トップ :: C 化学 冶金 :: C11 動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく

【発明の名称】 嵩高いフレグランス分子のカプセル化
【発明者】 【氏名】ワー ジョナサン

【氏名】オーサント エマニュエル

【氏名】フレーザー スチュアート

【要約】 【課題】界面活性剤および/または溶剤を含有する、液体、ゲルおよび軟質固体のハウスホールド用、洗濯用品およびパーソナルケア用品および化粧品において、貯蔵時のカプセルからのフレグランスの漏出を減少させるために用いられるフレグランス組成物を提供する。

【構成】60〜100重量%の少なくとも5つのフレグランス化合物と0〜40重量%のプロ−フレグランス、溶剤、および、構造的特徴のいずれかを有するが、分子量限定によって制約されない他の有益成分からなるフレグランス組成物であって、前記フレグランス化合物の20重量%〜100重量%が、325原子質量単位よりも小さい分子量を有し、かつ、構造的特徴のいずれかに一致する少なくとも3つの嵩高い分子から構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
I)60〜100重量%の少なくとも5つのフレグランス化合物、ただし、前記フレグランス化合物の20〜100重量%が、325原子質量単位よりも小さい分子量を有するとともに、下記の構造的特徴a)〜g)のいずれかに一致する、少なくとも3つの嵩高い分子からなり:
a)2つ以上の環を含有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子をいずれかの環に有し、かつ、前記原子はいずれも他の環のいずれによっても共有されない分子;
b)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子を有し、かつ、いずれか2つの環が1つの共通原子を共有する分子;
c)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子を有し、かつ、いずれか2つの環は少なくとも2つの隣接する共通原子を共有する分子;
d)炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの少なくとも5個の原子、しかし、多くても8個の原子を含有する1つだけの脂環式環を含有する分子であって、環の炭素原子の少なくとも1つが2つの置換基を有する、すなわち、環の炭素原子の少なくとも1つが第三級炭素原子であるか、または、環に対してα位の炭素原子が第三級炭素原子であるか、または、環が、環を構成する原子の少なくとも3つにおいて置換基を有する分子;
e)少なくとも1つの大環状環、すなわち、炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの8個を超える原子を環に有する環を含有する分子;
f)炭素、窒素、酸素またはイオウのいずれかの少なくとも5個の原子を含有する少なくとも1つの置換された芳香族環を含有する分子であって、少なくとも1つの置換基が環に対しα位またはβ位に第三級炭素を有する分子;
g)少なくとも5個の原子を含み、かつ、少なくとも3つの置換基を環上に有する置換された芳香族環を含有し、前記置換基のすべてが、炭素、窒素、酸素またはイオウの中からの少なくとも2つの原子を含有しなければならない分子;
および
II)0〜40重量%のプロ−フレグランス、溶剤、および、構造的特徴a)〜g)のいずれかに一致するが、前記分子量限定を満たさない他の有益成分
を含む、コアシェルマイクロカプセルに封入されるフレグランス組成物。
【請求項2】
個々のフレグランス成分の分子量が100〜300原子質量単位の範囲内にあり、かつ、80〜100重量%の嵩高い分子が1.0よりも大きいClogP値を有する、請求項1に記載のコアシェルマイクロカプセルに封入されるフレグランス組成物。
【請求項3】
個々のフレグランス成分の分子量が100〜275原子質量単位の範囲内にあり、かつ、80〜100重量%の嵩高い分子が1.0よりも大きいClogP値を有する、請求項1に記載のコアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項4】
嵩高い分子が60〜100重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項5】
嵩高い分子が80〜100重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項6】
I)60〜100重量%の少なくとも5つのフレグランス化合物、ただし、前記フレグランス化合物の20〜100重量%が、275原子質量単位よりも小さい分子量を有するとともに、下記の構造的特徴a)〜f)に一致する少なくとも3つの嵩高い分子からなり:
a)2つ以上の環を含有する分子であって、それぞれの環が5個または6個の炭素原子を含有し、かつ、どの原子も前記環のいずれかによっても共有されない分子;
b)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が3〜6個の炭素原子を含有し、かつ、いずれか2つの環が1つの共通原子を共有する分子;
c)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が5個または6個の炭素原子を含有し、かつ、いずれか2つの環が少なくとも2つの隣接する共通原子を共有する分子;
d)炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの少なくとも5個の原子、しかし、多くても8個の原子を含有する1つだけの脂環式環を含有する分子であって、環の炭素原子の少なくとも1つが2つの置換基を有する、すなわち、環の炭素原子の少なくとも1つが第三級炭素原子であるか、または、環に対してα位の炭素原子が第三級炭素原子であるか、または、環が、環を構成する原子の少なくとも3つにおいて置換基を有する分子;
e)少なくとも1つの大環状環、すなわち、8個を超える原子を環に有する環を含有する分子;
f)少なくとも1つの置換された芳香族ベンゼン環を含有する分子であって、少なくとも1つの置換基が第三級炭素を環に対してα位またはβ位に有する分子;
および
II)0〜40重量%のプロ−フレグランス、溶剤、および、構造的特徴a)〜f)のいずれかに一致するが、前記分子量限定を満たさない他の有益成分
を含む、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項7】
前記フレグランス成分の40〜100重量%が、ClogP1.00〜ClogP4.00の間のClogP値を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項8】
前記フレグランス成分の60〜100重量%が、ClogP1.00〜ClogP4.00の間のClogP値を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項9】
前記フレグランス成分の80〜100重量%が、ClogP1.00〜ClogP4.00の間のClogP値を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項10】
pH8.5で緩衝化されたドデシル硫酸ナトリウムの10%(wt/wt)水溶液に分散された場合において、0.5%のカプセル化された芳香性オイルで用いられたとき、個々のフレグランス成分の最初にカプセル化された量の25%(重量比)超が40℃での4週間の貯蔵の後で残存する、請求項1〜9のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項11】
pH8.5で緩衝化されたドデシル硫酸ナトリウムの10%(wt/wt)水溶液に分散された場合において、0.5%のカプセル化された芳香性オイルで用いられたとき、個々のフレグランス成分の最初にカプセル化された量の50%(重量比)超が40℃での4週間の貯蔵の後で残存する、請求項1〜9のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項12】
悪臭中和剤、精油、アロマセラピー物質、化学的美容(Chemaesthetic)剤、ビタミン、昆虫忌避剤、プロ−フレグランス、UV吸収剤、酸化防止剤、または、例えば、カプセル特性を、
a)エマルションをカプセル製造時において安定化させることによって、
b)カプセルからの漏出を減少させることによって、
c)カプセルの硬度を改善することによって、
改善するための薬剤からなる群から選択される1または2以上の有益成分を0重量%〜40重量%含有する、請求項1〜11のいずれかに記載の、コアシェルマイクロカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項13】
20重量%未満、好ましくは10重量%未満のアルデヒドを含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の、コアシェルカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項14】
10重量%未満、好ましくは1重量%未満のアミンを含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の、コアシェルカプセルのコアに封入されるフレグランス組成物。
【請求項15】
0.025〜1.0μmの厚さを有するコアシェルと、請求項1〜14のいずれか一項において定義されるフレグランス組成物とを含むカプセル化されたフレグランス。
【請求項16】
カプセルの外殻が、50〜100重量%のホルムアルデヒド−メラミン縮合ポリマーまたはホルムアルデヒド−メラミン−尿素縮合ポリマーまたはホルムアルデヒド−尿素縮合ポリマーから構成されるアミノプラストカプセルである、請求項15に記載のカプセル化されたフレグランス。
【請求項17】
カプセルの平均粒径が1〜1000μmである、請求項15または16に記載のカプセル化されたフレグランス。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載のコアシェルカプセルと、1または2以上の界面活性剤および/または溶剤を含有する、液体、ゲル、ペースト、軟質固体、または、ワイプなどの布地基材に適用される液体の形態であるハウスホールド用、洗濯用またはパーソナルケア用組成物。
【請求項19】
5s-1で100mPa.sを超える粘度を有する液体の形態である、請求項18記載のハウスホールド用、洗濯用またはパーソナルケア用組成物。
【請求項20】
5s-1で1000mPa.sを超える粘度を有する液体の形態である、請求項18記載のハウスホールド用、洗濯用またはパーソナルケア用の組成物。
【請求項21】
前記製品が、液体洗濯用洗剤、液体織物柔軟剤、ヘアーシャンプー、ヘアーコンディショナー、液体石けん、シャワーゲル、ハウスホールド用またはパーソナルケア用ワイプに含浸させた液体である、請求項18〜20に記載のハウスホールド用、洗濯用またはパーソナルケア用組成物。
【請求項22】
カプセルが、適用時に直接、または、その後にその内容物を放出するような方法で適当な洗浄用器具から供給されて、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物を含有するカプセルを有する請求項18〜20に記載の組成物を必要であれば水で希釈して表面と接触させることを含みことからなる、表面に香料を供給する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウスホールド用品、パーソナルケア用品および化粧品の成分として使用する際に、香り成分および任意の他の有益成分の供給および放出を調節するために、コアシェル型カプセルのコアに封入される組成物に関する。特に、本発明は、コア材料のエマルションの周囲に、主要モノマーであるメラミンおよび/または尿素とホルムアルデヒドを縮合させることによって製造されるコアシェル型カプセルに関する。しかしながら、このことは、コアセルベーションまたは沈殿法などの他の方法によって製造されるカプセルを除外する、あるいは、カプセル壁の合成に用いられるモノマーをアミンおよびアルデヒドに限定することを意図するものではない。
【0002】
また、本発明は、フレグランスおよび任意の他の有効成分の供給および放出が調節されるカプセルを、液体、ゲル、クリーム、粉末または軟質固体の形態のハウスホールド用クリーナー、洗濯用品、パーソナルケア用品および化粧品に使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
水に不溶性の香料または他の物質を保護、供給、放出するために、これら香料または他の物質を、典型的には1000マイクロメートル(ミクロン)未満の直径を有する、マイクロカプセルと往々呼ばれる小さなカプセルに封入することは公知である。マイクロカプセルの製造については、カーク オズマーズ エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー(Kirk Othmer’s Encyclopaedia of Chemical Technology)第5版、および、米国特許第2,800,457号明細書、同第3,415,758号明細書およびそれらでの引用文献、ならびに、米国特許第6,261,483号明細書および該明細書中の参照文献に記載されている。ウォールカプセルまたはシェルカプセルまたはコアシェルカプセルと呼ばれる1つのタイプのカプセルは、典型的には網状ポリマー物質からなる水および油不溶性物質の一般には球状の外殻と、その中に含まれる香料または他の物質とからなっている。
【0004】
このようなカプセルが、ある種の溶剤および/または乳化剤または界面活性剤を含有する消費者用品、例えば、デオドラント、ヘアースプレー、シャンプーなどのパーソナルケア用品、布地コンディショナー、液体洗濯用洗剤などの洗濯用品、および、台所表面クリーナーなどのハウスホールド用クリーナーに添加された場合、カプセル化された物質が時とともにカプセルから漏れ出し、製品中で可溶化する傾向があり、このため、そのコア物質のカプセル供給が少なくなるという問題が起こる。
【0005】
米国特許第4,234,627号明細書には、香料の放出を抑制するために疎水性の非ポリマー物質をフレグランスとともに封入して、香料の漏出を抑制することが教示されている。しかしながら、これはフレグランスあるいは有効成分が希釈されるという問題がある。
米国特許出願公開第2006/0154378号明細書は、透析またはろ過法を用いて、カプセルからの活性成分分子を分離し、試験媒体中におけるカプセル化された材料の漏出量を測定する方法に関する。
【0006】
米国特許出願公開第2005/0153135号明細書には、オイルまたはポリマーをフレグランスに加えることによって、実質的に水不溶性の材料からフレグランスを処方し、これにより分配を減少させる、フレグランスの漏出を減少させるための種々の方法が教示されている。この方法により漏出速度は減少するものの、漏出は防止できず、また、フレグランスの効果を低下させるなど他の望ましくない結果を生じることともなる。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0039934号明細書には、カプセル化前にコア内容物にポリマーを添加する、あるいはカプセルの外壁にポリマーを添加することにより、漏出を低減させることができることが教示されている。しかし、この方法ではカプセルの製造が高コストとなりまた製造も煩雑となる。
【0008】
これらの教示にもかかわらず、貯蔵中におけるフレグランスの損失を最小限に抑えるための方法に対する要求は依然としてあり、本発明は、そのような安定性の問題に取り組むことを狙いとしているものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、液体、ゲル、クリーム、粉末または軟質固体の形態のハウスホールド用クリーナー、洗濯用品、パーソナルケア用品および化粧品中において貯蔵されたとき、フレグランスが貯蔵時の製品中にほとんど漏出せず、しかも使用の際にカプセルの性能に影響を及ぼさない、コアシェル型カプセルに封入できるフレグランス組成物を提供することを目的とする。
【0010】
驚くべきことに、これは、フレグランスに高割合で嵩高い分子を処方すること、すなわち、分子内の原子配置により分子が非常に嵩張っているかまたは非常に剛直であることから、容易にはカプセル壁を通過できない分子を混合することによって達成することができる。この効果を得るには、フレグランスはかなりの割合で本発明の嵩高い分子を含まなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、
I)60重量%〜100重量%の少なくとも5つのフレグランス化合物、ただし、前記フレグランス化合物の20〜100重量%、好ましくは40〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、さらに一層より好ましくは80〜100重量%が、325原子質量単位(amu)よりも小さい分子量を有し、かつ、次の構造的特徴:
a)2つ以上の環を含有する分子であって、それぞれの環は、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子をいずれかの環に有し、かつ、前記原子はいずれも他の環のいずれによっても共有されない分子;
b)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子を有し、かつ、いずれか2つの環が1つの共通原子を共有する分子;
c)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子を有し、かつ、いずれか2つの環が少なくとも2つの隣接する共通原子を共有する分子;
d)炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの少なくとも5個の原子、しかし、多くても8個の原子を有する1つだけの脂環式環を含有する分子であって、環の炭素原子の少なくとも1つが2つの置換基を有する、すなわち、環の炭素原子の少なくとも1つが第三級炭素原子であるか、または、環に対してα位の炭素原子が第三級炭素原子であるか、または、環が、環を構成する原子の少なくとも3つにおいて置換基を有する分子;
e)少なくとも1つの大環状環、すなわち、炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの8個を超える原子を環に有する環を含有する分子;
f)炭素、窒素、酸素またはイオウのいずれかの少なくとも5個の原子を有する少なくとも1つの置換された芳香族環を含有する分子であって、少なくとも1つの置換基が環に対しα位またはβ位に第三級炭素を有する分子;
g)少なくとも5個の原子を含有し、かつ、少なくとも3つの置換基を環上に有する置換された芳香族環を含有し、前記置換基のすべてが、炭素、窒素、酸素またはイオウの中からの少なくとも2つの原子を含有しなければならない分子;
のいずれかに一致する少なくとも3つの嵩高い分子からなるフレグランス化合物、および
II)0重量%〜40重量%のプロ−フレグランス、溶剤、および、構造的特徴a)〜g)のいずれかに一致するが、前記分子量限定は満たさない他の有益成分
を含む、コアシェルカプセルに封入されるフレグランス組成物からなる。
【0012】
好ましくは、本発明のフレグランス組成物は、
I)60〜100重量%の少なくとも5つのフレグランス化合物、ただし、前記フレグランス化合物の20重量%〜100重量%が、275原子質量単位よりも小さい分子量を有するとともに、下記の構造的特徴:
a)2つ以上の環を含有する分子であって、それぞれの環が5個または6個の炭素原子を含有し、かつ、どの原子も前記環のいずれかによっても共有されない分子;
b)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が3〜6個の炭素原子を含有し、かつ、いずれか2つの環が1つの共通原子を共有する分子;
c)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が5個または6個の炭素原子を含有し、かつ、いずれか2つの環が少なくとも2つの隣接する共通原子を共有する分子;
d)炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの少なくとも5個の原子、しかし、多くても8個の原子を含有する1つだけの脂環式環を含有する分子であって、環の炭素原子の少なくとも1つが2つの置換基を有する、すなわち、環の炭素原子の少なくとも1つが第三級炭素原子であるか、または、環に対しα位の炭素原子が第三級炭素原子であるか、または、環が、環を構成する原子の少なくとも3つにおいて置換基を有する分子;
e)少なくとも1つの大環状環、すなわち、8個を超える原子を環に有する環を含有する分子;
f)少なくとも1つの置換された芳香族ベンゼン環を含有する分子であって、少なくとも1つの置換基が第三級炭素を環に対してα位またはβ位に有する分子;
のいずれかを有する少なくとも3つの嵩高い分子からなり;および
II)0重量%〜40重量%のプロ−フレグランス、溶剤、および、構造的特徴a)〜f)のいずれかを有するが、分子量限定に拘束されない他の有益成分
を含む、コアシェルマイクロカプセルに封入されるフレグランス組成物に関する。
【0013】
本発明はまた、下記において定義されるようなコアシェルカプセルと、上記で定義されるようなフレグランス組成物とを含むカプセル化されたフレグランスに関する。
【0014】
本発明はまた、該フレグランス含有カプセルを含む液体、ゲル、ペースト、または軟固体形態のハウスホールド用、洗濯用またはパーソナルケア用組成物に関する。
【0015】
本発明はまた、直接適用するあるいは適当なハウスホールド用機器によって表面をクーニングまたはコンディショニングするため、フレグランスおよび他の有益成分の供給および放出が調節される、本発明のフレグランスを含有するカプセルを含有するハウスホールド用品、洗濯用品、あるいはパーソナル用品の使用方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
香料組成物
本明細書においては、「香料組成物」は「フレグランス組成物」とも呼ばれ、本発明の必須部分である。用語「フレグランス組成物」は、悪臭中和剤として作用する物質を含む混合物(すなわち、2種以上の化学物質からなるもの)の任意のものを意味する。広範囲の種々の芳香性物質が香料用途に知られており、これには、アルケン、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、ニトリル、アミン、オキシム、アセタール、ケタール、チオール、チオケトン、イミンなどの種々の物質が含まれる。これにより限定されるものではないが、香料組成物の成分は、これがカプセルから放出された際、揮発して、十分な芳香が認知できるよう、325原子質量単位よりも小さい、好ましくは300原子質量単位よりも小さい、より好ましくは275原子質量単位よりも小さい分子量を有するものである。また、香料化合物は、質量が小さくなると揮発性あるいは水溶性が大きくなりすぎる場合があるので、100原子質量単位よりも大きい、好ましくは120原子質量単位よりも大きい分子量を有することが望ましい。フレグランス組成物の成分には、スルホン酸塩、硫酸塩または第四級アンモニウムイオンなど、強くイオン化する官能基は含まれない。
【0017】
種々の化学成分の複雑な混合物である、天然に生成される植物油および動物油並びに抽出物を香料として用いることも公知であり、本発明においてはこのような物質をも使用することができる。ほとんどの天然物については、その主要な化学的成分は知られており、このため、天然物の大部分についても、合成アロマケミカル品と同じ方法で評価することができる。本発明のフレグランス組成物は、最低2種の香料または芳香成分を有する比較的単純な組成物であってもよいし、また、任意所望の香りを与えるように選ばれた、天然および合成化学成分の極めて複雑な混合物を含むものであってもよい。フレグランス組成物は、6種以上の成分を含有することが好ましく、フレグランス組成物が9種以上の成分を含有することがより好ましい。香料成分については、より詳しくは、S.アークタンダー(S.Arctander)、「パヒューム フレーバーズ アンド ケミカルズ」(Perfume Flavors and Chemicals)、第1巻および第2巻、ニュージャージー州モントクレア(Montclair、N.J.)および「メルク・インデックス(Merck Index)第8版」、メルク・アンド・カンパニー・インコーポレーッテッド(Merck&Co.,Inc.),ニュージャージー州ラーウエイ(Rahway、N.J.)に記載がある(これら両書を参照することにより本願明細書に組み入れる)。
【0018】
嵩高いフレグランス分子
本発明の嵩高い分子は、原子配置または立体配座的剛直性のいずれかによって、分子がカプセル外殻を通過できなくされるか、または、カプセル外殻を非常にゆっくりとしか通過できなくされた、前記のごとき原子の分子的配置を有する、香料での使用に適した分子と定義される。3次元での分子の立体配座は種々変わりうるので、分子の幅、奥行き、高さが、分子配向にかかわらず、分子がカプセル外殻を通り抜けないようなものであらねばならない。多くの分子は、分子が小さいすき間を通り抜けることを可能にする様々な配向を採ることができる。例えば、n−ヘキサノールなどの分子は、メチレンフラグメントのすべてが結合限界の範囲内で比較的自由に動くので、様々な立体配座を取ることができる。しかしながら、シクロヘキサノールなどの環構造または環状構造内では、メチレンユニットは、柔軟性がより少なくなるように制約される。
【0019】
n−ヘキサノールの異性体である2,2−ジメチルブタノールもまた、分子内での置換パターンのために、ヘキサノールよりも嵩張っている。立体化学のこれらの特徴は当業者には広く知られており、また、多くの標準的な教本、例えば、クレイデン、グリーブ、ワーレンおよびワーサー(Clayden、Greeves、WarrenおよびWothers)、「オーガニック ケミストリー(Organic Chemistry)」、オックスホード ユニバーシティー プレス(Oxford University Press)、2001年などにおいて教示されている。コアシェルカプセルが界面活性剤および/または溶剤を含有する液体製品中に貯蔵されるとき、本発明の化合物は、外見上、枝分かれする側鎖を分子内に有するか、または、環構造を分子内に有するかのいずれかによる原子の配置によって、これらの特徴を有しない他の香料分子に比べ、より少量しかカプセル壁を通って漏出しないことを見出した。本発明の化合物は、下記の分子構造的特徴a)〜g)のいずれかを示し、以下のとおりに定義される。
【0020】
a)2つ以上の環を有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子をいずれかの環に有し、かつ、前記原子はいずれも他の環のいずれによっても共有されない分子。
【0021】
分子は2つ以上の環状構造または環を含有しなければならない。該環は、炭素以外の原子を含んでもよい3〜8個の原子を有しなければならない。すなわち、環は、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含む3〜8個の原子を有する複素環であってもよい。また環は、ベンゼン、ナフタレンなどに由来する芳香族;ピリジン、ピラジン、フラン、チオフェン、チアゾール系、オキサゾール系などのヘテロ芳香族;シクロペンタン類、シクロペンテン類、シクロヘキサン類またはシクロヘキセン類などのシクロアルカンまたはシクロアルケンのような、場合により不飽和を環のいずれかに含む脂環族;テトラヒドロフラン類;モルホリン類;ジオキサン類;ピペリジン類;ピラン類;またはこれらの任意の混合物であってもよい。環上の水素原子は、エーテル、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、アセタール、ケタール、オキシム、アミン、アミド、ニトリル、チオール、チオエーテルなど、通常の範囲の有機官能基中の炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子によって置換されていてもよい。
【0022】
本特許の目的のために、下記の用語は下記のように定義される。
アルキルは、脂肪族炭化水素から1個の水素原子が除かれた一価の基であり、例えば、メタン由来のメチルCH3−、および、エタン由来のC25−などである。アルキルは一般式Cn2n+1を有する。
【0023】
アルキルジイルは、脂肪族炭化水素中の2つの異なる炭素原子または1個の炭素原子のいずれかから2個の水素原子を除くことによって形成された二価の基であり、例えば、メタン由来のメチレン−CH2−、および、エタン由来のエチルジイル−C24−などである。アルキルジイルは一般式Cn2nを有する。
【0024】
アルケニルは、脂肪族アルケンから1個の水素原子が除かれた一価の基であり、例えば、プロペン由来のプロペニルCH2=CH−CH−などである。言及されない限り、置換基はcis、transのいずれの立体配置であってもよいし、これら立体異性体の混合物であってもよい。
【0025】
アルケニルジイルは、2個の水素原子を脂肪族アルケンにおいて2つの異なる炭素原子または1個の炭素原子のいずれかから除くことによって形成される二価の基であり、例えば、プロペン由来のプロペニレンCH2=CH−CH=またはプロペンジイル(例えば、−CH=C=CH−など)である。言及されない限り、置換基はcis、transのいずれの立体配置であってもよいし、これら立体異性体の混合物であってもよい。
【0026】
複素環基は、複素環式化合物(少なくとも2つの異なる元素の原子を環構成原子として有する化合物)の任意の環原子から1個の水素原子を除くことによって形成された一価の基である。
【0027】
アリールは、アレーン(単環または多環の芳香族炭化水素)から1個の水素原子を環炭素原子から除くことにより形成された一価の基である。
【0028】
ヘテロアリールは、ヘテロアレーンから1個の水素原子が除かれるときに残った基である(ヘテロアレーンは、正式には、1つまたは複数のメタン基(−C=)および/またはビニレン基(−CH=CH−)を、芳香族系を特徴付ける連続したπ電子系を維持するような方法で三価または二価のヘテロ原子によって各々置換することによってアレーンから形成された芳香族の複素環式化合物である)。
【0029】
環状系または環系は、開環した脂肪族化合物ではなく、閉じた環、例えば、シクロヘキサンを形成する一連の原子である。芳香族環は、非芳香族不飽和化合物に関して生じる付加反応ではなく、むしろ、親電子置換反応を受けることができる環である。芳香族環はまた、ヒュッケル則に従って(4n+2)個のπ電子を有する平面状環として定義することができ、アレーンおよびヘテロアレーンを包含する。
【0030】
本明細書を通して使用される用語の置換(された)は、水素に置き換わっている置換基ユニットを意味し、本発明の目的のためには、置換基は、脂肪族炭化水素鎖、脂環式環、アリール環、ヘテロアリール環、複素環式環等における水素原子に置き換わることができる化学部分、あるいは1つの炭素原子から1個の水素原子、2個の水素原子または3個の水素原子を置き換えて、ある部分を形成すること、あるいは、隣接する炭素原子から水素原子を置き換えて、ある成分を形成すること、と定義される。例えば、1個の水素原子を置き換える置換基としては、ハロゲンおよびヒドロキシルなどが挙げられる。1個の炭素原子上の2個の水素原子の置き換えとしては、カルボニルまたはイミンなどが挙げられる。一方、2つの隣接する炭素のそれぞれ1個の水素が置き換えられた置換基の一例は、エポキシドである。置換基は、それ自身が別のユニットにおける置換基の一部分である原子上の水素に置き換わるときも全く同様である。例えば、2−フェニルエタノールにおいて、ヒドロキシルユニットは、自身がベンゼン環における置換基であるアルキル鎖における置換基である。
【0031】
以下に置換基の例を示す。しかし、本発明の置換基が以下のものに限定されるものではない。
【0032】
【化1】


【0033】
(式中、R’およびR”は独立して、水素、あるいは、C1〜C6の直鎖または分枝状アルキル基、あるいは、C2〜C6の直鎖または分枝状アルケニル基、あるいは、C5〜C10の炭素環式、複素環式、アリールまたはヘテロアリール基成分である。)
【0034】
また、化学命名法の定義については、G.P.モス、P.A.S.スミス、およびD.タベルニール(G.P.Moss、P.A.S.Smith and D.Tavernier)、「ピュア アンド アプライド ケミストリー(Pure and Applied Chemistry)」第67巻、1307頁〜1375頁、1995年に記載がある。
【0035】
項目a)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造1の分子式を有する香料化合物である。
【化2】


【0036】
式中、
−Y1またはY2は、独立して炭素原子または窒素原子であり;
−X1〜X6は、独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子であり;
−Zは下記のいずれかであり:
*C1〜C6の置換または未置換の直鎖アルキルジイル;
*C2〜C6の置換または未置換の直鎖アルケニルジイル;
*C2〜C6の置換または未置換の分枝状アルキルジイル;
*C2〜C6の置換または未置換の分枝状アルケニルジイル;
【0037】
*下記の式:
−(R20t−O−(R21u− (1)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0038】
【化3】


のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0039】
【化4】


【0040】
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
−(R20t−C=N−(R21u− (5)
を有するイミン含有ユニット、
ただし、式(1)〜式(5)において、−R20およびR21は、独立して、C1〜C6の置換または未置換の直鎖アルキルジイル;C2〜C6の置換または未置換の直鎖アルケニルジイル;C2〜C6の置換または未置換の分枝状アルキルジイル;C2〜C6の置換または未置換の分枝状アルケニルジイルを表し、一方、tおよびuは独立して0または1であり;
【0041】
−pは0または1であり、pが0であるとき、単結合または二重結合であってもよい、2つの環の原子間の直接連結である(連結が二重結合であるならば、Y1およびY2は炭素でなければならず、かつ、R13およびR14は存在しない);
−mおよびnは独立して0〜5の整数であり;
−R1〜R14は、XおよびYによって表される原子の原子価要件およびいずれかの環のいずれかの不飽和または芳香族性により存在してもよく、その際、R1〜R14は独立して、
*水素、メチルまたは置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C6〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*ヒドロキシル;
*下記の式:
−T1−OR15
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0042】
【化5】


【0043】
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0044】
【化6】


を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
18O−Xn−OR19
(式中、Xnは炭素原子であり、nは、1、2、3、4、5または6である。)
を有する、環に直接に置換されたケタール含有ユニット;
*下記の式:
【0045】
【化7】


を有するアセタール含有ユニットまたはケタール含有ユニット;
*下記の式:
−T1−C≡N
を有するニトリル含有ユニット
であり、
【0046】
ただし、T1は、直接結合、C1〜C6の直鎖アルキルジイル基または分枝状アルキルジイル基、あるいはC2〜C6のアルケニルジイル基であり;R15、R16、R18およびR19は、メチルまたは置換メチル、C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル、C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル、C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル、C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル、C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル、C4〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル、C5〜C8の置換または未置換のアリール、C6〜C8の置換または未置換のアルカリール、C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキルであり;R17およびR20は水素またはR15であり;R18およびR19は、一緒になって、C3〜C6のスピロ環化した環を形成することができるものでもよい。
【0047】
加えて、R1〜R14のいずれかは、同じ炭素原子または異なる炭素原子(X)上の任意の他のRと一緒になって、さらなる環を形成してもよい。したがって、本発明のこの態様の分子は2つの環に限定されない。その上、基R1およびR2;R3およびR4;R5およびR6;R7およびR8;R9およびR10;R11およびR12は、それらが連結する原子Xと一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。
【0048】
したがって、本発明のこの態様の分子は、互いの環の任意の2つの原子間での結合によって連結される(すなわち、pは、2,5,5−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン(Acetoketal:Takasago)におけるようにゼロである)2つ以上の環を有するか、あるいは、2つ以上の環が、例えば、ジフェニルオキシドにおけるようなエーテル、安息香酸ベンジルにおけるようなエステル、および、シンナミック酸シンナミルにおけるようなα,β−不飽和エステル、または、n−{4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−メチレン}−アンスラニル酸メチル(Lyrame:IFF)におけるようなイミンなど様々な基によって連結されてもよい。
【0049】
構造1を有する化合物において、X原子の大多数は炭素であり、かつ、mまたはnの少なくとも一方が3に等しく、より好ましくは、mおよびnの両方が3に等しいこと、この場合、少なくとも一方の環、または、好ましくは、両方の環が6個の原子を含有することが好ましい。環が置換基を有してもよいシクロヘキシル環、置換基を有してもよいベンゼン環またはこれら2つの混合であることが特に好ましい。また構造1においては、Zが、サリチル酸ベンジルまたはフェニル酢酸フェニルエチルまたはシンナミック酸シンナミルにおけるようなアルキルエステルであることも好ましい。
【0050】
これによりいかなる点においても限定されるものではないが、このグループの例としては、ジフェニルオキシド(101−84−8)、サリチル酸ベンジル(118−58−1)、サリチル酸シクロヘキシル(25485−88−5)、フェニルエチルフェニルアセタート(102−20−5)、n−{4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−メチレン}−アンスラニル酸メチル(Lyrame:IFF)(67634−12−2)、エンド 4−(5−メチル−5−ノルボルネン−2−イル)ピリジン(Orriniff:IFF)(125352−06−9)、2,5,5−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン(Acetoketal:Takasago)(5406−58−6)、イソカンフィルシクロヘキサノール(Santalex T:Takasago)(68877−29−2)、2−(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル)−5−メチル−(1−メチルプロピル)−1,3−ジオキサン(Karanal:Quest)(117933−89−8)、バニリンプロピレングリコールアセタール(68527−74−2)、インドール−ヒドロキシシトロネラール シッフ塩基(Indolene 50:IFF)(68908−82−7)、ジメチル−2−(5’5’,8’,8’−テトラメチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロナフタレン−2’−イル)−1,3−ジオキサン(Okoumal:Givaudan)(131812−67−4)、アントラニル酸シクロヘキシル(7779−16−0)、2−シクロヘキシリデン−2−フェニルアセトニトリル(10461−98−0)、シンナミック酸シクロヘキシル(7791−17−1)、シンナミック酸ベンジル(103−41−3)、ベンジルオイゲノール(120−11−6)、アントラニル酸シンナミル(87−29−6)、シンナミック酸シンナミル(122−69−0)、フェニル酢酸シンナミル(7492−65−1)、4−メチル−2−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン(Doremox:Firmenich)(24720−09−0)、ジベンジルケトン(102−04−5)およびベンゾフェノン(119−61−9)が挙げられる。
【0051】
b)少なくとも2つの環を有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子を有し、かつ、いずれか2つの環が1つの共通原子を共有する分子。
【0052】
この構造的特徴を有する分子は、スピロ環化した環と呼ばれることが多く、共有される炭素原子Cはスピロ原子と呼ばれる。本発明のためには、スピロ環化した環は、炭素以外の原子を含んでいてもよい3〜8個の原子を含有しなければならない(いわゆる複素環式の環、この場合、複素環式の環は、酸素、窒素またはイオウからの1つまたは複数の原子をいずれかの環に含有することができる)。スピロ環化した環は脂環式であるが、シクロアルカン、シクロアルケン、ジヒドロフラン類またはテトラヒドロフラン類、モルホリン類、ジオキサン類、ピペリジン類、オキサゾリジン類またはキノリン類によって例示されるようにいずれかの環または両方の環に不飽和を場合により含んでいてもよい。いずれかの環上の水素原子は、アルキル基、アルケン基およびアルキン基、エーテル、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、アセタール、ケタール、オキシム、アミン、アミド、ニトリル、チオールおよびチオエーテルなど、通常の範囲の有機官能基中の炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子によって置換されてもよい。
【0053】
項目b)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造2の分子式を有する香料化合物である。
【化8】


【0054】
式中、
−Yは炭素であり;
−X1〜X6は、独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子であり;
−R1〜R12は、Xによって表される原子の原子価要件ならびに環の不飽和性または芳香族性によって存在しても、存在しなくてもよく、存在する場合、R1〜R12は独立して、
*水素、メチルまたは置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C5〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C6〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*ヒドロキシル;
*下記の式:
−T1−OR15
(式中、T1およびR15は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0055】
【化9】


【0056】
(式中、T1およびR16は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0057】
【化10】


【0058】
(式中、T1およびR17は、構造1に対して上記で定義される通りのものである。)
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
18O−Xn−OR19
(式中、Xnは炭素原子であり、nは、1、2、3、4、5または6である。)
を有する、環に直接に置換されたケタール含有ユニット;
*下記の式:
【0059】
【化11】


【0060】
(式中、T1、R18、R19およびR20は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するアセタール含有ユニットまたはケタール含有ユニット;
*下記の式:
−T1−C≡N
(式中、T1は、構造1対して上記で定義された通りのものである。)
を有するニトリル含有ユニット
である。
【0061】
加えて、R1〜R12のいずれかは、同じ炭素原子または異なる炭素原子(X)上の任意の他のRと一緒になって、さらなる環を形成してもよい。したがって、本発明のこの態様の分子は2つの環に限定されない。その上、基R1およびR2;R3およびR4;R5およびR6;R7およびR8;R9およびR10;R11およびR12は、それらが連結する原子Xと一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。
【0062】
したがって、本発明のこの態様の分子は、スピロデカンにおけるように1個の共通炭素原子を共有することによって定義される。構造2を有する化合物において、X原子の大多数が炭素であり、かつ、mまたはnの少なくとも一方が2または3であることが好ましい。X4およびX6が、1,3−ジオキサン類または1,3−オキサゾリン類におけるように、独立して酸素原子または窒素原子であることもまた好ましい。
【0063】
これによりいかなる点においても限定されるものではないが、このグループの例としては、2−メチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Spirodecane:IFF)(6413−26−9)、2,2,3’,7’,7’−ペンタメチルスピロ(1,3−ジオキサン−5,2’−ノルカラン)(Spirambrene:Givaudan)(12151−67−0および12151−68−1)、デカヒドロ−スピロ[フラン−2(3H),5’−(4,7−メタノ−5H−インデン)](Vigoflor:IFF)(68480−11−5)、3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン(707−29−9)、4−メチル−1−オキサスピロ[5.5]ウンデセン(Oxaspirane:IFF)(68228−06−8)、8−メチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−2−オン(94201−19−1)が挙げられる。
【0064】
c)少なくとも2つの環を含有する分子であって、それぞれの環が、炭素、酸素、窒素またはイオウのいずれかの3〜8個の原子を有し、かつ、いずれか2つの環が少なくとも2つの隣接する共通原子を共有する分子。
【0065】
環は、炭素以外の原子を含み得る(いわゆる複素環状の環、複素環状の環は、酸素、窒素またはイオウの1つまたは複数の原子を含む環である。)3〜8個の原子を有しなければならない。環は、ナフタレン、インドール、ピリジン、ピラジン、フラン、チオフェン、チアゾール類、オキサゾール類などに由来する芳香族、または、場合により不飽和をいずれかの環または両方の環に含んでもよい、例えばシクロアルカンおよびシクロアルケン、テトラヒドロフラン類、モルホリン類、ジオキサン類、ピペリジン類、キノリン類、ピラン類などの脂環式、または、芳香族および脂環式の混合(これは、インダン類およびジヒドロクマリン類によって例示され、これはまた、場合により不飽和を環に含むことができる)などである。環上の水素原子は、エーテル、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、アセタール、ケタール、オキシム、アミン、アミド、ニトリル、チオール、チオエーテルなど、通常の範囲の有機官能基中の炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子によって置換されてもよい。[2.2.1]ビシクロヘプタンおよび[3.2.1]ビシクロオクタンによって例示される構造を有する架橋した分子もまた、2つ以上の共通原子を環の間に共有するので、本発明のこの態様に含まれる。
【0066】
項目c)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造3の分子式を有する香料化合物である。
【化12】


【0067】
式中、
−Y1またはY2は、独立して炭素原子または窒素原子であり;
−X1〜X6は、独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子であり;
−sは0〜3であり、sが0である場合、単結合または二重結合、あるいは、ナフタレン系分子でのように芳香族結合の一部であり得る、2つの環の間で共有される1つの結合または2つの原子(Y−Y)であり;
−m、n、p、qおよびrは、独立して0〜2の整数であり;
−R1〜R12は、XおよびYによって表される原子の原子価要件ならびに環の不飽和性あるいは芳香族性によって存在してもよいし、存在しなくてもよく、存在する場合、R1〜R12は独立して、
*水素、メチル、置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C5〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C6〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*ヒドロキシル;
*下記の式:
−T1−OR15
(式中、T1およびR15は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0068】
【化13】


【0069】
(式中、T1およびR16は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0070】
【化14】


【0071】
(式中、T1およびR17は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
18O−Xn−OR19
(式中、Xnは炭素原子であり、nは、1、2、3、4、5または6である。)
を有する、環に直接に置換されたケタール含有ユニット;
*下記の式:
【0072】
【化15】


【0073】
(式中、T1、R18、R19およびR20は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するアセタール含有ユニットまたはケタール含有ユニット;
*下記の式:
−T1−C≡N
(式中、T1は構造1について本明細書中、上記のように定義される)
を有するニトリル含有ユニット
であってもよい。
【0074】
加えて、いずれかのRは、同じまたは異なる炭素原子(X)における任意の他のRと一緒になって、さらなる環を形成することができる。したがって、本発明の分子は2つの環に限定されない。その上、基R1およびR2;R3およびR4;R5およびR6;R7およびR8;R9およびR10は、それらが連結する原子Xと一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。
【0075】
このカテゴリーのフレグランス成分の例は、2−ナフチルメチルエーテル(yara yara)(93−04−9)、クマリン(91−64−5)、メチルナフチルケトン(941−98−0)、イソブチルキノリン(65442−31−1)、1,3,4,6,7−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(Galaxolide:IFF)(01222−05−5)、6−アセチル−1,1,2,4,4,6−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン(Tonalide:PFW)(021145−77−7)、6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン(Cashmeran:IFF)(033704−61−9)、酢酸トリシクロドデシル(Cyclacet:IFF)(5413−60−5)ならびにその同族体のプロピオン酸トリシクロドデシル(Cyclaprop:IFF)(17511−60−3)およびイソブタン酸トリシクロドデシル(Cyclabute:IFF)(067634−20−2)、セドリルメチルエーテル(Cedramber:IFF)(019870−74−7)、4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)ブタン−2−オン(Dulcinyl:IFF)(55418−52−5)、3a−エチル ドデカヒドロ−6,6,9a−トリメチルナフト[2,1−b]フラン(Grisalva:IFF)(68611−23−4)、2,5,5−トリメチルオクタヒドロナフタレン−2−オール(Ambrinol 20T:Takasago)(41199−19−3)、β−カリオフィレン(13877−93−5)、カリオフィレン(87−44−5)、酢酸カリオフィレン(57082−24−3)、α−セドレン(469−61−4)、8−セドレン−13−オール(28231−03−0)、セドロール(77−53−2)、酢酸セドリル(77−54−3)、酢酸セドレニル(1405−92−1)、ギ酸セドリル(39900−38−4)、セドリルメチルエーテル(67874−81−1)、α−メチル−3,4−メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒド(Heliobouquet:Takasago)(1205−17−0)、エチル トリシクロ[5.2.1.0]デカン−2−カルボキシレート(Fruitate:Kao)(080657−64−3)、1,4−シネオール(470−67−7)、1,8−シネオール(470−82−6)、ボルネオール(464−45−9)、酢酸ボルニル(76−49−3)、イソボルネオール(124−76−5)、酢酸イソボルニル(125−12−2)、ギ酸イソボルニル(1200−67−5)、イソボルニルメチルエーテル(5331−32−8)、プロピオン酸イソボルニル(2756−56−1)、3−エチル−5(又は6)−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び1−エチル−3−メトキシトリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタン(Neoproxen:122795−41−9)、2−エチリデン−6−イソプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン(Isoproxen:IFF)(90530−04−4)、5’(又は6’)−メチルノルボルン−5’−エン−2’−イル)−2−メチル−1−エン−3−オール(Florosantol:Takasago)(67739−11−1および85232−76−4)、2−[1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル]オキシ]エタノール(Cedanol:Takasago)(7070−15−7)、フェンチルアルコール(1632−73−1)、デカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン(Ambrox:Firmenich)(6790−58−5)、7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレン(Iso E Super:IFF)(54464−57−2)、パチョリアルコール(Patchouli alcohol)(5986−55−0)、ノルパチョレノール(Norpachoulenol)(41429−52−1)、イソボルニル シクロヘキサノール(Santalex T:Takasago)(68877−29−2)、2,2,7,7−テトラメチルトリシクロ[6.2.1.01,6]ウンデカン−5−オン(Isolongifolanone:Quest)(23787−90−8)、酢酸オクタヒドロ−7,7,8,8−テトラメチル−2,3−b―メタノ−3bH−シクロペンタ[1.3]シクロプロパ(1,2)ベンゼン−n−4−メチル(Amboryl acetate)(59056−62−1)、ヌートカトン(Nootkatone)(Givaudan)(4674−50−4)、9−エチリデン−3−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン(Florex:Firmenich)(69486−14−2)、セドリルメチルエーテル(19870−74−7および67874−81−1)、α−ピネン(80−56−8)、β−ピネン(127−91−3)、5,6,7,7a−テトラヒドロ−4,4,7a−トリメチル−2(4H)−ベンゾフラノン(Dihydroacrinidolide)(15356−74−8)、1,3−ジメチル−8−(1−メチルエチル)−トリシクロ[4.4.0.0.02,7]デカ−3−エン(α−Copaene)(3856−25−5)、カンフェン(79−92−5)、カンファー(464−49−3)、5−アセチル−1,1,2,3,3,6−ヘキサメチル インダン(Phantolide:PFW)(15323−35−0)、4−アセチル−6−tert−ブチル−1,1−ジメチルインダン(Celestolide:IFF)(13171−00−1)、5−アセチル−1,1,2,6−テトラメチル−3−イソプロピルジヒドロインダン(Traseolide:Quest)(68140−48−7)、6−アセチル−1,1,2,4,4,6−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン(Tonalide:PFW)(21145−77−7)、β−ナフチルイソブチルエーテル(2173−57−1)、酢酸デカヒドロ−β−ナフチル(10519−11−6)、6−メトキシジシクロペンタジエン カルボキシアルデヒド(Scentenal:Firmenich)(86803−90−9)、4−メチル−トリシクロ[6.2.1.0]ウンデカン−5−オン(Plicatone:Firmenich)(41724−19−0)、3,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロ−3’,7’−ジメチルスピロ(1,4−メタノナフタレン−2(1H),2’−オキシラン)(Rhubofix:Firmenich)(41815−03−9)、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン(Cetalox:Firmenich)(3738−00−9)、6−エチリデン−オクタヒドロ−5,8−メタノ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(Florex:Firmenich)(69486−14−2)である。
【0076】
d)炭素、酸素、窒素およびイオウのいずれかの少なくとも5個の原子、しかし、多くても8個の原子を含有する1つだけの脂環式環を含有する分子であって、環の炭素原子の少なくとも1つが2つの置換基を有する、すなわち、環の炭素原子の少なくとも1つが第三級炭素原子であるか、または、環に対してα位の炭素原子が第三級炭素原子であるか、または、環が、環を構成する原子の少なくとも3つにおいて置換基を有する分子。
【0077】
環は場合により4つ以上の置換基を含有することができる。環は複素環原子および場合により不飽和結合を含有することができ、置換基はアルキル基またはアルケニル基またはアリール基あるいは例えば、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アセタール、アミン、アミド、ニトリル、オキシム、チオールまたはチオエーテルなどの官能基である。
【0078】
項目d)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造4または構造5の分子式を有する香料化合物である。
【0079】
【化16】


【0080】
【化17】


【0081】
式中、
−X1〜X4は、いずれも独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を表し;
−Cは炭素原子を表すし;
−nは1〜4であり、しかし、好ましくは2または3であり;
−R1、R2およびR3は下記のいずれかであり:
*メチル、置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C5〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C6〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*ヒドロキシル;
*下記の式:
−T1−OR15
(式中、T1およびR15は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0082】
【化18】


【0083】
(式中、T1およびR16は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0084】
【化19】


【0085】
(式中、T1およびR17は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
18O−Xn−OR19
(式中、Xnは炭素原子であり、nは、1、2、3または4である。)
を有する、環に直接置換されたケタール含有ユニット;
*下記の式:
【0086】
【化20】


【0087】
(式中、T1、R18、R19およびR20は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するアセタール含有ユニットまたはケタール含有ユニット;
*下記の式:
−T−C≡N
(式中、T1は構造1について本明細書中、上記のように定義される)
を有するニトリル含有ユニット;
−R4〜R12は、水素またはR1である。
【0088】
基R1およびR2;R3およびR4;R5およびR6;R7およびR8;R9およびR10;R11およびR12は、それらが連結する原子Xと一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。
【0089】
構造4または構造5を有する化合物において、X原子の大多数が炭素であり、かつ、nが1または2であることが好ましい。
【0090】
この定義を満たすフレグランス分子の例は、p−tert−ブチルシクロヘキサノール(98−52−2)、酢酸p−tertブチルシクロヘキシル(32210−23−4)、o−tert−ブチルシクロヘキサノール(13491−79−7)、酢酸o−tert−ブチルシクロヘキシル(88−41−5)、p−tert−ブチルシクロヘキサノン(98−53−3)、ジヒドロジャスモン酸メチル(Hedione:Firmenich)(24851−98−7)、α−イオノン(127−41−3)、β−イオノン(14901−07−6)、γ−イオノン(79−76−5)、α−ダマスコン(24720−09−0)、β−ダマスコン(23726−92−3)、δ−ダマスコン(57378−68−4)、γ−ダマスコン(35087−49−1)、β−ダマセノン(23696−85−7)、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール(Bacdanol:IFF)(28219−61−6)、4−アセトキシ−4−メチル−2−プロピル−テトラヒドロ−2H−ピラン(Clarycet:IFF)(131766−73−9)、酢酸o−tert−アミルシクロヘキシル(Coniferan:IFF)(67874−72−0)、2,4−ジメチルシクロヘキサンメタノール(Dihydrofloralol:IFF)(68480−15−9)、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール(Ebanol:Givaudan)(67801−20−1)、アセト酢酸エチルプロピレングリコールアセタール(Fraistone:IFF)(6290−17−1)、イソシクロゲラニオール(IFF)(68527−77−5)、酢酸3−ブチル−5−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール(Jasmelia:IFF)(58285−49−3)、フェンコール(22627−95−8)、酢酸フェンキル(13851−11−1)、(−)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール(Levosandol:Takasago)(28219−61−6)、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール(6413−10−1)、ノポール(Nopol)(128−50−7)、酢酸ノピル(35836−72−7)、2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトアルデヒド(472−66−2)、2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキサルデヒド(1335−66−6)、2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール(68527−77−5)、3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセン−1−オン(3720−16−9)、ダイナスコン(Dynascone:Firmenich)(56973−85−4)、α−イソメチルイオノン(1335−46−9)、3,3−ジメチル−5−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−4−ペンテン−2−オール(Polysantol:Firmenich)(107898−54−4)、2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキサンカルボン酸メチル(Romascone:Firmenich)(81752−87−6)、5−ペンチル−2,2,5−トリメチルシクロペンタノン(65443−14−3)、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキサン−1−イル)−ヘキサン−3−オール(Timberol)(Symrise)(70788−30−6)、2−tert−ブチル−シクロヘキシルオキシ−2−ブタノール(Amber Core:Kao)(139504−68−0)、マイラック アルデヒド(Precyclemone B:IFF)(52474−60−9)、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキサン−1−イル)−2−ブテナール(Boronal;Symrise)(3155−71−3)、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン(65443−14−3)、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタノール(Brahmano:Symrise)(72089−08−8)、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール(Sandalmysore core:Kao)(28219−60−5)、2−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−シクロペンタ−3−エン−1−イル)−ペンタン−2−オール(Sandalore:Givaudan)(65113−99−7)、4−tert−ペンチルシクロヘキサノン(16587−71−6)、4−(1−エトキシビニル)−3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノン(Kephalis:Givaudan)(36306−87−3)、エチル 2−tert−ブチルシクロヘキシルカルボネート(Floramat:Cognis)(67801−64−3)、メチル 2−ヘキシル−3−オキソシクロペンタンカルボネート(Jasmapol:PFW)(37172−53−5)、3−オキソ−2−(2−cis−ペンテニル)シクロペンタン酢酸メチル(1211−29−6)、2−ペンチル−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン(1128−08−1)である。
【0091】
e)少なくとも1つの大環状環、すなわち、炭素、窒素、酸素およびイオウのいずれかの8個を超える原子を環に有する環を含有する分子。
【0092】
環は、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を含有することができ、また、例えば、不飽和、ラクトン、エーテル、アミドなどの官能基を含むことができる。大環状環はまた、例えば、アルキル基およびアルケニル基、アルコール、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アセタール、アミン、アミド、ニトリル、オキシム、チオールおよびチオエーテルなどの炭素、窒素、酸素およびイオウを含む基に基づく置換基を含有することができる。
【0093】
項目e)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造6の分子式を有する香料化合物である。
【化21】


【0094】
式中、
−X1は炭素原子を表し;
−X2〜X8はいずれも独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を表し;
−nは1〜8の整数であり;
−R1〜R14、R22およびR23は、独立して、下記のいずれかであるか、または、対応するXにより表される原子の原子価要件および環の不飽和性によって存在しない場合がある:
*水素、メチル、置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C5〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C5〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*ヒドロキシル;
*下記の式:
−T1−OR15
(式中、T1およびR15は、構造1に対し上記で定義される通りのものである。)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0095】
【化22】


【0096】
(式中、T1およびR16は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0097】
【化23】


【0098】
(式中、T1およびR17は構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
−T1−C≡N
(式中、T1は構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するニトリル含有ユニット;
または、基R3およびR4;R5およびR6;R7およびR8;R9およびR10;R11およびR12;R13およびR14;R22およびR23は、それらが連結する原子Xと一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。
【0099】
そのような分子の例としては、エチレンブラシレート(Musk T:Takasago)(105−95−3)、3−メチルシクロペンタデカノン(Muscone)(541−91−3)、3−メチルシクロペンタデセノン(Muscenone)(82356−51−2)、3−メチルシクロペンタデカノール(Muscol)(4727−17−7)、シクロペンタデカノライド(Exaltolide:Firmenich)(106−02−5)、シクロペンタデカノン(Exaltone:Firmenich)(502−72−7)、(z)−4−シクロペンタデセン−1−オン(Exaltenone:Firmecnih)(14595−54−1)、トリメチル−オキサビシクロトリデカジエン(Cedroxyde:Firmenich)(71735−79−0)、15−ペンタデセノリド(34902−57−3)、(z)−9−シクロヘプタデセン−1−オン(Civetone)(542−46−1)、12−メチル−14−テトラデカ−9−エノリド、オキサシクロヘプタデカ−7(又は10)−エン−2−オン(ambrettolide:IFF)(7779−50−2および28645−51−4)、5−シクロヘキサデセン−1−オン(Ambretone:Takasago)(37609−25−9)、[3(または4)−シクロオクテン−1−イル] メチル カーボナート(Violiff:IFF)(87731−18−8)、メチル 2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル ケトン(Trimofix O:IFF)(28371−99−5)、シクロデシルメチルエーテル(2986−54−1)、エトキシメトキシシクロドデカン(5867−11−6)が挙げられる。
【0100】
f)炭素、窒素、酸素またはイオウのいずれかの少なくとも5個の原子を含有する少なくとも1つの置換された芳香族環を含有する分子であって、少なくとも1つの置換基が第三級炭素を環に対してα位またはβ位に有する分子。
【0101】
項目f)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造7の分子式を有する香料化合物である。
【化24】


【0102】
式中、
−X1〜X6はいずれも独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を表し;
−nは1〜3の整数であり;
−mは0〜1の整数であり;
−R4〜R9は、Xにより表される原子の原子価要件によって存在しない場合があり;
−R1、R2およびR3は、
*メチル、置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C5〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C5〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*ヒドロキシル;
*下記の式:
−T1−OR15
(式中、T1およびR15は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0103】
【化25】


【0104】
(式中、T1およびR16は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0105】
【化26】


【0106】
(式中、T1およびR17は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
−T1−C≡N
(式中、T1は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するニトリル含有ユニット
であり;
−R4〜R9は、独立して、水素またはR1である。
【0107】
そのような分子の例は、2−メチル−3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール(Lilial:Givaudan)(80−54−6)、2,5,5−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン(Acetoketal:Takasago)(5406−58−6)、4−tert−ブチルベンゼンプロピオンアルデヒド(18127−01−0)、酢酸ジメチルベンジルカルビニル(151−05−3)、5−フェニル−5−メチル−3−ヘキサノン(Damascol 4:IFF)(4927−36−0)である。
【0108】
g)少なくとも5個の原子を含み、かつ、少なくとも3つの置換基を環上に有する置換された芳香族環を含有し、前記置換基のすべてが、炭素、窒素、酸素またはイオウの中からの少なくとも2個の原子を含有しなければならない分子。
【0109】
項目g)において定義される嵩高い分子の例は、下記の構造8の分子式を有する香料化合物である。
【化27】


【0110】
式中、
−X1〜X5は、いずれも独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子を表し;
−nは1〜3の整数であり;
−mは1〜2の整数であり;
−R1〜R5は、関係するXによって表される原子の原子価要件によっては存在する必要はなく、存在するときには、R1〜R5の少なくとも3つは独立して、
*置換メチル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルキル;
*C2〜C8の置換または未置換の直鎖アルケニル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルキル;
*C3〜C8の置換または未置換の分枝状アルケニル;
*C4〜C8の置換または未置換のシクロアルキル;
*C5〜C8の置換または未置換のシクロアルケニル;
*C5〜C8の置換または未置換のアリール;
*C6〜C8の置換または未置換のアルカリール;
*C6〜C8の置換または未置換のヘテロシクロアルキル;
*下記の式:
−T1−OR15
(式中、T1およびR15は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するエーテル含有ユニット;
*下記の式:
【0111】
【化28】


(式中、T1およびR16は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
のいずれかを有するエステル含有ユニット;
*下記の式:
【0112】
【化29】


【0113】
(式中、T1およびR17は、構造1に対し上記で定義された通りのものである。)
を有するカルボニル含有ユニット;
*下記の式:
−T−C≡N
(式中、T1は構造1について本明細書中、上記のように定義される通りである)
を有するニトリル含有ユニット
でなければならない。
【0114】
構造8を有する分子において、X原子の大多数が炭素であることが好ましく、nが2に等しく、かつ、mが1に等しく、その結果、環状構造が置換ベンゼン誘導体であることがより好ましい。
【0115】
そのような分子の例としては、1,3,5−トリメトキシベンゼン(621−23−8)、アセチルオイゲノール(93−28−7)、アセチルバニリン(881−68−5)、酢酸アニシル(104−21−2)、メチルオイゲノール(93−15−5)、ムスクチベトン(Musk)(145−39−1)、ムスクアンブレット(Musk ambrette)(83−66−9)、3,4−ジメトキシ安息香酸(93−07−2)、酢酸3,4−メチレンジオキシベンジル(326−61−4)およびベラトラルデヒド(120−14−9)が挙げられる。
【0116】
本明細書において、下記の用語は、商品名によって特定されるフレグランスを供給する企業の名称を示す:Firmenich=Firmenich SA;Takasago=高砂香料工業株式会社;Symrise=Symrise GmbH&Co.KG;Cognis=Cognis Corporation;Givaudan=Givaudan SA;IFF=International Flavors&Fragrances;Quest=Quest International;PFW=PFW Aroma Chemicals B.V.;Kao=花王株式会社
【0117】
アルデヒドは、カプセルの調製期間中に反応するだけでなく、驚くべきことには、貯蔵中ずっとカプセル内で反応し続け、フレグランスが嗅覚的に知覚できなくなる程度にまでしてしまうことを見出した。アルデヒドは反応性の化学種であるという一般的な概念にもかかわらず、いくつかのアルデヒド、例えば、リリアール、シクラメンアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドおよびバニリンは、ハウスホールド用、洗濯用およびパーソナケア用品用のフレグランスにおいて極めて高濃度で頻繁に使用されている。したがって、本発明のフレグランス組成物においては、α、β−不飽和アルデヒドをはじめとする芳香性アルデヒドの総濃度を、香料組成物の20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらに一層より好ましくは1重量%未満に制限することが好ましい。
【0118】
カプセル製造の最終段階で過剰な水溶性アミンを加えて、ホルムアルデヒド濃度を低下させることが知られているが、本発明者らは、コア成分として存在するアミンが驚く程反応性を示すことを見出した。したがって、本発明の香料組成物においては、第一級アミンおよび第二級アミンの総濃度は、好ましくは香料組成物の10重量%未満、より好ましくは1重量%未満に制限すべきである。
【0119】
カプセル化されていることから、フレグランス化合物の特性は付着に関する役割はもはや果たさないので、送達並びにフレグランス寿命の改善のために米国特許第5,652,206号明細書および同第5,500,138号明細書において教示されているような高ClogP(Calculated logP)物質を所定量用いる必要性はもはや要求されない。しかし、フレグランス組成物は、エマルジョンを形成するために、十分に水不溶性であることは依然として必要とされる。水溶性はClogPとほぼ逆相関の関係にあるので、フレグランス組成物の80重量%超、好ましくは90重量%超が、1.00よりも大きいClogP値を有する成分からなることが好ましく、80重量%超、好ましくは90重量%超が、1.50よりも大きいClogP値を有することがより好ましく、80重量%超、好ましくは90重量%超が、2.00よりも大きいClogP値を有することがさらに好ましい。
【0120】
それぞれのカプセルは少量のフレグランスを含有するだけである。このため、カプセルがその内容物を放出するときにその最大の嗅覚的効果を達成するためには、カプセル化されたコアの芳香性物質が迅速に蒸発し、かつ、迅速に空気中に拡散するとともに、香りの強いものであることが必要である。迅速な蒸発および香りの強度をバランスよく有する材料は、適度なClogP値を有する傾向がある。ClogPの下限値は、安定なエマルジョンを水不溶性成分から形成させる必要性によって規定されるのに対し、上限値についてはそれほど明確には規定されない。しかし、カプセルコアのフレグランスの大部分が高ClogP成分からなる場合、蒸発速度並びに知覚される強度が減少することから、この観点から上限値は規定される。この点から、フレグランス成分のほとんどが4.00未満のClogPを有することが好ましい。カプセルが壊れて香料を放出する際強い芳香を送達できるように、カプセルコアのフレグランス成分の40重量%超、好ましくは60重量%超、さらに一層好ましくは80重量%超が、4.00未満のClogPを有することが特に好ましい。
【0121】
ClogPは、フレグランス成分のオクタノール/水分配係数(P)を指している。香料成分のオクタノール/水分配係数は、オクタノール中の香料成分の平衡濃度と、水中の香料成分の平衡濃度との比である。香料成分の分配係数は、より好ましくは、10を底としたその対数、logPの形で表すのがより都合がよい。多くの香料成分のlogPが報告されており、例えば、ポモナ(Pomona)92データベース(カリフォルニア州アービン(Irvine, Calif.)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ・インコーポレーテッド(Daylight Chemical Information Systems, Inc.)(デイライト・CIS(Daylight CIS)から入手可能)には、多くのlogP数値と共に、オリジナルの文献の引用がある。
【0122】
しかしながら、本明細書において記すClogPの数値は、「CLOGP」プログラムによって最も好適に計算されたものであって、このプログラムは、「ケムオフィス・ウルトラ・ソフトウェア(Chemoffice Ultra Software)バージョン9」の中で利用でき、それは、米国、マサチューセッツ州ケンブリッジ・ケンブリッジパーク・ドライブ・100のケンブリッジソフト・コーポレーション(CambridgeSoft Corporation、100,CambridgePark Drive,Cambridge,MA 02140 USA)又は、英国、ケンブリッジ、スワンズ・ロード、シグネット・コート 8のケンブリッジソフト・コーポレーションズ(CambridgeSoft Corporations、8 Signet Court, Swanns Road, Cambridge CB5 8LA UK)から入手可能である。本発明において有用である香料成分の選択においては、実験によるlogPに代えて、ClogPの数値を使用するのが好ましい。天然の油状物または抽出物の場合、そのような油状物の組成は、分析によって求めるか、又はオランダ国1272GBフイゼン、グロン・ファン・プリンステルラン21(Groen van Prinsterlaan 21,1272 GB Huizen,The Netherlands)のBACIS(ベーレンズ・アロマ・ケミカル・インフォメーション・サービス(Boelens Aroma Chemical Information Service))によって発行されたESO2000データベースに公表されている組成を使用して求めることができる。
【0123】
本発明のさらなる態様は、カプセルが、香料成分および有益成分の60重量%超、より好ましくは70重量%超、さらに好ましくは80重量%超を含まなければならないということである。できる限り多くの活性な物質をカプセルに取り込むことは自明のことであるが、エマルジョンの安定性、カプセルの一体性、漏出の防止などに関連する種々の理由から、カプセルは、多くの場合、フレグランスおよび有益成分を実質的に希釈する溶剤、硬化剤などの他の成分を高割合で含んでいる。
【0124】
より多くのフレグランスを表面に付着させること、および、破裂したカプセルの周りでの局所的濃度を極めて高くすることは、本発明を成功裏に行うために必須のことであることから、カプセルコアの組成については、芳香性物質の一部のものが有するあまり望ましくない特徴、例えば、環境における存続性、水生生物への蓄積性、および、一部のヒトに対する毒性、アレルギー性または刺激作用などを考慮に入れておかなければならない。
【0125】
一般に、カプセルはフレグランスを効率的に表面に供給するので、所望の芳香性効果を達成するためには少量のカプセル、従って、より少量のフレグランスでよく、このため、全体的な環境負荷は軽減される。しかし、皮膚表面または皮膚の近隣での濃度が大きいことから、このような状況となった場合にも安全であることが知られた成分のみを使用してコア組成物を形成することに関して、さらに注意を配る必要がある。望ましくない特徴を有することが知られている物質、したがって本発明のフレグランス組成物から好ましくは排除される物質としては、例えばムスクアンブレット(CAS83−66−9)およびムスクケトン(CAS81−14−1)などのニトロムスクが挙げられる。溶剤、特に、フタル酸エステルおよび式:R−(OCH2CH2n−OR1(式中、nは1、2または3であり、Rは(C1〜C7)アルキルまたはフェニルまたはアルキル置換フェニルであり、RはHまたは(C1〜C7)アルキルである。)で表されるカルビトールエーテルも同様に本発明の香料組成物から好ましくは排除される物質として挙げられる。デンジャラス・サブスタンシズ・ダイレクティブ(Dangerous Substances Directive)(67/548/EEC)の付録1もしくはその各種改訂版、又はATPs(アダプテーション・トゥ・テクニカル・プログレス(Adaptation to Technical Progress))にリストアップされている物質、又はその安全性データシートにおいてR43として分類されているものは、場合によっては、コア組成物の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満、さらにより好ましくは分析検出限界未満に制限される。
【0126】
また、次の化合物は、成分レベルを、コア組成物の25重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは1重量%未満に制限することが好ましい。
アミルシンナミックアルデヒド(122−40−7)、アミルシンナミックアルコール(101−85−9)、アニシルアルコール(105−13−5)、ベンジルアルコール(100−51−6)、安息香酸ベンジル(120−51−4)、シンナミック酸ベンジル(103−41−3)、サリチル酸ベンジル(118−58−1)、シンナミックアルデヒド(104−55−2)、シンナミルアルコール(104−54−1)、シトロネラール(106−22−9)、クマリン(91−64−5)、オイゲノール(97−53−0)、ファルネソール(4602−84−0)、ゲラニオール(106−24−1)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(101−86−0)、ヒドロキシシトロネラール(107−95−5)、ヒドロキシメチルペンチルシクロヘキセンカルボキサルデヒド(31906−04−4)、イソオイゲノール(97−54−1)、リリアール(80−54−6)、リモネン(5989−27−5)、リナロール(78−70−6)、メチルヘプチンカルボナート(111−12−6)、メチルオクチンカルボナート(111−80−8)、フェニルアセトアルデヒド(122−78−1)、3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン(127−51−5)
【0127】
任意成分
必要に応じて、他の成分がカプセルコアに加えられてもよいし、あるいは、カプセルの製造の結果カプセルコアに存在してもよい。これらの物質は、それ自身芳香物質ではないが、酸化防止剤、日焼け防止化合物、昆虫忌避剤など、他の効果を与えることができるものでもよいし、あるいは反応してフレグランス化合物を放出するプロ−フレグランス分子であってもよいし、さらに他の成分は、例えば、溶剤、乳化剤、安定化剤、ポリマーおよび増粘剤であってもよい。
【0128】
溶剤
においの弱いまたは無臭の溶剤は、カプセルコア物質の25重量%まで、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満を構成することができる。存在する場合、溶剤は、香料成分とともに導入されるのが最も一般的である。香料業界では、製造を容易にするため、固体の芳香材料を適当な溶剤に溶解するか、香りの強い(powerful)材料を溶剤で希釈して、低い濃度で使用することは極めて一般に行われていることである。代表的な溶剤としては、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジアルキル、アセチルトリエチルシトラート、アセチルトリブチルシトラート、クエン酸トリエチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジエチルなどの高ClogP物質、あるいは、例えば、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールなど低ClogP物質が挙げられる。これらの物質は、香りの放出又はカプセル製造時のエマルジョンの性質に影響を与える可能性があるが、上記濃度では、そのような影響は最小限にとどまるであろう。さらに、クエン酸エステルが消臭剤において悪臭中和剤として使用されているように、ある溶剤は、ある種の製品では有益である。重ねていうが、上記用量濃度で、前記影響は最小限であらねばならない。このように、溶剤は、有益成分というよりフレグランスの一部と考えられており、必ずしも本発明に従うわけではない。
【0129】
プロ−フレグランス
マイクロカプセル内で保護され、かつ、マイクロカプセルから放出されることが望ましい他の任意成分がプロ−フレグランスである。プロ−フレグランスは、小さく、通常揮発性の高いフレグランスが反応してより高分子量の分子を形成しているが、例えばpH変化、日光に晒されるなどの何らかの外的事象に起因して、または、加水分解してフレグランス分子を放出することのできる特に不安定な結合を有する分子に起因して、フレグランス分子を放出するように設計された化合物である。プロ−フレグランスは、一般に少なくとも300amuの、好ましくは350amuよりも大きい、より好ましくは400amuよりも大きい分子量を有し、また、プロ−フレグランスの分子量は、フレグランス材料成分の分子量の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、より好ましくは3倍であり、かつ、プロ−フレグランス1分子あたり2分子以上のフレグランスを放出しなければならない。さらに、放出されたフレグランス材料は、米国特許第6,077,821号明細書(これは参照により本明細書中に組み込まれる)に定義されるように、100amu〜300amuの分子量、好ましくは100amu〜250amuの分子量と、100ppb、好ましくは10ppb未満の香気検出閾値とを有していなければならない。プロ−フレグランスは多くの場合、アセタール、ケタール、シッフ塩基、不安定エステル、例えば、隣接する官能基によって活性化される、オルトエステル、カルボナートエステル、シリルエステルまたはカルボン酸エステルなどである。下記の特許または特許出願公開明細書には、種々のプロ−フレグランス分子、ならびに、ハウスホールド用品およびパーソナルケア用品での使用が記載されており、参照して本明細書に組み込むものとする:米国特許出願公開第2002/0155985号明細書、国際特許出願公開WO95/04809号パンフレット、米国特許第6,551,987号明細書および米国特許第6,077,821号明細書。2つ以上のプロ−フレグランスをカプセルのコアに取り込むことができる。このように、プロ−フレグランスは、フレグランス分子の分子量要件を満たす必要はないが、しかし、a)〜g)として列記された構造的制約は満たさなければならない。
【0130】
他の有益成分(benifit agents)
本明細書において、他の有益成分は、以下に記載される方法でカプセル化することができる任意の物質であって、液体、ゲル、ペーストまたは軟質固体のハウスホールド用品、洗濯用品、パーソナルケア用品または化粧品に使用されるとき、貯蔵に耐え利益を供与することができ、α、β−不飽和アルデヒドを含むアルデヒド性化合物または第一級アミンもしくは第二級アミンをほとんど含有しないか、または全く含まず、かつ、本発明のフレグランス成分に対し定義される嵩高い分子についての本発明の構造的要件を満たす物質を意味する。有益成分はその効果を発揮するため必ずしも揮発性である必要はなく、したがって、有益成分は分子量により制約される必要はないが、貯蔵期間中に外殻からの溶出を最小限に抑えるため嵩高い分子の構造的要件を満たすことが必要である。
【0131】
有益成分には、天然抽出物または1,3,5−トリメトキシベンゼン(621−23−8)、1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンのような弛緩剤または刺激剤としての治療的効果を有する物質が含まれる。また、例えば、酢酸トコフェリル(58−95−78)またはパルミチン酸レチニル(79−81−2)などのビタミンまたはビタミン誘導体もまた、この定義内の有益成分である。米国特許第4,622,221号明細書および米国特許第4,719,105号明細書に記載されている、悪臭およびその作用を、提案されている種々の機構により抑制するか、または低下させる物質も有益成分である。エマルジョンに添加されたとき、カプセル化前のコアエマルジョンの性質を改善するか、または、カプセル自体の性質を改善する物質も有益成分である。温感効果または冷感効果をもたらす物質、例えば、エム・エルマン(M Erman)によって、コスメティックス アンド トイレタリーズ(Cosmetics and Toiletries)第120巻、第5号、第105頁に記載される物質などもまた有益成分である。そのような有益成分の例として、WS3(登録商標)として知られているシクロヘキサンカルボキサミドN−メチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル)(39711−79−0);乳酸メンチル(59259−38−0);Cooling Agent 10(登録商標)として知られている(−)−メントキシプロパン−1,2−ジオールが挙げられるが、これらには限定されない。昆虫忌避剤として作用する物質、p−メンタン−3,8−ジオール(42822−86−6)またはティーツリー油、ニーム油またはユーカリ油などの天然植物油は有益成分である。酸化防止剤として作用する物質、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(128−37−0)またはブチル化ヒドロキシアニソール(25013−16−5)、あるいは、ペンタエリトリチルテトラt−ブチルヒドロキシヒドロシンナマート、ペンタエリトリチルジt−ブチルヒドロキシヒドロシンナマート、オクタデシルジt−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート(2082−79−3)、テトラブチルエチリデンビスフェノール(35958−30−6)なども有益成分である。UV吸収剤として作用する物質、例えば、ベンゾフェノン、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、または、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]メタン(6683−19−8)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなども有益成分である。上記に列挙された物質は、有益成分を例示することを意図するもので、有益成分を上記列挙したものに限定することを意図するものではない。上記の混合物もまた、本発明の有益成分と見なされる。したがって、フレグランス成分を保護するため、UV吸収剤と酸化防止剤とを組み合わせることが好ましい。さらに、いくつかの物質は2つ以上の効果を示すことが分っている。例えば、酢酸ビタミンEは、ビタミン前駆体としてだけでなく、酸化防止剤としても機能する。
【0132】
コアシェルカプセル
本発明は、壁(wall)または外殻(shell)層を形成するポリマー層によって取り囲まれた香料の中心コアからなる任意のコアシェルカプセルに適用される。外殻という語は、硬い壁で囲まれたカプセルという印象を与えるかもしれないが、必ずしもそうである必要はなく、内容物を保護する単なる被覆層以上のものを示すものではないが、外殻は可塑性および変形可能である。本発明のカプセルは、典型的には、直径が1〜1000μmであり、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは10〜100μmである。
【0133】
コアセルベート
マイクロカプセルの1つの形態は、典型的にはコアセルベーション技術によって形成されたマイクロカプセルである。この材料およびプロセスについては、参照して本明細書中に組み込まれる以下の特許文献に詳しく記載されている:米国特許第2,800,458号明細書、米国特許第3,159,585号明細書、米国特許第3,533,958号明細書、米国特許第3,697,437号明細書、米国特許第3,888,689号明細書、米国特許第3,996,156号明細書、米国特許第3,965,033号明細書、米国特許第4,010,038号明細書および米国特許第4,016,098号明細書。好ましいカプセル化材料は、アラビアゴムなどのポリアニオンを用いてコアセルベート化されたゼラチン、より好ましくは、例えば、グルタルアルデヒドなどの架橋物質によって架橋されたゼラチン、または、カルシウムイオンを用いてコアセルベート化されたアルギン酸塩である。
【0134】
アミノプラストカプセル
マイクロカプセルの特に好ましい形態は、アミンおよびアルデヒド、好ましくはメラミン、ホルムアルデヒドおよび任意成分としての尿素の縮重合によって形成されたアミノプラストカプセルである。多くの特許に、分散体の形態のアミノプラストカプセルを製造するための組成と工程が記載されており、そのような特許としては、例えば欧州特許出願公開第1,246,693A1号明細書および米国特許第6,261,483が挙げられる(これらの特許を参照しこれらを本明細書に組み込む)。コアシェルカプセルのための他の適切なモノマーとしては、例えば、国際特許出願公開WO01/49817号パンフレットに挙げられたメタクリル酸メチル、国際特許出願公開WO03/099005号パンフレットに挙げられたウレタン類がある。さらに、これら以外の適当なモノマーについては、重合反応分野の当業者に広く知られている。本特許をいかなる点でも限定することを望まないが、カプセル分散体を調製するための典型的なプロセスでは、下記の工程が含まれる。
【0135】
乳化剤又は乳化安定剤を含む、香料成分及び各種有益成分又は変性剤のエマルジョンの調製は、激しい撹拌下で実施される。
第一の工程では、芳香性オイル、メチル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂(約1:3:2〜1:6:4のモル比のメラミン:ホルムアルデヒド:メタノール混合物)および乳化剤を添加する。前記モノマーは予め縮合されていてもよいし、そのまま使用されてもよい。メラミンの一部は尿素によって置き換えることもできる。
【0136】
前記混合物に酸を添加して、pHを3.5〜6.5に調節し、温度を上げて30℃〜45℃とする。分散物がオイルフリーとなるまで攪拌を続ける。このプロセスにおいては、悪影響を及ぼさない限りいかなる酸を使用してもよく、例えばギ酸又は酢酸が使用できる。
【0137】
穏やかな撹拌下に、数時間にわたって60℃〜100℃の間の温度に加熱することにより、カプセルを硬化させることが、特に有利である。
【0138】
硬化の初期の段階で、尿素、メラミンもしくはその他のアミン、またはそれらの混合物をさらに添加して、最終の分散体中におけるホルムアルデヒド濃度を低下させ、壁の厚みを増大することができれば、特に有利である。典型的には、10〜30%の追加のメラミン及び/又は尿素をこの段階で加えることができるが、特に有利な比率は、メラミン:尿素が5:1から1:1である。
【0139】
硬化が完了したら、温度を約50℃にまで低下させ、分散体を中和して、そのpHを約9.5に調節する。
【0140】
カプセルを液体製品に導入するときの取り扱いを容易にするため、分散剤をスラリーに加え、再分配が難しい大きな凝集物を形成するカプセルの沈降またはクリーム化を防止することが好ましい。
【0141】
出荷される最終カプセル分散体は、好ましくは、GLCの測定による遊離ホルムアルデヒドが、0.1重量%未満、好ましくは100ppm(wt/wt)未満、より好ましくは10ppm(wt/wt)未満となるようにされなければならない。
【0142】
基質に対するカプセル付着性を改善したり、適用時における付着選択性を改善するために、さらなる物質を物理的または化学的に取り込むこともまた有利である。カチオン性ポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリビニルイミダゾールなど、β−1,4−結合をベースとする多糖類、例えば、グアールゴムなど、および、ポリエステルコポリマー、例えば、洗剤のための汚れ剥離ポリマーとして市販されているものなどが、前記特性を改善するため適した物質の例である。
【0143】
上記のプロセスで製造されたカプセルは、乳化条件にもよるが、粒径が一般に、5〜100μmの範囲内である。またカプセル壁の厚さは、一般に0.025〜1.0μmである。これらの数値範囲は、本発明のカプセルが適正に機能するために好ましい。カプセルの壁が薄すぎると、カプセルは、その後の輸送および取り扱いの際に壊れやすく、逆に厚すぎると、必要なときにカプセルが破壊されない可能性がある。カプセルが極めて小さい場合、壁物質がカプセルにおいて大きな割合を占めることになり、非経済的である。極めて大きなカプセルでは、取り扱い時の破壊を防止するために、より厚い壁が必要となったり、コアに硬化剤を添加することが必要になったりし、これらはいずれも、供給すべき有効成分の量を減らすことになる。
【0144】
最終的な分散体には、典型的には、水中にカプセルが2.5%〜80%、好ましくは10%〜70%、より好ましくは20%〜70%、分散、含有される。プロセスのいくつかの形態においては、その後の適用において最適となるよう、過剰の水を除去して濃縮したウェットケーキとするか、または乾燥させて自由流動粉体とすることができる。
【0145】
ハウスホールド用、洗濯用およびパーソナルケア用組成物
本発明のフレグランス組成物を含有するカプセルが使用されるハウスホールド用品、洗濯用品、パーソナルケア用品および化粧品の組成および成分については、当業者に広く知られており、下記出版物を参照文献として引用する(この引用により本明細書中に組み込まれる):エル ホ タン タイ(L Ho Tan Tai)、「フォームレイティング デタージェンツ アンド パーソナル ケア プロダクツ ア ガイド ツー プロダクト デベロプメント(Formulating Detergents and Personal Care Products A guide to Product Development)」、ISBN1−893997−10−3、エイオーシーエス プレス(AOCS Press);「サーファクタント サイエンス シリーズ リキッド デタージェンツ(Surfactant Science Series Liquid Detergents)」、第67巻、ISBN0−8247−9391−9、マーセル デッカー インク(Mercel Dekker Inc)、ならびに、下記の特許明細書:
【0146】
織物の柔軟剤および柔軟仕上げ剤:
米国特許第6,335,315号明細書、同第5,674,832号明細書、同第5,759,990号明細書、同第5,877,145号明細書、同第5,574,179号明細書;
液体の洗濯用洗剤:
米国特許第5,929,022号明細書、同第5,916,862号明細書、同第5,731,278号明細書、同第5,470,507号明細書、同第5,466,802号明細書、同第5,460,752号明細書および同第5,458,810号明細書;
シャンプーおよびヘアーコンディショナー:
米国特許第6,162,423号明細書、同第5,968,286号明細書、同第5,935,561号明細書、同第5,932,203号明細書、同第5,837,661号明細書、同第5,776,443号明細書、同第5,756,436号明細書、同第5,661,118号明細書、同第5,618,523号明細書
を参照文献として引用する(この引用により本明細書中に組み込まれる)。
【0147】
フレグランス物質のカプセルからの漏れ易さは、製品組成によって影響をうける。高濃度で界面活性剤が存在する場合、フレグランス物質の漏れ速度が増大することが予想されるが、一方で、低濃度である場合は界面活性剤は可溶化を促進しない。製品の粘度やpHなどの他の要因も、分子の移動性に影響を与えるか、または、外殻壁中のアミンなどの化学基をイオン化することから、放出速度に影響を及ぼす。フレグランス物質の漏れに関する異なる製品組成による影響は、実施例に示されている。究極的には、製造物は市販の処方において性能を発揮しなければならないが、試験を容易にするため、また、特性を比較するため、本発明者らは、貯蔵試験のための標準条件として、緩衝化された界面活性剤溶液を定義した。すなわち、0.5gのカプセル化された香料を付与するため、クエン酸塩リン酸塩緩衝液によりpH8.5に緩衝化されたドデシル硫酸ナトリウム10重量%脱塩水溶液10gにカプセルを穏やかに混合し、密封されたガラス瓶中に40℃で貯蔵した。遊離したフレグランスの量を、実験開始時、および4週間後に再度、ヘッドスペースGCMSによって測定した。対照サンプルを、カプセル化で使用されたフレグランス0.5gから調製し、クエン酸塩リン酸塩緩衝液によりpH8.5に緩衝化されたドデシル硫酸ナトリウム10重量%脱塩水溶液に溶解し、密封されたガラス瓶中に40℃で貯蔵した。ヘッドスペース測定値からの比較面積値は、時間ゼロにおけるカプセル化されていないフレグランス成分の広さ、あるいはカプセルから極めて迅速に消散するフレグランス成分の広さを示す。本発明の材料は、4週間40℃での貯蔵後に50%超、より好ましくは75%超の広さを維持することが好ましい。
【0148】
液体製品にカプセルを配合すると、液体とカプセルの密度が異なるため、常温範囲(4℃〜40℃)で長期間貯蔵した際、カプセルが「クリーム化する」傾向、すなわち、表面に浮かび上がる傾向、または、「沈降する」傾向、すなわち、沈む傾向がある。多くの要因がクリーム化または沈降が生じる速度に影響を及ぼすが、製品自体が分離を遅くするか、または、分離を妨げることはこの問題を解決するために有益なことである。例えば、製品が非常に低い剪断速度で大きな粘度を有するならば、カプセルは、製品全体に均一に分布された状態で保持される傾向がある。従って、カプセルが導入される製品は、ブルックフィールド(Brookfield) LVT粘度計を使用して5s-1の剪断速度で測定して、100mPasを超える粘度、好ましくは、1000mPasを超える粘度を有するものであることが好ましい。
【実施例】
【0149】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0150】
実施例1:カプセルの調製
2リットルの円筒状撹拌容器に、直径が50mmの標準的な市販の分散ディスクを有する無限調節分散器(infinitively adjustable disperser)を取り付けた。この撹拌容器に、芳香性オイル400g;275mPa.sの粘度および8.5のpHを有する、メチル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(メラミン:ホルムアルデヒド:メタノールのモル比、1:3.9:2.4)の70%水溶液86g;ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の20%濃度溶液80g;水350g;および10重量%濃度のギ酸水溶液15gをこの順で仕込んだ。
【0151】
この仕込み物を、周速約20mpsの撹拌速度に調節して、カプセル分散体を製造した。温度は約35℃に保った。
【0152】
60分後、分散体にはオイルが存在しない状態となった。約20〜30μmの粒子サイズのカプセルが形成されていた。次いで、分散ディスクの撹拌速度を、容器内容物が均一に循環するに十分なレベルに落とした。
【0153】
硬化温度を80℃に設定し、熱スチームの注入によりその温度に達したら、ギ酸によりpHをpH4.5に調節したメラミン−尿素(メラミン:尿素の比は2.5:1)の27%懸濁液を、予備形成されたマイクロカプセル分散体に、一定の質量流速で1時間かけて計量しながら加えた。合計で46gのメラミン−尿素分散液が計量、添加された。
【0154】
続いて、90℃で120分の硬化が行われた。
この分散体を約55℃に冷却した後、ジエタノールアミンでpH7.0に中和し、次いで、アンモニアを用いてpH8.5に調節した。
分散剤を加えて、50%の固形物含有量および83mPa.sの粘度を有する均一なカプセル分散体を得た。
【0155】
実施例2:成分漏出の比較
表1は、実施例1の方法によりカプセル化されたフレグランスを、フレグランス量が0.5%量相当となるよう液体洗濯洗剤および液体パーソナルケア用品に加え、カプセル化されたフレグランス個々の芳香成分の漏出を比較した。結果を表1に示す。表中には、対照としての同じ製品に添加された遊離フレグランスの相当量と比較しての放出されたフレグランスパーセントが示されている。芳香成分のいくつかは本発明の嵩高い分子のための基準を満たしており、一方、他の比較例(例えば、アセトフェノン、オイゲノール、酢酸ベンジルおよび安息香酸エチルなど)はこれらの基準を満たしていない。成分の濃度は、4週間40℃で貯蔵後のヘッドスペースにおける揮発物をSPMEヘッドスペースカプセル化後、GCMSによって測定した。
【0156】
【表1】




【0157】
Buccoximeは、Symriseによって供給される1,5−ジメチル−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−オンオキシムである;
セダノール(Cedanol)は、Takasagoによって供給される2−イソボルニルオキシエタノールである;
Fruitateは、kaoによって供給されるトリシクロ[5.2.1.0]デカン−2−カルボン酸エチルである;
Spirambreneは、Givaudanによって供給される2,2,3’,7’,7’−ペンタメチルスピロ(1,3−ジオキサン−5,2ノカラン)ジアステレオ異性体である;
Glaxolideは、IFFによって供給される1,2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピランである;
Cyclacwtは、IFFによって供給される酢酸トリシクロデセニルである;
Vigoflorは、IFFによって供給されるデカヒドロスピロ(フラン−2(3H),5’−(4,7)メタノ(5H)インデンである;
Cashmeranは、IFFによって供給される6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノンである;
Rhubofixは、Firmenichによって供給される3’,7’−ヘキサヒドロジメチルスピロメタノナフタレンである。
【0158】
試験で使用された市販製品1〜7における、製品名、メーカーおよび原産国は次の通りである。
1.Persil Sen1:Henkel(ドイツ)社製Persil Senstive濃縮液体洗剤;
2.Lenor Con2:Procter&Gamble(英国)社製Lenor Concentrate;
3.Dash Reg3:Procter&Gamble(イタリア)社製Dash Regular液体洗剤;
4.Via Sens4:Lever Faberge(スウェーデン)社製Via Sensitive濃縮液体洗剤;
5.Downy5:Procter&Gamble(米国)社製Ultra Downy;
6.Tide Free6:Procter&Gamble(米国)社製Tide Perfume and Dre Free;
7.Shampoo7:Henkel(ドイツ)社製Shampoo Schauma。
【0159】
製品処方が異なることによりカプセルからの香料の漏出の変動はある程度起こるが、本発明のフレグランス成分は対照(コントロール)成分と同じ速度で漏出しないことは明らかである。オイゲノールとエチレンブラシラートは類似するClogPを有するが、製品中では異なる放出速度を有する結果が得られることに、特に注意が払われなければならない。
【0160】
実施例3
【表2】


【0161】
Vertenexは、IFFによって供給される酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシルである;
Spirambreneは、Givaudanによって供給される2,2,3’,7’,7’−ペンタメチルスピロ−(1,3−ジオキサン−5,2’−ノカラン)である。
【0162】
表2にはまた、実施例1同様、製品の違いによる漏出変動が示されているが、Vertenexおよび1,4−シネオールなどの本発明の化合物は、カプセル中により良好に保持されるのに対し、あまり水溶性でない物質、すなわち、より大きいClogP値を有する物質、例えば、リモネンなどはカプセルに十分に保持されない。
【0163】
実施例4
本発明の基準を満たす成分を26重量%含み、本発明に挙げられたハウスホールド用、洗濯用およびパーソナルケア用製品での使用に適した香質を有するフレグランス組成物を表3に示す。
【0164】
【表3】


【0165】
実施例5
本発明の基準を満たす成分を43.5重量%含み、本発明に挙げられたハウスホールド用品、洗濯用品およびパーソナルケア用品での使用に適した果実様の香質を有するフレグランス組成物を表4に示す。
【0166】
【表4】


【0167】
実施例6
本発明の基準を満たす成分を60重量%含み、本発明に挙げられたハウスホールド用、洗濯用およびパーソナルケア用製品での使用に適した香質を有するフレグランス組成物を表5に示す。
【0168】
【表5】


【0169】
実施例7
本発明の基準を満たす成分を83重量%含み、本発明に挙げられたハウスホールド用品、洗濯用品およびパーソナルケア用品での使用に適した柑橘系の香質を有するフレグランス組成物を表6に示す。
【0170】
【表6】


【0171】
実施例8
本発明のフレグランスカプセルを含有する標準的な液体洗剤(St Liq1〜4)または濃縮液体洗剤(Conc Liq1〜4)。
【0172】
【表7】




【0173】
NA−LAS:C11〜C15の鎖長を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩
NA−PAS:アルキルスルファートのナトリウム塩で、アルキル鎖がC12〜C20の範囲にある市販の第一級アルコールのスルファートエステル
NA−AES:アルコールが、スルファートエステルを作製する前にエチレンオキシドによりエーテル化されているアルキルエーテルスルファートのナトリウム塩
非イオン性7EO:平均7モルのエチレンオキシドと縮合された直鎖長鎖の第一級アルコール
カチオン性:第四級アンモニウム塩RN+(CH3)(C24OH)(RはC8〜C14の炭素ユニット範囲の長鎖アルキルである)
石けん:長鎖アルキル脂肪酸、例えばタロー脂肪酸、パーム脂肪酸またはココナツ脂肪酸などの混合物に由来する直鎖アルキルカルボン酸ナトリウム
APG:C10〜C18のアルキル鎖ポリグリコシド界面活性剤
【0174】
実施例9
実施例4および実施例5のカプセルを取り込むことによって本発明を例示する標準柔軟剤(St FC1〜2)または濃縮液体柔軟剤(Conc FC1〜2)。
【0175】
【表8】


【0176】
TETRANYL AHT−1;トリエタノールアンモニウムメトスルファートの半硬質タローエステル(花王株式会社によって販売)
DEAQ;軟質ジ(タローオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド
GENAPOL C200;コプラエトキシラート(クラリアントによって販売)
LAUREX CS;長鎖アルコール(Albright&Wilsonによって販売)
【0177】
実施例10
実施例5および実施例6の香料カプセルを含有するヘアーシャンプー処方
【0178】
【表9】


【出願人】 【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
【出願日】 平成19年9月3日(2007.9.3)
【代理人】 【識別番号】100108350
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘尾 宏紀


【公開番号】 特開2008−63575(P2008−63575A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2007−227693(P2007−227693)