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【発明の名称】 等速ジョイント用グリース組成物及び等速ジョイント
【発明者】 【氏名】近藤 信也

【氏名】谷口 亮

【氏名】谷村 公

【氏名】高部 真一

【氏名】柴田 貴章

【氏名】中条 晋也

【要約】 【課題】150℃〜−40℃の使用範囲において、等速ジョイントの抑温性を向上させ、低温回転トルクを低減させ、耐ブーツ性を改善したグリース組成物;及びこれを封入した等速ジョイントを提供すること。

【解決手段】下記の成分(A)〜(E)を含む等速ジョイント用グリース組成物及びこれを封入してなる等速ジョイント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)〜(E)を含む等速ジョイント用グリース組成物。
(A)脂肪族アルコールと芳香族カルボン酸から製造されたエステル系合成油10〜95%と合成炭化水素油90〜5%を含む基油、
(B)増ちょう剤、
(C)二硫化モリブデン、
(D)硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン及び
(E)ジチオリン酸亜鉛。
【請求項2】
成分(A)の合成炭化水素油がポリα−オレフィンであることを特徴とする請求項1記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項3】
成分(A)のエステル系合成油が炭素数6〜22の脂肪族アルコールと炭素数が8〜22でカルボン酸基を2〜6個有する芳香族カルボン酸とから製造されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項4】
成分(B)の増ちょう剤が、ウレア化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項5】
成分(C)の二硫化モリブデン、成分(D)の硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンおよび成分(E)のジチオリン酸亜鉛の含有量が、グリース組成物の全質量に対して、各々0.1〜10質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなる等速ジョイント。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、等速ジョイントの低温回転トルクを低減し、耐ブーツ性、耐熱性及び抑温性を改善したグリース組成物及びこれを封入した等速ジョイントに関する。詳しくは、等速ジョイントの高速耐久性を改善するとともに、低温起動回転トルクを低減させ、ゴム膨潤性改善による耐ブーツ性の向上及び抑温性を改善したグリース組成物及びこれを封入した等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動車産業界においては、軽量化及び居住空間の確保の観点から、FF車の生産が増加している。また、その機能性の観点から4WD車も増加している。これらFF車や4WD車では、前輪にて動力の伝達と操舵を行うため、例えば、ハンドルを一杯に切った状態でも円滑な動力伝達を行うために、交差する二軸間で交差角が種々変化しても回転運動を等速度で伝達可能な等速ジョイントで構成されたドライブシャフトが使用される。
一方、FR車および4WD車は、エンジンからの動力は、プロペラシャフトを通して後輪のドライブシャフトに伝達される構造となっており、このプロペラシャフトは音、振動の発生源およびその伝達経路として働くことが分っている。従来から使用されてきたカルダンジョイントとスライドスプラインで構成されたプロペラシャフトに代わり、作動角を取っても等速度で回転しながら軸方向にスライドすることが可能な等速ジョイントで構成されたプロペラシャフトが使用されるようになってきた。
近年、自動車の高性能化がますます進み、高出力車が増加していることから、等速ジョイントにかかる負荷も増大し、その潤滑条件がより過酷になる傾向がある。一方で、自動車の乗り心地の向上も更に高度なレベルを要求される傾向にある。
【0003】
特に、プロペラシャフトは、ドライブシャフトに比べ負荷トルクが低い反面、高速回転で使用されるなど使用条件が異なる。そのためプロペラシャフトに使用される等速ジョイントに使用するグリースには、高速耐久性や高速時低振動性など、高速性能の向上が求められる。
高速性能は、等速ジョイントを回転させた時に発生する熱量(温度上昇量)を指標とすることができ、その温度上昇量によりその等速ジョイントの限界使用条件が想定される。発生する熱量は、グリースの摩擦係数に依存する傾向があり、高温下にて優れた抑温効果を発揮するグリースの開発が望まれる。
一方、厳寒地における等速ジョイントの円滑な作動も重要視されている。厳寒地では、低温状態で自動車を始動させることも考えられる。この条件下において、自動車をスムーズに始動させるためにグリースの低温回転トルクを低減することが重要になってくる。
しかし、優れた抑温性、耐久性を持ち、低温回転トルクを十分低減することが可能な等速ジョイント用グリース組成物は未だに提案されていない。
従来、潤滑剤としては基油、ジウレア系増ちょう剤、添加剤としてモリブデン化合物、を含有する等速ジョイント用グリース組成物が提案されている(例えば特許文献1、2、4、5、7、8参照)。
【0004】
特定のトリメリット酸エステル及び増ちょう剤からなるグリースに、硫黄原子を含む化合物を含有するグリース組成物も提案されている(例えば特許文献3参照)。
自動車の等速ジョイントの回転抵抗には等速ジョイントの内部抵抗のほか、ブーツの硬さが大きく影響する。特に低温時、起動トルクや回転抵抗が増大すると、ステアリングなどの操作性の低下につながる。等速ジョイントの回転抵抗を低く抑える目的で、等速ジョイント内部からのグリース漏れや等速ジョイント内部への異物侵入を防止するためのブーツを具備した等速ジョイントにおいて、JIS K 6253デュロメータ硬さAタイプにより、常温時(25℃)で55以下、低温時(−40℃)で85以下の条件を満足するブーツ材料としてシリコーンゴム及びクロロプレンゴム系ブーツ材が提案されている(例えば特許文献6参照)。
しかし、これらの等速ジョイント用グリース組成物では抑温性、低温回転トルクを低減する性能が不十分であり、より安定した性能への改善が望まれる。また、ブーツ材料にシリコーンゴム又はクロロプレンゴム等を使用する場合、耐油性、耐屈曲性、耐水性、耐候性、耐熱性、耐寒性などの性能が要求されるが、これらの各種ゴム系ブーツ材料の長寿命化に役立つグリース組成物の提案は未だ無い。
【0005】
【特許文献1】特開平10−273691
【特許文献2】特開平10−273692
【特許文献3】特開平11−131082
【特許文献4】特開2001−11481
【特許文献5】特開2003−165988
【特許文献6】特開2005−214395
【特許文献7】特開2005−226038
【特許文献8】特開2006−16481
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、150℃〜−40℃の使用範囲において、等速ジョイントの抑温性を向上させ、低温回転トルクを低減させ、耐ブーツ性を改善したグリース組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、上記グリース組成物を封入した等速ジョイントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の成分を含有したグリース組成物が150℃〜−40℃の使用範囲において、等速ジョイントの発熱を抑制し、低温回転トルクを低減し、耐ブーツ性を改善することができるとの知見を得た。本発明の等速ジョイント用グリース組成物はこの知見を基に完成された。
【0008】
即ち、本発明は以下に示す等速ジョイント用グリース組成物及び等速ジョイントを提供するものである。
1.下記の成分(A)〜(E)を含む等速ジョイント用グリース組成物。
(A)脂肪族アルコールと芳香族カルボン酸から製造されたエステル系合成油10〜95%と合成炭化水素油90〜5%を含む基油、
(B)増ちょう剤、
(C)二硫化モリブデン、
(D)硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、及び
(E)ジチオリン酸亜鉛。
2.成分(A)の合成炭化水素油がポリα−オレフィンであることを特徴とする上記1記載の等速ジョイント用グリース組成物。
3.成分(A)のエステル系合成油が炭素数6〜22の脂肪族アルコールと炭素数が8〜22でカルボン酸基を2〜6個有する芳香族カルボン酸とから製造されたものであることを特徴とする上記1又は2記載の等速ジョイント用グリース組成物。
4.成分(B)の増ちょう剤が、ウレア化合物である上記1〜3のいずれか1項記載の等速ジョイント用グリース組成物。
5.成分(C)の二硫化モリブデン、成分(D)の硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンおよび成分(E)のジチオリン酸亜鉛の含有量が、グリース組成物の全質量に対して各々0.1〜10質量%である上記1〜4のいずれか1項記載の等速ジョイント用グリース組成物。
6.請求項1〜5のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなる等速ジョイント。
【発明の効果】
【0009】
本発明の等速ジョイント用グリース組成物は、150℃〜−40℃の使用範囲において、等速ジョイントの抑温性を向上し、低温回転トルクを低減し、耐ブーツ性を改善する。このため、プロペラシャフトの高速回転が可能になり、低温状態で自動車を始動させることができ、厳寒地における等速ジョイントのトラブルを回避することができる。
さらにまた、本発明の等速ジョイント用グリース組成物は、ブーツ材料の劣化を抑え、その長寿命化を達成することができる。
特に高速回転下のガタ量低減に適したクロスグルーブ型等速ジョイントに、より好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る等速ジョイント用グリース組成物は、前記成分(A)〜(E)を必須成分として含むことを特徴とする。以下、これらの各成分について説明する。
【0011】
本発明に使用する成分(A)のエステル系合成油10〜95%と合成炭化水素油90〜5%を含む基油は、他の合成油及び/又は鉱油との混合物であっても良い。他の合成油としてはアルキルジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールに代表されるエーテル系合成油、シリコーン油、フッ素化油などが挙げられる。
成分(A)に使用する合成炭化水素油の好ましい例としては、ポリα‐オレフィン及びポリブテンが挙げられる。
【0012】
成分(A)に使用するエステル系合成油は、脂肪族アルコールと芳香族カルボン酸から製造されたエステル系合成油であり、例えば、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜10の脂肪族アルコールと炭素数が8〜22、好ましくは炭素数が8〜12で、カルボキシル基を2〜6個有する芳香族カルボン酸とから製造することができる。炭素数6〜22の脂肪族アルコールの具体例としては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ノナン−2−オール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、14−メチルヘキサデカン−1−オール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、16−メチルオクタデカノール、イコサノール、イソデシルアルコール、18−メチルノナデカノール、18−メチルイコサノール、ドコサノール、20−メチルヘンイコサノール、2−オクチルドデカノール等の脂肪族アルコールを挙げることができる。
【0013】
好ましくは、1−ヘキサノール、2−エチル−1−ブタノール、1−オクタノール、1−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノナン−2−オール、2−エチル−1−オクタノール、イソデシルアルコール、2−オクチルドデカノール等である。
【0014】
炭素数が8〜12でカルボン酸基を2〜6個有する芳香族カルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、4,5−ジメトキシフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸を挙げることができる。
【0015】
好ましくは、5−メチルイソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸である。
【0016】
以上の脂肪族アルコールと芳香族カルボン酸から製造されたエステル系合成油の具体例としては、例えば、ヘキシルフタル酸エステル、2−エチルブチルフタル酸エステル、オクチルフタル酸エステル、ヘプチルフタル酸エステル、2−オクチルフタル酸エステル、2−エチルヘキシルフタル酸エステル、ノナン−2−オールフタル酸エステル、2−エチルオクチルフタル酸エステル、ノナン−2−オールイソフタル酸エステル、2−エチルオクチルイソフタル酸エステル、オクチル5−メチルイソフタル酸エステル、ノナン−2−オール5−メチルイソフタル酸エステル、ヘキシルテレフタル酸エステル、オクチルテレフタル酸エステル、ヘキシルトリメリット酸エステル、オクチルトリメリット酸エステル、ヘプチルトリメリット酸エステル、2−エチルブチルトリメリット酸エステル、2−エチルヘキシルトリメリット酸エステル、ノナン−2−オールトリメリット酸エステル、イソデシルアルコールトリメリット酸エステル、オクチルベンゼンテトラカルボン酸エステル、ヘプチルベンゼンテトラカルボン酸エステル、ヘキシルベンゼンテトラカルボン酸エステル、2−エチルブチルベンゼンテトラカルボン酸エステル、2−エチルオクチルベンゼンテトラカルボン酸エステル、2−オクチルドデカノールピロメリット酸エステルなどが挙げられる。これらのエステルはいずれも、すべてのカルボン酸がエステル化されたフルエステルである。
【0017】
本発明の基油中、成分(A)のエステル系合成油と合成炭化水素油の合計量は、基油全体に対して40質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
【0018】
本発明に使用する成分(B)の増ちょう剤の好ましい例としては、下記一般式(1)で表されるジウレア系増ちょう剤が挙げられる。
1NH-CO-NH-C64-p-CH2-C64-p-NH-CO-NHR2 (1)
(式中、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数8〜20、好ましくは炭素数8〜18のアルキル基、炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜7のアリール基又は炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜7のシクロアルキル基である。)
【0019】
ジウレア系増ちょう剤は、例えば、所定のジイソシアネートと、所定のモノアミンとを反応させることにより得ることができる。ジイソシアネートの好ましい具体例は、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートである。モノアミンとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン又はこれらの混合物が挙げられる。脂肪族アミンの具体例としては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン及びオレイルアミンが挙げられる。芳香族アミンの具体例としては、アニリン及びp−トルイジンが挙げられる。脂環式アミンの具体例としては、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
成分(B)は、上述したモノアミンのうちオクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン及びオレイルアミン又はこれらの混合物を用いて得られる脂肪族ウレア系増ちょう剤が好ましい。
【0020】
成分(B)の増ちょう剤の含有量は、必要なちょう度を得るのに適切な量であれば良く、通常は、グリース組成物の全質量に対して、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは、5〜20質量%である。
【0021】
本発明に使用する成分(C)の二硫化モリブデンは、一般に、等速ジョイントにおける固体潤滑剤として広く用いられている。その潤滑機構としては、層状格子構造を持ち、すべり運動により薄層状に容易に剪断して、摩擦抵抗を低下させることが知られている。また、等速ジョイントの焼き付き防止にも効果がある。
成分(C)の含有量は、グリース組成物の全質量に対して好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0022】
本発明に使用する成分(D)の硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンの具体例としては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
[R34N−CS−S]2−Mo2mn (2)
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜24、好ましくは2〜18のアルキル基であり、mは0〜3、nは1〜4であり、m+n=4である。)
成分(D)の硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンの含有量は、グリース組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0023】
本発明に使用する成分(E)のジチオリン酸亜鉛としては、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
【0024】
【化1】


(式中、R5は炭素数1〜24のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基である。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。)
【0025】
成分(E)のジチオリン酸亜鉛の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明のグリース組成物には、上記成分に加えて、他の極圧添加剤、酸化防止剤、錆止め剤、防食剤等、通常グリース組成物に使用される添加剤を含有させることができる。
【0026】
本発明に係る等速ジョイントのトルク伝達部材が球体である等速ジョイントとしては、例えば、ツェッパ型、バーフィールド型などの固定型等速ジョイントやダブルオフセット型、クロスグルーブ型などのスライド型等速ジョイントなどが挙げられる。これらは、トルク伝達部材としてボールを用い、等速ジョイントの外輪及び内輪に形成されたトラック上に配置され、ケージを介して組み込まれる構造を成している。
【0027】
本発明に係る等速ジョイントが固定型等速ジョイントである等速ジョイントとしては、例えば、上述のツェッパ型、バーフィールド型などの固定型等速ジョイントなどが挙げられる。
本発明に係る等速ジョイントがスライド型等速ジョイントである等速ジョイントとしては、例えば、上述のダブルオフセット型、クロスグルーブ型などのスライド型等速ジョイントが挙げられ、作動角を取ると同時に軸線方向にスライドすることが可能である。
【実施例】
【0028】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述する。
〔実施例1〜4、比較例1〜8〕
グリース組成物の調製
容器に基油1050gとジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート294.3gをとり、混合物を70〜80℃に加熱した。別容器に、基油460gとオクタデシルアミン605.7gをとり、70〜80℃に加熱後、先の容器に加え、よく攪拌しながら、30分間反応させた。その後、加熱攪拌し放冷後、ベースウレアグリースを得た。このベースウレアグリースに、表2〜表4に示す配合で、添加剤を添加し、適宜基油を加え、得られる混合物を三段ロールミルにて、ちょう度No.1グレードに調整した。
【0029】
評 価
(1)基油粘度
JIS K 2283による
100℃における基油粘度を測定した。
(2)低温トルク(−40℃)
JIS K 2220 18による
−40℃における起動トルクを測定した。
評価基準は下記のとおりである。
起動トルク:1000mN・m未満 良好 ○
1000mN・m以上 不良 ×
(3)耐ブーツ性
JIS K 6258 による
120℃×72時間の体積変化率を測定した。
評価基準は下記のとおりである。
耐ブーツ性:0〜+5%未満 良好 ○
0%以下もしくは+5%以上 不良 ×
【0030】
(4)SRV摩擦係数
テストピース ボール 直径 10mm (SUJ−2)
プレート 直径 24mm×7.85mm (SUJ−2)
評価条件 荷重 500N
周波数 40Hz
振幅 1500μm
時間 60分
試験温度 150℃
測定項目 最終5分間の摩擦係数の平均値
(5)発熱性試験(抑温性)
試験条件 回転数 6000rpm
トルク 200Nm
ジョイント角度 3°
運転時間 100h
ジョイントタイプ クロスグルーブ型ジョイント
測定項目 ジョイント外輪表面温度
評価基準は下記のとおりである。
抑温性:ジョイント温度120℃未満 良好 ○
ジョイント温度120℃以上 不良 ×
【0031】
実施例及び比較例に使用した基油の原料及び配合を表1に示す。
【表1】


【0032】
MoDTC:硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(式2中、R3及びR4は炭素数4のアルキル基、mは0〜3、nは1〜4)
ZnDTP:ジチオリン酸亜鉛(式3中、R5は炭素数3〜6のアルキル基)
実施例及び比較例のグリース組成物の配合成分及び評価結果を表2〜表4に示す。表2〜表4中の各基油成分の欄の括弧内の数字は該成分の基油中の質量%を示す。
【0033】
【表2】








【0034】
【表3】
























【0035】
【表4】


-*5:低温下における起動トルクが1300<と高く回転トルクは測定不能。
【0036】
結果
以上から、脂肪族アルコールと芳香族カルボン酸から製造されたエステル系合成油10〜95%と合成炭化水素油90〜5%を含む基油(A)を使用し、添加剤として成分(C)〜(E)を含む本発明の実施例1〜4の等速ジョイント用グリース組成物は、低温性、耐ブーツ性及び抑温性に優れ、摩擦係数も低い。
これに対して本発明の成分(A)の代わりに脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸から製造されたエステル系合成油を用いた比較例1では、低温性及び耐ブーツ性が劣る。
本発明の成分(A)を含まない比較例2では、低温性が劣る。
基油としてエステル系合成油のみを使用した比較例3及び5では、耐ブーツ性及び抑温性が劣る。
基油として合成炭化水素油のみを使用した比較例4では、耐ブーツ性及び抑温性が劣る。
二硫化モリブデンを含まない比較例6〜7では、抑温性が劣る。
二硫化モリブデン、MoDTC及びZnDTPを含まない比較例8では、抑温性が劣り、焼付きも生じる。
【出願人】 【識別番号】000162423
【氏名又は名称】協同油脂株式会社
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤

【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治

【識別番号】100114007
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 孝二


【公開番号】 特開2008−163201(P2008−163201A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−354712(P2006−354712)