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冷凍機用潤滑油組成物 - 特開2008−266423 | j-tokkyo
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【発明の名称】 冷凍機用潤滑油組成物
【発明者】 【氏名】永尾 智

【要約】 【課題】現行カーエアコンシステムなどに使用可能な冷媒である不飽和フッ化炭化水素化合物等特定の構造を有する冷媒を用いた冷凍機用として使用される、前記冷媒に対する優れた相溶性を有すると共に、シール性が良好で、かつ摺動部分の摩擦係数が低く、しかも安定性に優れる冷凍機用潤滑油組成物を提供する。

【解決手段】(A)ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールの中から選ばれる多価アルコールと、炭素数4〜20の脂肪族モノカルボン酸からなるポリオールエステル系化合物を主成分とする基油と、(B)リン酸トリエステル及び/又は亜リン酸トリエステルからなるリン系添加剤及び(C)グリシジルエステル、グリシジルエーテル及びα−オレフィンオキシドの中から選ばれる少なくとも1種の酸捕捉剤を含む冷凍機用潤滑油組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の分子式(A)
pqrs ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1〜6、qは0〜2、rは1〜14、sは0〜13の整数である。但し、qが0の場合は、pは2〜6であり、分子中に炭素−炭素不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組合せを含む冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油組成物であって,
(A)ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールの中から選ばれる多価アルコールと、炭素数4〜20の脂肪族モノカルボン酸からなるポリオールエステル系化合物を主成分とする基油と、(B)リン酸トリエステル及び/又は亜リン酸トリエステルからなるリン系添加剤及び(C)グリシジルエステル、グリシジルエーテル及びα−オレフィンオキシドの中から選ばれる少なくとも1種の酸捕捉剤、
を含むことを特徴とする冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項2】
冷媒が、炭素数2〜3の不飽和フッ化炭化水素冷媒、又は炭素数1〜2の飽和フッ化炭化水素冷媒と炭素数3の不飽和フッ化炭化水素冷媒との組合わせからなる請求項1に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項3】
(A)基油の100℃における動粘度が2〜50mm2/sである請求項1又は2に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項4】
(A)基油の分子量が300以上である請求項1〜3のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項5】
(A)基油の引火点が200℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項6】
他の極圧剤、油性剤、酸化防止剤、他の酸捕捉剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項7】
冷凍機の摺動部分がエンジニアリングプラスチックからなるもの、又は有機コーティング膜もしくは無機コーティング膜を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項8】
有機コーティング膜が、ポリテトラフルオロエチレンコーティング膜、ポリイミドコーティング膜、ポリアミドイミドコーティング膜、又はポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材及び架橋剤を含む樹脂塗料を用いて形成された熱硬化型絶縁膜である請求項7に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項9】
無機コーティング膜が、黒鉛膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、スズ膜、クロム膜、ニッケル膜又はモリブデン膜である請求項7に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項10】
カーエアコン、電動カーエアコン、ガスヒートポンプ、空調、冷蔵庫、自動販売機又はショーケースの各種給湯システム、あるいは冷凍・暖房システムに用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【請求項11】
システム内の水分含有量が300質量ppm以下で、残存空気量が10kPa以下である請求項10に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍機用潤滑油組成物、さらに詳しくは、地球温暖化係数が低く、特に現行カーエアコンシステムなどに使用可能な冷媒である不飽和フッ化炭化水素化合物等特定の冷媒を用いた冷凍機用として使用される、特定のポリオールエステル系化合物を主成分とする基油を用いた冷凍機用潤滑油組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮型冷凍機は少なくとも圧縮機、凝縮器、膨張機構(膨張弁など)、蒸発器、あるいは更に乾燥器から構成され、冷媒と潤滑油(冷凍機油)の混合液体がこの密閉された系内を循環する構造となっている。このような圧縮型冷凍機においては、装置の種類にもよるが、一般に、圧縮機内では高温、冷却器内では低温となるので、冷媒と潤滑油は低温から高温まで幅広い温度範囲内で相分離することなく、この系内を循環することが必要である。一般に、冷媒と潤滑油とは低温側と高温側に相分離する領域を有し、そして、低温側の分離領域の最高温度としては−10℃以下が好ましく、特に−20℃以下が好ましい。一方、高温側の分離領域の最低温度としては30℃以上が好ましく、特に40℃以上が好ましい。もし、冷凍機の運転中に相分離が生じると、装置の寿命や効率に著しい悪影響を及ぼす。例えば、圧縮機部分で冷媒と潤滑油の相分離が生じると、可動部が
潤滑不良となって、焼付きなどを起こして装置の寿命を著しく短くし、一方蒸発器内で相分離が生じると、粘度の高い潤滑油が存在するため熱交換の効率低下をもたらす。
【0003】
従来、冷凍機用冷媒としてクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などが主に使用されてきたが、環境問題の原因となる塩素を含む化合物であったことから、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などの塩素を含有しない代替冷媒が検討されるに至った。このようなハイドロフルオロカーボンとしては、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン(以下、それぞれR134a、R32、R125、R143aと称せられる。)に代表されるハイドロフルオロカーボンが注目されるようになり、例えばカーエアコンシステムにはR134aが使用されてきた。
しかしながら、このHFCも地球温暖化の面で影響が懸念されることから、更に環境保護に適した代替冷媒として二酸化炭素などのいわゆる自然冷媒が注目されているが、この二酸化炭素は高圧を必要とするため、現行のカーエアコンシステムには使用することができない。
地球温暖化係数が低く、現行カーエアコンシステムに使用できる冷媒として、例えば不飽和フッ化炭化水素化合物(例えば、特許文献1参照)、フッ化エーテル化合物(例えば、特許文献2参照)、フッ化アルコール化合物、フッ化ケトン化合物など分子中に特定の極性構造を有する冷媒が見出されている。
このような冷媒を用いる冷凍機用潤滑油に対しては、前記冷媒に対する優れた相溶性を有すると共に、シール性が良好で、かつ摺動部分の摩擦係数が低く、しかも安定性に優れることが要求される。
【0004】
【特許文献1】特表2006−503961号公報
【特許文献2】特表平7−507342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況下で、地球温暖化係数が低く、特に現行カーエアコンシステムなどに使用可能な冷媒である不飽和フッ化炭化水素化合物等特定の構造を有する冷媒を用いた冷凍機用として使用される、前記冷媒に対する優れた相溶性を有すると共に、シール性が良好で、かつ摺動部分の摩擦係数が低く、しかも安定性に優れる冷凍機用潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基油として特定のポリオールエステル系化合物を用いると共に、特定のリン系添加剤及び特定の酸捕捉剤を用い、好ましくは冷凍機の摺動部分に特定の材料を用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
【0007】
(1)下記の分子式(A)
pqrs ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1〜6、qは0〜2、rは1〜14、sは0〜13の整数である。但し、qが0の場合は、pは2〜6であり、分子中に炭素−炭素不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組合せを含む冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油組成物であって、
(A)ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールの中から選ばれる多価アルコールと、炭素数4〜20の脂肪族モノカルボン酸からなるポリオールエステル系化合物を主成分とする基油と、(B)リン酸トリエステル及び/又は亜リン酸トリエステルからなるリン系添加剤及び(C)グリシジルエステル、グリシジルエーテル及びα−オレフィンオキシドの中から選ばれる少なくとも1種の酸捕捉剤、
を含むことを特徴とする冷凍機用潤滑油組成物、
(2)冷媒が、炭素数2〜3の不飽和フッ化炭化水素冷媒、又は炭素数1〜2の飽和フッ化炭化水素冷媒と炭素数3の不飽和フッ化炭化水素冷媒との組合わせからなる上記(1)項に記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(3)基油の100℃における動粘度が2〜50mm2/sである上記(1)又は(2)項に記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(4)基油の分子量が300以上である上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(5)基油の引火点が200℃以上である上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、
【0008】
(6)他の極圧剤、油性剤、酸化防止剤、他の酸捕捉剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(7)冷凍機の摺動部分がエンジニアリングプラスチックからなるもの、又は有機コーティング膜もしくは無機コーティング膜を有するものである上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(8)有機コーティング膜が、ポリテトラフルオロエチレンコーティング膜、ポリイミドコーティング膜、ポリアミドイミドコーティング膜、又はポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材及び架橋剤を含む樹脂塗料を用いて形成された熱硬化型絶縁膜である上記(7)項に記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(9)無機コーティング膜が、黒鉛膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、スズ膜、クロム膜、ニッケル膜又はモリブデン膜である上記(7)項に記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(10)カーエアコン、電動カーエアコン、ガスヒートポンプ、空調、冷蔵庫、自動販売機又はショーケースの各種給湯システム、あるいは冷凍・暖房システムに用いられる上記(1)〜(9)項のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、及び
(11)システム内の水分含有量が300質量ppm以下で、残存空気量が10kPa以下である上記(10)項に記載の冷凍機用潤滑油組成物、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地球温暖化係数が低く、特に現行カーエアコンシステムなどに使用可能な冷媒である不飽和フッ化炭化水素化合物等特定の構造を有する冷媒を用いる冷凍機用として使用される、前記冷媒に対する優れた相溶性を有すると共に、シール性が良好で、かつ摺動部分の摩擦係数が低く、しかも安定性に優れる冷凍機用潤滑油組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の冷凍機用潤滑油組成物は、下記の分子式(A)
pqrs ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1〜6、qは0〜2、rは1〜14、sは0〜13の整数である。但し、qが0の場合は、pは2〜6であり、分子中に炭素−炭素不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組合せを含む冷媒を用いる冷凍機用潤滑油組成物である。
【0011】
<冷媒>
前記分子式(A)は、分子中の元素の種類と数を表すものであり、式(A)は、炭素原子Cの数pが1〜6の含フッ素有機化合物を表している。炭素数が1〜6の含フッ素有機化合物であれば、冷媒として要求される沸点、凝固点、蒸発潜熱などの物理的、化学的性質を有することができる。
該分子式(A)において、Cpで表されるp個の炭素原子の結合形態は、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合等の不飽和結合、炭素―酸素二重結合などが含まれる。炭素−炭素の不飽和結合は、安定性の点から、炭素−炭素二重結合であることが好ましく、その数は1以上であるが、1であるものが好ましい。
また、分子式(A)において、Oqで表されるq個の酸素原子の結合形態は、エーテル基、水酸基又はカルボニル基に由来する酸素であることが好ましい。この酸素原子の数qは、2であってもよく、2個のエーテル基や水酸基等を有する場合も含まれる。
また、Oqにおけるqが0であり分子中に酸素原子を含まない場合は、pは2〜6であって、分子中に炭素−炭素二重結合等の不飽和結合を1以上有する。すなわち、Cpで表されるp個の炭素原子の結合形態の少なくとも1つは、炭素−炭素不飽和結合であることが必要である。
また、分子式(A)において、Rは、Cl、Br、I又はHを表し、これらのいずれであってもよいが、オゾン層を破壊する恐れが小さいことから、Rは、Hであることが好ましい。
上記のとおり、分子式(A)で表される含フッ素有機化合物としては、不飽和フッ化炭化水素フッ化エーテル化合物、フッ化アルコール化合物及びフッ化ケトン化合物などが好適なものとして挙げられる。
以下、これらの化合物について説明する。
【0012】
[不飽和フッ化炭化水素化合物]
本発明において、冷凍機の冷媒として用いられる不飽和フッ化炭化水素化合物としては、例えば、分子式(A)において、RがHであり、pが2〜6、qが0、rが1〜12、sは0〜11である不飽和フッ化炭化水素化合物が挙げられる。
このような不飽和フッ化炭化水素化合物として好ましくは、例えば、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状の鎖状オレフィンや炭素数4〜6の環状オレフィンのフッ素化物を挙げることができる。
具体的には、1〜3個のフッ素原子が導入されたエチレン、1〜5個のフッ素原子が導入されたプロペン、1〜7個のフッ素原子が導入されたブテン類、1〜9個のフッ素原子が導入されたペンテン類、1〜11個のフッ素原子が導入されたヘキセン類、1〜5個のフッ素原子が導入されたシクロブテン、1〜7個のフッ素原子が導入されたシクロペンテン、1〜9個のフッ素原子が導入されたシクロヘキセンなどが挙げられる。
これらの不飽和フッ化炭化水素化合物の中では、炭素数2〜3の不飽和フッ化炭化水素化合物が好ましく、プロペンのフッ化物がより好ましい。このプロペンのフッ化物としては、例えばペンタフルオロプロペンの各種異性体、3,3,3−トリフルオロプロペン及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどを挙げることができるが、特に、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFC1225ye)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC1234yf)が好適である。
本発明においては、この不飽和フッ化炭化水素化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上組合わせて用いてもよい。
また、炭素数1〜2の飽和フッ化炭化水素冷媒と炭素数3の不飽和フッ化炭化水素冷媒との組合わせも好適に用いられる、このような組合わせとしては、例えば前記のHFC1225yeとCH22(HFC32)との組合わせ、HFC1225yeとCHF2CH3(HFC152a)との組合わせ、及び前記のHFC1234yfとCF3Iとの組合わせなどを挙げることができる。
【0013】
[フッ化エーテル化合物]
本発明において、冷凍機の冷媒として用いられるフッ化エーテル化合物としては、例えば、分子式(A)において、RがHであり、pが2〜6、qが1〜2、rが1〜14、sは0〜13であるフッ化エーテル化合物が挙げられる。
このようなフッ化エーテル化合物として好ましくは、例えば、炭素数が2〜6で、1〜2個のエーテル結合を有し、アルキル基が直鎖状又は分岐状の鎖状脂肪族エーテルのフッ素化物や、炭素数が3〜6で、1〜2個のエーテル結合を有する環状脂肪族エーテルのフッ素化物を挙げることができる。
具体的には、1〜6個のフッ素原子が導入されたジメチルエーテル、1〜8個のフッ素原子が導入されたメチルエチルエーテル、1〜8個のフッ素原子が導入されたジメトキシメタン、1〜10個のフッ素原子が導入されたメチルプロピルエーテル類、1〜12個のフッ素原子が導入されたメチルブチルエーテル類、1〜12個のフッ素原子が導入されたエチルプロピルエーテル類、1〜6個のフッ素原子が導入されたオキセタン、1〜6個のフッ素原子が導入された1,3−ジオキソラン、1〜8個のフッ素原子が導入されたテトラヒドロフランなどを挙げることができる
【0014】
これらのフッ化エーテル化合物としては、例えばヘキサフルオロジメチルエーテル、ペンタフルオロジメチルエーテル、ビス(ジフルオロメチル)エーテル、フルオロメチルトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロメチルメチルエーテル、ペルフルオロジメトキシメタン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロメトキシペンタフルオロエタン、1−トリフルオロメトキシ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン、1−トリフルオロメトキシ−2,2,2−トリフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−2,2,2−トリフルオロエタン、ペルフルオロオキセタン、ペルフルオロ−1,3−ジオキソラン、ペンタフルオロオキセタンの各種異性体、テトラフルオロオキセタンの各種異性体などが挙げられる。
本発明においては、このフッ化エーテル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
[フッ化アルコール化合物]
本発明において、冷凍機の冷媒として用いられる一般式(A)で表されるフッ化アルコール化合物としては、例えば、分子式(A)において、RがHであり、pが1〜6、qが1〜2、rが1〜13、sは1〜13であるフッ化エーテル化合物が挙げられる。
このようなフッ化アルコール化合物として好ましくは、例えば、炭素数が1〜6で、1〜2個の水酸基を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族アルコールのフッ素化物を挙げることができる。
具体的には、1〜3個のフッ素原子が導入されたメチルアルコール、1〜5個のフッ素原子が導入されたエチルアルコール、1〜7個のフッ素原子が導入されたプロピルアルコール類、1〜9個のフッ素原子が導入されたブチルアルコール類、1〜11個のフッ素原子が導入されたペンチルアルコール類、1〜4個のフッ素原子が導入されたエチレングリコール、1〜6個のフッ素原子が導入されたプロピレングリコールなどを挙げることができる。
【0016】
これらのフッ化アルコール化合物としては、例えばモノフルオロメチルアルコール、ジフルオロメチルアルコール、トリフルオロメチルアルコール、ジフルオロエチルアルコールの各種異性体、トリフルオロエチルアルコールの各種異性体、テトラフルオロエチルアルコールの各種異性体、ペンタフルオロエチルアルコール、ジフルオロプロピルアルコールの各種異性体、トリフルオロプロピルアルコールの各種異性体、テトラフルオロプロピルアルコールの各種異性体、ペンタフルオロプロピルアルコールの各種異性体、ヘキサフルオロプロピルアルコールの各種異性体、ヘプタフルオロプロピルアルコール、ジフルオロブチルアルコールの各種異性体、トリフルオロブチルアルコールの各種異性体、テトラフルオロブチルアルコールの各種異性体、ペンタフルオロブチルアルコールの各種異性体、ヘキサフルオロブチルアルコールの各種異性体、ヘプタフルオロブチルアルコールの各種異性体、オクタフルオロブチルアルコールの各種異性体、ノナフルオロブチルアルコール、ジフルオロエチレングリコールの各種異性体、トリフルオロエチレングリコール、テトラフルオロエチレングリコール、さらにはジフルオロプロピレングリコールの各種異性体、トリフルオロプロピレングリコールの各種異性体、テトラフルオロプロピレングリコールの各種異性体、ペンタフルオロプロピレングリコールの各種異性体、ヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ化プロピレングリコール、及びこのフッ化プロピレングリコールに対応するフッ化トリメチレングリコールなどが挙げられる。
本発明においては、これらのフッ化アルコール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0017】
[フッ化ケトン化合物]
本発明において、冷凍機の冷媒として用いられるフッ化ケトン化合物としては、例えば、分子式(A)において、RがHであり、pが2〜6、qが1〜2、rが1〜12、sは0〜11であるフッ化ケトン化合物が挙げられる。
このようなフッ化ケトン化合物として好ましくは、例えば、炭素数が3〜6で、アルキル基が直鎖状又は分岐状の脂肪族ケトンのフッ素化物を挙げることができる。
具体的には、1〜6個のフッ素原子が導入されたアセトン、1〜8個のフッ素原子が導入されたメチルエチルケトン、1〜10個のフッ素原子が導入されたジエチルケトン、1〜10個のフッ素原子が導入されたメチルプロピルケトン類などが挙げられる。
【0018】
これらのフッ化ケトン化合物としては、例えばヘキサフルオロジメチルケトン、ペンタフルオロジメチルケトン、ビス(ジフルオロメチル)ケトン、フルオロメチルトリフルオロメチルケトン、トリフルオロメチルメチルケトン、ペルフルオロメチルエチルケトン、トリフルオロメチル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルケトン、ジフルオロメチルペンタフルオロエチルケトン、トリフルオロメチル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルケトン、ジフルオロメチル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルケトン、ジフルオロメチル−1,2,2,2−テトラフルオロエチルケトン、トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルケトン、ジフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルケトンなどが挙げられる。
本発明においては、これらのフッ化ケトン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
[飽和フッ化炭化水素化合物]
この飽和フッ化炭化水素化合物は、前記の一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物に、必要に応じて混合することのできる冷媒である。
この飽和フッ化炭化水素化合物としては、炭素数1〜4のアルカンのフッ化物が好ましく、特に炭素数1〜2のメタンやエタンのフッ化物であるトリフルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタンが好適である。また、飽和フッ化炭化水素化合物としては、上記アルカンのフッ化物を、さらにフッ素以外のハロゲン原子でハロゲン化したものであっても良く、例えば、トリフルオロヨードメタン(CF3I)などが例示できる。これらの飽和フッ化炭化水素化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、当該飽和フッ化炭化水素化合物の配合量は、冷媒全量に基づき、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0020】
本発明の冷凍機用潤滑油組成物(以下、冷凍機油組成物と称することがある。)は、前述の冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油組成物であって、基油として、下記のものが用いられる。
[基油]
本発明の冷凍機油組成物の基油としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールの中から選ばれる多価アルコールと、炭素数4〜20の脂肪族モノカルボン酸とからなるポリオールエステル系化合物が用いられる。
炭素数4〜20の脂肪族モノカルボン酸の中でも、潤滑性の点からは、炭素数5以上のものが好ましく、炭素数6以上のものがより好ましく、炭素数8以上のものが特に好ましい。また、冷媒との相溶性の点からは、炭素数18以下のものが好ましく、炭素数12以下のものがより好ましく、炭素数9以下のものがさらにより好ましい。
また、直鎖状、分岐状の何れであっても良く、潤滑性の点からは直鎖状脂肪族モノカルボン酸が好ましく、加水分解安定性の点からは分岐状脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
更に、飽和脂肪族モノカルボン酸、不飽和脂肪族モノカルボン酸の何れであっても良い。
【0021】
脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸などの直鎖または分岐のもの、あるいはα炭素原子が4級であるいわゆるネオ酸などが挙げられる。さらに具体的には、吉草酸(n−ペンタン酸)、カプロン酸(n−ヘキサン酸)、エナント酸(n−ヘプタン酸)、カプリル酸(n−オクタン酸)、ペラルゴン酸(n−ノナン酸)、カプリン酸(n−デカン酸)、オレイン酸(cis−9−オクタデセン酸)、イソペンタン酸(3−メチルブタン酸)、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸などが好ましい。
なお、ポリオールエステル系化合物としては、ポリオールの全ての水酸基がエステル化されずに残った部分エステルであっても良く、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであっても良く、また部分エステルと完全エステルの混合物であっても良いが、完全エステルであることが好ましい。
なお、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールの中から選ばれる多価アルコールと、前記脂肪族モノカルボン酸とのエステルが、ジエステル以上の場合、混合脂肪族モノカルボン酸と多価アルコールとのエステルであってもよい。このようなエステルは、低温特性や冷媒との相溶性に優れる。
【0022】
本発明の冷凍機油組成物においては、(A)成分の基油として、前述のポリオールエステル系化合物の中から選ばれる少なくとも1種を主成分として含むものが用いられる。ここで主成分として含むとは、当該ポリオールエステル系化合物を50質量%以上の割合で含むことを指す。基油中の当該ポリオールエステル系化合物の好ましい含有量は70質量%以上、より好ましい含有量は90質量%以上、さらに好ましい含有量は100質量%である。
本発明における基油は、特に前述した不飽和フッ化炭化水素冷媒用として好適である。
本発明においては、基油の100℃の動粘度は、好ましくは2〜50mm2/s、より好ましくは3〜40mm2/s、さらに好ましくは4〜30mm2/sである。該動粘度が2mm2/s以上であれば良好な潤滑性能(耐荷重性)が発揮されると共に、シール性もよく、また50mm2/s以下であれば省エネルギー性も良好である。
また、基油の分子量は、300以上であることが好ましく、500〜3000がより好ましく、600〜2500がさらに好ましい。基油の引火点は200℃以上であることが好ましい。基油の分子量が300以上であれば、冷凍機油としての所望の性能を発揮することができると共に、基油の引火点を200℃以上にすることができる。さらに、酸化安定性の面から、蒸発量は5質量%以下であることが好ましい。なお、この蒸発量は熱安定度試験(JIS K 2540)に基づいて測定した値である。
【0023】
本発明においては、基油として、前記の性状を有していれば、当該ポリオールエステル系化合物と共に、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下の割合で、他の基油を含むものを用いることができるが、他の基油を含まないものがさらに好ましい。
当該ポリオールエステル系化合物と併用できる基油としては、例えばポリオキシアルキレングリコール類、ポリビニルエーテル類、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体、他のポリエステル類、ポリカーボネート類、α−オレフィンオリゴマーの水素化物、さらには鉱油、脂環式炭化水素化合物、アルキル化芳香族炭化水素化合物などを挙げることができる。
本発明の冷凍機油組成物は、前述した不飽和フッ化炭化水素冷媒用として好適であるが、該冷媒自体がオレフィン構造を有するため、安定性に劣ることから、当該冷凍機油組成物には、安定性を向上させる目的で、特定のリン系添加剤及び特定の酸捕捉剤を含有させることを要す。
【0024】
[添加剤]
<リン系添加剤>
リン系添加剤としては、リン酸トリエステル及び亜リン酸トリエステルが用いられる。リン酸トリエステルとしては例えばトリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、トリアルキルアリールホスフェート、トリアリールアルキルホスフェート、トリアルケニルホスフェートなどがあり、具体的にはトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ベンジルジフェニルホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、エチルジブチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、エチルフェニルジフェニルホスフェート、ジ(エチルフェニル)フェニルホスフェート、プロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジ(プロピルフェニル)フェニルホスフェート、トリス(エチルフェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ジ(ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス(ブチルフェニル)ホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリスデシルホスフェート、トリラウリルホフェート、トリミリスチルホフェート、トリパルミチルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフェートなどを挙げることができる。
【0025】
亜リン酸トリエステルとしては、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリスデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイトなどを挙げることができる。
本発明においては、これらのリン系添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、組成物全量に基づき、通常0.1〜3質量%、好ましくは0.3〜2質量%である。
【0026】
<酸捕捉剤>
(D)酸捕捉剤としては、グリシジルエステル、グリシジルエーテル及びα−オレフィンオキシドの中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
グリシジルエステルとしては、炭素数が、通常3〜30、好ましくは4〜24、より好ましくは6〜16の直鎖状、分岐状、環状の飽和若しくは不飽和の脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸のグリシジルエステルが挙げられる。前記脂肪族カルボン酸や芳香族カルボン酸は、モノカルボン酸であってもよく、ポリカルボン酸であってもよい。ポリカルボン酸の場合、潤滑油組成物の安定性のために、酸価の上昇を抑制する観点から、カルボキシル基の全てが、グリシジルエステル化されていることが好ましい。
これらの中で、特に炭素数6〜16の直鎖状、分岐状、環状の飽和脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステルが好ましい。このようなグリシジルエステルとしては、例えば2−エチルヘキサン酸グリシジルエステル、3,5,5−トリメチルヘキサン酸グリシジルエステル、カプリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、ミリスチン酸グリシジルエステルなどを挙げることができる。
【0027】
グリシジルエーテルとしては、炭素数が、通常3〜30、好ましくは4〜24、より好ましくは6〜16の直鎖状、分岐状、環状の飽和若しくは不飽和の脂肪族モノ又は多価アルコール、あるいは水酸基1個以上含有する芳香族化合物由来のグリシジルエーテルが挙げられる。脂肪族多価アルコールや水酸基2個以上含有する芳香族化合物の場合、潤滑油組成物の安定性のために、水酸基価の上昇を抑える観点から、水酸基の全てがグリシジルエーテル化されていることが好ましい。
これらの中で、特に炭素数6〜16の直鎖状、分岐状、環状の飽和脂肪族モノアルコール由来のグリシジルエーテルが好ましい。このようなグリシジルエーテルとしては、例えば2−エチルエチルグリシジルエーテル、イソノニルグリシジルエーテル、カプリノイルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
一方、α−オレフィンオキシドとしては、炭素数が一般に4〜50、好ましくは4〜24、より好ましくは6〜16のものが用いられる。
本発明においては、前記酸捕捉剤は1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、効果及びスラッジ発生の抑制の点から、組成物全量に基づき、通常0.005〜10質量%、特に0.05〜6質量%の範囲が好ましい。
【0028】
本発明の冷凍機油組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の極圧剤、油性剤、酸化防止剤、他の酸捕捉剤及び消泡剤などの中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有させることができる。
前記他の極圧剤としては、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩などの他のリン系極圧剤を挙げることができる。
また、他の極圧剤としては、カルボン酸の金属塩が挙げられる。ここでいうカルボン酸の金属塩は、好ましくは炭素数3〜60のカルボン酸、さらに好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは12〜30の脂肪酸の金属塩である。また、前記脂肪酸のダイマー酸やトリマー酸並びに炭素数3〜30のジカルボン酸の金属塩を挙げることができる。これらのうち炭素数12〜30の脂肪酸及び炭素数3〜30のジカルボン酸の金属塩が特に好ましい。
一方、金属塩を構成する金属としてはアルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、特に、アルカリ金属が最適である。
また、他の極圧剤としては、例えば、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チオカーバメート類、チオテルペン類、ジアルキルチオジプロピオネート類などの硫黄系極圧剤を挙げることができる。
他の酸捕捉剤としては、例えばシクロへキセンオキシド、エポキシシ化大豆油などを挙げるができる。
【0029】
前記油性剤の例としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和および不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールと脂肪族飽和又は不飽和モノカルボン酸との部分エステル等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、組成物全量に基づき、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で選定される。
【0030】
前記酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等のフェノール系、フェニル−α−ナフチルアミン、N.N’−ジ−フェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤を配合するのが好ましい。酸化防止剤は、効果及び経済性などの点から、組成物中に通常0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%配合する。
前記消泡剤としては、シリコーン油やフッ素化シリコーン油などを挙げることができる。
本発明の冷凍機油組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の公知の各種添加剤、例えばN−[N,N’−ジアルキル(炭素数3〜12のアルキル基アミノメチル]トリアゾールなどの銅不活性化剤などを適宣配合することができる。
【0031】
本発明の冷凍機油組成物は、前記分子式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組合わせを含む冷媒を用いた冷凍機に適用される。特に不飽和フッ化炭化水素化合物を含む冷媒を用いた冷凍機用に適している。
本発明の冷凍機油組成物を使用する冷凍機の潤滑方法において、前記各種冷媒と冷凍機油組成物の使用量については、冷媒/冷凍機油組成物の質量比で99/1〜10/90、更に95/5〜30/70の範囲にあることが好ましい。冷媒の量が上記範囲よりも少ない場合は冷凍能力の低下が見られ、また上記範囲よりも多い場合は潤滑性能が低下し好ましくない。本発明の冷凍機油組成物は、種々の冷凍機に使用可能であるが、特に、圧縮型冷凍機の圧縮式冷凍サイクルに好ましく適用できる。
【0032】
本発明の冷凍機油組成物が適用される冷凍機は、圧縮機、凝縮器、膨張機構(膨張弁など)及び蒸発器、あるいは圧縮機、凝縮器、膨張機構、乾燥器及び蒸発器を必須とする構成からなる冷凍サイクルを有するとともに、冷凍機油として前述した本発明の冷凍機油組成物を使用し、また冷媒として前述の各種冷媒が使用される。
ここで乾燥器中には、細孔径0.33nm以下のゼオライトからなる乾燥剤を充填することが好ましい。また、このゼオライトとしては、天然ゼオライトや合成ゼオライトを挙げることができ、さらにこのゼオライトは、25℃、CO2ガス分圧33kPaにおけるCO2ガス吸収容量が1.0%以下のものが一層好適
である。このような合成ゼオライトとしては、例えばユニオン昭和(株)製の商品名XH−9、XH−600等を挙げることができる。
本発明において、このような乾燥剤を用いれば、冷凍サイクル中の冷媒を吸収することなく、水分を効率よく除去できると同時に、乾燥剤自体の劣化による粉末化が抑制され、したがって粉末化によって生じる配管の閉塞や圧縮機摺動部への進入による異常摩耗等の恐れがなくなり、冷凍機を長時間にわたって安定的に運転することができる。
【0033】
本発明の冷凍機油組成物が適用される冷凍機においては、圧縮機内に様々な摺動部分(例えば軸受など)がある。本発明においては、この摺動部分として特にシール性の点から、エンジニアリングプラスチックからなるもの、又は有機コーティング膜もしくは無機コーティング膜を有するものが用いられる。
前記エンジニアリングプラスチックとしては、シール性、摺動性、耐摩耗性などの点で、例えばポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂などを好ましく挙げることができる。
また、有機コーティング膜としては、シール性、摺動性、耐摩耗性などの点で、例えばフッ素含有樹脂コーティング膜(ポリテトラフルオロエチレンコーティング膜など)、ポリイミドコーティング膜、ポリアミドイミドコーティング膜、さらには、ポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材及び架橋剤を含む樹脂塗料を用いて形成された熱硬化型絶縁膜などを挙げることができる。
一方、無機コーティング膜としては、シール性、摺動性、耐摩耗性などの点で、黒鉛膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、ニッケル膜、モリブデン膜、スズ膜、クロム膜などが挙げられる。この無機コーティング膜は、メッキ処理で形成してもよいし、PVD法(物理的気相蒸着法)で形成してもよい。
なお、当該摺動部分として、従来の合金系、例えばFe基合金、Al基合金、Cu基合金などからなるものを用いることもできる。
【0034】
本発明の冷凍機油組成物は、例えばカーエアコン、電動カーエアコン、ガス
ートポンプ、空調、冷蔵庫、自動販売機又はショーケースなどの各種給湯システム、あるいは冷凍・暖房システムに用いることができる。
本発明においては、前記システム内の水分含有量は、300質量ppm以下が好ましく、200質量ppm以下がより好ましい。また該システム内の残存空気量は、10kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましい。
本発明の冷凍機油組成物は、基油として、特定の含酸素化合物を主成分として含むものであって、粘度が低くて省エネルギー性の向上を図ることができ、しかもシール性に優れている。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を、実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、基油の性状及び冷凍機油組成物の諸特性は、以下に示す要領に従って求めた。
<基油の性状>
(1)100℃動粘度
JIS K2283−1983に準じ、ガラス製毛管式粘度計を用いて測定した。
(2)引火点
JIS K2265に準じ、C.O.C法により測定した。
(3)分子量
基油を構成する化合物の化学構造に基づく計算値である。
<冷凍機油組成物の特性>
(4)安定性(シールドチューブ試験)
ガラス管に油/冷媒4mL/1g(水分含有量200ppm)、及び鉄、銅、アルミニウムの金属触媒を充填して封管し、空気圧26.6kPa温度175℃の条件にて30日間保持後、油外観、触媒外観、スラッジの有無を目視観察すると共に酸価を測定した。
【0036】
冷凍機油組成物の調製に用いた各成分の種類を以下に示す。
基油として、A1〜A5を用いた。各機油の化学物名及び性状を第1表に示す。
【0037】
【表1】


また、添加剤として、下記のものを用いた。
<リン系添加剤>
B1:トリクレジルホスフェート
B2:トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェ−ト
B3:トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
B4:ジクレジルホスフェート
B5:モノ(イソピロピルフェニル)ホスフェート
B6:ジオレイルハイドロジェンホスファイ
<酸捕捉剤>
C1:C10カルボン酸グリシジルエステル
C2:2−エチルへキシルグリシジルエーテル
C3:C14α−オレフィンオキシド
<酸化防止剤>
D1:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
【0038】
実施例1〜7及び比較例1〜5
第2表に示す組成の冷凍機油組成物を調製し、冷媒としてHFC1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)を用いて、前記組成物の特性を評価した。その結果を第2表に示す。
【0039】
【表2】


【0040】
【表3】


第2表から分かるように、本発明の冷凍機油組成物(実施例1〜7)は、冷媒HFC1234yfを用いたシールドチューブ試験において安定性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の冷凍機用潤滑油組成物は、地球温暖化係数が低く、特に現行カーエアコンシステムなどに使用可能な冷媒である不飽和フッ化炭化水素化合物等特定の構造を有する冷媒を用いる冷凍機用として使用され、前記冷媒に対する優れた相溶性を有すると共に、シール性が良好で、かつ摺動部分の摩擦係数が低く、しかも安定性に優れている。
【出願人】 【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
【出願日】 平成19年4月18日(2007.4.18)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道


【公開番号】 特開2008−266423(P2008−266423A)
【公開日】 平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願番号】 特願2007−109705(P2007−109705)