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グリース組成物及び転動装置 - 特開2008−24785 | j-tokkyo
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【発明の名称】 グリース組成物及び転動装置
【発明者】 【氏名】磯 賢一

【氏名】横内 敦

【要約】 【課題】高温高速下でも優れた耐剥離性を付与でき、自動車電装部品やエンジン補機用の軸受、ボールねじ等の各種転動装置に好適なグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなる耐剥離性に優れ、長寿命の転動装置を提供する。

【構成】基油と増ちょう剤とを含み、硫黄原子を含まない化合物からなる防錆剤等の添加剤を添加してなることを特徴とするグリース組成物、並びに内方部材と外方部材との間に、複数の転動体を転動自在に保持するとともに、前記グリース組成物を封入したことを特徴とする転動装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油と増ちょう剤とを含み、硫黄原子を含まない化合物からなる添加剤を添加してなることを特徴とするグリース組成物。
【請求項2】
基油と増ちょう剤とを含み、硫黄原子を含まない化合物からなる防錆剤を添加してなることを特徴とするグリース組成物。
【請求項3】
内方部材と外方部材との間に、複数の転動体を転動自在に保持するとともに、請求項1または2記載のグリース組成物を封入したことを特徴とする転動装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、オルタネータ、コンプレッサプーリ、中間プーリ、電動ファンモータ、水ポンプ等の自動車電装部品やエンジン補機用の軸受、ボールねじ等の各種転動装置に好適に使用でき、優れた剥離寿命を付与するグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入した前記のような各種転動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンの各種動力装置の回転箇所、例えばオルタネータ、コンプレッサプーリ、中間プーリ、電動ファンモータ、水ポンプ等の電装部品やエンジン補機には、一般に転がり軸受が使用されており、その潤滑には主としてグリース組成物が使用されている。
【0003】
近年、自動車は小型軽量化を目的としたFF(フロントエンジンフロントドライブ)車の普及により、更には居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、上記に挙げたような電装部品やエンジン補機の小型軽量化がより一層進められており、それに組み込まれる各部品も高性能、高出力化がますます求められている。しかし、小型化により出力の低下は避けられず、例えばオルタネータやカーエアコン用コンプレッサでは高速化することにより出力の低下分を補っており、それに伴って中間プーリも高速化することになる。更に、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、これらの部品は高温に耐えることも必要となっている。
【0004】
このような高速化や高温化に伴い、上記の軸受も計算寿命以下で剥離(早期剥離)を起こすことがあり、その防止が新たな課題になってきている。この早期剥離は、グリース組成物に配合されている添加剤に影響されることが知られており、亜硝酸ナトリウムを配合することで寿命を向上させている場合もある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、無機不動体化剤として代表的な亜硝酸ナトリウムは、耐白色剥離性能や錆び止め性能に優れる反面、使用条件によっては発ガン性物質を誘発させる可能性があり、法的規制はないものの、その使用を避ける方が望ましいとされている。
【0005】
また、早期剥離は水素に起因することが分かっている。転がり軸受の場合、内外輪と転動体との接触面が回転中に生じる振動や回転変動による微小すべり等が起こり、反応性の高い金属新生面が出現し、そこへグリース組成物中の水分や外部から浸入した水分が接触すると、分解により水素が発生する。そして、この水素が金属を劣化させ、剥離を起こす。
【特許文献1】特開平3−200898号公報
【特許文献2】特開平3−210394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、高温高速下でも優れた耐剥離性を付与でき、自動車電装部品やエンジン補機用の軸受、ボールねじ等の各種転動装置に好適なグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなる耐剥離性に優れ、長寿命の転動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の水素起因の剥離現象を精査したところ、グリース組成物中に硫黄含有化合物からなる添加剤が存在すると、反応性が高まり水素がより多く発生することを見出した。本発明はこのような知見に基づくものであり、下記を提供する。
【0008】
(1)基油と増ちょう剤とを含み、硫黄原子を含まない化合物からなる添加剤を添加してなることを特徴とするグリース組成物。
(2)基油と増ちょう剤とを含み、硫黄原子を含まない化合物からなる防錆剤を添加してなることを特徴とするグリース組成物。
(3)内方部材と外方部材との間に、複数の転動体を転動自在に保持するとともに、上記(1)または(2)記載のグリース組成物を封入したことを特徴とする転動装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明のグリース組成物は、水素起因の剥離を促進する硫黄原子を含まないことから、適用箇所での水素起因の剥離の発生を抑え、より長期にわたる潤滑を可能にする。また、このようなグリース組成物を封入した転動装置も長寿命となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のグリース組成物及び転動装置に関して詳細に説明する。
【0011】
(グリース組成物)
〔基油〕
使用される基油は特に限定されず、通常潤滑油の基油として使用されている油は全て使用することができる。好ましくは、低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm2/sec、より好ましくは20〜250mm2/sec、さらに好ましくは40〜150mm2/secである基油が望ましい。
【0012】
具体例としては、鉱油系、合成油系及び天然油系の潤滑油が挙げられる。鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を、適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。合成油系潤滑基油としては、炭化水素系油、芳香族基油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物等が挙げられる。芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、あるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、更にはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、更にはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。天然油系潤滑基油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油またはこれらの水素化物が挙げられる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、上述した好ましい動粘度に調整される。
【0013】
[増ちょう剤]
ゲル構造を形成し、基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li,Na,Ba,Ca等から選択される複合金属石けん等の金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石けん類を適宜選択して使用できるが、グリースの耐熱性を考慮するとウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物または、これらの混合物が好ましい。このウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物としては、具体的にはジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でもジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物がより好ましい。耐熱性、音響性を考慮すると、さらに好ましくは、ジウレア化合物を配合することが望ましい。
【0014】
増ちょう剤の配合量にも制限はないが、グリース組成物全量の5〜40質量%が好ましい。増ちょう剤が5質量%より少ないとグリース状態を維持することは困難となり、40質量%より多くなるとグリース組成物が硬くなりすぎて十分な潤滑状態を発揮することができない。
【0015】
〔添加剤〕
従来からグリース組成物に添加される各種添加剤の中で、硫黄原子を含まないものを、目的に応じて用いる。具体的には、アミン系、フェノール系の酸化防止剤;カルボン酸系、カルボン酸塩系、エステル系、アミン系の防錆剤;リン系、有機モリブデン等の極圧剤;脂肪酸、動植物油等の油性向上剤;ベンゾトリアゾールやトリルトリアゾール等の金属不活性化剤等を、それぞれ単独で、もしくは適宜組み合わせて使用する。中でも、防錆剤は、初期より金属表面に付着するため、硫黄原子の影響を受けやすく、慎重に選定を行う必要がある。
【0016】
これら硫黄原子を含まない添加剤の添加量は、特に制限されるものではないが、グリース組成物全量の0.1〜10質量%が好ましい。添加量がこれより少ないと、添加剤による効果が不十分となり、過剰になると、効果が飽和するばかりでなく、相対的に基油量が減少して潤滑性に悪影響が出てくる。
【0017】
〔製法〕
グリース組成物の製造方法には制限がなく、従来のグリース組成物と同様の工程により調製できる。一般的には、基油中で増ちょう剤を反応して得たベースグリースに、硫黄原子を含まない添加剤を所定量添加し、ニーダーやロールコータ等で十分に攪拌する。このとき、加熱するのも有効である。
【0018】
尚、グリース組成物のちょう度は、用途により適宜選択されるが、例えば自動車のエンジン周りの電装機器に組み込まれる転がり軸受の封入グリースとした場合は、混和ちょう度で220〜385とすればよい。220未満では、硬すぎて十分な潤滑性能が期待できず、385超では軸受から漏洩するおそれがある。
【0019】
(転動装置)
本発明はまた、上記グリース組成物を封入した転動装置を提供する。
【0020】
転動装置の種類に制限はなく、各種転がり軸受やボールねじ等が対象となる。転がり軸受を例にして説明すると、例えば図1に断面図で示す玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12により複数個の玉13を転動自在に保持してなり、内輪10、外輪11及び玉13とで形成される軸受内部空間に上記のグリース組成物Gを充填し、シール14で封止して構成される。封入量には制限がないが、前記空間の25〜45体積%を占めることが好ましい。このような玉軸受1では、グリース組成物Gが耐剥離性に優れるため、例えばオルタネータ、コンプレッサプーリ、中間プーリ、電動ファンモータ、水ポンプ等の自動車電装部品やエンジン補機用の軸受等として好適である。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0022】
(実施例1、比較例1〜2)
表1に示す配合にて、試験グリースを調製した。その際、ジイソシアネートを混合した基油と、アミンを混合した基油とを反応させ、加熱しながら攪拌して得た半固体状に、予め基油に溶解した酸化防止剤を添加して混練し、冷却後に防錆剤を添加し、ロールミルを通すことで試験グリースを得た。尚、防錆剤の配合量はグリース全量の2質量%とし、酸化防止剤の配合量はグリース全量の3質量%とした。そして、各試験グリースを下記に示す白色剥離試験に供し、性能を評価した。
〔白色剥離試験〕
試験グリースを0.95g封入した単列深溝玉軸(内径12mm、外径37mm、幅12mm)をプーリに組み込み、外輪回転速度1000〜6000min−1の繰り返し、室温雰囲気下、プーリ荷重1220Nの条件で連続回転させ、振動が発生したときに剥離が発生したと判断し、それまでの時間を計測した。500時間経過時に振動が発生しない場合は、その時点で回転を停止した。試験は、各試験グリースとも10回行い、下記式から剥離発生確率を求めた。結果を表1に示す。
剥離発生確率(%)=〔隔離発生数/試験数〕×100
【0023】
【表1】


【0024】
表1に示すように、酸化防止剤及び防錆剤ともに硫黄原子を含まない化合物を用いることにより、長期にわたり剥離発生を抑えられることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール
G グリース組成物
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光


【公開番号】 特開2008−24785(P2008−24785A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−196999(P2006−196999)