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【発明の名称】 トリアゾール化合物を含んでなる潤滑剤用添加剤組成物並びにその使用法
【発明者】 【氏名】デイビツド・エイ・ハツチソン

【氏名】ロバート・テイ・デイトマイアー

【要約】 【課題】鉛腐食保護の改良された添加剤パッケージ組成物の提供。

【解決手段】ヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる添加剤パッケージ組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈剤;及び
ヒドロカルビル置換トリアゾール化合物
を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、及び更にリン含有化合物を実質的に含まない、
添加剤パッケージ組成物。
【請求項2】
トリアゾール化合物が添加物パッケージ組成物の全重量に対して約0.1−約5重量%の範囲の量で存在する、請求項1の添加物パッケージ組成物。
【請求項3】
分散剤、清浄剤、磨耗防止剤、補充酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防食剤、防錆剤、消泡剤、膨潤防止剤、及び摩擦調整剤から選択される1種またはそれ以上の付加的添加剤を更に含んでなる、請求項1の添加物パッケージ組成物。
【請求項4】
トリアゾール化合物が1,2,4‐トリアゾール化合物である、請求項1の添加物パッケージ組成物。
【請求項5】
1,2,4‐トリアゾール化合物が式I
【化1】


[式中、R、R及びRは独立に水素原子及び炭素数が少なくとも3の
ヒドロカルビル基から選択される]
の化合物である、請求項4の添加物パッケージ組成物。
【請求項6】
が直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基であり、そしてR及びRが水素原子である、請求項5の添加物パッケージ組成物。
【請求項7】
トリアゾール化合物が式II
【化2】


[式中、R及びRは独立に水素及びC−C50直鎖または分岐鎖アルキル
基から選択され、但しR及びRの少なくとも1つは水素ではない]
の化合物である、請求項1の添加物パッケージ組成物。
【請求項8】
及びRが独立にC−C12直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される、請求項7の添加物パッケージ組成物。
【請求項9】
多量の基油;及び
少量のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物
を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更にリン含有化合物を実質的に含まない、
潤滑剤組成物。
【請求項10】
トリアゾール化合物が1,2,4‐トリアゾール化合物である、請求項9の潤滑剤。
【請求項11】
1,2,4‐トリアゾール化合物が式I
【化3】


[式中、R、R及びRは独立に水素原子及び炭素数が少なくとも3の
ヒドロカルビル基から選択される]
の化合物である、請求項10の潤滑剤。
【請求項12】
が直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基であり、そしてR及びRが水素原子である、請求項11の潤滑剤。
【請求項13】
トリアゾール化合物が式II
【化4】


[式中、R及びRは独立に水素及びC−C50直鎖または分岐鎖アルキル
基から選択され、但しR’及びR”の少なくとも1つは水素ではない]
の化合物である、請求項9の潤滑剤。
【請求項14】
R’及びR”が独立にC−C12直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される、請求項13の潤滑剤。
【請求項15】
トリアゾール化合物が組成物の全重量に対して約0.005−約0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項9の潤滑剤。
【請求項16】
分散剤、磨耗防止剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、消泡剤、流動点降下剤、及び粘度指数向上剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含んでなる、請求項9の潤滑剤。
【請求項17】
多量の基油;及び少量のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更にリン含有化合物を実質的に含まない、潤滑剤組成物を機械に供給する、但し
該潤滑剤組成物が、同一の機械運転条件下に同一の期間使用した場合、トリアゾール化合物を含まない同一の組成物に比べて改良された鉛腐食保護を提供する、
ことを含んでなる、潤滑剤組成物の鉛腐食保護を改良する方法。
【請求項18】
トリアゾール化合物が1,2,4‐トリアゾール化合物である、請求項17の方法。
【請求項19】
機械がスパーク点火及び圧縮点火内燃機関からなる群から選択される、請求項17の方法。
【請求項20】
エンジンがジーゼルエンジン、マリンエンジン、ロータリーエンジン、タービンエンジン、機関車エンジン、プロパルジョンエンジン、航空機ピストンエンジン、静置型発電エンジン、連続型発電エンジン、銀部品を含んでなるエンジン、及び鉛部品を含んでなるエンジンからなる群から選択される、請求項19の方法。
【請求項21】
機械が中速ジーゼルエンジンである、請求項17の方法。
【請求項22】
多量の基油;及び少量のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更にリン含有化合物を実質的に含まない、潤滑油組成物を機械に供給する、ことを含んでなる、機械の運転法。
【請求項23】
機械がスパーク点火及び圧縮点火内燃機関からなる群から選択される、請求項22の方法。
【請求項24】
エンジンがジーゼルエンジン、マリンエンジン、ロータリーエンジン、タービンエンジン、機関車エンジン、プロパルジョンエンジン、航空機ピストンエンジン、静置型発電エンジン、連続型発電エンジン、銀部品を含んでなるエンジン、及び鉛部品を含んでなるエンジンからなる群から選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
機械が中速ジーゼルエンジンである、請求項22の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの駆動部を、多量の基油;及び少量のトリアゾール化合物を含んでなる潤滑剤組成物と接触させる、但し
該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更に該組成物がリン含有化合物を実質的に含まない、
機械の少なくとも1つの駆動部分を潤滑する方法。
【請求項27】
機械がスパーク点火及び圧縮点火内燃機関からなる群から選択される、請求項26の方法。
【請求項28】
エンジンがジーゼルエンジン、マリンエンジン、ロータリーエンジン、タービンエンジ
ン、機関車エンジン、プロパルジョンエンジン、航空機ピストンエンジン、静置型発電エンジン、連続型発電エンジン、銀部品を含んでなるエンジン、及び鉛部品を含んでなるエンジンからなる群から選択される、請求項27の方法。
【請求項29】
機械が中速ジーゼルエンジンである、請求項26の方法。
【請求項30】
希釈剤;及び
式II
【化5】


[式中、R’及びR”は独立に水素及びC−C50直鎖または分岐鎖アルキル
基から選択され、但しR’及びR”の少なくとも1つは水素ではない]
のトリアゾール化合物、
を含んでなる、添加物パッケージ組成物。
【請求項31】
添加剤パッケージがジアルキルジチオリン酸亜鉛を本質的に含まない、請求項30の添加物パッケージ組成物。
【請求項32】
トリアゾール化合物が添加物パッケージ組成物の全重量に対して約0.1−約5重量%の範囲の量で存在する、請求項30の添加物パッケージ組成物。
【請求項33】
分散剤、清浄剤、磨耗防止剤、補充酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防食剤、防錆剤、消泡剤、膨潤防止剤、及び摩擦調整剤から選択される1種またはそれ以上の付加的添加剤を更に含んでなる、請求項30の添加物パッケージ組成物。
【請求項34】
R’及びR”が独立にC−C12直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される、請求項30の添加物パッケージ組成物。
【請求項35】
多量の基油;及び
少量の式II
【化6】


[式中、R’及びR”は独立に水素及びC−C50直鎖または分岐鎖アルキル
基から選択され、但しR’及びR”の少なくとも1つは水素ではない]
のトリアゾール化合物、
を含んでなる、潤滑剤組成物。
【請求項36】
潤滑剤がジアルキルジチオリン酸亜鉛を本質的に含まない、請求項35の潤滑剤。
【請求項37】
R’及びR”が独立にC−C12直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される、請求項35の潤滑剤。
【請求項38】
トリアゾール化合物が組成物の全重量に対して約0.005−約0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項35の潤滑剤。
【請求項39】
分散剤、磨耗防止剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、消泡剤、流動点降下剤、及び粘度指数向上剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含んでなる、請求項35の潤滑剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤及び潤滑剤組成物並びにその使用法に関する。更に特に本発明は、トリアゾール化合物を含んでなる添加剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛及び鉛合金が多種類のエンジン及びその他の機械に使用されていることは公知である。例えば鉛合金は、スパーク点火及びジーゼルエンジンとも言われる圧縮点火内燃機関に使用される主ベアリングを含めて、多くの用途で使われるベアリングに使用されている。
【0003】
鉛含有エンジンで使用される潤滑剤は、望ましくない鉛腐食(lead corrosion)を引き起こすことが観察されてきた。これらの潤滑剤処方物によって引き起こされる鉛腐食を減じるために、鉛腐食防止剤が知られているが、鉛腐食は依然として問題になっている。従って、改良された鉛腐食保護を提供する技術においては新規な鉛腐食防止剤が望まれている。
【0004】
一般に金属腐食はジーゼルエンジンにおいて特別な問題となる傾向がある。種々のジーゼルエンジン種の中には、数千馬力(例えば2000−10000馬力)の必要な用途に使用される中速(medium speed)ジーゼルエンジンがある。これを損傷する環境では、オイルの酸化が起こり、これがエンジンに存在する金属の腐食をもたらす。
【0005】
いくつかの中速ジーゼルエンジンは、銀部品、例えば銀ベアリングも使っている。かくして酸化に対する安定性及びスラッジ及び炭素質デポジットの生成に対する保護を提供することとは別に、中速ジーゼルエンジンでの使用が意図される潤滑組成物は、エンジン中の銀ベアリングがオイルの添加剤により或いは長期のエンジン運転で生じた分解生成物により攻撃されないようにするために、特殊の銀保護剤をしばしば処方している。よく銀減摩剤(lubricity agent)とも言われるそのような試剤は極圧、磨耗及び腐食に対して保護をする。
【0006】
典型的なエンジン潤滑組成物は、例えば洗浄剤、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、極圧剤及び磨耗防止剤を含んでいる。最も普通に使用される極圧剤及び磨耗防止剤は硫黄を含む試剤、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)である。しかしながら、いくつかの硫黄含有試剤が銀ベアリングを損傷する傾向が知られているために、それが銀部品を含むエンジンで使用できないことは十分公知である。この認識された傾向は例えば特許文献1で説明されている。それ故に酸化保護を提供し且ついくつかの場合には潜在的に損傷性の含硫黄極圧剤または磨耗防止剤を本質的に含まない、一方で同時に鉛のような金属の腐食を保護する潤滑剤組成物を発見することは望ましい。
【特許文献1】米国特許第4,428,850号
【発明の概略】
【0007】
本開示によれば、本発明の1つの観点は添加物パッケージ組成物に関する。本添加物パッケージ組成物は、希釈剤及びヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更に該組成物がリン含有化合物を実質的に含まない、ものである。
【0008】
本発明の他の観点は、潤滑剤組成物に関する。本潤滑剤組成物は、多量の基油及び少量
のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物
を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更にリン含有化合物を実質的に含まない、ものである。
【0009】
本発明の他の観点は、潤滑剤組成物による鉛腐食保護の改良法に関する。本方法は、多量の基油及び少量のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更にリン含有化合物を実質的に含まない、潤滑組成物を機械に供給することを含んでなる。この潤滑組成物は、同一の機械運転条件下に同一の期間使用した場合、トリアゾール化合物を含まない同一の組成物に比べて改良された鉛腐食保護を提供する。
【0010】
本発明の他の観点は、機械の運転法に関する。本方法は、多量の基油及び少量のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更にリン含有化合物を実質的に含まない、潤滑組成物を機械に供給することを含んでなる。
【0011】
本発明の他の観点は、機械の少なくとも1つの駆動部分を潤滑する方法に関する。本方法は、少なくとも1つの駆動部を、多量の基油及び少量のトリアゾール化合物を含んでなる潤滑剤組成物と接触させる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでなく、且つ更に該組成物が実質的にリン含有化合物を実質的に含まない、ことを含んでなる。
【0012】
本発明の更なる具体例及び利点は、以下の記述で一部言及されるであろうし、及び/または本開示の実施で認識することができる。上述の一般的な記述と以下の詳細な記述は単なる例示且つ説明のためであり、それが本開示を特許請求の範囲のように限定するものでないことを理解すべきである。
【発明の詳細な開示】
【0013】
本発明は、一般に多量の基油及び少量のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物を含んでなる、但し該トリアゾール化合物がアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンでない潤滑組成物に関する。いくつかの具体例において、本組成物は、以下詳細に議論するように、リン含有化合物を実質的に含まない。本発明のトリアゾール化合物は、酸化保護の向上、鉛腐食の低減、銀腐食の低減、及び銅腐食の低減を含む利点の1つまたはそれ以上を潤滑剤組成物に提供できる。
【0014】
本明細書で使用するごとき、“多量”とは、組成物の全重量に対して50重量%またはそれ以上、例えば約80−約98重量%の量を意味すると理解すべきである。更に本明細書で用いる“少量”とは、組成物の全重量に対して50重量%以下の量を意味するものと理解すべきである。
【0015】
本発明の組成物で使用するのに適当なトリアゾール化合物は、アルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールまたはオレイル‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐アミンを除くヒドロカルビル置換トリアゾール化合物のいずれかである。いくつかの具体例において、トリアゾール化合物は1,2,3‐トリアゾール化合物である。他の具体例において、トリアゾール化合物は1,2,4‐トリアゾール化合物である。
【0016】
1,2,4‐トリアゾール化合物の適当な、限定するものではない例は、式I
【化1】


[式中、R、R及びRは独立に水素原子及びヒドロカルビル基から選択される]の化合物を含む。適当なヒドロカルビル基の例は、アルキル基、アルキルアミン基、アルケニル基、アルケニルアミン基、及びアリール基から選択される直鎖、分岐鎖、または環式基を含む。式Iのある具体例においては、Rが直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基であり、R及びRが水素である。
【0017】
例えばある具体例において、トリアゾールは式II
【化2】


の化合物であってよい。
【0018】
上式中、R及びRは独立に水素及びヒドロカルビルから選択され、但しR及びRの少なくとも1つは水素ではない。適当なヒドロカルビル基の例は、C−C50直鎖、分岐鎖、または環式のアルキル基、C−C50直鎖、分岐鎖、または環式のアルケニル基、及び置換及び未置換アリール基、たとえばフェニル基、トリル基及びキシリル基を含む。
【0019】
本明細書で使用するのに適当なトリアゾール化合物の例は、R及びRの両方が直鎖または分岐鎖C−C12アルキル基、例えばイソブチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘプチル基、及び3−プロピルヘプチル基から選択される式IIのトリアゾール化合物である。1つのそのような適当な化合物は、商品名イルガメト(IrgametR))30としてチバ(Ciba)から入手できる。
【0020】
本明細書で使用するごとき“ヒドロカルビル基”または“ヒドロカルビル”とは、同業者には公知の通常の意味で使用される。特にそれは、炭素原子が分子の残りに直接結合している且つ主に炭化水素特性を有している基に関するものである。ヒドロカルビル基の例は次のものを含む:
(1)炭化水素置換基、すなわち脂肪族(例えばアルキルまたはアルケニル)、脂環族(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)、及び芳香族、脂肪族、及び脂環族置換の芳香族置換基、並びに環が分子の他の部分によって完成している環式置換基(例えば2つの置換基が一緒になって脂環族基を形成)、
(2)置換された炭化水素置換基、すなわち本明細書での記述の関連において主たる炭化水素置換基を変更させない非炭化水素基(例えばハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、及びスルホキシ)を含む置換基、
(3)ヘテロ置換基、すなわち本記述との関連において、主たる炭化水素特性を有しつつ、さもなければ炭素原子からなる環または鎖に、炭素以外のものを含む置換基。ヘテロ原子は硫黄、酸素、窒素を含み、そしてピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリルのような置換基を包含する。一般には、ヒドロカルビル基中の炭素原子10個ごとにたった2つのまたは更なる例としてはたった1つの非炭化水素置換基が存在するであろう。いくつかの具体例ではヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しないであろう。
【0021】
ヒドロカルビル置換トリアゾール化合物は、同業者は容易に決定することができる有効量で潤滑剤組成物に存在することができる。ある具体例において本発明の潤滑組成物は、潤滑組成物の全重量に対して約0.005−約0.5重量%またはそれ以上、例えば約0.01−約0.1重量%のトリアゾール化合物を含んでなる。他の具体例において、本発明の潤滑剤組成物は、潤滑組成物の全重量に対して約0.02−約0.05重量%のトリアゾール化合物を含んでなる。
【0022】
以下により詳細に議論される添加剤組成物を含めて、本明細書に開示される潤滑剤組成物は、添加剤、例えば分散剤、灰分含有清浄剤、無灰分清浄剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、摩擦調整剤、極圧剤、防錆剤、補充酸化防止剤、補充防食剤、消泡剤、及びこれらの組合せ物を随時含有することができる。
【0023】
いくつかの具体例において、例えば潤滑剤組成物がZDDP磨耗防止剤を含まない場合、随意の添加剤は補充防食剤を含むことができる。そのような防食剤の非限定的な例は、例えば全開示が本明細書に参考文献として引用される米国特許第4,948,523号に教示されている銀保護剤、例えばアミノグアニジンモノオレアミド化合物を含む。本発明の組成物に含ませうる補充防食剤/分散剤の他の例は、本発明の別種の第2のトリアゾール化合物を含んでいてよい、適当な第2のトリアゾール化合物の1つの例は、両特許共に全体が本明細書に参考文献として引用される米国特許第5,174,915号及び第4,871,465号に教示されるビス‐3‐アミノ1,2,4−トリアゾール化合物である。可能な更なるトリアゾールの他の例は、開示が上述したように本明細書に参考文献として引用される米国特許第4,948,523号に議論されるオレイル‐1,2,4−トリアゾール‐3‐アミンを含む。適当なトリアゾールの更に他の例は、全体が本明細書に参考文献として引用される共願特許願[代理人処理予定事項表第0013.0111号、第0013.0084号、及び第3.0090号]に開示されているものを含む。そのような補充防食剤は、例えば銀部品を含む機械において及び中速ジーゼルエンジン(銀部品を含む、含まないに関わらず)において有用である。
【0024】
ある具体例において、本発明の潤滑剤組成物は、自由な活性硫黄を含む化合物を本質的に含んでいない、例えば完全に有していない。本明細書に用いるような“活性硫黄”とは、機械部品と、約100℃‐約400℃の範囲の、普通のエンジン駆動温度において機械部品と実質的に反応して金属硫化物を生成する含硫黄化合物として定義される。活性硫黄は、400℃以下の温度で実質的に反応しないが、極圧条件下にエンジン部品を保護するために400℃以上の温度では十分反応して金属硫化物を形成しうる或いは境界条件が存在する、非活性硫黄と区別される。ここで、同業者は、400℃よりかなり高い温度が、境界領域及び極圧領域のために400℃以下のような低温で通常運転されるエンジン中においていろいろな地点で起こりうるということを容易に理解するであろう。そのような境界領域及び極圧領域は、例えばベアリングのような特別なエンジン部品がある負荷下に置かれた場合に起こる。非活性硫黄化合物は、これらのより高い温度においてエンジン部品を保護するために反応するが、一方で一般にそれより低いエンジン運転温度では実質的に反応しないものが使用できる。従って同業者は、活性硫黄を含む化合物、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)が、いくつかの機械、例えば中速ジーゼルエンジンまたは銀部品を含む機械に対して測定できる有害な影響をもたらすが、一方非活性硫黄はこれらの機械のエンジン部品を保護するのに依然使用できるということを理解しよう。少なくともこの理由のために、そのような機械に使用することが意図される処方物から活性硫黄化合物を排除することは望ましい。同業者は、含硫黄化合物の、機械部品に及ぼす影響を、例えば潤滑剤に溶解した銀量及び/または銀部品への付着物量を測定して決定する方法を知っていよう。“本質的に含まない”とは、本発明の目的に対して、実質的に測定しうる有害な影響のない濃度であると定義できる。
【0025】
いくつかの具体例において、本発明の潤滑剤組成物は、リンを含む化合物を本質的に含んでいない、例えば完全に有していない。他の具体例において、本発明の組成物はホウ素を含む化合物を実質的に含んでいない。リン及び/またはホウ素含有化合物は、これらの元素が潤滑剤の汚染物を示すマーカーとして使用できるように、本発明の処方物から排除することが望ましい。例えば鉄道エンジンオイルは、一般にリン及びホウ素がないように処方される。使用中に、このオイルは周期的にリン及び/またはホウ素の検査を受ける。これが存在すれば、オイルがエンジンの運転中に、例えばZDDPで或いはホウ素の場合にはホウ素含有冷媒で汚染されたことが分かる。このようにリン及び/またはホウ素は潤滑剤の汚染の指標として機能する。ここに“実質的に含まない”とはこれらの元素の濃度がマーカーとしてリン及びホウ素が使用できる程度に実質的に影響しないほど痕跡量のリン及び/またはホウ素を組成物が含んでいてよいことを意味する。
【0026】
開示する組成物を処方するのに用いるのに適当な基油は、合成または鉱物油或いはこれらの混合物から選択できる。鉱油は動物油及び植物油(例えばひまし油、ラード油)並びに他の鉱物潤滑油、例えば液体石油オイル及び溶媒処理したまたは酸処理したパラフィン、ナフテンまたはパラフィン‐ナフテン系の鉱物潤滑油を含む。更にガス‐ツー‐リキッド(gas−to−liquid)法に由来するオイルも適当である。
【0027】
基油は多量に存在しうる。ここに“多量”とは、潤滑剤組成物の50%に等しいまたはそれ以上、例えば約80−約98重量%を意味すると理解すべきである。
【0028】
基油は意図する目的に合った所望の粘度を有していてよい。適当なエンジンオイルの動粘度の例は、約2−約150cSt、更なる例として100℃で約5−約15cStの範囲であってよい。従って例えば基油は約SAE15−約SAE250、更なる例として約SAE20W−約SAE50の粘度範囲を有すると評価できる。適当な自動車のオイルはマルチグレードのオイル、例えば15W−40、20W−50、75W−140、80W−90、85W−140、85W−90などを含む。
【0029】
合成油の非限定的例は、炭化水素系オイル、例えば重合及び共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン‐イソブチレンコポリマーなど);ポリα‐オレフィン,例えばポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、及びこれらの混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなど);アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド及びその誘導体、類似体及び同族体などを含む。
【0030】
末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などで改変されているアルキレンオキシドポリマー及びコポリマー並びにこれらの誘導体は、使用できる公知の合成油の他の種類
である。そのようなオイルは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合で作られるオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例えば、平均分子量約1000のメチルポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテル、など)またはそのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、混合C3−8脂肪酸エステル、或いはテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルで例示される。
【0031】
使用できる他の種類の合成油は、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノレン酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)と種々のアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルへキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルを含む。これらのエステルの特別な例は、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ‐n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノレン酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2−エチルヘキサン酸などとの反応で得られる複合エステルを含む。
【0032】
合成油として有用なエステルは、C5−12モノカルボン酸とポリオール及びポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどから作られるものも含む。
【0033】
ここに本明細書に記述するような組成物を製造するために使用できる基油は、米国石油協会(API)基油互換性ガイドラインで特定されるようなグループI‐Vの基油のいずれかから選択できる。そのような基油のグループは以下の通りである。
【0034】
グループIは、90%より少ない飽和物及び/または0.03%より多い硫黄を含み、80に等しいかそれよりも大きく、120よりも小さい粘度指数を有する。グループIIは、90%に等しいかそれより多い飽和物及び/または0.03%に等しいまたはそれより少ない硫黄を含み、80に等しいかそれよりも大きく、120よりも小さい粘度指数を有する。グループIIIは、90%に等しいかそれより多い飽和物及び/または0.03%に等しいまたはそれより少ない硫黄を含み、120に等しいかそれよりも大きい粘度指数を有する。グループIVはポリα―オレフィン(PAO)であり、グループVはグループI、II、IIIまたはIVに含まれない他のすべてのベース原料(stock)を含む。
【0035】
上記グループを定義するのに使用される試験法は、飽和物に関してASTM D2007、粘度指数に関してASTM D2270、及び硫黄に関してASTM D2622、4294、4927及び3120である。
【0036】
グループIVのベース原料、すなわちポリα‐オレフィン(PAO)は、α‐オレフィンの水素化オリゴマーを含む。このオリゴマー化の最も重要な方法は、ラジカル法、チーグラー触媒法、及びカチオン性フリーデル‐クラフツ触媒法である。
【0037】
ポリα‐オレフィンは、典型的には100℃で2−100cSt、例えば4−8cStの範囲の粘度を有する。それらは例えば炭素数約2−約30の分岐鎖または直鎖α‐オレ
フィンのオリゴマーであってよく、その非限定的例は、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテン、及びポリ−1−デセンを含む。ホモポリマー、コポリマー及びこれらの混合物が包含される。
【0038】
上述したベース原料のバランスに関して、グループIベース原料は、ベース原料Iに対して特定した範囲に入る特性を有するならば、1種またはそれ以上の他のグループが混合されていてもよいグループIベース原料を含む。
【0039】
例示されるベース原料は、グループIベース原料及びグループIベース原料とグループIブライト原料(bright stock)の混合物を含む。
【0040】
本明細書で使用するのに適当なベース原料は、限定するわけではないが蒸留、溶媒精製、水素化法、オリゴマー化、エステル化、及び再精製を含む種々の異なる方法で作ることができる。
【0041】
基油はフィッシャー−トロプシュ合成の炭化水素に由来するオイルであってよい。フィッシャー−トロプシュ合成の炭化水素は、フィッシャー−トロプシュ触媒を用いてH及びCOを含む合成ガスから製造できる。そのような炭化水素は、典型的には基油として有用ならしめるために更なる工程を必要とする。例えば該炭化水素を、米国特許第6,103,099号及び第6,180,575号に開示された方法で水素化異性化する、米国特許第4,943,672号または第6,096,940号に開示された方法で水素化分解及び水素化異性化する、米国特許第5,882,505号に開示された方法で脱ロウする、或いは米国特許第6,013,171号、第6,080,301号、または第6,165,949号に開示された方法で水素化異性化及び脱ロウすることができる。
【0042】
未精製の、精製した、及び再精製したオイルは、上述した種類の鉱油または合成油(並びにこれらの2種またはそれ以上の混合物)であれ、基油に使用することができる。未精製のオイルは、更なる精製処理なしに鉱物または合成起源から直接得られたものである。例えばレトルト処理で直接得られたシェールオイル、一次蒸留から直接得られた石油オイル、またはエステル化から直接得られ、更なる処理をしてないエステル油は未精製のオイルであろう。精製油は、未精製油を1回またはそれ以上の精製工程に供して1つのまたはそれ以上の性質を改善する以外未精製油と同じである。多くのそのような精製技術、例えば溶媒抽出、2次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、パーコレーションなどは同業者にとって公知である。再精製油は精製油を得るために用いたものと同様の方法を、すでに使用した精製油に適用して得られるものである。そのような再精製油も、再生または再処理オイルとして公知であり、しばしば使用済み添加剤、汚染物、及びオイルの分解性生物の除去に適した技術で付加的に処理される。
【0043】
いくつかの具体例において、本発明の化合物は、潤滑剤添加物パッケージ組成物の形で潤滑剤組成物に添加できる。これらは希釈剤、例えば鉱油、合成炭化水素油、及びこれらの混合物に溶解させた濃厚物である。基油に添加したとき、添加物パッケージ組成物は基油中に有効な濃度の添加剤を提供することができる。添加剤パッケージにおける本発明のヒドロカルビル置換トリアゾール化合物の量は、添加剤パッケージの約0.05重量%−約5重量%またはそれ以上で、例えば約0.1重量%−約0.5重量%で変化させることができる。
【0044】
添加剤組成物は、本発明で議論される随意の添加剤のいずれかを含んで処方することができる。添加剤組成物が中速ジーゼルエンジン用に処方される具体例においては、本明細書に議論した中速ジーゼルエンジン用の随意の添加物も使用できる。
【0045】
本発明の種々の観点によれば、本潤滑剤組成物による鉛腐食保護を改善する方法が記述される。ここに使用するごとき“鉛腐食保護を改善する”とは、本発明のトリアゾール化合物を欠いた同一の組成物と比較した場合、本組成物は、両組成物を同一の期間にわたって同一の機械運転条件に供したとき、機械に提供できる鉛腐食保護が高められるということを意味すると解釈すべきである。鉛腐食保護を改善する方法は、多量の基油及び少量の本発明のトリアゾール化合物を含んでなる潤滑剤組成物を機械に適用することを含んでなる。ある具体例において、機械はジーゼルエンジン、例えば中速ジーゼルエンジンである。
【0046】
種々の観点によれば、機械の少なくとも1つの駆動部分を潤滑する方法も開示される。該方法は、1つの駆動部分を、多量の基油及び少量の本発明のトリアゾール化合物を含んでなる潤滑剤組成物と接触させることを含んでなる。
【0047】
他の具体例においては、多量の基油及び少量の本発明のトリアゾール化合物を含んでなる潤滑剤組成物を添加することを含んでなる機械の運転法も開示される。
【0048】
開示した方法における機械は、ジーゼルエンジン、マリンエンジン、ロータリーエンジン、タービンエンジン、機関車エンジン、プロパルジョンエンジン、航空機ピストンエンジン、静置型発電エンジン、連続型発電エンジン、銀部品を含んでなるエンジン、及び鉛部品を含んでなるエンジンを含めて、スパーク点火及び圧縮点火内燃機関からなる群から選択することができる。更に少なくとも1つの駆動部品は、ギアー、ピストン、ベアリング、ロッド、スプリング、カムシャフト、クランクシャフトなどであってよい。
【0049】
本潤滑剤組成物は機械を潤滑するのに有効な組成物のいずれであってもよい。1つの観点において、本組成物は中速ジーゼルエンジン油、旅客車モーターオイル及び強力ジーゼルエンジン油からなる群から選択される。ある具体例において、組成物は中速ジーゼルエンジン油である。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は本発明及びその優れた点を例示する。これらの実施例並びにその他の本明細書において、すべての部及びパーセントは断らない限り重量によるものとする。これらの実施例は例示の目的だけで提示するものであり、本明細書に開示する本発明の範囲を制限するものではない。
【0051】
実質的にリン及びホウ素を含まない、並びに本質的にジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)及び他の活性硫黄含有化合物を含まない潤滑剤組成物を、その鉛及び銅の取り込み、粘度の上昇及び酸化からの保護能力に関して試験した。以下のすべての例における潤滑剤組成物は鉛取り込みのための“厳格な”鉱油ベース原料とされている基油を含む。
【0052】
[実施例1]
実施例1は、1,2,4−トリアゾール化合物(イルガメト(R)30)0.20重量%;不飽和アルキル基を有するアミノグアニジンモノオレアミド(AGMO)を含む市販の、ZDDPを含まない添加剤パッケージ1;及び基油を含んだ。
【0053】
[実施例2]
実施例2は、実施例1の1,2,4−トリアゾール化合物0.20重量%;飽和アルキル基を有することを除いて実施例1と同様のAGMO化合物を含む添加剤パッケージ1;及び基油を含んだ。
【0054】
[実施例3]
実施例3は、実施例1の1,2,4−トリアゾール化合物0.20重量%;AGMO化合物を含まない添加剤パッケージ1;及び基油を含んだ。
【0055】
[対照実施例1A]
1,2,4−トリアゾール化合物を含まない実施例1の処方物。
【0056】
[対照実施例2A]
1,2,4−トリアゾール化合物を含まない実施例2の処方物。
【0057】
[対照実施例3A]
1,2,4−トリアゾール化合物を含まない実施例3の処方物。
【0058】
[対照実施例4A]
対照実施例4Aは、添加剤パッケージ1とは異なる商業的に入手できるZDDPを含まない添加剤パッケージ2及び基油を含んだ。
【0059】
7種の潤滑剤組成物をエチル酸化試験に供した。実施例1−3または対照実施例1A−4Aの潤滑剤組成物の1つに吊り下げた鉄、銅、及び鉛クーポンを含む試験管に酸素をバブリングした。通流空気凝縮器は揮発物の殆どを保留し、そして潤滑剤組成物を24時間ごとにサンプリングして分析した。使用した潤滑剤組成物に対して、技術的によく知られた方法により、動粘度上昇、オイル酸化生成物の赤外カルボニル吸収、オイルの鉛含量、及びオイルの銅含量を測定して酸化の抑制を評価した。
【0060】
粘度上昇のデータについて言えば、粘度上昇が大きければ大きいほど、その潤滑剤組成物は酸化に対して不安定である。その結果を下表1及び2に示す。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるカルボニル吸収のデータに関して言えば、カルボニル吸収が大きければ大きいほど、その潤滑剤組成物が機械に提供する酸化保護は小さい。
【表1】


【表2】


【0061】
表1に示すように、実施例の組成物1,2及び3は、それぞれ対照実施例1A、2A及び3Aと比べて粘度上昇が低い。これは実施例組成物の1,2,4‐トリアゾール化合物が潤滑剤組成物の酸化安定性を改善したことを示唆する。更に対照実施例4と比べた場合、実施例の組成物1及び2は低い粘度上昇を示し、実施例3は匹敵する粘度上昇を示した。これも、1,2,4‐トリアゾール化合物処方物による良好な酸化安定化性能を示す。
【0062】
表2に示すように、実施例組成物1、2及び3は対照実施例1A、2A及び3Aと比べて低いカルボニル吸収を示し、その実施例の組成物の1,2,4‐トリアゾール化合物が潤滑剤組成物の酸化保護を向上させたことを示唆する。更に対照実施例4と比べた場合、実施例組成物1及び2は低いカルボニル吸収を示し、実施例3は匹敵するカルボニル吸収を示した。これも、トリアゾール化合物処方物による良好な酸化安定化性能を示す。
【0063】
表3及び4は、上記実施例の処方物の鉛及び銅含量に関する試験データを示す。表3及び4に示すように、実施例組成物1,2及び3は、それぞれ対照実施例1A、2A及び3Aと比べて実質的に低い鉛及び銅含量を示す。これは実施例組成物の1,2,4‐トリアゾール化合物が潤滑剤組成物において効果的な鉛及び銅腐食防止剤として働いたことを示唆する。更に対照実施例4Aと比べた場合、実施例組成物1及び2は実質的に低い鉛及び銅含量を示した。これも、本発明の1,2,4‐トリアゾール化合物処方物による良好な鉛及び銅腐食保護を示唆する。
【表3】


【表4】


【0064】
表5は上記エチル酸化試験120時間後の金属クーポンからの実際の鉛減少を示す。このデータは、1,2,4‐トリアゾール化合物を含む実施例の組成物が対照実施例組成物と比べて優秀な鉛保護を与えることを示す。
【表5】


【0065】
[実施例5]
実施例5は、1,2,4−トリアゾール化合物(イルガメト30)0.025重量%;不飽和アルキル基を有するアミノグアニジンモノオレアミド(AGMO)を含む市販の、ZDDPを含まない添加剤パッケージ1;及び基油を含んだ。
【0066】
[対照実施例5A]
実施例5の処方物の1,2,4−トリアゾール化合物を含まないもの。
【0067】
[対照実施例6A]
対照実施例6Aは、添加剤パッケージ1とは異なる商業的に入手できるZDDPを含まない添加剤パッケージ2及び基油を含んだ。
【0068】
実施例5、5A及び6Aの潤滑剤組成物をエチル酸化試験に供した。GE中速ジーゼルエンジンベアリングの3つの異なる試料部分の1つを含む試験管に酸素をバブリングした。このGEベアリングは、上層が非常に薄い鉛/錫合金(鉛90%、錫10%)、上層の下にある第2層が銅/錫/鉛合金(銅2.5重量%、錫10重量%、鉛87.5重量%)を含んでなり、そして第3層が第2層の下にあって、ブロンズ合金中鉛25重量%の不均質組成(銅70+重量%、錫2+重量%)からなる多層構造であった。
【0069】
ベアリング層のそれぞれを、次のベアリング試料部分を用いて、トリアゾールあり及びなしの条件下に腐食保護に関して試験した:(1)ベアリング部分1(B1)、鉛/錫合金の上層だけが露出したもの;(2)ベアリング部分2(B2)、鉛/錫合金の上層が除かれて、第2の銅/錫/鉛合金だけが露出したもの;及び(3) )ベアリング部分3(B3)、鉛/錫合金の上層及び銅/錫/鉛合金の第2層が除かれて、不均質な第3層だけが露出したもの。
【0070】
各ベアリング部分B1、B2及びB3を、実施例5、5A及び6Aの潤滑剤組成物の1つを含む試験管に吊り下げて、実施例5、5A及び6Aのすべて3つの潤滑剤組成物中で試験した。この各ベアリング部分の試験に用いたものと同一の組成物中で鉛クーポンも試験した。この結果は“B1、B2、B3に対する相関(associated)鉛クーポン”として報告する。通流空気凝縮器は揮発物の殆どを保留し、そして潤滑剤組成物を24時間ごとにサンプリングして分析した。使用した潤滑剤組成物に対して、技術的によく知られた方法により、動粘度上昇、オイル酸化生成物の赤外カルボニル吸収、オイルの鉛含量、及びオイルの銅含量を測定して酸化の抑制を評価した。結果を下表6−9に示す。
【表6】


【0071】
表6は実施例5、5A及び6Aの使用したオイルの鉛含量に対するデータを示す。表6に示すように、実施例組成物5は対照実施例5A及び6Aと比べて実質的に低い鉛含量を示す。これは、組成物5の1,2,4−トリアゾール化合物が潤滑剤組成物中0.025%の濃度で効果的な鉛腐食防止剤として働くことを示唆する。
【0072】
下表7は実施例5、5A及び6Aに対する上記エチル酸化試験120時間後における金属クーポンからの実際の鉛減少量(mg)を示す。このデータは、1,2,4‐トリアゾール化合物を含む実施例組成物5が対照実施例組成物と比べて優秀な鉛保護を与えることを示す。
【表7】


【0073】
表8に示すように、実施例組成物5は対照実施例5Aと比べて低い粘度上昇を示した。これは実施例組成物の1,2,4−トリアゾール化合物が潤滑剤組成物の酸化安定性を改善することを示す。更に組成物5は対照実施例6Aと比べて低い粘度上昇を示し、これもトリアゾール化合物処方物による良好な酸化安定化性能を示唆した。
【表8】


【0074】
表9に示すように、実施例の組成物5は、対照実施例5Aと比べて低いカルボニル吸収を示し、その実施例の組成物の1,2,4‐トリアゾール化合物が潤滑剤組成物の酸化保護を向上させたことを示唆する。更に対照実施例6Aと比べた場合、実施例の組成物5は低いカルボニル吸収を示し、これも良好な酸化保護を示す。
【表9】


【0075】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する“ある”及び“その”で表現する対象またはそのような表記のない対象は、明記していない及び一義的に限定していないならば複数の対象を含むものである。即ち、例えばあるまたは無表記の酸化防止剤とは、2つまたはそれ以上の異なる酸化防止剤を包含する。本明細書で使用するごとき“含む”または“包含する”或いはその過去形は限定を意味するものでなく、列挙した事項はその事項に代替できるまたはその事項に付加できる他の同様の事項を排除するものではない。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲の目的に対して、本明細書及び特許請求の範囲で使用するすべての数的表現の量、パーセントまたは割合、及び他の数値は、すべての場合に“約”という字句で改変されているものとして理解すべきである。従って断らなくても、本明細書及び特許請求の範囲で記述される数的パラメータは、本発明によって得ようとする所望の性質に依存して変化しうる概数である。真に少なくとも、及び特許請求の範囲に等価物の考えを当てはめることを制限する試みとしてではなく、各数的パラメータは少なくとも、多くの報告した有意な数字を考慮して、また通常の数を丸める技法を適用して解釈すべきである。
【0077】
以上特別な具体例を記述してきたけれど、現在不測のまたは予期できない代替対象、変更、変化、改変、及び実質的な等価物は、本申請者または他の同業者が想起できる。従って、特許請求の範囲はそのままで及びそれが修正できるので、すべてのそのような代替対象、変更、変化、改変、及び実質的な等価物を包含するものである。
【出願人】 【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【出願日】 平成19年11月29日(2007.11.29)
【代理人】 【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所

【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉


【公開番号】 特開2008−144165(P2008−144165A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2007−308395(P2007−308395)