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【発明の名称】 セラミド類含有組成物およびその製造方法
【発明者】 【氏名】守屋 和則

【氏名】木名瀬 佳子

【氏名】小澤 修

【要約】 【課題】廃棄物として大量に排出されている、茶葉からの熱水抽出残渣である茶殻を利用した天然物由来のセラミド類含有組成物およびその製造法を提供することを目的とする。

【解決手段】チャノキ(学名:Camellia sinensis (L.)O. Kuntze)に属する植物の生葉、または加工した茶葉を水抽出し、その残渣、好ましくは飲料用茶の茶殻から有機溶媒で抽出したセラミド類含有組成物およびその製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャノキ(学名:Camellia sinensis (L.)O. Kuntze)に属する植物の生葉、または加工した茶葉を水抽出し、その残渣から有機溶媒で抽出することで得られるセラミド類含有組成物およびその製造法。
【請求項2】
加工した茶葉を水抽出した残渣が、飲料用茶の茶殻である請求項1に記載のセラミド類含有組成物およびその製造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は茶葉より抽出したセラミド類を含む組成物およびその製造に関し、詳しくは廃棄物である茶殻を活用して抽出することが出来るセラミド類を含む組成物およびその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミド類は、動植物に広く存在することが知られている複合脂質で、スフィンゴシンと脂肪酸からなるセラミドと、スフィンゴシンに、脂肪酸と糖が付加されたグリコシルセラミドいわゆるセレブロシドなども含まれる。植物由来のセラミド類としては、主にグリコシルセラミドが存在することが知られている。
【0003】
セラミド類は、皮膚の構成脂質で、化粧品素材として外用として用いられている。また近年では、経口での摂取により、乾燥肌の改善、小じわ改善など、皮膚の保湿性に対して効果(非特許文献1)があることが確認され、利用されている。経口での摂取では、より安全性が高い素材が求められるが、これまで、セラミド類は、動物組織、特に牛脳由来のものなどが使われてきたが、近年、狂牛病のヒトへの感染の可能性から、安全性の高い植物由来のセラミド素材が求められ、使用されるようになった。
【0004】
植物由来のセラミド素材の製造には、穀物や芋類がよく使われており、特に、米(非特許文献2、特許文献1)、小麦(非特許文献3)、大豆(非特許文献4、特許文献2)、蒟蒻芋由来(特許文献3)のものが報告されている。しかし、セラミド類の抽出原料として最もよく使用されている小麦や、大豆は、アレルギー表示の特定原材料とされており、また米についても、アトピー性皮膚炎の原因となることが一般的に知られており、現状では植物由来のセラミド類においても、より安全性の高い原料素材が求められる。
【0005】
セラミド類の抽出原料あたりの含有量は非常に少なく、おおむね0.01%から0.05%程度と推定され(特許文献1、2、3および非特許文献2、3)、セラミド類を抽出する場合、大量の原料を必要とし、抽出後の残渣も多くなることから、セラミド類の含有量の多く、また安価な抽出素材が求められてきた。
【0006】
一方、茶においては、摂食によるアレルギーの報告はなく、安全性の高い抽出素材であると考えられる。また、茶葉は飲用に大量に利用されており、特に、近年は市販の缶やペットボトル入りの茶飲料の需要増加に伴い大量の茶殻が工場からまとまって排出され、茶飲料製造のために年間約1.8万トンの荒茶が利用され(非特許文献5参照。)、約7.5万トンの茶殻が排出されていると推定される。排出された茶殻のほとんどが肥料または廃棄物として処理されており(非特許文献6参照。)、今後、茶殻のより付加価値の高い利用手段が望まれている。
【0007】
茶殻は、食品廃棄物であり、食品としての利用価値は全くなかった。また、現在使用されている米、小麦、大豆、蒟蒻芋由来のセラミド類抽出素材と比較しても、茶殻は、茶飲料製造工場から、大量に入手することが容易で、工業的なセラミド類の製造には適した素材であると考えられる。
茶類として、ウーロン茶を利用したセラミド類の抽出の記述は存在するが(特許文献4)、ここでは、茶葉を前処理することなく、直接抽出用の溶媒を加えており、茶葉中のセラミド類を効率よく十分抽出するには至っていない。これまでに、飲料を抽出した後の茶殻に着目して、これをセラミド類の抽出素材に利用した例はなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平11-279586号公報
【特許文献2】特許第2119895号公報
【特許文献3】特許第3650587号公報
【特許文献4】特開2003-221592号公報
【非特許文献1】Fragrance Journal,23(1),81-85(1995)
【非特許文献2】Agric.Biol.Chem.,49,2753-2762(1985)
【非特許文献3】Agric.Biol.Chem.,49,3609-3611(1985)
【非特許文献4】Chem.Pharm.Bull.,38(11),2933-2938(1990)
【非特許文献5】「穀物及び茶の需要 〜その動向と見通し〜」,農林水産省総合食料局(2003)
【非特許文献6】「伊藤園環境報告書2003」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これまでに着目されることのなかった茶殻に注目し抽出原料として用いて、アレルギー表示の特定原料を使用していない安全性の高い新規のセラミド素材を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、これまでセラミド素材として用いられてきた米、小麦、芋類と比較して、同等もしくはそれ以上の量のセラミド類が茶葉に含有されることを明らかにし、有機溶媒、特に食品として使用することができるアルコールで容易に抽出できることを突き止めた。また食品として使用する場合、抽出原料として茶葉を用いることで、アレルギー表示の特定原料を用いることなく、植物由来セラミド素材の中でもより安全性の高いセラミド類含有組成物を得ることができた。
【0011】
さらに、セラミド類が水に難溶性であることに着目して、茶葉を水等で抽出した後の廃棄物である茶殻中に、セラミド類が多く残されていることを見出した。この茶殻を用いて、セラミド類を抽出することで、水抽出していない茶葉から直接抽出するよりも、効率よくセラミド類を得られることを見出し、下記のような本発明を完成するに至った。
(1)チャノキ(学名:Camellia sinensis (L.)O. Kuntze)に属する植物の生葉、または加工した茶葉を水抽出し、その残渣から有機溶媒で抽出することで得られるセラミド類含有組成物およびその製造法。
(2)加工した茶葉を水抽出した残渣が、飲料用茶の茶殻である(1)に記載のセラミド類含有組成物およびその製造法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセラミド類含有組成物は、茶葉を一旦、水または熱水で抽出した抽出残渣から有機溶媒で抽出した抽出物からなり、天然物由来で安心して使用できる。また茶葉より抽出されたセラミド類含有組成物は、一般的に抽出原料としてよく用いられている米や小麦、大豆由来のセラミド類含有組成物と異なり、アレルギーを発症する可能性のより少ない安全性の高いセラミド素材であると言える。
さらに、飲茶用に使用した茶葉の残渣である茶殻を好適な原料として利用でき、廃棄物を活用できる点からも優れたセラミド類含有組成物およびその製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明におけるチャノキ(学名:Camellia sinensis (L.)O. Kuntze)に属する植物には緑茶やウーロン茶の原料となるに中国種系(学名:C. sinensis var. sinensis )と、紅茶の原料などにされるアッサム種系(学名:C. sinensis var. assamica )、およびその他の変種とが含まれる。本発明の原料として好ましく用いられる茶葉は、通常、各種の飲茶原料とされているチャノキに属する植物の生葉、もしくは、生茶を加工した茶類であればよい。生茶を加工した茶類とは、公知の方法で製造された非発酵茶、半発酵茶および発酵茶を示す。例えば、日本茶(煎茶、番茶、深むし煎茶、茎茶、玉露、玄米茶、抹茶、ぐり茶、ほうじ茶等)、中国緑茶、青茶(ウーロン茶)、紅茶、黒茶等が挙げられ、上記の非発酵茶、半発酵茶、発酵茶を単独もしくは、混合したものでもよく、また、その他の植物組織由来の茶を混合したブレンド茶も含まれる。特に好ましくは、日本茶を用いることができる(以下、上記の生葉および茶類を合わせて茶葉という。)。
また、茶殻とは、上記の茶類を熱湯または水等で抽出した残渣を言い、勿論、茶類を飲茶として使用した残渣でもよい。
【0014】
本発明において、茶葉を水抽出する場合、10℃以上、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは80℃以上の水を使って、茶葉を3秒から2日間、好ましくは5秒から120分間、さらに好ましくは10秒から30分間抽出処理して得られる残渣である。なお、抽出する水は完全に純粋な水でなくともよく、海水のように塩分が混入していたり、糖分や酒などのアルコール類、酢酸類などが加えられていても実質的に水溶液と考えられるものであればよい。抽出に使用する溶媒量は、乾燥茶葉原料1質量部当たり1〜10,000質量部、好ましくは1〜1,000質量部、さらに好ましくは5〜50質量部が望ましい。水抽出処理後の残渣は、公知の方法で抽出液中から回収することができる。例えば、布、紙、金網等を用いて濾過したり、デカンテーション、遠心分離等すればよい。茶葉を水抽出した後に生じる残渣としては、工場や家庭などで飲茶用の加工茶葉を温水または熱湯で抽出した残渣、いわゆる茶殻でもよい。特に、工業的に茶飲料の製造工程で生じる茶殻は品質が均一なものが大量に得られる点で好適である。
【0015】
本発明におけるセラミド類含有組成物は、上述の茶葉を水抽出した後の残渣(以下茶殻という。)を有機溶媒を用いて抽出したものとしている。抽出に使用できる溶媒としては、茶殻中の成分を効率よく抽出できる溶媒であれば特に限定はなく、例えば低級アルコールであるメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等、あるいはプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルメチルケトン、酢酸、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロロホルム、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの低級炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニリン、ピリジン、ピロリドン等の含窒素化合物などが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよく、水を含んだ有機溶媒でもよい。上記の低級アルコールおよび多価アルコールを含水アルコールとして使用する場合は、水分含量は30質量%以下、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下が望ましい。抽出溶媒としては、アルコール類およびその混合溶媒が好ましく、エタノールおよび水分10質量%以下の含水エタノールが特に好ましい。
【0016】
抽出条件は、溶媒種により適宜選択すればよいが、抽出溶媒がエタノールまたは含水エタノールの場合10℃以上、好ましくは20℃以上で、1分から100時間、好ましくは3分から50時間、さらに好ましくは5分から20時間抽出することが望ましい。また、抽出に使用する有機溶媒量は、乾燥茶葉原料1質量部当たり1〜10,000質量部、好ましくは1〜1,000質量部、さらに好ましくは5〜50質量部が望ましい。なお、原料茶殻は特に乾燥させる必要はないが、あまり多くの水分を含んでいると抽出溶媒中の水分濃度が高くなるので注意する必要がある。抽出処理後の残渣は、公知の方法で抽出液中から分離することができる。例えば、布、紙、金網等を用いて濾過したりデカンテーションや遠心分離等すればよい。このようにして得られた抽出液は、常法により溶媒を除去して抽出物を得ることができる。この抽出物が本発明のセラミド類含有組成物である。溶媒除去は加熱して行えば時間を短く出来るが、セラミド類の一部の分解や蒸散を防ぐため、加熱温度は120℃を超えないことが望ましい。さらに、減圧下で濃縮乾燥を行えば抽出物の変質を防ぐだけでなく短時間で処理でき好適である。抽出に使用した溶媒は抽出物と分離した後、再度抽出に使用することが可能であり、例えばエタノール等は原料茶殻が水分を含んでいることが多いので、水分濃度に注意しながらリサイクルして使用すればよい。
【0017】
得られたセラミド類含有組成物は、常法によりセラミド類を精製して使用することもできる。セラミド類を精製する方法に特に限定はなく、各種溶媒を用いた抽出や洗浄操作、液液分配法、シリカゲルや樹脂などの各種担体を用いたクロマトグラフィー法、結晶法などを用いることができる。
【0018】
セラミド類含有組成物中のセラミド類の定量は、公知の方法によって分析することができる。例えば、薄層クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法、ガスクロマトグラフィー法等が上げられる。特に簡便には、薄層クロマトグラフィーによってセラミド類を定量することができる。市販のセラミド類または、高純度の精製品を標準として、シリカゲル薄層クロマトグラフィーを行って得られるスポットを、画像処理ソフトや、デンシトメーターなどで数値に変換して、標準品を使って作成した検量線を用いることで、定量的な分析を行うことができる。
【0019】
上述のようにして得られたセラミド類含有組成物は、常法により、錠剤、カプセル剤、乳化液、ゲル剤、担体を用いた粉末などの形状に加工して使用することができる。また、各種食品、飼料、医薬品、化粧品等に添加して用いてもよい。上記形態をとる上で、目的に応じて適時、香料、色素、油脂類、アルコール類、保湿剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐剤、界面活性剤等を配合することができる。
【実施例】
【0020】
次に実施例により、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
市販の番茶20gを原料として、脱塩水を300ml加え、80℃に加温して30分間撹拌抽出を行ってから、濾過により上清と残渣を分離した。回収した上清は減圧濃縮し、6.3gの熱水抽出物(抽出物Aという。)を得た。この工程を水抽出工程という。
次に、有機溶媒抽出工程として、熱水抽出後の残渣(茶殻)を、濾紙上室温で1時間乾燥させてから、99.5%エタノール300mlを加えて、室温で16時間撹拌抽出を行った。濾過により抽出液と残渣を分離した。抽出液を室温で減圧濃縮して2.16gのエタノール抽出物(抽出物Bという。)を得た。
【0021】
(実施例2)
市販紅茶10gを原料として、水抽出工程および有機溶媒抽出工程を経て、0.56gのエタノール抽出物(抽出物Cという。)を得た。
【0022】
(実施例3(比較例1))
市販の番茶20gを原料として、99.5%エタノール300mlを加えて、室温で16時間撹拌抽出を行った。抽出液を減圧濃縮して1.31gのエタノール抽出物(抽出物Dという。)を得た。
【0023】
(実施例4)
次に、得られた抽出物中のセラミド類の精製を行った。
まず、抽出物Bを1%(W/V)エタノール溶液に調製して、そこへ、活性炭0.4%(W/V)分を加えて、室温で、吸光度(OD664nm)が0.1以下になるまで撹拌して、夾雑物である親油性の色類を除去した。活性炭を濾過で除去して得られた上清から、減圧で溶媒を除去して固形分1.74gを回収した。そこへ、固形分濃度が1.8%(W/V)となるようにヘキサンを加えて溶解してから、同量の60%(V/V)エタノール水溶液を加えて激しく撹拌してから静置し、2層に分離させて、複合脂質を含むヘキサン層を回収した。回収したヘキサン層溶液の溶媒を減圧で除去して、親水性の夾雑物を除去した固形分0.754gを得た。得られた固形分が10%(W/V)となるように、0.5Nメタノール性水酸化カリウムを加えて、37℃で1時間140回転で振とうして、セラミド類以外の複合脂質の分解を行った。分解処理後、メタノール性3N塩酸で中和してから、1/10倍量の20%硫酸ナトリウム水溶液と2倍量の水を加えてから、水と同量のクロロホルムで3回抽出を行った。得られたクロロホルム抽出液は、無水硫酸ナトリウムで脱水してから、減圧で溶媒を除去して、固形分を回収した。回収した固形分は、少量のアセトンで洗ってから、減圧で乾燥させて、シリカゲルカラムによるクロマト分離精製を行った。分離用のサンプルを少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲルを充填したカラム(内径10mm、長さ200mm)に導入し、混合比を40対1から1対1まで変えながらクロロホルム−メタノール混合溶液で順次溶出させ、目的とするセラミド類を含む画分(精製物Eという。)9.1mgを得た。精製物Eは、シリカゲルによる薄層クロマトグラフィーで、単一のスポットとして検出された。薄層クロマトグラフィーの分析条件は、シリカゲルのプレートにサンプルをスポットした後、クロロホルム・メタノール・水が65対16対2(体積比)の混合液で展開した。その後、プレートを、10%(W/V)のα−ナフトールを含む50%(V/V)メタノール水溶液を噴霧後、さらに50%硫酸を噴霧して加熱することでスポットを検出した(TLC分析条件1という。)。
【0024】
次に、精製物Eを臭化カリウム(KBr)結晶を用いて錠剤化して、赤外吸収スペクトルの分析を行った結果を、図1に示した。
セラミド類の持つアシルアミド結合に由来する1539および1638の吸収と、糖に由来する3337および1080の吸収が確認され、茶殻由来のセラミド類はグリコシルセラミドであることがわかった。
【0025】
(実施例5)
精製物Eの強酸分解による分子構造の確認を行った。
精製物E 6.0mgを、メタノール性の2N塩酸1.5mlに懸濁して、70℃で5時間分解処理を行った。分解処理後、メタノール性の0.5N水酸化カリウムで中和した後、メタノールで全量を9ml(分解液Fという。)とした。得られた分解液Fを用いて、そこに含まれる糖類、スフィンゴシンおよび脂肪酸の定量を行った。
分解液F中の糖類の分析は、まず分解液Fの溶媒を減圧で除去した後、同量の水に懸濁して、メンブランフィルターでろ過した後、薄層クロマトグラフィーによる定性分析と、高速液体クロマトグラフィーによる定量分析を行った。糖類の薄層クロマトグラフィーの分析条件は、シリカゲルのプレートにサンプルをスポットした後、1−ブタノール、ピリジン、水が60対25対15の混合溶液で展開して、ナフトレゾルシン硫酸溶液を噴霧後、加熱して、糖類のスポットを検出した。糖類の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析条件は、カラムにGELPACK GL−C610 、10.7mm i.d. x 300mm(日立製)を用いて、カラム温度は60℃、移動相には、蒸留水を用い、流速1.0ml/min.で、検出は示差屈折で行った。
分解液F中のスフィンゴシンの定量は、分解で生じたスフィンゴシンを、メチルオレンジ複合体として比色定量した(生物化学実験法9 脂質分析入門 藤野安彦著 学会出版センター(1978)、p.143〜)。分解液F 0.1mlを用いて、減圧で溶媒を除去後、メタノール性2N塩酸1mlと7N水酸化ナトリウム0.5mlを加えて、水で全量を2mlとした。この溶液に酢酸エチル5mlを加えて撹拌抽出を行い、静置して生じる水層を除去後、再び2mlの水による洗浄を2回行った。その後、0.01M酢酸緩衝液2mlとメチルオレンジ溶液0.1mlを加えて激しく撹拌してから静置して、得られる酢酸エチル層の吸光度(415nm)を吸光度計にて測定した。標準として、市販のスフィンゴシンで同様の操作を行い、検量線を作成して分解物中のスフィンゴシン量を定量した。
分解液F中の脂肪酸の分析は、脂肪酸のカルボン酸を滴定により測定する全脂肪酸量の定量により行った(生物化学実験法9 脂質分析入門 藤野安彦著 学会出版センター(1978)、p.140〜)。分解液F 8mlの溶媒を減圧で除去後、6mlの6.5%(W/V)の水酸化ナトリウムを含むプロピレングリコール溶液に溶解して、70℃で2時間処理して、分解を行った。その後、水2mlとジエチルエーテル2mlを加えて撹拌して、静置して2層に分かれた水層を回収した。回収された水層は5N硫酸水溶液でpH1〜2に調整してから、2mlのジエチルエーテルで3回抽出を行い回収されたジエチルエーテル層は、少量の水で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水してから、メタノール性0.02Nの水酸化ナトリウムで滴定した。
【0026】
以上の分析の結果から、精製物Eの強酸による分解液Fには、モル比で、グルコース、スフィンゴシン、脂肪酸を1対1.0対0.9の割合で含んでいることを確認した。このことから、精製物Eは、モノグルコシルセラミドであることを確認した。
【0027】
(実施例6)
抽出物A、B、CおよびDに含まれるグルコシルセラミド量を、精製物Eを標準に使用したシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより定量した。シリカゲルアルミナプレートに、サンプルをスポットした後、実施例4のTLC分析条件1でスポットを検出した。スポット検出したプレートは、スキャナーでデジタル画像に変換して、画像処理ソフト(Scion Image)によって、グルコシルセラミドのスポットを数値化し、標準を使って作成した検量線を元に、抽出物に含まれるグルコシルセラミドを定量した。
【0028】
【表1】


【0029】
表1をみると、茶飲料に当たる抽出物Aには、グルコシルセラミドが全く含まれておらず、茶殻の抽出物である抽出物Bにグルコシルセラミドが含まれていることが確認できた。また発酵茶葉である紅茶の茶殻を用いても、番茶と同程度のグルコシルセラミドを抽出することができることを確認した。一方、水抽出していない茶葉から、直接、エタノールによって抽出を行った抽出物Dでは、茶葉中のグルコシルセラミドを効率よく抽出することができないことがわかった。以上の結果より、茶葉を水抽出処理した後の茶殻を用いたセラミド類の抽出が、効率的であることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のセラミド類含有組成物は、食品製造過程で生じる素材を用いて製造されていることから、安全性も高く、食品、特に機能性食品や、化粧品、医薬品として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、精製物Eを臭化カリウム(KBr)で錠剤化して、赤外吸収スペクトルを測定した結果である。(実施例5)
【出願人】 【識別番号】000226769
【氏名又は名称】日新製糖株式会社
【出願日】 平成19年2月28日(2007.2.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−208284(P2008−208284A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−48252(P2007−48252)