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【発明の名称】 香料粒子の製造方法
【発明者】 【氏名】宮原 務

【氏名】中井 武史

【氏名】小塚 淳

【氏名】中島 美奈子

【要約】 【課題】揮発性の高い香料成分の揮散を抑制し、損失を可能な限り少なくした造粒法を提供する。

【解決手段】熱可塑性の水溶性バインダーに香料を添加し、該水溶性バインダーの融点未満の温度で造粒する工程を有する香料粒子の製造方法、及び該製造方法により得られた香料粒子である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性の水溶性バインダーに香料を添加し、該水溶性バインダーの融点未満の温度で造粒する工程を有する、香料粒子の製造方法。
【請求項2】
香料を添加する際に、熱可塑性の水溶性バインダーの少なくとも一部が固体状態である、請求項1記載の香料粒子の製造方法。
【請求項3】
香料と水溶性バインダーの質量比(香料/水溶性バインダー)が0.02〜1である、請求項1又は2に記載の香料粒子の製造方法。
【請求項4】
水溶性バインダーがポリアルキレングリコールである、請求項1〜3のいずれかに記載の香料粒子の製造方法。
【請求項5】
更に、吸油能が120mL/100g以上の吸油担体を添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の香料粒子の製造方法。
【請求項6】
造粒工程後に、造粒温度以上の温度で改質を行う工程を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の香料粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる香料粒子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、香料粒子の製造方法、及び該製造方法により得られる香料粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、香料成分を配合した香料粒子の製造方法としては、一般に、以下のような、熱可塑性の水溶性バインダーを用いた、(1)押出し造粒法、(2)攪拌転動造粒法、(3)圧縮形成法等が知られている。
(1)押出し造粒法:ナウターミキサーやリボンミキサー等の混合機に粉体を投入し、熱可塑性のバインダーを融点以上に溶融して投入し、混合を行ない、その後、バインダーの融点以上で押出し機、例えばペレッターダブル、ツインドームグラン等で円柱状の押出し粒子を得る方法。
(2)攪拌転動造粒法:ハイスピードミキサーやヘンシェルミキサー等の造粒機の中に粉体を投入し、(1)と同じく熱可塑性のバインダーを融点以上で溶融したものを投入、若しくは固体状態で投入後、ジャケット等で造粒機を加温し、造粒中に融点以上で溶融させることによりバインダー力を発生させ造粒し、粒子を得る方法。
(3)圧縮形成法等:(1)の方法と同様に、ナウターミキサーやリボンミキサー等で予備混合を行い、ブリケッターやコンパクター等で圧縮形成し、顆粒状の粒子を得る方法。
上記の製造方法のうち、近年、生産性や操作性の点から、攪拌転動造粒法が用いられることが多く、この方法に関するものとして、具体的には、香料、デキストリン及び水溶性高分子を含有する香料粒子に関する特許文献1、特定の平均粒径、嵩密度を有し、香料、吸油担体、及び熱可塑性の水溶性バインダ−を含有し、実質的に水を含まない香り粒子に関する特許文献2、常温で固体又は液体の揮発性物質が低融点物質を用いて、密閉形で加熱造粒されている粒状物に関する特許文献3等が挙げられる。しかしながら、これらの方法はいずれも水溶性バインダーを溶融させ、融点以上の温度で造粒を行うものであり、これらの方法によれば、揮発性の高い香料成分を使用した場合、香料成分が揮散し、香料が本来有する香りの質、強さを損ねることがあった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−121583号公報
【特許文献2】特開2004−250575号公報
【特許文献3】特許第3194589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、香料成分、特に揮発性の高い香料成分の揮散を抑制し、また、得られる香料粒子の香りや粒子強度の損失を著しく少なくした香料粒子の製造方法、及び香料粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(1)熱可塑性の水溶性バインダーに香料を添加し、該水溶性バインダーの融点未満の温度で造粒する工程を有する、香料粒子の製造方法、及び
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られる、香料粒子、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、香料成分、特に揮発性の高い香料成分の揮散を抑制することができ、また、香りや粒子強度の損失が著しく少ない香料粒子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(熱可塑性の水溶性バインダー)
本発明に用いられる熱可塑性の水溶性バインダーは、その種類は特に限定はされないが、溶解性,経済性の点から、ヒドロキシアルキルセルロース(好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシルアルキルセルロース(好ましくは、カルボキシルメチルセルロース)、ポリアルキレングリコール(好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)等からなる群より選択される1種以上が好ましい。このうち、より好ましくは、ポリアルキレングリコールであり、特に、ポリエチレングリコールが好ましい。また、これら熱可塑性の水溶性バインダーは、その性状は特に限定されないが、粒子の保存安定性の点から、常温(20℃)で固体のものが好ましい。
【0008】
熱可塑性の水溶性バインダーの平均分子量については、使用する香料の種類にも依存し、平均分子量が高く融点が高いと香料の揮散が起こりやすく、平均分子量が低いと粒子の安定性が低下する。これらの観点から、上記水溶性バインダーの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法で、4,000〜18,000が好ましく、より好ましくは6,000〜13,000、更に好ましくは7,000〜11,000であり、本発明における水溶性バインダーとしては、上記平均分子量を有するポリアルキレングリコールが好ましい。
【0009】
香料粒子中における、熱可塑性の水溶性バインダーの含有量は、造粒性の観点から10質量%以上が好ましく、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。また、溶解性の観点からは、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。すなわち、造粒性、溶解性等の観点から、上記水溶性バインダーの含有量は、10〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜60質量%、更に好ましくは25〜50質量%である。また、熱可塑性の水溶性バインダーの添加量は、上記香料粒子中の含有量となるような量であればよく、その値は上記含有量と同様である。
【0010】
(香料)
本発明において使用する香料は、その種類は特に限定はされない。香料の揮散を抑制し、得られる香料粒子の香りを効果的に発現する点から、揮発性の高い香料において本発明の効果が顕著である。揮発性の高い香料としては、テルペン系炭化水素類、テルペン系エステル類、テルペン系アルコール類、アルデヒドやアセタールなどの合成香料、あるいはこれらを多く含有する天然精油や調合香料であることが望ましい。
【0011】
テルペン系炭化水素、テルペン系エステル、テルペン系アルコールを多く含有する天然精油として、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、オレンジ油、ベルガモット油、パイン油、カモミル油、ジャスミン油、スペアミント油、ペパーミント油、はっか油、テレビン油、ラベンダー油、ローズ油、ネロリ油、シトロネラ油、ジンジャー油、ペッパー油、ナツメグ油、クローブ油、コリアンダー油、ディル油、クミン油、パセリ油、セージ油、タイム油などを挙げることができる。
【0012】
また、合成香料としては、リモネン、α-ピネン、β−ピネン、カンフェン、テルピノーレン、ミルセン、オシメン等の炭化水素類。テルピネオール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、l-メントール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、アニスアルコール、シンナミックアルコールなどのアルコール類;n-オクチルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ペリラアルデヒド、サイクラメンアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、プロピルアルデヒド、リリアール等のアルデヒド類とそのアセタール類;メチル-n-アミルケトン、l-カルボン、メントン、アセトフェノン、α-ヨノン等のケトン類;酢酸イソアミル、酢酸ゲラニル、蟻酸シトロネリル、蟻酸ベンジル、酢酸リナリル、プロピオン酸リナリル、安息香酸メチル、桂皮酸メチル、サルチル酸エチル、蟻酸アミル、蟻酸ブチル、蟻酸エチル、メチルジヒドロジャスモネート、γ―ノナラクトン、γ―デカラクトン、γ―ウンデカラクトン等のエステル類やラクトン類を挙げることができる。
【0013】
前述の香料のうち、特にアセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、蟻酸エチル、ブチルアルデヒド、蟻酸ブチル、蟻酸アミル、酢酸イソアミル、α-ピネン、テレビン油、メチル-n-アミルケトン、β−ピネン、カンフェン、ナツメグ油、ミルセン、リモネン、シトロネラ油、オシメン、レモン油、テルピノーレン、ベルガモット油、スペアミント油、コリアンダー油、タイム油、安息香酸メチル、パイン油、アセトフェノン、蟻酸ベンジル、グレープフルーツ油、ライム油、オレンジ油、カモミル油、ジャスミン油、ペパーミント油、はっか油、ラベンダー油、ローズ油、ネロリ油、ペッパー油、ディル油、パセリ油、n-オクチルアルデヒド、シトロネラール、l-カルボン、メントン、ベンジルアルコール、シトラール、蟻酸シトロネリル、酢酸リナリル、クミン油、リナロール、サルチル酸エチル、フェニルエチルアルコール、ペリラアルデヒド、酢酸ゲラニル、ゲラニオール、テルピネオール、l-メントール、プロピオン酸リナリル、桂皮酸メチルに対する本発明の効果は顕著である。
【0014】
本発明は、これらの香料のうち1種を粒子化してもよく、また2種以上を調合した調合香料としたものを粒子化してよい。香料は、香料粒子中に多く含まれるほど、長時間香りを残すことができるが、初期の香りのバランスを持続するためには、香料粒子中、1〜15質量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜12質量%、更に好ましくは4〜10質量%含有する。その添加量についても、上記香料粒子中の量となるような量であればよい。その添加量は上記含有量と同様である。
また、香料と熱可塑性水溶性のバインダーの質量比(香料/熱可塑性の水溶性バインダー)は、造粒性や溶解性の観点から、0.02〜1であることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.8、より好ましくは0.05〜0.7、より好ましくは0.1〜0.5、更に好ましくは0.14〜0.3である。
【0015】
(賦形剤)
本発明の香料粒子には賦形剤として吸油担体を用いることが、香料を保持する観点から好ましい。吸油担体としては、その種類は特に限定はされないが、香料を保持する観点から、吸油能が120mL/100g以上のものが好ましい。その上限値は特に限定はされない。本発明においては、上記観点から、吸油担体として、非晶質アルミノシリケート等が好ましいものとして挙げられる。なお、吸油担体の吸油能は、JIS K6220に基づいて測定することができる。また、本発明においては、デキストリンが好ましいものとして挙げられるが、吸油能が120mL/100g以上のものがより好ましい。
【0016】
非晶質アルミノシリケートとしては、具体的には、特開平9−132794号公報、特開平7−10526号公報、特開平6−227811号公報、特開平8−119622号公報などに記載されている非晶質アルミノシリケート(吸油能:285mL/100g)等を挙げることができる。更に具体的には、フローライトR((株)トクヤマ製、吸油能:400〜500mL/100g)、トクシールNR((株)トクヤマ製、吸油能:210〜270mL/100g)、TIXOREX25(韓仏化学社製、220〜270mL/100g)、サイロピュア(富士シリシア化学(株)社製、吸油能:240〜280mL/100g)等の吸油担体を用いることができる。
【0017】
デキストリンは、デンプンの部分加水分解によって得られるものである。デンプン分子は、加水分解によって次第に小分子となり、最終的にグルコースになるが、その加水分解程度によって、各種糖類の混合物が製造される。本発明で用いることができるデキストリンは、例えば、水溶性デンプン、化工デンプンまたはこれらの誘導体であって、エステル化デンプン(リン酸デンプン等)、エーテル化デンプン(カルボキシメチル化デンプン等)、酵素変性デキストリン(マルトデキストリン等)、焙焼デキストリン等が挙げられる。本発明においては、溶解性,吸油能の点から、好ましくは、酵素変性デキストリン、焙焼デキストリン等が用いられる。更に、下記式で定義されるデキストロース当量値(以下、D.E.値という)が、0〜8、更には0〜3の非還元末端デンプンと、水溶性デンプン、化工デンプンまたはこれらの誘導体であって、水素添加によりグルコース末端を還元末端としたデンプンを所定の割合で混合して作製したデンプンを用いるのが溶解性の観点から好ましい。非還元末端デンプンとは、両末端が非還元末端である(還元末端を有しない)デンプンのことである。
D.E.値=[直接還元糖(グルコースとして表示)/固形分]×100
デンプンの加水分解は、酸触媒法または酵素触媒法のような標準法によって行うことができる。デキストリンの具体例としては、特開平8−143603号公報記載の製造方法等によって製造されたもの等が挙げられる。また、これらのデキストリンの中でも、吸油能の点から、比容積が5〜10m2/gであるものが好ましい。
【0018】
上記吸油担体の香料粒子中における含有量は、非晶質アルミノシリケートの場合は、溶解性の観点から1〜5質量%が好ましく、2〜3質量%がより好ましい。
また、デキストリンの場合は、香料成分の担持力、溶解性の観点から5〜30質量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。
上記吸油担体の添加量についても、上記香料粒子中の量となるような量であればよく、その値は上記含有量と同様である。
【0019】
本発明の香料粒子には更にその他の成分として、重曹,コハク酸,フマル酸,ソーダ灰等を含有することができる。これらは、一般市販品を用いることができ、例えば、重曹としては東ソー(株)社製のTYPE−P重曹、旭硝子(株)社製のKP等を用いることができ、コハク酸としては、川崎化成工業(株)製,日本触媒(株)製等を用いることができ、フマル酸としては、川崎化成工業(株)製,日本触媒(株)製等を用いることができ、ソーダ灰としては、東ソー(株)製のライト灰等を用いることができる。これら市販品の中でも造粒性の観点から、粒度の比較的小さいものが好ましく、具体的には、250μm以下の粒子を95質量%以上含むものが好ましい。
これらの配合比率は、造粒性,配合の自由度の観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
【0020】
(香料粒子の製造方法)
本発明の香料粒子の製造方法は、前記香料及び熱可塑性の水溶性バインダー、及び必要に応じて用いられる吸油担体を、熱可塑性の水溶性バインダーの融点未満の温度で造粒する工程を有する。ここで、水溶性バインダーの融点は、示差走査型熱量計(DSC)による相転移温度から測定することができる。
測定条件は、試料5mg、5℃/分の速度で温度を上昇させた。融点は測定チャートより、縦軸に温度、横軸に熱量で示した場合、昇温時に現れるピーク立上りの傾きを持つ直線の切片とした。
【0021】
原料添加
本発明の製造方法は、バインダーに香料を添加する工程を有するが、その他、前述の原料の添加順序には特に制限はない。
熱可塑性の水溶性バインダーは、融点以上の温度で溶融したものを、造粒機内で冷却固化させてもかまわないし、固体状態でその他粉体原料と同様、予め造粒機内に投入しておいてもよい。
このように粉体原料を予め投入しておくことにより、香料含有量を多くでき、有利に造粒することができる。原料の添加は、香料の量を多くすることができる点から、香料添加の際に、熱可塑性の水溶性バインダーの少なくとも一部が固体状態であることが好まく、全部が固体であればより好ましい。具体的には、以下のような方法で行うことができる。香料は、造粒機が攪拌中に投入することができる。また、熱可塑性の水溶性バインダーを溶融して、造粒機内で冷却固化させる場合は、これを香料成分と同時若しくはその後に投入することができる。熱可塑性の水溶性バインダーが固体状態の場合は、熱可塑性の水溶性バインダーの存在下で香料を攪拌中に投入することができる。
香料添加の際の造粒機内温度については特に制限はないが、熱可塑性の水溶性バインダーの少なくとも一部が固体状態である温度であることが好ましい。具体的には、例えば分子量8,500のポリエチレングリコールを用いる場合は、5〜50℃であることが好ましく、より好ましくは10〜40℃である。
【0022】
造粒工程
本工程においては、上記原料成分を造粒して香料粒子を製造するが、香料粒子を造粒する際に用いる造粒機としては、例えば、ペレッターダブル,ツインドームグラン(不二パウダル(株)製)等の周知の押出し造粒機、ブリケッター,コンパクター等の周知の圧縮形成造粒,ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーティカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(マツボー(株)製)、プロシェアーミキサー(太平洋機工(株)製)等の周知の攪拌転動造粒機が挙げられる。この中でも、香料の揮散抑制、全ての工程を1つの装置で行うことが可能な点から、ハイスピードミキサー、ヘンシェルミキサー等の攪拌転動造粒機を用いることが好ましい。
これら造粒機の操作条件は、造粒性の点から、ブレード(主翼)回転の周速が2〜20m/sであることが好ましく、更に3〜18m/sがより好ましい。また、チョッパー(解砕翼)を具備した造粒機を用いる場合は、それを使用して造粒を行うこともできる。
【0023】
本発明においては、香料粒子は本発明の効果の点から、熱可塑性の水溶性バインダーの融点未満の温度で造粒する。例えば、水溶性バインダーとして分子量8,500のポリエチレングリコールを用いる場合は、その融点は約58℃であることから、融点,香料揮散の観点から粉温58℃未満で造粒することが好ましく、一方、造粒性の観点から、20〜45℃で造粒することが好ましい。また、他の熱可塑性の水溶性バインダーを用いる場合は、上記の観点から、融点より15〜40℃低い温度でハンドリングを行うことが好ましい。
【0024】
改質工程
本発明においては、必要に応じ、容器壁を加熱しながら造粒物を攪拌・転動させることにより改質工程を行うことが好ましい。
ここで改質工程とは、粉温を水溶性バインダーの融点より低く、造粒温度より高い温度で改質を行うことで、造粒した粒子の強度を向上させたり、また微粉を取り込む等、粒子の物性を改善する工程をいう。本発明において、改質工程は、物性改善と共に、更に造粒が進行する場合もある。
改質は、例えば、造粒した粒子に重曹、コハク酸,フマル酸,ソーダ灰等を改質剤として投入し、ブレード(主翼)回転の周速を2〜20m/s、好ましくは3〜18m/sで1分間程度攪拌する。これらの改質剤は、粒子の流動性の点から、無機、有機の微粒子を用いることが好ましく、具体的には、250μm以下の粒子を95質量%以上含むものが好ましい。改質剤添加後、容器壁を加熱し、造粒工程より低いブレード回転数で、攪拌し改質を行う。本発明においては、粉温は粒子強度の観点から、分子量8500のポリエチレングリコールの場合は、58℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40〜46℃である。
また、他の熱可塑性の水溶性バインダーを用いる場合は、上記の観点から融点より15〜20℃低い温度で改質工程を行うことが好ましい。
【0025】
冷却工程
次いで、上述で得られた香料粒子を冷却する工程を設けることができる。ここで、冷却は通常用いられる手法、例えば造粒工程若しくは改質工程の後、造粒機の容器壁を冷却することや、振動冷却機やマルメライザー(不二パウダル(株)製)等を用いて行うことができ、同じ造粒機で容器壁を冷却することが、香料揮散の観点からより好ましい。
【0026】
(香料粒子)
上記本発明の製造方法により得られる香料粒子は、香料、特に揮発性の高い香料の揮散を抑制することができ、また、香りや粒子強度の損失が著しく少ないものである。
本発明の香料粒子の平均粒子径は、溶解性の点から、250〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは500〜1500μmである。
また、本発明の香料粒子は粒子強度が高いものである。ここで、「粒子強度」とは、単位面積当りにおける粒子崩壊時の荷重をいい、後述のように、粒子強度測定器などを用いて測定することができる。このような、粒子強度としては、ハンドリングの点から、20g/mm2以上であることが好ましく、より好ましくは30g/mm2以上である。その上限値については、特に制限はないが、溶解性の点から、200g/mm2であることが好ましい。
【実施例】
【0027】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各例で得られた香料粒子について、以下に示す方法に従って、その性状及び性能を評価した。
[香料粒子の平均粒子径]
平均粒径は、メジアン径で示し、JIS Z 8801に規定の篩を用いて求めた。すなわち、目開きが、4,000μm、2,800μm、2,000μm、1,400μm、1,000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、180μm、125μmである各篩と受け皿を用い、ロータップマシーン((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、100gの試料を5分間振動させた後、篩目開きのサイズによる質量分率から各粒径の粒子の割合を測定し、粒子径を求めた。
【0028】
[粒子強度]
JIS Z 8801規定の篩を用い、1400μmPASS、1000μmONの粒子を用い、粒子強度測定器(GRANO型、岡田精工(株)製)で1粒づつ20個の粒子を測定し、その平均値を粒子強度とした。
【0029】
[匂いの強さ]
香料成分が0.38gとなるように香料粒子と、重曹=10g,ソーダ灰=10g,フマル酸=残分を合計45gに調整し、40℃、175Lの水に溶解し、直後、5分後、30分後、60分後の匂いの強さを専門パネラー5名が次の基準で評価し、5名の平均評価点で下記のように評価した。
【0030】
評価
5:かなり強くにおう
4:十分匂う
3:匂う
2:ほとんど匂わない
1:匂わない

下記の実施例及び比較例で用いた香料A及び香料Bの配合(質量部)を以下の表1に示す。
【0031】
【表1】


【0032】
実施例1
重曹66.6kgを予め造粒機(深江工業(株)社製ハイスピードミキサー 455L)に仕込み、ジャケット温度を10℃として、ブレード回転数70r/m、チョッパー回転数3600r/mで1分間攪拌した後、ブレード、チョッパーを止めずに、溶融したポリエチレングリコール(商品名:K−PEG6000LA、花王(株)製、融点:58℃)29.2kgと香料B 4.2kgを同時にハイスピードミキサー内に添加した。投入時間はそれぞれ、溶融ポリエチレングリコールが40分、香料成分は90分であった。この時、溶融ポリエチレングリコールは、槽内で固化しており、この間、粉温は25℃であった。ここで得られた香料粒子の粒子強度は、上記の測定法では、下限値未満であったため更に粒子強度を高めるべく改質を行った。
改質工程として、ジャケット温度を粉温45℃となるように維持しつつ、ジャケット温度を32℃から40℃範囲で調温し、改質剤は添加せず、ブレード回転数100r/m、チョッパー回転数1800r/mで80分間攪拌した。これにより、平均粒子径980μm、粒子強度110g/mm2の粒子を得た。
【0033】
実施例2
重曹66.6kgを予め造粒機(深江工業(株)社製ハイスピードミキサー 455L)に仕込み、ジャケット温度を10℃として、ブレード回転数70r/m、チョッパー回転数3600r/mで1分間攪拌した後、ブレード、チョッパーを止めずに、溶融したポリエチレングリコール(商品名:K−PEG6000LA、花王(株)製、融点:58℃)29.2kgを40分で添加した。その後、ジャケット温度を8〜10℃にして、香料B 4.2kgを3分で添加し、20分間攪拌を行い、平均粒子径1235μm、粒子強度110g/mm2の粒子を得た。
【0034】
実施例3
重曹600g、粉末のポリエチレングリコール(商品名:K−PEG6000LA、花王(株)製)2400g、デキストリン(商品名:CZRM-X、日澱化学(株)製)900g、及びシリカ粉(商品名:フローライトR、(株)トクヤマ製)120gを予め造粒機(三井鉱山(株)社製ヘンシェルミキサー FM20B)に仕込み、ジャケット温度33℃、ブレード回転数560r/mで攪拌しながら、粉温41℃となるように、香料A 500gを1分で投入し、その後も保ちつつ粉温41℃で60分間造粒を行い、平均粒子径811μmの粒子を得た。粒子強度は、測定器の下限値未満のため測定不可能であった。
更に、ジャケット温度55℃にし、重曹1380gを添加して、ブレード回転数360r/mにて、粉温46℃となるように5分間改質工程を行い、粒子強度40g/mm2の粒子を得た。
【0035】
実施例4
実施例3において、造粒機のジャケット温度を10℃、ブレード回転数を580r/mとし、香料A投入後の造粒を粉温20℃となるように90分間行った以外は同様に造粒を行い、平均粒子径654μmの粒子を得た。
【0036】
実施例5
重曹3kg、粉末のポリエチレングリコール(商品名:K−PEG6000LA、花王(株)製)12kg、デキストリン(商品名:CZRM-X、日澱化学(株)製)4.5kg及びシリカ粉(商品名:フローライトR、(株)トクヤマ製)0.6kgを予め造粒機(三井鉱山(株)社製ヘンシェルミキサー FM150J/T)に仕込み、ジャケット温度26℃、ブレード回転数490r/mで攪拌しながら、香料A 3kgを2分で投入し、その後ブレード回転数490r/mで20分、280r/mで20分間造粒を行った。この間、粉温は39℃であり、平均粒子径757μmの粒子を得た。粒子強度は、測定器の下限値未満のため測定不可能であった。
更に、ジャケット温度50℃にし、重曹18.4kgを添加して、ブレード回転数280r/mで7分間攪拌し、改質工程を行った。このとき、粉温は45℃であった。その後、ジャケット温度を17℃とし、ブレード回転数280r/mで3分間冷却を行い、粉温を40℃まで低下させた。得られた粒子の平均粒径は1083μmであり、粒子強度は40g/mm2であった。
【0037】
実施例6
重曹8kg、粉末のポリエチレングリコール(商品名:K−PEG6000LA、花王(株)製)32kg、デキストリン(商品名:CZRM-X、日澱化学(株)製)12kg、シリカ粉(商品名:フローライトR、(株)トクヤマ製)1.6kgを予め造粒機(三井鉱山(株)社製ヘンシェルミキサー FM500J/I)に仕込み、ジャケット温度17℃、ブレード回転数373r/mで攪拌しながら、香料A 8kgを2分で投入し、その後ブレード回転数を除々に低下させ、最終的にブレード回転数213r/mにして、合計で78分間造粒を行った。この間、粉温は33℃であり、平均粒子径578μmの粒子を得た。粒子強度は、測定器の下限値未満のため測定不可能であった。
更に、ジャケット温度を50℃にして、重曹18.4kgを添加して、ブレード回転数180r/mで11分間攪拌し改質工程を行った。このとき、粉温は45℃であった。その後、ジャケット温度を17℃とし、ブレード回転数180r/mで13分間冷却を行い、粉温を40℃まで低下させた。得られた粒子の平均粒子径は909μmであり、粒子強度は48g/mm2であった。
【0038】
比較例1
特開2004−250575号公報の実施例1に記載の押出し造粒法により、熱可塑性水溶性バインダーを融点以上で用い、香料粒子を作製した。
80℃で溶融しているポリエチレングリコール(商品名:K−PEG6000LA、花王(株)製)150kgと香料A 30kgを10分間予め混合し、PEG/香料の混合物を作製した。次に、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製NX−6)にデキストリン(商品名:CZRM-X、日澱化学(株)製)120kgを投入し、公転60r/m,自転2r/mで攪拌した。攪拌中に前記のポリエチレングリコール/香料混合物を70分で投入した。
その後、ナウターミキサーから混合物を抜き出した。抜き出し時の温度は54℃であった。この混合物を、押出し造粒機(不二パウダル(株)製TDG-110ドームダイ)スクリーン径1mmで250kg/hrの能力で押出し、造粒物を得た。造粒機出口温度は65℃であった。
さらに、整粒機(不二パウダル(株)製フラッシュミルFL-300)で回転数1000r/m,スクリーン径3mmで整粒し、平均粒径1000μmの香料粒子を得た。

以上の実施例2、4、5及び比較例1の各々で得られた香料粒子について、前述の方法により匂いを評価した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】


本発明の香料粒子は、いずれも、従来の熱可塑性の水溶性バインダーの融点以上で造粒した香料粒子より、匂いの強さ、及び持続性の両方において優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の方法により得られる香料粒子は、浴剤,洗浄剤などに好適に用いられる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成18年12月25日(2006.12.25)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道

【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠

【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一


【公開番号】 特開2008−156522(P2008−156522A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−348170(P2006−348170)