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潤滑組成物及び転がり軸受 - 特開2008−31308 | j-tokkyo
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【発明の名称】 潤滑組成物及び転がり軸受
【発明者】 【氏名】藤田 安伸

【氏名】横内 敦

【要約】 【課題】極低温や極圧条件下においても適用箇所の潤滑寿命の長寿命化をもたらす潤滑組成物、並びに前記潤滑組成物を封入してなり潤滑寿命に優れた転がり軸受を提供する。

【構成】合成油を基油とし、親油性チキソトロピック化剤からなるゲル化剤を1〜20質量%の割合で含有する潤滑組成物、並びに内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、かつ、前記潤滑組成物を封入した転がり軸受。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成油を基油とし、親油性チキソトロピック化剤からなるゲル化剤を1〜20質量%の割合で含有することを特徴とする潤滑組成物。
【請求項2】
内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、かつ、請求項1記載の潤滑組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑組成物、並びに前記潤滑剤組成物を封入してなり、各種産業機械や車両、電機機器、各種モータ等に組み込まれる転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業機械や車両、電機機器、各種モータや自動車部品等には、潤滑性を付与するためにグリース組成物が封入されている。使用されるグリース組成物は、供される軸受の種類によって異なり、例えば自動車のホイールハブ用軸受には、リチウム石鹸を増ちょう剤とし、鉱油を基油とするグリースが用いられている。このグリースは、増ちょう剤及び基油ともに安価であり、汎用グリースとして広く使用されている。
【0003】
一方、近年では、装置や機器の小型軽量化や高速化に伴いグリース組成物にも耐久性や極低温での低トルク性等が要求されている。また、各種モータでは主にリチウム石鹸グリースやウレアグリースが使用されており、静音性や低トルク性等が要求されている。
【0004】
このような要求に対し、例えば、リチウム石鹸増ちょう剤繊維を繊維長3μm以上に長繊維化し、軸受回転時のせん断で配向性させることにより低トルク化を実現することが行われている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−343581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような各種の要求は今後も引き続き高まることが予想され、特に極低温での低トルク化や耐摩耗性の要求は年々厳しくなっており、軸受メーカーにとっても最重要課題の一つとなっている。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、極低温や極圧条件下においても適用箇所の潤滑寿命の長寿命化をもたらす潤滑組成物、並びに前記潤滑組成物を封入してなり潤滑寿命に優れた転がり軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、下記の潤滑組成物及び転がり軸受を提供する。
(1)合成油を基油とし、親油性チキソトロピック化剤からなるゲル化剤を1〜20質量%の割合で含有することを特徴とする潤滑組成物。
(2)内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、かつ、上記(1)記載の潤滑組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
【発明の効果】
【0009】
本発明の潤滑組成物は、親油性チキソトロピック化剤の作用により、適用箇所において、極低温での低トルク化や極圧条件下における長寿命化を図ることができる。また、本発明の転がり軸受もまた、極低温や極圧条件下でも良好な潤滑性を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0011】
〔潤滑組成物〕
本発明の潤滑組成物は、合成油からなる基油に、親油性チキソトロピック化剤を配合し、ゲル化させたものである。
【0012】
合成油として、エステル油、エーテル油、合成炭化水素油を好適に使用できる。これらは単独でもよいし、複数種を併用してもよい。以下に、それぞれの好ましい具体例を例示する。
【0013】
エステル油として、芳香族系三塩基酸、芳香族系四塩基酸と分岐アルコールとの反応から得られる芳香族エステル油、一塩基酸と多価アルコールとの反応から得られるポリオールエステル油等を好適に挙げることができる。
【0014】
芳香族エステル油として、芳香族系三塩基酸と分岐アルコールとの反応から得られるトリメリット酸エステル油、トリメシン酸エステル油。具体的にはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテートや芳香族系四塩基酸と分岐アルコールとの反応から得られるピロメリット酸エステル油、具体的にはテトラオクチルピロメリテート等が挙げられる。
【0015】
また、ポリオールエステル油としては、以下に示す多価アルコールと一塩基酸とを適宜反応させて得られるものが挙げられる。多価アルコールに反応させる一塩基酸は単独でもよいし、複数用いてもよい。さらに、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステルとして用いてもよい。多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)、ジペンタエリスリトール(DPE)、ネオペンチルプリコール(NPG)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(MPPD)等が挙げられる。また、一塩基酸としては、主に炭素数4〜16の一価脂肪酸が用いられる。具体的には、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミステリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪酸、スレアリン酸、カプロレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アビニン酸、リシノール酸等が挙げられる。
【0016】
エーテル油として、(ジ)アルキルジフェニルエーテル油、(ジ)アルキルポリフェニルエーテル油等が挙げられる。
【0017】
合成炭化水素油として、ポリ−α−オレフィン等が挙げられる。
【0018】
また、基油は、低温流動性や耐摩耗性を勘案すると、40℃における動粘度が30〜150mm/sであることが好ましい。
【0019】
一方、親油性チキソトロピック化剤として、粘土鉱物を親油性に改質した例えば親油性スメクタイトや有機ベントナイト、炭化水素系合成ワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油、ポリアマイドワックス、酸化ポリエチレン、デキストリン脂肪酸エステル、ジベンジリデンソルビトール、植物油系重合油、シリカ、表面処理炭酸カルシウム等を挙げることができる。これらの親油性チキソトロピック化剤は単独でもよいし、複数種を併用してもよい。特に、親油性スメクタイトは耐熱性が高く、半合成ワックス及び合成ワックスも比較的高い融点を持ち、熱に対しても安定なものがあり、これらは耐熱性が特に要求される用途には好適である。
【0020】
親油性チキソトロピック化剤は、基油中で網目構造を作り、チキソトロピー性(揺変性)を発現する。この網目構造は、せん断で容易に壊れる程度のファンデルワールス力や水素結合のような弱い結合からなり、せん断力によって網目構造が切断され、静置すると再び網目構造が復元する。従って、この親油性チキソトロピック化剤が添加された潤滑組成物は、せん断力が加わっている時は粘性が下がり、静置すると網目構造が復元してゲル化する。そのため、極低温においてもせん断力が加われば粘性が下がり、後述する転がり軸受に封入すると、極低温でも低トルクにすることができる。また、微細な親油性チキソトロピック化剤が潤滑部位に吸着し、耐摩耗性も付与される。
【0021】
親油性チキソトロピック化剤の含有量は、上記の効果を確実に発現するために、潤滑組成物全量に対し1〜20質量%であり、4〜17質量%が好ましい。含有量が1質量%未満では殆ど液状を呈するため、例えば、転がり軸受内でせん断が加わった場合に漏洩しやすく、20質量%を超える場合はゲル化が過度に進み固体状に近く、流動性が悪くなって潤滑性が損なわれる。
【0022】
本発明の潤滑組成物には、各種性能をさらに向上させるために種々の添加剤を混合してもよい。添加剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛等の酸化防止剤、スルフォン酸金属塩、エステル系、アミン系、ナフテン酸金属塩、コハク酸誘導体等の防錆剤、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤、脂肪酸、動植物油等の油性向上剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤等、潤滑で使用される添加剤を単独又は2種以上混合して用いることができる。これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
【0023】
また、本発明の潤滑組成物は、例えば、基油に親油性チキソトロピック化剤を所定量添加し、加熱しながら攪拌して溶解させることで容易に得られる。尚、加熱温度は、用いる親油性チキソトロピック化剤に応じて適宜選択される。また、その他の添加剤を添加する場合は、親油性チキソトロピック化剤を溶解させた後、その他の添加剤を所定量添加し、加熱しながら混合すればよい。
【0024】
〔転がり軸受〕
本発明は、上記潤滑組成物を封入してなる転がり軸受を提供する。転がり軸受の構造には制限はないが、潤滑組成物における親油性チキソトロピック化剤の含有量が少ない場合に加え、高温に晒されると網目構造が切断され流動化しやすくなり、潤滑組成物が漏洩しやすくなるため、密封型であることが好ましい。例えば、図1に示す転がり軸受1のように、内輪10と、外輪11との間に、保持器12により転動体13を転動自在に保持し、更に内輪10、外輪11及び転動体13で形成される軸受空間Sに潤滑組成物を充填し、内輪10と外輪11との間の開口を接触シール14で封止した構造とすることができる。尚、潤滑組成物の封入量は、通常のグリース封入量と同等でかまない。
【0025】
本発明の転がり軸受は、親油性チキソトロピック化剤の作用により、極低温でもせん断力が加わることで低トルクとなる。また、微細な親油性チキソトロピック化剤が内輪10や外輪11の軌道面、転動体13に吸着して耐摩耗性も付与される。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により、本発明が制約されるものではない。
【0027】
〔実施例1〜5、比較例1〜5〕
表1及び表2に示す配合に従い(基油量は残部)、プラネタリーミキサーの釜中に基油及びゲル化剤を入れ、加熱しながら撹拌してゲル化剤を溶解させ、放冷して供試潤滑組成物を得た。そして、下記に示す評価を行った。結果を表1及び表2に併記する。
【0028】
(1)耐摩耗試験
特開2004−269551号に記載の方法に従い、往復動摩擦摩耗試験装置を用いて耐摩耗性を評価した。試験条件は下記のとおりであり、揺動方向に対して直角方向の径(摩耗痕径)の大きさを測定した。摩耗痕径が0.2mm未満を合格とした。
・振幅:20mm
・周波数:10Hz
・垂直荷重:1.5GPa
・試験温度:60℃
・試験時間:10min
・潤滑組成物膜厚:1mm
【0029】
(2)低温トルク試験
下記条件にて連続回転させ、5分後の回転トルクを測定した。比較例1の回転トルク値を1とし、トルク比が1未満を合格とした。
・供試軸受:単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)
・シール形式:接触シール
・回転数:1800r/min
・アキシアル荷重:98N
・軸受温度:−40℃
【0030】
(3)軸受漏洩試験
下記条件にて20時間連続回転させ、グリース漏洩率を測定した。漏洩率が潤滑組成物封入量の3質量%以下を合格とした。
・供試軸受:単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)
・シール形式:接触シール、非接触シール(比較例5のみ)
・回転数:10000r/min
・アキシアル荷重:98N
・ラジアル荷重:98N
・軸受温度:120℃
【0031】
【表1】


【0032】
【表2】


【0033】
表1及び表2から、本発明に従い親油性チキソトロピック化剤を用いることで、耐摩耗性が向上し、低トルク化を図ることができ、更に高温での潤滑組成物の漏洩も抑えられることがわかる。
【0034】
また、基油にペンタエリスリトールに、アマイドワックスの配合量を変えて潤滑組成物を調製し、上記の(2)低温トルク試験を行い、親油性チキソトロピック化剤含有量とトルクの関係を求めた。結果を図2にグラフ化して示すが、親油性チキソトロピック化剤の含有量は1〜20質量%の範囲で低トルク化を実現できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の転がり軸受の一例を示す断面図である。
【図2】実施例で得られた親油性チキソトロピック剤含有量とトルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 転がり軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 転動体
14 接触シール
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光


【公開番号】 特開2008−31308(P2008−31308A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206576(P2006−206576)