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【発明の名称】 粘度指数向上剤および潤滑油組成物
【発明者】 【氏名】由岐 剛

【氏名】宇津井 智

【要約】 【課題】GTL基油との相溶性が良好で、かつ粘度指数向上能に優れた粘度指数向上剤を提供する。

【構成】一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とし、重量平均分子量が5,000〜1,000,000である共重合体(A)からなるGTL基油用粘度指数向上剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とし、重量平均分子量が5,000〜1,000,000である共重合体(A)を含有するGTL基油用粘度指数向上剤。
CH2=C(R1)−COO(A−O)n−(CH2)p−CH(R2)−R3 (1)
[式中、R1は水素原子またはメチル基;R2およびR3は炭素数1〜16の直鎖アルキル基または炭素数3〜34の分岐アルキル基であり、R2およびR3は同一でも異なっていてもよく、該分岐アルキル基中の連続するメチレン基の数は16個以下であり、R2、R3およびp個のCH2基の合計炭素数は17〜35であり;Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり;nは0または1〜20の整数、pは0または1〜15の整数である。]
【請求項2】
共重合体(A)が、(A)の重量に基づいて、3〜95重量%の単量体(a)、5〜70重量%の炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)、並びに0〜90重量%の炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2)から構成されてなる共重合体である請求項1記載の粘度指数向上剤。
【請求項3】
(A)が、さらに下記単量体(c)および/または下記単量体(k)から構成される単位を(A)の重量に基づいて合計で0.1〜10重量%含有してなる共重合体である請求項1または2記載の粘度指数向上剤。
単量体(c);水酸基含有単量体、アミド基含有単量体、カルボキシル基含有単量体およびリン酸基含有単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体
単量体(k);アミノ基含有単量体、第4級アンモニウム塩基含有単量体、ニトリル基含有単量体およびニトロ基含有単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体
【請求項4】
さらに希釈溶剤を含有してなる請求項1〜3のいずれか記載の粘度指数向上剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の粘度指数向上剤およびGTL基油を含有してなる潤滑油組成物。
【請求項6】
GTL基油が1〜30mm2/sの100℃での動粘度、120以上の粘度指数および−25℃以下の流動点を有するGTL基油であり、潤滑油組成物の重量に基づいて共重合体(A)を0.1〜30重量%含むことを特徴とする請求項5記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
さらに、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで示される有機燐化合物(P)の1種以上を含有する請求項5または6記載の潤滑油組成物。
O=P(OR4a(OH)3-a (2)
O=P(OR5b(OH)3-b・NHc63-c (3)
P(OR7a(OH)3-a (4)
P(OR8b(OH)3-b・NHc93-c (5)
(式中、aは1〜3の整数;bおよびcは各々1または2の整数;R4〜R9は各々炭素数4〜24のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R4〜R9は同一でも相異なったものでもよい。)
【請求項8】
さらに、炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる単量体(b2)の2種以上から構成され、該(b2)のアルキル基の平均炭素数が12.0〜13.0である共重合体(B1)および/または該(b2)の2種以上から構成され該(b2)のアルキル基の平均炭素数が13.1〜15.0である共重合体(B2)を含有する請求項5〜7のいずれか記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
さらに分散剤(D)、清浄剤(E)、酸化防止剤(F)、消泡剤(G)、油性向上剤(H)、摩擦摩耗調整剤(I)、極圧剤(J)、抗乳化剤(K)および腐食防止剤(L)からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項5〜8のいずれか記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は粘度指数向上剤およびそれを含む潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の気運が高まり、自動車の省燃費性がより一層要求されてきている。省燃費化の1つの手段として潤滑油の低粘度化による粘性抵抗の低減が挙げられる。しかしながら、単に低粘度化すると液漏れや焼き付きといった問題が生じてくる。この問題を解決するには、一般に粘度指数を上げることが必要とされ、従来から各種の粘度指数向上剤が提案され、特にポリメタクリレート系の共重合体からなる粘度指数向上剤が多く提案されている(例えば特許文献−1〜6)。最近では、高粘度指数で、かつ低温粘度に優れた基油として、GTL基油が検討されている。GTL基油とは、天然ガスからGTL(Gas To Liquids)技術により合成されたCOやH2を原料にしてフィッシャー−トロプシュ合成プロセスにより液化炭化水素を製造し、その液化炭化水素を水素化処理、水素異性化および必要により接触もしくは溶剤脱ろうすることにより得られる潤滑油基油である。(例えば、特許文献−7)
GTL基油は、高粘度指数ではあるが、PMA系粘度指数向上剤を添加することでさらに粘度指数を向上させることができる。しかしながら、従来のPMA系粘度指数向上剤の中でも粘度指数向上能が比較的高い粘度指数向上剤を添加した場合、GTL基油との相溶性が悪く、潤滑油組成物の低温(例えば−20℃)での長期(例えば2ヶ月間)貯蔵安定性が悪いという問題が生じる。
一方、粘度指数向上能が比較的低い従来の粘度指数向上剤を添加した場合、GTL基油への相溶性は良く、低温での潤滑油組成物の長期貯蔵安定性も良好ではあるが、粘度指数向上効果は低いという問題があった。
【特許文献−1】特開平7−48421号公報
【特許文献−2】特開平7−70247号公報
【特許文献−3】特開平7−509023号公報
【特許文献−4】特開2003−147332号公報
【特許文献−5】特開2002−302687号公報
【特許文献−6】特開2003−292938号公報
【特許文献−7】特表2004−522848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
GTL基油との相溶性が良好で、かつ粘度指数向上能に優れた粘度指数向上剤を提供し、さらに、低温での長期貯蔵安定性が良く、かつ、高い粘度指数、改善された剪断安定性、改善された低温粘度および改善された抗酸化性を有する、該粘度指数向上剤を含む潤滑油組成物を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とし、重量平均分子量が5,000〜1,000,000である共重合体(A)を含有するGTL基油用粘度指数向上剤;並びに、該粘度指数向上剤およびGTL基油を含有してなる潤滑油組成物;である。
CH2=C(R1)−COO(A−O)n−(CH2)p−CH(R2)−R3 (1)
式中、R1は水素原子またはメチル基;R2およびR3は炭素数1〜16の直鎖アルキル基または炭素数3〜34の分岐アルキル基であり、R2およびR3は同一でも異なっていてもよく、該分岐アルキル基中の連続するメチレン基の数は16個以下であり、R2、R3およびp個のCH2基の合計炭素数は17〜35であり;Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり;nは0または1〜20の整数、pは0または1〜15の整数である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の粘度指数向上剤は、GTL基油の粘度指数向上能に優れ、該粘度指数向上剤とGTL基油を含む潤滑油組成物は、低温での長期貯蔵安定性が良く、かつ、高い粘度指数、改善された剪断安定性、改善された低温粘度および改善された抗酸化性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の粘度指数向上剤は共重合体(A)を含有し、(A)は一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする。
一般式(1)においてR1は好ましくはメチル基である。また、一般式(1)における分岐アルキル基−(CH2)p−CH(R2)−R3の合計の炭素数は粘度指数と低温粘度の観点から好ましくは通常18〜36、好ましくは20〜32、更に好ましくは20〜28、特に好ましくは20〜24である。
2およびR3は16以下、粘度指数および低温粘度の観点から好ましくは2〜14、さらに好ましくは4〜14、特に好ましくは6〜14の炭素数のポリメチレン基を有する。なお、ポリメチレン基における炭素数には末端のメチル基の炭素原子も含まれる。
また、R2およびR3における分岐の数は0〜16個、好ましくは0〜11個、特に0〜5個、とりわけ0〜2個である。
nは好ましくは0または1〜10、さらに好ましくは0または1〜5、特に0である。
pは好ましくは0または1〜5、さらに好ましくは0または1、特に1である。
【0007】
−(CH2)p−CH(R2)−R3の具体例としては、以下の基が挙げられる。
1)C15-16(炭素数15〜16を表す場合C15-16と表し、以下同様の表現を用いる。)のポリメチレン基を有する基:
例えば、1−C1-18アルキル−ヘキサデシル基(例えば1−オクチルヘキサデシル基)および2−C1-16アルキル−オクタデシル基(例えば2−エチルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシルおよび2−ヘキサデシルオクタデシル基);
2)C13-14のポリメチレン基を有する基:
例えば、1−C1-20アルキル−テトラデシル基(例えば1−ヘキシルテトラデシル、1−デシルテトラデシル、1−ウンデシルトリデシル基)および2−C1-18アルキル−ヘキサデシル基(例えば2−エチルヘキサデシルおよび2−ドデシルヘキサデシル基);
3)C10-12のポリメチレン基を有する基:
例えば1−C1-22アルキル−ドデシル基(例えば1−オクチルドデシル基)、2−C1-22アルキル−ドデシル基(例えば2−ヘキシルドデシルおよび2−オクチルドデシル基)および2−C1-20アルキル−テトラデシル基(例えば2−ヘキシルテトラデシルおよび2−デシルテトラデシル基);
4)C6-9のポリメチレン基を有する基:
例えば、2−C1-24アルキル−デシル基(例えば2−オクチルデシル基)および2,4−ジC1-23アルキル−デシル基(例えば2−エチル−4−ブチル−デシル基);
5)C1-5のポリメチレン基を有する基:
例えば、2−(3−メチルヘキシル)−7−メチル−デシルおよび2−(1,4,4−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチル−オクチル基;
6)分岐アルキル基の2個またはそれ以上の混合物:
例えば、プロピレンオリゴマー(6量体〜11量体)、エチレン/プロピレンオリゴマー(モル比16/1〜1/11)、イソブテンオリゴマー(5〜8量体)、およびC5-17のα−オレフィンオリゴマー(2〜6量体)などに対応するオキソアルコールのアルキル残基。2−イソオクチルイソドデシル基(『日産化学工業製:ファインオキソコール2000』の水酸基を除いた残基)、2−イソウンデシルイソペンタデシル基(『日産化学工業製:ファインオキソコール2600』の水酸基を除いた残基)。
【0008】
これらのうちで好ましいのはpが0または1(とりわけ1)、R2およびR3が直鎖C6-16(特にC8-14)アルキル基および分岐C6-18(特にC8-14)アルキル基が好ましい。最も好ましいのは、pが1でR2とR3が直鎖C8-14アルキルである。とりわけ好ましくは、低温粘度と粘度指数の観点から、pが1でR2とR3が直鎖C8-10アルキルと直鎖C10-12アルキル基の組み合わせであり、−(CH2)p−CH(R2)−R3としては、2−直鎖C8-10アルキル−直鎖C12-14アルキル基である。
【0009】
好ましい(a)の具体例としては、2−オクチルドデシルメタクリレート、2−デシルテトラデシルメタクリレート;1−オクチルドデシル、2−ヘキシルドデシル、2−ヘキシルテトラデシル、1−ヘキシルテトラデシル、1−デシルテトラデシル、1−ウンデシルトリデシル、2−エチルヘキサデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−オクチルドデシルオキシエチルおよび2−デシルテトラデシルオキシエチルメタクリレート;並びに、これらに対応するアクリレート(例えば2−オクチルドデシルアクリレート、2−デシルテトラデシルアクリレートなど)が挙げられる。
これらのうちで好ましいのは2−オクチルドデシルおよび2−デシルテトラデシルアクリレート、2−オクチルドデシルメタクリレートおよび2−デシルテトラデシルメタクリレート、特に好ましくは、2−オクチルドデシルメタクリレートおよび2−デシルテトラデシルアクリレート、とりわけ好ましくは2−デシルテトラデシルアクリレートである。
【0010】
一般式(1)におけるAは炭素数2〜4のアルキレン基であり、具体的にはエチレン基、1,2−および1,3−プロピレン基、1,2−、1,3−および1,4−ブチレン基が挙げられる。これらのうち好ましいのはエチレン基、1,2−プロピレン基およびこれらの併用である。
【0011】
共重合体(A)は必須構成単量体(a)以外に、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)、炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2)、並びにその他の単量体(c)〜(m)からなる群から選ばれる1種以上の単量体から構成される。
【0012】
(b1)には、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、並びにn−、イソ−、sec−およびtert−ブチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0013】
(b2)には、炭素数8〜17の直鎖もしくは分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b21)および炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b22)が含まれる。
【0014】
(b21)には、直鎖C8-17アルキル(メタ)アクリレート(b211)および分岐C8-17アルキル(メタ)アクリレート(b212)が含まれる。
(b211)としては、例えばn−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルおよびn−オクタデシルメタクリレート、並びにn−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−トリデシルおよびn-ペンタデシルメタクリレートなどが挙げられ、さらにこれらに対応するアクリレート、例えばn−ドデシルアクリレートなど、およびチーグラーアルコールの(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b212)としては、例えばi−オクチル、2−エチルヘキシル、i−ノニル、i−デシル、i−ドデシル、2−メチルウンデシル、i−トリデシル、2−メチルドデシル、i−テトラデシル、2−メチルトリデシル、i−ペンタデシルおよび2−メチルテトラデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(b21)としてはさらに、直鎖C8-17アルコールおよび分岐C8-17アルコールの混合物の(メタ)アクリレート(b213)が挙げられる。
(b211)と(b212)の混合物としては、例えばオキソアルコールの(メタ)アクリレートが挙げられ、オキソアルコールとしては、「ネオドール23」および「ネオドール45」(シェル化学株式会社製)、並びに「オキソコール1213」および「オキソコール1415」(日産化学株式会社製)などが挙げられる。
(b21)のうちで好ましいのは、粘度指数および低温粘度の観点から、C12-17(さらにC12-15)アルキル(メタ)アクリレート、特に直鎖C12-17(さらにC12-15)アルキル(メタ)アクリレートである。
【0015】
(b22)には直鎖C18-24アルキル(メタ)アクリレート、例えばn−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシルメタクリレート、n−エイコシルアクリレート、n−ドコシル(メタ)アクリレートおよびn−テトラコシル(メタ)アクリレートが含まれる。(b22)のうち、粘度指数および低温粘度の観点から好ましいのはn−オクタデシル(メタ)アクリレートである。
【0016】
単量体(c)には、水酸基含有単量体(c1)、アミド基含有単量体(c2)、カルボキシル基含有単量体(c3)およびリン酸基含有単量体(c4)が含まれる。
単量体(c1)としては以下の(c11)〜(c16)が挙げられる。
(c11)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル:
(c111)一般式(6)で示される(メタ)アクリレート;
CH2=C(R1)−COO−(A−O)m−H (6)
式中、R1およびAは一般式(1)におけると同じ、mは1〜20(好ましくは1)の整数である。(c111)としては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略記)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、および4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのC2-4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど。
(c112)3〜8個の水酸基を含有する多価アルコールの(メタ)アクリレート;
多価アルコールとしては、例えばC3-12のアルカンポリオール、その分子内もしくは分子間脱水物および糖類など(例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、蔗糖、メチルグルコシドなど)が挙げられ、それらの(メタ)アクリレートとしてはグリセリンモノ−およびジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アクリレート並びに蔗糖(メタ)アクリレートなど。
(c12)C2-12のアルケノール;:
ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、及びC3-12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、クロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、1−ブテン−4−オール、1−オクテノール、1−ウンデセノールおよび1−ドデセノールなど]。
(c13)C4-12のアルケンジオール;
2−ブテン−1,4−ジオールなど。
(c14)炭素数3〜12のアルケニル基を有する水酸基含有アルケニルエーテル;
例えばC1-6ヒドロキシアルキルC3-12アルケニルエーテル[例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、並びに(c112)で挙げた多価アルコールのC3−12アルケニルエーテル{トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アリルエーテルおよび蔗糖(メタ)アリルエーテルなど}]。
(c15)水酸基含有芳香族単量体;
o−、m−またはp−ヒドロキシスチレンなど。
(c16)単量体(c11)〜(c15)の(ポリ)オキシアルキレンエーテル;
(c11)〜(c15)の水酸基のうちの少なくとも1個が−O−(A−O)n−A−OHで置換された単量体[但し、Aおよびnは一般式(1)と同じ]。
【0017】
(c1)のうちで好ましいのは(c12)、(c14)、(c15)、(c16)および(c11)、特に(c111)である。とりわけ好ましいのはヒドロキシエチルアクリレート、特にヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0018】
単量体(c2)としては以下の(c21)および(c22)が挙げられる。
(c21)下記一般式(7)で示される(メタ)アクリルアミド類:
CH2=C(R1)−CO−N(R')−R” (7)
【0019】
式中、R1は水素原子またはメチル基、R’およびR”はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。具体例としてはは以下の(c211)〜(212)が挙げられる。
(c211)非置換およびアルキル置換アクリルアミド;
例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ−C1-4アルキルおよびN,N−ジ−C1-4アルキル−置換(メタ)アクリルアミド[(ジ)メチル、(ジ)エチル、(ジ)i−プロピル、(ジ)n−ブチルおよび(ジ)i−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]。
(c212)ヒドロキシアルキル置換アクリルアミド;
例えばN−モノ−C1-4ヒドロキシアルキルおよびN,N−ジ−C1-4ヒドロキシアルキル置換(メタ)アクリルアミド[N−ヒドロキシメチル、N,N−ジヒドロキシメチル、N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル、N,N−ジ−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドなど]。
【0020】
(c22)N−ビニルカルボン酸アミド:
例えばアシル系N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルn−およびi−プロピオンアミド並びにN−ビニルヒドロキシアセトアミドなど]およびN−ビニルラクタム[N−ビニルピロリドンなど]。
【0021】
(c2)のうちで好ましいのは(c211)、特に(メタ)アクリルアミド、とりわけアクリルアミドである。
【0022】
単量体(c3)としては以下の(c31)〜(c33)が挙げられる。
(c31)不飽和モノカルボン酸[メタクリル酸、アクリル酸、(イソ)クロトン酸およびシンナミック酸など]。
(c32)不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸など]、および(c33)不飽和ジカルボン酸のモノC1-8アルキルエステル[モノアルキルマレート、モノアルキルフマレートおよびモノアルキルイタコネートなど]。
単量体(c4)としては、リン酸モノアルケニルエステル(炭素数2〜12)[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニルおよびリン酸ドデセニルなど]、(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜12)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートおよび(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェートなど]、ポリ(n=2〜20)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレートエステルのリン酸エステル、リン酸ビニルモノアルキル(炭素数1〜24)エステル[リン酸ビニルモノメチルエステル、リン酸ビニルモノエチルエステルなど]、リン酸ビニルジアルキル(炭素数1〜24)エステル[リン酸ビニルジメチルエステル、リン酸ビニルジエチルエステルなど]、(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜12)リン酸エステルのアルキル(炭素数1〜24)エステル[(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜12)リン酸エステルのモノメチルエステルなど]などが挙げられる。
【0023】
単量体(c)のうちで、粘度指数および剪断安定性の観点から好ましいのは(c2)、特に(c1)である。
【0024】
単量体(d):(a)、(b1)および(b2)以外のアルキル(メタ)アクリレート、
(d1)C5-7アルキル(メタ)アクリレート[n−、ネオ−およびイソ−ペンチル、並びにn−およびイソ−ヘキシル(メタ)アクリレートなど];
(d2)17個以上の炭素数のポリメチレン基を有する分岐C18-36アルキル(メタ)アクリレート[2−メチル−ノナデシルメタクリレート(以下、M−NMと略記)など]。
【0025】
単量体(e):炭素数2〜20の不飽和炭化水素、
(e1)不飽和脂肪族C2-20炭化水素[C2-20アルケン(エチレン、プロピレン、イソブテン、ブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンおよびオクタデセン)、C4-12アルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエンおよび1,7−オクタジエン)];
(e2)不飽和脂環式C5-20炭化水素[シクロアルケン(シクロヘキセンなど)、ジシクロアルカジエン(シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエンなど)、環式テルペン(ピネンおよびリモネンなど)、ビニル(ジ)シクロアルケン(ビニルシクロヘキセンなど)、エチリデン(ジ)シクロアルケン(エチリデンビシクロヘプテンおよびエチリデンノルボルネンなど)および芳香環含有シクロアルケン(インデンなど)];
(e3)不飽和芳香族炭化水素[スチレンおよびその誘導体、例えばC1-20ハイドロカルビル置換スチレン(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレンおよび4−クロチルベンゼンなど)およびC2-10アルケニルナフタレン(2−ビニルナフタレンなど)]。
【0026】
単量体(f):ビニルケトン[C1-10アルキルまたはC6-8アリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトンおよびフェニルビニルケトンなど]。
【0027】
単量体(g):エポキシ基含有不飽和単量体[エポキシ基含有アクリル系単量体{グリシジル(メタ)アクリレートなど}およびエポキシ基含有C2-10アルケニル(好ましくはC3-6アルケニル)エーテル{グリシジル(メタ)アリルエーテルなど}]。
【0028】
単量体(h):ハロゲン原子含有不飽和単量体[ビニルまたはビニリデンハロゲン化物(塩化ビニル、臭化ビニルおよび塩化ビニリデン)、C3-6アルケニルハロゲン化物{塩化(メタ)アリル}およびハロゲン置換スチレン{(ジ)クロロスチレン}など]。
【0029】
単量体(i):アルキルアルケニルエーテル、
1-10アルキルC2-10アルケニルエーテル[アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル)並びにアルキル(メタ)アリルエーテルおよび(イソ)プロペニルエーテル(メチルアリルエーテルおよびエチルアリルエーテル)など];
【0030】
単量体(j):アルケニルカルボキシレート、
2-10アルケニルC1-20カルボキシレート[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびn−オクタン酸ビニルなど]。(j)のうちで好ましいのは酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルである。
【0031】
単量体(k):(c2)以外の窒素原子含有不飽和単量体、
(k1)少なくとも1個の1級、2級および3級アミノ基を含むアミノ基含有単量体、
(k11)アミノ基含有脂肪族単量体、
(k111)一般式D−NHD1で示されるモノ−およびジ−アルケニルアミン(但し、式中D1は水素原子またはD、DはC2-10、好ましくはC3-6のアルケニル基)[例えば(ジ)(メタ)アリルアミンおよび(イソ)クロチルアミン];
(k112)アミノ基含有アクリル系単量体、
アミノ基含有(メタ)アクリレート[(モノ−C1-4アルキル)アミノC2-6アルキル(メタ)アクリレート{アミノエチル、アミノプロピル、メチルアミノエチル、エチルアミノエチル、ブチルアミノエチルおよびメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート}、ジ−C1-4アルキルアミノC2-6アルキル(メタ)アクリレート{ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート}]およびこれらの(メタ)アクリレートに対応するアミノ基含有(メタ)アクリルアミドなど;
(k12)アミノ基含有複素環式単量体、
アミノ基含有複素環式アクリル系単量体[モルホリノ−C2-4アルキル(メタ)アクリレート{モルホリノエチル(メタ)アクリレート}]、ビニル置換複素環式アミン[ビニルピリジン(4−および2−ビニルピリジン)]、N−ビニルピロールおよびN−ビニルピロリジンなど;。
(k13)アミノ基含有芳香族単量体、
アミノスチレン類[アミノスチレンおよび(ジ)メチルアミノスチレンなど]。
(k14)(k11)〜(k13)の塩[塩酸塩、リン酸塩およびC1-8のカルボン酸塩];
(k15)ケチミン含有単量体(1級アミノ基単量体の前駆体)
一般式(8)で示される単量体が挙げられ、該単量体を使用した場合は、得られた共重合体をアルカリもしくは中性で加水分解することにより、1級アミノ基に変換することができる。式中、R9は水素原子またはメチル基、Qはカルボニル基または炭素数1〜18、
Zは−O−または−NH−、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、mは0〜30の整数であり、Qがカルボニル基のときはmは1もしくは2〜30の整数である。R10およびR11は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数7〜12のアラルキル基もしくはアルキルアラルキル基またはR10とR11が相互に結合した炭素数4〜12のシクロアルキレン基である。具体例として、(メタ)アクリル酸とN−イソプロピリデン−2−ヒドロキシエチルアミンとのエステル、(メタ)アクリル酸とN−1−メチルイソペンチリデン−2−ヒドロキシエチルアミンとのエステル、(メタ)アクリル酸とN−イソプロピリデン−2−アミノエチルアミンとのアミド、(メタ)アクリル酸とN−1−メチルイソペンチリデン−2−アミノエチルアミンとのアミドなどが挙げられる。
【0032】
【化1】


【0033】
(k2)第4級アンモニウム塩基含有単量体、
(k11)〜(k13)の4級化によって得られる第4級アンモニウム塩であって、4級化剤としてはC1-8アルキルハロゲン化物(メチルクロライドなど)、ベンジルハライド(塩化ベンジルなど)、ジC1-2アルキルサルフェート(ジメチルサルフェートおよびジエチルサルフェート)およびジC1-2アルキルカーボネート(ジメチルカーボネートなど)が使用できる。
また、(k2)には、1種または2種以上のC2-4アルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド)で(k14)を4級化することにより得られ第4級アンモニウム塩も含まれる。
(k3)ニトリルまたはニトロ基含有単量体[(メタ)アクリロニトリルおよびニトロスチレンなど]。
【0034】
単量体(m):不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル、
不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸など)ジC1-40(好ましくはC1-20)ハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキルおよびアラルキル)エステル[ジメチル、ジエチルおよびジオクチルマレート、並びに対応するフマレートおよびイタコネートなど]。
【0035】
共重合体(A)は、粘度指数、剪断安定性および低温粘度の観点から、単量体の全重量に基づいて、下記表1に示した重量%の単量体の単位を含有する。(以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)
【0036】
【表1】


【0037】
共重合体(A)は、単量体(c)および/または単量体(k)から構成される単位を含有してなる共重合体であることが好ましい。
【0038】
(A)が単量体(c)および/または単量体(k)から構成される単位を有することで疲労寿命向上や油膜向上性の効果が特に発揮されやすい。単量体(c)の中でも好ましいのは(c1)および(c4)であり、単量体(k)の中でも疲労寿命向上や油膜向上性の効果にとって好ましいのは(k15)であり;(c1)の中でさらに好ましいのは(c111)、特にC2-4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり;(c4)の中でさらに好ましいのはリン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートであり;(k15)の中でさらに好ましいのは(メタ)アクリル酸とN−1−メチルイソペンチリデン−2−ヒドロキシエチルアミンとのエステルである。単量体(c)と単量体(k)の使用量は、上記表1に記載した通りであり、疲労寿命向上や油膜向上性の効果にとってとりわけ好ましいのは(A)の重量に基づいて合計で0.1〜10重量%、特に0.2〜5%使用することである。
【0039】
(A)は、単量体(k)から構成される単位を有することで清浄性の効果が発揮されやすい。清浄性にとって好ましいのは(k112)および(k121)、とりわけジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびモルホリノエチル(メタ)アクリレートである。単量体(k)の使用量は、上記表1に記載した通りであり、清浄性の効果にとってとりわけ好ましいのは(A)の重量に基づいて0.1〜10重量%、特に0.2〜5%使用することである。
【0040】
共重合体(A)は、通常、25℃の鉱物油100部に、少なくとも0.5部、好ましくは少なくとも2部、更に好ましくは少なくとも30部、特に好ましくは少なくとも70部溶解する。
【0041】
共重合体(A)の重量平均分子量は(以下Mwと略す)通常5,000〜1,000,000である。Mwが5,000未満では、粘度指数向上能に乏しい。1,000,000を越えると剪断安定性に乏しくなる。なお、Mwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによって測定されるものであり、ポリスチレンに換算して求めたものである。
基油の種類および(A)の添加の目的によって異なるが、粘度指数向上能と剪断安定性の観点から、(A)のMwは好ましくは下記表2に記載の範囲である。(A)のMwは、重合時の温度、単量体濃度(溶媒濃度)、触媒量または連鎖移動剤量などにより調整できる。
【0042】
【表2】


【0043】
(A)は通常8.6〜11、GTL基油への相溶性と粘度指数向上効果の観点から好ましくは9.0〜9.6、特に好ましくは9.1〜9.3のSP値を有する。SP値はFedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって計算できる。
(A)のSP値は、構成単位のそれぞれのSP値を計算し、目的のSP値になるように単量体の種類とモル比を採択することにより調整できる。
例えば、アルキル(メタ)アクリレートの場合、アルキル基の長さによりSP値を調整することができる。
(A)は、抗乳化性の観点から好ましくは0.5〜7、さらに好ましくは1〜6.5、特に1.5〜6のHLBを有する。本発明におけるHLBは小田法のHLBであり、有機化合物の有機性と無機性の概念(「新.界面活性剤入門」藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行、p197−201)に基づいて定義されるものである。
【0044】
(A)は、公知の製造方法によって得ることができる。例えば前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下にラジカル重合することにより得られる。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンまたはC9-10のアルキルベンゼンなどの芳香族溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびオクタンなどの脂肪族C6-18炭化水素、2−プロパノール、1−ブタノールまたは2−ブタノールなどのC3-8のアルコール系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、GTL基油および鉱物油などが使用できる。好ましいのはGTL基油および鉱物油である。
重合触媒としては、アゾ系触媒[例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、ADVNと略記)、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレートなど]、過酸化物系触媒[例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなど]が使用できる。
さらに、必要により連鎖移動剤[例えば、C2-20のアルキルメルカプタンなど]を使用することもできる。反応温度としては、50〜140℃、好ましくは60〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合または懸濁重合により得ることもできる。さらに、共重合体の重合様式としては、ランダム付加重合または交互共重合のいずれでもよく、また、グラフト共重合またはブロック共重合のいずれでもよい。
【0045】
本発明の粘度指数向上剤は、共重合体(A)の他に、稀釈溶剤を含有していてもよい。
共重合体(A)のみでは粘稠であっても、稀釈溶剤を含有させることによって、基油に添加する際に容易に溶解できる点で好ましい。
稀釈溶剤の含有量は、粘度指数向上剤の重量に基づいて90%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは10〜60%である。
希釈溶剤の比率が高いほうが基油に容易に溶解する点で好ましいが、あまり多いのは経済的ではない。
稀釈溶剤としては、前述の重合工程で使用できる溶剤をそのまま使用してもよく、新たに加えてもよい。
希釈溶剤としては、脂肪族溶剤[炭素数6〜18の脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、デカリン、灯油など)];芳香族溶剤{炭素数7〜15の芳香族溶剤[トルエン、キシレン、エチルベンゼン、炭素数9の芳香族混合溶剤(トリメチルベンゼン、エチルトルエンなどの混合物)、炭素数10〜11の芳香族混合溶剤など]、鉱物油[例えば、溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有するおよびまたは水素化分解による高粘度指数油、ナフテン油]、合成潤滑油[炭化水素契合性潤滑油(ポリαオレフィン系合成潤滑油、GTL基油)、エステル系合成潤滑油]などであり、これらのうち好ましいものはイソパラフィンを含有するおよびまたは水素化分解による高粘度指数油およびGTL基油である。
【0046】
稀釈溶剤として好ましいのは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上、とりわけ好ましくは160℃以上の引火点を有する稀釈溶剤である。 稀釈溶剤の引火点が120℃以上であると、稀釈溶剤を含む粘度指数向上剤を高温でも安全に取り扱うことができる。
引火点が120℃以上の稀釈溶剤としては、 『SK Corporation製;YUBASE 2』(引火点:160℃)、『SK Corporation製;YUBASE 3』(引火点:194℃)などが挙げられる。
【0047】
本発明の潤滑油組成物は、上記の粘度指数向上剤とGTL基油を含有してなる潤滑油組成物である。
本発明におけるGTL基油は、好ましくは1〜30mm2/sの100℃での動粘度を有し、潤滑油組成物となったときの用途に応じて、さらに好ましくは表3に記載の100℃での動粘度を有する。
【0048】
本発明におけるGTL基油は、通常110以上の粘度指数を有し、省燃費性の観点から好ましくは120以上、特に120〜180の粘度指数を有する。
【0049】
本発明におけるGTL基油は、通常−20℃以下、好ましくは−25℃以下、特に好ましくは−27℃以下の流動点を有する。
【0050】
本発明におけるGTL基油は、通常4〜20%、好ましくは5〜18%、特に好ましくは6〜15%の
NOACK[ASTM D5800の方法による250℃における1時間後の基油の蒸発損失(重量%)]を有する。
また、GTL基油の15℃での密度は、通常0.78〜0.85g/cm3、好ましくは0.78〜0.84g/cm3、特に好ましくは0.79〜0.82g/cm3である。
さらに、GTL基油の飽和分の含量は通常95%以上、好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
GTL基油の硫黄含量は通常5ppm以下、好ましくは1ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。
【0051】
GTL基油は、前述のように、天然ガスからGTL技術により合成されたCOやH2を原料にしてフィッシャー−トロプシュ合成プロセスにより液化炭化水素を製造し、さらに処理して得られる潤滑油基油であり、具体的な液化炭化水素の製造法としては米国特許5384336号明細書、米国特許6740621号明細書に、液化炭化水素から潤滑油基油を製造する方法としては特表2006−509899号公報のなどに記載されている。
【0052】
本発明の粘度指数向上剤は、GTL基油のみからなる基油に使用されることは当然であるが、これに通常の鉱物油(API分類のグループI)やその水素化精製油(API分類のグループII、III)や合成潤滑油と混合された場合も本発明に含まれる。混合するのに好ましいものは水素化精製油(API分類のグループII,III)や合成潤滑油であり、その場合のGTL基油の含量は30%以上である。また、低粘度基油(100℃の動粘度が2〜6mm2/s)と高粘度基油(100℃の動粘度が10〜50mm2/s)を配合し目的の動粘度に調製してもよく、その場合、好ましい低粘度基油/高粘度基油の配合重量比は(60〜95)/(5〜40)、特に好ましくは(65〜90)/(10〜35)であり、低粘度基油にGTL基油を用い、高粘度基油にAPI分類のグループI、II、IIIを用いた方がNOACK、疲労寿命および相溶性の観点からGTL基油単独使用より、さらに好ましい。
【0053】
本発明の潤滑油組成物は、表3に示したように、その用途に応じて100℃での動粘度および粘度指数に好ましい範囲を有する。表3に示した好ましい動粘度や粘度指数の範囲であれば、油圧シリンダーからの漏れやベアリングやギアの焼き付きを起こしにくくなり、かつ、粘性抵抗が少なくなり、エネルギーロスを起こしにくい。
そして、動粘度や粘度指数がこれらの用途毎の好ましい範囲になるように、本発明における共重合体(A)の含有量が決められる。 潤滑油組成物の重量に基づく共重合体(A)の含有量は、通常0.1〜30%であり、さらに好ましくは用途別に表3に挙げた含有量である。
【0054】
【表3】


【0055】
本発明の潤滑油組成物は、さらに一般式(2)〜(5)のいずれかで示される有機燐化合物(P)の1種以上を含有していてもよい。
O=P(OR4a(OH)3-a (2)
式中、aは1〜3の整数;R4は各々炭素数4〜24でアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、a個のR4は同一でも異なっていてもよい。
具体的にはモノアルキルホスフェート、ジアルキルホスフェート、トリアルキルホスフェートまたはこれらに相当するアリールエステルなどが挙げられる。
【0056】
O=P(OR5b(OH)3-b・NHc63-c (3)
式中、bおよびcは各々1または2の整数;R5およびR6は各々炭素数4以上でアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R5およびR6は同一でも相異なったものでもよい。
例えばモノアルキルホスフェート、モノアリールホスフェート、ジアルキルホスフェート、ジアリールホスフェートなどと、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの塩が挙げられる。
【0057】
P(OR7)a(OH)3-a (4)
式中、aは1〜3の整数;R7は各々炭素数4以上でアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基である。
例えばモノアルキルホスファイト、ジアルキルホスファイト、トリアルキルホスファイト、またはこれらに相当するアリールホスファイトなどがある。
【0058】
P(OR8b(OH)3-b・NHc93-c (5)
式中、bおよびcは各々1または2の整数;R8およびR9は各々炭素数4以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R8およびR9は同一でも相異なったものでもよい。
例えばモノアルキルホスファイト、モノアリールホスファイト、ジアルキルホスファイト、ジアリルアリールホスファイトなどと、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの塩が挙げられる。
【0059】
一般式(2)〜(5)におけるR4〜R9で各々示される基の具体例としては、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル基、オレイル基などの炭素数4〜30もしくはそれ以上、好ましくは4〜20のアルキル基もしくはアルケニル基;フェニルなどのアリール基;並びに、トルイル基などのアルキル置換アリール基が挙げられる。
有機燐化合物(P)として例示したもののうちで好ましいものは一般式(2)で示されるもののうちのアルキル基の炭素数4〜18のアルキルホスフェートである。
【0060】
これらの有機燐化合物(P)は、潤滑油組成物の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%含有する。
【0061】
本発明の潤滑油組成物は、さらに、前述の(A)以外のアルキル(メタ)アクリレート系共重合体(B)を含有してもよい。
(B)は前述の(a)以外の単量体、すなわち(b1)、(b2)、および(c)〜(m)からなる群から選ばれる2種またはそれ以上からなる共重合体である。
【0062】
(B)のうち、好ましいのは(b1)と(b2)の共重合体[共重合モル比(b1)/(b2)=0.01〜40/60〜99.99]、および(b2)のうちの2種以上の共重合体であり、さらに好ましいのは(b2)のうちの2種以上からなる共重合体である。
特に好ましいのは使用される2種以上の(b2)のアルキル基の平均炭素数(モル平均、以下、Cavと略記)が12.0以上13.0未満である共重合体(B1)、および2種以上の(b2)のアルキル基のCavが13.0〜15.0である共重合体(B2)であり、とりわけ好ましい(B1)および(B2)はアルキル基がいずれも直鎖アルキル基のものであり、分岐アルキル基は30%以下、特に10%以下である。
(B)としては(B1)と(B2)の併用、または(B1)もしくは(B2)の単独使用のいずれでもよいが、好ましいのは併用である。
【0063】
(B1)と(B2)の具体例としては、n−ドデシルメタクリレート/n−オクタデシルメタクリレート(60〜90%/10〜40%、Cav=12.5〜14.0)、n−ドデシルメタクリレート/n−ヘキサデシルメタクリレート(50〜90%/10〜50%、Cav=12.3〜13.8)、n−ドデシルメタクリレート/n−テトラデシルメタクリレート(30〜90%/10〜70%、Cav=12.2〜13.4)およびn−ドデシルアクリレート/n−ドデシルメタクリレート(10〜40%/90〜60%、Cav=12)の共重合体などが挙げられる。
【0064】
(B)のMzは、好ましくは10,000〜1,000,000、さらに好ましくは15,000〜370,000である。
【0065】
(B)の添加量は潤滑油組成物の重量に基づいて、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜5%、特に好ましくは0.1〜1%である。
また、(B)が(B1)と(B2)の併用の場合の重量比率は、通常1/99〜99/1、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30である。
(B)は上記の(A)と同様の方法で製造できる。
【0066】
本発明の潤滑油組成物はさらに従来から公知の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、以下のものが使用できる。
分散剤(D):ポリアルケニルコハク酸イミド(ビス−およびモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物およびボレート類;
清浄剤(E):塩基性、過塩基性または中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、アルキルナフタレンスルフォネートなど)の過塩基性またはアルカリ土類金属塩]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類およびこれらの混合物;
酸化防止剤(F):ヒンダードフェノール類および芳香族2級アミン類;
消泡剤(G):シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステルおよびフォスフェート化合物など;
油性向上剤(H):長鎖脂肪酸およびそれらのエステル(オレイン酸およびオレイン酸エステルなど)、長鎖アミンおよびそれらのアミド(オレイルアミンおよびオレイルアミドなど);
摩擦摩耗調整剤(I):モリブデン系および亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメートおよびジンクジアルキルジチオフォスフェートなど);
極圧剤(J):硫黄系化合物(モノ−およびジ−スルフィド、スルフォキシドおよび硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物および塩素系化合物(塩素化パラフィン)など;
抗乳化剤(K):第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩)、硫酸化油、フォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート)など;
腐食防止剤(L):窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾールおよび1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート)など。
【0067】
これらの添加剤は、以下の表4記載の量(重量%、但し消泡剤はppm)を潤滑油組成物の重量に基づいて使用することができる。
【0068】
【表4】


【0069】
添加剤合計の添加量は潤滑油組成物の重量に基づいて、30%以下、好ましくは10〜20%である。
なお、前記(P)、(B)、および(D)〜(L)を含む場合であっても、潤滑油組成物の100℃動粘度の好ましい範囲、および潤滑油組成物の粘度指数の好ましい範囲は、前記の表3に記載の範囲と同様である。
【0070】
本発明の潤滑油組成物は、デファレンシャル油、マニュアルトランスミッション油(以下、MTFと略記)、オートマチックトランスミッション油(以下、ATFと略記)およびベルト−CVTFなどの変速機油、トロイダル−CVT油などのトラクション油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、建設機械用作動油および工業用作動油などの作動油、並びにエンジン油などに好適に用いられる。これらのうち好ましいのはデファレンシャル油、ATF、ベルト−CVT油、エンジン油およびMTFである。さらに好ましくはATF、ベルト−CVT油およびMTFである。特に好ましくはATFである。
【0071】
本発明の潤滑油組成物がデファレンシャル油、MTF、ATFおよびベルト−CVTFなどの変速機油用として用いた場合、剪断安定性が良好であり、CEC L45−45−A−99で規定された方法に従い試験時間を20時間として試験した場合、粘度低下率は好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは6%以下である。
【0072】
<実施例>
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、製造例、実施例、比較例中の部は重量部を表す。
(GPCによる重量平均分子量の測定法)
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
【0073】
<粘度指数の測定方法>
JIS−K−2283の方法で行った。
<低温粘度の測定方法>
JPI−5S−26−85の方法で−40℃の粘度を測定した。
<剪断安定性の試験方法>
CEC L45−45−A−99の方法に従い試験時間を20時間とした。
<貯蔵安定性の試験方法>
試料油100mlをガラス製の200mlの容器に入れ、−20℃で2ヶ月間保管し、ポリマーの析出の有無について目視にて確認した。○は析出物なし、×は析出物あり。
<CCS粘度の測定方法>
ASTM D5293の方法で行った。
<150℃でのHTHS粘度の測定方法>
JPI−5S−36−2003(TBS法)
<ペンタン不溶解分の試験方法>
JIS K2514の試験時間96時間、温度150℃とし、JPI−5S−18−80のペンタン不溶解分A法、B法によりスラッジ量を求めた。
<動摩擦係数(μd)の測定方法>
JASO M348−95により2000サイクル目のμdを測定した。(標準油T2の2000サイクル目のμd=0.128)
<引火点の測定方法>
JIS K2265のクリーブランド開放式で行った。
<100℃および40℃での動粘度の測定方法>
JIS−K−2283の方法で行った。
<NOACKの測定方法>
ASTM D5800の方法により250℃で1時間後の蒸発損失(重量%)を測定した。
<15℃での密度の測定方法>
JIS K2249の振動式密度試験方法で行った。
【0074】
製造例1;フィッシャー-トロプシュ触媒の製造
チタニア粉末(Degussa社製品「P25」)143g、水酸化コバルト粉末(試薬)66g、酢酸マンガン・4水和物(試薬)10.3g及び水38gを混合し、15分間室温で混練した。
押出機を使用して混合物を直径1mm、長さ約4mmの円柱状に成形した。成形物を120℃で16時間乾燥し、500℃で2時間焼成した。得られた成型物はコバルト20%とマンガン1%を含んでいた。
【0075】
製造例2;水素化分解触媒の製造
非晶質シリカ−アルミナ[グレース ダビソン(Grace Davison)社製、細孔容積(H2O)0.77ml/g、アルミナ13重量%(乾燥基準)]1834.9gおよびアルミナ[クリテリオン キャタリスト社(Criterion Catalyst Co.)製]554.8gからなる混合物を磨砕混合機械の中に入れて、10分間室温で磨砕混合した。酢酸(10%水溶液)200.0gおよび水2190.3gを加え、その結果生成した混合物をさらに10分間磨砕混合した。その後、ポリアクリルアミド[スーパーフロック(Superfloc)A1839(三井化学アクアポリマー社製)、2%水溶液]40.0gを加えてからさらに10分間磨砕混合を続けた。
最後に、高分子電解質[ナルコ7879(Nalco社製)、4重量%水溶液]80.0gを加え、そしてその混合物を最後の5分間磨砕混合した。生成した混合物を、押出機を用いて円筒状ダイプレートを通して押出し、直径1.7mmの円柱状押出物を形成させた。生じた押出物を120℃の温度において2時間乾燥させてから、600℃の温度で2時間焼成した。
1Lのガラス製の容器に、ヘキサクロロ白金酸(H2PtCl6 ,2.45重量%)および硝酸(7.66重量%)を含む水溶液500gを調製した。細孔含浸法(Pore Impregnation technique)を用いて上記の円柱状押出物(担体)に上記の水溶液を含浸させて、最終的に円柱状押出物の重量に対して0.8%の白金を担体に担持させた。ついで、このように含浸された担体粒子を500℃の温度で1時間焼成して、最終的な触媒を生成させた。その結果生成した触媒は392m2 /gの表面積(BET法による測定)および、水銀ポロシメーターで測定される0.59ml/gの細孔容積を有していた。
【0076】
製造例3;脱ろう触媒の製造
ZSM−5(Zeolyst International社の乾燥ゼオライト「CBV8014」)30g(乾燥基準で)、無定形沈降性シリカ粉末(Degussa社から入手した「Sipernat−50」)35gおよび酸性コロイド状シリカ(PQ Corporation社「Nyacol 2034DI」)35gとを粉砕しながら混合し、均質混合物を得た。該混合物中の全水分含有量を脱イオン水で55%に調整した。 30分後、2.5%アンモニア水溶液2.5gを添加し、10分間混合した。混合物を押出機で押出して直径1.6mmの円柱押出物を作った。次にこの押出物を空気中、120℃で、2時間乾燥し、引き続き800℃で5時間焼成した。 こうして得られた押出物を水酸化白金テトラミンの2重量%水溶液に浸漬した後、乾燥し(120℃で2時間)、焼成した(300℃で2時間)。この焼成物を、100リットル/時間の水素速度下、350℃の温度で2時間の還元により活性化した。得られた触媒は、担体の重量に対して白金を0.7%担持したものであった。
【0077】
製造例4;GTL基油の製造
容積10mlのマイクロフロー反応器に製造例1で得られたフィッシャー-トロプシュ触媒を充填し、反応器を260℃の温度まで加熱し、窒素ガスの連続流で2バールまで加圧し、その後、触媒を窒素及び水素ガスの混合物で24時間in−situで還元した。還元中の混合ガス中の水素の相対量を0%から100%まで徐々に増加させた。還元後に圧力を26バールまで上げた。反応はH2 /CO比1.1:1の水素と一酸化炭素の混合物を使用して実施した。反応条件は、ガス時間毎空間速度(GHSV)=800Nl/l/h。反応温度は加重平均床温度(WABT)として208℃である。50時間運転後、時空収率(STY)は104(g/l/h)であり、総炭化水素生成物の中のC5以上(以下C5+と表現する)の選択性は94%であった。ここで、GHSVとは触媒粒子1リットル(粒子間の空隙を除く)と1時間に接触するガスの0℃、1バールの容量を表し、STYとは、1時間当たり触媒粒子(粒子間の空隙を含む)1リットル当たりの炭化水素生成物の重量を表す。
次いでこの合成反応の流出物からC4以下の低沸点化合物を分離することにより、表5に示すような沸点を有するフィッシャー・トロプシュ生成物を作った。この原料は、C30+生成物を約60重量%含有していた。C60+/C30+比は約0.55であった。
【0078】
【表5】


【0079】
こうして得られたフィッシャー・トロプシュ生成物を連続的に水素化分解工程に供給した。水素化分解工程では、フィッシャー・トロプシュ生成物、及び工程の流出物中の370℃以上のフラクションよりなる再循環流を、製造例2で得られた水素化分解触媒と反応器温度330℃で接触させた。フィッシャー・トロプシュ生成物は、0.8kg/l/hrの空間速度(WHSV:1時間当たり、触媒1L当たり)で接触させ、また再循環流は、全圧35バール及び水素分圧33バールにおいて0.2kg/l/hrで接触させた。再循環ガスの割合は、全原料に対し2000Nl/kgであった。全原料中の370℃を越える沸点の化合物が370℃未満の沸点の化合物に転化した転化率は、55重量%であった。水素化分解工程の生成物は、蒸留により、ナフサ、ケロシン及びガス油の範囲の沸点を有する1種以上の燃料フラクションと、370℃よりも高い沸点を有する塔底生成物とに分けた。
こうして得られた370℃以上の沸点のフラクションは、今度は真空蒸留塔で蒸留した。この時、蒸留塔への原料の速度は750g/hであり、塔頂部の圧力は0.4mmHg(0.5ミリバール)に維持し、また塔頂部の温度は240℃に維持した。この温度は、大気カットオフ温度515℃に等しい。したがって、塔頂生成物の沸点範囲は、370〜515℃であった。別の特性として、+18℃の流動点及び3.8cStの100℃での動粘度を持っていた。この塔頂生成物は、脱ろう工程で基油前駆体として使用した。
続く脱ろう工程では、前記基油前駆体フラクションを、製造例3で得られた脱ろう触媒と接触させた。脱ろう条件は、全圧:40バール、反応器出口での水素分圧:36バール、WHSV:1kg/l.h、温度:340℃、再循環ガス速度:500Nl/kg原料である。WHSVとは空間速度であり、1時間、触媒1リットル当たりのオイルの重量を表す。
脱ろう油は蒸留し、軽質フラクション及び重質フラクションを除去して、以下に示す特性を有するGTL基油Aを得た。
15℃密度(g/cm3)=0.817、40℃動粘度(mm2/s)=18.0、100℃動粘度(mm2/s)=4.0、粘度指数=121、流動点(℃)=−50、NOACK(重量%)=11
【0080】
実施例1〜5および比較例1[本発明および比較の粘度指数向上剤]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、鉱物油(『SK Corporation製;YUBASE 2』:引火点=160℃)25部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、表6,表7に記載の単量体を合計100部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DMと略記)およびラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル:ADVNと略記)を表6,表7に記載の量仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下85℃で4時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、130℃、3時間、減圧下で揮発性モノマーを除去し、鉱物油(『SK Corporation製;YUBASE 2』:引火点=160℃)28.8部加え、さらに1時間撹拌して均一に溶解後、濃度65%の共重合体溶液を得た。これらの溶液を本発明の粘度指数向上剤(A−1)〜(A−5)、並びに比較の粘度指数向上剤(X−1)とした。得られた共重合体のMwは表6,表7に示す。
【0081】
実施例7、8[本発明の粘度指数向上剤]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、イソプロパノール25部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、表7に記載の単量体を合計100部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DMと略記)およびラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル:ADVNと略記)を表6,表7に記載の量仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下83〜88℃で4時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、88℃で熟成した後、鉱物油(『SK Corporation製;YUBASE 2』:引火点=160℃)53.8部加え、100℃、4時間、減圧下でイソプロパノールと揮発性モノマーを除去し、濃度65%の共重合体溶液を得た。これらの溶液を本発明の粘度指数向上剤(A−7)、(A−8)とした。得られた共重合体のMwは表6,表7に示す。
【0082】
実施例9[本発明の粘度指数向上剤]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、トルエン25部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、表6,表7に記載の単量体を合計100部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DMと略記)およびラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル:ADVNと略記)を表6,表7に記載の量仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下83〜88℃で4時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、88℃で熟成した後、水11部を加え88℃で2時間加熱撹拌し加水分解する。つぎに、120℃に昇温し、減圧下で水およびトルエンを留去し、得られたポリマーをメタノールで再沈殿し、メタノール120部で2回洗浄後、100℃で4時間減圧乾燥した後、得られた共重合体65部に対し、鉱物油(『SK Corporation製;YUBASE 2』:引火点=160℃)35部加え、100℃、1時間撹拌溶解し、濃度65%の共重合体溶液を得た。これらの溶液を本発明の粘度指数向上剤(A−9)とした。得られた共重合体のMwは表6,表7に示す。
【0083】
なお、表6,表7中の単量体の略号は以下の通りである。
DTM:2−デシルテトラデシルメタクリレート
DOM:2−ドデシルオクチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
nHM:n-ヘキサデシルメタクリレート
nOM:n-オクタデシルメタクリレート
nDM:n-ドデシルメタクリレート
nTM:n-テトラデシルメタクリレート
DAE:ジメチルアミノエチルメタクリレート
HBMA:4−ヒドロキシブチルメタクリレート
MIBKMA:メタクリル酸とN−1−メチルイソペンチリデン−2−ヒドロキシエチルアミンとのエステル
MEP:2−メタクリロイロキシエチルホスフェート
【0084】
実施例6および比較例2[本発明および比較の粘度指数向上剤]
鉱物油(『SK Corporation製;YUBASE 2』)の代わりに製造例4で得られたGTL基油Aを用いる以外は実施例1と同様にして本発明の粘度指数向上剤(A−6)、並びに比較の粘度指数向上剤(X−2)とした。得られた共重合体のMwは表6,表7に示す。
【0085】
製造例5[共重合体(B1)の溶液の製造]
単量体としてnOM(n-オクタデシルメタクリレート)を5部およびnDM(n-ドデシルメタクリレート)を95部、並びにDM(ドデシルメルカプタン)を0.4部としたこと以外は実施例1と同様にして、共重合体(B1)を含む溶液(B−1)を得た。(B−1)は濃度65%であり、共重合体のアルキル基の平均炭素数は12.2であり、Mwは50,000であった。
【0086】
【表6】


【0087】
【表7】


【0088】
実施例10〜17、比較例3
撹拌混合装置の付いたステンレス製容器に、得られる潤滑油組成物の100℃の動粘度が5.4±0.1(mm2/s)になり、かつ潤滑油組成物の合計が100部になるように(A−1)〜(A−5)、(A−7)、(A−8)および(X−1)のうちのいずれか、並びに製造例4で得られたGTL基油Aを添加し、実施例10〜17および比較例3の潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の粘度指数、−40℃での低温粘度、剪断安定性、−20℃での貯蔵安定性(2ヶ月)の測定結果を表8に示す。
【0089】
【表8】


【0090】
実施例18、比較例4
撹拌混合装置の付いたステンレス製容器に、溶液(B−1)を0.2部入れた。得られる潤滑油組成物の100℃の動粘度が8.5±0.3(mm2/s)になり、かつ潤滑油組成物の合計が100部になるように(A−6)、(X−2)および配合油A[GTL基油A/精製鉱油A(100℃動粘度=32mm2/s:APIグループI)=87/13の重量比で配合したものであって、100℃動粘度=5.2mm2/s]をそれぞれ添加し、実施例18および比較例4の潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の粘度指数、150℃HTHS粘度、−35℃のCCS粘度、−20℃での貯蔵安定性(2ヶ月)の測定結果を表9に示す。
【0091】
【表9】


【0092】
実施例19〜21、比較例5
下記潤滑油組成物を各々調製し、粘度指数、低温粘度、せん断安定性、引火点、μdおよびISOT後のペンタン不溶解分の測定行った。その結果、表10の結果を得た。表10中において、A法とはISOT後のペンタン不溶解分であり、B法とは凝集剤を加えたときのペンタン不溶解分である。従って、A法とB法の差がスラッジ分散能力を示すこととなる。また、A法、B法でのスラッジ量は抗酸化性を示し、少ない方が性能良好なことを示す。
〔潤滑油組成物〕
(A−1)〜(A−3)または(X−1) ;10%
ジラウリルフォスフェートのオレイルアミン塩[(P)に相当] ; 1%
ポリブテニルコハク酸イミド[(D)に相当] ; 3%
(エチルクーパー社製「Hitec E638」)
過塩基性Caスルフォネート[(E)に相当] ; 1%
(エチルクーパー社製「Hitec E611」)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛[(I)に相当] ; 0.3%
(アモコ社製 「Amoco 194」)
2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール[(F)に相当] ; 0.2%
(ルブリゾール社製 「Lubrizol 817」)
GTL基油A ;84.5%
【0093】
【表10】


【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の潤滑油組成物は、輸送用機器用および各種工作機器用などの駆動系潤滑油[ギア油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャル油等)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油、トロイダルCVT油など)]、作動油[機械の作動油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油など]、エンジン油[ガソリン用、ディーゼル用等]に好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
【出願日】 平成19年6月29日(2007.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−31459(P2008−31459A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−172420(P2007−172420)