トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 導電性グリース組成物及び転動装置
【発明者】 【氏名】倉地 崇人

【氏名】金野 大

【要約】 【課題】優れた導電性を有するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい導電性グリース組成物を提供する。また、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい転動装置を提供する。

【構成】深溝玉軸受21の空隙部内に、基油と増ちょう剤と導電性付与添加剤とを含有する導電性グリース組成物27を封入した。この導電性付与添加剤は基油に可溶な導電性ポリマーであり、導電性付与添加剤の含有量は、導電性グリース組成物27全体の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油と導電性付与添加剤とを含有する導電性グリース組成物において、前記導電性付与添加剤を導電性ポリマーとしたことを特徴とする導電性グリース組成物。
【請求項2】
前記導電性ポリマーは前記基油に可溶であることを特徴とする請求項1に記載の導電性グリース組成物。
【請求項3】
前記導電性付与添加剤の含有量を0.1質量%以上10質量%以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性グリース組成物。
【請求項4】
外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配された空隙部内に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性グリース組成物を配したことを特徴とする転動装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性に優れたグリース組成物及び転動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の事務機器や情報機器、例えば複写機においては、その可動部分には多数の転がり軸受が使用されている。このような転がり軸受の内外輪の軌道面と転動体との間には回転中は油膜が形成されていて、軌道面と転動体とは非接触となっている。このような転がり軸受においては回転に伴って静電気が発生するため、その放射ノイズが複写機の複写画像に歪み等の悪影響を及ぼす等の不都合が生じる場合がある。
【0003】
このような不都合が生じることを防止するため、導電性グリースを転がり軸受内部に封入することにより、内外の軌道輪及び転動体を導電状態にするとともに、内外の軌道輪のうち一方を接地することにより、静電気を該転がり軸受から除去するという対策が取られている。そして、導電性グリースとしては、カーボンブラックを増ちょう剤及び導電性付与添加剤として添加したものが主流であった(例えば、特許文献1に記載のもの)。
【0004】
しかしながら、このような導電性グリースを封入した転がり軸受は、初期においては優れた導電性を示す(内外の軌道輪及び転動体が導電状態となっている)ものの、導電性が経時的に低下して転がり軸受の内外輪間の電気抵抗値(以降は軸受抵抗値と記すこともある)が大きくなることがあるという問題点があった。このような現象は、導電性グリースの潤滑性が不十分であるために軌道面に酸化膜が生成することや、カーボンブラックに含まれる微量成分が軌道面に被膜を形成することが原因で発生すると考えられた。
【0005】
そこで、上記のような導電性の経時的な低下を抑制するために、導電性付与添加剤をカーボンナノチューブとした導電性グリースを用いることが提案されている(特許文献2を参照)。カーボンナノチューブは導電性を付与する性質を有する上に、潤滑性を付与する性質も併せて有しているので、軌道面と転動体との金属接触を防止できるとともに、導電性の経時的な低下を抑制することができる。
【特許文献1】特公昭63−24038号公報
【特許文献2】特開2002−332490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の導電性グリースは、軌道面と転動体との相対運動により両者の接触面から一旦排除されると、再び接触面に入り込むことは容易ではなかった。これは、導電性の経時的な低下が発生する最も大きな要因の一つである。そして、このような現象は、カーボンナノチューブが基油に不溶な微粒子であり、増ちょう作用を有しているために起こると考えられる。
【0007】
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた導電性を有するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい導電性グリース組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい(導電性に優れる)転動装置を提供することを併せて課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の導電性グリース組成物は、基油と導電性付与添加剤とを含有する導電性グリース組成物において、前記導電性付与添加剤を導電性ポリマーとしたことを特徴とする。
このような構成の導電性グリース組成物は、導電性を付与する性質を有する導電性ポリマーを含有しているので、優れた導電性を有している。また、優れた潤滑性を有しており、転がり軸受等の転動装置に使用した場合には、転動装置の導電性が経時的に低下することが抑制される。
【0009】
また、本発明に係る請求項2の導電性グリース組成物は、請求項1に記載の導電性グリース組成物において、前記導電性ポリマーは前記基油に可溶であることを特徴とする。
このような構成の導電性グリース組成物は、導電性付与添加剤が基油に溶解しており、溶解せず固体として導電性グリース組成物中に存在している場合よりも電気抵抗値が小さいため、導電性が優れている。また、増ちょう性をほとんど持たないため、潤滑性を阻害することがない。さらに、導電性付与添加剤が基油に溶解しているため、例えば転がり軸受に使用した場合に導電性グリース組成物が軌道輪の軌道面と転動体との接触面から一旦排除されたとしても、再び接触面に入り込むことが可能である。そのため、転がり軸受の潤滑性と導電性が経時的に低下することが抑制され、長期間にわたって良好に維持される。
【0010】
さらに、本発明に係る請求項3の導電性グリース組成物は、請求項1又は請求項2に記載の導電性グリース組成物において、前記導電性付与添加剤の含有量を0.1質量%以上10質量%以下としたことを特徴とする。
導電性付与添加剤の含有量が導電性グリース組成物全体の0.1質量%未満であると、導電性が不十分となるおそれがあるとともに、導電性の経時的な低下も生じやすくなる。一方、10質量%超過であると、潤滑性が不十分となるおそれがある。
【0011】
さらに、本発明に係る請求項4の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配された空隙部内に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性グリース組成物を配したことを特徴とする。
【0012】
このような構成の転動装置は、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい(すなわち、導電性に優れている)。
なお、本発明は、種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。本発明における内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の導電性グリース組成物は、優れた導電性を示すとともに導電性の経時的な低下が生じにくい。また、本発明の転動装置は、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る導電性グリース組成物及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。この深溝玉軸受21は、外周面に軌道面23aを有する内輪23と、軌道面23aに対向する軌道面22aを内周面に有する外輪22と、両軌道面22a,23a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)24と、内輪23及び外輪22の間に複数の転動体24を保持する保持器25と、内輪23及び外輪22の間の隙間の開口をほぼ覆うシール26,26と、を備えている。また、内輪23及び外輪22の間に形成された空隙部内には、導電性グリース組成物27が充填されており、シール26,26により深溝玉軸受内部に密封されている。なお、保持器25やシール26は備えていなくてもよい。
【0015】
この導電性グリース組成物27は、基油と増ちょう剤とを含有するとともに、導電性付与添加剤として導電性ポリマーを含有している。導電性ポリマーの種類は特に限定されるものではなく、ポリアニリン,ポリピロール等が使用可能であるが、基油に可溶なものを選択することが好ましい。また、導電性ポリマーの含有量は、導電性グリース組成物27全体の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0016】
基油の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物において一般的に使用される基油を問題なく使用することができるが、鉱油及び合成油が好適である。合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン油等の合成炭化水素油や、エステル油,エーテル油,ポリグリコール油,シリコーン油,フッ素油があげられる。なお、これらの基油は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
また、増ちょう剤の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物において一般的に使用される増ちょう剤を問題なく使用することができる。例えば、アルミニウム石けん,バリウム石けん,カルシウム石けん,リチウム石けん,ナトリウム石けん等の金属石けんや、リチウムコンプレックス石けん,カルシウムコンプレックス石けん,アルミニウムコンプレックス石けん等の金属複合石けんがあげられる。また、ジウレア,トリウレア,テトラウレア,ポリウレア等のウレア化合物や、シリカゲル,ベントナイト等の無機系化合物も好適に使用可能である。さらに、ウレタン化合物、ウレア・ウレタン化合物、テレフタルアミド酸ナトリウム等も好適に使用可能である。これらの増ちょう剤は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
基油と増ちょう剤の配合割合は、導電性グリース組成物の用途や使用温度に適したちょう度となるように、適宜設定すればよい。
さらに、導電性グリース組成物には、酸化防止剤,油性剤,摩耗防止剤,極圧剤のうちの少なくとも1種を添加することが好ましい。このような摩耗防止作用を有する添加剤を添加すれば、転がり軸受の軌道輪と転動体のような相対運動する部材同士の金属接触を防止できるので、導電性の経時的な低下をより長期間にわたって抑制することができる。
【0019】
酸化防止剤としては、例えばアミン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤を使用することができる。アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンがあげられる。また、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール、ジ−tert−ブチルクレゾール等があげられる。
【0020】
また、油性剤としては、例えば、オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸や、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル,ポリグリセリルオレイン酸エステル,コハク酸エステル等の脂肪酸エステルを使用することができる。また、アミン系化合物や、オレイルアルコール等の脂肪族アルコールも使用可能である。さらに、アルケニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物や、リン酸,トリクレジルホスフェート,ラウリン酸エステル,ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等も使用可能である。
【0021】
さらに、摩耗防止剤としては、例えば有機リン系化合物を使用することができる。有機リン系化合物としては、例えば、一般式(RO)3 POで示される正リン酸エステルや、一般式(RO)2 P(O)Hで示される亜リン酸ジエステル及び一般式(RO)3 Pで示される亜リン酸トリエステルのような亜リン酸エステルがあげられる(Rはいずれもアルキル基,アリール基,又はアルキルアリール基である)。
さらに、極圧剤としては、ジチオリン酸亜鉛(Zn−DTP),ジチオリン酸モリブデン(Mo−DTP)等のDTP金属化合物や、ニッケルジチオカーバメイト(Ni−DTC),モリブデンジチオカーバメイト(Mo−DTC)等のDTC金属化合物があげられる。また、イオウ,リン,塩素等を含む有機金属化合物も好適である。
【0022】
さらに、所望により、防錆剤や金属不活性化剤を添加してもよい。防錆剤としては、有機スルホン酸アンモニウム塩,有機スルホン酸金属塩(金属はアルカリ金属,アルカリ土類金属(カルシウム,マグネシウム,バリウム等),亜鉛等),カルボン酸塩等があげられる。また、アルキルコハク酸エステル,アルケニルコハク酸エステル等のようなコハク酸誘導体も、防錆剤として好ましく使用できる。さらに、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸等のメルカプト脂肪酸類及びその金属塩、ステアリン酸等の高級脂肪酸類、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル、チアジアゾール類(例えば2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトチアジアゾール)、イミダゾール類(例えばベンゾイミダゾール)、ジスルフィド化合物(例えば2−デシルジチオベンゾイミダゾール、2,5−ビス(ドデシルジチオ)ベンズイミダゾール)、リン酸エステル類(例えばトリスノニルフェニルフォスファイト)、チオカルボン酸エステル化合物(例えばジラウリルチオプロピオネート)、亜硝酸塩も使用可能である。
【0023】
さらに、金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール,トリルトリアゾール等のトリアゾール化合物があげられる。
これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではないが、導電性グリース組成物の10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えて添加すると、導電性の低下や軌道面等の金属部分の腐食が生じるおそれがある。また、周辺に樹脂製部材が配されている場合には、樹脂製部材に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0024】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
【0025】
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。封入するグリース組成物の種類が異なる4種の軸受を用意し、後述する装置により、各軸受の回転中の軸受抵抗値(最大値)を測定して導電性を評価した。使用した転がり軸受は、内径8mm,外径22mm,幅7mmの深溝玉軸受であり、内輪及び外輪の間に形成され玉が配された空隙部内に、グリース組成物が充填してある。充填されているグリース組成物の量は、155〜165mgである。
【0026】
次に、試験に使用したグリース組成物について説明する。4種のグリース組成物(実施例1,2及び比較例1,2)はいずれも、基油がエステル油(40℃における動粘度は26mm2 /s)で、増ちょう剤がリチウム石けんである。また、実施例1,2及び比較例2のグリース組成物は、導電性付与添加剤を含有している。導電性付与添加剤の含有量は、いずれもグリース組成物全体の5.0質量%である。比較例1のグリース組成物は、導電性付与添加剤を含有していない。導電性付与添加剤の種類は、実施例1がポリアニリン、実施例2がポリピロール、比較例2がカーボンナノチューブである。これらのグリース組成物の混和ちょう度は、実施例1,2及び比較例1が255で、比較例2が245である。
【0027】
このような深溝玉軸受を図2に示すような装置に装着して、回転中の内外輪間の電気抵抗値(最大値)を測定した。図2中、符号1は測定対象の深溝玉軸受を表し、その内輪1aに取付けられた軸部材2をモータ3で回転駆動することによって軸受1を回転するように構成されている。そして、内輪1aと一体となっている軸部材2と外輪1bとの間に、定電圧電源4によって所定の定電圧が印加される。
【0028】
この定電圧電源4と並列に接続されている抵抗測定装置5は、測定した電圧値(アナログ値)をA/D変換回路6に出力する。A/D変換回路6は、予め設定されたサンプリング周期でデジタル値に変換し、当該変換したデジタル信号を演算処理装置7に出力する。本実施例では、サンプリング周期を50kHz(サンプリング時間間隔=0.02ms)に設定してある。
【0029】
演算処理装置7は、最大抵抗値演算部7Aと、閾値処理部7Bと、波数カウント部7Cとを備える。最大抵抗値演算部7Aは、入力したデジタル信号に基づき最大抵抗値を演算する。閾値処理部7Bは、入力したデジタル信号について所定閾値で閾値処理を行い雑音を除去する。波数カウント部7Cは、閾値処理部7Bからのパルスカウントについて、経時的なパルス値の増減変化によって、所定時間単位毎の変動回数つまり波山の波数をカウントし、その単位時間当たりの波数の平均値を求める。また、演算処理装置7は、求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示装置8に出力する。本実施例では、上記波数をカウントする単位時間を0.328秒に設定してある。表示装置8はディスプレイなどから構成され、演算処理装置7が求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示する。
【0030】
次に、上記構成の装置を使用して深溝玉軸受1の軸受抵抗値を評価する方法について説明する。
モータ3を駆動して軸部材2つまり内輪1aを所定回転速度で回転させた状態で、定電圧電源4から深溝玉軸受1の内外輪1a,1b間に所定の定電圧を印加する。このとき、内外輪1a,1b間に電流が流れるが、スパーク等によって電圧が変動する。その電圧が抵抗測定装置5で測定され、続いて、A/D変換回路6によってデジタル値に変換され、そのデジタル信号に基づいて、演算処理装置7が最大抵抗値及び所定単位時間当たりの波数を求め、その値が表示装置8に表示される。
【0031】
測定条件を以下に示す。
軸部材2の回転速度:1000min-1
軸受1に与えるアキシアル荷重(Fa):29.4N
印可電圧 :6.2V
最大電流 :100μA
制限抵抗 :62kΩ
雰囲気温度 :25℃
雰囲気湿度 :50%RH
試験結果を図3のグラフに示す。導電性付与添加剤が導電性ポリマーである実施例1,2は、導電性付与添加剤を含有しない比較例1と比べて導電性が優れていた。また、導電性付与添加剤がカーボンナノチューブである比較例2と比べて、導電性の経時的な低下の程度が小さかった。
【0032】
次に、実施例1においてポリアニリンの含有量を種々変更したものを用意して、上記と同様にして回転200時間後の軸受抵抗値を測定した。試験結果を図4のグラフに示す。グラフから分かるように、ポリアニリンの含有量が0.1質量%以上であると導電性が優れており、0.5質量%以上であると導電性がさらに優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を説明する部分縦断面図である。
【図2】軸受抵抗値を測定する装置の概略構成図である。
【図3】軸受の導電性の経時変化を示すグラフである。
【図4】ポリアニリンの含有量と回転200時間後の軸受抵抗値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0034】
21 深溝玉軸受
22 外輪
22a 軌道面
23 内輪
23a 軌道面
24 転動体
27 導電性グリース組成物
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也

【識別番号】100075579
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 嘉昭

【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 秀▲てつ▼


【公開番号】 特開2008−31255(P2008−31255A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204953(P2006−204953)