溶剤を用いて得られる抽出物の精製からフコキサンチンを得る方法(特許文献1〜5)が報告されている。
【0007】
参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている特許文献1では、藻類から抗酸化剤としてのフコキサンチンを製造する方法が開示されている。この特許文献1に記載された実施例によると、珪藻の一種であるフェオダクチラムトリコルヌタムを培養し、得られた藻体をクロロホルム/メタノール(2:1)等の有機溶媒で脂溶性油を抽出している。抽出には乾燥した藻体が用いられ、抽出効率を上げるための前処理は行われない。
【0008】
参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている特許文献2では、褐藻を温度0℃以上50℃未満、濃度55%以上70%以下のエタノール水溶液と接触させ、エタノール水溶液の抽出液からフコキサンチンを得る方法が開示されている。この特許文献2の実施例によると、40kgの塩蔵コンブを塩抜き後、287kgの70%エタノールで脂溶性油(黄色系着色料)を抽出し、黄色系着色料の抽出残渣100g当たり3.8mgのフコキサンチンが得られている(乾燥コンブ100g当たり36.5mg)。用いた褐藻は塩蔵塩抜きしたものが用いられ、抽出効率を上げるための前処理は行われていない。
【0009】
参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている特許文献3では、水分含量の減じられた褐藻からフコキサンチンを製造する方法が開示されている。この特許文献3の製造例によると、乾燥粉砕した粉末状ワカメ100gからアセトンを用いて脂溶性油を抽出し、塩蔵ワカメ100gから18mg、乾燥粉末ワカメ100gから51mgのフコキサンチンを得ている。これらのワカメについては、抽出効率を上げるための前処理は行われていない。
【0010】
参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている特許文献4では、生又は乾燥物等の状態を問わない(更に、形状についても限定されていない)海藻から有機溶剤でフコキサンチンを抽出、精製する方法が開示されている。この特許文献4の実施例では、乾燥後微粉末に粉砕した粉末わかめ200gを95%エタノール500mLで1時間還流抽出し、フコキサンチン80mgを得ている(乾燥ワカメ100g当たり40mgである)。これらの海藻に対しては、抽出効率を上げるための前処理は行われていない。
【0011】
参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている特許文献5では、藻類の盤状体若しくは糸状体から有機溶媒で脂溶性油を抽出し、フコキサンチンを精製する方法が開示されている。盤状体等から、盤状体に対して1:1〜1:100の量の有機溶媒を用い(エタノールの場合、0℃〜60℃、0.5時間〜100時間)、得られた抽出液からフコキサンチンを精製している。この特許文献5の実施例によると、オキナワモズク盤状体並びにオキナワモズク、イトモズク及びトンガモズクの藻体を十分に水洗後凍結乾燥を行い、この乾燥体1gを100mLのエタノールで脂溶性油の抽出を行っている。凍結乾燥されたオキナワモズク盤状体、オキナワモズク、イトモズク、トンガモズク1g当たり、それぞれ11.82、0.076、0.002、0.326mgのフコキサンチンを得ている(乾燥藻類100g当たり、それぞれ1182、7.6、2、32.6mgである)。これらの藻類に対して、抽出効率を上げるための前処理は行われていない。
【0012】
参照することによってその開示内容が、本願明細書に組み込まれている特許文献6では、生の海藻類から濃度80〜100%のエタノールを用いて脂溶性油を抽出し、フコキサンチンを精製する方法が開示されている。実施例によると、生ワカメ10g(水分含有量90%)を100%濃度のエタノール80mLにて温度20℃、抽出時間1又は3時間で抽出したもののフコキサンチン量が0.018mg/mL(乾燥ワカメ100g当たり144mg)としている。この他にも種々の条件にてフコキサンチンを精製しているが、最もフコキサンチン抽出量の多いものを挙げた。また、生ワカメ以外にも生コンブ、生ホンダワラの実施例が記載されているが、生ワカメのみ示した。これらの藻類に対して、抽出効率を上げるための前処理は行われていない。
【0013】
上述した従来の褐藻からのフコキサンチン製造法においては、前述の経済性、安定的供給性、収率性更には利便性という観点から、克服すべき問題点が依然残されていた。
【0014】
【非特許文献1】R. Bonnett, et al., Journal of Chemical Society (C), 1969 (1969) 429−454.
【非特許文献2】J. A. Haugan and S. Liaaen−Jensen, Phytochemistry 28 (1989) 2797−2798.
【非特許文献3】Maeda et al., Biochemical and Biophysical Research Comunications, 332 (2005) 392−397.
【非特許文献4】細川、BIO INDUSTRY, 21 (2004) 52−57.
【特許文献1】特開平7−224278号公報
【特許文献2】特開平9−173012号公報
【特許文献3】特開平10−158156号公報
【特許文献4】特開2001−335480号公報
【特許文献5】特開2004−35528号公報
【特許文献6】特開2004−75634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
一般的にフコキサンチンは乾燥海藻中に1%も含まれておらず、また、上述した様に乾燥した褐藻類やその粉末状にしたものから有機溶媒を用いて抽出する方法では完全に脂溶性油を抽出することが非常に困難であり、抽出後の褐藻残渣にクロロフィルに由来する緑色が付いており、フコキサンチンを含む色素成分の残留が見て取ることができる。
【0016】
一方、生の褐藻類に対して有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出すると、脂溶性油抽出後の褐藻残渣の色は白くなる。即ち色素成分を含む脂溶性油がほぼ完全に抽出されていることを意味する。しかし、生の褐藻類を長期間保存することは、冷凍や塩蔵しなければ不可能である。冷凍保存は、安定的かつ経済的に褐藻中の脂溶性油を供給するという観点から適していない。塩蔵された褐藻類の場合は、容積や重量が増えるために、乾燥した褐藻類と比較して経済的に保管するには適していない。
【0017】
即ち、これまで報告されている製造方法では、安定供給という観点から、さらには経済的に褐藻類中の脂溶性油を完全に抽出することが非常に困難であった。
【0018】
本発明は、従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高収率で且つ経済的に抽出されるフコキサンチンを含有する脂溶性油及びその製造方法並びにフコキサンチンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは上記課題について鋭意検討を行った結果、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上のホンダワラ科の海藻中のフコキサンチン含量が際だって大きいことを見いだした。
さらに乾燥させたこれらの褐藻を熱水中で加熱処理して水分を含んだ状態にし、当該水分を含んだ褐藻に対して、有機溶媒を使用して脂溶性油を抽出したところ、ほぼ完全にフコキサンチンを含む脂溶性油が抽出されることを見出した。従来の一般認識では、その事実とは反対に、フコキサンチン単体は熱に対して非常に不安定であり、シス−トランス異性化や熱分解等を生じるとされていた。このため、熱水加熱処理を施すことにより、褐藻の光合成色素蛋白内に結合しているフコキサンチンにおいても、そのほとんどが分解されるものと考えられ、熱水加熱処理した褐藻から脂溶性油を抽出し、フコキサンチンを精製する方法は、これまで何れの非特許文献である学術論文や特許文献にも記載されていない。しかし、本発明者等は従来の常識を覆し、褐藻の状態、特にはフコキサンチンが光合成色素蛋白内に結合した状態においてはほとんど分解されないという事実を見出した。更に、本発明者等は熱水中に褐藻を浸すことによりクロロフィルの一部が分解されることにより、この特殊な脂溶性油をシリカゲルのカラムクロマトグラフィに展開させることによりフコキサンチンを容易に精製できることを見出した。
【0020】
本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油は、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻類から得られることを特徴とする
【0021】
前記褐藻を加熱処理することが好ましい。
【0022】
また本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法は、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻を加熱処理する第一の工程と、第一の工程で加熱処理した褐藻から有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する第二の工程とよりなることを特徴とする。
【0023】
前記第一の工程の加熱処理は熱水中で行うことができる。
【0024】
前記熱水の温度は、50℃以上とするのが望ましい。
【0025】
前記熱水中で1分以上30分以下の加熱を行うのが望ましい。
【0026】
前記第一の工程の加熱処理を加熱水蒸気による処理である様にすることができる。係る加熱水蒸気による処理も1分以上30分以下とするのが好ましい。
【0027】
前記第一の工程で加熱処理する前の前記褐藻の水分含量を50%以下とするのが望ましい。
【0028】
前記第一の工程で加熱処理し、前記第二の工程で有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する前の褐藻の水分含有量は30%以上とするのが望ましい。
【0029】
前記第一の工程で加熱処理し、前記第二の工程で有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する前の褐藻の温度を50℃以下とすることもできる。
【0030】
前記有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ケト類、脂肪族炭化水素のハロゲン化合物、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素から選択される少なくとも一種である様にしても良い。
【0031】
前記有機溶媒の温度は、当該有機溶媒の融点以上で且つ沸点未満である様にしても良い。
【0032】
前記有機溶媒による抽出回数によってフコキサンチン含量及び/又は水溶性成分含量を制御する様にすることができる。
【0033】
本発明のフコキサンチンの製造方法は、本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法によって得られたフコキサンチンを含有する脂溶性油から、クロマトグラフィを用いてフコキサンチンを単離・精製することを特徴とする。
【0034】
また本発明のフコキサンチンの製造方法は、褐藻を加熱処理して抽出したフコキサンチンを含有する脂溶性油から、クロマトグラフィを用いてフコキサンチンを単離・精製することを特徴とする。
【0035】
さらに本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油は本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法によって製造することができる。
【0036】
加えて本発明のフコキサンチンは本発明のフコキサンチンの製造方法によって製造することができる。
【0037】
さらに加えて本発明の機能性食品は本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油又は本発明のフコキサンチンを添加して得ることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油及びその製造方法並びにフコキサンチンの製造方法により、高収率で且つ経済的に、褐藻からフコキサンチンを含む脂溶性油を抽出することが可能になった。更には、得られたこのフコキサンチンを含む脂溶性油から高収率で且つ経済的にフコキサンチンを精製することが可能になった。
【0039】
また、このフコキサンチン又はフコキサンチンを含む脂溶性油を食品素材に添加することで、用途に応じ種々の機能を有する機能性食品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図及び表を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
表1に各海藻から抽出された脂質重量と含まれるフコキサンチンとフコステロールの含量を示す。
表1は各種海藻の試料脂質中のフコキサンチンの定量を行った結果を示し、各脂質試料を高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと記す)の展開溶媒(Methanol/Acetonitrile 70:30, v/v)に溶解し、その2−10mlを検量線作成の条件と同じ条件のHPLCに注入して得られた結果を示す。表1に示される様に、採取時期と種により、脂質含量と両機能性成分の含量は大きく異なったが、ヒジキを除き、ホンダワラ科の海藻中のフコキサンチン含量が特に多い。
【0041】
【表1】


【0042】
この表1からアカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻類(これを以下、単に褐藻若しくは褐藻類、と記す)から効率よくフコキサンチンを含有する脂溶性油を抽出することができ、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)のフコキサンチン含量が特に多いることが解る。
【0043】
図2は、乾燥した褐藻類を用いた場合の脂溶性油抽出とフコキサンチン精製のフローチャートであり、図3は、フコキサンチン精製のフローチャートであって、乾燥した褐藻類からエタノールを用いて脂溶性油を抽出し、フコキサンチンを単離する一連の操作について示した。ここで、脂溶性油という語は、本発明では褐藻から抽出した脂溶性油を意味する。
【0044】
未利用の部位(例えば、従来廃棄されていたもの)を利用することも可能である。この乾燥した褐藻類は、熱水加熱処理後の褐藻表面の水分除去やエタノール抽出後の抽出液の回収における操作の簡便さから、粉末状にせずそのままの荒くカットされた状態で用いた。しかし、乾燥した褐藻類を粉末状にしたほうが抽出時間の短縮化を図れるため、大型遠心機の利用が可能な場合には、粉末化したほうが望ましい。
【0045】
本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法における乾燥した褐藻類を加熱処理する第一の工程として、熱水中で1分以上30分以下の加熱を行う。1分以上とするのは、これ未満である場合には熱水加熱処理が有効ではないことによる。一方、30分以下とするのは、30分を超える加熱には特に有効な意味は無く、時間及び光熱費などのコスト上の問題が生じ、有効成分であるフコキサンチンの分解も生じる。
【0046】
加熱処理時間は、フコキサンチンを分解させずに、クロロフィルをより選択的に分解せしめるような時間であれば、更に加熱処理時間を長くすることも可能である。また、クロロフィルも含めた脂溶性油を製造する場合には、加熱処理時間を減ずることも可能である。即ち、目的とする製造物に応じて加熱処理時間を調節することが望ましい。
【0047】
本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法における乾燥した褐藻類を加熱処理する第一の工程では、褐藻が十分に水分を含むことが可能であれば、熱水重量に特段の制限はなく、褐藻と熱水の重量比を1:15〜17程度とすれば充分の加熱処理を行うことができる。但し、更に熱水重量を減ずることも可能であり、またこの熱水加熱処理操作の替りに、例えば加熱水蒸気を用いる等の手段により褐藻に水分を与えることも可能である。
【0048】
熱水加熱処理後の褐藻はその表面の水分を除く操作により、水分含量を目的とする脂溶性油の成分に応じて調節することが望ましい。但し、加熱処理後の褐藻の水分含量が極端に低くなる(10%未満)と、逆に全く脂溶性油が抽出されなくなるので、水分含量が極端に低くなることは避ける必要があり、加熱処理後の褐藻の水分含量は10%以上とするのが望ましく、さらには30%以上とするのが望ましい。
【0049】
以上の第一の工程における熱水加熱処理後の褐藻が乾燥する前に、熱水加熱処理後の褐藻から有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する第二の工程の処理を開始し、有機溶媒である例えばエタノールに浸漬し、この溶液を攪拌した後、静置する。
【0050】
この溶液を濾過し、濃縮、乾固を行う。この操作はロータリーエバポレータを用いて行うことができ、また凍結乾燥機を用いて代用することも可能である。なお、得られた乾固物をエタノールで再度抽出することによって食品素材として利用する粗脂溶性油を得ることが可能である。
【0051】
この第二の工程におけるエタノールによる抽出操作を繰り返し行うことによって、異なる脂溶性油を得ることができる。
【0052】
[実施例]
実施例1
1)海藻からの脂質の抽出及び試料脂質中のフコキサンチンの定量
ヒバマタ目 ホンダワラ科アカモク(Sargassum horneri、ウガノモク(Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(Sargassum confusum)、ウミトラノオ(Sargassum thoubergii)、ヒジキ(Sargassum fusiforme)、ヒバマタ科 ヒバマタ(Fucus evanescens)、エゾイシゲ(Pelvetia babingtonii)、コンブ目コンブ科ガゴメコンブ(Kjellmaniella crassifolia)、チガイソ科 チガイソ(Alaria crassifolia)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、ツルモ科ツルモ(Chorda filum)、ウイキョウモ目コモンブクロ科キタイワヒゲ(Melanosiphon intestinalis)、エゾフクロ科エゾフクロ(Coilodesme japonica)、カヤノモリ目カヤノモリ科カヤノモリ(Scytosiphon lomentaria)、フクロノリ(Colpomenia sinuosa)、ハバノリ(Petalonia bingthamiae)、ウルシグサ目ウルシグサ科ケウルシグサ(Desmarestia viridis)、ナガマツモ目ネバリモ科 ネバリモ(Leathesia difformis)、モヅク科モヅク(Nemacystus decipiens)、ニセモヅク科ニセモズク(Acrothrix pacifica)、アミジグサ目アミジグサ科アミジグサ(Dictyota dichotoma)、エゾハヤズ(Dictyopteris divaricata)、イソガワラ目イソガワラ科マツモ(Analipus japonicus)、シオミドロ目シオミドロ科シオミドロ(Ectocarpus siliculosus)の各試料からメタノールを用いて脂質を抽出した。各脂質試料をHPLCの展開溶媒(Methanol/Acetonitrile 70:30, v/v)に溶解し、その2−10mlをHPLCに注入した。HPLCの条件は下記検量線作成の条件とした。
【0053】
2)検量線の作成
ワカメ乾燥粉末(3kg)にアセトン(3.5l)を加え1日放置後、抽出液を濃縮した。濃縮ワカメ油をHPLCに供し、ヘキサン:アセトン(8:2,v/v)によりフコキサンチンの分画を行った。得られたフコキサンチンはHPLCによりさらに精製を行い、純度99.2%以上の標準品を得た。
【0054】
なおHPLCは以下の条件で行った。
Apparatus: Hitachi L-7000 instrument (Hitachi Seisakusho Co., Tokyo, Japan) equipped with an L-7100 pump and an L-7200 auto-sampler.
Column: C30 (Develosil C30 UG-5, 250 x 8.0 mm i.d., 5.0 mm particle size, Nomura Chem. Co., Seto, Aichi, Japan).
Guard column: 10 x 4.0 mm i.d. guard column containing the same stationary phase.
Column tem.: 28C
Solvent: A mixture of methanol and acetonitrile at 70:30 (vol/vol)
Flow rate: 1.0 mL/min.
Detection: The effluent was monitored monitored with a variable ultraviolet (UV) detector (Hitachi L-7400) at 450 nm, which is specific wavelength for fucoxanthin.
【0055】
使用装置:日立L-7000 インストルメント (株式会社日立製作所 東京, 日本)−L-7100 ポンプ及び L-7200 自動試験器を装着.
カラム: C30 (Develosil C30 UG-5, 250 x 8.0 mm i.d., 5.0 mm 粒径, 株式会社野村化学、瀬戸、愛知、日本).
ガードカラム: 10 x 4.0 mm i.d. の同一静止相を含むガードカラム
カラム温度: 28℃
溶剤: メタノールとアセトニトリルの 70:30 (vol/vol)混合液
流速: 1.0 mL/min.
検知: 可変紫外線探知機 (日立L-7400) によって450 nmの流跡がモニターされ、これはフコキサンチン特有の波長を示す。
【0056】
標準品約2mgを精秤し、HPLCの展開溶媒で希釈し、異なる濃度の標準溶液を調製した。これを下記の条件でHPLCを行い、検量線を作成した。
Apparatus: Hitachi L-7000 instrument (Hitachi Seisakusho Co., Tokyo, Japan) equipped with an L-7100 pump and an L-7200 auto-sampler.
Column: C30 (Develosil C30 UG-5, 250 x 8.0 mm i.d., 5.0 mm particle size, Nomura Chem. Co., Seto, Aichi, Japan).
Guard column: 10 x 4.0 mm i.d. guard column containing the same stationary phase.
Column tem.: 28C
Solvent: A mixture of methanol and acetonitrile at 70:30 (vol/vol)
Flow rate: 1.0 mL/min.
Detection: The effluent was monitored with a photodiode-array spectrophotometric detector (Hitachi L-7455) and an online analysis software (Hitachi HPLC system-5-manager; Model D-7000) at 450 nm for fucoxanthin.
使用装置:日立L-7000 インストルメント (株式会社日立製作所 東京, 日本)−L-7100 ポンプ及び L-7200 自動試験器を装着.
カラム: C30 (Develosil C30 UG-5, 250 x 8.0 mm i.d., 5.0 mm 粒径, 株式会社野村化学、瀬戸、愛知 日本).
ガードカラム: 10 x 4.0 mm i.d. の同一静止相を含むガードカラム
カラム温度: 28℃
溶剤: メタノールとアセトニトリルの 70:30 (vol/vol)混合液
流速: 1.0 mL/min.
検知: 光ダイオード配列分光光度計 (日立L-7455)及びオンライン分析ソフトウエア (日立HPLC システム-5-マネージャ; Model D-7000) によってフコキサンチン特有の波長450 nmの流跡がモニターされた。
【0057】
その結果、全トランスフコキサンチンの検量線(図1)は、ピーク面積 118324 〜 7868571 unitの間では相関係数R2=0.9997で適用出来るが、ピーク面積の小さい領域では相関係数がR2=0.9344となり若干直線から外れた。この場合、より直線の部分になるように試料溶液濃度を調節することで正確な定量のできることを確認した。
【0058】
その結果、全トランスフコキサンチンの検量線(図1)は、ピーク面積 118324 〜 7868571 unitの間では相関係数R=0.9997で適用出来るが、ピーク面積の小さい領域では相関係数がR=0.9344となり若干直線から外れた。 この場合、より直線の部分になるように試料溶液濃度を調節することで正確な定量のできることを確認した。
【0059】
各海藻から抽出された脂質重量と含まれるフコキサンチンとフコステロールの含量を表1に示した。採取時期と種により、脂質含量と両機能性成分の含量は大きく異なったが、ヒジキを除き、ホンダワラ科の海藻中のフコキサンチン含量が特に多いことがわかる。
【0060】
【表1】


【0061】
以上の表1に示す結果から、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻を用いたフコキサンチンの抽出を行った場合と、同一の製造工程及び製造条件によって、例えばワカメを用いてフコキサンチンの抽出を行った時の収量の差を比率として表2に示す。
【0062】
【表2】


【0063】
表2に示される様に、アカモク(学名:Sargassum horneri)を用いてフコキサンチンの抽出を行った場合、同一の製造工程及び製造条件によってワカメを用いてフコキサンチンの抽出を行った場合に比し、最小(7.91/2.25)でも3.5倍、最大(10.21/0.37)27.6倍の収量が見込まれる。
【0064】
同様にウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)を用いてフコキサンチンの抽出を行った場合、同一の製造工程及び製造条件によってワカメを用いてフコキサンチンの抽出を行った場合に比し、最小(7.91/2.25)でも3.5倍、最大(7.91/0.37)21.4倍の収量が見込まれる。
【0065】
同様にフジスジモク(Sargassum confusum)を用いてフコキサンチンの抽出を行った場合、同一の製造工程及び製造条件によってワカメを用いてフコキサンチンの抽出を行った場合に比し、最小(5.74/2.25)でも2.6倍、最大(5.74/0.37)15.5倍の収量が見込まれる。
【0066】
同様にウミトラノオ(Sargassum thoubergii)を用いてフコキサンチンの抽出を行った場合、同一の製造工程及び製造条件によってワカメを用いてフコキサンチンの抽出を行った場合に比し、最小(2.23/2.25)でも1.5倍、最大(5.81/0.37)15.8倍の収量が見込まれる。
【0067】
ヒジキ(Sargassum fusiforme)を用いてフコキサンチンの抽出を行った場合であっても、同一の製造工程及び製造条件によってワカメを用いてフコキサンチンの抽出を行った場合に比し、最小(5.74/2.25)でも同程度、最大(2.89/0.37)7.8倍の収量が見込まれる。
実施例2
次に本発明の実施例につき説明する。以下の本発明の実施例では、入手が容易であるコンブ目チガイソ科の市販品の乾燥ワカメを用い本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を適用してフコキサンチンを抽出した。
この市販の乾燥ワカメ100gを熱水1.5〜1.7L中で15分間加熱する処理を行った。熱水加熱処理後のワカメはその表面の水分を除いたところ、この操作によりワカメ100gに対して500gの水分を含有(合計600g)していた。
【0068】
以上の第一の工程における熱水加熱処理後のワカメが乾燥する前に、熱水加熱処理後のワカメから有機溶媒を用いて脂溶性油を抽出する第二の工程の処理を開始し、エタノール1Lに浸漬し、5分間この溶液を攪拌した後、1時間静置した。
【0069】
この溶液を濾過し、ロータリーエバポレータを用いて濃縮、乾固を行い、得られた抽出乾固物から窒素ガスを用い充分な水分の除去を行った。この抽出乾固物に2:1の容積比のクロロホルム:メタノール混合溶液を50mL加えて得られた溶液を濾過し、再度ロータリーエバポレータを用いて、濃縮、乾固を行い、再度窒素ガスにより充分に溶媒の除去を行った。
【0070】
この第二の工程におけるエタノールによる抽出操作を合計4回繰り返し、合計4種類の脂溶性油を得た。この4回の抽出操作においてはいずれの場合も1回目にあっては煮沸ワカメ、2〜4回目にあってはエタノール抽出残滓をエタノール1Lに浸漬し、5分間この溶液を攪拌した後静置した。但し、それぞれの抽出操作において、1回目及び2回目の静置時間は、1時間とした。また、3回目の静置時間は15時間とし、4回目の静置時間は1日とした。
【0071】
図4は、以上の本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施した実施例における乾燥ワカメからエタノール抽出した後のワカメ残渣と、比較例として従来の熱水加熱処理なしで乾燥ワカメからエタノール抽出した後のワカメ残渣の写真を示す。図に示される様に従来例と比較して本発明例でワカメ残渣の外観は白色に近くなり、ほぼ完全に、フコキサンチン(橙色)を含む脂溶性油が抽出されていることが解かる。
【0072】
図5は、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出された脂溶性油と水溶性成分重量を示し、図6は、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出された水溶性成分重量のみを示す。図5及び図6からも解る様に、脂溶性油は、2回目の抽出のときが最も多くなった。これらの4種類の脂溶性油は最小限の30%アセトン・ヘキサンに溶解した後、カラムクロマトグラフィに粗精製、精製と2回展開させることにより、純度95%以上の高純度フコキサンチンを得た。その際、充填剤にはシリカゲルを使用し、展開溶媒には30%アセトン・ヘキサン混合溶液を使用した。
【0073】
図7は、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出する抽出操作を4回繰り返し行い得られた4種類の脂溶性油について、カラムクロマトグラフィにより精製して得られるフコキサンチン重量を示す。図8は、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出する抽出操作を4回繰り返し行い得られた4種類の脂溶性油とエタノール抽出液に含まれるフコキサンチンの割合を示す。図9は、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出する抽出操作を3回繰り返し行い、3回目抽出までの脂溶性油(フコキサンチンを除く)、水溶性成分、フコキサンチンの総重量を示す。
【0074】
フコキサンチン含量は、乾燥ワカメ100g当たり、1回目の抽出では85mg、2回目の抽出では79mg、3回目の抽出では41mg、4回目の抽出では28mgであった。脂溶性油中のフコキサンチン含量の割合は1回目抽出物及び4回目抽出物において、それぞれ5.1%、6.4%であり、5%以上となった。4回目の抽出においては、エタノール抽出物そのものにおいても、4.9%と5%に近いフコキサンチン含有量を示した。即ち、特定の抽出回数の抽出物やそれらを纏めたものを集めることにより、適した食品素材として利用できることが可能となることを意味している。
【0075】
したがって、有機溶媒による抽出回数によってフコキサンチン含量及び/又は水溶性成分含量を制御することができ、さらには特定の抽出回数の抽出物を適切に配合して用途に応じて適切なフコキサンチン含量の脂溶性油を得ることができる。
【0076】
図9に示した通り、3回目までのエタノール抽出液を混合した素材として、205mgのフコキサンチンを含有する脂溶性油を製造することができた。即ち、従来法では、乾燥ワカメを粉末化してエタノール抽出した場合に得られる高純度フコキサンチンは乾燥ワカメ100g当り18〜144mg程度であったが、本発明の製造方法によれば、それの4倍〜5倍の高収率で抽出することができた。
【0077】
以上の実施例2では入手が容易であるコンブ目チガイソ科の市販品の乾燥ワカメを用いて本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を行った結果を示した。
しかし、表2に示される結果につき前述した様に、同一製造工程で同一の製造条件では、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ウガノモク(学名:Cytoseira hakodatensis)、フジスジモク(学名:Sargassum confusum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thoubergii)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)から選択された一種又は二種以上の褐藻を用いて実施した場合、最大27.6倍のフコキサンチンの収量が見込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
抽出したフコキサンチンとそれを含有する脂溶性油を食品素材等に添加するための機能性食品素材として用いることができ食品の分野で活用することが可能である。またそれのみならず、その他にも医学、農業の分野での用途を検討することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例1においてHPLCを行い、作成された検量線を示す図。
【図2】本発明を実施するための最良の形態を示すフローチャートであって、乾燥ワカメからの脂溶性油抽出とフコキサンチン精製のフローチャートである。
【図3】本発明を実施するための最良の形態を示す他のフローチャートであって、フコキサンチン精製のフローチャートである
【図4】本発明を実施するための最良の形態のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施して乾燥ワカメからエタノール抽出した後のワカメ残渣と、比較例として従来の熱水加熱処理なしで乾燥ワカメからエタノール抽出した後のワカメ残渣の写真を示す
【図5】本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施して、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出された脂溶性油と水溶性成分の重量を示す。
【図6】本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施して、乾燥ワカメ100gからエタノール抽出された水溶性成分の重量を示す。
【図7】本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施して乾燥ワカメ100gからエタノール抽出した脂溶性油をカラムクロマトグラフィにより精製して得られるフコキサンチン重量を示す。
【図8】本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施して得られた脂溶性油とエタノール抽出液に含まれるフコキサンチンの割合を示す。
【図9】本発明のフコキサンチンを含有する脂溶性油の製造方法を実施し、3回目抽出までの脂溶性油、水溶性成分、フコキサンチンの重量を示す。
【出願人】 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人 北海道大学
【識別番号】505152756
【氏名又は名称】協同組合マリンテック釜石
【出願日】 平成19年3月19日(2007.3.19)
【代理人】 【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭


【公開番号】 特開2008−231198(P2008−231198A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−70688(P2007−70688)