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【発明の名称】 樹脂用グリース組成物
【発明者】 【氏名】林 健司

【氏名】山田 賢司

【要約】 【課題】優れた樹脂の耐摩耗性を有するグリース組成物を提供する。

【構成】層状構造を持つ化合物2〜40質量%を必須成分とし、基油として40℃の動粘度が1〜2000mm/sの鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油から選べる少なくとも1種以上、増ちょう剤として金属石けん系増ちょう剤、複合体金属石けん系増ちょう剤及びポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする樹脂用グリース組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
40℃の動粘度が1〜2000mm/sの鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油から選ばれる少なくとも1種の基油と、層状構造を持つ化合物粉末を2〜40質量%、及び増ちょう剤として金属石けん系増ちょう剤、複合体金属石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上を含有し、かつ固体潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を含有しないか、又はポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を2.4質量%以下含有することを特徴とする樹脂摺動部で使用される樹脂用グリース組成物。
【請求項2】
層状構造を持つ化合物粉末が、黒鉛、雲母及びMCA(Melamine Cyanuric Acid)から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項3】
増ちょう剤が、カルシウム石けん系増ちょう剤、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項4】
基油が、シリコーン油である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項5】
樹脂摺動部が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂を使用している摺動部である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂用グリース組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂を使用した軸受、ギヤ等の樹脂摺動部の潤滑箇所へ適用できる耐摩耗性に優れた樹脂用グリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂を使用した軸受やギヤ等の樹脂摺動部に適用するグリース組成物には、潤滑膜を形成するZnDTP硫黄系及びリン系等の極圧添加剤を配合しても、金属表面と反応する等して潤滑効果が期待できないため、通常、固体潤滑剤を配合している。このような樹脂用グリース組成物に使用される固体潤滑剤としてはポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)粉末が最も多く用いられており、このPTFE粉末をベースとして更なる潤滑性の向上が試みられている(特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
樹脂はその種類により摺動特性が異なるが、PTFE樹脂や高密度ポリエチレン樹脂(以下、高密度PE樹脂という。)は、特に低摩擦性に優れているため、低摩擦を目的とする摺動部に使用されている。そして、これらの樹脂は、摩擦時に分子配向をとった後、表面層が小片として剥離(摩耗)することにより低摩擦性を示す機構になっている。しかしながら、この剥離した摩耗粉が増えすぎると、グリースを硬化させ、本来の性能を充分に発揮できなくなる可能性がある。したがって、このような樹脂を使用する箇所では、樹脂の摩耗を抑制することが重要であり、樹脂の摩耗抑制効果に優れた樹脂用グリース組成物が要望されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−89778号公報
【特許文献2】特開2005−247971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、樹脂摺動部に適用する際に耐摩耗性に優れたグリース組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、層状構造を持つ化合物粉末2〜40質量%を必須成分とし、40℃の動粘度が1〜2000mm/sの鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油から選ばれる少なくとも1種を基油とし、増ちょう剤として金属石けん系増ちょう剤、複合体金属石けん系増ちょう剤及びポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種を含有させることで、樹脂用グリース組成物の摩耗防止性を向上でき、逆に、固体潤滑剤としてPFTE樹脂を通常好ましいとされている含有量を配合すると摩耗防止性が悪くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、40℃の動粘度が1〜2000mm/sの鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油から選ばれる少なくとも1種の基油と、層状構造を持つ化合物を2〜40質量%、及び増ちょう剤として金属石けん系増ちょう剤、複合体金属石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上を含有し、かつ固体潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を含有しないか、又はポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を2.4質量%以下含有することを特徴とする樹脂摺動部で使用される樹脂用グリース組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記樹脂用グリース組成物において、層状構造を持つ化合物粉末が、黒鉛、雲母及びMCA(Melamine Cyanuric Acid)から選ばれる少なくとも1種である樹脂用グリース組成物を提供する。
また、本発明は、上記樹脂用グリース組成物において、増ちょう剤が、カルシウム石けん系増ちょう剤、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種である樹脂用グリース組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記樹脂用グリース組成物において、基油が、シリコーン油である樹脂用グリース組成物を提供する。
また、本発明は、上記樹脂用グリース組成物において、樹脂摺動部が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂を使用している摺動部である樹脂用グリース組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂用グリース組成物は、樹脂摺動部における樹脂の耐摩耗性に優れている。従って、本発明の樹脂用グリース組成物は、実用上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に使用する基油としては、通常グリースに使用される鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合系のものなどの種々の潤滑油基油が用いられるが、40℃における動粘度の値が、1〜2000mm/sが好ましく、より好ましくは5〜1500mm/s、特に好ましくは10〜1500mm/sである。動粘度が、あまり小さすぎると耐摩耗性が低くなる傾向にある。動粘度が大きすぎると流動性が悪くなり、グリース本来の性能が出にくくなる傾向にある。
鉱油系潤滑油基油としては、例えば原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み合わせて精製したものが挙げられる。
【0012】
合成系潤滑油基油としては、例えば炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマー、2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルセバケートを始めとするセバケート、アゼレート、アジペートなどの炭素数4〜12のジアルキルジエステル類、1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールと炭素数3〜12の一塩基酸から得られるエステルを始めとするポリオール類、炭素数9〜40のアルキル基を有するアルキルベンゼン類、ブチルアルコールをプロピレンオキシドと縮合させることにより得られるポリグリコールなどのポリグリコール類、約2〜5個のエーテル連鎖及び約3〜6個のフェニル基を有するポリフェニルエーテルなどのフェニルエーテル類、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンなどのシリコーン油が挙げられる。
【0013】
上記鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油は1種単独であるいは2種以上を混合して使用することができるが、グリースを使用する摺動部の樹脂の種類によっては、基油により樹脂自体の強度を低下させる可能性があるため、樹脂用グリースとしては、αオレフィンオリゴマーまたはシリコーン油を使用することが好ましい。また、耐摩耗性及び耐熱性の観点からは、シリコーン油を使用することが特に好ましい。
また、基油の量は、要求特性に応じて適宜選定することができるが、グリース全量に対して通常55〜98質量%の範囲であり、好ましくは65〜95質量%の範囲である。
【0014】
本発明において使用する層状構造を持つ化合物粉末の具体例としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、フッ化黒鉛、雲母、MCA(Melamine Cyanuric Acidの略称)、窒化ホウ素、遷移金属ジカルコゲナイドのインカレーション化合物等が挙げられるが、好ましいものとしては、雲母、黒鉛、MCAが挙げられ、特に好ましいものとしては、黒鉛、MCAが挙げられる。
【0015】
層状構造を持つ化合物粉末として使用される雲母は下記一般式(1)で表される。
・B・C・O10・D (1)
(式中、Aはナトリウム原子、カリウム原子、カルシウム原子、バリウム原子、ルビジウム原子及びストロンチウム原子から選ばれる1種以上、Bはマグネシウム原子、鉄原子、ニッケル原子、マンガン原子、アルミニウム原子及びリチウム原子から選ばれる1種以上、Cはケイ素原子、ゲルマニウム原子、アルミニウム原子、鉄原子及びホウ素原子から選ばれる1種以上、Dは水酸基又はフッ素原子であり、lは0.5〜1、mは2〜3である。)
【0016】
雲母の具体例としては、白雲母KAl(AlSi10)(OH)、ソーダ雲母NaAl(AlSi10)(OH)、金雲母NaMg(AlSi10)(OH)、鱗雲母KLiAl(Si10)(OH)等の天然雲母と、(OH)をFで置き換えたフッ素金雲母KMg3(AlSi10)F2 、フッ素四ケイ素雲母KMg2.5(Si10)F、テニオライトKMgLi(Si10)F等のフッ素雲母が挙げられる。
【0017】
層状構造を持つ化合物粉末として使用されるMCAは、メラミンとシアヌル酸の付加物から成る白色微粉末である。MCA中のメラミンとシアヌル酸の割合は、0.7:1.3〜1.3:0.7(モル比)が好ましい。
層状構造を持つ化合物粉末として使用されるグラファイト(黒鉛)は、大別して、人造黒鉛と天然黒鉛とに分けられる。人造黒鉛は、ピッチ・コークスをタール、ピッチ等により固めて1200℃位で焼成後、黒鉛炉で高温で処理することにより炭素の結晶が成長して造られたものである。また、天然黒鉛は天然の地熱と地下の高圧下で長い年月を経て黒鉛化したものである。本発明において用いる黒鉛としては、天然黒鉛が好ましい。また、天然黒鉛においては、その材質の違いにより鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛が挙げられるが、特に麟片状黒鉛又は鱗状黒鉛が好ましい。
【0018】
層状構造を持つ化合物粉末の平均粒径は、0.1〜25μmが好ましく、2.1〜20μmがより好ましく、2.2〜15μmが特に好ましい。
層状構造を持つ化合物粉末のうち、特に雲母の平均粒径は、0.8〜25μmが好ましく、2.1〜20μmが特に好ましい。また、MCAの平均粒径は、0.1〜3μmが好ましく、0.5〜3μmが特に好ましい。また、黒鉛の平均粒径は、1〜15μmが好ましく、2.1〜10μmが特に好ましい。特に、麟片状黒鉛及び鱗状黒鉛の平均粒径は、2.1〜10μmが好ましく、2.1〜8μmが特に好ましい。
【0019】
層状構造を持つ化合物粉末のグリース全量に対する含有量は、その下限値は2質量%以上であるが、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上であり、特に好ましくは8質量%以上である。層状構造を持つ化合物粉末の含有量の上限値は、40質量%以下であるが、好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは15質量%以下である。配合量が少なすぎると所定の耐摩耗性が得られず、配合量が多すぎても効果が飽和してしまう傾向にある。
【0020】
本発明の樹脂用グリース組成物において使用される増ちょう剤は、金属石けん系増ちょう剤、複合体金属石けん系増ちょう剤及びポリウレアから選ばれる1種以上である。これらの増ちょう剤を層状結晶構造を持つ化合物と組み合わせることにより、十分な耐摩耗性の効果を得ることができる。
金属石けん系増ちょう剤としては、カルシウム石けん、リチウム石けん等を用いることができる。
【0021】
リチウム石けん系増ちょう剤としては、リチウム−12−ヒドロキシステアレート等の水酸基を有する脂肪族カルボン酸リチウム塩、リチウム−ステアレート等の脂肪族カルボン酸リチウム塩またはそれらの混合物などが挙げられる。
複合体金属石けん系増ちょう剤としては、複合体リチウム石けんが挙げられる。
【0022】
複合体リチウム石けん系増ちょう剤としては、前述の水酸基を有する脂肪族カルボン酸リチウム塩と二塩基酸リチウム塩とのコンプレックス等が挙げられる。ここで、好適な二塩基酸としては、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。特に好適なものはアゼライン酸、セバシン酸である。
【0023】
ポリウレアとしては下記一般式(2)のものが挙げられる。
1-NH-(CONH-R-NHCONH-RNH)y-CONH-R-NHCONH-R
・・・(2)
(式中、yは0〜3の整数で、R、R、R及びRは炭素数1〜30の炭化水素基である。)
一般式(2)において、yは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。R、Rは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであり、好ましい炭素数は1〜30であり、さらに好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。Rは、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素であり、Rは1〜30個の炭素原子を有する炭化水素である。一般式(2)のポリウレアは、通常はジアミンとジイソシアネートの反応により得られる。
【0024】
本発明においてグリース増ちょう剤として使用されるN−置換テレフタラミン酸金属塩は、一般式(3)で表される。
【化1】


【0025】
一般式(3)において、Rは炭素数4〜22の炭化水素基であり、その炭素数は好ましくは8〜22、より好ましくは12〜22、特に好ましくは14〜20である。炭素数が少なすぎると増ちょう剤が基油に分散しにくく、基油が分離する傾向が生じる。また、炭素数が大きすぎるとせん断安定性が悪くなる傾向がある。Rの例としてはデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
Mは、金属であるが、その例としては周期律I族、II族、III族、及びIV族の金属が挙げられる。Mの具体例としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛などが挙げられる。特に好ましいのはナトリウム、バリウム、リチウム、カリウムであり、なかでもナトリウムが最も好ましい。xは、Mの価数と同一の整数である。
【0026】
上記増ちょう剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の樹脂用グリース組成物において使用される増ちょう剤は、本発明にちょう度を付与させるもので、好ましい配合量はグリース全量に対して1〜40質量%、より好ましくは2〜20質量%である。配合量が少なすぎると、グリース状にならずに所定のちょう度が得られない傾向にある。また、多すぎると、製品グリースの潤滑性が低下する傾向にある。
【0027】
また、本発明の樹脂用グリース組成物は、上記各成分の基油と増ちょう剤を配合するものであるが、必要に応じて、各種添加剤を適宜配合することができる。
【0028】
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤、亜鉛系、硫黄系、リン系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛などの極圧剤、ステアリン酸などのカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤などが挙げられる。添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
本発明の樹脂用グリース組成物は、PTFE粉末を多量に配合すると、摩耗防止性が悪化する。PTFE粉末は含有しないことが好ましい。なお、PTFE粉末を含有させる場合であっても、PTFE粉末の含有量は、グリース全量に対して2.4質量%以下であり、好ましくは2.1質量%以下であり、より好ましくは1.9質量%以下であり、さらに好ましく1.4質量%以下であり、一層好ましくは0.9質量%以下であり、特に好ましくは0.4質量%である。
【0030】
本発明の樹脂用グリース組成物は、種々の樹脂に適用できるが、摩擦時に分子配向をとった後、表面層が小片として剥離(摩耗)することにより低摩擦性を示す性状を有する樹脂に好ましく適用でき、特にPTFE樹脂、高密度PE樹脂に好適に適用できる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0032】
(実施例1〜9及び比較例1〜5)
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*17成分を表1〜2に示した配合量(質量)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。*1〜*17のうちの増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*17の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*17の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれ樹脂の耐摩耗性評価を行った。
【0033】
*1:リチウム−12−ヒドロキシステアレート(耐熱容器に表中の各基油とリチウム−12−ヒドロキシステアレート(堺化学製;商品名;S7000H)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油を添加し、冷却した後、ミル処理を行うことによりリチウム−12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
*2:リチウム−ステアレート(耐熱容器に表中の各基油とリチウムーステアレート(堺化学製;商品名;S7000)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油を添加し、冷却した後、ミル処理を行うことによりリチウム−ステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
【0034】
*3:複合体リチウム石けん(耐熱容器に表中の各基油と12−ヒドロキシステアレートを投入し加熱する。次に、水酸化リチウム水溶液を約80℃付近で添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートを生成させる。さらに、約90℃付近で水酸化リチウムとアゼライン酸を加え約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石けんを生成させる。その後、これを加熱し、半溶融させた後急冷を行うことによって、リチウムコンプレックス石けんの結晶を最適なものとし、得られた、基油中に均一に混合分散させたリチウム−12−ヒドロキシステアレート/アゼライン酸複合体リチウム石けん)
【0035】
*4:脂肪族ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、オクチルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら170℃に加熱し、基油を添加し、冷却した後、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
【0036】
*5:脂環式ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら110℃に加熱し、基油を添加し、冷却した後、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
【0037】
*6:N−置換テレフタラミン酸ナトリウム(耐熱容器に基油とN−オクタデシルテレフタラミン酸のメチルエステルを入れ、加熱溶解し、その後、100℃以下に冷却して50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、よく撹拌しながら徐々に加熱し、充分に鹸化を行い、鹸化終了後150℃において更に基油を加え最高温度180℃まで加熱し、その後60℃まで冷却して得られたN−オクタデシルテレフタラミン酸ナトリウム)
【0038】
*7:鉱油系潤滑油基油(40℃動粘度:100mm/sの水素化精製鉱油系潤滑油基油)
*8:PAO(40℃の動粘度:60mm/sのポリアルファオレフィン)
*9:シリコーン油(40℃動粘度:380mm/sのジメチルシリコーン)
【0039】
*10:平均粒径5μmの鱗状黒鉛
*11:MCA(三菱化学社製:MCA)、平均粒径1μm
*12:雲母(コープケミカル社製:ミクロマイカSIMK<フッ素雲母>)、平均粒径2.5μm
*13:二硫化モリブデン(ダイゾー社製、Cパウダー)、平均粒径1.2μm
*14:窒化ホウ素(電気化学工業社製、HGP)、平均粒径1.5μm
*15:ジフェニルアミン
*16:PTFE(ダイキン社製:ルブロン)、平均粒径0.5μm
*17:SiO:(アエロジル社製:380)
【0040】
(測定方法)
(1)樹脂の耐摩耗性試験
ファレックス型摩擦試験機を用いて行った。試験は、鋼製のピンとPTFE樹脂製ブロックを用いて摺動部にグリースを0.5g塗布し、ピン回転数500rpm、温度は成りゆきの下で、締め付け荷重50Nで5分間ならし運転を行い、次いで100Nで55分間本運転を行った。評価は、試験前後のブロックの重量減(摩耗量)を測定した。
【0041】
(2)耐熱性
薄膜加熱試験により行った。本試験は、鋼板にグリースを2mmの厚さに均一に塗り、150℃の恒温槽で96時間放置した。評価は、試験前後の全酸価を測定し、全酸価の増加度合いにより、以下の基準で行った。
○:全酸価増加が1.0mgKOH/g未満であるとき
△:全酸価増加が1.0mgKOH/g以上4.0未満であるとき
×:全酸価増加が3.0mgKOH/g以上であるとき
【0042】
【表1】


【0043】
【表2】


【出願人】 【識別番号】398053147
【氏名又は名称】コスモ石油ルブリカンツ株式会社
【出願日】 平成19年2月26日(2007.2.26)
【代理人】 【識別番号】100095599
【弁理士】
【氏名又は名称】折口 信五


【公開番号】 特開2008−31416(P2008−31416A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−45863(P2007−45863)