トップ :: C 化学 冶金 :: C11 動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく

【発明の名称】 抗酸化性を付与した油性物質、その製造法および油性物質の酸化防止方法
【発明者】 【氏名】中井 威

【氏名】井上 浩一

【氏名】白石 光平

【氏名】木村 一孝

【要約】 【課題】α−リポ酸を油性物質の抗酸化ないしは酸化防止に使用すること。

【構成】食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質であって、α−リポ酸の添加により抗酸化性を付与したことを特徴とする油性物質。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質であって、α−リポ酸の添加により抗酸化性を付与したことを特徴とする油性物質。
【請求項2】
α−リポ酸と、それ以外の1種以上の抗酸化剤を添加した請求項1記載の油性物質。
【請求項3】
抗酸化剤が、茶抽出物、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体およびトコフェロール類から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の油性物質。
【請求項4】
油性物質に対して、0.005〜10重量%のα−リポ酸を添加した請求項1〜3いずれか1項記載の油性物質。
【請求項5】
食用油脂である請求項1ないし4いずれか1項記載の油性物質。
【請求項6】
α−リポ酸を直接または炭素数4〜14の脂肪酸単位を有する油性成分に溶解して添加する請求項1記載の油性物質の製造法。
【請求項7】
α−リポ酸を添加することを特徴とする食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質の酸化防止方法。
【請求項8】
請求項1記載の油性物質を含有する健康食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化性を付与した油性物質、特に、食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質、その製造法および油性物質の酸化防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質、油溶性ビタミン等の油性物質や、それらを含む加工食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料、飼料等の分野においては、これら油性物質の酸化を抑制するために、種々の抗酸化物質の使用や、油性物質の製造法、包装等における酸化防止策が講じられており、また、各種の抗酸化剤ないしは酸化防止剤の使用が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、α−リポ酸は、チオクト酸とも称され、生体内において強い抗酸化作用を有することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。α−リポ酸は、ビタミンと同様に補酵素として作用するので、代謝性剤や強肝薬などの医薬として使用されてきたが、最近、食品への使用が可能となり、健康食品の素材として種々検討がなされている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、α−リポ酸を油性物質の抗酸化性付与や酸化防止のために使用することは、これまで提案されていない。
【特許文献1】特開平7−258682号公報
【特許文献2】特開平11−12592号公報
【特許文献3】特開2003−193691号公報
【特許文献4】特表2002−523435号公報
【非特許文献1】食品と開発 VOL.40 NO.6 34−38頁(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、α−リポ酸を油性物質の抗酸化性付与や酸化防止に使用することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、α−リポ酸を食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質の抗酸化性付与や酸化防止に使用すべく鋭意検討を重ねた結果、α−リポ酸がこれらの油性物質の抗酸化ないしは酸化防止に優れた効果を発揮すること、さらに、他の抗酸化剤と併用すると、その効果が相乗することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質であって、α−リポ酸の添加により抗酸化性を付与したことを特徴とする油性物質、
(2)α−リポ酸と、それ以外の1種以上の抗酸化剤を添加した上記(1)記載の油性物質、
(3)抗酸化剤が、茶抽出物、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体およびトコフェロール類から選ばれる少なくとも1種である上記(2)記載の油性物質、
(4)油性物質に対して、0.005〜10重量%のα−リポ酸を添加した上記(1)〜(3)いずれか1項記載の油性物質、
(5)食用油脂である上記(1)ないし(4)いずれか1項記載の油性物質、
(6)α−リポ酸を直接または炭素数4〜14の脂肪酸単位を有する油性成分に溶解して添加する上記(1)記載の油性物質の製造法。
(7)α−リポ酸を添加することを特徴とする食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質の酸化防止方法、
(8)α−リポ酸の食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質の抗酸化剤としての使用、
(9)上記(1)記載の油性物質を含有する健康食品などを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
α−リポ酸は水に不溶で、従来、その溶解剤として油脂を使用することは行われているが、いずれもα−リポ酸の生理学的活性を活かすためであり、直接、食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質、油溶性ビタミン等の油性物質の抗酸化作用に着目したものではない。また、α−リポ酸の抗酸化作用が油性物質の安定化に利用できるか否かは、これまで不明であった。一方、本発明によれは、α−リポ酸の強い抗酸化活性を利用することにより、既存の抗酸化剤よりも優れた、抗酸化性を付与した長期に安定な油性物質が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、抗酸化性を付与する対象である、α−リポ酸を添加すべき食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミン自体は特に限定するものではなく、公知のものいずれでもよい。
食用油脂としては、例えば、植物油(例えば、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、コメヌ
カ油、玄米胚芽油、大豆油、綿実油、菜種油、パーム油、パーム核油、やし油、月見草油、とうもろこし油、落花生油、ベニバナ油、ひまし油、きり油、シソ油、茶実油等)、動物油(例、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、卵黄油など)魚油(例、イワシ油、さば油、肝油、鯨油など)、またはこれらの加工油(例えば、分別油、水素添加油、エステル交換油等)等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、分子中に1つ以上の不飽和結合を有するものが挙げられ、炭素数は特に限定するのもではなく、例えば、リノレン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略す)、エイコペンタエン酸(以下、EPAと略す)、アラキドン酸およびこれらの誘導体、異性体等が挙げられる。
【0008】
カロテノイドとしては、例えば、α−、β−、γ−等のカロテン、カプサキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、クロシン、アナトーの成分およびこれらの成分を含む藻類、微生物、植物、動物等の抽出物等が挙げられる。
また、本発明の油性物質には、公知の方法により、例えば、賦形剤(例、糖類、糖アルコール、デキストリン類、α化デンプン等)、乳化剤(例、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等)、増粘剤(例、セルロース誘導体、アラビアガム等の天然ガム類等)等を用いて粉末化した食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイドも包含する。
【0009】
リン脂質としては、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルクリセロール、酵素処理レシチン、分画レシチン等が挙げられる。
【0010】
油溶性ビタミンとしては、ビタミンA、例えば、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート等の脂肪酸エステルやビタミンA油等が挙げられる。
【0011】
α−リポ酸も、商業的に入手できるものが使用できる。
本発明においては、α−リポ酸は、その抗酸化有効量を添加すればよく、例えば、上記油性物質に対して、0.005重量%以上、通常、0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%の割合で使用することにより、所望の効果が達成できる。
【0012】
α−リポ酸と併用する抗酸化剤としては、特に限定するものではなく、対象となる油性物質に応じて、適宜、公知の抗酸化剤を選択することができる。
例えば、アオイ花抽出物、アスペルギルステレウス抽出物、エラグ酸、γ−オリザノール、カテキン、カンゾウ油性抽出物、グアヤク脂、クエルセチン、クローブ抽出物、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン(抽出物)、酵素分解リンゴ抽出物、ゴマ油不鹸化物、コメヌカ油抽出物、コメヌカ酵素分解物、食用カンナ抽出物、精油除去ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セサモリン、セサモール、セージ抽出物、セリ抽出物、単糖・アミノ酸複合物、茶抽出物、テンペ抽出物、ドクダミ抽出物、トコトリエール、トコフェロール類、ナタネ油抽出物、生コーヒー豆抽出物、ノルジヒドログアヤレチック酸、ヒマワリ種子抽出物、ピメンタ抽出物、フェルラ酸、ブドウ種子抽出物、ブルーベリー葉抽出物、プロポリス抽出物、ヘゴ・イチョウ抽出物、ヘスペレチン、ペパー抽出物、ホウセンカ抽出物、没食子酸、メラロイカ精油、モリン、ヤマモモ抽出物、ユーカリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、ルチン酵素分解物、ルチン(抽出物)、ローズマリー抽出物、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−アスコルビン酸およびその誘導体(例、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸パルミテート、エリソルビン酸等)等が挙げられ、これらは1種または2種以上を添加することができる。
これら抗酸化剤の量も、所望の効果を奏する量であればよく、通常、α−リポ酸の重量に対して、0.1〜10倍量、好ましくは0.5〜5倍量、さらに好ましくは等量使用する。これにより、α−リポ酸とこれらの抗酸化剤の相乗効果が得られる。
【0013】
α−リポ酸は、直接油性物質に添加しても、油性成分に溶解して添加してもよい。
直接添加して溶解する場合は、例えば、100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下に油性物質を加温して添加、溶解する。
α−リポ酸を溶解する油性成分は、炭素数4〜14の脂肪酸単位を有する油性成分としては、炭素数4〜14の飽和脂肪酸、好ましくは炭素数6〜14の飽和脂肪酸(例、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等)、そのような脂肪酸の塩、そのような脂肪酸のアミド、そのような脂肪酸単位を20%重量以上、好ましくは40〜99.9重量%、さらに好ましくは60〜99.5重量の割合で含む、脂肪酸エステル(含モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
溶解濃度は特に限定するものではないが、通常、α−リポ酸:油性成分の重量比、95:5〜1:99、好ましくは、80:20〜5:95、さらに好ましくは60:40〜15:85とする。
溶解は、例えば、100℃以下、好ましくは90℃以下、さらに好ましくは70℃以下温度で加温して行う。
【0014】
本発明においては、該油性成分として、飽和中鎖脂肪酸トリグリセリドを使用することが好ましい。また、脂溶性でない他の抗酸化剤は、例えば、以下の実施例に示すごとく、適宜、公知の方法に従って脂溶性の形態としたものを使用すればよい。
【0015】
かくして、本発明はまた、上記のごとくしてα−リポ酸を添加することによる食用油脂、不飽和脂肪酸およびカロテノイドから選ばれる油性物質の酸化防止方法およびα−リポ酸の食用油脂、不飽和脂肪酸およびカロテノイドから選ばれる油性物質の抗酸化剤としての使用も包含する。
さらに、本発明には、本発明の油性物質を含む飲食品、特に健康食品等の加工品も包含する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、「%」は特に断らない限り、重量%を意味する。
【0016】
実施例中で使用した材料は、つぎのとおりである。
α―リポ酸:立山化成(株)製
精製魚油:植田製油(株)製、商品名「DHAオイルMH(DHA含量20%)」およびハリマ食品(株)製、商品名「DHA油(DHA含量46%)」
精製大豆油:植田製油(株)製
茶抽出物:太陽化学(株)製、商品名「サンカトールNo.1(ポリフェノール含量10%、抽出トコフェロール含量9%)」
L−アスコルビン酸パルミテート:日本ロッシュ(株)製、商品名「ビタミンCパルミテート(以下、VCPと略す)」
β―カロテン:和光純薬(株)製、商品名「β―カロテン」
中鎖飽和脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTと略す):太陽化学(株)製、商品名「サンファットMCT−7」
天然トコフェロール:(株)Jオイルミルズ製、商品名「ミックストコフェロールAT−160」
ビタミンA:ビタミンAパルミテート(バスフジャパン製、100万IU、局方適合品)
【0017】
試料の調製は、つぎのとおり行った。
(1)α―リポ酸の調製法
α―リポ酸をMCTに50%添加し、加温(50〜60℃)溶解させ、室温に冷却して試験に供した。ただし、精製大豆油への添加実験の場合のみ、α―リポ酸を直接溶解させた。
(2)既存抗酸化剤の添加調製法
VCPは単体では高濃度に油脂に溶解しないため、表1に示す組成の製剤として使用した。
【表1】


*:蒸留モノグリセライド
(3)β―カロテンの添加調製法
β―カロテン15mg%をMCTに100℃にて、10分加熱し、溶解時に抗酸化剤物質を、β―カロテンに対し、所定量加え、試験に供した。
【0018】
評価は、つぎのとおり行った。
抗酸化性
各条件で保存した油脂試料の過酸化物価を、油脂化学便覧〔昭和33年、丸善(株)発行、359−360頁〕に記載の方法に従って測定し、比較した。
β−カロテン
β−カロテンは、第6版食品添加物公定書解説書(広川書店)一般試験法:吸光度測定法に準じて測定し、退色度によって比較した。ただし、試料を一定量シクロヘキサン(試薬特級)に測定可能濃度に希釈し測定波長はE453nmとし、保存直後の吸光値を100として、保存後の吸光値の比率を求めて退色度とした。
ビタミンA
ビタミンAは第6版食品添加物解説書(広川書店)のビタミンA油の測定法に従い測定した。
【実施例1】
【0019】
α―リポ酸単独での抗酸化作用
本実施例では、α―リポ酸の添加量と抗酸化作用の関係を検討した。精製魚油(DHA20%)および精製魚油(DHA46%)にα―リポ酸、茶抽出物、VCPそれぞれ単独の効果を確認するため、表1および表2に示すとおり加え、30℃で3ケ月保存し、各月ごとに過酸化物価を測定し、抗酸化効果評価した。
結果を表2、表3に示す。
【0020】
【表2】



【表3】


【0021】
表2および表3から明らかなように、いずれの抗酸化剤も、どちらの油脂においても経日的に過酸化物価は増加するが、無添加に比し明らかに抗酸化効果が認められた。
α―リポ酸は、どちらの油脂でも、各添加区において、茶抽出物、VCPより明らかに酸化抑制効果が認められた。また、DHA含量が高いほど、保存による酸化が早くなりα―リポ酸でも過酸化物価が高かったが、既存の抗酸化剤に比べて明らかに有効な抗酸化性を示していた。
【実施例2】
【0022】
α−リポ酸と既存抗酸化剤との併用による抗酸化作用
本実施例では、精製魚油(DHA46%)でα―リポ酸と既存抗酸化剤との併用効果について検討した。保存温度、保存期間は実施例と同様とした。
結果を表4に示す。
【表4】



上記した表3と、表4から明らかなように、α―リポ酸単独または既存の抗酸化剤を併用すると、既存の抗酸化剤単独使用に比べ明らかに酸化抑制効果の向上を認めた。
このような結果から、長期保存に耐えられなかったDHA、EPA含有のサプリメント、医薬部外品、化粧料が長期保存に耐えられることが可能と推測された。
【実施例3】
【0023】
精製大豆油での抗酸化作用
本実施例では、精製大豆油を用いて、α―リポ酸等単独またはα―リポ酸と既存添加物の併用効果を検討した。用いた検体は表5のとおりである。
【表5】



検体を精製大豆油に添加し、60℃の恒温器に入れ、1ケ月間保存し、1週間ごとに過酸化物価を測定し抗酸化効果を評価した。
その結果を表6に示す。
【0024】
【表6】



表6から明らかなように、α―リポ酸は精製大豆油においても既存抗酸化剤より明らかに酸化を抑制し、抗酸化効果を認めた。また、既抗酸化剤と併用しても明らかに過酸化物価の抑制、すなわち、抗酸化効果を認めた。
【実施例4】
【0025】
粉末魚油での酸価安定性
植田製油(株)製の「DHAオイルMH」にあらかじめ所定量の抗酸化剤(α―リポ酸、VCP、茶抽出物)を、それぞれ魚油に50〜60℃加温溶解し、ついで乳化剤(太陽化学(株)製、商品名サンソフト621−B、クエン酸モノステアリン酸グリセリン)を溶解(油相液)し、あらかじめ水道水にカゼインナトリウム、デキストリン(松谷化学株製)を加え溶解した溶液(水相液)に、油相液を攪拌(TK−ホモミキサー(日本特殊機化工(株))で高速攪拌)しながら注加して乳化し、乳化後噴霧乾燥して粉末油脂を調製した。各検体の組成を表7に示す。
【表7】



調製した粉末油脂を30℃に保存し、経日的に過酸化物価を測定し抗酸化効果を検討した。
結果を表8に示す。
【表8】



表8から明らかなように、粉末魚油系でもα―リポ酸は他の既存抗酸化剤に比べて粉末魚油の安定性を向上した。
【実施例5】
【0026】
大豆レシチンでの抗酸化作用
実施例3の精製大豆油の代わりに大豆レシチン(辻製油(株)製)を用い、表5に示す検体の抗酸化性を検討した。なお、保存条件も実施例3と同様にした。
結果を表9に示す。
【表9】



表9から明らかなように、大豆レシチンにおいてもα−リポ酸およびα−リポ酸と既存の抗酸化剤との併用が、既存の抗酸化剤単独よりも顕著に抗酸化性が優れていることが分かった。
【実施例6】
【0027】
ビタミンAの抗酸化性
ビタミンAパルミテート(バスフジャパン製、100万IU、局方適合品)をMCT油で1%になるように希釈し、α―リポ酸を所定量(ビタミンAに対する添加量)加え、60℃で経日的にビタミンAを測定し、その残存率を測定し抗酸化性を検討した。残存率は保存開始時のビタミンA量を100とし保存後の残存量から算出した。比較として、抗酸化剤無添加区と茶抽出物(サンカトールNo.1)との比較を行なった。
各検体の組成を表10に、結果を表11に示す。
【表10】



【表11】



表11から明らかなように、ビタミンAパルミテートの抗酸化性はα−リポ酸、α−リポ酸と茶抽出物併用品が優れていた。
【実施例7】
【0028】
β―カロテンの退色防止効果
β―カロテンを、濃度0.015%となるようにMCTに、窒素置換しながら60℃で加熱溶解した。加熱溶解時に表12に示す検体(α―リポ酸および既抗酸化剤)をカロテンに添加し、溶解後、室温蛍光灯下での経日的に退色状況を確認した。退色度は保管サンプルを一定量にシクロヘキサンにて希釈し、453nmで吸光度を測定し、保存直後(開始時)の吸光値を100とし、保存後の吸光値を測定して以下の式に従って退色度を算出した。
[数1]
退色度=保存後の吸光値/保存前の吸光値×100
【表12】



結果を表13に示す。数値が高い程、βーカロテンの残存量が多いことを示す。
【表13】



表13から明らかなように、既抗酸化剤に比べα―リポ酸は明らかにβーカロテンの退色防止効果(すなわち、β―カロテンの安定性)に優れていた。α―リポ酸と既抗酸化剤と併用することにより、さらに退色防止効果に優れていた。
【実施例8】
【0029】
粉末油脂を用いたハードカプセル入り健康食品
EPA、DHAを含有する健康食品は、EPA、DHAの酸化が激しいこと等からゼラチン等のソフトカプセル状の剤形とし、外気の空気を遮断した形状とし酸化防止している。しかし、これも賞味期限が1年も満たない。また、EPA、DHAを主成分としたハードカプセル剤形の製品は酸化が激しいことから製剤化は困難とされていた。
そこで、実施例4で得た各々粉末油脂(検体No.1〜3)に、微粒化二酸化ケイ素(DSLジャパン製、カープレックス)を0.3重量%、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬製、DKエステルF20W)3.0重量%を加え、よく混合した後、茶色ハードカプセル1号(カプスゲルジャパン製)に常法により約300mg充填し、ポリエステル20ミクロン、アルミ箔7ミクロン、ポリエチレン40ミクロンのフイルムに密封し、40℃、相対湿度75%で4ケ月保存し抗酸化効果を検討した。
結果を表14に示す。
【表14】



表14から明かなごとく、カプセル状健康食品でも他の既存抗酸化剤に比べ、α−リポ酸の方が優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上記載したごとく、本発明によれば、α−リポ酸の抗酸化作用を利用して食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質および油溶性ビタミンから選ばれる油性物質の酸化に対する長期安定化が図れ、これらの油性物質を食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料、飼料等の分野において利用し、安定化に寄与することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000189970
【氏名又は名称】植田製油株式会社
【識別番号】505382434
【氏名又は名称】株式会社アンチ・エイジング・ライフ
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行

【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史


【公開番号】 特開2008−13630(P2008−13630A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184702(P2006−184702)