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【発明の名称】 放熱用シリコーングリース組成物
【発明者】 【氏名】松本 展明

【氏名】山田 邦弘

【氏名】三好 敬

【氏名】櫻井 郁男

【氏名】磯部 憲一

【要約】 【課題】

【解決手段】(A)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):
下記一般式(1)
1aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は炭素数1〜18の非置換又は置換の1価の炭化水素基の群の中から選択される1種もしくは2種以上の基、aは1.8≦a≦2.2の正数である。)
で表される25℃における動粘度が50〜500,000mm2/sのオルガノポリシロキサン:0〜30質量%、
成分(B):
下記一般式(2)
【化1】


(式中、R2は独立に非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R3は独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、nは5〜100の整数であり、bは1〜3の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン:0〜30質量%、
(但し、成分(A)と成分(B)の合計質量%は3〜30質量%の範囲内である。)
成分(C):
10W/m℃以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材:60〜96.9質量%、
成分(D):
前記成分(A)及び成分(B)を分散又は溶解できる沸点260〜360℃の微揮発性イソパラフィン化合物:0.1〜10質量%
(但し、成分(A)〜(D)の合計量を100質量%とする。)
を必須成分とすることを特徴とする放熱用シリコーングリース組成物。
【請求項2】
下記一般式(3)で示されるオルガノシラン又はその部分加水分解縮合物を、成分(A)〜(D)の合計量100質量部に対し0.1〜10質量部含む請求項1記載の放熱用シリコーングリース組成物。
4c5dSi(OR64-c-d (3)
(式中、R4は炭素数6〜20の非置換又は置換のアルキル基、R5は炭素数1〜20の非置換又は置換の1価炭化水素基、R6は炭素数1〜6のアルキル基であり、cは1〜3の整数、dは0〜2の整数、c+dは1〜3の整数である。)
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布性に優れかつ過酷な環境下においても保存安定性が優れた放熱用シリコーングリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品の多くは使用中に熱が発生するので、その電気部品を適切に機能させるためには熱を取り除くことが必要である。この除熱のため多くの熱伝導性材料が提案されている(特許文献1〜6:特開2000−63872号公報、特開2000−63873号公報、特開2000−109373号公報、特開2000−114438号公報、特開2000−129160号公報、特開2003−301189号公報参照)。
【0003】
熱伝導性材料の形態には、大きく分けて取り扱いが容易であるシート状のものと、ペースト状の一般的に放熱グリースと呼ばれるものの2種類がある。放熱グリースは取り扱いにくさを解消するためにシリンジに充填し、ディスペンスマシーンで塗布するなどの工夫も行っているが、ヒートシンクなどの比較的面積の大きい部位に塗るにはディスペンスマシーンよりもメタルスクリーンあるいはステンシルと呼ばれる印刷法の方が効率よく正確に塗布することができる。しかしながら、この印刷法は所望の形が切り抜かれたステンレス等の金属板の上でスキージ等を使い放熱グリースを引き延ばしてヒートシンク等に塗布する方法であるため、放熱用グリースの粘度が高くなると塗布し辛くなるという欠点があった。
【0004】
放熱グリースの熱伝導性能を追及していくと、放熱グリース中の熱伝導性充填材の量を増やすこととなり、最終的には当然粘度も高いものになってしまう。そこで、この問題を解決すべく高熱伝導性能を有するシリコーングリースを揮発性溶剤で希釈するという手法が既に開発されている(特許文献7:特開2005−154532号公報)。しかし、当然のことながら使用する前にこの溶剤が揮発してしまうと急激に粘度が上昇してしまい、スクリーン印刷が行ない難くなってしまうという状況に陥ることが容易に想定できる。つまり、使用期限を超えるほどの長期保管をしたり、一度に使い切れないために何度も保存缶を開閉することがあったり、最悪な場合においては、長期に渡って使い切るまで開けっ放しにしたりすることで、本来の塗布性能を発揮できなくなることは大いにあり得る。また実際、実験室レベルでの追試試験においても、特許文献7にある放熱シリコーングリース組成物は、保存缶の蓋を室温中にて15日間開けたままにしておくだけで、組成物の粘度が上昇してしまい、塗布性・作業性が悪化してしまうことが分かった。
【0005】
そこで、室温中で保存缶の蓋を解放したままにしておいても粘度上昇しないような放熱用シリコーングリース組成物の開発を行う必要性が作業性上の観点から必要であった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−63872号公報
【特許文献2】特開2000−63873号公報
【特許文献3】特開2000−109373号公報
【特許文献4】特開2000−114438号公報
【特許文献5】特開2000−129160号公報
【特許文献6】特開2003−301189号公報
【特許文献7】特開2005−154532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、室温中保存缶の蓋を開放したままにしておいてもメタルスクリーン等の印刷法において安定に塗布できる性能を損なうことのない高熱伝導性放熱用シリコーングリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記成分(A)、(B)のオルガノポリシロキサンに熱伝導性充填材を多量に配合してなる放熱用シリコーングリース組成物の希釈剤として、沸点260〜360℃の微揮発性イソパラフィン化合物を少量添加した場合、粘度変化が少なく、室温での保存安定性が良好である上、使用性にも優れていることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、
成分(A):
下記一般式(1)
1aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は炭素数1〜18の非置換又は置換の1価の炭化水素基の群の中から選択される1種もしくは2種以上の基、aは1.8≦a≦2.2の正数である。)
で表される25℃における動粘度が50〜500,000mm2/sのオルガノポリシロキサン:0〜30質量%、
成分(B):
下記一般式(2)
【化1】


(式中、R2は独立に非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R3は独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、nは5〜100の整数であり、bは1〜3の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン:0〜30質量%、
(但し、成分(A)と成分(B)の合計質量%は3〜30質量%の範囲内である。)
成分(C):
10W/m℃以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材:60〜96.9質量%、
成分(D):
前記成分(A)及び成分(B)を分散又は溶解できる沸点260〜360℃の微揮発性イソパラフィン化合物:0.1〜10質量%
(但し、成分(A)〜(D)の合計量を100質量%とする。)
を必須成分とすることを特徴とする放熱用シリコーングリース組成物を提供する。
【0010】
この場合、下記一般式(3)で示されるオルガノシラン又はその部分加水分解縮合物を、成分(A)〜(D)の合計量100質量部に対し0.1〜10質量部配合することが好ましい。
4c5dSi(OR64-c-d (3)
(式中、R4は炭素数6〜20の非置換又は置換のアルキル基、R5は炭素数1〜20の非置換又は置換の1価炭化水素基、R6は炭素数1〜6のアルキル基であり、cは1〜3の整数、dは0〜2の整数、c+dは1〜3の整数である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の放熱用シリコーングリース組成物は、熱伝導性充填材が高充填された組成物であっても、メタルスクリーン等の印刷法でヒートシンクなどに容易にかつ均一に薄く塗布することができる。また、高沸点溶剤を希釈剤として用いているので、室温中での保存安定性が大幅に増している。つまり、本発明の高沸点溶剤希釈型放熱用シリコーングリース組成物は、使用中に保存缶の蓋を開放したままでも粘度が上昇しないので使用現場において非常に扱い易く、かつ薄く塗布した後に揮発工程を入れれば放熱特性も発揮できるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る放熱用シリコーングリース組成物の成分(A)におけるオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で示される。
1aSiO(4-a)/2 (1)
【0013】
ここで、R1は炭素数1〜18の非置換又は置換の1価の炭化水素基の群から選択される1種もしくは2種以上の基である。このような基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられるが、特にメチル基、フェニル基、及び炭素数6〜14のアルキル基が好ましい。aはシリコーングリース組成物として要求される粘度の観点から1.8〜2.2の範囲の正数がよく、特に1.9〜2.2の範囲の正数が好ましい。
【0014】
また、本発明で使用するオルガノポリシロキサンの動粘度は、50mm2/sより低いとグリース組成物にした時にオイルブリードが出易くなるし、500,000mm2/sより大きくなるとグリース組成物にした時の伸展性が乏しくなることから25℃における動粘度が50〜500,000mm2/sであることが必要であり、特に100〜10,000mm2/sであることが好ましい。
本発明において、動粘度はオストワルド粘度計により測定した25℃における値である(以下、同様)。
【0015】
この成分(A)は30質量%より大きいと、熱伝導性が低下するため、0〜30質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0〜15質量%の範囲がよい。
【0016】
成分(A)の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。なお、Meはメチル基を示す(以下、同様)。
【化2】


【0017】
成分(B)は、下記一般式(2)で表される。
【化3】


(式中、R2は独立に非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R3は独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、nは5〜100の整数であり、bは1〜3の整数である。)
【0018】
成分(B)は、高熱伝導性のシリコーン組成物を得るために成分(C)の熱伝導性充填材を本発明組成物に高充填しても、該組成物の流動性を保ち、該組成物に良好な取り扱い性を付与するものである。また、成分(A)との併用もできる。なお、この成分(B)は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0019】
なお、上記R2は独立に非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、好ましくは炭素数が1〜18のもので、その例としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。分岐鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等が挙げられる。R2は好ましくはメチル基、フェニル基である。
【0020】
上記R3は独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基で、好ましくは炭素数1〜5である。アルキル基としては、例えば、R2について例示したのと同様の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシプロピル基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、オクタノイル基が挙げられる。R3はアルキル基であることが好ましく、特にはメチル基、エチル基であることが好ましい。
nは5〜100の整数である。bは1〜3の整数であり、好ましくは3である。
【0021】
成分(B)の25℃における動粘度は、通常、10〜10,000mm2/sであり、特に10〜5,000mm2/sであることが好ましい。該動粘度が10mm2/sより低いと、得られるシリコーングリース組成物からオイルブリードが発生し易くなる。該動粘度が10,000mm2/sより大きいと、得られるシリコーングリース組成物の流動性が乏しくなり易い。
【0022】
また、この成分(B)は30質量%より大きいと、熱伝導性が低下するため、0〜30質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0〜15質量%の範囲がよい。
【0023】
但し、必ず成分(A)と成分(B)の合計が3〜30質量%である必要がある。これは3質量%より少ないとグリース状にならず、伸展性に乏しいものとなり、30質量%より多いと熱伝導性が乏しいものとなるためである。
【0024】
成分(B)の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【化4】


【0025】
成分(C)の熱伝導率を有する熱伝導性充填材としては、その充填材のもつ熱伝導率が10W/m℃より小さいと、放熱用シリコーングリース組成物の熱伝導率そのものが小さくなるため、充填材の熱伝導率は10W/m℃以上が好ましい。熱伝導性充填材としては、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、ニッケル粉末、金粉末、アルミナ粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシム粉末、窒化アルミニム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化珪素粉末、ダイヤモンド粉末、カーボン粉末など挙げられるが、10W/m℃以上あれば如何なる充填材でもよく、1種あるいは2種以上混ぜ合わせてもよい。
【0026】
熱伝導性充填材の充填量は、60質量%より少ないと所望する熱伝導率が得られないし、96.9質量%より大きいとグリース状にならず、伸展性の乏しいものとなるため、60〜96.9質量%の範囲、好ましくは80〜95質量%の範囲がよい。
【0027】
熱伝導性充填材の平均粒径は、0.1μmより小さいとグリース状にならず伸展性に乏しいものとなるし、100μmより大きいと放熱グリースの均一性が乏しくなるため、0.1〜100μmの範囲がよい。充填材の形状は、不定形でも球形でも如何なる形状でも構わない。なお、この平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積平均値D50(即ち、累積体積が50%になるときの粒子径又はメジアン径)として測定することができる。
【0028】
成分(D)の希釈剤としては、安全面、健康面及び印刷での作業性の点から沸点260〜360℃の微揮発性イソパラフィン化合物がよい。沸点が260℃未満では室温使用時でも使用環境によっては揮発してしまう時がある。実際、放熱用シリコーングリースの入った保存缶の蓋を室温中にて開けたままにしておくと、15日間程度経過しただけで、粘度が上昇してしまい塗布性・作業性が悪化してしまうことも分かっている。しかしながら、360℃を超えるような沸点の高すぎる希釈剤を使用すると放熱用シリコーングリース中に残存し過ぎてしまうので、放熱特性が低下しまうことになる。つまり、沸点260℃以上360℃以下の微揮発性イソパラフィン化合物を添加した放熱用シリコーングリース組成物では、保存缶の蓋を室温中で開けっ放しにしておいても微揮発性なので粘度が非常に安定している。また、微揮発性イソパラフィン化合物を用いているので、スクリーンプリントを施し、薄く塗布した後に、70〜80℃の揮発工程を入れれば、放熱特性が戻るという性質を有している。
【0029】
この添加量が0.1質量%より少ないと十分に放熱用シリコーングリース組成物の粘度を下げることができないし、10質量%より多いと充填材の沈降が速くなり、放熱用シリコーングリース組成物の保存性が悪くなるため、0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲がよい。放熱用シリコーングリース組成物の熱伝導率は、基本的に熱伝導性充填材の充填率に相関するため、熱伝導性充填材を多く充填すればするほどよい。しかし、当然ながら熱伝導性充填材の充填量を上げると放熱用シリコーングリースそのものの粘度が上がってしまうため、取り扱い性等を考慮すると、その充填量には限度がある。少量の成分(D)を添加することで放熱用シリコーングリース組成物の粘度を急激に下げることができるため、従来よりも熱伝導性充填材の充填量を上げたものでも十分取り扱いできるようになる。また、既存の溶剤よりも高沸点のものを使用しているため、室温中長期間に渡って開放したままでも安定した粘度を示す。
【0030】
本発明の放熱用シリコーングリース組成物をヒートシンク等にメタルスクリーンなどの印刷法で薄く塗布した後は、含有している希釈剤を積極的に加熱して揮発させることで、従来では難しかった熱伝導性充填材が高充填された高熱伝導性の放熱用シリコーングリース組成物を使用環境によらず容易にかつ均一に薄く設置することができる。
【0031】
また、本放熱用シリコーングリース組成物に下記一般式(3)のオルガノシラン又はその部分加水分解縮合物を添加してもよい。このオルガノシランは熱伝導性充填材の表面に化学的、物理的に吸着することで、熱伝導性充填材の耐湿性を向上させる効果があるため、高湿度環境下における本放熱用グリース組成物の熱特性維持に有効である。
【0032】
下記一般式(3)
4c5dSi(OR64-c-d (3)
において、R4は炭素数6〜20の非置換又は置換の1価アルキル基である。このような基としては、例えばヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、特に炭素数6〜14のアルキル基が好ましい。cは1〜3の整数、dは0〜2の整数で、c+dは1、2あるいは3であり、特に1が好ましい。
【0033】
5は炭素数1〜20の非置換又は置換の1価の炭化水素基の群から選択される1種もしくは2種以上の基であるが、R4以外のものであることが好ましい。このような基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられるが、特にメチル基が好ましい。
5はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などの炭素数1〜5の1種もしくは2種以上のアルキル基であり、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0034】
このオルガノシランの添加量は、成分(A)〜(D)からなる放熱用シリコーングリース組成物100質量部に対し、0.1質量部より少ないと、熱伝導性充填材が耐水性の乏しいものとなるし、10質量部より多くしても効果が増大することがなく、不経済であるので0.1〜10質量部の範囲がよい。
【0035】
本発明のグリース組成物を製造するには成分(A)〜(D)及び任意成分のオルガノシランをトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する。
【0036】
本発明の放熱用シリコーングリース組成物は、例えばヒートシンク等に100〜120μmの厚さで塗布し、80〜90℃,30〜45分加熱して使用に供することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0038】
本発明に係わる効果に関する試験は次のように行った。
〔塗布性評価〕
3cm角に切り抜かれた厚さ120μmのメタルスクリーン用のSUS板を用意し、スキージを用いて製造したグリース組成物をヒートシンクに塗布した。初期と室温開放15日間経過した放熱用シリコーングリース組成物について塗布性を調べた。
(評価結果)
○;一面均一に塗布できた。
△;ややグリース表面にムラが生じた。
×;スキージにグリースが巻き付いて全く塗布できない。
【0039】
〔希釈剤揮発条件決定方法〕
表1にある実施例1の放熱用シリコーングリース組成物を、メタルスクリーンを用いてアルミプレート上に縦25mm×横25mm×厚み120μmの体積で塗布した。次に各温度条件下に放置し、揮発分変化を時間の経過と共に追った(図1)。この結果から揮発工程を80℃,45分とした。
【0040】
〔熱伝導率評価〕
試験片の厚みをマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製)で測定し、予め測定してあったアルミニウム板2枚分の厚みを差し引いて、該組成物の厚みを算出した。このような方法で試験片の厚みが異なるサンプルをそれぞれ数点作製した。揮発工程が必要な場合は少量の組成物をアルミニウム板に載せ、80℃,45分の揮発工程を経た後に、試験片の厚みが異なるサンプルを作製した。その後、上記試験片を用いて該組成物の熱抵抗(単位:mm2・K/W)をレーザーフラッシュ法に基づく熱抵抗測定器(ネッチ社製、キセノンフラッシュアナライザー;LFA447 NanoFlash)により25℃において測定した。それぞれ厚みの異なる熱抵抗値を組成物ごとにプロットし、そこから得られた直線の傾きの逆数から熱伝導率を算出した。
【0041】
〔粘度評価〕
組成物の絶対粘度は25℃における値を示し、その測定はマルコム粘度計(タイプPC−1T)を用いた。またその際、それぞれの組成物を500グラムずつ採取し、これをビーカーに入れ、開放したままの状態で25℃中に放置した。時間の経過と共に粘度を追跡した結果を表1及び表2に示す。
【0042】
[実施例1〜7、比較例1〜6]
表1,2に示す成分を所用配合量で5リットルプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製混合機の登録商標)に投入し、室温にて1時間撹拌し、放熱用シリコーングリース組成物を製造した。得られたシリコーングリース組成物の特性を表1,2に示す。また、開放系(25℃)にてグリースを放置し、粘度を追った結果と開放して15日経ったものの塗布性評価結果も併せて示す。
【0043】
【表1】


【0044】
【表2】


【0045】
【化5】


【0046】
【化6】


【0047】
成分(C)
C−1:アルミニウム粉末(不定形、平均粒径:7μm)
C−2:酸化亜鉛粉末(不定形、平均粒径:0.3μm)
C−3:アルミナ粉末(球形、平均粒径:0.6μm)
【0048】
成分(D)
D−1:IPソルベント2835(イソパラフィン系溶剤、出光興産株式会社商品名)
沸点;270−350℃
D−2:アイソゾール400(イソパラフィン系溶剤、日本石油化学株式会社商品名)
沸点;210−254℃
【0049】
オルガノシラン−1: C1021Si(OCH33
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1の放熱用シリコーングリース組成物の各温度条件下における揮発分変化を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
【出願日】 平成19年4月26日(2007.4.26)
【代理人】 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司

【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織

【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成

【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史


【公開番号】 特開2008−274036(P2008−274036A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−116598(P2007−116598)