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放熱用シリコーングリース組成物及びその製造方法 - 特開2008−31336 | j-tokkyo
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【発明の名称】 放熱用シリコーングリース組成物及びその製造方法
【発明者】 【氏名】木崎 弘明

【氏名】山田 邦弘

【氏名】遠藤 晃洋

【要約】 【課題】長期安定な熱伝導性を有し、オイル汚れ、接点障害を引き起こさない放熱用シリコーングリースを提供。

【構成】本組成物は、(A)下記定義のチキソ度αが1.03〜1.50であり、粘度(25℃)が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、(B)融点200℃以下の金属 100〜5000質量部、及び(C)一般式(1):
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記の通り定義されるチキソ度αが1.03〜1.50であり、25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)融点が200℃以下の金属 100〜5000質量部、
(C)一般式(1):
12Si(OR3)4-a-b (1)
(式中、R1は独立に炭素原子数6〜20のアルキル基であり、R2は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、R3は独立に炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、但しa+bは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン化合物 0.01〜20質量部
を含有してなる放熱用シリコーングリース組成物。

チキソ度α=η12
〔ここで、η1はB型回転粘度計により25℃においてローターの回転数をβrpmとして測定した粘度であり、η2はB型回転粘度計により25℃においてローターの回転数を2×βrpmとして測定した粘度である。〕
【請求項2】
前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分とを、前記(B)成分の融点以上である温度で混合して均一な混合物を得る工程を含む請求項1の組成物の製造方法。
【請求項3】
前記(A)成分と前記(B)成分の粉末と前記(C)成分とを、前記(B)成分の融点未満である温度で混合して均一な混合物を得る工程を含む請求項1の組成物の製造方法。
【請求項4】
前記(A)成分の原料と前記(B)成分と前記(C)成分とを、前記(B)成分の融点以上である温度で混合して均一な混合物を得る工程と、得られた混合物中の前記(A)成分の原料を反応させて前記(A)成分を生成させる工程を含む請求項1の組成物の製造方法。
【請求項5】
前記(A)成分の原料と前記(B)成分の粉末と前記(C)成分とを、前記(B)成分の融点未満である温度で混練して均一な混合物を得る工程と、得られた混合物中の前記(A)成分の原料を反応させて前記(A)成分を生成させる工程を含む請求項1の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱用シリコーングリース組成物に関し、特に長期にわたる使用に適した放熱用グリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコーンオイルをベースとして用いこれに充填剤として各種粉末を添加した放熱用シリコーングリースが知られている(特許文献1、2、3、4、5、6および7)。しかし、これらの放熱用シリコーングリース組成物は、長期にわたって使用した場合にベースオイルが周辺にブリードアウトし放熱特性が低下するばかりか、電気接点の導通不良等引き起こすことがあった。
【0003】
また、充填剤として低融点金属を用いた放熱用シリコーン組成物も知られている(特許文献8、9)。しかし、これらの放熱用シリコーン組成物は高温高湿度下では低融点金属が酸化し放熱特性が低下するという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特公昭52-33272号公報
【特許文献2】特公昭59-52195号公報
【特許文献3】特開昭52-125506号公報
【特許文献4】特開昭57-36302号公報
【特許文献5】特開昭62-43492号公報
【特許文献6】特開平2-212556号公報
【特許文献7】特開平3-162493号公報
【特許文献8】特開平7-207160号公報
【特許文献9】特表2004-53705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、長期にわたり安定した良好な熱伝導性能を発揮することが出来、周辺にオイル汚れをもたらしたり、接点障害等を引き起こしたりすることのない信頼性の高い放熱用シリコーングリースを提供することにある。
【0006】
また、別の課題は、高温高湿度下でも良好な熱伝導性能を発揮することが出来、より信頼性の高い放熱用シリコーングリースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定のオルガノポリシロキサンをベースオイルに使用することによりベースオイルのブリード性を抑えることができることを見出した。更に、特定のアルコキシシラン化合物を添加する事により低融点金属の酸化を防止できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、上記の課題を解決するものとして、
(A)下記の通り定義されるチキソ度αが1.03〜1.50であり、25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)融点が200℃以下の金属 100〜5000質量部、
(C)一般式(1):
12Si(OR3)4-a-b (1)
(式中、R1は独立に炭素原子数6〜20のアルキル基であり、R2は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、R3は独立に炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、但しa+bは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン化合物 0.01〜20質量部
を含有してなる放熱用シリコーングリース組成物を提供する。
【0009】
チキソ度α=η12
〔ここで、η1はB型回転粘度計により25℃においてローターの回転数をβrpmとして測定した粘度であり、η2はB型回転粘度計により25℃においてローターの回転数を2×βrpmとして測定した粘度である。〕
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリコーングリース組成物は、長期にわたって使用した場合にベースオイルが周辺にブリードアウトせず長期にわたって安定した熱伝導性を発揮することが出来る。また、高温高湿度下でも良好な熱伝導性能を発揮することが出来、信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳述する。
【0012】
−成分(A)−
成分(A)のオルガノポリシロキサンはチキソ性を有しているものである。チキソ度αはオイルのチキソ性を示す値で、これが大きいほどオイルの粘性が強いことを示す。チキソ度が1.03より小さいと粘性が弱いためこのオルガノポリシロキサンと成分(B)の低融点金属との親和性が弱く、グリース組成物がオイルブリードしやすくなり、1.50より大きいと成分(B)の低融点金属との混合が困難となるため、チキソ度は1.03〜1.50の範囲であり、好ましくは1.05〜1.40である。
【0013】
またこのオルガノポリシリキサンの25℃における粘度は、100mPa・sより小さいと得られるグリース組成物の安定性が乏しいものとなり、1,000,000mPa・sより大きいと成分(B)との混合が困難となるため、100〜1,000,000mPa・sの範囲であり、好ましくは1000〜100,000 mPa・sである。
【0014】
この成分(A)のオルガノポリシロキサンは、例えば1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、一分子中に少なくとも2個のSi-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で付加反応させることにより容易に得られる。
【0015】
上記少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、ケイ素原子に直結したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するもので、直鎖状でも分岐状でもよく、またこれら2種以上の異なる粘度の混合物でもよい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、1-ヘキセニル基などが例示されるが、合成のし易さ、コストの面からビニル基が好ましい。ケイ素原子に結合した残余の有機基としては、メチル基、エチル基、プルピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、2-フェニルエチル基、2-フェニルプロピル基などのアラルキル基が例示され、さらにクロロメチル基、3,3,3,-トリフルオロプロピル基などの置換炭化水素基も例として挙げられる。これらのうち、合成のし易さ、コストの面から90%以上メチル基が好ましい。ケイ素原子に結合したアルケニル基は、オルガノポリシロキサンの分子鎖の末端、途中(非末端)の何れにも存在してもよいが、柔軟性の面では両末端にのみ存在することが好ましい。この少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンの好ましい例としては、一般式(2):



(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素原子数1〜20の飽和もしくは不飽和の一価の炭化水素基である。Rは置換もしくは非置換の炭素原子数2〜20の一価のアルケニル基、例えばビニル基、アリル基、1−ブチニル基、1−ヘキセニル基などである。L(平均値)はL≦1≦10000の数である。)
で表されるものが挙げられる。
【0016】
前記のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(3):
【0017】
【化1】


【0018】
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素原子数1〜20の飽和もしくは不飽和の一価の炭化水素基である。n及びm(平均値)はそれぞれ1≦n≦1000, 0≦m≦1000の数である。)
【0019】
一般式(2)、(3)において、R、Rで表される置換または非置換の一価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基、3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(パーフロロブチル)エチル基、2-(パーフロロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられるが、合成のし易さ、コストの面から90%以上メチル基であることが好ましい。
【0020】
前記の白金系触媒としては、同種の付加反応を促進するものとして従来公知のいずれの白金系触媒をも使用することができ、例えば、白金単体、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金−アルコール錯体等が挙げられる。
【0021】
この付加反応で所望する、成分(A)であるオルガノポリシロキサンを得るには、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び/又はSi-H基を有するオルガノポリシロキサンはそれぞれ2種類以上使用してもよいし、また反応基を持たないジメチルポリシロキサン等を混合してもよい。
【0022】
また、別な方法として、一般的な線状オルガノポリシロキサンの構造単位である〔RSiO1/2〕単位及び〔RSiO〕単位に加えて、〔RSiO3/2〕単位あるいは〔SiO4/2〕単位を導入することでも得られる。ここでRは前述のR4及びR6と同じ意味を有する。このようなオルガノポリシロキサンの製造方法としては、例えば、(CH33SiCl、(CH3SiCl2、(CH3)SiClなどのクロロシランを加水分解、縮合するか、またはこうして得られた縮合物と環状低分子シロキサンとをアリカリ金属水酸化物、アルカリ金属シラノレートあるいはテトラアルキルホスホニウムヒドロキシド、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物、あるいは硫酸、有機スルホン酸などの強酸物などから選ばれる触媒存在下で、室温あるいは加熱下で反応させるか、あるいは水酸基を有し(CH33SiO1/2単位とSiO2単位とからなるオルガノポリシロキサンとシラノール基を有するポリジオルガノシロキサン等をアミン触媒、錫触媒などの縮合触媒存在下で室温あるいは加熱下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0023】
成分(A)の製造方法としては、以上説明した方法に限ったものではなく、所要のチキソ度及び粘度を有するものが得られればどんな合成方法でも構わない。
【0024】
−成分(B)−
成分(B)である融点が200℃以下、好ましくは0〜200℃の金属は本発明の組成物に熱伝導性を付与するためのものである。ここで、「金属」には単体金属および合金が包含される。
【0025】
この金属の配合量は100質量部より小さいと得られる組成物の熱伝導率が悪く、且つ保存安定の乏しいものとなるし、5000質量部より大きいと均一分散せず組成物がグリース状とならないため100〜5000質量部の範囲であり、好ましくは200〜2000質量部が良い。
【0026】
この金属は融点が200℃以下であれば何でも良いが、単体金体としては、例えば、インジウム、ガリウム、水銀などがある。また合金としては、スズ-鉛からなるはんだ類、インジウム-ガリウム合金、インジウム-スズ合金、ガリウム-スズ合金、インジウム-スズ-ビスマス合金、インジウム-ガリウム-スズ合金、インジウム-銀-ビスマス合金等が挙げられる。しかし、これらに限られたものではない。また、これらは1種単独でも2種類以上混合しても良い。
【0027】
−成分(C)−
成分(C)であるアルコキシシラン化合物は本組成物の高温高湿度下での成分(B)の低融点金属の酸化を防止し、放熱特性の低下を防止するためのものである。このアルコキシシラン化合物の配合量は0.01質量部より少ないと放熱特性の低下を防止することができず、20質量部より多くてもこの放熱特性の低下防止効果は増大することがなく不経済となるため、0.01〜20質量部の範囲、好ましくは0.1〜10質量部が良い。
【0028】
このアルコキシシラン化合物としては下記一般式(1):
12Si(OR3)4-a-b (1)
(式中、R1は独立に炭素原子数6〜20、好ましくは8〜14のアルキル基であり、R2は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6の1価炭化水素基であり、R3は独立に炭素原子数1〜6、好ましくは1〜4のアルキル基であり、aは1〜3の整数、好ましくは1であり、bは0〜2の整数であり、a+bは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0029】
上記式中のR1としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。炭素原子数が6未満であるとアルコキシシラン化合物に揮発性があるため長期での保存安定性が充分でなく、20を超えるとアルコキシシラン化合物が常温で固化するので取り扱いが不便な上、得られた組成物の高温高湿度下での放熱特性の低下防止能力が低下する。
【0030】
また、上記R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、2−(ナノフルオロブチル)エチル基、2−(へプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。これらの中では、特に、メチル基、エチル基が好ましい。
【0031】
また、上記R3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。これらの中では、特に、メチル基、エチル基が好ましい。
【0032】
この成分(C)の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0033】
13Si(OCH)
1021Si(OCH)
1225Si(OCH)
1225Si(OC)
1021Si(CH)(OCH)
1021Si(C)(OCH)
1021Si(CH)(OC)
1021Si(CH=CH)(OCH)
1021Si(CHCHCF)(OCH)
なお、この成分(C)は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0034】
−成分(C)−
本発明の組成物には、上記の必須成分のほかに必要に応じて本発明の目的、効果を害しない範囲において、次のような成分を配合することができる。即ち、融点が200℃を超える金属粉、酸化亜鉛やアルミナ、シリカなどの充填剤、シリコーンオイルなどのオイル成分、塗布性を向上させる溶剤、染料や顔料などの着色剤などが挙げられる。
【0035】
−組成物の調製−
本発明のグリース組成物を製造するには、例えば、成分(A)及び成分(B)をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する。必要ならば50〜250℃に加熱しても良い。
【0036】
常温で塊状あるいは液状の成分(B)を原料として使用する場合には、成分(B)の融点以上の温度で成分(A)と攪拌混合することにより、成分(B)が溶解、微粒子状となり均一に分散させる事ができる。この時の温度や時間、混合機の攪拌速度を調節する事により、混合後の成分(B)の微粒子の平均粒径をコントロールする事が可能である。
【0037】
また、常温で粉末状の成分(B)を原料として使用する場合には、成分(B)の融点を越える温度で成分(A)と攪拌混合すると成分(B)が凝集し、均一に分散しない事がある。この場合は成分(B)の融点以下の温度で混合する事で成分(B)の凝集を防止し、均一に分散させる事ができる。
【0038】
さらには前述の、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(アルケニル基含有オルガノポリシロキサン)と、少なくとも2個のSi-H基を有する前記一般式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを原料として用いて所望する成分(A)のオルガノポリシリキサンを得る場合には、該アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンと共に、成分(B)を予め混合して均一な混合物を得ておき、その混合物に白金系触媒を添加し付加反応させることで成分(A)のオルガノポリシリキサンを生成させ、本発明の放熱用シリコーングリース組成物とすることも出来る。
【0039】
なお、成分(C)のアルコキシシラン化合物は、本発明の放熱用シリコーングリース組成物に均一に配合されていれば製造工程のどの段階で加えられても良い。
【0040】
−使用・用途−
本発明の放熱用シリコーングリース組成物を使用する際には、使用する物品に塗布した後、成分(B)の融点以上の温度に加熱する事が望ましい。この加熱により成分(B)の低融点金属が溶解する事で塗布した物品との馴染みが向上し、本発明の放熱用シリコーングリース組成物の優れた熱伝導性を発揮する事が出来るようになる。なお、物品の使用温度が成分(B)の融点以上の温度である場合は使用時に成分(B)が溶解するので、新たに加熱する必要はない。
【0041】
本発明の組成物を適用するのに適する上記物品としては、例えば、ICやCPU、トランジスタなどの発熱する電子部品やこれらを放熱するための放熱板やヒートシンク、ヒートパイプ、筐体等が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。以下の記載において、粘度はB型粘度計(トキメック社製DVM−II型粘度計)で測定した25℃における測定値を示す。
【0043】
以下の実施例、比較例で使用した原料を説明する。
〔成分A〕
(合成例1)
−成分(A)のオルガノポリシロキサンA-1の合成−
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を設けた内容積1000mlのフラスコを用意した。このフラスコに、
・両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、主鎖のケイ素に結合した側基の5モル%がフェニル基で残りの95モル%がメチル基である、25℃における粘度が700 mPa・sのビニル基含有オリガノポリシロキサン500g、
・下記の式(a−1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサン3.0g、及び
・下記の式(a−2)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサン5.0g
を入れた。
【0044】
【化2】



【0045】
【化3】


【0046】
さらに、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のジメチルビニルシリル末端封鎖のジメチルポリシロキサン溶液、白金原子として1質量%含有の白金触媒を0.25gを投入した。その後、120℃で1時間撹拌下で反応させ、オルガノポリシロキサンA-1を得た。
【0047】
得られたオルガノポリシロキサンA-1の粘度を下記の条件で測定したところ、それぞれ下記測定値:
ロータNo.4/6rpmで測定した場合;測定粘度 26,000mPa・s、
ロータNo.4/12rpmで測定した場合;測定粘度 22,500 mPa・s
が得られ、これから求めたチキソ度αは1.16であった。
【0048】
(合成例2)
−成分(A)のオルガノポリシロキサンA-4の合成−
合成例1において、ビニル基含有オルガノポリシロキサンを、25℃における粘度が600 mPa・sである以外は同一であるジメチルポリシロキサン500gに変更し、二種のハイドロジェンオルガノポリシロキサンを、下記の式(a−2):
【0049】
【化4】


【0050】
のハイドロジェンオルガノポリシロキサン12g、及び式(a−3):
【0051】
【化5】


【0052】
のオルガノポリシロキサン44gに変更した以外は、全て合成例1と同様に製造を行いオルガノポリシロキサンA-2を得た。
【0053】
得られたオルガノポリシロキサンA-2の粘度を下記の条件で測定したところ、それぞれ下記測定値:
ロータNo.4/3rpmで測定した場合;測定粘度 42,000 mPa・s、
ロータNo.4/6rpmで測定した場合;測定粘度 31,000 mPa・s
が得られ、これから求めたチキソ度αは1.35であった。
【0054】
(合成例3)
−成分(A)のオルガノポリシロキサンA-3の合成−
合成例2において、式(a−2)で表されるのハイドロジェンオルガノポリシロキサンの量を23gに、そして式(a−3)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの量を33gを変更した以外は全て合成例2と同様にして合成を行いオルガノポリシロキサンA-3を得た。
【0055】
得られたオルガノポリシロキサンA-3の粘度を下記の条件で測定したところ、それぞれ下記測定値:
ロータNo.4/3rpmで測定した場合;測定粘度 72,000mPa・s、
ロータNo.4/6rpmで測定した場合;測定粘度 46,000mPa・s
が得られ、これから求めたチキソ度αは1.57であった。
【0056】
−成分(A)のオルガノポリシロキサンA-4−
下記の式:
【0057】
【化6】


【0058】
で表され、チキソ度αが1.01であるジメチルポリシロキサンA−4。該ジメチルポリシロキサンA−4の粘度は下記の条件で測定され、下記測定値:
ロータNo.3/6rpmで測定した場合;測定粘度 9,800 mPa・s、
ロータNo.3/12rpmで測定した場合;測定粘度 9700 mPa・s
から上記のチキソ度αが求められた。
【0059】
〔成分(B)〕
(B-1) インジウム-ビスマス-スズ合金 (融点:60℃)
(B-2) インジウム粉末 (融点:156℃)
(B-3) ガリウム (融点=30℃)
(B-4) アルミニウム粉末 (融点:660℃)
【0060】
〔成分(C)〕
(C-1) 構造式:C1021Si(OCH) で表されるオルガノシラン化合物
【0061】
(実施例1−6、比較例1−7)
−放熱用シリコーングリース組成物の製造−
上記の成分(A)〜(C)を、表1および表2に示した組成で配合し、プラネタリミキサー(井上製作所(株)製)で120℃において1時間混合し、実施例1〜6、および比較例1〜7の放熱用シリコーン組成物を得た。これらの組成物を以下に説明するオイル滲みだし試験及び熱抵抗の測定に供した。結果を表1及び表2に示す。
【0062】
<オイル滲みだし試験>
オイル滲みだし試験は次のように行った。図1はこの試験の説明図である。10cm角のスリガラス板1を水平に置き、スリガラス板1のほぼ中央にグリースを直径1cmの円状に0.25gずつ塗布後室温に放置した。14日後においてグリースの円状塗膜2の周囲にオイルブリードによってスリガラスが半透明になった部分3ができたが、この部分の幅(図示のW)をmm単位で測定した。
【0063】
<熱抵抗の測定>
(1)測定用試験体の調製
各組成物を、標準アルミプレートの全面に塗布し、別の標準アルミプレートを重ねて、約175.5kPa(1.80kgf/cm2)の圧力をかけて3層構造体を得た。次いで、この3層構造体を電気炉内に入れ、温度を175℃にまで昇温し該温度を1時間保持し、その後室温になるまで放置して冷却し、熱抵抗測用試験体を調製した。
【0064】
得られた各試験体の厚さを測定し、標準アルミプレートの既知の厚さを差し引くことによって、各試験体中の組成物層の厚さを求め、表1及び表2に記載した。なお、上記各試験体の厚さは、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ、型式;M820−25VA)により測定した。
【0065】
(2)初期熱抵抗の測定
作製した各試験体を用いて、各組成物の熱抵抗(mm2-K/W)をASTM E1461に規定のレーザーフラッシュ法に基づく熱抵抗測定器(ホロメトリックス社製マイクロフラッシュ)を用いて測定した。
【0066】
(3)高温高湿度後の熱抵抗の測定
作製した各試験体を110℃/85%RHの高温高湿度下に48時間放置した後、各組成物の熱抵抗を上記(2)と同様にして測定した。
【0067】
【表1】


【0068】
【表2】


【0069】
(注)*印は、当該成分が本発明の条件を満たさないことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】オイル滲みだし試験の説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1.スリガラス板
2.円状塗膜
3.スリガラスが半透明になった部分
【出願人】 【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100084308
【弁理士】
【氏名又は名称】岩見谷 周志


【公開番号】 特開2008−31336(P2008−31336A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−207725(P2006−207725)