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【発明の名称】 高TBN/低リンで経済的なSTUO潤滑剤
【発明者】 【氏名】ジエフリー・エル・ミルナー

【氏名】ピーター・エル・ライトナー

【氏名】ジヨン・エム・ピートラス

【要約】 【課題】多様な性能特性のバランスが保たれているトラクター用潤滑剤。

【解決手段】少なくとも一つの金属清浄剤と、少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤と、少なくとも一つのモリブデン化合物を含む添加剤パッケージで組成された潤滑粘度のオイルを含んだスーパートラクターオイルユニバーサル潤滑組成物が開示されている。また、トラクターのブレーキ性能およびトラクターエンジンの耐磨耗性の改善方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパートラクターオイルユニバーサル潤滑組成物であり、
a)粘度指数が少なくとも約95であり、
i)少なくとも一つの金属清浄剤と、
ii)少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤と、
iii)少なくとも一つの油溶性モリブデン化合物
を含む添加剤成分で調合された潤滑粘度のオイルを含み、
b)潤滑組成物の総重量を基にした金属の含有量(ppm)と潤滑組成物の全塩基価(mg KOH/g)の比率が約210から約450(ppm/mg KOH/g)であることを特徴とし、
c)潤滑組成物の総重量を基にした金属の含有量(ppm)と潤滑組成物の総重量を基にしたリンの含有量(ppm)の比率が約5.0から約20.0(ppm/ppm)であり、また
d)潤滑組成物の総重量を基にしたリンの含有量(ppm)と潤滑組成物の総重量を基にしたモリブデンの含有量(ppm)の比率が約0.5から約80.0(ppm/ppm)である、スーパートラクターオイルユニバーサル潤滑組成物。
【請求項2】
前述の金属清浄剤が、カルシウムフェネート、サリチル酸カルシウム、スルホン酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群の中から選択されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも二つの金属清浄剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
モリブデン化合物から得られた前述のモリブデンが約10ppmから約200ppmの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前述のモリブデン化合物が有機モリブデン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤が少なくとも一つの金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前述の組成物が、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物から得られた約200から約800ppmのリンを含んでいる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が約146ppmから約844ppmのリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
トラクターのブレーキ性能を向上させる方法であり、(1)請求項1に記載の潤滑油組成物をトラクターに添加することと、(2)トラクターのウェットブレーキを操作することを含む、トラクターのブレーキ性能を向上させる方法。
【請求項10】
トラクターのエンジンの耐磨耗性を向上させる方法であり、(1)請求項1に記載の潤滑油組成物をトラクターのエンジンに添加することと、(2)トラクターのエンジンを操作するステップを含む、トラクターのエンジンの耐磨耗性を向上させる方法。
【請求項11】
スーパートラクターオイルユニバーサル添加剤パッケージであり、
a)金属清浄剤と
b)リンベースの磨耗防止剤と
c)油溶性モリブデン化合物を含み、
d)添加剤パッケージの総重量を基にした金属の含有量(ppm)と添加剤パッケージ
の全塩基価(mg KOH/g)の比率が約210から約450(ppm/mg KOH/g)であることを特徴とし、
e)添加剤パッケージの総重量を基にした金属の含有量(ppm)と添加剤パッケージの総重量を基にしたリンの含有量(ppm)の比率が約5.0から約20.0(ppm/ppm)であり、また
f)添加剤パッケージの総重量を基にしたリンの含有量(ppm)と添加剤パッケージの総重量を基にしたモリブデンの含有量(ppm)の比率が約0.5から約80.0(ppm/ppm)であるスーパートラクターオイルユニバーサル添加剤パッケージ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本開示は、潤滑組成物、添加剤パッケージ、およびスーパートラクターオイルユニバーサルの使用法に関連する。
【背景技術】
【0002】
北米においてトラクター用の潤滑剤は、しばしばユニバーサルトラクタートランスミッションオイル(UTTO)またはトラクター油圧作動油(THF)と呼ばれる。これらの潤滑剤は、油圧装置、トランスミッション、ギア、パワーテイクオフ(PTO)、およびウェットブレーキなどに必要とされる性能をもたらす。世界市場および新興成長市場においては、スーパートラクターユニバーサルオイル(STUOまたはSTOU)潤滑剤のほうがより広く使用されている。STUO潤滑剤は、油圧装置、トランスミッション、ギア、PTOおよびウェットブレーキシステムに必要とされる性能をもたらすことに加え、ディーゼルおよびガソリンエンジンを十分に潤滑させる。
【0003】
これらの多様な条件を満たすため、トラクター用の潤滑剤は、多様な性能特性のバランスを保たなくてはならない。トラクター用潤滑剤UTTOおよびSTUOは、機器の耐久性を保つため、耐磨耗性および耐荷重性をもたらし、摩擦特性をコントロールしなくてはならない。さらに、トラクター用潤滑剤STUOは、ウェットブレーキ、PTO、トランスミッション、ギア、および油圧装置の性能に関するTHF条件を落とすことなく基本的なエンジン性能を維持しなくてはならない。トラクター用の潤滑剤調合物中で使用される添加剤の多くは多機能性で、それらの性能間でしばしば対立が生じる。トラクター用の潤滑剤を広範囲の温度にわたって確実に作動させるため、オイルはマルチグレードでなくてはならない。このため、慎重に選択した基油と粘度指数向上剤および流動点降下剤との組み合わせを使用して、低温および高温の粘度極限を達成することが必要となる。
【0004】
これらの対立は、添加剤を慎重に選択しそれらのバランスをとらなくてはいけないことを意味する。従って、ギア、トランスミッション、および油圧装置の性能に必要とされる優れた耐摩耗性および耐極圧性を維持する、低リンベースのSTUOが必要となる。また、処理率の低い添加剤パッケージを使用することで、添加剤の輸送費が低減され、工場のスループットが向上し、また添加剤の処理にかかる純費用が低下されるという点から、潤滑剤のブレンダーに経済的な恩恵がもたらされる。
【発明の開示】
【0005】
本開示によると、スーパートラクターオイルユニバーサル(STUO)潤滑組成物は、粘度指数が少なくとも95である、潤滑粘度のオイルを含む。この潤滑組成物はまた、少なくとも一つの金属清浄剤、少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤、および少なくとも一つの油溶性モリブデン化合物を含んだ添加剤成分を含むこともある。この潤滑組成物は、潤滑組成物の総重量を基にした金属の含有量(ppm)と、潤滑組成物(mg KOH/g)の全塩基価の比率が約210から約450(ppm/mg KOH/g)であることを特徴とする。この潤滑組成物は、約5.0から約20.0(ppm/ppm)に及ぶ、潤滑組成物の総重量を基にした金属の含有量(ppm)と、潤滑組成物の総重量を基にしたリンの含有量(ppm)の比率を含む。またこの潤滑組成物は、約0.5から約80.0(ppm/ppm)に及ぶ、潤滑組成物の総重量を基にしたリンの含有量(ppm)と、潤滑組成物の総重量を基にしたモリブデンの含有量(ppm)の比率を含む。
【0006】
さらに、スーパートラクターオイルユニバーサルの添加剤パッケージは、金属清浄剤、リンベースの磨耗防止剤、および油溶性モリブデン化合物を含む。この添加剤パッケージ
は、添加剤パッケージの総重量を基にした金属の含有量(ppm)と、添加剤パッケージの総重量を基にしたリンの含有量(ppm)の比率が約5.0から約20.0(ppm/ppm)であることを特徴とする。この添加剤パッケージは、約0.5から約80.0(ppm/ppm)に及ぶ、添加剤パッケージの総重量を基にしたリンの含有量(ppm)と、添加剤パッケージの総重量を基にしたモリブデンの含有量(ppm)の比率を含む。
【0007】
さらに、トラクターのブレーキ性能を向上させる方法は、(1)当該潤滑油組成物をトラクターに添加すること、そして(2)トラクターのウェットブレーキを操作することを含む。
【0008】
さらに、トラクターの耐磨耗性を向上させる方法は、(1)当該潤滑油組成物をトラクターのエンジンに添加すること、そして(2)当該のトラクターのエンジンを操作することを含む。
【0009】
本開示のその他の目的および利点は、以下に続く説明で部分的に説明され、および/または本開示を実行することによって理解することができる。本開示の目的および利点は、添付の請求項で特に指摘されている要素およびそれらの組み合わせによって実現・達成される。
【0010】
前述の概要および以下の詳しい説明は、共に例示および説明のみを目的としたものであり、本開示を請求された通りに限定するものではない。
【0011】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用される「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」という用語は、当技術分野に精通した技術者に周知の通常の意味で使用されている。具体的には、炭素原子が分子の残りの部分に直接結合しており、また主に炭化水素の特性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には以下のものが含まれる:
(1)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えばアルキルまたはアルケニル)置換基、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、また芳香族、脂肪族、および脂環基によって置換された芳香族置換基、また環が分子の別の部分によって完成されている(例えば二つの置換基が一緒になって脂環式ラジカルを形成している)ような環状置換基;
(2)置換された炭化水素置換基、すなわち、本発明の状況下で、主に炭化水素である置換基を変化させないような、非炭化水素基(例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を含んだ置換基;
(3)ヘテロ置換基、すなわち、主に本発明の状況下で、主に炭化水素の特性を有しながら、そうでなければ炭素原子から成る環または鎖の中に炭素以外の原子を含んでいるような置換基。ヘテロ原子には硫黄、酸素、および窒素があり、またピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基が含まれる。通常、ヒドロカルビル基中、炭素原子10個につき二つ以下、例えば一つ以下の非炭化水素置換基が存在する。一般的にヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0012】
本明細書で使用される「重量パーセント」という用語は、別段の定めが明記されていない限り、組成物全体の重量に対して記載の成分が占めるパーセンテージを意味する。
【0013】
本明細書で使用される「油溶性」または「分散性」という用語は、必ずしも化合物あるいは添加剤が炭化水素化合物またはオイル中にあらゆる比率で可溶性である、溶ける、混和性がある、あるいは懸濁が可能であるということを意味するわけではない。しかしながらこれらは、例えばオイルが使用される環境下において、意図された効果を及ぼすために
十分な量がオイル中に可溶または安定的に分散可能であることを意味する。さらに、他の添加剤を追加的に混入することにより、必要に応じてより高いレベルの特定の添加剤の混入が可能になる。
【0014】
性能特性に必要とされる主要潤滑剤の条件
エンジンはトラクターの基本的な動力装置である。現世代のトラクターでは、ターボチャージディーゼルエンジンが最も一般的に使用されているが、吸気ディーゼルおよびガソリンエンジンもまた使用される。STUO潤滑剤は、洗浄力/分散性、酸化安定性、耐磨耗/EP 負荷能力、および腐食/錆防止などのような、クランクケース潤滑剤の標準的な特性をもたらさなくてはならない。API商用ディーゼル(API CX)級の潤滑剤は、STUO用に使用されるエンジンを十分に保護する。API CD級(本明細書中ではCDとする)の潤滑剤は、適度に過給されたディーゼル性能をもたらし、MIL−L−2104Cおよびキャタピラシリーズ(Caterpillar Series)3などの潤滑剤の仕様を満たす。
【0015】
トランスミッションは、エンジンからファイナルドライブまで動力を転送する。従って潤滑剤は、耐酸化性であり、耐磨耗性をもたらし、また摩擦をコントロールしなくてはならない。ファイナルドライブギアは、低速・高トルクの条件下で作動する車輪に動力を転送する。GL−4(本明細書中ではGL−4とする)潤滑剤はトランスミッション用の性能条件を満たす。
【0016】
ギアの磨耗保護は、重要な性能パラメータであり、トランスミッション、ディファレンシャル、およびファイナルドライブの耐久性に対する、潤滑剤に関連する主要な役割を果たす。現在のトラクター用潤滑剤の性能レベルは、低速・高トルクの条件下でGL−4を目標としている。
【0017】
トラクターのウェットブレーキは、停止に加えて走行の助けにもなる。そこでブレーキが迅速に停止する能力を妨げずにスティック・スリップ現象を回避するために、潤滑剤がバランスの取れた摩擦特性を有することが必要となる。特定の条件下でブレーキをかける際、スティック・スリップ現象によりブレーキノイズが発生するが、これは運転者(一般的には農業従事者)にとって望ましくないことである。PTOは付属装置に機械力を転送する。またクラッチは付属装置が動かなくなったときにトラクターのエンジンを止めることができなくてはならない。潤滑剤があまりにも滑りやすい状態であると、クラッチプレート面が覆われてしまい、PTOの初期故障の原因となり得る。ウェットブレーキおよびPTOのための、潤滑剤のこのような相反する摩擦特性は、オイルドレーンの間中、実現・維持されていなくてはならない。
【0018】
油圧装置は付属装置、また時として油圧トランスミッションに動力を供給する。満足のいくサービスのため、トラクター用の潤滑剤は、低温流動性、せん断安定性、酸化安定性、耐磨耗/耐荷重性、腐食/錆防止、シール適合性、耐湿性、ろ過性、泡止め、および通気性などを含む、工業用油圧作動油に共通した様々な特性を提供しなくてはならない。
【0019】
満足のいくフィールドサービスのために必要とされる、潤滑剤性能のもう一つの重要な分野に、汚染物質との適合性がある。主要な汚染物質が三種類存在する。一番目は水である。これはトラクターの作動環境が原因となり、トラクターの機械システムに水が侵入する。水は腐食の問題を引き起こし、性能の低下やろ過性の問題の原因と成るエマルジョン/不溶性物質の形成につながる、潤滑剤中の添加剤の加水分解の原因となり得る。二番目の汚染物質は、操作環境の機能でもあり、耐磨耗性やろ過性の性能損失の直接的な原因ともなる土である。水と土が組み合わされると、初期のフィルター閉塞などのようなろ過性の問題を悪化させる原因となる。初期のフィルター閉塞は、汚染物質のコントロールの完
全な喪失や、磨耗性能の大幅な軽減などの原因となり得る。主な油圧コントロールシステムの保護に関するこれらの問題の重要性は、文書により十分に立証されている。三番目の汚染物質は、他の潤滑剤である。不適当な潤滑のため、あるいは別の潤滑剤を含んだ付属装置に接続している油圧アウトレットを通して、他の潤滑剤がトラクター内に入ってくることがある。これは不適合や一般性能の喪失の原因となる。
【0020】
トラクターオイルの組成に使用される潤滑剤添加剤
トラクターのトランスミッション用潤滑剤に含まれる三種類の主要な添加剤は、摩擦低減剤、耐磨耗/極圧添加剤、および分散剤/清浄剤である。摩擦低減剤は、例えばウェットブレーキのノイズやPTOの性能をコントロールするために含まれる。耐磨耗/EP添加剤は、例えばファイナルドライブにおいて重要である。分散剤/清浄剤が含まれることにより、例えばSTUOにおける良好なエンジンの性能や、UTTOにおける適切な摩擦特性や感水性(water sensitivity)がもたらされる。好適な摩擦低減剤として、多種多様な有機化学物質が含まれる。例としては脂肪族アミンまたはアミド誘導体および硫化エステルが挙げられる。耐磨耗/EP添加剤には、有機リンまたは硫黄ベースの添加剤と組み合わされたジチオリン酸亜鉛が含まれる。分散剤および清浄剤には、例えば無灰スクシンイミド、過塩基性または低塩基性スルホン酸塩、およびフェネート誘導体が含まれる。加えて、当潤滑剤には、酸化安定性、抗腐食剤、および消泡剤(本明細書中で、泡止め剤および泡消し剤とも呼ばれている)をコントロールするため、酸化防止剤もまた含まれている。
【0021】
トラクター用の潤滑剤調合物中で使用されている多くの添加剤は多機能性であり、しばしば性能間で対立が生じることがある。エンジン性能用に使用されている清浄剤は、ウェットブレーキのノイズに有害となる可能性がある。これらの対立は、オイル組成物が添加剤を選択しバランスを保っていなくてはならない、ということを必然的に意味する。
【0022】
耐磨耗剤はエンジンに優れた磨耗保護を提供するが、油圧ポンプ内の銅成分に対しては腐食性であり得る。ジンクジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)は、歴史的にはエンジン、トランスミッション、およびある種のギア(GL−4)用に使用される主要な耐磨耗/EP成分であったが、硫黄、リン、および亜鉛のレベルが高いことから、排ガス触媒に害を与える原因であるとされてきた。低リンベースのエンジンオイル(EO)の使用が増加し続けるのに伴い、低リンSTUO潤滑剤の、ギア、トランスミッション、および油圧装置の性能に必要とされる、優れた耐磨耗性および極圧保護性を維持する、低リンSTUOパッケージを開発する必要が生じる。加えて、低処理率の添加剤パッケージは、添加剤の送料を低減し、向上のスループットを向上させ、また添加剤の処理にかかる純費用が低下されるという点から、潤滑剤のブレンダーに経済的な恩恵をもたらす。
【0023】
ある態様において、少なくとも一つの金属清浄剤と、少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤と、少なくとも一つの油溶性モリブデン化合物から成る添加剤成分で組成された潤滑粘度のオイルから成るSTUOが提供される。
【0024】
潤滑粘度のオイル
本明細書の実施例を組成するために使用するのに適した潤滑粘度のオイル(すなわち基油)は、合成油、鉱油、またはそれらの組み合わせのいずれかから選択される。ある態様では、2005年3月17日発行の米国特許出願番号第2005/0059562号に開示されているように、組成物は植物油と合成油の組み合わせから成る可能性がある。鉱油には、液体石油や、パラフィン系、ナフテン系、あるいはパラフィン系とナフテン系の混合タイプの、溶媒処理あるいは酸処理された鉱物性潤滑油などのような鉱物性潤滑油に加え、動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油)などが含まれる。石炭あるいは頁岩から得られたオイルもまた好適である。さらに、ガス・ツー・リキッドプロセスから得
られたオイルもまた好適である。
【0025】
STUOに適した基油は、エンジンオイル用のSAE J300粘度グレードに基づいて分類される。好適なオイルの粘度は、シングルグレードで約SAE 0Wから約60Wの間である。さらに、好適なクロスグレード(またはマルチグレード)は、約0W−30、10W−30、15W−40などである。さらに、STUOに適した基油は、自動車ギア用潤滑剤の粘度分類であるJ306に基づいて分類される。好適なオイルの粘度は、シングルグレードで約70Wから250Wである。好適なクロスグレード(またはマルチグレード)は、約70W90、75W140、80W90、85W140などである。その他の適切なグレードには、ISO22からISO600グレードのオイルのような油圧オイルに通常使用されるISO粘度のグレードが含まれる。
【0026】
基油は多量に存在する。このとき「多量」とは、潤滑組成物の50重量%以上、例えば約80から約98重量パーセントを意味すると理解される。
【0027】
本実施例中での使用に適した基油の粘度指数は、約95より上である。
【0028】
合成油の非限定的な例には、ポリマー化およびインターポリマー化されたオレフィン(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンとイソブチレンのコポリマー、その他)のような炭化水素油;ポリ(1−ヘキセン)、ポリ−(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、およびそれらの混合物のようなポリアルファオレフィン;アルキルベンゼン(例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ−ノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼン、その他);ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル、etc.);アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィド、およびそれらの誘導体、類似体、および同族体、その他が含まれる。
【0029】
末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化、その他によって修飾されている、アルキレンオキシドポリマー、インターポリマー、およびそれらの誘導体は、別の種類の使用可能な既知の合成油を構成する。このようなオイルは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのポリマー化によって生成されたオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリールエーテル(例えば平均分子量約1000のメチルポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテル、その他)、またはモノ−およびそれらのポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、C3−8の混合脂肪酸エステル、あるいはテトラエチレングリコールのCオキソ酸ジエステルなどによって例証される。
【0030】
使用することのできる別の種類の合成油に、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸、その他)と各種アルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール、その他)のエステルがある。これらのエステルの具体例として、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、セバシン酸1モルとテトラエチレングリコール2モルおよび2−エチルヘキサン酸2モルの反応によって形成される複合エステルなどが挙げられる。
【0031】
合成油として有用なエステルには、C5−12のモノカルボン酸と、ポリオール及び、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、その他のようなポリオールエーテルから作られたものも含まれる。
【0032】
従って、本明細書に記載の組成物を作るために使用することのできる基油は、米国石油協会(API)の基油互換性規定に規定されたグループIからVのいずれかの基油から選択することができる。これらの基油について以下に説明する。
【0033】
グループIの基油は、90%未満の飽和および/または0.03%より上の硫黄を含み、粘度指数(VI)は80以上120未満である;グループIIの基油は、90%以上の飽和と0.03%以下の硫黄を含み、粘度指数は80以上120未満である;グループIIIの基油は90%以上の飽和と0.03%以下の硫黄を含み、粘度指数は120以上である;グループIVの基油はポリアルファオレフィン(PAO)から成る;またグループVの基油は、グループI、II、III、あるいはIVに含まれないその他のすべてのベースストックから成る。
【0034】
上述のグループの定義に使用された試験方法は、飽和についてはASTM D2007、粘度指数はASTM D2270、また硫黄についてはASTM D2622、4294、4927、および3120のうちの一つである。
【0035】
グループIVのベースストック、すなわちポリアルファオレフィン(PAO)はアルファオレフィンの水素化オリゴマーを含む。最も重要なオリゴマー化の方法は、フリーラジカルプロセス、ツィーグラー触媒反応、陽イオン、フリーデル・クラフツ触媒反応である。
【0036】
ポリアルファオレフィンの粘度は、通常100℃で2cStから100cStの間、例えば100℃で4cStから8cStである。ポリアルファオレフィンは炭素数が約2から約30の分岐あるいは直鎖アルファオレフィンのオリゴマーであり得、非限定的な例として、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテンおよびポリ−1−デセンなどが挙げられる。またホモポリマー、インターポリマーおよび混合物も含まれる。
【0037】
上述のベースストックのバランスに関しては、「グループIのベースストック」にはまた、結果として得られる混合剤がグループIのベースストックについて上述で特定された範囲内の特徴を有するものであることを条件として、ひとつ以上の他のグループのベースストックと混ぜることのできるグループIのベースストックが含まれる。
【0038】
本明細書においての使用に適したベースストックは、蒸留、溶媒精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、および再精製を含むがこれらに限定されることのない、多種多様のプロセスを使用して作られる。
【0039】
基油は、フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素から得られたオイルである可能性がある。フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素はフィッシャー・トロプシュ触媒を使用して、HおよびCOを含んだ合成ガスから作られる。このような炭化水素は通常、基油として有用なものになるためさらなる処理を必要とする。例えば、炭化水素を、米国特許第6,103,099号または6,180,575号に開示されたプロセスを用いて水素化異性化したり;米国特許第4,943,672号または6,096,940号に開示されたプロセスを用いて水素化分解および水素化異性化したり;米国特許第5,882,505号に開示されたプロセスを用いて脱ロウしたり;または米国特許第6,013,171号、6,080,301号、あるいは6,165,949号に開示されたプロセスを用いて水素化異性化および脱ロウすることができる。
【0040】
未精製、精製、および再精製されたオイルを、本明細書上記に開示した種類の鉱物油または合成油(これらのいずれか二つ以上の混合物と同様)のいずれでも、基油中で使用することができる。未精製のオイルは、さらなる精製処理を受けることなく、鉱油または合成油の源から直接得られたものである。例えばさらに処理されることなく、レトルト操作により直接得られた頁岩オイル、1次蒸留から直接得られた石油、またはエステル化プロセスから直接得られたエステルオイルなどが未精製のオイルである。精製オイルはひとつ以上の特性を向上させるために一つ以上の精製ステップでさらに処理されていること以外は、未精製のオイルと同様である。溶媒抽出、2次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、パーコレーション、その他のような精製技術の多くは、当技術分野に精通した技術者には周知のものである。再精製オイルは、サービスですでに使用された精製オイルに、精製オイルを得るために使用した方法と同様のプロセスを適用することによって得られる。このような再精製オイルはまた、再生オイルまたは再処理オイルとしても知られ、使用済みの添加剤、汚染物質、およびオイルの崩壊産物の除去に適用される技術によって、さらに処理されることがしばしばある。
【0041】
金属清浄剤
本開示の実施例は、少なくとも一つの金属清浄剤を含む。清浄剤には通常、極性の頭部と疎水性の長いテール部分が含まれ、極性の頭部は酸性有機化合物の金属塩を含む。この塩は実質的に化学量論的な量の金属を含んでいる。この場合これらの塩は、一般的に正塩または中性塩と称され、(ASTM D2896によって測定された)全塩基価(total base number)つまりTBNは一般的に約0から約150未満である。酸化物や水酸化物のような金属化合物の超過量を、二酸化炭素のような酸性ガスと反応させることにより、多量の金属塩基を含むことができる。結果として得られる過塩基性の清浄剤には、無機金属塩基(例えば水和された炭酸塩)の中心を取り囲む中性清浄剤のミセルが含まれる。このような過塩基性清浄剤のTBNは約150から約450またはそれ以上というように、約150あるいはそれより上である。
【0042】
本実施例で使用される清浄剤には、油溶性、中性、および過塩基性のスルホン酸塩、フェネート、硫化フェネート、および金属のサリチル酸塩、特に例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、およびマグネシウムなど、アルカリ金属やアルカリ土類金属が含まれる。最も一般的に使用される金属はカルシウムとマグネシウムで、これらの両方が存在することもある。カルシウムおよび/またはマグネシウムとナトリウムとの混合物もまた有用である。特に便利な金属清浄剤は、TBNが20から450の、中性および過塩基性のスルホン酸カルシウムあるいはスルホン酸マグネシウム;TBNが50から450の、中性および過塩基性のカルシウムフェネートあるいはマグネシウムフェネート、および硫化フェネート;またTBNが130から350の、中性または過塩基性のサリチル酸カルシウムあるいはサリチル酸マグネシウムである。またこのような塩の混合物が使用されることもある。使用に際し、少なくとも一つの過塩基性清浄剤が存在することが望ましい。一例として、好適な金属清浄剤には、カルシウムフェネート、サリチル酸カルシウム、スルホン酸カルシウム、およびそれらの混合物の中の少なくとも一つが含まれる。別の例として、少なくとも二つの金属清浄剤が使用されることもある。例えば、金属スルホン酸塩および金属フェネートが使用される。またさらなる例として、過塩基性の金属スルホン酸塩および過塩基性メタルフェネートが使用されることもある。
【0043】
リンベースの磨耗防止剤
リンベースの磨耗防止剤には、これらに限定はされないが、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物のような、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物が含ま
れる。好適な金属ジヒドロカルビルジチオホスフェートには、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩が含まれ、このときの金属とはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル、銅、または亜鉛などである。潤滑油中で最も一般的に使用されているのは亜鉛の塩である。
【0044】
ジヒドロカルビルジチオホスフェートの金属塩は、通常一つ以上のアルコールあるいはフェノールとPとの反応により、まずジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、次に形成されたDDPAを金属化合物で中和させるという、既知の技術に従って生成される。例えば、ジチオリン酸は、1級アルコールと2級アルコールの混合物を反応させることによって作られる。また一方のヒドロカルビル基が完全に2級の特性を有し、別のヒドロカルビル基が完全に1級の特性を有しているというような、複数のジチオリン酸を生成することもできる。金属塩を作るためには、塩基性あるいは中性のいかなる金属化合物を用いてもよいが、酸化物、水酸化物、および炭酸塩が最も一般的に使用される。中和反応の際に超過量の塩基性金属化合物を使用するため、市販の添加剤にはしばしば超過量の金属が含まれる。
【0045】
亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP)は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性の塩であり、以下の化学式で表される:
【化1】


【0046】
式中、RおよびR’は、炭素数が1から18、例えば2から12の、同一あるいは異なったヒドロカルビルラジカルであり、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリール、および脂環式ラジカルのようなラジカルを含んでいる。RおよびR’基は、炭素数が2から8のアルキル基であってもよい。従って、ラジカルは、例えば、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルなどであり得る。油溶性を得るため、ジチオリン酸中の炭素数の合計(すなわちRおよびR’)は、通常約5あるいはそれ以上である。亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートは従って、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含むことができる。
【0047】
リンベースの磨耗防止剤として使用されるその他の好適な成分には、これらに限定はされないが、リン酸塩、チオリン酸、亜リン酸塩、およびそれらの塩、およびホスフォネートのような、任意の好適な有機リンが含まれる。好適な例としては、リン酸トリクレジル(TCP)、ジアルキル亜リン酸塩(例えば亜リン酸水素ジブチル)、およびアミル酸ホスフェートなどが挙げられる。
【0048】
リンベースの磨耗防止剤は、完全に組成されたSTUO液中に約200から約800ppmのリンをもたらすのに十分な量で存在する。さらなる例として、リンベースの磨耗防止剤は、完全に組成されたSTUO液中に約200から約400ppmのリンをもたらすのに十分な量で存在する。またさらには、例えばリンベースの磨耗防止剤は、約295ppmのリンをもたらす量で存在する。
【0049】
モリブデン化合物
モリブデン化合物には有機モリブデン化合物が含まれる。例えばモリブデン化合物には、これらに限定されることはないが、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジチオホスフィン酸モリブデン、キサトゲン酸モリブデン、チオキサトゲン酸モリブデンおよびそれらの混合物のうちの一つ以上が含まれる。
【0050】
モリブデン化合物は、単核、2核、3核、あるいは4核であり得る。モリブデン化合物は有機モリブデン化合物でも良い。モリブデン化合物は、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン、ジチオホスフィン酸モリブデン、キサトゲン酸モリブデン、チオキサトゲン酸モリブデン、硫化モリブデン、3核有機モリブデン化合物、およびそれらの混合物からなる群の中から選択される。
【0051】
さらに、モリブデン化合物は、酸性のモリブデン化合物でも良い。このような化合物は、ASTMテストD−664あるいはD−2896滴定法で測定された塩基性窒素化合物と反応し、一般的に6価である。モリブデン化合物には、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、その他のモリブデン酸アルカリ金属、またその他のモリブデン塩、例えばモリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl、MoOBr、MoCl、モリブデン三酸化物または同様の酸性モリブデン化合物などが含まれる。一方、米国特許第4,263,152号、4,285,822号、4,283,295号、4,272,387号、4,265,773号、4,261,843号、4,259,195号、および4,259,194号、またWO94/06897に記載の塩基性窒素化合物のモリブデン/硫黄錯体から、組成物にモリブデンがもたらされることもある。
【0052】
本組成物中で有用なモリブデン化合物は、化学式Mo(ROCSおよびMo(RSCSの有機モリブデン化合物である。式中Rは、アルキル、アリール、アラルキル、およびアルコキシアルキルからなる群の中から選択された、炭素数が通常1から30、望ましくは2から12の有機基、また最も望ましくは炭素数が2から12のアルキルである。例として、モリブデンのジアルキルジチオカルバミン酸が挙げられる。
【0053】
有用な有機モリブデン化合物の一つに3核のモリブデン化合物、特に化学式Moで表されるもの、およびそれらの混合物がある。式中Lは化合物に油溶性または分散性をもたらすのに十分な炭素数を有する有機基を備えたリガンドから個々に選択され、nは1から4、kは4から7の間で変化し、Qは水、アミン、アルコール、ホスフィン、およびエーテルのような、中性電子を供与する化合物のグループの中から選択され、zは0から5の間で変化し、非化学量論的値を含む。すべてのリガンドの有機基中に存在する炭素数の合計は少なくとも21であり、例えば少なくとも25、少なくとも30、または少なくとも35などである。その他の好適なモリブデン化合物について、本明細書に参照することによって組み込まれている米国特許第6,723,685号に記載されている。
【0054】
モリブデン化合物は、完全に組成されたSTUO中に約10ppmから200ppmのモリブデンを提供するだけの量で存在する。さらなる例では、モリブデン化合物は約70ppmのモリブデンをもたらすだけの量で存在する。
【0055】
摩擦低減剤
本開示のいくつかの実施例には、一つ以上の摩擦低減剤が含まれている。好適な摩擦低減剤には、有機無灰摩擦低減剤、例えばオレイルアミドが含まれる。
【0056】
好適な摩擦低減剤のさらなる例には、イミダゾリン、アミド、アミン、スクシンイミド、アルコキシル化アミン、アルコキシル化エーテルアミン、アミン酸化物、アミドアミン、ニトリル、ベタイン、第4級アミン、イミン、アミン塩、アミノグアナジン、アルカノールアミド、その他が含まれるが、これらに限定はされない。
【0057】
好適な摩擦低減剤は、直鎖、分岐鎖、または芳香族のヒドロカルビル基、あるいはそれらの混合剤の中から選択されたヒドロカルビル基を含み、飽和もしくは不飽和である。このヒドロカルビル基には、炭素および水素、または硫黄や酸素のようなヘテロ原子が含まれる。ヒドロカルビル基の炭素数は約12から約25であり、飽和もしくは不飽和である。
【0058】
好適な摩擦低減剤の別の例に、ポリアミンのアミドがある。このような化合物は線状の、飽和もしくは不飽和あるいはそれらの混合であり、炭素数が約12から約25のヒドロカルビル基を有することができる。
【0059】
好適な摩擦低減剤のさらなる例として、アルコキシル化アミンおよびアルコキシル化エーテルアミンが挙げられる。このような化合物は線状の、飽和もしくは不飽和あるいはそれらの混合であるヒドロカルビル基を有することができる。これらの炭素数は約12から約25である。例としてエトキシル化アミンおよびエトキシル化エーテルアミンが挙げられる。
【0060】
アミンおよびアミドはそのままで、あるいは付加化合物、または酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、メタホウ酸、ホウ酸、またはホウ酸モノアルキル、ホウ酸ジアルキル、あるいはホウ酸トリアルキルなどのようなホウ素化合物との反応生成物の形態で使用される。その他の好適な摩擦低減剤について、参照することによって本明細書に組み込まれている米国特許第6,300,291号に記載されている。
【0061】
好適な摩擦低減剤には、有機、無灰(無金属)、無窒素の有機摩擦低減剤が含まれる。このような摩擦低減剤には、カルボン酸および無水物をアルカノールと反応させることによって形成されるエステルが含まれる。その他の好適な摩擦低減剤には通常、親油性炭化水素鎖に共有結合した、極性の末端基(例えばカルボキシル基あるいはヒドロキシル基)が含まれる。カルボン酸および無水物とアルカノールとのエステルについては、米国特許第4,702,850号に記載されている。有機、無灰、無窒素の摩擦低減剤のもう一つの例は、グリセロールモノオレエート(GMO)である。その他の好適な摩擦低減剤については、参照することによって本明細書に組み込まれている、米国特許第6,723,685号に記載されている。
【0062】
その他の成分
本明細書に記載のその他の成分に加え、添加剤パッケージには、例えば無灰分散剤、防錆剤、泡消し剤、酸化防止剤、および希釈油などの一つ以上が含まれる。さらに、任意の成分には、粘度調整剤、銅および鉛ベアリングの腐食防止剤、解乳化剤、および流動点降下剤などが含まれる。
【0063】
実施態様には完成した流体、すなわち潤滑粘度のオイルあるいは添加剤パッケージを含んだSTUO潤滑油組成物が含まれる。本明細書に記載の実施態様に基づいたスーパートラクターオイルユニバーサル潤滑組成物は、添加剤パッケージで組成された潤滑粘度のオイルを含む。この添加剤パッケージには:少なくとも一つの金属清浄剤;ii)少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤;およびiii)少なくとも一つの油溶性モリブデン化合物などの添加剤成分が含まれる。
【0064】
この成分は、潤滑油組成物の総重量を基にした、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と潤滑組成物の全塩基価(mg KOH/g)の比率が約210から約450(ppm/mg KOH/g)となるように組み合わされている。さらなる例では、潤滑油組成物の総重量を基にした、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と潤滑組成物の全塩基価(mg KOH/g)の比率は、約225から約425(ppm/mg KOH/g)である。またさらなる例においては、潤滑油組成物の総重量を基にした、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と潤滑組成物の全塩基価(mg KOH/g)の比率は、約225から約325(ppm/mg KOH/g)である。
【0065】
この成分は、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と、前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量との比率が約5.0から約20.0(ppm/ppm)となるように組み合わされる。さらなる例では、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量との比率は約5から約15(ppm/ppm)である。またさらなる例では、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と、前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量との比率は約10から約15(ppm/ppm)である。
【0066】
この成分は、前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量(ppm)と油溶性モリブデン化合物の比率が約0.5から約80.0(ppm/ppm)となるように組み合わされる。さらなる例では、前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量(ppm)と油溶性モリブデン化合物の比率は約4から約76(ppm/ppm)である。またさらなる例では、前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量(ppm)と油溶性モリブデン化合物の比率は約4から約40(ppm/ppm)である。
【0067】
STUO添加剤パッケージの全塩基価(TBN)は125以上である。さらなる例では、STUO添加剤パッケージのTBNは約125から約260である。さらなる例では、STUO添加剤パッケージのTBNは約140から約260である。またさらなる例では、STUO添加剤パッケージのTBNは約140から約210である。
【0068】
本明細書に記載のSTUO潤滑油組成物あるいはSTUO添加剤パッケージを使用することにより、トラクターのブレーキ性能が改善される。このような方法は、本明細書に記載の潤滑油組成物あるいは添加剤パッケージをトラクターに添加すること、およびトラクターのウェットブレーキを操作することを含む。
【0069】
本明細書に記載のSTUO潤滑油組成物あるいはSTUO添加剤パッケージを使用することにより、トラクターエンジンの耐磨耗性が改善される。このような方法は、本明細書に記載の潤滑油組成物あるいは添加剤パッケージをトラクターのエンジンに添加すること、およびトラクターのエンジンを作動させることを含む。
【0070】
本明細書に記載の潤滑組成物の組成に使用された添加剤を、個々に、あるいは様々な組み合わせにより基油中に溶け込ませることができる。さらに、添加剤パッケージ(すなわち添加剤プラス炭化水素溶媒のような希釈剤)を使用して、すべての成分を一度に溶け込ませてもよい。添加剤パッケージを使用することにより、成分が添加剤パッケージ形態である場合にその組み合わせによって得られる相互の互換性が活用される。また、添加剤パッケージを使用することにより、混合時間が短縮され、また混合エラーが起こる危険性も少なくなる。
【実施例】
【0071】
発明の例および比較例を使用し、本発明についてより詳しく説明する。これらの例は本発明を制限するべきものではなく、むしろ発明の実用性を実証する役割を果たすものである。発明のSTUO組成物をエンジンオイル潤滑剤と区別するため、以下に説明する耐湿性テストおよびウェットブレーキの鳴きのテストを行った。
【0072】
耐湿性
ブレンダー内で潤滑油と水を混合し、その混合物を100mLの遠心分離管内で7日間保存し、その後そのサンプルを遠心分離にかけてオイルの分離を測定することによって潤滑油の水質汚染に対する感度を測定する。添加剤の金属成分の損失に関する油相を化学分析することで、添加剤の損失を測定することもできる。
【0073】
手順:199.2mLのオイルと0.8mLの蒸留水をブレンダー容器に入れる。これをブレンダー内で、13000±1000rpmで60±5秒間混ぜ合わせる。100mLの混合物を、清潔で乾燥した円錐タイプの遠心分離管に速やかに移す。分離管に清潔で乾燥したコルクの栓をする。テストサンプルを光の当たらない部屋にまっすぐに立てて7日間保管する。サンプルを部屋から出し、相対遠心力950±50rcfで60±1分間、遠心分離にかける。管の先端を950±50rcfとするのに必要な遠心速度(rpm)を算出するため、以下の式を使用する:RPM=13335.6rcf/d[d=スウィングの直径(mm)]。テストサンプル中の固体、自由水、およびエマルジョンの体積%と、遠心分離後の添加剤の分離パーセントを記録する。添加剤の金属成分の損失について油相を分析することもできる。
【0074】
ウェットブレーキの鳴き
トラクター用の潤滑剤の、ブレーキのノイズあるいはブレーキ容量に対する効果を、サウスウェスト研究所(Southwest Research Institute(SwRI))から入手される修正版JDQ96ウェットブレーキテストで測定する。この評価では、潤滑剤をテストリングに満たし、JDQ96ウェットブレーキテストで使用される標準的な摩擦材料を用いた1000ブレーキサイクルエンゲージメントをあらかじめ形成する。ブレーキ鳴きの測定を、様々な温度、ブレーキ圧、および車両速度下で行う。次に潤滑剤を排出する。テストスタンドを洗い流し、次の潤滑剤を入れる。50ブレーキサイクルの後ブレーキ鳴きを評価する。トルク変動で測定した鳴きを、ジョンディア(John Deere)の許容範囲内にある参照オイルの鳴きと比較する。同じテスト部品でいくつかの被験体を評価することができる。既知の性能を有する潤滑剤のテストを行って、鳴きの結果が再現可能であることを確認することができる。
【0075】
手順:実験室において、修正されたフルサイズのJD農業用トラクターで、JD工業用車軸に動力を供給する。一つの車軸を回転しないように機械的に抑え、テスト中のブレーキ成分を反対側の車軸枠内におく。広範囲の車軸速度および負荷にわたってブレーキがかけられたときの動力的なトルクの変化を測定するため、サンピニオン軸にはひずみゲージが備えられている。
【0076】
オイル温度32℃、49℃、60℃、および71℃で潤滑剤を評価する。ピストンプレートP−19およびバッキングプレートB−17を使用し、様々なブレーキ圧および車両速度でブレーキの鳴きを測定する。相対的なブレーキ容量およびトルク変化を得るために、各温度でのすべての測定値をまとめる。これらの結果を、潤滑剤としてジョンディアが作った、鳴きが許容レベル内である既知の流体と比較する。鳴きの合格規準は、JDQ96テストに記載されているトルク変動中の参照オイルに対する%で表される。結果が100%である場合は参照オイルの結果と等しく、100%以下の場合は参照オイルよりノイズも鳴きも少なく優れている、また100%以上の場合は参照オイルよりノイズも鳴きも多く、性能が劣っていることを意味する。
【0077】
ミニ−トラクションマシン(MTM)
スチールディスクと摩擦材料の間の摩擦を、ミニ−トラクションマシン(MTM)を用いて測定する。MTMでは、独自に開発したサンプルホルダーを使用して、摩擦材料の小片をボールアームに取り付ける。一辺の摩擦材料とスチールディスクの間に5Nの負荷をかける。スチールディスクが1mm/sから2000mm/sの間で回転している間に、オイルサンプルを温度100℃で維持しながら摩擦を測定する。MTMおよびサンプルホルダーについては、米国特許公開第2006−0272401A1号により詳しく記載されている。
【0078】
4−ボール磨耗テストASTM D−4172
このテスト方法は、4−ボール磨耗テストマシンを用いて、滑り接触における流体潤滑剤の耐磨耗特性の予備評価を行う手順を対象としており、ASTM D−4172に記載されている。
【0079】
手順:三つの直径12.7mmのスチールのボールを一緒に固定し、評価用の潤滑剤に浸す。トップボールと呼ばれる直径12.7mmの四つ目のボールを、三つのポイントで接触して固定されている三つのボールで作られた窪みに、392Nの力で押し付ける。テストする潤滑剤の温度を75℃[167°F]に維持し、トップボールを1200rpmで60分間回転させる。下部に固定された三つのボールについた磨耗傷の平均直径サイズによって、潤滑を比較する。
【0080】
(発明の例および比較例)
発明のSTUO 1
添加剤の合計処理率が5.0重量%となるように、3.0重量%の過塩基性金属スルホン酸塩および0.35重量%の過塩基性金属フェネートを、0.1重量%の有機モリブデン化合物、0.35重量%のリン耐磨耗化合物、そして無灰分散剤、防錆剤、泡消し剤、酸化防止剤、および希釈オイルを含有する1.2重量%のコアパッケージと組み合わせる。添加剤パッケージのTBNは211mg KOH/gである。この混合物を、基油、流動点降下剤、およびSTUO潤滑剤の粘度測定条件を満たすことのできる粘度指数向上剤を含む基油ブレンドに加える。組成されたオイルには、3885ppmの金属含有清浄剤、295ppmのリン、および70ppmのMoが含まれる。組成されたオイルのTBNは10.55mg KOH/gである(表1参照)。この組成物はCDエンジンオイル性能およびGL−4ギアの耐磨耗性および耐極圧(EP)性をもたらす。
【0081】
この潤滑剤を耐湿性テストで評価したところ、7日たってもエマルジョンも沈殿物も見られなかった。ブレーキ鳴きのテストでは、参照オイルの91%のトルク変動値が得られ、認可済みの参照オイルよりも低いトルク変動が記録された(表2参照)。
【0082】
発明のSTUO 2
添加剤の合計処理率が5.1重量%となるように、3.0重量%の過塩基性金属スルホン酸塩および0.35重量%の過塩基性金属フェネートを、0.1重量%の有機モリブデン化合物、0.35重量%のリン耐磨耗化合物、0.1重量%の摩擦低減剤、そして無灰分散剤、防錆剤、泡消し剤、酸化防止剤、および希釈オイルを含む1.2重量%のコアパッケージと組み合わせる。この添加剤パッケージのTBNは212mg KOH/gである。この混合物を、基油、流動点降下剤、およびSTUO潤滑剤の粘度測定条件を満たすことのできる粘度指数向上剤を含む基油ブレンドに加える。組成されたオイルには、3885ppmの金属含有清浄剤、295ppmのリン、および70ppmのMoが含まれる。組成されたオイルのTBNは10.7mg KOH/gである(表1参照)。この組成物はCDエンジンオイル性能およびGL−4ギアの耐磨耗性および耐EP性をもたらす。
【0083】
この潤滑剤を耐湿性テストで評価したところ、7日たってもエマルジョンも沈殿物も見られなかった。ブレーキ鳴きテストでは、参照オイルの59%のトルク変動値が得られ、認可済みの参照オイルよりも低いトルク変動が記録された(表2参照)。
【0084】
比較用CDエンジンオイル
添加剤の合計処理率が4.4重量%となるように、1.2重量%の過塩基性金属スルホン酸塩を、0.9重量%のリン耐磨耗化合物および無灰分散剤、防錆剤、泡消し剤、酸化防止剤、および希釈オイルを含有する2.3重量%のコアパッケージと組み合わせる。この添加剤パッケージのTBNは123mg KOH/gである。この混合物を、基油、流動点降下剤、およびSTUO潤滑剤の粘度測定条件を満たすことのできる粘度指数向上剤を含む基油ブレンドに加える。組成されたオイルには1109ppmの金属含有清浄剤、783ppmのP、および0ppmのMoが含まれる。組成されたオイルのTBNは5.4mg KOH/gである(表1参照)。この組成物はCDエンジンオイル性能をもたらす。
【0085】
この潤滑剤を耐湿性テストで評価したところ、7日後に15mLのエマルジョンが見られた。ブレーキ鳴きテストでは、参照オイルの237%のトルク変動値が得られ、認可済みの参照オイルよりも高いトルク変動が記録された(表2参照)。
【0086】
比較用STUO
添加剤の合計処理率が13.0重量%となるように、2.3重量%の過塩基性金属スルホン酸塩を、1.5重量%の低塩基性金属スルホン酸塩、1.5重量%の低塩基性金属フェネート、1.5重量%のリン耐磨耗化合物、0.7重量%の摩擦低減剤パッケージ、および無灰分散剤、防錆剤、泡消し剤、酸化防止剤、および希釈オイルを含有する5.5重量%のコアパッケージと組み合わせる。この添加剤パッケージのTBNは90mg KOH/gである。この混合物を、基油、流動点降下剤、およびSTUO潤滑剤の粘度測定条件を満たすことのできる粘度指数向上剤を含む基油ブレンドに加える。組成されたオイルには3536ppmの金属含有清浄剤、1521ppmのP、および0ppmのMoが含まれる。組成されたオイルのTBNは11.7mg KOH/gである(表1参照)。この組成物はCDエンジンオイル性能およびGL−4ギアの耐磨耗性および耐EP性をもたらす。
【0087】
この潤滑剤を耐湿性テストで評価したところ、7日たってもエマルジョンも沈殿物も見られなかった。ブレーキ鳴きテストでは、参照オイルの50%のトルク変動値が得られ、認可済みの参照オイルよりも低いトルク変動が記録された(表2参照)。
【0088】
【表1】


【0089】
【表2】


【0090】
クレームの広さを満たす組成物がすべて発明の例と同様の性能を示すことを例証するようにサンプルを生成した。以下の4つの変数を用いてテストを9回を行った(表3参照):
【0091】
【表3】


【0092】
【表4】


【0093】
発明の例および比較例のテスト結果の説明
CD性能レベルを満たすエンジンオイルにとって、水の汚染に耐えることと、ブレーキをかける際のノイズが低いことが必要であるため、トラクターオイルとしての使用に適したものとするためには、これらを特定の方法で組み合わせなければならないことがわかった。STUO潤滑剤に必要とされる耐湿性およびウェットブレーキの鳴きの条件を満たすために、清浄剤からの金属のppmと完全に組成されたオイルのTBNを、特定の比率で組み合わせることができることが発明の例から明らかである。発明のSTUO 2は、摩擦低減剤を加えることで、耐湿性を維持しながらもウェットブレーキの鳴きを低下させられることを実証している。
【0094】
発明の例および比較例の摩擦性能はまた、(1)ミニ−トラクションマシンにおける600m/sにおける摩擦を16m/sにおける摩擦で割った比率、および(2)16m/sにおける動的摩擦によって実証される(以下の表4参照)。トラクターの流体の摩擦係数は、ブレーキノイズを避けるため速度に比例して増加しなくてはならず、また十分なトルク容量を提供するために十分なだけ高くなくてはならない。トルク容量が高すぎる場合もまた、ブレーキの鳴きが増加する可能性があり、磨耗が進む原因となる。これはまた、μ600/μ16m/sと比較CDエンジンオイルとの<1.0の比率とμ600/μ16m/sと発明およびマトリックスの例との>1.0の比率の対比によっても実証される。比較CDエンジンオイル中16m/sにおける動的摩擦係数0.42は、トルク容量が高い、すなわちジョンディアの参照トラクターオイル(一般的なトラクターオイル組成)よりもずっと高いことを示している。オイルの合否を決定するため、ジョンディアの参照トラクターオイル(あるいはジョンディアのウェットブレーキスクリーナーテストオイル)が、参照オイルとして使用される。16m/sにおける動的摩擦係数の結果において、合格するオイルはジョンディアの参照トラクターオイルよりも低い値を持つ。ジョンディアの参照トラクターオイルと比較STUO組成物を比較すると、16m/sにおける動的摩擦係数は0.28から0.12の間であり、これはトラクター用添加剤のトルク容量および摩擦が許容範囲内にあることを示している。発明のSTUOの例およびマトリックスサンプルは、ジョンディアの参照トラクターオイルと比較STUOの間、16m/sで摩擦係数を有する。
【0095】
表3および表4はまた、リンのレベルが約844ppmから約146ppmである発明のSTUOおよびマトリックス9のサンプルにより、良好な磨耗性能(4ボール磨耗テストによって実証されているように)が達成されることを示している。発明のSTUOおよ
びマトリックスサンプルの磨耗傷は0.44mm以下であり、これはトラクター用に耐磨耗性能を提供するのに十分である。
【0096】
発明の例および比較例から、清浄剤からの金属のppmとリン化合物のppmの特定の比率範囲に加え、リン化合物のppmとモリブデン化合物のppmの特定の比率範囲により、耐磨耗性能を維持し組成されたオイル全体のPレベルを最小化しながらも、高レベルの清浄剤をSTUO組成物に組み込むことが可能であることもまた明らかである。発明のSTUO 1およびSTUO 2は、従来のSTUOあるいは比較CDエンジンオイルよりもはるかに低い処理率で組成されたオイルに高TBNをもたらすことのできる、さらに高いTBNをパッケージに提供する。
【0097】
【表5】


【0098】
本開示の他の実施例は、本明細書を検討することおよび本明細書に開示された発明を実施することにより、当技術分野に精通した技術者には明白なものである。本明細書および請求項の英文において使用されている「a」および/または「an」などの単語は、一つのものあるいは一つ以上のものを指す。本明細書および請求項で使用されている、成分の量や、分子量、パーセンテージ、重量パーセント、比率、反応条件などの特性を表す数値はすべて、特記されていない限り、「約」という言葉で修飾されていると理解されるべきである。従って、それに反する指定がない限り、本明細書および請求項で示されている数値パラメータは、開示された実施例によって得ようとされている希望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、また本請求項の範囲に対応する原理の適応を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも使用された有効数字の数と通常の四捨五入の使用を考慮に入れて解釈されるべきものである。開示された実施例の広い範囲を説明する数値の範囲およびパラメータは近似値ではあるが、特定な例において示される数値はできる限り正確に記録されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定に見られる標準偏差の結果必然的に生じる若干のエラーを本質的に含んでいる。本明細および実施例は例示としてのみ解釈され、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項に示される。
【0099】
本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。
【0100】
1.スーパートラクターオイルユニバーサル潤滑組成物であり、
a)粘度指数が少なくとも約95であり、
i)少なくとも一つの金属清浄剤と、
ii)少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤と、
iii)少なくとも一つの油溶性モリブデン化合物
から成る添加剤成分で組成された潤滑粘度のオイルを含み、
b)潤滑油組成物の総重量を基にした、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と潤滑組成物(mg KOH/g)の全塩基価の比率が約210から約450(ppm/mg KOH/g)であることを特徴とし、
c)前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量の比率が約5.0から約20.0(ppm/ppm)であり、また
d)前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量(ppm)と油溶性モリブデン化合物の比率が約0.5から約80.0(ppm/ppm)である、スーパートラクターオイルユニバーサル潤滑組成物。
【0101】
2.前述の金属清浄剤が、カルシウムフェネート、サリチル酸カルシウム、スルホン酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群の中から選択されたものである、上記1に記載の組成物。
【0102】
3.少なくとも二つの金属清浄剤を含む、上記1に記載の組成物。
【0103】
4.前述の少なくとも一つの金属清浄剤が過塩基性スルホン酸カルシウムである、上記1に記載の組成物。
【0104】
5.前述の過塩基性スルホン酸カルシウムの全塩基価が約150から約450である、上記4に記載の組成物。
【0105】
6.モリブデン化合物から得られた前述のモリブデンが約10ppmから約200ppmの量で存在する、上記1に記載の組成物。
【0106】
7.前述のモリブデン化合物が有機モリブデン化合物である、上記1に記載の組成物。
【0107】
8.前述のモリブデン化合物が、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジチオホスフィン酸モリブデン、キサトゲン酸モリブデン、チオキサトゲン酸モリブデン、およびそれらの混合物からなる群の中から選択されたものである、上記7に記載の組成物。
【0108】
9.前述のモリブデン化合物がジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンとして存在する、上記8に記載の組成物。
【0109】
10.少なくとも一つのリンベースの磨耗防止剤が少なくとも一つの金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物を含む、上記1に記載の組成物。
【0110】
11.前述の少なくとも一つの金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物が、少なくとも一つの亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物を含む、上記9に記載の組成物。
【0111】
12.前述の組成物が、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物から得られた約
200から約800ppmのリンを含んでいる、上記10に記載の組成物。
【0112】
13.前述の組成物が、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート化合物から得られた約200から400ppmのリンを含んでいる、上記12に記載の組成物。
【0113】
14.さらに少なくとも一つの有機無灰摩擦低減剤を含む、上記1に記載の組成物。
【0114】
15.前述の少なくとも一つの有機無灰摩擦低減剤がオレイルアミドである、上記14に記載の組成物。
【0115】
16.組成物が約146ppmから約844ppmのリンを含む、上記1に記載の組成物。
【0116】
17.トラクターのブレーキ性能を向上させる方法であり、(1)上記1に記載の潤滑油組成物をトラクターに添加することと、(2)トラクターのウェットブレーキを操作することを含む、トラクターのブレーキ性能を向上させる方法。
【0117】
18.トラクターのエンジンの耐磨耗性を向上させる方法であり、(1)上記1に記載の潤滑油組成物をトラクターのエンジンに添加することと、(2)トラクターのエンジンを操作するステップを含む、トラクターのエンジンの耐磨耗性を向上させる方法。
【0118】
19.スーパートラクターオイルユニバーサル添加剤パッケージであり、
a)金属清浄剤と
b)リンベースの磨耗防止剤と
c)油溶性モリブデン化合物を含み、
d)添加剤パッケージの総重量を基にした、前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と添加剤パッケージ(mg KOH/g)の全塩基価の比率が約210から約450(ppm/mg KOH/g)であることを特徴とし、
e)前述の金属清浄剤から得られた金属の含有量(ppm)と前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量の比率が約5.0から約20.0(ppm/ppm)であり、また
f)前述のリンベースの磨耗防止剤から得られたリンの含有量(ppm)と油溶性モリブデン化合物の比率が約0.5から約80.0(ppm/ppm)であるスーパートラクターオイルユニバーサル添加剤パッケージ。
【0119】
20.添加剤パッケージの全塩基価(TBN)が約125以上である、上記19に記載の組成物。
【出願人】 【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【出願日】 平成19年12月21日(2007.12.21)
【代理人】 【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所

【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉


【公開番号】 特開2008−174742(P2008−174742A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−329806(P2007−329806)