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【発明の名称】 香料組成物
【発明者】 【氏名】熊沢 賢二

【氏名】田中 國雄

【氏名】和田 善行

【要約】 【課題】フレッシュ感が強調されたより天然感が感じられる香料組成物を提供することを目的とする。

【解決手段】3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物は、飲食品あるいは香粧品に使用するとフレッシュ感や天然感のある香気香味を付与することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物。
【請求項2】
3−メルカプトヘキサナールと3−メルカプト−1−ヘキサノールとが合計で0.000001〜0.1質量%含有され、両成分の配合割合が1/4〜4/1であることを特徴とする請求項1記載の香料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の香料組成物を配合したことを特徴とする飲食品。
【請求項4】
請求項1又は2記載の香料組成物を配合したことを特徴とする香粧品。
【請求項5】
請求項1又は2記載の香料組成物を配合したことを特徴とする茶飲料。
【請求項6】
請求項1又は2記載の香料組成物を配合したことを特徴とする果汁飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食品香料、香粧品香料等として使用可能な香料組成物に関し、詳しくは特定の香気成分を含有することにより天然感のある特有の香気香味を付与することができる香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の嗜好性が多様化してきていることに伴い、各種各様の商品の開発が望まれている。特に、飲食品、香粧品業界はこの傾向が強く、消費者の嗜好に合うバラエティーに富んだ飲食品および香粧品の開発が強く要求されている。
これらの要求に対して、飲食品および香粧品のひとつの原料素材である香料においても、従来にない新しい要望が高まっている。
香料物質に対しては、特に、特徴があること、嗜好性の高いユニークな香気香味を有すること、より自然で天然感の香気香味の表現に優れた効果を有することなどが要求されている。そのため、それらの要件を合わせもった香料素材を開発することが香料産業において極めて重要な課題となっている。
【0003】
硫黄化合物には、閾値が低く、特徴のあるにおいを有するものがあり、フルーツやその他の食品などの重要な成分として知られているものが多い。
例えば、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートは焙煎したコーヒーの重要成分として(非特許文献1)、4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノンはグレープフルーツ果汁の重要成分として知られている(非特許文献2)。
また、3−メルカプト−1−ヘキサノールについては、極微量使用することで、熟成感を伴った深みのある香ばしい茶葉のグリーン香が得られることが報告されている(特許文献1)。
一方、3−メルカプトヘキサナールについては、食品、飼料、飲料、製薬的調剤およびタバコ製品の官能特性を改良、強調することが知られている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、消費者の嗜好性は急速に多様化しており、上述した従来から知られている香料物質だけでは、消費者のニーズに対応できるようなバラエティーに富んだ飲食品および香粧品を提供し、さらに、年々高まる消費者の天然志向にマッチした、自然で天然感のある香気香味が付与された飲食品の要望に十分に対応できるものではなかった。
【非特許文献1】Cafe Cacao The 1990, 34, 205.
【非特許文献2】J. Agric. Food Chem. 1999, 47, 5189.
【特許文献1】特開2002−136259公報
【特許文献2】特開昭49−132252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、多様化する消費者のニーズに対応できるようなバラエティーに富んだ香料物質を提供し、かつ消費者の天然志向にマッチした、自然で天然感のある香気香味を付与することができる香料組成物、それらを配合した飲食品および香粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは紅茶の香気成分の精査により、強いインパクトを与える微量成分が含まれていることを見出し、鋭意検討を行った結果、その構造を3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールと同定した。
また、本発明者らは、3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの香気香味特性について検討したところ、シトラス様のウッディーな香気香味特性を有することを見出し、さらに、3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを調合香料中に共存して含有させることにより、各々の化合物を単独で含有させた場合と比較して、香気香味の発現および持続性が共に向上し、極めて自然で天然感のある香気香味を付与できる香料組成物の提供が可能になるという新たな事実を見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物である。
また、上記香料組成物において、3−メルカプトヘキサナールと3−メルカプト−1−ヘキサノールとが合計で0.000001〜0.1質量%含まれ、両成分の配合割合が1/4〜4/1であることを特徴とする。
さらに、本発明は上記香料組成物を配合したことを特徴とする飲食品、香粧品、茶飲料または果汁飲料である。
【発明の効果】
【0008】
シトラス様のウッディーな香気香味特性を有する3−メルカプトヘキサナールと3−メルカプト−1−ヘキサノールを調合香料中に共存して含有させることにより、香気香味の発現および持続性が共に向上し、極めて自然で天然感のある香気香味を付与できる香料組成物の提供が可能になる。
本発明の香料組成物は、飲食品から香粧品まで幅広く適用が可能である。
さらに、本発明の香料組成物は、飲食品あるいは香粧品に使用すると、顕著なフレッシュ感や天然感を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
本発明で使用する3−メルカプトヘキサナールは下記式(1)で表される化合物であり、一方、3−メルカプト−1−ヘキサノールは下記式(2)で表される化合物である。
【化1】


【0010】
上記の3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールは、例えば2−ヘキセナールを原料として、文献(例えば、J. Agric. Food Chem., Vol.51, No.15, 4349(2003)、Helv. Chim. Acta, Vol.59, Fasc.5, 1621(1976))に記載された方法で合成することができる。
また、市販品(例えば、Acros Organics社製品、Lancaster Synthesis社製品)を使用することも可能である。
【0011】
本発明の香料組成物には3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを併用して配合するが、その配合割合は使用する飲食品、香粧品等の特性に合わせて決められる。
一般には、両化合物の配合割合(3−メルカプトヘキサナール/3−メルカプト−1−ヘキサノール)は1/99〜99/1、好ましくは1/9〜9/1、特に好ましくは1/4〜4/1の範囲である。
本発明の香料組成物は、有効成分である3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの2成分のみの組み合わせで配合もできる他、他の香料素材と任意の割合の混合物として配合することもできる。
3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを香料組成物に用いる場合、両化合物の添加量は、その目的あるいは香料組成物の種類によって異なるものの、一般的には、香料組成物全体量の0.000000001(10ppt)〜10質量%、好ましくは0.000001(10ppb)〜0.1質量%の範囲内を例示することができる。
【0012】
本発明の香料組成物に配合される他の成分としては、特に制限は無く、用途や目的に応じて従来から使用されていた種々の香料素材が使用可能であり、具体的にはアルデヒド類、アルコール類、エステル類等の従来公知の香料素材があげられる。
【0013】
本発明の香料組成物の飲食品、香粧品、茶飲料、および果汁飲料への添加量は、添加する飲食品等により異なるが、一般的には飲食品等における3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの合計量が0.000000000001(0.01ppt)〜0.01質量%、好ましくは0.000000001(0.01ppb)〜0.0001質量%となるよう添加すると、飲食品等に天然感のある香気香味を付与することができる。
【0014】
本発明の香料組成物は、緑茶、紅茶、ウーロン茶などの茶飲料、果汁飲料、酒類、乳飲料類、炭酸飲料類のごとき飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類のごとき冷菓類;ヨーグルト類、チーズ類のごとき発酵乳製品;和洋菓子類、焼菓子類、ジャム類、チューインガム類、パン類、ココア、コーヒー、茶、タバコのごとき嗜好品類;プリン類、ゼリー類、ババロア類、ムース類のごときデザート類;和風スープ類、洋風スープ類のごときスープ類;風味調味料;各種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類などに添加することにより、そのユニークかつ天然感のある香気香味が賦付与された飲食品を提供することができる。
【0015】
また、本発明の香料組成物は、シャンプー類、ヘアクリーム類、ポマード類、その他の毛髪用化粧品、白粉、口紅、その他の化粧品、洗濯用洗剤、消毒用洗剤類、室内芳香剤その他各種の保健・衛生材料類、医薬品などの香粧品全般に広く使用することができる。
【実施例】
【0016】
次に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[参考例]
トランス−2−ヘキセナール147.0gとトリエチルアミン1.0gを混合し、この混合液に30℃以下にてチオ酢酸228.0gを滴下した。滴下終了後30℃にてさらに3時間反応させた。反応粗油を単蒸留することによって3−アセチルチオヘキサナール260.0gを得た。
3−アセチルチオヘキサナール70.0gをジエチルエーテル500mlに溶解させた後、5%炭酸カリウム水溶液で処理することにより加水分解を行った。反応終了後エーテル層を分離し、希塩酸、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液、最後に飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。エーテルを留去した後、精留することにより3−メルカプトヘキサナール60.0gを得た。
【0017】
[実施例1]
下記表1の処方に従って各成分を常法により混合して、本発明の香料組成物a1を調製した。
なお、3−メルカプトヘキサナールは上記参考例で合成したもの、3−メルカプト−1−ヘキサノールはAcros Organics社の市販品をそれぞれ使用した。
【0018】
【表1】


【0019】
[比較例1]
実施例1の3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物a2を調製した。
[比較例2]
実施例1の3−メルカプトヘキサナールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物a3を調製した。
[比較例3]
実施例1の3−メルカプト−1−ヘキサノールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物a4を調製した。
【0020】
[実施例2]
下記表2の処方に従って各成分を常法により混合して、本発明の香料組成物b1を調製した。なお、3−メルカプトヘキサナールは上記参考例で合成したもの、3−メルカプト−1−ヘキサノールはAcros Organics社の市販品をそれぞれ使用した。
【0021】
【表2】


【0022】
[比較例4]
実施例2の3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物b2を調製した。
[比較例5]
実施例2の3−メルカプトヘキサナールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物b3を調製した。
[比較例6]
実施例2の3−メルカプト−1−ヘキサノールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物b4を得た。
【0023】
[実施例3]
下記表3の処方に従って各成分を常法により混合して、本発明の香料組成物c1を調製した。なお、3−メルカプトヘキサナールは上記参考例で合成したもの、3−メルカプト−1−ヘキサノールはAcros Organics社の市販品をそれぞれ使用した。
【0024】
【表3】


【0025】
[比較例7]
実施例3の3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの代わりにエチルアルコールを配合して香料組成物c2を調製した。
【0026】
調製した上記の各香料組成物に含まれる3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールの量は以下のとおりである。
【0027】
【表4】


【0028】
[実施例4]、[比較例8]〜[比較例10]
下記表5の処方に従い、常法により本発明の果汁飲料A1(実施例4)を調製した。また、同様の方法で、果汁飲料A2(比較例8)、果汁飲料A3(比較例9)及び果汁飲料A4(比較例10)を調製した。
【0029】
【表5】


【0030】
[実施例5]、[比較例11]〜[比較例13]
下記表6の処方に従い、常法により本発明の紅茶飲料B1(実施例5)を調製した。また、同様の方法で、紅茶飲料B2(比較例11)、紅茶飲料B3(比較例12)及び紅茶飲料B4(比較例13)を調製した。
【0031】
【表6】


【0032】
[実施例6]、[比較例14]
下記表7の処方に従い、常法により本発明のシャンプーC1(実施例6)を調製した。また、同様の方法で、シャンプーC2(比較例14)を調製した。
【0033】
【表7】


【0034】
[試験例1]
果汁飲料A1、A2、A3、およびA4の4種類のジュースについて10名の専門パネラーにより香気香味を7段階で評価した。その結果、専門パネラーの全員が本発明品の果汁飲料A1(3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを併用した香料組成物a1を配合したもの、前掲「表4」参照)が果汁感が強調され、よりフレッシュ感や天然感が強く感じられると高評価した。その評価結果を表8に示した。
【0035】
【表8】


【0036】
[試験例2]
紅茶飲料B1、B2、B3、およびB4の4種類の紅茶飲料について10名の専門パネラーにより香気香味を7段階で評価した。その結果、専門パネラーの全員が本発明品の紅茶飲料B1(3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを併用した香料組成物b1を配合したもの、前掲「表4」参照)の方が軽やかなリーフ感が強調され、よりフレッシュ感や天然感が強く感じられると評価した。その評価結果を表9に示した。
【0037】
【表9】


【0038】
[試験例3]
シャンプーC1およびC2の2種類のシャンプーについて5名の専門パネラーによりビン香および湯立ち時の香りを評価した。
その結果、専門パネラーの全員が本発明品のシャンプーC1(3−メルカプトヘキサナールおよび3−メルカプト−1−ヘキサノールを併用した香料組成物c1を配合したもの、前掲「表4」参照)の方が、ビン香および湯立ち時ともに、フレッシュでさわやかな柑橘の天然感が強く感じられると評価した。
【出願人】 【識別番号】591011410
【氏名又は名称】小川香料株式会社
【出願日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【代理人】 【識別番号】100091731
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 千嘉

【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次

【識別番号】100105290
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 昭次

【識別番号】100106769
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 信輔


【公開番号】 特開2008−101097(P2008−101097A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−284441(P2006−284441)