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【発明の名称】 潤滑油組成物
【発明者】 【氏名】マーク・テイ・デブリン

【氏名】ツエ−チー・ジヤオ

【氏名】ジヨン・テイ・ロパー

【氏名】ロジヤー・エム・シーツ

【氏名】グレゴリー・エイチ・グインター

【要約】 【課題】安価でありかつ薄膜摩擦の低下および燃料経済性の向上をもたらし得る潤滑油組成物を提供する。

【構成】テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る潤滑油組成物。更に硫黄を含有する燐含有化合物であるチオホスフェート、ジチオホスフェート、硫黄含有ネオペンチルグリコールホスファイトおよび硫黄含有ネオペンチルグリコールホスファイトの塩を含有してなる組成物。更に分散剤としてスクシニミド、ホウ素化スクシニミド、マンニッヒ分散剤、官能化オレフィン共重合体およびポリ(メタ)アクリレート共重合体の中の少なくとも1種を含む組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る潤滑油組成物。
【請求項2】
更に燐含有化合物も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記燐含有化合物がアミル酸ホスフェートである請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記燐含有化合物が金属を含有する燐含有化合物である請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記金属を含有する燐含有化合物が金属のジヒドロカルビルジチオ燐酸塩である請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記金属のジヒドロカルビルジチオ燐酸塩がジアルキルジチオ燐酸亜鉛である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記燐含有化合物が硫黄を含有する燐含有化合物である請求項2記載の組成物。
【請求項8】
前記硫黄を含有する燐含有化合物がチオホスフェート、ジチオホスフェート、硫黄含有ネオペンチルグリコールホスファイトおよび硫黄含有ネオペンチルグリコールホスファイトの塩から選択される請求項7記載の組成物。
【請求項9】
更に分散剤も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記分散剤がスクシニミド、ホウ素化スクシニミド、マンニッヒ分散剤、官能化オレフィン共重合体およびポリ(メタ)アクリレート共重合体の中の少なくとも1種である請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記分散剤がスクシニミドである請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記分散剤が高度グラフト化アミン誘導官能化エチレン−プロピレン共重合体である請求項9記載の組成物。
【請求項13】
更に摩擦改良剤も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記摩擦改良剤が窒素を含有しない化合物、窒素含有化合物および灰分含有化合物の中の少なくとも1種である請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記窒素含有化合物が長鎖アルキレンアミンである請求項14記載の組成物。
【請求項16】
前記長鎖アルキレンアミンがN−オレイル−トリメチレンジアミン、N−獣脂−トリメチレンジアミン、ココ−トリメチレンジアミンおよびこれらの混合物から選択される請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記窒素含有化合物がジエタノールアミンである請求項14記載の組成物。
【請求項18】
前記灰分含有化合物が硫黄を含有するモリブデン含有化合物である請求項14記載の組成物。
【請求項19】
前記モリブデン含有化合物がモリブデンのカルボン酸塩、モリブデンのアミド、モリブ
デンのチオ燐酸塩、モリブデンのチオカルバミン酸塩およびこれらの混合物から選択される請求項14記載の組成物。
【請求項20】
前記窒素を含有しない化合物がポリオールエステルである請求項14記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリオールエステルがグリセロールモノオレエートおよびグリセロールモノラウレートから選択される請求項20記載の組成物。
【請求項22】
テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油、金属を含有する燐含有化合物、分散剤および摩擦改良剤を含有して成る組成物。
【請求項23】
前記分散剤がスクシニミドである請求項22記載の組成物。
【請求項24】
前記摩擦改良剤が窒素を含有しない化合物およびモリブデン含有化合物の中の少なくとも1種である請求項23記載の組成物。
【請求項25】
テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油、金属を含有する燐含有化合物、エチレン−プロピレン共重合体および摩擦改良剤を含有して成る組成物。
【請求項26】
ある流体が表面間で示す薄膜摩擦を低下させる方法であって、前記流体にテトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る組成物を供給することを含んで成る方法。
【請求項27】
運搬手段における燃料効率を向上させる方法であって、前記運搬手段にテトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る組成物を供給することを含んで成る方法。
【請求項28】
請求項1記載の潤滑油組成物で潤滑されているエンジン、トランスミッションまたはギアセット。
【請求項29】
機械に潤滑油を差す方法であって、前記機械に請求項1記載の潤滑油組成物を供給することを含んで成る方法。
【請求項30】
前記機械がギアである請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記機械がエンジンである請求項29記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本開示はテトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る潤滑用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー効率良く潤滑された部品をもたらすことに関心が高まってきている。その上、現代のエンジンオイル仕様は、標準化エンジン試験で燃料効率を示す潤滑油を要求している。潤滑油の薄膜の厚みおよび摩擦特性がオイルの燃料経済特性に影響を与えることが知られている。
【0003】
薄膜摩擦は、2つの表面の間の距離が非常に狭い2つの表面の間を押す流体、例えば潤滑油などがもたらす摩擦である。潤滑油組成物に通常存在するいろいろな添加剤がいろいろな厚みの膜を形成してそれが薄膜摩擦に影響を与え得ることが知られている。その上、ある種の添加剤が潤滑油組成物に摩擦特性の低下をもたらす条件の範囲も狭い。その上、ある種の添加剤、例えばジアルキルジチオ燐酸亜鉛(ZDDP)などは薄膜摩擦を高めることも知られている。
【0004】
しかしながら、また、ある種の添加剤は非常に高価であることも知られている。かつ、薄膜摩擦を低下させる目的である添加剤を潤滑油組成物に追加的量で用いることはその製造業者にとって極めて高価であり得る。
【0005】
潤滑油組成物の主成分は基油であり得、これは比較的安価である。基油は公知であり、グループI−Vの下で分類分けされる。基油は飽和物%、硫黄含有%および粘度指数を基にして所定のグループに入る。例えば、グループIIの基油は全部、飽和物が90%以上であり、硫黄が0.03%未満でありかつ粘度指数が≧80から≦120の範囲である。しかしながら、グループIIの基油に入っている芳香族、パラフィン系およびナフテン系の比率は実質的に多様であり得る。それらの比率が異なると潤滑油組成物の特性、例えば酸化安定性などが影響を受け得ることが知られている。
【0006】
安価でありかつ薄膜摩擦の低下および燃料経済性の向上の中の少なくとも一方をもたらし得る潤滑油組成物が求められている。
【0007】
開示の要約
本開示に従い、テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る潤滑油組成物を開示する。
【0008】
1つの面では、また、テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油、金属を含有する燐含有化合物、分散剤および摩擦改良剤(friction modifier)を含有して成る組成物も開示する。
【0009】
テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油、金属を含有する燐含有化合物、エチレン−プロピレン共重合体および摩擦改良剤を含有して成る組成物を開示する。
【0010】
別の面では、ある流体が表面間で示す薄膜摩擦を低下させる方法を開示し、この方法は、前記流体にテトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る組成物を供給することを含んで成る。
【0011】
更に、1つの面では、運搬手段における燃料効率を向上させる方法を開示し、この方法は、運搬手段にテトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る組成物を供給することを含んで成る。
【0012】
本開示の追加的目的および利点をある程度ではあるが以下の説明の中に示し、それらを本開示の実施によって習得することができるであろう。本開示の目的および利点を特に添付請求項に指摘する要素および組み合わせを用いて実現および達成する。
【0013】
この上で行った一般的説明および以下に行う詳細な説明は単に例示および説明であり、請求する如き本開示を限定するものでないと理解されるべきである。
【0014】
態様の説明
本開示は、テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油を含有して成る潤滑用組成物に関する。1つの面では、本潤滑用組成物に更に燐含有化合物も含有させてもよい。別の面では、本潤滑油組成物に更に摩擦改良用化合物も含有させてもよい。さらなる面では、本潤滑用組成物に更に分散剤も含有させてもよい。
【0015】
前記基油はグループI−Vに分類分けされる基油のいずれであってもよい。1つの面における基油はグループIIの基油である。この基油が含有するテトラシクロパラフィンの量はこの基油の総重量を基準にして約3重量%未満、例えば約2重量%未満、さらなる例として約1重量%未満であり得る。
【0016】
この開示する基油が示す薄膜摩擦係数は、テトラシクロパラフィンを3重量%以上含有する基油のそれに比べて低い可能性がある。その上、如何なる特別な理論でも範囲を限定するものでないが、基油構造物の濃度を低くすると個々の添加剤が薄膜摩擦に対して示す効果が変わると考えている。1つの面では、特定の添加剤と開示する基油の組み合わせが相乗効果を示す可能性がある。
【0017】
そのような基油を本潤滑用組成物に存在させる量は如何なる所望もしくは有効量であってもよい。そのような基油を例えば主要量で存在させてもよい。「主要量」は、当該組成物の総重量を基準にして50重量%に等しいか或はそれ以上を意味すると理解する。さらなる例として、そのような基油を本組成物の総重量を基準にして80重量%に等しいか或はそれ以上の量、追加的例として90重量%に等しいか或はそれ以上の量で存在させてもよい。
【0018】
この開示する潤滑用組成物に燐含有化合物を含有させてもよい。1つの面における燐含有化合物は金属を含有する燐含有化合物である。そのような金属を含有する燐含有化合物は例えば金属のジヒドロカルビルジチオカルバミン酸塩であってもよい。
【0019】
その金属のジヒドロカルビルジチオ燐酸塩の金属はアルカリもしくはアルカリ土類金属、またはアルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、ニッケルまたは銅であってもよい。例えば亜鉛塩を用いてもよい。
【0020】
そのような金属のジヒドロカルビルジチオ燐酸塩の調製は、公知技術に従い、最初にジヒドロカルビルジチオ燐酸(DDPA)を通常は1種以上のアルコールもしくはフェノールとPを反応させることで生じさせた後に生じたDDPAを亜鉛化合物で中和することで実施可能である。例えば、第一アルコールと第二アルコールの混合物を反応させることなどでジチオ燐酸を生じさせることができる。別法として、全体の性質が第二であるヒドロカルビル基と全体の性質が第一であるヒドロカルビル基の両方を含有するマルチプル(multiple)ジチオ燐酸を調製することも可能である。前記亜鉛塩の製造では
如何なる塩基性もしくは中性亜鉛化合物も使用可能であるが、最も一般的には、酸化物、水酸化物および炭酸塩を用いる。
【0021】
亜鉛のジヒドロカルビルジチオ燐酸塩はジヒドロカルビルジチオ燐酸の油溶性塩であり、これは下記の式:[(RO)(RO)P(S)] [式中、RおよびRは、同一または異なってもよく、炭素原子数が約1から約18、例えば約2から約12のヒドロカルビル基(アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリールおよび脂環式基の如き基を包含)であってもよい]で表され得る。1つの面におけるR およびR基は、炭素原子数が約2から約8のアルキル基であってもよい。従って、この基は例えばエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニルおよびブテニルなどであってもよい。油溶性を得る目的で、炭素原子の総数(即ち、ジチオ燐酸塩におけるRおよびR)は一般に5以上であってもよい。従って、亜鉛のジヒドロカルビルジチオ燐酸塩には亜鉛のジアルキルジチオ燐酸塩が含まれ得る。
【0022】
その上、そのような燐含有化合物には、燐酸エステルの油溶性アミン塩、例えば米国特許第5,354,484号および5,763,372号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に教示されているそれら、およびジシクロペンタジエンとチオ燐酸の反応生成物などが含まれ得る。
【0023】
そのような燐酸エステルのアミン塩の調製は、燐酸エステルとアンモニアもしくは塩基性窒素化合物、例えばアミンなどを反応させることで実施可能である。その塩を個別に生じさせてもよく、そして次に、その燐酸エステルの塩を本潤滑用組成物に添加してもよい。
【0024】
本発明のアミン塩の調製で用いるに有用な燐酸エステルは式
【0025】
【化1】


【0026】
[式中、Rは水素またはヒドロカルビル基であってもよく、Rはヒドロカルビル基であってもよく、そしてX基は両方ともOまたはSのいずれであってもよい]
で特徴付け可能である。
【0027】
(I)を含有する組成物を生じさせる典型的な方法は、式ROH[式中、Rはヒドロカルビル基であってもよい]で表される少なくとも1種のヒドロキシ化合物と式P[式中、XはOまたはSであってもよい]で表される燐化合物を反応させることを含んで成る。この様式で得る燐含有化合物は燐化合物の混合物であり得、一般に、燐反応体(即ちPまたはP)の選択に応じてモノ−およびジヒドロカルビル置換燐酸および/またはチオ燐酸の混合物である。
【0028】
本開示の燐酸エステルの調製で用いるヒドロキシ化合物は、式ROH[式中、Rはヒドロカルビル基であってもよい]で特徴付け可能である。前記燐化合物と反応させるヒドロキシ化合物には、式ROH[式中、ヒドロカルビル基Rが含有する炭素原子の数は約1から約30であってもよい]で表されるヒドロキシ化合物の混合物が含まれ得る。しかしな
がら、最終的に生じさせる置換燐酸エステルのアミン塩は本開示の潤滑用組成物に可溶である必要がある。前記R基が含有する炭素原子の数は一般に少なくとも約2、炭素原子の数は典型的に約3から約30である。
【0029】
前記R基は脂肪もしくは芳香基、例えばアルキル、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式炭化水素基などであってもよい。式ROHで表される有用なヒドロキシ化合物の非限定例には、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、アミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、メチルシクロヘキサノールおよびアルキル置換ナフトールなどが含まれる。
【0030】
1つの面におけるアルコール、即ちROHは脂肪族アルコール、例えば炭素原子を少なくとも約4個含有する第一級脂肪族アルコールなどであってもよい。従って、本開示で用いるに有用であり得る典型的な一価アルコールROHの例には、アミルアルコール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、フィトール、ミリシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールが含まれる。本明細書では市販アルコール(混合物を包含)を意図し、そのような市販アルコールは、本明細書に指定しないが本開示の主目的を損なわせないアルコールを少量含有している可能性がある。
【0031】
反応に含めるヒドロキシ化合物ROHと燐反応体Pのモル比を約1:1から約4:1の範囲内にすべきであり、典型的な比率は3:1である。この反応は単に前記2種類の反応体を高温、例えば約50℃以上から反応体または所望生成物のいずれかが示す組成物温度に至る温度で混合することで実施可能である。1つの面では温度を約50℃から約150℃の範囲にしてもよく、最も頻繁には約100℃未満にしてもよい。この反応は温度の制御および反応体の混合を容易にする溶媒の存在下で実施可能である。そのような溶媒は、一方もしくは両方の反応体が可溶であるか或は生成物が可溶である不活性な流動性物質のいずれであってもよい。そのような溶媒には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ナフサ、ジエチルエーテルカルビトール、ジブチルエーテルジオキサン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、四塩化炭素およびクロロホルムが含まれる。
【0032】
前記反応の生成物は酸性であるが、それの化学的構成を正確には確認していない。しかしながら、その生成物は主に燐酸(またはチオ−もしくはジチオ燐酸)のモノ−およびジ−エステル(このエステル基は当該アルコールROHに由来する)を含有する酸性ホスフェートの混合物であることを示す証拠が存在する。
【0033】
本開示のアミン塩の調製は、上述した燐酸エステル、例えば式Iで表される燐酸エステルなどと少なくとも1種のアミノ化合物(これは第一級または第二級であってもよい)の反応で実施可能である。1つの面において、前記アミン塩を生じさせる目的で前記置換燐酸と反応させるアミンは、一般式
R’NH
[式中、R’は炭素原子数が約150以下のヒドロカルビル基であってもよく、より頻繁には、炭素原子数が約4から約30の脂肪族ヒドロカルビル基である]
で表される第一級ヒドロカルビルアミンである。
【0034】
1つの面において、本開示のアミン塩を生じさせる時に用いるに有用なヒドロカルビル
アミンは、ヒドロカルビル基が炭素原子を約4から約30個、例えばヒドロカルビル基が炭素原子を約8から約20個含有する第一級ヒドロカルビルアミンであってもよい。そのようなヒドロカルビル基は飽和もしくは不飽和であってもよい。第一級飽和アミンの代表的例は、脂肪族の第一級脂肪アミンとして知られる例である。典型的な脂肪アミンにはアルキルアミン、例えばn−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン(ステアリルアミン)などが含まれる。そのような第一級アミンは蒸留品質および工業品質の両方で入手可能である。蒸留品質の方が純度が高い反応生成物をもたらしはするが、工業品質のアミンと反応させることでも望ましいアミドおよびイミドが生じるであろう。また、混合脂肪アミンも適切である。
【0035】
1つの面において、前記燐含有化合物のアミン塩は、アルキル基が炭素原子を少なくとも4個有する第三脂肪族第一級アミンに由来する化合物であってもよい。それらは大部分がアルキル基全体が含有する炭素原子の数が約30未満のアルキルアミンに由来し得る。
【0036】
第三脂肪族の第一級アミンは、通常、
式R(CHCNH
[式中、Rは炭素原子数が1から約30のヒドロカルビル基であってもよい]
で表されるモノアミンである。そのようなアミンの例はt−ブチルアミン、t−ヘキシル第一級アミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、t−オクチル第一級アミン、t−デシル第一級アミン、t−ドデシル第一級アミン、t−テトラデシル第一級アミン、t−ヘキサデシル第一級アミン、t−オクタデシル第一級アミン、t−テトラコサニル第一級アミン、t−オクタコサニル第一級アミンであり得る。
【0037】
また、本開示の目的でアミンの混合物も有用である。この種類のアミン混合物の例は、C11−C14第三アルキル第一級アミンの混合物およびC18−C22第三アルキル第一級アミンの同様な混合物である。第三アルキル第一級アミンおよびそれらの製造方法は本分野の通常の技術者に良く知られており、従って、さらなる考察は必要ないであろう。本開示の目的で用いるに有用な第三アルキル第一級アミンおよびそれらの製造方法が米国特許第2,945,749号(これに関する教示に関して引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0038】
また、炭化水素鎖がオレフィン系不飽和を含有する第一級アミンも極めて有用である。従って、R’およびR”基は、鎖の長さに応じて、オレフィン系不飽和を1個以上含有していてもよいが、二重結合の数は一般に炭素原子10個当たり1以下であり得る。代表的なアミンはドデセニルアミン、ミリストレイルアミン、パルミトレイルアミン、オレイルアミンおよびリノレイルアミンである。
【0039】
第二級アミンには、この上に示したアルキル基を2個有するジアルキルアミンが含まれ、それには、そのような市販の脂肪第二級アミン、およびまた混合ジアルキルアミン[この場合、R’は脂肪アミンであり、そしてR”は低級アルキル基(炭素原子数が1−9)、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチルなどであってもよいか、或はR”は、基が持つ本質的な炭化水素特徴を壊さないような他の非反応性もしくは極性置換基(CN、アルキル、カルバルコキシ、アミド、エーテル、チオエーテル、ハロ、スルホキサイド、スルホン)を持つアルキル基であってもよい]も含まれる。そのような脂肪ポリアミンジアミンには、対称的もしくは非対称的モノ−もしくはジアルキルエチレンジアミン、プロパンジアミン(1,2もしくは1,3)および前記のポリアミン類似物が含まれる。適切なポリアミンにはN−ココ(coco)−1,3−ジアミノプロパン、N−大豆(soya)アルキルトリメチレンジアミン、N−獣脂(tallow)−1,3−ジアミノプロパンまたはN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンが含まれる。
【0040】
油溶性アミン塩の調製は、上述した燐酸エステルと上述したアミンを室温以上の温度で混合することで実施可能である。混合を室温で行う時間は一般に約1時間以内で充分である。本開示の塩を生じさせる目的で前記燐酸エステルと反応させるアミンの量は、燐酸1当量当たり少なくとも約1当量重量のアミン(窒素が基準)であり、そして当量比を一般に約1にする。
【0041】
そのようなアミン塩を生じさせるに適した方法は良く知られていて、文献に報告されている。例えば米国特許第2,063,629; 2,224,695; 2,447,288; 2,616,905; 3,984,448; 4,431,552; 5,354,484号、Pesin et al, Zhurnal Obshchei Khimii,31巻、No. 8,2508−2515頁 (1961)およびPCT国際出願公開番号WO 87/07638(これら全部の開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0042】
別法として、酸性の燐酸エステルを上述したアミンと混合する時には、そのような塩を、ギアオイル濃縮液または調合ギアオイル自身を生じさせる時にインシトゥで生じさせることも可能である。
【0043】
本明細書に示す潤滑用組成物で用いるに適した別の燐含有化合物には、ジシクロペンタジエンとチオ燐酸の反応生成物(本明細書ではまたジシクロペンタジエンジチオエートとも呼ぶ)が含まれる。チオ燐酸は式:
【0044】
【化2】


【0045】
[式中、Rは炭素原子数が約2から約30、例えば約3から約18のヒドロカルビル基であってもよい]
で表される。1つの面において、Rには、炭素原子数が約3から約18のヒドロカルビル基の混合物が含まれる。
【0046】
1つの面において、そのような燐含有化合物は、ネオペンチルグリコールホスファイト、硫黄含有ネオペンチルグリコールホスファイトおよび硫黄含有ネオペンチルグリコールホスファイトの塩の中の少なくとも1種である。
【0047】
そのようなジシクロペンタジエンジチオエートの調製はジシクロペンタジエンとジチオ燐酸をこのチオ酸とジシクロペンタジエンが反応するに充分な温度で充分な時間混合することで実施可能である。典型的な反応時間は30分から6時間の範囲であり得るが、本分野の技術者は適切な反応条件を容易に決定することができるであろう。その反応生成物に通常の反応後処理を受けさせてもよく、そのような反応後処理には真空ストリッピングおよび濾過が含まれる。
【0048】
この開示する潤滑用組成物に更に摩擦改良用化合物を含有させることも可能である。この開示する潤滑用組成物で用いるに適した摩擦改良剤は、そのような機能を潤滑油組成物に与えるに有用な数多くの適切な化合物および材料の中から選択可能である。そのような摩擦改良剤は単一種の化合物またはいろいろな種類の化合物の混合物として使用可能である。摩擦改良剤の非限定例には、窒素含有化合物、灰分含有化合物および窒素を含有しな
い化合物が含まれる。1つの面において、この開示する潤滑用組成物に窒素を含有しない化合物およびモリブデン含有化合物を含有させてもよい。
【0049】
窒素含有化合物は塩基性窒素を含有する如何なる化合物であってもよい。1つの面における窒素含有化合物は長鎖アルキレンアミンであり得る。摩擦改良用長鎖アルキレンアミン化合物には、例えばN−脂肪ヒドロカルビル置換トリメチレンジアミン(これのN−脂肪ヒドロカルビル置換基はアセチレン不飽和を持たない炭素原子数が約14から約20の範囲内の少なくとも1種の直鎖脂肪ヒドロカルビル基である)などが含まれる。そのような摩擦改良剤化合物の非限定例はN−オレイル−トリメチレンジアミンである。他の適切な化合物にはN−獣脂−トリメチレンジアミンおよびN−ココ−トリメチレンジアミンが含まれる。
【0050】
あるグループの摩擦改良剤には、N−脂肪ヒドロカルビル置換ジエタノールアミン(これのN−脂肪ヒドロカルビル置換基はアセチレン不飽和を持たない炭素原子数が約14から約20の範囲内の少なくとも1種の直鎖脂肪ヒドロカルビル基である)が含まれる。
【0051】
用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」を本明細書で用いる場合、これを本分野の技術者に良く知られている通常の意味で用いる。具体的には、それは炭素原子が分子の残りと直接結合していて主に炭化水素性質を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には下記が含まれる:
(1)炭化水素置換基、即ち脂肪(例えばアルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基および芳香置換、脂肪置換および脂環置換芳香置換基ばかりでなく環が分子の別の部分を通して完成している環式置換基(例えば2個の置換基が一緒に脂環式基を形成している);
(2)置換炭化水素置換基、即ち炭化水素以外の基[これは、本発明に関連して、炭化水素が支配的な置換基を変えない基、例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソおよびスルホキシである]を含有する置換基;
(3)ヘテロ置換基、即ち主に炭化水素特性を有するが、本発明に関連して、炭素原子で構成されている環または鎖内に炭素以外の原子(ヘテロ原子には硫黄、酸素、窒素が含まれる)を含有する置換基[これにはピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルの如き置換基が含まれる]。ヒドロカルビル基中の炭素原子10個当たりに存在する非炭化水素置換基の数は一般に2個以下、例えば1個以下であり、典型的には、ヒドロカルビル基に存在する非炭化水素置換基の数はゼロである。
【0052】
この上で考察したように、そのような摩擦改良剤にはいろいろな化合物の混合物、例えば少なくとも1種のN−脂肪ヒドロカルビル置換ジエタノールアミンと少なくとも1種のN−脂肪ヒドロカルビル置換トリメチレンジアミン(これのN−脂肪ヒドロカルビル置換基はアセチレン不飽和を持たない炭素原子数が約14から約20の範囲内の少なくとも1種の直鎖脂肪ヒドロカルビル基である)の組み合わせなども含まれ得る。そのような摩擦改良剤の組み合わせに関するさらなる詳細が米国特許第5,372,735号および5,441,656号(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている。
【0053】
前記摩擦改良剤は灰分含有化合物であってもよい。1つの面における灰分含有化合物はモリブデン含有化合物であってもよい。本明細書に開示する潤滑用組成物で用いるに適したモリブデン含有化合物は硫黄および/または燐を含有していなくてもよい。硫黄も燐も含有しないモリブデン含有化合物の調製は、硫黄も燐も含有しないモリブデン源とアミノおよび/またはアルコール基を含有する有機化合物を反応させることで実施可能である。硫黄も燐も含有しないモリブデン源の例には、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニ
ウム、モリブデン酸ナトリウムおよびモリブデン酸カリウムが含まれる。そのアミノ基はモノアミン、ジアミンまたはポリアミンであってもよい。アルコール基は一置換アルコール、ジオールもしくはビス−アルコールまたはポリアルコールであってもよい。例として、ジアミンと脂肪油を反応させるとアミノ基とアルコール基の両方を含有する生成物がもたらされ、それを硫黄も燐も含有しないモリブデン源と反応させてもよい。
【0054】
特許および特許出願(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)にみられる硫黄も燐も含有しないモリブデン含有化合物の例には下記が含まれる:米国特許第4,259,195号および4,261,843号に定義されている如きモリブデン源と特定の塩基性窒素化合物を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,164,473号に定義されている如きモリブデン源とヒドロカルビル置換ヒドロキシアルキル置換アミンを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,266,945号に定義されている如きモリブデン源とモノアルキル置換アルキレンジアミンとフェノールアルデヒド縮合生成物を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,889,647号に定義されている如きモリブデン源とジエタノールアミンと脂肪油を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第5,137,647号に定義されている如きモリブデン源と2−(2−アミノエチル)アミノエタノールと脂肪油もしくは酸を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,692,256号に定義されている如きモリブデン源と第二級アミンを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第5,412,130号に定義されている如きモリブデン源とジオール、ジアミノもしくはアミノ−アルコール化合物を反応させることで生じさせた化合物、ヨーロッパ特許出願EP 1 136 496 A1に定義されている如きモリブデン源と脂肪油とモノアルキル置換アルキレンジアミンを反応させることで生じさせた化合物、ヨーロッパ特許出願EP 1 136 497 A1に定義されている如きモリブデン源と脂肪酸とモノアルキル置換アルキレンジアミンとグリセリドを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,889,647号に定義されている如きモリブデン源と脂肪油とジエタノールアミンを反応させることで生じさせた化合物。
【0055】
1つの面では、また、硫黄を含有するモリブデン含有化合物を本明細書に開示する潤滑用組成物で用いることも可能である。そのような硫黄を含有するモリブデン含有化合物の調製はいろいろな方法を用いて実施可能である。1つの方法は、硫黄および/または燐を含有しないモリブデン源とアミノ基と1種以上の硫黄源を反応させることを伴う。硫黄源には、例えばこれらに限定するものでないが、二硫化炭素、硫化水素、硫化ナトリウムおよび元素状硫黄が含まれる。別法として、そのような硫黄を含有するモリブデン含有化合物の調製を硫黄含有モリブデン源とアミノ基もしくはチウラム基と場合により2番目の硫黄源を反応させることで実施することも可能である。一例として、三酸化モリブデンと第二級アミンと二硫化炭素を反応させることでジチオカルバミン酸モリブデンを生じさせる。別法として、(NHMo13n(HO)[ここで、nは約0から2の範囲である]と二硫化テトラアルキルチウラムを反応させることで三核の硫黄含有ジチオカルバミン酸モリブデンを生じさせる。
【0056】
特許および特許出願に見られる硫黄を含有するモリブデン含有化合物の非限定例には下記が含まれる:米国特許第3,509,051号および3,356,702号に定義されている如き三酸化モリブデンと第二級アミンと二硫化炭素を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,098,705号に定義されている如き硫黄を含有しないモリブデン源と第二級アミンと二硫化炭素と追加的硫黄源を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,178,258号に定義されている如きハロゲン化モリブデンと第二級アミンと二硫化炭素を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,263,152, 4,265,773, 4,272,387, 4,285,822, 4,369,119, 4,395,343号に定義されている如きモリブデン源と塩基性窒素化合物と硫黄源を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,283,295号に定義されている如きテトラチオモリブデン酸アンモニウムと塩基性窒素化合物を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,362,633号に定義されている如きオレフィンと硫黄とアミンとモリブデン源を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,402,840号に定義されている如きテトラチオモリブデン酸アンモニウムと塩基性窒素化合物と有機硫黄源を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,466,901号に定義されている如きフェノール系化合物とアミンとモリブデン源と硫黄源を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,765,918号に定義されている如きトリグリセリドと塩基性窒素化合物とモリブデン源と硫黄源を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,966,719号に定義されている如きアルカリ金属のアルキルチオキサンテート塩とハロゲン化モリブデンを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,978,464号に定義されている如き二硫化テトラアルキルチウラムとモリブデンヘキサカルボニルを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,990,271号に定義されている如きアルキルジキサントゲンとモリブデンヘキサカルボニルを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,995,996号に定義されている如きアルカリ金属のアルキルキサンテート塩と四酢酸ジモリブデンを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第6,232,276号に定義されている如き(NHMo13Oとアルカリ金属のジアルキルジチオカルバミン酸塩もしくは二硫化テトラアルキルチウラムを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第6,103,674号に定義されている如きエステルもしくは酸とジアミンとモリブデン源と二硫化炭素を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第6,117,826号に定義されている如きアルカリ金属のジアルキルジチオカルバミン酸塩を3−クロロプロピオン酸に続いて三酸化モリブデンと反応させることで生じさせた化合物。
【0057】
モリブデン含有化合物の非限定例には、モリブデンのカルボン酸塩、モリブデンのアミド、モリブデンのチオ燐酸塩、モリブデンのチオカルバミン酸塩、モリブデンのジチオカルバミン酸塩などが含まれる。
【0058】
灰分含有化合物の追加的例には、これらに限定するものでないが、チタン含有化合物およびタングステン含有化合物が含まれる。
【0059】
別の適切なグループの摩擦改良剤には、窒素を含有しない化合物、ポリオールエステル、例えばグリセロールモノオレエート(GMO)、グリセロールモノラウレート(GML)などが含まれる。
【0060】
そのような摩擦改良用化合物を本潤滑用組成物に存在させる量は如何なる所望または有効量であってもよい。1つの面では、本潤滑用組成物に含有させる量を本潤滑用組成物の総重量を基準にして約0.05から約3重量%、例えば約0.2から約1.5重量%、さらなる例として約0.3から約1重量%にしてもよい。しかしながら、本分野の通常の技術者は如何なる量も使用可能であることを理解するであろう。
【0061】
この開示する潤滑用組成物で用いるに適した分散剤は、本分野の技術者に公知の無灰分散剤のいずれからも選択可能である。適切な無灰分散剤には、スクシニミド系分散剤、マンニッヒ塩基系分散剤および高分子量ポリアミン系分散剤の如き無灰分散剤が含まれ得る。ヒドロカルビル置換こはく酸系アシル化剤を用いてヒドロカルビル置換スクシニミドを生じさせることができる。そのようなヒドロカルビル置換こはく酸系アシル化剤には、これらに限定するものでないが、ヒドロカルビル置換こはく酸、無水ヒドロカルビル置換こはく酸、ヒドロカルビル置換こはく酸ハライド(例えば酸フルオライドおよび酸クロライド)、およびヒドロカルビル置換こはく酸と低級アルコール(例えば炭素原子数が7以下)のエステル、即ちカルボン酸系アシル化剤として機能し得るヒドロカルビル置換化合物が含まれる。
【0062】
ヒドロカルビル置換アシル化剤の製造は、適切な分子量のポリオレフィンまたは塩素化ポリオレフィンと無水マレイン酸を反応させることで実施可能である。そのようなアシル化剤を製造する時に同様なカルボン酸系反応体を用いることも可能である。そのような反応体には、これらに限定するものでないが、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、無水エチルマレイン酸、無水ジメチルマレイン酸、エチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、ヘキシルマレイン酸など(相当する酸ハライドおよび低級脂肪エステルを包含)が含まれ得る。
【0063】
そのようなオレフィンの分子量を無水置換こはく酸の意図した使用に応じて変えることができる。典型的には、そのような無水置換こはく酸に持たせるヒドロカルビル基の炭素原子数を約8−500にしてもよい。しかしながら、潤滑油用分散剤の製造で用いる無水置換こはく酸の場合には、これに持たせるヒドロカルビル基の炭素原子数を典型的には約40−500にしてもよい。高分子量の無水置換こはく酸を用いる場合には、数平均分子量(Mn)を言及する方が正確である、と言うのは、そのような無水置換こはく酸の製造で用いられるオレフィンには低分子量のオレフィン単量体、例えばエチレン、プロピレンおよびイソブチレンなどの重合の結果としてもたらされる分子量がいろいろな成分の混合物が含まれ得るからである。
【0064】
無水マレイン酸とオレフィンのモル比を幅広く変えることができる。それを例えば約5:1から約1:5、または例えば約1:1から約3:1などの如く変えることができる。数平均分子量が約500から約7000、またはさらなる例として約800から約3000以上のポリイソブチレンおよびエチレン−アルファ−オレフィン共重合体などの如きオレフィンを用いる場合には、無水マレイン酸を化学量論的過剰量、例えばオレフィン1モル当たり1.1から3モルの無水マレイン酸の量で用いてもよい。その結果としてもたらされた反応混合物から未反応の無水マレイン酸を蒸発させてもよい。
【0065】
通常の還元条件、例えば接触水添などを用いて無水ポリアルケニルこはく酸を無水ポリアルキルこはく酸に変化させることができる。接触水添に適切な触媒は炭素に担持されているパラジウムである。同様に、同様な還元条件を用いてポリアルケニルスクシニミドをポリアルキルスクシニミドに変化させることも可能である。
【0066】
本明細書で用いる無水こはく酸上のポリアルキルもしくはポリアルケニル置換基は、一般に、ポリオレフィンに由来する置換基であってもよく、そのようなポリオレフィンは、モノオレフィン、特に1−モノ−オレフィン、例えばエチレン、プロピレンおよびブチレンなどの重合体または共重合体である。その用いるモノオレフィンの炭素原子数は約2から約24、またはさらなる例として、炭素原子数は約3から約12であり得る。他の適切なモノオレフィンには、プロピレン、ブチレン、特にイソブチレン、1−オクテンおよび1−デセンが含まれる。そのようなモノオレフィンから生じさせるポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、そして1−オクテンと1−デセンから生じさせたポリアルファオレフィンが含まれる。
【0067】
いくつかの面では、無灰分散剤に、イミド基を形成し得る第一級アミノ基を少なくとも1個有するアミンの1種以上のアルケニルスクシニミドを含めてもよい。通常の方法、例えばアルケニルこはく酸の無水物、酸、酸−エステル、酸ハライドまたは低級アルキルエステルを第一級アミノ基を少なくとも1個含有するアミンと一緒に加熱することなどで、アルケニルスクシニミドを生じさせることができる。無水アルケニルこはく酸の製造はポリオレフィンと無水マレイン酸の混合物を約180−220℃に加熱することで容易に実
施可能である。そのようなポリオレフィンは低級モノオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、イソブテンなどから生じさせた数平均分子量がゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して約300から約3000の範囲内の重合体または共重合体であってもよい。
【0068】
そのような無灰分散剤を生じさせる時に使用可能なアミンには、反応してイミド基を生じ得る第一級アミノ基を少なくとも1個および追加的第一級もしくは第二級アミノ基を少なくとも1個および/またはヒドロキシル基を少なくとも1個有する如何なるアミンも含まれる。僅かの代表例は下記である:N−メチル−プロパンジアミン、N−ドデシルプロパンジアミン、N−アミノプロピル−ピペラジン、エタノールアミン、N−エタノール−エチレンジアミンなど。
【0069】
適切なアミンには、アルキレンポリアミン、例えばプロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ジ−(1,2−ブチレン)トリアミンおよびテトラ−(1,2−プロピレン)ペンタアミンなどが含まれ得る。さらなる例には、式HN(CHCH−NH)H[式中、nは約1から約10の整数であってもよい]で描写可能なエチレンポリアミンが含まれる。それらにはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)などが含まれ、それには、それらの混合物(この場合のnは混合物の平均値である)も含まれる。そのようなエチレンポリアミンは、モノ−アルケニルスクシニミドおよびビス−アルケニルスクシニミドを生じ得るように、各末端部に第一級アミン基を有する。市販のエチレンポリアミン混合物は分枝種および環式種、例えばN−アミノエチルピペラジン、N,N’−ビス(アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(ピペラジニル)エタンおよび同様な化合物を少量含有している可能性がある。そのような市販混合物はジエチレントリアミンからテトラエチレンペンタアミンに相当する範囲に入るおおよその全体組成を有する可能性がある。無水ポリアルケニルこはく酸とポリアルキレンポリアミンのモル比を約1:1から約3.0:1にしてもよい。
【0070】
いくつかの面では、そのような分散剤にポリエチレンポリアミン、例えばトリエチレンテトラアミンまたはテトラエチレンペンタアミンなどと炭化水素置換カルボン酸もしくは無水物[適切な分子量を有するポリオレフィン、例えばポリイソブテンなどと不飽和ポリカルボン酸もしくは無水物、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸など(このような物質2種以上の混合物を包含)を反応させることで生じさせた]の反応生成物を含めることも可能である。
【0071】
また、本明細書に記述する分散剤を調製する時に用いるにも適したポリアミンには、N−アリールフェニレンジアミン、例えばN−フェニルフェニレンジアミン、例えばN−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−フェニレンジアミンおよびN−フェニル−1,2−フェニレンジアミンなど、アミノチアゾール類、例えばアミノチアゾール、アミノベンゾチアゾール、アミノベンゾチアジアゾールおよびアミノアルキルチアゾールなど、アミノカルバゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノ−インダゾリノン、アミノメルカプトトリアゾール、アミノペリミジン、アミノアルキルイミダゾール、例えば1−(2−アミノエチル)イミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾールなど、およびアミノアルキルモルホリン、例えば4−(3−アミノプロピル)モルホリンなどが含まれる。そのようなポリアミンは米国特許第4,863,623号および5,075,383号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)により詳細に記述されている。
【0072】
前記ヒドロカルビル置換スクシニミドを生じさせる時に用いるに有用な追加的ポリアミンには、第一級もしくは第二級アミノ基を分子中に少なくとも1個および第三級アミノ基
を少なくとも1個有するポリアミン、例えば米国特許第5,634,951号および5,725,612号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に教示されている如きそれらが含まれる。適切なポリアミンの非限定例には、N,N,N”,N”−テトラアルキルジアルキレントリアミン(末端の第三級アミノ基を2個と中心の第二級アミノ基を1個)、N,N,N’,N”−テトラアルキルトリアルキレンテトラアミン(末端の第三級アミノ基を1個と内部の第三級アミノ基を2個と末端の第一級アミノ基を1個)、N,N,N’,N”,N”’−ペンタアルキルトリアルキレンテトラアミン(末端の第三級アミノ基を1個と内部の第三級アミノ基を2個と末端の第二級アミノ基を1個)、トリス(ジアルキルアミノアルキル)アミノアルキルメタン(末端の第三級アミノ基を3個と末端の第一級アミノ基を1個)、および同様な化合物が含まれるが、ここで、前記アルキル基は同じまたは異なり、各々が含有する炭素原子の数は典型的に約12以下であり、各々が炭素原子を約1から約4個含有していてもよい。さらなる例として、そのようなアルキル基はメチルおよび/またはエチル基であってもよい。この種類のポリアミン反応体にはジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)およびN−メチルピペラジンが含まれ得る。
【0073】
本明細書で用いるに適したヒドロキシアミンには、前記ヒドロカルビル置換こはく酸もしくは無水物と反応し得る第一級もしくは第二級アミンを少なくとも1個含有する化合物、オリゴマーまたは重合体が含まれる。本明細書で用いるに適したヒドロキシアミンの例には、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、アミノプロピルジエタノールアミン(APDEA)、エタノールアミン、ジエタノールアミン(DEA)、ある程度プロポキシル化されたヘキサメチレンジアミン(例えばHMDA−2POまたはHMDA−3PO)、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび2−アミノ−1,3−プロパンジオールが含まれる。
【0074】
アミンとヒドロカルビル置換こはく酸もしくは無水物のモル比を約1:1から約3.0:1の範囲にしてもよい。アミンとヒドロカルビル置換こはく酸もしくは無水物のモル比の別の例は約1.5:1から約2.0:1の範囲であり得る。
【0075】
この上に示した分散剤はまた後処理を受けさせた分散剤であってもよく、これの製造は例えば前記分散剤に無水マレイン酸およびホウ酸による処理(例えば米国特許第5,789,353号に記述されている如き)を受けさせるか或は前記分散剤にノニルフェノール、ホルムアルデヒドおよびグリコール酸による処理(例えば米国特許第5,137,980号に記述されている如き)を受けさせることで実施可能であり、ここで、それらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0076】
マンニッヒ塩基型分散剤は、アルキルフェノール、典型的には環上に長鎖アルキル置換基を有するアルキルフェノールと炭素原子を約1から約7個含有する1種以上の脂肪族アルデヒド(例えばホルムアルデヒドおよびこれの誘導体)とポリアミン(特にポリアルキレンポリアミン)の反応生成物であり得る。例えば、約1モルの長鎖炭化水素置換フェノールと約1から約2.5モルのホルムアルデヒドと約0.5から約2モルのポリアルキレンポリアミンの比率でそれらを縮合させることでマンニッヒ塩基型無灰分散剤を生じさせることができる。
【0077】
マンニッヒ型ポリアミン分散剤を生じさせる時の炭化水素源は、実質的に飽和の石油溜分およびオレフィン重合体、例えば炭素原子数が2から約6のモノ−オレフィンの重合体などから生じさせた炭化水素源であってもよい。そのような炭化水素源が含有する炭素原子の数は、一般に、当該分散剤が実質的に油溶性を示すように、例えば少なくとも約40、さらなる例として、炭素原子の数は少なくとも50である。GPC数平均分子量が約600から5,000の範囲のオレフィン重合体も適し得る。しかしながら、また、より高い分子量を有する重合体を用いることも可能である。適切な炭化水素源はイソブチレン重合体およびイソブテンとラフィネート流れの混合物から作られた重合体であり得る。
【0078】
適切なマンニッヒ塩基型分散剤は、約1モルの長鎖炭化水素置換フェノールと約1から約2.5モルのホルムアルデヒドと約0.5から約2モルのポリアルキレンポリアミンの比率でそれらを縮合させることで生じさせたマンニッヒ塩基型無灰分散剤であり得る。
【0079】
無灰分散剤として用いるに適した高分子量ポリアミン系分散剤は、塩基性アミン基と油溶性基(例えば炭素原子数が少なくとも約8のペンダント型アルキル基)を含有する重合体である。そのような材料の例は、いろいろな単量体、例えばメタアクリル酸デシル、ビニルデシルエーテルまたは比較的高分子量のオレフィンとアクリル酸アミノアルキルとアミノアルキルアクリルアミドから生じさせたインターポリマーである。高分子量ポリアミン系分散剤の例が米国特許第3,329,658; 3,449,250; 3,493,520; 3,519,565; 3,666,730; 3,687,849および3,702,300号に示されている。高分子量ポリアミンには、ヒドロカルビル基がイソブテンとこの上に記述した如きラフィネートI流れの重合生成物で構成されているヒドロカルビルポリアミンが含まれ得る。また、PIB−アミンおよびPIB−ポリアミンを用いることも可能である。
【0080】
この上に記述した如き無灰分散剤の製造方法は本分野の技術者に公知であり、特許文献に報告されている。この上に示した種類のいろいろな無灰分散剤の合成は、例えば米国特許第2,459,112; 2,962,442, 2,984,550; 3,036,003; 3,163,603; 3,166,516; 3,172,892; 3,184,474; 3,202,678; 3,215,707; 3,216,936; 3,219,666; 3,236,770; 3,254,025; 3,271,310; 3,272,746; 3,275,554; 3,281,357; 3,306,908; 3,311,558; 3,316,177; 3,331,776; 3,340,281; 3,341,542; 3,346,493; 3,351,552; 3,355,270; 3,368,972; 3,381,022;
3,399,141; 3,413,347; 3,415,750; 3,433,744; 3,438,757; 3,442,808; 3,444,170; 3,448,047; 3,448,048; 3,448,049; 3,451,933; 3,454,497; 3,454,555; 3,454,607; 3,459,661; 3,461,172; 3,467,668; 3,493,520; 3,501,405; 3,522,179; 3,539,633; 3,541,012; 3,542,680; 3,543,678; 3,558,743; 3,565,804; 3,567,637; 3,574,101; 3,576,743; 3,586,629; 3,591,598; 3,600,372; 3,630,904; 3,632,510; 3,632,511; 3,634,515; 3,649,229; 3,697,428; 3,697,574; 3,703,536;
3,704,308; 3,725,277; 3,725,441; 3,725,480; 3,726,882; 3,736,357; 3,751,365; 3,756,953; 3,793,202; 3,798,165; 3,798,247; 3,803,039; 3,804,763; 3,836,471; 3,862,981; 3,872,019; 3,904,595; 3,936,480; 3,948,800; 3,950,341; 3,957,746; 3,957,854; 3,957,855; 3,980,569; 3,985,802; 3,991,098; 4,006,089; 4,011,380; 4,025,451; 4,058,468; 4,071,548; 4,083,699; 4,090,854; 4,173,540; 4,234,435; 4,354,950; 4,485,023; 5,137,980号およびRe 26,433の如き特許(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0081】
適切な無灰分散剤の一例はホウ素化分散剤である。塩基性窒素を有しそして/またはヒドロキシル基を分子中に少なくとも1個有する無灰分散剤、例えばスクシニミド系分散剤、スクシナミド系分散剤、こはく酸エステル系分散剤、こはく酸エステル−アミド系分散剤、マンニッヒ塩基型分散剤またはヒドロカルビルアミンもしくはポリアミン系分散剤などにホウ素化(「ホウ化」)を受けさせることでホウ素化分散剤を生じさせることができる。この上に記述したいろいろな種類の無灰分散剤にホウ素化を受けさせる目的で使用可能な方法は米国特許第3,087,936; 3,254,025; 3,281,428; 3,282,955; 2,284,409; 2,284,410; 3,338,832; 3,344,069; 3,533,945; 3,658,836; 3,703,536; 3,718,663; 4,455,243および4,652,387号(これらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0082】
そのようなホウ素化分散剤には、ホウ素化分散剤がホウ素を約2重量%以下、例えばホウ素を約0.8重量%以下、さらなる例として、ホウ素を約0.1から約0.7重量%、さらなる例として、ホウ素を約0.25から約0.7重量%、さらなる例として、ホウ素を約0.35から約0.7重量%含有するようにホウ素による処理を受けさせておいた高分子量の分散剤が含まれ得る。そのような分散剤は取り扱いが容易なように適切な粘度を有する油に溶解し得る。ここに示した重量パーセントは希釈用油を全く添加していない混ぜ物無しの分散剤の重量パーセントであると理解されるべきである。
【0083】
分散剤を更に有機酸、無水物および/またはアルデヒド/フェノール混合物と反応させることも可能である。そのような方法を用いると例えば弾性重合体製シールとの適合性が向上し得る。ホウ素化分散剤には更にホウ素化分散剤の混合物も含まれ得る。さらなる例として、ホウ素化分散剤には窒素含有分散剤も含まれ得、そして/または燐を含有していなくてもよい。
【0084】
分散剤を本潤滑用組成物に本潤滑用組成物の約0.1重量%から約10重量%、例えば約1重量%から約7重量%、さらなる例として、約2重量%から約5重量%の量で存在させてもよい。
【0085】
1つの面において、この開示する潤滑油組成物で用いるに適した分散剤はエチレン−プロピレン系分散剤であり得る。特に、そのような分散剤は、無水マレイン酸をグラフト化させそしてn−フェニルフェニレンジアミンと反応させたエチレン−プロピレン共重合体であり得る。
【0086】
本明細書では、また、米国特許第5,075,383および6,117,825号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている如き無水低分子量エチレン−アルファ−オレフィンこはく酸系分散剤も使用に適する。また、米国特許第5,266,223; 5,350,532および5,435,926号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている如きエチレンアルファ−オレフィン重合体も本開示で用いるに適する。また、米国特許第4,952,637, 5,356,999, 5,374,364および5,424,366号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている如きエチレン−プロピレンジエン共重合体も適する。
【0087】
また、無水架橋低分子量エチレン−プロピレンこはく酸系分散剤も本発明で用いるに適
する。そのような架橋分散剤は、この上で考察した無水低分子量エチレンアルファ−オレフィンこはく酸系分散剤と同様であるが、米国特許第6,107,258号(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている如く、有利な架橋を達成するように多官能ポリアミンを追加的に含有する。
【0088】
適切な分散剤は、分子量が約300から約25,000、例えば約1000から約15,000、よりさらなる例として約5,000から約15,000のエチレン−アルファ−オレフィン重合体から生じさせた分散剤であろう。
【0089】
追加的面における分散剤は、米国特許第5,139,688および6,107,257号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に詳細に記述されている如き高度グラフト化アミン誘導官能化エチレン−プロピレン共重合体であり得る。
【0090】
1つの面における分散剤は官能化オレフィン共重合体であり得る。そのような重合体もしくは共重合体基質の調製をエチレンおよびプロピレンを用いて実施してもよいか、或はそれの調製をエチレンとCからC23アルファ−オレフィンの範囲内の少なくとも1種の高級オレフィンを用いて実施することも可能である。
【0091】
本明細書で用いるに適した重合体の非限定例には、エチレンと少なくとも1種のCからC23アルファ−オレフィンから生じさせた共重合体が含まれる。1つの面では、エチレンとプロピレンの共重合体を用いることができる。コポリマーを生じさせる目的でプロピレンの代わりに用いるか或はターポリマーを生じさせる目的でエチレンおよびプロピレンと組み合わせて用いるに適した他のアルファ−オレフィンには、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよびスチレン、α,ω−ジオレフィン、例えば1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエンなど、分枝鎖アルファ−オレフィン、例えば4−メチルブテン−1,5−メチルペンテン−1および6−メチルヘプテン−1などおよびこれらの混合物が含まれる。
【0092】
3番目の成分を用いることで、より複雑な重合体基質(しばしばインターポリマーと表示する)を生じさせることも可能である。インターポリマー基質を生じさせる時に一般的に用いる3番目の成分は、非共役ジエンおよびトリエンから選択したポリエン単量体であり得る。非共役ジエン成分は、炭素原子を鎖中に5から14個有するジエンであってもよい。例えば、そのようなジエン単量体は、その構造にビニル基が存在することで特徴付け可能であり、それには環式およびビシクロ化合物も含まれ得る。代表的なジエンには、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−ヘプタジエンおよび1,6−オクタジエンが含まれる。そのようなインターポリマーを生じさせる時に2種以上のジエンの混合物を用いることも可能である。1つの態様において、ターポリマーもしくはインターポリマー基質を生じさせるに適した非共役ジエンは1,4−ヘキサジエンであり得る。
【0093】
前記トリエン成分は、共役していない二重結合を鎖中に少なくとも2個持ち得、炭素原子数は約30以下であり得る。本発明のインターポリマーを生じさせる時に用いるに有用な典型的なトリエンは、1−イソプロピリデン−3α,4,7,7α−テトラヒドロインデン、1−イソプロピリデンジシクロペンタジエン、ジヒドロ−イソジシクロペンタジエンおよび2−(2−メチレン−4−メチル−3−ペンテニル)(2.2.1)ビシクロ−5−ヘプテンであり得る。
【0094】
エチレン−プロピレンもしくは高級アルファ−オレフィンの共重合体は、エチレンを約15から80モルパーセントおよびCからC23アルファ−オレフィンを約85から2
0モルパーセント含んで成っていてもよく、例えば、エチレン対CからC23アルファ−オレフィンのモル比は約35から75モルパーセント対約65から25モルパーセントであり、例えば、エチレン対CからC23アルファ−オレフィンの比率は50から70モルパーセント対50から30モルパーセント、さらなる例として、エチレン対CからC23アルファ−オレフィンの比率は55から65モルパーセント対45から35モルパーセントである。
【0095】
この上に示した重合体のターポリマー変形は共役ジエンもしくはトルエンを約0.1から10モルパーセント含んで成り得る。
【0096】
エチレンのコポリマー、ターポリマーまたはインターポリマーを包含させる目的で用語「重合体」および「共重合体」を総称的に用いることができる。そのような材料は、エチレン共重合体の基本的特性が実質的に変化しない限り他のオレフィン単量体を少量含有していてもよい。本分野の通常の技術者はそのような官能化オレフィン共重合体を製造する方法を理解するであろう。例えば、米国特許第6,107,257号(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に官能化オレフィン共重合体の製造方法が開示されている。
【0097】
前記分散剤はまたポリ(メタ)アクリル酸アルキル共重合体であってもよく、これは(A)約12から約18重量パーセントのメタアクリル酸メチル、(B)約75から約85重量パーセントの(メタ)アクリル酸C10−C15アルキルおよび(C)約2から約5重量パーセントの分散用窒素含有単量体に由来する単位を含んで成り得る。そのようなポリ(メタ)アクリル酸アルキル共重合体は、(A)約12から約18重量パーセントのメタアクリル酸メチル、(B)約75から約85重量パーセントの(メタ)アクリル酸C−C15アルキルおよび(C)約2から約5重量パーセントの分散用窒素含有単量体の反応生成物を含んで成り得る。
【0098】
本明細書で用いる如き(メタ)アクリル酸C10−C15アルキルは、基1個当たりの炭素原子数が10から15の直鎖もしくは分枝アルキル基を有するアクリル酸もしくはメタアクリル酸アルキルエステルを意味し、それには、これらに限定するものでないが、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、メタアクリル酸ドデシルペンタデシルおよびこれらの混合物が含まれる。
【0099】
アルキル基中の炭素原子数が10以上の(メタ)アクリル酸アルキル単量体の調製は、一般に、工業品質の長鎖脂肪アルコールを用いた標準的エステル化手順を用いて実施可能であり、そのような市販のアルコールはアルキル基中の鎖長がいろいろなアルコールの混合物である。その結果として、本開示の目的で、(メタ)アクリル酸アルキルに挙げた個々の(メタ)アクリル酸アルキル製品を包含させるばかりでなくまた挙げた個々の(メタ)アクリル酸アルキルが主要量で存在する(メタ)アクリル酸アルキル混合物も包含させることを意図する。
【0100】
本明細書で用いるに適した分散用窒素含有単量体には、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドおよびN,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミドなど、および(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、例えばメタアクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルおよびチオメタアクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルなどが含まれる。
【0101】
1つの面では、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル共重合体を本質的に(A)と(B)と(C)の反応生成物で構成させる。しかしながら、本分野の技術者は、本明細書に開示する単量体(A)、(B)および/または(C)と一緒に重合し得る他の単量体もそれらが完全調合流体の低温特性に悪影響を与えない限り低濃度で存在させてもよいことを理解するであろう。存在させる追加的単量体の量を典型的には約5重量パーセント未満の量、例えば3重量パーセント未満の量、さらなる例として1重量パーセント未満の量にする。単量体、例えば(メタ)アクリル酸C−Cアルキル、ヒドロキシもしくはアルコキシを含有するアルキルの(メタ)アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニルなどを低濃度で添加することは本開示の範囲内であることを意図する。1つの面では、(A)と(B)と(C)の重量パーセントの合計が100%に相当するようにする。
【0102】
そのような共重合体の調製はいろいろな重合技術を用いて実施可能であり、そのような技術にはフリーラジカルおよびアニオン重合が含まれる。
【0103】
通常のフリーラジカル重合方法を用いてそのような共重合体を生じさせることができる。アクリル酸系および/またはメタアクリル酸系単量体の重合はいろいろな条件下で起こり得、そのような条件には、塊状重合、溶液重合(通常は有機溶媒、好適には鉱油中)、乳化重合、懸濁重合および非水性分散技術が含まれる。
【0104】
本潤滑油組成物に場合により他の成分を存在させることも可能である。他の成分の非限定例には、抗摩耗剤、洗浄剤、希釈剤、消泡剤、乳化破壊剤、抗発泡剤、腐食抑制剤、極圧剤、シールウエル剤(seal well agents)、抗酸化剤、流動点降下剤、防錆剤および摩擦改良剤が含まれる。
【0105】
本明細書に開示する潤滑用組成物はいずれかに潤滑油を差す目的で使用可能である。1つの面において、本潤滑用組成物はエンジンに潤滑油を差す目的で用いるエンジン用組成物であってもよい。しかしながら、本分野の通常の技術者は、この開示する潤滑用組成物をいずれかに潤滑油を差す目的、例えばいずれかの表面、例えば薄膜摩擦が存在し得る表面などに潤滑油を差す目的で使用可能であることを理解するであろう。その上、ある流体が表面間で示す薄膜摩擦を低下させる方法も開示し、この方法は、この開示する組成物を前記流体に供給することを含んで成る。
【0106】
更に、本潤滑用組成物は燃料経済性が問題になっている如何なる機械にも供給可能であると考えている。特に、運搬手段における燃料効率を向上させる方法を開示し、この方法は、この開示する組成物を運搬手段に供給することを含んで成る。
【0107】
本明細書では、また、この開示する潤滑用組成物を用いて機械、例えばエンジン、トランスミッション、自動車用ギア、ギアセットおよび/または車軸などを潤滑させる方法も開示する。さらなる面では、機械、例えばエンジン、トランスミッション、自動車用ギア、ギアセットおよび/または車軸などにおける燃料効率を向上させる方法を開示し、この方法は、この開示する潤滑油組成物を機械、例えばエンジン、トランスミッション、自動車用ギア、ギアセットおよび/または車軸などに置くことを含んで成る。
【0108】
[実施例]
【実施例1】
【0109】
−基油
グループIIの基油は飽和物を90%以上含有し、硫黄含有量は0.03%未満でありかつ約80から約120の粘度指数を示すことが本産業で知られている。しかしながら、
グループIIの基油の必ずしも全部が同じ薄膜摩擦特性を示すとは限らない。表1に示す基油にAnalytical Chemistry、64:2227(1992)(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている手順に従う分析を受けさせることで、当該油に入っているパラフィン、シクロパラフィンおよび芳香族の種類を測定した。
【0110】
いろいろな公知基油(グループIIの3種類の基油およびPAO)が示す薄膜摩擦係数を100℃/20Nの負荷で1.5m/秒におけるロールに対するスライドの比率が20%になるようにして測定した。
【0111】
【表1】


【0112】
表1に示すように、基油Aと基油Cは同様な動粘度を示しはするが、基油Aの方が高い薄膜摩擦係数を示す。その上、基油Bの方が基油Aよりも高い動粘度を示しはするが、低い薄膜摩擦係数を示す。PAOに関する結果は、テトラシクロパラフィンを全く含有しない油が示す薄膜摩擦は低いことを示している。
【0113】
その上、表1に示すように、テトラシクロパラフィン含有量が約3%未満の基油が示した薄膜摩擦はSAE 2003−01−1972およびSAE 961142を用いて測定した時に低かった。本分野の通常の技術者は、薄膜摩擦が低ければ低いほど燃料経済性が良好であることを理解するであろう。
【実施例2】
【0114】
−基油および燐含有化合物
SAE 2000−01−2030は、燐含有化合物は表面に膜を形成する結果として薄膜摩擦を高めることを示している。例えば、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛(ZDDP)は薄膜摩擦を高める可能性がある。ZDDPはエンジンオイルで用いられる最も一般的な燐含有化合物である。
【0115】
いろいろな燐含有化合物を基油A(テトラシクロパラフィン含有量が3.33%の基油)および基油C(テトラシクロパラフィン含有量が約3%未満の基油)の各々と一緒にし/混合/ブレンドした後、それらが示す薄膜摩擦係数を実施例1に記述した如く測定した。
【0116】
【表2】


【0117】
この結果は、テトラシクロパラフィン含有量が約3重量%未満の基油が示した薄膜摩擦係数が低いことを示している。その上、前記結果は、基油に存在させる燐含有化合物に応じて薄膜摩擦を更に大きく低下させることができることも示している。本分野の通常の技術者は、薄膜摩擦が低いと燃料経済性が改善され、このように、薄膜摩擦を下げる燐含有化合物の使用が有益であることを理解するであろう。
【実施例3】
【0118】
−基油における添加剤の組み合わせ
油に添加される添加剤、例えば分散剤、洗浄剤、抗摩耗剤および/または抗酸化剤などが完全に備わっていると薄膜摩擦が高くなると報告された。M.T.Devlin,T.HammockおよびT−C.Jao,“Effect of Mechanical Shear on the Thin Film Properties of Base Oil/Polymer Mixtures”,Lubrication Science14巻(2),2002(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。添加剤のいろいろな組み合わせを基油Aおよび基油Cの各々と一緒にし/混合/ブレンドすることを通して、それらが示す薄膜摩擦係数を測定した。そのような潤滑油組成物に入れたZDDPの燐含有量は約500ppmであり、そしてモリブデン含有摩擦改良剤化合物のモリブデン含有量は約480ppmであった。その上、グリセロールモノオレエートを添加剤パッケージに存在させる時には、それを0.60重量%添加した。同様に、分散剤を添加剤パッケージに存在させる時には、それを3.0重量%添加した。薄膜摩擦係数の測定を実施例1に記述した如く実施した。
【0119】
【表3】


【0120】
この結果は、前記添加剤組成物をテトラシクロパラフィン含有量が約3%未満の基油に存在させるとそれが示す薄膜摩擦係数が低くなることを示している。その上、前記結果は、分散剤と摩擦改良剤をZDDPと組み合わせるとZDDPが薄膜摩擦に対して示す悪影響が軽減されることも示している。前記結果は、また、ZDDPと官能化オレフィン共重合体である分散剤を含有して成る添加剤組成物が示した薄膜摩擦係数の方がスクシニミド分散剤を含有する匹敵する組成物のそれよりも低いことも示している。その上、グリセロールモノオレエートが単独の摩擦改良剤として入っている組成物が示した薄膜摩擦係数の方がモリブデン含有摩擦改良剤化合物が単独またはグリセロールモノオレエートと一緒に示したそれに比べて低かった。
【0121】
本明細書全体に渡るいろいろな場所で数多くの米国特許、公開された外国特許出願および出版された技術論文を言及してきた。そのような示した資料は全部があたかも本明細書に詳細に示す如く全体が明らかに本開示に組み込まれる。
【0122】
本明細書および添付請求項の目的で、特に明記しない限り、量、パーセントまたは比率を表す数値および本明細書および請求項で用いた他の数値は全てのケースで用語「約」の修飾を受けていると理解されるべきである。従って、反対であると示さない限り、本明細書および添付請求項に示す数値パラメーターは、本開示で得ることを探求する所望特性に応じて変わり得る近似値である。最低限でも、本請求項の範囲に適用する相当物の原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも報告する有効数字の数に照らして通常の四捨五入技術を適用することで解釈されるべきである。
【0123】
本明細書および添付請求項で用いる如き単数形「a」、「an」および「the」は明瞭かつ明らかに1つの指示対象に限定しない限り複数の指示対象を包含することを特記する。このように、例えば「ある抗酸化剤」の言及は2種以上の異なる抗酸化剤を包含する
。本明細書で用いる如き用語「包含」およびこれの文法的変形は限定を意図するものでなく、リストの中の項目を列挙することはその挙げた項目の代わりにか或はそれに加えて用いることができる他の同様な項目を排除するものでない。
【0124】
個々の態様を記述してきたが、現在予期しないか或は予期することができない代替物、修飾形、変形、改良物および実質的な相当物が本出願者または本分野の他の技術者に思い浮かぶ可能性がある。従って、出願したままおよび補正を行うことが可能な如き添付請求項にそのような代替物、修飾形、変形、改良物および実質的な相当物の全部を包含させることを意図する。
【出願人】 【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【出願日】 平成19年7月13日(2007.7.13)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉


【公開番号】 特開2008−19442(P2008−19442A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−184487(P2007−184487)