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【発明の名称】 高荷重および線路用途のための固体潤滑剤および摩擦調節剤
【発明者】 【氏名】ケルビン スペンサー チディック

【要約】 【課題】本発明は、水媒体中に、必要に応じて、固体潤滑剤および結合剤を含有する新規潤滑剤および摩擦調節剤を提供することを課題とする。

【解決手段】上記課題は、鋼鉄−鋼鉄間界面(例えば、トラクター−トレーラー連結部、線路−車輪系および他の高荷重用途)を潤滑させるのに適当である。本発明はまた、その摩擦係数が固体潤滑剤よりかなり高くなるように、高いまたは非常に高い正摩擦係数を有する摩擦調節剤を含有する組成物により解決される。本発明は、さらに、水媒体中において、高いまたは非常に高い正摩擦係数を有する結合剤および摩擦調節剤を含有する組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、水媒体中に、結合剤と共に、固体潤滑剤または摩擦調節剤またはそれらの両方を含有する、新規潤滑剤および摩擦調節剤組成物に関し、これは、鋼鉄−鋼鉄間界面(steel-to-steel interface)(例えば、トラクター−トレーラー連結部、線路−車輪系および他の高荷重用途)を潤滑させるのに適当である。
【0002】
本発明はまた、その摩擦係数が固体潤滑剤よりかなり高くなるように、高いまたは非常に高い正摩擦係数を有する摩擦調節剤を含有する上記組成物に関する。
【0003】
本発明は、さらに、水媒体中において、非常に高い正摩擦係数を有する結合剤および摩擦調節剤を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
トラクター−トレーラー連結部、線路−車輪系および他の高荷重用途のための従来の潤滑剤には、グリースがある。しかしながら、グリースは、操作および環境汚染について、重大な制約がある。グリースを塗布した後の連結要素の噛み合わせに続いて、グリースの大部分は、グリースがこの連結部または線路に付着するのが困難なために、直ちに失われる。失われたグリースは、非生物分解性の汚染物として、車両のパイプ部分および地面に落ちる。さらに、グリースは、使用中に消散して、その潤滑性能を、潜在的に危険な状態にまで劣化させる。従って、この既知の消散のために、使用者は、それを補うために、過剰量のグリースを適用することが勧められている。さらに、外気に晒された連結部、線路または車輪は、塵や埃で汚染され得、それにより、粉砕化合物が形成され、これは、それらを清浄にし使用前に再びグリースを塗らないと、ベアリング板の急速な摩耗を引き起こす。
【0005】
典型的には、グリースは、毎週または2週ごとに、再塗布される。グリースの再塗布前の除去は、給水にフラッシュする高圧水蒸気を用いて、達成される。代わりに、より強力な溶媒を使用して、環境上の見地からさらに不適当なグリースを除去してもよい。
【0006】
潤滑剤組成物(とりわけ、固体潤滑剤および重合体媒体を含む)は、グリースの代替物として使用されており、これらの潤滑剤は、金属表面にフィルムを形成する利点があり、従って、付着性が良好である。しかしながら、この潤滑剤が消散するにつれて、この重合体媒体は、依然として、環境を汚染するおそれがある。
【0007】
水性潤滑剤組成物が提案されているが、スイス特許明細書CH 669,207 A5において、実用的ではないとして考慮外にされており、ここで、線路の側面を被覆または塗装するための水性グラファイト分散体を使用する方法が論じられているが、この水性分散体が明らかに容易に取り除かれるので、考慮外にされている。CH669,207 A5の溶液は、とりわけ、上で述べた他の重合体媒体と同じ欠点がある重合体樹脂を含有する組成物である。
【0008】
米国特許第5,173,204号および第5,308,516号では、速度と共に摩擦係数が上がると、それは、負の摩擦特性を有することが知られていると認められている。鋼鉄の線路−車輪輸送系での大きな騒音発生の原因は、直接的には、使用時に生じる一定条件下にて、このような系の車輪が常に線路上を転がらずに、時には、線路に対して滑るという負の摩擦特性の事実による。このことは、カーブにおいて、最も顕著である。このきしみ音およびびびり音をなくす効果的な方法は、その摩擦特性を負から正に変えることによる。この後では、「正の摩擦」との用語は、滑り速度につれて摩擦係数が上がること、および「高い」摩擦係数とは、0.10より大きいことを意味する。
【0009】
摩擦(および騒音)の低下および車輪−線路の摩耗とは別に、摩擦調節剤の使用により、ロール−スティック振動(これは、負の摩擦の存在下にて、線路/車輪界面で生じる)として一般的に知られている振動運動を防止するかなくすことにより、短ピッチ波状摩耗の開始および成長が防止できる。
【0010】
米国特許第5,173,204号および第5,308,516号は、線路−車輪系において、線路−車輪系の全車輪の25%に潤滑剤組成物を塗布すべきであることを教示している。その効果はカーブにて最も顕著であることを考慮すると、充分な潤滑剤が確実に存在するためには、多くの潤滑剤、時間および労力が必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
本発明は、金属用途(例えば、トラクター−トレーラー連結部または線路−車輪系)での高荷重使用のために、付着特性を改良した水ベース潤滑剤および摩擦調節剤組成物を提供する。この潤滑剤組成物または潤滑剤および摩擦調節剤組成物に、以下で規定する結合剤を含有させることにより、この潤滑剤および摩擦調節剤が、連結部、線路または他の表面に結合するのが促進される。従って、この組成物は、それ程頻繁または同じ量で塗布する必要はなく、従って、失われる潤滑剤および摩擦調節剤は少なくなり、環境汚染は減る。
【0012】
他の局面では、本発明はまた、湿潤剤を含有する水ベース潤滑剤組成物を提供する。湿潤剤を含有させると、また、連結部、線路または他の表面へのこの固体潤滑剤の付着性が良好となり、それゆえ、この固体潤滑剤は、うまく塗布できることが確実となる。
【0013】
本発明はまた、湿潤剤を含有する水ベース摩擦調節剤組成物に関する。
【0014】
他の局面では、本発明はまた、線路の問題領域(例えば、カーブまたは傾斜部)と確認された正確な領域に塗布できる水ベース潤滑剤組成物を提供する。一定地点でのこの特定の塗布のために、潤滑剤が引き続いて線路から車輪に移動することは、潤滑剤が線路上の車輪の移動により、線路に沿って広がることを意味するが、主に、一定地点にとどまる。このような正確な塗布の利点には、改良された騒音制御、静止摩擦および低下した短ピッチ波状摩耗の同じ結果を得るために、少ない潤滑剤、時間および労力しか必要としないことがある。
【0015】
さらに他の局面では、本発明は、以前の組成物よりも容易に塗布する潤滑剤組成物を提供する。この潤滑剤組成物は、水ベースであり、それにより、その結合剤が組成物中に存在する水を吸収するので、容易に塗布でき、それにより、金属表面に素早く付着できる。
【0016】
本発明の1局面では、この組成物は、以下を含有する:
(a)少なくとも約24重量%の水媒体;
(b)約8重量%の結合剤;および
(c)少なくとも約2重量%の固体潤滑剤。
【0017】
他の局面では、この潤滑剤組成物は、さらに、改良された高いまたは非常に高い正の摩擦特性を示す摩擦調節剤を含有する。この組成物は、先行特許である米国特許第5,173,204号および第5,308,516号に関して上で述べた鋼鉄−鋼鉄間の転がり−滑り状況に対して解決法を与えるだけでなく、上記の正確な塗布という追加の利点があり、すなわち、これらの特許で述べている同じ結果を達成するのに、少ない潤滑剤、時間および労力しか必要としない。
【0018】
従って、他の局面では、本発明は、水媒体、固体潤滑剤、結合剤および摩擦調節剤を含有する潤滑剤組成物を提供し、これは、前記組成物を用いて潤滑させた転がり−滑り運動における鋼体間に生じる摩擦係数を0.10より大きくし、ここで、前記摩擦係数は、この鋼体間の滑り運動の相対速度の増加につれて、上がる。
【0019】
本発明のさらに他の局面によれば、以下を含有する組成物が提供される:
(a)少なくとも60重量%の水;
(b)少なくとも5重量%の結合剤;および
(c)少なくとも3重量%の摩擦調節剤;
ここで、この組成物は、非常に高い正の摩擦特性を有し、摩擦係数は、2.5%クリープで0.45から30%クリープで0.72までの範囲である。この生成物は、主として、移動車輪の牽引性を高めるのに使用される。
【0020】
さらに、本発明によれば、該潤滑剤組成物または潤滑剤および摩擦調節剤組成物を線路表面に塗布して、それにより、この潤滑剤組成物が、線路と車輪との間の負の摩擦特性を正の摩擦特性に変えるのに効果的とすることにより、鋼鉄線路−車輪系の騒音を低下させる方法が提供される。
【0021】
本発明はまた、短ピッチ波状摩耗を効果的に低減できる組成物を提供する。これは、高い摩擦係数および正の摩擦特性を有する組成物により、達成される。
【0022】
上記組成物は、散布手段により、問題領域として目的とした表面だけへの組成物の塗布が可能になる点で、比較的に非汚染性で経済的であるという利点がある。
【0023】
したがって、本発明は、以下を提供する。
1.鋼鉄−鋼鉄間界面(steel-to-steel interface)を潤滑させるための水ベース潤滑剤組成物であって、該組成物は、以下を含有する:
(a)少なくとも約24重量%の水;
(b)約3〜15重量%の結合剤;および
(c)少なくとも約2重量%の固体潤滑剤。
2.前記組成物が、以下を含有する、項目1に記載の組成物:
(a)24〜88重量%の水;
(b)3〜15重量%の結合剤;および
(c)2〜60重量%の固体潤滑剤。
3.鋼鉄−鋼鉄間界面(steel-to-steel interface)を潤滑させるための水ベース潤滑剤組成物であって、該組成物は、以下を含有する:
(a)少なくとも約24重量%の水;
(b)約3〜15重量%の結合剤;
(c)少なくとも約2重量%の固体潤滑剤;および
(d)少なくとも0.002重量%の湿潤剤を含有する、水ベース潤滑剤組成物。
4.前記組成物が、以下を含有する、項目3に記載の組成物:
(a)24〜88重量%の水;
(b)3〜15重量%の結合剤;および
(c)2〜60重量%の固体潤滑剤。
5.鋼鉄−鋼鉄間界面を潤滑させるための水ベース潤滑剤組成物であって、該組成物は、以下:
(a)少なくとも60重量%の水;
(b)少なくとも5重量%の結合剤;
(c)少なくとも3重量%の固体潤滑剤;および
(d)少なくとも3重量%の摩擦調節剤、
を含有し、ここで、該組成物が、非常に高くかつ正の摩擦の特徴を有する、
水ベース潤滑剤組成物。
6.前記組成物が、以下を含有する、項目5に記載の水ベース潤滑剤組成物:
(a)60〜90重量%の水;
(b)5〜18重量%の結合剤;
(c)3〜24重量%の固体潤滑剤;および
(d)3〜32重量%の摩擦調節剤。
7.鋼鉄−鋼鉄間界面を潤滑させるための水ベース潤滑剤組成物であって、該組成物は、以下を含有する:
(a)少なくとも60重量%の水;
(b)少なくとも5重量%の結合剤;
(c)少なくとも3重量%の固体潤滑剤;
(d)少なくとも3重量%の摩擦調節剤;および
(e)少なくとも0.002重量%の湿潤剤を含有し、ここで、該組成物が、非常に高くかつ正の摩擦の特徴を有する、
水ベース潤滑剤組成物。
8.前記組成物が、以下を含有する、項目7に記載の水ベース潤滑剤組成物:
(a)60〜90重量%の水;
(b)5〜18重量%の結合剤;
(c)3〜24重量%の固体潤滑剤;
(d)3〜32重量%の摩擦調節剤;および
(e)0.002〜2重量%の湿潤剤。
9.水ベース潤滑剤組成物であって、該組成物は、以下:
(a)少なくとも60重量%の水;
(b)少なくとも5重量%の結合剤;および
(c)少なくとも3重量%の摩擦調節剤、
を含有し、ここで、該組成物が、非常に高くかつ正の摩擦の特徴を有する、
水ベース潤滑剤組成物。
10.前記組成物が、以下を含有する、項目7に記載の水ベース潤滑剤組成物:
(a)60〜90重量%の水;
(b)5〜18重量%の結合剤;および
(c)3〜32重量%の摩擦調節剤。
12.前記組成物が、以下を含有する、項目7に記載の水ベース潤滑剤組成物:
(a)60〜90重量%の水;
(b)5〜18重量%の結合剤;
(c)3〜32重量%の摩擦調節剤;および
(d)0.002〜2重量%の湿潤剤
を含有し、ここで、該組成物が、非常に高くかつ正の摩擦の特徴を有する、
水ベース潤滑剤組成物。
13.前記摩擦係数が、2.5%までのクリープレベルで、約0.45まで上がる、項目5〜12のいずれかに記載の組成物。
14.クリープレベルが約2.5%から約30%まで上がるにつれて、前記摩擦係数が、約0.45から約0.72まで上がる、項目5〜12に記載の組成物。
15.前記固体潤滑剤が、1種またはそれ以上のモリブデンジスルフィドまたはグラファィトである、項目1〜82に記載の組成物。
16.前記固体潤滑剤が、モリブデンジスルフィドである、項目1〜8に記載の組成物。
17.前記結合剤が、ナトリウムモンモリロナイトである、項目1〜12に記載の組成物
18.前記湿潤剤が、ノニルフェノキシポリオールである、項目3、4,7,8,11または12に記載の組成物。
19.前記摩擦調節剤が、0.5〜5ミクロンの範囲の粒径を有する、項目5〜8に記載の組成物。
20.前記摩擦調節剤が、1〜2ミクロンの範囲の粒径を有する、項目5〜8に記載の組成物。
21.前記摩擦調節剤が、10ミクロンの粒径を有する、項目9〜12に記載の組成物。
22.以下を含有する、水ベース潤滑剤組成物:
(a)24〜88重量%の水;
(b)3〜15重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)2〜60重量%のモリブデンジスルフィド;および
(d)0.002〜2重量%のノニルフェノキシポリオール。
23.以下を含有する、水ベース潤滑剤組成物:
(a)55〜88重量%の水;
(b)5〜8重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)2〜18重量%のモリブデンジスルフィド;および
(d)0.002〜2重量%のノニルフェノキシポリオール。
24.以下を含有する、水ベース潤滑剤組成物:
(a)60〜90重量%の水;
(b)5〜18重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)3〜24重量%のモリブデンジスルフィド;
(d)3〜24重量%のケイ酸マグネシウム;および
(e)0.002〜2重量%のノニルフェノキシポリオール、
ここで、該モリブデンジスルフィドおよびケイ酸マグネシウムは、該組成物の得られた摩擦係数が、転がり−滑り接触での鋼体間のクリープレベルが約2.5%から約30%まで上がるに伴って、約0.17〜約0.35の範囲内になるように、1:1の比で存在する。
25.以下を含有する、水ベース潤滑剤組成物:
(a)60〜90重量%の水;
(b)5〜18重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)3〜32重量%の無水ケイ酸アルミニウム;および
(d)0.002〜2重量%のノニルフェノキシポリオール、
ここで、該組成物の得られた摩擦係数は、転がり−滑り接触での鋼体間のクリープレベルが約2.5%から約30%まで上がるに伴って、約0.45〜約0.72の範囲となる。
26.鋼鉄表面を潤滑させるのに使用する、項目1に記載の組成物。
27.項目1〜12および22〜25に記載の潤滑剤組成物を用いて、摩擦および摩耗を低下させるために、金属表面を潤滑させる方法であって、該方法は、該潤滑剤組成物のビードを、該金属表面に置き、そして水を蒸発させることを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の特定の実施態様の詳細な説明
一般に、この潤滑剤および摩擦調節剤組成物は、水、固体潤滑剤、必要なら、結合剤、およびある実施態様では、摩擦調節剤および/または湿潤剤からなる水ベース組成物である。
【0025】
この潤滑剤および摩擦調節剤組成物は、1種以上の固体潤滑剤および必要なら摩擦調節剤を選択することにより、調合できる。固体潤滑剤および摩擦調節剤の例は、以下のリストから見いだされ得るが、これらに限定されない。
【0026】

固体潤滑剤
モリブデンジスルフィド
グラファイト
ステアリン酸アルミニウム
ステアリン酸亜鉛
炭素化合物(炭塵、炭素繊維など)

好ましい固体潤滑剤は、モリブデンジスルフィドおよびグラファイトである。
【0027】

摩擦調節剤
炭酸カルシウム
炭酸マグネシウム
ケイ酸マグネシウム
硫酸バリウム
硫酸カルシウム
アスベスト
ケイ酸アルミニウム
シリカ
非晶質シリカ
天然に存在するシリカ
スレート粉
ケイソウ土
粉砕石英
シリカ粉
鉛白
塩基性炭酸鉛
酸化亜鉛
酸化アンチモン
ドロマイト
亜硫酸カルシウム
ナフタレンシネマイト(synemite)
ポリエチレン
マイカ

この摩擦調節剤は、もしあれば、好ましくは、粉末化鉱物を含む。高い正摩擦潤滑剤組成物のための摩擦調節剤は、約0.5ミクロン〜約5ミクロンの範囲の粒径を有し得、好ましくは、約1ミクロン〜約2ミクロンの範囲の粒径を有する。非常に高い正の摩擦調節剤組成物は、10ミクロンの粒径を有する。
【0028】
この摩擦調節剤は、この固体潤滑剤の摩擦係数よりも相当に高い摩擦係数を有するべきである。示された摩擦係数値は、転がり−滑り接触での鋼体間で生じるものである。高い正の摩擦調節剤組成物は、0.10より大きい摩擦係数を生じ、ここで、該摩擦係数は、鋼体間の滑り運動の相対速度が増すにつれて、上がる。例えば、いずれの様式でも限定するつもりはないが、本発明の組成物の摩擦係数は、転がり−滑り接触での鋼体間のクリープレベルが約2.5%から約30%に上がるにつれて、約0.17〜約0.35の範囲であり得る。非常に高い正の摩擦については、本発明による潤滑剤組成物の鋼鉄−鋼鉄間摩擦係数は、クリープが約2.5%から約30%に上がるにつれて、約0.45から約0.72に上がるべきである。特定の組成物は、非常に高い正の摩擦特性を生じるために、摩擦調節剤を含有するが、固体潤滑剤は含有しない。
【0029】
本明細書中の結合剤との用語は、水を吸収して線路に付着できる形状の粒子に物理的に膨潤する親水性試薬を意味するように定義されている。この結合剤は、連続相マトリックスを作り、これは、非連続相マトリックスにこの固体潤滑剤を分散させるかまたは該固体潤滑剤を保持することにより、固体潤滑剤、摩擦調節剤および他の化合物を金属表面に結合させることができる。この結合剤は、この組成物を金属表面に置いたとき、それが一定構造を有し、この組成物上を車輪が動いた後、その完全性を維持するように、剛性を有する。結合剤の例には、ベントナイト(ナトリウムモンモリロナイト)のような粘土およびカシン(casine)が包含されるが、これらに限定されない。
【0030】
また、必要に応じて、線路または連結部に既にあるグリースとこの組成物とを混合させるために、防腐剤、湿潤剤および添加剤が含有される。アンモニアのような防腐剤は、この潤滑剤組成物を防腐するために、使用される。ブトキシエタノールのようなアルコールを使用してもよい。
【0031】
本明細書中で使用される湿潤剤との用語は、この固体潤滑剤粒子が、この結合剤および固体潤滑剤のマトリックス内において、水に取り囲まれることを可能にする流動剤を意味するように定義される。この湿潤剤は、表面張力を低下させるのを助け、この固体潤滑剤を線路または他の表面の割れ目に入れ、また、良好な付着性が得られるように、このグリースを乳化する。湿潤剤の一例には、ノニルフェノキシポリオールが挙げられるが、これに限定されない。
【0032】

調製方法
具体的な潤滑剤または摩擦調節剤組成物は、以下の方法に従って調製できる。高速混合機下、室温で、混合ドラムにて、水の35%に、結合剤(すなわち、ベントナイト(ナトリウムモンモリロナイト))および湿潤剤(すなわち、ノニルフェノキシポリオール)をゆっくりと添加する。これらの成分を、濃厚ゲルが形成されるまで、充分に混合すべきである。混合を継続し、次いで、成分の残りを以下の順序で添加する:水(残りの65%)、アンモニア、エーテルE.B.(もしあれば)、他の任意の液状物、必要な固体潤滑剤(すなわち、モリブデン)、および他の任意の固形物。これらの成分は、この固体潤滑剤がよく分散されることを確実にするために、滑らかになるまで、完全に混合すべきである。
【0033】
得られた組成物は、濃厚でチキソトロピー性の(thixotropic)液体であり、これは、放置するとゼリー様となるが、攪拌するかポンプ上げすると、その粘度は低下する。この組成物は、その連続相が結合剤であるマトリックスであり、これはまた、非連続相である固体潤滑剤を含有する。
【0034】
上記組成物は、当業者に認められている手段(例えば、ポンプまたは刷毛)によって、連結部または線路の表面などに塗布できる。この組成物は、この組成物のフィルムが線路上に一様に展開されるように、塗布される。該フィルムは、好ましくは、およそ1/8インチの直径のビードである。
【0035】
この結合剤は、この組成物中の水を吸収することにより、作用する。時間の経過と共に、この組成物は乾燥して、固体ビードが残り、それにより、線路に対するこの潤滑剤および摩擦調節剤の付着性は、以前に使用されているグリースまたは重合体潤滑剤組成物よりも高くなる。この結合剤は、さらに、車輪が線路上を走った後、この潤滑剤および摩擦調節剤が一様に分散された状態に保ち、また、水の再吸収を低下させる。従って、この組成物は雨によって容易に除去されない。
【0036】
本発明の組成物に対する所望の摩擦係数レベルは、高摩擦係数を有する適当な量の摩擦調節剤と、非常に低い摩擦係数を有する固体潤滑剤とを比例的に混合することにより、得られる。この固体潤滑剤および摩擦調節剤は、好ましくは、この組成物中にて、高い正の摩擦組成物のために、ほぼ同量で存在しているが、非常に高い正の摩擦特性を得るためには、異なる量または固体潤滑剤なしで存在していてもよい。
【0037】
以下は、実施例のみによって示されており、限定様式で解釈されることを意図していないが、本発明の実施態様による組成物を例示する。
【実施例】
【0038】
実施例1
水ベースの高い正摩擦潤滑剤組成物は、以下を含有する:
(a)80.193重量%の水;
(b)8.940重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)0.004重量%のアンモニア;
(d)0.002重量%のノニルフェノキシポリオール;
(e)4.930重量%のモリブデンジスルフィド;および
(f)4.93重量%のケイ酸マグネシウム。
これは、上記のように調製される。
【0039】
北米の重貨物鉄道で、上記組成物を試験したところ、線路の頂部およびゲージ面において、騒音レベルが20デシベル低下することが分かった。
【0040】
上で開示した1種以上の別の潤滑剤および摩擦調節剤を選択することにより、類似の潤滑剤組成物を調合できる。
【0041】

実施例2
水ベースの非常に高い正摩擦組成物(潤滑剤を添加せず)を、以下の成分を用いて、上記のように調製した:
(a)85.254重量%の水;
(b)9.450重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)0.004重量%のアンモニア;
(d)0.002重量%のノニルフェノキシポリオール;
(e)5.20重量%の無水ケイ酸アルミニウム;および
(f)0.09重量%の四酸化三鉄(着色剤として)。
【0042】
この組成物を試験したところ、その相対転がり速度(クリープ)が0から約2.5%に上がるとき、0〜0.45の範囲の正の鋼鉄−鋼鉄間摩擦特性を生じ、これは、クリープが約30%まで上がるにつれて、約0.72まで上がることが分かった。これらの摩擦係数レベルは、実質的に、従来の潤滑剤で得られた鋼鉄−鋼鉄間摩擦係数レベルより上であり、米国特許第5,173,204号および第5,308,516号で開示の潤滑剤組成物のもの以上である。
【0043】

実施例3
水ベースの第5の車輪潤滑剤組成物を、以下の成分を用いて、上記のように調製した:
(a)58.994重量%の水;
(b)8重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)0.004重量%のアンモニア;
(d)0.002重量%のノニルフェノキシポリオール;
(e)3重量%のブトキシエタノール;および
(f)30重量%のモリブデンジスルフィド。
【0044】
この潤滑剤を、車輪の踏み面の表面に塗布したとき、この組成物は、この潤滑剤の付着性に関して、著しい改良を示した。試験により、この第5の車輪組成物は、従来の潤滑剤よりも5〜10倍のオーダーで、相当に長く保持され、すなわち、相当に長いマイル数で保持されることが明らかとなった。
【0045】

実施例4
水ベースの低摩擦係数潤滑剤組成物を、以下の成分を用いて、上記のように調製した:
(a)79.502重量%の水;
(b)12.621重量%のナトリウムモンモリロナイト;
(c)0.004重量%のアンモニア;
(d)0.002重量%のノニルフェノキシポリオール;
(e)3重量%のブトキシエタノール;および
(f)4.871重量%のモリブデンジスルフィド。
【0046】
実施例1に記述のものと類似の試験を行ったところ、類似の結果が記録された。
【0047】
本発明は、本明細書中において、特定の実施例および実施態様に関連して開示されていると理解される。しかしながら、当業者に使用できるような変更、改良または等価物を含むことを意図している。従って、この開示は、限定というよりもむしろ例示として解釈されるべきであり、当業者に明らかな本発明の原則に入るこのような変更は、請求の範囲の範囲内に含まれることを意図している。
【出願人】 【識別番号】508019872
【氏名又は名称】ケルサン テクノロジーズ コーポレイション
【出願日】 平成20年1月18日(2008.1.18)
【代理人】 【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策

【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明

【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹


【公開番号】 特開2008−144183(P2008−144183A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2008−9824(P2008−9824)