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【発明の名称】 潤滑油組成物
【発明者】 【氏名】クリストファー グレイ

【氏名】ロバート ウィリアム ショー

【氏名】ドイル ハロルド ボーズ

【要約】 【課題】改良されたカム及びリフター磨耗、ピストン付着物及び/又は潤滑剤粘度を示す低P含量、低S含量、低硫酸灰分含量及び低塩素含量の内燃機関潤滑油組成物の提供。

【構成】0.09質量%以下のP含量、0.3質量%以下のS含量、及び1質量%以下の硫酸灰分含量を有し、次の添加剤:潤滑油組成物中で0.03〜0.07質量%の窒素を与える、唯一の窒素含有無灰分散剤としての、ポリアルケニル置換モノ-又はジカルボン酸、酸無水物又はエステルの少なくとも一種の窒素含有無灰誘導体(そのポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸、酸無水物又はエステルは専ら熱“エン”反応によりポリアルケンから生成される);唯一の過塩基性金属清浄剤としての、少なくとも一種の過塩基性アルカリ土類金属スルホネート;及び、少なくとも一種の粘度改質剤;を含む内燃機関潤滑油組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンの原子として表わして0.09質量%以下、例えば、0.05〜0.08質量%のリン含量、硫黄の原子として表わして0.3質量%以下の硫黄含量、及び1質量%以下、例えば、0.5〜0.8質量%の硫酸灰分含量を有する内燃機関クランクケース潤滑油組成物であって、その組成物が、夫々少量の下記の添加剤成分:
A.潤滑油組成物中の唯一の窒素含有無灰分散剤であり、潤滑油組成物に0.03〜0.07質量%の窒素を与える、ポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸、その酸無水物又はエステルの少なくとも一種の油溶性又は油分散性窒素含有誘導体であって、前記ポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸又はエステルは、専ら熱“エン”反応によりポリアルケンから生成される前記油溶性又は油分散性窒素含有誘導体、
B.潤滑油組成物中で唯一の過塩基性金属清浄剤系である、少なくとも一種の油溶性又は油分散性過塩基性アルカリ土類金属スルホネート、及び
C.少なくとも一種の粘度改質剤
を含み、又はこれらを混合することにより生成される、前記組成物。
【請求項2】
分散剤(A)中のポリアルケニル基がポリイソブテニル基である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
清浄剤系中のアルカリ土類金属がカルシウムである、請求項1又は2記載の油組成物。
【請求項4】
粘度改質剤がオレフィンコポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物をクランクケースに供給することを含む、乗用車内燃機関のクランクケースの潤滑方法。
【請求項6】
ポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸、その酸無水物、又はエステルが、ポリアルケンから塩素化反応により生成される対応の分散剤組成物を含む対応の潤滑油組成物の使用と比較して、乗用車内燃機関のクランクケース潤滑においてカム及びリフター磨耗、ピストン付着物及び/又は潤滑剤粘度を請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物により改良するための、請求項1又は2に規定する分散剤の使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関クランクケース潤滑油組成物(又は潤滑剤)、更に特別には乗用車ピストンエンジン中の使用、特にガソリン(火花点火)及びディーゼル(圧縮点火)潤滑に適した組成物、及びこのような組成物中の添加剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クランクケース潤滑剤は、オイル・サンプが一般にエンジンのクランクシャフトの下に配置され、それに循環油が戻る内燃機関中の一般の潤滑に使用される油である。添加剤を幾つかの目的のためにクランクケース潤滑剤中に含むことは公知である。
排ガス処理触媒の耐久性を改良するためにクランクケース潤滑剤中のリンのレベルを低下するようにとの要望及び/要求があった。しかしながら、リンレベルの低下はエンジンに磨耗の増大を生じ得る。
WO 2005/012468 A1 (‘468)はヘビーデューティディーゼルエンジンのための最新の低リン-低硫黄潤滑剤中に必要とされるシール適合性、腐食保護、及び耐磨耗性能の適当なバランスを与えるための分散剤の組み合わせの使用を記載している。‘468では、分散剤の組み合わせの例がアミン、アルコール又はアミノアルコールと、ヒドロカルビル置換無水コハク酸成分との生成物を含み、その場合、後者の成分は、(a)ポリイソブチレンを塩素の存在下で無水マレイン酸と反応させることにより調製された成分10〜95重量%、及び(b)ポリイソブチレンを塩素の実質的な不在下で無水マレイン酸と反応させることにより調製された成分5〜90重量%を含む。
‘468の開示における問題は、磨耗について考察し、HFRR磨耗シール試験及び高温カメロンプリント試験を記載しているが、それ自体がカム及びリフター磨耗に関するものではないことである。カムプラスリフター磨耗(Cam-plus-lifter-wear)は、高温条件の間に行なわれるAPIカテゴリーSM、ILSACカテゴリーGF-4試験であり、比較的高い周囲温度条件の間の高速サービスを模擬するシーケンスIIIG試験のパラメーターの一つである。更に、‘468はピストン付着物について考察又は記載をしていない。‘468の更なる問題は、通常環境上の理由のために望ましくないと見なされる有限レベルの塩素の使用を要求することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、熱“エン”反応により生成された官能化ポリアルケンから誘導される、実質的に塩素を含まず、潤滑剤中で優れたカム及びリフター磨耗、ピストン付着及び/又は粘度特性を示す窒素含有無灰分散剤を使用することにより上記問題を満足する。
第一の局面において、本発明はリンの原子として表わして0.09質量%以下、例えば、0.05〜0.08質量%のリン含量、硫黄の原子として表わして0.3質量%以下、例えば、0.2質量%以下の硫黄含量、及び1質量%以下、例えば、0.5〜0.8質量%の範囲の硫酸灰分含量を有する内燃機関クランクケース潤滑油組成物であって、その組成物が夫々少量の下記の添加剤成分:
A.潤滑油組成物中の唯一の窒素含有無灰分散剤であり、潤滑油組成物中で0.03〜0.07質量%の窒素を与える、ポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸、その酸無水物又はエステルの少なくとも一種の油溶性又は油分散性窒素含有誘導体(そのポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸、酸無水物又はエステルは専ら熱“エン”反応によりポリアルケンから生成される)、
B.潤滑油組成物中で唯一の過塩基性金属清浄剤系である、少なくとも一種の油溶性又は油分散性過塩基性アルカリ土類金属スルホネート、及び
C.少なくとも一種の粘度改質剤
を含み、又はこれらを混合することにより生成されることを特徴とする上記組成物を提供する。
第二の局面において、本発明は、本発明の第一の局面の潤滑油組成物をクランクケースに供給することを特徴とする乗用車内燃機関のクランクケースの潤滑方法を提供する。
第三の局面において、本発明は、ポリアルケニル置換モノ-又はジカルボン酸、その酸無水物又はエステルがポリアルケンから塩素化反応により生成される対応の(corresponding)分散剤組成物を含む対応の潤滑油組成物の使用と比較して、乗用車内燃機関のクランクケース潤滑においてカム及びリフター磨耗、ピストン付着物及び/又は潤滑剤粘度を本発明の第一の局面の潤滑油組成物により改良するための本発明の第一の局面で規定される分散剤組成物の使用を提供する。
【0004】
この明細書中、下記の用語及び表現は、使用される場合に、以下の特有の意味を有する:
“有効成分”又は“(a.i.)”は希釈剤又は溶媒ではない添加剤物質を表わし、
“含む”又はあらゆる同義語は記載された特徴、工程、又は整数もしくは成分の存在を明記するが、一種以上のその他の特徴、工程、整数、成分又はこれらのグループの存在又は追加を排除せず、
“からなる”又は“実質的にからなる”という表現或いは同義語は“含む”又は同義語内に含まれてもよく、“実質的にからなる”はそれが適用する組成物の特性に実質的に影響しない物質の包含を許し、
“過半量(major amount)”は組成物の50質量%を超えることを意味し、
“少量”は組成物の50質量%未満を意味し、
“TBN”はASTM D2896により測定された全アルカリ価を意味する。
更にこの明細書中で、
“リン含量”はASTM D5185により測定されたとおりであり、
“硫酸灰分含量”はASTM D874により測定されたとおりであり、
“硫黄含量”はASTM D2622により測定されたとおりであり、
“KV100”はASTM D445により測定された100℃における動粘度を意味する。
また、使用される必須、最適及び通例の種々の成分は、配合、貯蔵又は使用の条件下で反応し得ることが理解され、また、本発明はそのようなあらゆる反応の結果として得られる生成物又は得られた生成物を提供することも理解されるであろう。
更に、本明細書に限界が示されるより一層多い及び少ない量、範囲及び比が独立に組み合わされてもよいことが理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
適当な場合に、本発明の夫々の局面及び全ての局面に関する本発明の特徴が、以下に更に詳しく今記載されるであろう。
[潤滑油組成物]
潤滑油組成物は、添加剤及びおそらくその他の油がブレンドされる該潤滑油組成物の主たる液体成分として、主要な割合の潤滑粘度の油(時としてベースオイル又はベースストックと称される)を含む。潤滑油組成物はその中に0.03〜0.07質量%の窒素を与える分散剤を含み、よって、前記潤滑油組成物は、ガソリンエンジンのための乗用車モーターオイル(PCMO)又はライトデューティディーゼルエンジンのための乗用車ディーゼルエンジン(PCDO)と分類される。
ベースオイルは、天然(植物、動物又は鉱物)及び合成の潤滑油並びにこれらの混合物から選ばれてもよい。ベースオイルは、粘度が、軽留出鉱物油から重質潤滑油、例えば、ガスエンジン油、ミネラル潤滑油、自動車油及びヘビーデューティディーゼル油までの範囲にわたっていてもよい。一般に、油の粘度は100℃で2〜30 mm2s-1、特に5〜20 mm2s-1の範囲にわたる。
天然油は、動物油及び植物油(例えば、ヒマシ油及びラード油)、液体石油オイル並びにパラフィン型、ナフテン型及びパラフィン-ナフテン型のハイドロリファイニング及び溶媒処理されたミネラル潤滑油を含む。石炭又はシェールから誘導された潤滑粘度の油もまた、有益なベースオイルである。
合成潤滑油は炭化水素油、例えば、重合オレフィン及び共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン))、アルキルベンゼン類(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン)、ポリフェノール類(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール)、及びアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド並びにこれらの誘導体、類似体及び同族体を含む。
【0006】
合成潤滑油の別の好適な部類は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。これらのエステルの具体的な例として、ジブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート、ジ-n-ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼラート、ジイソデシルアゼラート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルヘキサン酸と反応させることにより生成する複合エステルが挙げられる。
また、合成油として有益なエステルとして、C5-C12モノカルボン酸とポリオール、及びポリオールエーテル、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールから生成されたものが挙げられる。
未精製油、精製油及び再精製油が本発明の組成物中に使用し得る。未精製油は、更なる精製処理をしないで天然源又は合成源から直接得られたものである。例えば、レトルト操作から直接得られたシェール油、蒸留から直接得られた石油オイル又はエステル化方法から直接得られ、更に処理しないで使用されるエステル油が未精製油であろう。精製油は、それらが1以上の特性を改良するために1以上の精製工程で更に処理される以外は未精製油と同様である。このような多くの精製技術、例えば、蒸留、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、濾過及びパーコレーションが当業者に知られている。再精製油はサービス中に既に使用された精製油に適用される精製油を得るのに使用される方法と同様の方法により得られる。このような再精製油は、再生油又は再加工油としても知られており、しばしば使用済み添加剤及び油分解生成物の許可のための技術により更に加工される。
【0007】
ベースオイルのその他の例は、ガス・ツー・リキッド(“GTL”)ベースオイルであり、即ち、ベースオイルは、フィッシャー-トロプッシュ触媒を使用して水素及び一酸化炭素を含む合成ガスから生成されたフィッシャー-トロプッシュ合成炭化水素から誘導された油であってもよい。これらの炭化水素は、ベースオイルとして有益であるために典型的には更なる加工処理を必要とする。例えば、それらは、本技術分野で知られている方法により、水素異性化されてもよく、水素化分解及び水素異性化されてもよく、脱ロウされてもよく、又は水素異性化及び脱ロウされてもよい。
ベースオイルは、API EOLCS 1509定義に従ってグループI〜Vにカテゴリー化されてもよい。グループIIベースストック、即ち、90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄を含み、80以上かつ120未満の粘度指数を有するベースストックが好ましい。
潤滑粘度の油は、過半量で少量の添加剤(A)、(B)及び(C)そして、必要により、以下に記載されるような一種以上の補助添加剤と組み合わせて提供されて、潤滑油組成物を構成する。この調製は、一種以上の添加剤を油に直接添加することにより、又は一種以上の添加剤をコンセントレートの形態で添加して、一種以上の添加剤を分散もしくは溶解することにより行なわれてもよい。添加剤は、その他の添加剤の添加の前、同時、又は後に、当業者に知られているあらゆる方法により油に提供されてもよい。こうして、成分の夫々がそれを濃度の所望のレベルでベースストック又はベースオイルブレンド中に分散又は溶解することによりベースストック又はベースオイルに直接添加し得る。このようなブレンドは周囲温度で行なわれてもよく、又は高温で行なわれてもよい。
【0008】
粘度改質剤及び流動点降下剤(含まれる場合)以外の全ての添加剤は、コンセントレート又は添加剤パッケージ(これは続いてベースストックにブレンドされて完成潤滑剤を作る)にブレンドされることが好ましい。コンセントレートは典型的にはコンセントレートが前もって決めた量のベース潤滑剤と組み合わされる場合に最終配合物中で所望の濃度を得るのに適した量の一種以上の添加剤を含むように配合されるであろう。
コンセントレートは米国特許第4,938,880号明細書に記載された方法に従って生成されることが好ましい。
最終クランクケース潤滑油組成物は2〜20質量%、好ましくは4〜18質量%、最も好ましくは5〜17質量%のコンセントレート又は添加剤パッケージを使用してもよく、残りはベースストックである。
本明細書に使用される“油溶性”又は“油分散性”という用語、又は同義語は、化合物又は添加剤が可溶性、溶解性、混和性であり、又はあらゆる比率で油中に懸濁し得ることを必ずしも示さない。しかしながら、前記用語又は同義語は、化合物又は添加剤が、例えば、環境(その中で油が使用される)中でそれらの意図される効果を与えるのに充分な程度まで油に可溶性又は安定に分散性であることを意味する。更に、その他の添加剤の付加的な組み込みは、必要に応じて、特定の添加剤の一層高いレベルの組み込みを可能にし得る。
【0009】
[分散剤(A)]
本発明の窒素含有無灰分散剤の特徴は、既知の反応である熱“エン”反応により専ら官能化されたポリアルケンから生成されることである。このようなポリアルケンは、少なくとも65%、例えば、70%、更に好ましくは少なくとも85%のような、主として末端のビニリデン基を有する混合物である。例として、高度に反応性のポリイソブテン(HR-PIB)として知られているポリアルケンが挙げられ、これは商品名グリッソパルTM(BASFから)及びウルトラビスTM(BP-アモコから)として市販されている。米国特許第4,152,499号明細書はこのようなポリマーの調製を記載している。
対照的に、所謂塩素化方法により官能化されたポリイソブテン(即ち、本発明に関係しないポリイソブテン)は、末端ビニリデン基を有するポリマー鎖を小さい比率(例えば、20%未満)で有する。
ポリアルケンは、主として炭素-炭素間不飽和(エチレン性又はオレフィン性不飽和とも称される)の部位でポリマー鎖への官能性部分又は作用剤(agent)、即ち、酸、酸無水物、又はエステル部分の付加をもたらす条件下で熱“エン”反応を使用してポリマーを反応させることにより、カルボン酸生成部分(好ましくは酸又は酸無水物)を用いて官能化される。
ポリアルケンを官能化するのに使用し得る好ましいモノ不飽和反応体は、モノカルボン酸物質及びジカルボン酸物質、即ち、(i)モノ不飽和C4-C10ジカルボン酸((a)そのカルボキシル基がビシニルであり(即ち、隣接炭素原子に位置され)、かつ(b)前記炭素原子の少なくとも一つ、好ましくは両方が前記モノ不飽和の一部分である);(ii)(i)の誘導体、例えば、(i)の酸無水物又はC1-C5アルコール誘導モノ又はジエステル;(iii)モノ不飽和C3-C10モノカルボン酸(その炭素-炭素二重結合は、カルボキシ基と共役している、即ち、構造-C=C-CO-のものである);及び、(iv)(iii)の誘導体、例えば、(iii)のC1-C5アルコール誘導モノ又はジエステル;を含む、酸、酸無水物、又は酸エステル物質を含む。また、モノ不飽和カルボキシル物質(i)-(iv)の混合物が使用されてもよい。ポリアルケンと反応すると、モノ不飽和カルボキシル反応体のモノ不飽和が飽和されるようになる。こうして、例えば、無水マレイン酸がポリアルケン置換無水コハク酸になり、アクリル酸がポリアルケン置換プロピオン酸になる。このようなモノ不飽和カルボキシル反応体の例は、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、及びそれらの低級アルキル(例えば、C1-C4アルキル)酸エステル、例えば、マレイン酸メチル、フマル酸エチル、及びフマル酸メチルである。
【0010】
必要とされる官能性を提供するために、モノ不飽和カルボキシル反応体、好ましくは無水マレイン酸は、典型的にはポリアルケンのモル数を基準として、等モルから100重量%過剰まで、好ましくは5〜50重量%過剰の範囲の量で使用されるであろう。未反応の過剰のモノ不飽和カルボキシル反応体は、必要に応じて、例えば、通常は真空下での、ストリッピングにより、最終分散剤生成物から除去し得る。
官能化された油溶性ポリアルケンが、次いで、求核性反応体、例えば、アミン、アミノ-アルコール、アルコール又はこれらの混合物で誘導体化されて、分散剤を含む対応する誘導体を生成する。官能化されたポリマーを誘導体化するのに有益なアミン化合物は、少なくとも一つのアミンを含み、また、一つ以上の付加的なアミン又はその他の反応性もしくは極性の基を含み得る。これらのアミンはヒドロカルビルアミンであってもよく、又は主としてヒドロカルビルアミンであってもよい(そのヒドロカルビル基はその他の基、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、ニトリル及びイミダゾリン基を含む)。特に有益なアミン化合物として、モノ及びポリアミン、例えば、1分子当り窒素原子を1〜12個、例えば、3〜12個、好ましくは3〜9個、最も好ましくは6〜7個有する総炭素原子2〜60個、例えば、2〜40個(例えば、3〜20個)のポリアルケンポリアミン及びポリオキシアルキレンポリアミンが挙げられる。アミン化合物の混合物が有利に使用し得る。好ましいアミンは、脂肪族飽和アミン、例えば、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン;ポリエチレンアミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン;並びにポリプロピレンアミン、例えば、1,2-プロピレンジアミン、及びジ-(1,2-プロピレン)トリアミンである。PAMとして知られている、このようなポリアミン混合物が、市販されている。特に好ましいポリアミン混合物はPAM生成物からの軽留分を蒸留することにより誘導された混合物である。得られる混合物は、“重”PAM、又はHPAMとして知られており、市販もされている。PAM及び/又はHPAMの両方の特性及び属性は、例えば、米国特許第4,938,881号明細書、同第4,927,551号明細書、同第5,230,714号明細書、同第5,241,003号明細書、同第5,565,128号明細書、同第5,756,431号明細書、同第5,792,730号明細書、及び同第5,854,186号明細書に記載されている。
【0011】
その他の有益なアミン化合物として、脂環式ジアミン、例えば、1,4-ジ(アミノメチル)シクロヘキサン及び複素環窒素化合物、例えば、イミダゾリンが挙げられる。アミンの別な有益なクラスは米国特許第4,857,217号明細書、同第4,956,107号明細書、同第4,963,275号明細書、及び同第5,229,022号明細書に開示されているようなポリアミド及び関連アミド-アミンである。また、米国特許第4,102,798号明細書、同第4,113,639号明細書、同第4,116,876号明細書、及び英国特許第989,409号明細書に記載されているようなトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TAM)が使用し得る。デンドリマー、星状アミン、及びコーム構造のアミンがまた使用されてもよい。同様に、米国特許第5,053,152号明細書に記載されているような、縮合アミンが使用されてもよい。官能化ポリマーは、例えば、米国特許第4,234,435号明細書及び同第5,229,022号明細書だけでなく、EP-A-208,560に記載されているような通常の技術を使用してアミン化合物と反応させられる。
本発明において得られ、使用される分散剤は、窒素含有無灰(金属を含まない)分散剤である。官能基は分散される粒子と会合することができる。誘導体化により提供される窒素含有基は、しばしば、架橋基(bridging group)を介して、ポリマー主鎖に結合された極性基であり得る。好適な無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノ及びポリカルボン酸又はその酸無水物の油溶性塩、エステル、アミノ-エステル、アミド、イミド及びオキサゾリン;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体;並びに、直接結合されたポリアミン部分を有する長鎖脂肪族炭化水素;から選ばれてもよい。
本発明の分散剤はポリアルケニル置換モノ又はジカルボン酸、酸無水物又はエステルから誘導される少なくとも一種の分散剤を含むことが好ましく、その分散剤は少なくとも900の数平均分子量及びポリアルケニル部分当り1.3個より大きく1.7個まで、好ましくは1.3個より大きく1.6個まで、最も好ましくは1.3個より大きく1.5個までの官能基(モノ又はジカルボン酸生成部分)を有するポリアルケニル部分を有する(中間官能性分散剤)。官能性(F)は下記の式に従って決定し得る。
【0012】
F=(SAPxMn)/((112,200xA.I.)-(SAPx98)) (1)
式中、SAPはケン化価(即ち、ASTM D94に従って測定される、コハク酸含有反応生成物1g中の酸基の完全中和に消費されるKOHのミリグラム数)であり、Mnは出発オレフィンポリマーの数平均分子量であり、かつA.I.はコハク酸反応生成物の有効成分率である(残りは未反応オレフィンポリマー、無水コハク酸及び希釈剤である)。
一般に、夫々のモノ又はジカルボン酸生成部分は求核性基(アミン、アルコール、アミド又はエステル極性部分)と反応し、ポリアルケニル置換カルボキシルアシル化剤中の官能基の数が完成した分散剤中の求核性基の数を決めるであろう。
本発明の分散剤のポリアルケニル部分は少なくとも900、好適には少なくとも1500、好ましくは1800〜3000、例えば、2000〜2800、更に好ましくは約2100〜2500、最も好ましくは約2200〜約2400の数平均分子量を有し得る。分散剤の分子量は一般にポリアルキレン部分の分子量に関して表わされる。これは分散剤の正確な分子量範囲が分散剤を誘導するのに使用されるポリマーの型、官能基の数、及び使用される求核性基の型を含む多くのパラメーターに依存するからである。
ポリマーの分子量、具体的には


は、種々の既知の技術により測定し得る。一つの便法はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)であり、これは更に分子量分布情報を与える(W. W. Yau, J. J. Kirkland及びD. D. Bly,“Modern Size Exclusion Liquid Chromatography”, John Wiley and Sons, New York, 1979を参照のこと)。分子量、特に低分子量ポリマーを測定するのに有益な別の方法は、蒸気圧浸透圧法(例えば、ASTM D3592を参照のこと)である。
【0013】
本発明の分散剤中のポリアルケニル部分は狭い分子量分布(MWD)(多分散性とも称される)を有することが好ましく、分子量分布(多分散性)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率により決定される。2.2未満、好ましくは2.0未満のMw/Mnを有するポリマーが最も望ましい。好適なポリマーは約1.5〜2.1、好ましくは約1.6〜約1.8の多分散性を有する。
本発明の分散剤を生成するに使用される好適なポリアルケンは、ホモポリマー、インターポリマー又は低分子量炭化水素を含む。このようなポリマーの1のファミリーは、エチレン及び/又は少なくとも一種の式H2C=CHR1(式中、R1は1〜26個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基である)を有するC3-C28アルファ-オレフィンのポリマーを含み、そのポリマーは炭素-炭素間不飽和と高度の末端エチリデン不飽和とを含む。好ましくは、このようなポリマーは、エチレンと少なくとも一種の上記式のアルファ-オレフィン(式中、R1は1〜18個の炭素原子のアルキル、更に好ましくは1〜8個の炭素原子、更に好ましくは1〜2個の炭素原子のアルキルである)とのインターポリマーを含む。
別の有益な分類のポリマーは、イソブテン及びスチレンの如きモノマーのカチオン重合により調製されたポリマーである。この分類に由来する一般的なポリマーとして、熱“エン”反応による、35〜75重量%のブテン含量及び30〜60重量%のイソブテン含量を有するC4精油所流の重合により得られたポリイソブテンが挙げられる。ポリ-n-ブテンを生成するのに好ましいモノマー供給源は、ラフィネートIIの如き石油供給流である。これらの供給原料が本技術分野で、例えば、米国特許第4,952,739号明細書に開示されている。好ましい実施態様は純粋なイソブチレン流又はラフィネートI流から調製されたポリイソブチレンを利用して上記のような末端ビニリデンオレフィンを有する反応性イソブチレンポリマーを調製する。
使用し得るポリイソブテンポリマーは、一般に1500〜3000のポリマー鎖をベースとする。
本発明の一種以上の分散剤は非ポリマーである(例えば、モノ又はビススクシンイミドである)ことが好ましい。
本発明の一種以上の分散剤は、一般に米国特許第3,087,936号明細書、同第3,254,025号明細書及び同第5,430,105号明細書に教示されているような、通常の手段によりホウ酸塩処理し得る。分散剤のホウ素化はアシル窒素含有分散剤をアシル化窒素組成物1モルについて0.1〜20原子の割合のホウ素を与えるのに充分な量の、ホウ素化合物、例えば、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ボロン酸、及びボロン酸のエステルで処理することにより容易に達成される。
ホウ素は、脱水ホウ酸ポリマー(主として(HBO2)3)として生成物中に現れ、例えば、アミン塩、例えば、ジイミドのメタホウ酸塩として分散剤イミド及びジイミドに結合すると考えられる。ホウ素化は、充分な量のホウ素化合物、好ましくはホウ酸を、通常スラリーとして、アシル窒素化合物に添加し、135〜190℃、例えば、140〜170℃で、1〜5時間にわたって撹拌しながら加熱し、続いて窒素ストリッピングを行なうことによって行ない得る。また、ホウ素処理は、水を除去しながら、ホウ酸をジカルボン酸物質及びアミンの熱反応混合物に添加することにより行ない得る。本技術分野で知られているその他の反応後プロセスも適用し得る。
典型的には、潤滑油組成物は0.1〜20質量%、例えば、1〜8質量%、好ましくは2〜6質量%の分散剤を含んでもよい。
【0014】
[清浄剤(B)]
本発明は、例えば、150〜450のTBNを有し、少なくとも一種のアルカリ土類金属スルホネートからなる、一種以上の過塩基性アルカリ土類清浄剤の存在を必要とする。これら清浄剤は、油の硫酸灰分含量が1重量%以下、例えば、0.8重量%以下で留まる限り、清浄剤の通常の付随機能を提供するような量で存在してもよく、一般に0.5〜3重量%の量で使用される。アルカリ土類金属は、カルシウム又はマグネシウムであり、好ましくはカルシウムであってもよい。
スルホネートは、スルホン酸から調製されてもよく、典型的にはアルキル置換芳香族炭化水素、例えば、石油の精留から、又は芳香族炭化水素のアルキル化により得られたもののスルホン化により得られる。アルカリールスルホネートは、通常、アルキル置換芳香族部分当り9個から80個以上まで、好ましくは16個から60個までの炭素原子を含む。
[粘度改質剤(C)]
粘度改質剤は、高温及び低温作動性を潤滑油に付与するように機能する。使用されるVMは、その唯一の機能を有してもよく、又は多機能性であってもよい。
分散剤としても機能する多機能性粘度改質剤も知られている。
好適な粘度改質剤は、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンと高級アルファ-オレフィンとのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物とのコポリマー、スチレンとアクリルエステルとのインターポリマー、並びにスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、及びイソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマー、並びにブタジエン及びイソプレン及びイソプレン/ジビニルベンゼンの部分水素化ホモポリマーである。
それらは、潤滑油組成物の0.01〜10質量%、例えば、0.25〜3質量%を構成してもよい。
【0015】
[その他の添加剤]
その他の添加剤、例えば、下記のものが本発明の潤滑油組成物中に存在してもよい。
耐磨耗剤は、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を含んでもよく、その金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル、銅であってもよく、又は好ましくは亜鉛であってもよい。
ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩は、既知の技術に従って最初に通常一種以上のアルコール又はフェノールとP2S5の反応によりジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を生成し、次いで生成されたDDPAを金属化合物で中和することにより調製されてもよい。例えば、ジチオリン酸は、第一級アルコール及び第二級アルコールの混合物を反応させることにより生成されてもよい。あるいは、一方のヒドロカルビル基が全体的に第二級の特性であり、他方のヒドロカルビル基が全体的に第一級の特性である場合に、複数のジチオリン酸が調製し得る。金属塩を生成ために、あらゆる塩基性又は中性金属化合物が使用し得るが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩が最も一般に使用される。市販の添加剤は、中和反応における過剰の塩基性金属化合物の使用のために過剰の金属を頻繁に含む。
好ましい亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP)は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、下記の式により表わし得る。
【0016】
【化1】


【0017】
式中、R及びR'は1〜18個、好ましくは2〜12個の炭素原子を含み、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリール基及び脂環式基の如き基を含む同じ又は異なるヒドロカルビル基であってもよい。2〜8個の炭素原子のアルキル基がR基及びR'基として特に好ましい。こうして、基は、例えば、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってもよい。油溶性を得るために、ジチオリン酸中の炭素原子の合計数(即ち、R及びR')は一般に約5個以上であろう。それ故、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートは亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含み得る。
ZDDPにより潤滑油組成物に導入されるリンの量を0.09質量%以下に制限するために、ZDDPは潤滑油組成物の合計質量を基準として、1.1〜1.3質量%以下の量で潤滑油組成物に添加されることが好ましい。
酸化抑制剤又は酸化防止剤は、ベースストックが使用中に劣化する傾向を減少し、その劣化は金属表面上の酸化の生成物、例えば、スラッジ及びワニス状の付着物及び粘度増大により明示され得る。このような酸化抑制剤として、ヒンダードフェノール、芳香族アミン、好ましくはC5-C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、無灰油溶性フェネート及び硫化フェネート、リン硫化又は硫化炭化水素、リンエステル、金属チオカルバメート及び米国特許第4,867,890号明細書に記載されたような油溶性銅化合物が挙げられる。
【0018】
摩擦改質剤(これらは摩擦係数を低下し、それ故、燃料経済性を改良する境界潤滑剤添加剤を含む)が使用されてもよい。例として、エステルをベースとする有機摩擦改質剤、例えば、多価アルコールの部分脂肪酸エステル、例えば、グリセロールモノオレエート、及びアミンをベースとする有機摩擦改質剤が挙げられる。更なる例は二硫化モリブデンを付着する添加剤、例えば、有機モリブデン化合物(その場合、モリブデンは、例えば、二核又は三核形態である)である。
ノニオンのポリオキシアルキレンポリオール及びこれらのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール、並びにアニオンのアルキルスルホン酸からなる群から選ばれた錆抑制剤が使用されてもよい。
少量の解乳化成分が使用されてもよい。好ましい解乳化成分が欧州特許出願公開第330,522号明細書に記載されている。前記解乳化成分は、アルキレンオキサイドをビス-エポキシドを多価アルコールと反応させることにより得られた付加物と反応させることにより得られる。解乳化剤は、有効成分の0.1質量%を越えないレベルで使用されるべきである。有効成分の0.001〜0.05質量%の処理率が好都合である。
流動点降下剤(それ以外に、潤滑油流動性改良剤として知られている)は、流体が流れ得る又は液体を注入し得る最低温度を低下する。このような添加剤は公知である。流体の低温流動性を改良する典型的なこれらの添加剤はC8-C18ジアルキルフマレート/酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキルメタクリレート等である。
発泡制御は、ポリシロキサン型の消泡剤、例えば、シリコーン又はポリジメチルシロキサンを含む多くの化合物により与えられる。
[機関]
本発明は、乗用車内燃機関、例えば、火花点火式及びライトデューティ圧縮点火式の2気筒又は4気筒往復エンジンに適用可能である。
【実施例】
【0019】
本発明は、特許請求の範囲を制限することを目的としない以下の実施例で、詳細に説明されるであろう。
二種の完全に配合した5W30潤滑油組成物(すなわち、潤滑剤)である潤滑剤1及び潤滑剤Aを、本技術分野で知られている方法によりブレンドした。これら二種の潤滑剤は、下記の点で異なっていた。
潤滑剤1(本発明の潤滑剤)は、ポリイソブテニル部分が熱“エン”反応により生成されたポリイソブテン無水コハク酸から誘導されたポリイソブテニル-スクシンイミドからなる無灰分散剤を含んでいた。
潤滑剤A(基準潤滑剤)は、ポリイソブテニル部分が塩素方法により生成されたポリイソブテン無水コハク酸から誘導されたこと以外は、潤滑剤1に含まれているものに相当する無灰分散剤を含んでいた。
下記のものを混合することにより、夫々の潤滑剤を作製した:
3.2質量%の分散剤;
1.6質量%の高TBN Caスルホネート清浄剤;
10質量%のオレフィンコポリマー粘度改質剤;及び
対応する量の本技術分野で知られている補助添加剤、例えば、一種以上の耐磨耗剤、酸化防止剤、摩擦改質剤及び消泡剤を含む、グループII原料油。
また、夫々の潤滑剤は下記の分析価を有していた。
0.77質量%の硫酸灰分
0.08質量%のリン
0.2質量%の硫黄
【0020】
二種の潤滑剤の夫々をシーケンスIIIG試験に従ってカム及びリフター磨耗について試験した。その試験は、試験装置として1996年式ゼネラル・モーターズ3800ccシリーズII、水冷式、4サイクル、V-6ガソリンエンジンを利用する。シーケンスIIIG試験エンジンはオーバーヘッドバルブデザイン(OHV)であり、摺動フォロワー配置でプッシュロッド及びハイドロリックバルブリフターを介して吸気弁及び排気弁の両方を操作する単一カムシャフトを使用する。無鉛ガソリンを使用して、10分の初期オイルレベリング過程、次いでスピード及び負荷条件まで15分の低速ランプでエンジンを作動させる。次いでエンジンを100時間にわたって125bhp、3,600rpm及び150℃のオイル温度で作動させ、オイルレベルチェックのために20時間間隔で中断した。
試験の終了時に、カムローブ及びリフターを磨耗について測定した。平均カムプラスリフター磨耗(単位:ミクロン)として表わされる、結果は以下のとおりであり、この場合、試験に関する合格限界は最大60ミクロンである。
潤滑剤1:28.8
潤滑剤A:87.2
この結果は、潤滑1が試験に合格し、一方、潤滑剤Aが不合格であったという程度まで、潤滑剤1中の分散剤の使用が潤滑剤A中の分散剤の使用よりも良好な磨耗性能を認定エンジン試験で生じたことを実証している。
潤滑剤について、更なる試験をシークエンスIIIG手順に従って行い、粘度上昇及びピストン清浄度を測定した。
得られた結果は以下のとおりであった。
【0021】
【表1】


【0022】
この結果は、両方が試験限界内であるが、潤滑剤1が潤滑剤Aよりも低い、即ち、良好な粘度上昇を生じたこと、また、潤滑剤1が試験に合格し、一方、潤滑剤Aが不合格であった程度まで、潤滑剤1が潤滑剤Aよりも良好なピストン付着物性能を生じたことを示している。
【出願人】 【識別番号】500010875
【氏名又は名称】インフィニューム インターナショナル リミテッド
【出願日】 平成19年7月19日(2007.7.19)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤

【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治

【識別番号】100114007
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 孝二


【公開番号】 特開2008−24937(P2008−24937A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−187899(P2007−187899)