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境界摩擦低下用の潤滑用組成物 - 特開2008−19438 | j-tokkyo
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【発明の名称】 境界摩擦低下用の潤滑用組成物
【発明者】 【氏名】ジヨン・テイ・ロパー

【氏名】ウイリアム・ワイ・ラム

【氏名】マーク・テイ・デブリン

【要約】 【課題】境界摩擦低下用の潤滑用組成物

【構成】基油、摩擦改良剤および分散剤を有していてホウ素が約325ppm未満である潤滑用組成物を開示する。また、この開示する潤滑用組成物の製造方法および使用方法も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑用組成物であって、基油、摩擦改良剤および分散剤を含有して成っていてホウ素の含有量が約325ppm未満である潤滑用組成物。
【請求項2】
前記分散剤が塩基性窒素を含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記分散剤がホウ素を含有しない分散剤である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記分散剤がポリイソブチレンが基になった分散剤である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記摩擦改良剤が窒素を含有しない化合物、窒素含有化合物および灰分含有化合物の中の少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記窒素含有化合物が長鎖アルキレンアミンである請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記長鎖アルキレンアミンがN−オレイル−トリメチレンジアミン、N−獣脂−トリメチレンジアミン、ココ−トリメチレンジアミンおよびこれらの混合物から選択される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記窒素含有化合物がジエタノールアミンである請求項5記載の組成物。
【請求項9】
前記灰分含有化合物がモリブデン含有化合物、チタン含有化合物およびタングステン含有化合物から選択される請求項5記載の組成物。
【請求項10】
前記モリブデン含有化合物が硫黄を含有して成る請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記モリブデン含有化合物がモリブデンのカルボン酸塩、モリブデンのアミド、モリブデンのチオ燐酸塩、モリブデンのチオカルバミン酸塩およびこれらの混合物から選択される請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記窒素を含有しない化合物がポリオールエステルである請求項5記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリオールエステルがグリセロールモノオレエートおよびグリセロールモノラウレートから選択される請求項12記載の組成物。
【請求項14】
燃料効率が向上した潤滑用組成物を調合する方法であって、基油、分散剤および摩擦改良剤を準備するが、該組成物のホウ素含有量を約325ppm未満にすることを含んで成る方法。
【請求項15】
ある表面上の境界摩擦を低下させる方法であって、前記表面に基油、分散剤および摩擦改良剤を含有して成っていてホウ素含有量が約325ppm未満である潤滑用組成物を供給することを含んで成る方法。
【請求項16】
前記摩擦改良剤が窒素を含有しない化合物、窒素含有化合物および灰分含有化合物の中の少なくとも1種である請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記分散剤が塩基性窒素を含有して成る請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記分散剤がポリイソブチレンが基になった分散剤である請求項17記載の方法。
【請求項19】
エンジンに潤滑油を差す方法であって、前記エンジンに請求項1記載の潤滑用組成物を供給する段階を含んで成る方法。
【請求項20】
請求項1記載の潤滑用組成物で潤滑された自動車用エンジン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本開示は基油、摩擦改良剤および分散剤を含有して成っていてホウ素の含有量が約325ppm未満である潤滑用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー効率良く潤滑された部品をもたらすことに関心が高まってきている。その上、現代のエンジンオイル仕様は、標準化エンジン試験で燃料効率を示す潤滑油を要求している。潤滑油膜の厚みおよび摩擦特性がオイルの燃料経済特性に影響を与えることが知られている。
【0003】
ある機械(エンジン、ギアシステムまたはトランスミッション)の中の摩擦面が接触する時に摩擦力が存在し、それによって表面の動きが遅くなる。そのような摩擦力(境界摩擦と呼ぶ)によって機械の効率が低下する。
【0004】
窒素を含有していなくてモリブデンを含有する摩擦改良剤(friction modifiers)が境界摩擦を下げることが知られている。非特許文献1を参照のこと。その上、モリブデン含有摩擦改良剤とエチレン−プロピレン重合体である分散剤の組み合わせを用いると同じ摩擦改良剤を他の分散剤、例えばマンニッヒまたはスクシニミドなどと組み合わせて用いた時よりも摩擦が低くなることも知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
安価でありかつ境界摩擦の低下および燃料経済性の向上の中の少なくとも1つをもたらし得る潤滑油組成物が求められている。
【特許文献1】米国特許第6,528,461号
【非特許文献1】SAE 2000−01−1972
【0006】
要約
本開示に従い、基油、分散剤および摩擦改良剤を含有して成っていてホウ素の含有量が約325ppm未満である潤滑用組成物を開示する。
【0007】
1つの面では、また、燃料効率が向上した潤滑用組成物を調合する方法も開示し、この方法は、基油、分散剤および摩擦改良剤を供給するが、その組成物のホウ素含有量を約325ppm未満にすることを含んで成る。
【0008】
さらなる面では、ある表面の境界摩擦を低下させる方法を開示し、この方法は、前記表面に基油、分散剤および摩擦改良剤を含有して成っていてホウ素含有量が約325ppm未満である組成物を供給することを含んで成る。
【0009】
本発明の追加的目的および利点をある程度ではあるが以下の説明の中に示し、それらを本開示の実施によって習得することができるであろう。本開示の目的および利点を特に添付請求項に指摘する要素および組み合わせを用いて実現および達成する。
【0010】
この上で行った一般的説明および以下に行う詳細な説明は単に例示および説明であり、請求する如き本開示を限定するものでないと理解されるべきである。
【0011】
態様の説明
本開示は、基油、摩擦改良剤および分散剤を含有して成っていてホウ素含有量が約325ppm未満の潤滑用組成物に関する。
【0012】
この開示する潤滑用組成物で用いるに適した分散剤は、本分野の技術者に公知の無灰分散剤のいずれからも選択可能である。適切な無灰分散剤には、スクシニミド系分散剤、マンニッヒ塩基系分散剤および高分子量ポリアミン系分散剤の如き無灰分散剤が含まれ得る。1つの面における分散剤は塩基性窒素を含有して成る。別の面における分散剤はホウ素を含有しない分散剤である。ヒドロカルビル置換こはく酸系アシル化剤を用いてヒドロカルビル置換スクシニミドを生じさせることができる。そのようなヒドロカルビル置換こはく酸系アシル化剤には、これらに限定するものでないが、ヒドロカルビル置換こはく酸、無水ヒドロカルビル置換こはく酸、ヒドロカルビル置換こはく酸ハライド(例えば酸フルオライドおよび酸クロライド)、およびヒドロカルビル置換こはく酸と低級アルコール(例えば炭素原子数が7以下)のエステル、即ちカルボン酸系アシル化剤として機能し得るヒドロカルビル置換化合物が含まれる。
【0013】
ヒドロカルビル置換アシル化剤の製造は、適切な分子量のポリオレフィンまたは塩素化ポリオレフィンと無水マレイン酸を反応させることで実施可能である。そのようなアシル化剤を製造する時に同様なカルボン酸系反応体を用いることも可能である。そのような反応体には、これらに限定するものでないが、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、無水エチルマレイン酸、無水ジメチルマレイン酸、エチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、ヘキシルマレイン酸など(相当する酸ハライドおよび低級脂肪エステルを包含)が含まれ得る。
【0014】
そのようなオレフィンの分子量を無水置換こはく酸の意図した使用に応じて変えることができる。典型的には、そのような無水置換こはく酸に持たせるヒドロカルビル基の炭素原子数を約8−500にしてもよい。しかしながら、潤滑油用分散剤の製造で用いる無水置換こはく酸の場合には、これに持たせるヒドロカルビル基の炭素原子数を典型的には約40−500にしてもよい。高分子量の無水置換こはく酸を用いる場合には、数平均分子量(Mn)を言及する方が正確である、と言うのは、そのような無水置換こはく酸の製造で用いられるオレフィンには低分子量のオレフィン単量体、例えばエチレン、プロピレンおよびイソブチレンなどの重合の結果としてもたらされる分子量がいろいろな成分の混合物が含まれ得るからである。
【0015】
無水マレイン酸とオレフィンのモル比を幅広く変えることができる。それを例えば約5:1から約1:5、または例えば約1:1から約3:1などの如く変えることができる。数平均分子量が約500から約7000、またはさらなる例として約800から約3000以上のポリイソブチレンおよびエチレン−アルファ−オレフィン共重合体などの如きオレフィンを用いる場合には、無水マレイン酸を化学量論的過剰量、例えばオレフィン1モル当たり1.1から3モルの無水マレイン酸の量で用いてもよい。その結果としてもたらされた反応混合物から未反応の無水マレイン酸を蒸発させてもよい。
【0016】
通常の還元条件、例えば接触水添などを用いて無水ポリアルケニルこはく酸を無水ポリアルキルこはく酸に変化させることができる。接触水添に適切な触媒は炭素に担持されているパラジウムである。同様に、同様な還元条件を用いてポリアルケニルスクシニミドをポリアルキルスクシニミドに変化させることも可能である。
【0017】
本明細書で用いる無水こはく酸上のポリアルキルもしくはポリアルケニル置換基は、一般に、ポリオレフィンに由来する置換基であってもよく、そのようなポリオレフィンは、モノオレフィン、特に1−モノ−オレフィン、例えばエチレン、プロピレンおよびブチレ
ンなどの重合体または共重合体である。その用いるモノオレフィンの炭素原子数は約2から約24、またはさらなる例として、炭素原子数は約3から約12であり得る。他の適切なモノオレフィンには、プロピレン、ブチレン、特にイソブチレン、1−オクテンおよび1−デセンが含まれる。そのようなモノオレフィンから生じさせるポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、そして1−オクテンと1−デセンから生じさせたポリアルファオレフィンが含まれる。1つの面における分散剤はポリイソブチレンが基になった分散剤である。
【0018】
いくつかの面では、無灰分散剤に、イミド基を形成し得る第一級アミノ基を少なくとも1個有するアミンの1種以上のアルケニルスクシニミドを含めてもよい。通常の方法、例えばアルケニルこはく酸の無水物、酸、酸−エステル、酸ハライドまたは低級アルキルエステルを第一級アミノ基を少なくとも1個含有するアミンと一緒に加熱することなどで、アルケニルスクシニミドを生じさせることができる。無水アルケニルこはく酸の製造はポリオレフィンと無水マレイン酸の混合物を約180−220℃に加熱することで容易に実施可能である。そのようなポリオレフィンは低級モノオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、イソブテンなどから生じさせた数平均分子量がゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して約300から約3000の範囲内の重合体または共重合体であってもよい。
【0019】
そのような無灰分散剤を生じさせる時に使用可能なアミンには、反応してイミド基を生じ得る第一級アミノ基を少なくとも1個および追加的第一級もしくは第二級アミノ基を少なくとも1個および/またはヒドロキシル基を少なくとも1個有する如何なるアミンも含まれる。僅かの代表例は下記である:N−メチル−プロパンジアミン、N−ドデシルプロパンジアミン、N−アミノプロピル−ピペラジン、エタノールアミン、N−エタノール−エチレンジアミンなど。
【0020】
適切なアミンには、アルキレンポリアミン、例えばプロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ジ−(1,2−ブチレン)トリアミンおよびテトラ−(1,2−プロピレン)ペンタアミンなどが含まれ得る。さらなる例には、式HN(CHCH− NH)H[式中、nは約1から約10の整数であってもよい]で描写可能なエチレンポリアミンが含まれる。それらにはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)などが含まれ、それには、それらの混合物(この場合のnは混合物の平均値である)も含まれる。そのようなエチレンポリアミンは、モノ−アルケニルスクシニミドおよびビス−アルケニルスクシニミドを生じ得るように、各末端部に第一級アミン基を有する。市販のエチレンポリアミン混合物は分枝種および環式種、例えばN−アミノエチルピペラジン、N,N’−ビス(アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(ピペラジニル)エタンおよび同様な化合物を少量含有している可能性がある。そのような市販混合物はジエチレントリアミンからテトラエチレンペンタアミンに相当する範囲に入るおおよその全体組成を有する可能性がある。無水ポリアルケニルこはく酸とポリアルキレンポリアミンのモル比を約1:1から約3.0:1にしてもよい。
【0021】
いくつかの面では、そのような分散剤にポリエチレンポリアミン、例えばトリエチレンテトラアミンまたはテトラエチレンペンタアミンなどと炭化水素置換カルボン酸もしくは無水物[適切な分子量を有するポリオレフィン、例えばポリイソブテンなどと不飽和ポリカルボン酸もしくは無水物、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸など(このような物質2種以上の混合物を包含)を反応させることで生じさせた]の反応生成物を含めることも可能である。
【0022】
また、本明細書に記述する分散剤を調製する時に用いるにも適したポリアミンには、N
−アリールフェニレンジアミン、例えばN−フェニルフェニレンジアミン、例えばN−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−フェニレンジアミンおよびN−フェニル−1,2−フェニレンジアミンなど、アミノチアゾール類、例えばアミノチアゾール、アミノベンゾチアゾール、アミノベンゾチアジアゾールおよびアミノアルキルチアゾールなど、アミノカルバゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノ−インダゾリノン、アミノメルカプトトリアゾール、アミノペリミジン、アミノアルキルイミダゾール、例えば1−(2−アミノエチル)イミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾールなど、およびアミノアルキルモルホリン、例えば4−(3−アミノプロピル)モルホリンなどが含まれる。そのようなポリアミンは米国特許第4,863,623号および5,075,383号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)により詳細に記述されている。
【0023】
前記ヒドロカルビル置換スクシニミドを生じさせる時に用いるに有用な追加的ポリアミンには、第一級もしくは第二級アミノ基を分子中に少なくとも1個および第三級アミノ基を少なくとも1個有するポリアミン、例えば米国特許第5,634,951号および5,725,612号(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に教示されている如きそれらが含まれる。適切なポリアミンの非限定例には、N,N,N”,N”−テトラアルキルジアルキレントリアミン(末端の第三級アミノ基を2個と中心の第二級アミノ基を1個)、N,N,N’,N”−テトラアルキルトリアルキレンテトラアミン(末端の第三級アミノ基を1個と内部の第三級アミノ基を2個と末端の第一級アミノ基を1個)、N,N,N’,N”,N”’−ペンタアルキルトリアルキレンテトラアミン(末端の第三級アミノ基を1個と内部の第三級アミノ基を2個と末端の第二級アミノ基を1個)、トリス(ジアルキルアミノアルキル)アミノアルキルメタン(末端の第三級アミノ基を3個と末端の第一級アミノ基を1個)、および同様な化合物が含まれるが、ここで、前記アルキル基は同じまたは異なり、各々が含有する炭素原子の数は典型的に約12以下であり、各々が炭素原子を約1から約4個含有していてもよい。さらなる例として、そのようなアルキル基はメチルおよび/またはエチル基であってもよい。この種類のポリアミン反応体にはジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)およびN−メチルピペラジンが含まれ得る。
【0024】
本明細書で用いるに適したヒドロキシアミンには、前記ヒドロカルビル置換こはく酸もしくは無水物と反応し得る第一級もしくは第二級アミンを少なくとも1個含有する化合物、オリゴマーまたは重合体が含まれる。本明細書で用いるに適したヒドロキシアミンの例には、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、アミノプロピルジエタノールアミン(APDEA)、エタノールアミン、ジエタノールアミン(DEA)、ある程度プロポキシル化されたヘキサメチレンジアミン(例えばHMDA−2POまたはHMDA−3PO)、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび2−アミノ−1,3−プロパンジオールが含まれる。
【0025】
アミンとヒドロカルビル置換こはく酸もしくは無水物のモル比を約1:1から約3.0:1の範囲にしてもよい。アミンとヒドロカルビル置換こはく酸もしくは無水物のモル比の別の例は約1.5:1から約2.0:1の範囲であり得る。
【0026】
この上に示した分散剤はまた後処理を受けさせた分散剤であってもよく、これの製造は例えば前記分散剤に無水マレイン酸およびホウ酸による処理(例えば米国特許第5,789,353号に記述されている如き)を受けさせるか或は前記分散剤にノニルフェノール、ホルムアルデヒドおよびグリコール酸による処理(例えば米国特許第5,137,980号に記述されている如き)を受けさせることで実施可能であり、ここで、それらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0027】
マンニッヒ塩基型分散剤は、アルキルフェノール、典型的には環上に長鎖アルキル置換基を有するアルキルフェノールと炭素原子を約1から約7個含有する1種以上の脂肪族アルデヒド(例えばホルムアルデヒドおよびこれの誘導体)とポリアミン(特にポリアルキレンポリアミン)の反応生成物であり得る。例えば、約1モルの長鎖炭化水素置換フェノールと約1から約2.5モルのホルムアルデヒドと約0.5から約2モルのポリアルキレンポリアミンの比率でそれらを縮合させることでマンニッヒ塩基型無灰分散剤を生じさせることができる。
【0028】
マンニッヒ型ポリアミン分散剤を生じさせる時の炭化水素源は、実質的に飽和の石油溜分およびオレフィン重合体、例えば炭素原子数が2から約6のモノ−オレフィンの重合体などから生じさせた炭化水素源であってもよい。そのような炭化水素源が含有する炭素原子の数は、一般に、当該分散剤が実質的に油溶性を示すように、例えば少なくとも約40、さらなる例として、炭素原子の数は少なくとも50である。GPC数平均分子量が約600から5,000の範囲のオレフィン重合体も適し得る。しかしながら、また、より高い分子量を有する重合体を用いることも可能である。適切な炭化水素源はイソブチレン重合体およびイソブテンとラフィネート流れの混合物から作られた重合体であり得る。
【0029】
適切なマンニッヒ塩基型分散剤は、約1モルの長鎖炭化水素置換フェノールと約1から約2.5モルのホルムアルデヒドと約0.5から約2モルのポリアルキレンポリアミンの比率でそれらを縮合させることで生じさせたマンニッヒ塩基型無灰分散剤であり得る。
【0030】
無灰分散剤として用いるに適した高分子量ポリアミン系分散剤は、塩基性アミン基と油溶性基(例えば炭素原子数が少なくとも約8のペンダント型アルキル基)を含有する重合体である。そのような材料の例は、いろいろな単量体、例えばメタアクリル酸デシル、ビニルデシルエーテルまたは比較的高分子量のオレフィンとアクリル酸アミノアルキルとアミノアルキルアクリルアミドから生じさせたインターポリマーである。高分子量ポリアミン系分散剤の例が米国特許第3,329,658; 3,449,250; 3,493,520; 3,519,565; 3,666,730; 3,687,849および3,702,300号(これらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に示されている。高分子量ポリアミンには、ヒドロカルビル基がイソブテンとこの上に記述した如きラフィネートI流れの重合生成物で構成されているヒドロカルビルポリアミンが含まれ得る。また、PIB−アミンおよびPIB−ポリアミンを用いることも可能である。
【0031】
この上に記述した如き無灰分散剤の製造方法は本分野の技術者に公知であり、特許文献に報告されている。この上に示した種類のいろいろな無灰分散剤の合成は、例えば米国特許第2,459,112; 2,962,442, 2,984,550; 3,036,003; 3,163,603; 3,166,516; 3,172,892; 3,184,474; 3,202,678; 3,215,707; 3,216,936; 3,219,666; 3,236,770; 3,254,025; 3,271,310; 3,272,746; 3,275,554; 3,281,357; 3,306,908; 3,311,558; 3,316,177; 3,331,776; 3,340,281; 3,341,542; 3,346,493; 3,351,552; 3,355,270; 3,368,972; 3,381,022; 3,399,141; 3,413,347; 3,415,750; 3,433,744; 3,438,757; 3,442,808; 3,444,170; 3,448,047; 3,448,048; 3,448,049; 3,451,933; 3,454,497; 3,454,555; 3,454,607; 3,459,661; 3,461,172; 3,467,668; 3,493,520; 3,501,405; 3,522,179; 3,539,633; 3,541,012; 3,542,680; 3,543,678; 3,558,743; 3,565,804; 3,567,637; 3,574,101; 3,576,743; 3,586,629; 3,591,598; 3,600,372; 3,630,904; 3,632,510; 3,632,511; 3,634,515; 3,649,229; 3,697,428; 3,697,574; 3,703,536; 3,704,308; 3,725,277; 3,725,441; 3,725,480; 3,726,882; 3,736,357; 3,751,365; 3,756,953; 3,793,202; 3,798,165; 3,798,247; 3,803,039; 3,804,763; 3,836,471; 3,862,981; 3,872,019; 3,904,595; 3,936,480; 3,948,800; 3,950,341; 3,957,746; 3,957,854; 3,957,855; 3,980,569; 3,985,802; 3,991,098; 4,006,089; 4,011,380; 4,025,451; 4,058,468; 4,071,548; 4,083,699; 4,090,854; 4,173,540; 4,234,435; 4,354,950; 4,485,023; 5,137,980号およびRe 26,433の如き特許(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0032】
適切な無灰分散剤の一例はホウ素化分散剤である。塩基性窒素を有しそして/またはヒドロキシル基を分子中に少なくとも1個有する無灰分散剤、例えばスクシニミド系分散剤、スクシナミド系分散剤、こはく酸エステル系分散剤、こはく酸エステル−アミド系分散剤、マンニッヒ塩基型分散剤またはヒドロカルビルアミンもしくはポリアミン系分散剤などにホウ素化(「ホウ化」)を受けさせることでホウ素化分散剤を生じさせることができる。この上に記述したいろいろな種類の無灰分散剤にホウ素化を受けさせる目的で使用可能な方法は米国特許第3,087,936; 3,254,025; 3,281,428; 3,282,955; 2,284,409; 2,284,410; 3,338,832; 3,344,069; 3,533,945; 3,658,836; 3,703,536; 3,718,663; 4,455,243および4,652,387号(これらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0033】
そのようなホウ素化分散剤には、ホウ素化分散剤がホウ素を約2重量%以下、例えばホウ素を約0.8重量%以下、さらなる例として、ホウ素を約0.1から約0.7重量%、さらなる例として、ホウ素を約0.25から約0.7重量%、さらなる例として、ホウ素を約0.35から約0.7重量%含有するようにホウ素による処理を受けさせておいた高分子量の分散剤が含まれ得る。そのような分散剤は取り扱いが容易なように適切な粘度を有する油に溶解し得る。ここに示した重量パーセントは希釈用油を全く添加していない混ぜ物無しの分散剤の重量パーセントであると理解されるべきである。
【0034】
分散剤を更に有機酸、無水物および/またはアルデヒド/フェノール混合物と反応させることも可能である。そのような方法を用いると例えば弾性重合体製シールとの適合性が向上し得る。ホウ素化分散剤には更にホウ素化分散剤の混合物も含まれ得る。さらなる例として、ホウ素化分散剤には窒素含有分散剤も含まれ得、そして/または燐を含有していなくてもよい。
【0035】
分散剤を本潤滑用組成物に本潤滑用組成物の約0.1重量%から約10重量%、例えば約2重量%から約7重量%、さらなる例として、約3重量%から約5重量%の量で存在させてもよい。
【0036】
この開示する潤滑用組成物で用いるに適した摩擦改良剤は、そのような機能を潤滑油組
成物に与えるに有用な数多くの適切な化合物および材料の中から選択可能である。そのような摩擦改良剤は単一種の化合物またはいろいろな種類の化合物の混合物として使用可能である。摩擦改良剤の非限定例には、窒素含有化合物、灰分含有化合物および窒素を含有しない化合物が含まれる。1つの面において、この開示する潤滑用組成物に窒素を含有しない化合物およびモリブデン含有化合物を含有させてもよい。
【0037】
窒素含有化合物は塩基性窒素を含有する如何なる化合物であってもよい。1つの面における窒素含有化合物は長鎖アルキレンアミンであり得る。摩擦改良用長鎖アルキレンアミン化合物には、例えばN−脂肪ヒドロカルビル置換トリメチレンジアミン(これのN−脂肪ヒドロカルビル置換基はアセチレン不飽和を持たない炭素原子数が約14から約20の範囲内の少なくとも1種の直鎖脂肪ヒドロカルビル基である)などが含まれる。そのような摩擦改良剤化合物の非限定例はN−オレイル−トリメチレンジアミンである。他の適切な化合物にはN−獣脂−トリメチレンジアミンおよびN−ココ−トリメチレンジアミンが含まれる。
【0038】
あるグループの摩擦改良剤には、N−脂肪ヒドロカルビル置換ジエタノールアミン(これのN−脂肪ヒドロカルビル置換基はアセチレン不飽和を持たない炭素原子数が約14から約20の範囲内の少なくとも1種の直鎖脂肪ヒドロカルビル基である)が含まれる。
【0039】
用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」を本明細書で用いる場合、これを本分野の技術者に良く知られている通常の意味で用いる。具体的には、それは炭素原子が分子の残りと直接結合していて主に炭化水素性質を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には下記が含まれる:
(1)炭化水素置換基、即ち脂肪(例えばアルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基および芳香置換、脂肪置換および脂環置換芳香置換基ばかりでなく環が分子の別の部分を通して完成している環式置換基(例えば2個の置換基が一緒に脂環式基を形成している);
(2)置換炭化水素置換基、即ち炭化水素以外の基[これは、本発明に関連して、炭化水素が支配的な置換基を変えない基、例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソおよびスルホキシである]を含有する置換基;
(3)ヘテロ置換基、即ち主に炭化水素特性を有するが、本発明に関連して、炭素原子で構成されている環または鎖内に炭素以外の原子(ヘテロ原子には硫黄、酸素、窒素が含まれる)を含有する置換基[これにはピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルの如き置換基が含まれる]。ヒドロカルビル基中の炭素原子10個当たりに存在する非炭化水素置換基の数は一般に2個以下、例えば1個以下であり、典型的には、ヒドロカルビル基に存在する非炭化水素置換基の数はゼロである。
【0040】
この上で考察したように、そのような摩擦改良剤にはいろいろな化合物の混合物、例えば少なくとも1種のN−脂肪ヒドロカルビル置換ジエタノールアミンと少なくとも1種のN−脂肪ヒドロカルビル置換トリメチレンジアミン(これのN−脂肪ヒドロカルビル置換基はアセチレン不飽和を持たない炭素原子数が約14から約20の範囲内の少なくとも1種の直鎖脂肪ヒドロカルビル基である)の組み合わせなども含まれ得る。そのような摩擦改良剤の組み合わせに関するさらなる詳細が米国特許第5,372,735号および5,441,656号(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている。
【0041】
前記摩擦改良剤は灰分含有化合物であってもよい。1つの面における灰分含有化合物はモリブデン含有化合物であってもよい。本明細書に開示する潤滑用組成物で用いるに適したモリブデン含有化合物は硫黄および/または燐を含有していなくてもよい。硫黄も燐も
含有しないモリブデン含有化合物の調製は、硫黄も燐も含有しないモリブデン源とアミノおよび/またはアルコール基を含有する有機化合物を反応させることで実施可能である。硫黄も燐も含有しないモリブデン源の例には、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウムおよびモリブデン酸カリウムが含まれる。そのアミノ基はモノアミン、ジアミンまたはポリアミンであってもよい。アルコール基は一置換アルコール、ジオールもしくはビス−アルコールまたはポリアルコールであってもよい。例として、ジアミンと脂肪油を反応させるとアミノ基とアルコール基の両方を含有する生成物がもたらされ、それを硫黄も燐も含有しないモリブデン源と反応させてもよい。
【0042】
特許および特許出願(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)にみられる硫黄も燐も含有しないモリブデン含有化合物の例には下記が含まれる:米国特許第4,259,195号および4,261,843号に定義されている如きモリブデン源と特定の塩基性窒素化合物を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,164,473号に定義されている如きモリブデン源とヒドロカルビル置換ヒドロキシアルキル置換アミンを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,266,945号に定義されている如きモリブデン源とモノアルキル置換アルキレンジアミンとフェノールアルデヒド縮合生成物を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,889,647号に定義されている如きモリブデン源とジエタノールアミンと脂肪油を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第5,137,647号に定義されている如きモリブデン源と2−(2−アミノエチル)アミノエタノールと脂肪油もしくは酸を反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,692,256号に定義されている如きモリブデン源と第二級アミンを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第5,412,130号に定義されている如きモリブデン源とジオール、ジアミノもしくはアミノ−アルコール化合物を反応させることで生じさせた化合物、ヨーロッパ特許出願EP 1 136 496 A1に定義されている如きモリブデン源と脂肪油とモノアルキル置換アルキレンジアミンを反応させることで生じさせた化合物、ヨーロッパ特許出願EP 1 136 497 A1に定義されている如きモリブデン源と脂肪酸とモノアルキル置換アルキレンジアミンとグリセリドを反応させることで生じさせた化合物、米国特許第4,889,647号に定義されている如きモリブデン源と脂肪油とジエタノールアミンを反応させることで生じさせた化合物。
【0043】
1つの面では、また、硫黄を含有するモリブデン含有化合物を本明細書に開示する潤滑用組成物で用いることも可能である。そのような硫黄を含有するモリブデン含有化合物の調製はいろいろな方法を用いて実施可能である。1つの方法は、硫黄および/または燐を含有しないモリブデン源とアミノ基と1種以上の硫黄源を反応させることを伴う。硫黄源には、例えばこれらに限定するものでないが、二硫化炭素、硫化水素、硫化ナトリウムおよび元素状硫黄が含まれる。別法として、そのような硫黄を含有するモリブデン含有化合物の調製を硫黄含有モリブデン源とアミノ基もしくはチウラム基と場合により2番目の硫黄源を反応させることで実施することも可能である。一例として、三酸化モリブデンと第二級アミンと二硫化炭素を反応させることでジチオカルバミン酸モリブデンを生じさせる。別法として、(NHMo13n(HO) [ここで、nは約0から2の範囲である]と二硫化テトラアルキルチウラムを反応させることで三核の硫黄含有ジチオカルバミン酸モリブデンを生じさせる。
【0044】
特許および特許出願に見られる硫黄を含有するモリブデン含有化合物の非限定例には下記が含まれる:米国特許第3,509,051号および3,356,702号に定義されている如き三酸化モリブデンと第二級アミンと二硫化炭素を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,098,705号に定義されている如き硫黄を含有しないモリブデン源と第二級アミンと二硫化炭素と追加的硫黄源を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,178,258号に定義されている如きハロゲン化モリブデンと第二級アミンと二硫化炭素を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,263,152, 4,265,773, 4,272,387, 4,285,822, 4,369,119, 4,395,343号に定義されている如きモリブデン源と塩基性窒素化合物と硫黄源を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,283,295号に定義されている如きテトラチオモリブデン酸アンモニウムと塩基性窒素化合物を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,362,633号に定義されている如きオレフィンと硫黄とアミンとモリブデン源を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,402,840号に定義されている如きテトラチオモリブデン酸アンモニウムと塩基性窒素化合物と有機硫黄源を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,466,901号に定義されている如きフェノール系化合物とアミンとモリブデン源と硫黄源を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,765,918号に定義されている如きトリグリセリドと塩基性窒素化合物とモリブデン源と硫黄源を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,966,719号に定義されている如きアルカリ金属のアルキルチオキサンテート塩とハロゲン化モリブデンを反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,978,464号に定義されている如き二硫化テトラアルキルチウラムとモリブデンヘキサカルボニルを反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,990,271号に定義されている如きアルキルジキサントゲンとモリブデンヘキサカルボニルを反応させることで生じさせた化合物。米国特許第4,995,996号に定義されている如きアルカリ金属のアルキルキサンテート塩と四酢酸ジモリブデンを反応させることで生じさせた化合物。米国特許第6,232,276号に定義されている如き(NHMo13Oとアルカリ金属のジアルキルジチオカルバミン酸塩もしくは二硫化テトラアルキルチウラムを反応させることで生じさせた化合物。米国特許第6,103,674号に定義されている如きエステルもしくは酸とジアミンとモリブデン源と二硫化炭素を反応させることで生じさせた化合物。米国特許第6,117,826号に定義されている如きアルカリ金属のジアルキルジチオカルバミン酸塩を3−クロロプロピオン酸に続いて三酸化モリブデンと反応させることで生じさせた化合物。
【0045】
モリブデン含有化合物の非限定例には、モリブデンのカルボン酸塩、モリブデンのアミド、モリブデンのチオ燐酸塩、モリブデンのチオカルバミン酸塩、モリブデンのジチオカルバミン酸塩などが含まれる。
【0046】
灰分含有化合物の追加的例には、これらに限定するものでないが、チタン含有化合物およびタングステン含有化合物が含まれる。
【0047】
別の適切なグループの摩擦改良剤には、窒素を含有しない化合物、ポリオールエステル、例えばグリセロールモノオレエート(GMO)、グリセロールモノラウレート(GML)などが含まれる。
【0048】
そのような摩擦改良用化合物を本潤滑用組成物に存在させる量は如何なる所望または有効量であってもよい。1つの面では、本潤滑用組成物に含有させる量を本潤滑用組成物の総重量を基準にして約0.05から約3重量%、例えば約0.2から約1.5重量%、さらなる例として約0.3から約1重量%にしてもよい。しかしながら、本分野の通常の技術者は如何なる量も使用可能であることを理解するであろう。
【0049】
本明細書に開示する潤滑用組成物は基油を含有して成り得る。この開示する組成物の配合で用いるに適した基油は、合成もしくは鉱油またはこれらの混合物のいずれからも選択可能である。鉱油には動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油)ばかりでなく他の潤滑用鉱油、例えば液状石油および溶媒による処理または酸による処理を受けたパラフィン系、ナフテン系またはパラフィン系−ナフテン系混合型の潤滑用鉱油が含まれる。また、石炭または頁岩から誘導された油も適切である。更に、またガスツーリキッド方法(gas−to−liquid process)で得られる油も適切である。
【0050】
そのような基油を主要量で存在させてもよく、ここで、「主要量」は、当該潤滑用組成物の50重量%に等しいか或はそれ以上、例えば約80から約98重量パーセントを意味すると理解する。
【0051】
そのような基油が100℃で示す粘度は典型的に例えば約2から約15cSt、さらなる例として、約2から約10cStである。
【0052】
合成油の非限定例には、炭化水素油、例えばオレフィンの重合体および共重合体(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンとイソブチレンの共重合体など);ポリアルファオレフィン、例えばポリ(1−ヘキセン)、ポリ−(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)などおよびこれらの混合物;アルキルベンゼン[例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ−ノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど];ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル置換ポリフェニルなど);アルキル置換ジフェニルエーテルおよびアルキル置換ジフェニルスルフィド、そしてそれらの誘導体、類似物および同族体などが含まれる。
【0053】
アルキレンオキサイド重合体および共重合体、そしてそれらの末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などによる修飾を受けている誘導体が使用可能な別の種類の公知合成油を構成している。そのような油の例は、エチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの重合で作られた油、そのようなポリオキシアルキレン重合体のアルキルおよびアリールエーテル(例えば平均分子量が約1000のメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量が約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量が約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)またはそれらのモノ−およびポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3−8脂肪酸エステルまたはC13オキソ酸ジエステルなどである。
【0054】
使用可能な別の種類の合成油には、ジカルボン酸(例えばフタル酸、こはく酸、アルキルこはく酸、アルケニルこはく酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)といろいろなアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)のエステルが含まれる。そのようなエステルの具体例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールと2モルのオクチル酸を反応させることで生じさせた複合エステルなどが含まれる。
【0055】
また、合成油として用いるに有用なエステルには、C5−12モノカルボン酸とポリオールとポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどから作られたエステルも含まれる。
【0056】
従って、本明細書に記述する如き組成物を製造する時に用いる使用可能な基油は、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesが指定する如きグループ
I−Vに入る基油のいずれからも選択可能である。そのような基油グループは下記の通りである:
グループIは飽和物含有量が90%未満でありそして/または硫黄含有量が0.03%より高くそして粘度指数が80に等しいか或はそれ以上から120未満であり、グループIIは飽和物含有量が90%に等しいか或はそれ以上でありかつ硫黄含有量が0.03%に等しいか或はそれ以下でありそして粘度指数が80に等しいか或はそれ以上から120未満であり、グループIIIは飽和物含有量が90%に等しいか或はそれ以上でありかつ硫黄含有量が0.03%に等しいか或はそれ以下でありそして粘度指数が120に等しいか或はそれ以上であり、グループIVはポリアルファオレフィン(PAO)であり、そしてグループVにグループIにもIIにもIIIにもIVにも入らない他のベースストック(base stocks)の全部が含まれる。
【0057】
前記グループの限定で用いられる試験方法は、飽和物の場合のASTM D2007、粘度指数の場合のASTM D2270、そして硫黄の場合にはASTM D2622、4294、4927および3120の中の1つである。
【0058】
グループIVのベースストック、即ちポリアルファオレフィン(PAO)には、アルファ−オレフィンのオリゴマーの水添品が含まれ、オリゴマー化の最も重要な方法はフリーラジカル方法、チーグラー触媒反応、およびカチオン性、フリーデルクラフツ触媒反応である。
【0059】
そのようなポリアルファオレフィンが100℃で示す粘度は典型的に2から100cSt、例えば100℃で4から8cStである。それらは、例えば炭素原子数が約2から約30の分枝もしくは直鎖アルファ−オレフィンのオリゴマーであってもよく、非限定例には、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテンおよびポリ−1−デセンが含まれる。ホモ重合体、共重合体および混合物が含まれる。
【0060】
この上に示したベースストックのバランスに関して、「グループIのベースストック」には、また、他の1つ以上のグループのベースストック1種または2種以上が混ざっていてもよいグループIのベースストックも含まれるが、但しその結果としてもたらされる混合物がこの上にグループIのベースストックに関して指定した特性の範囲内の特性を有することを条件とする。
【0061】
典型的なベースストックにはグループIのベースストックおよびグループIIのベースとグループIのブライトストック(bright stock)の混合物が含まれる。
【0062】
本明細書で用いるに適したベースストックは多種多様な方法を用いて製造可能であり、そのような方法には、これらに限定するものでないが、蒸留、溶媒による精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化および再精製が含まれる。
【0063】
そのような基油はフィッシャー・トロプシュ合成炭化水素から誘導された油であってもよい。フィッシャー・トロプシュ合成炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を用いてHとCOを含有する合成ガスから製造可能である。そのような炭化水素は、典型的に、これが基油として有用であるようにする目的で、さらなる処理を必要とする。例えば、そのような炭化水素に米国特許第6,103,099号または6,180,575号に開示されている方法を用いた水素化異性化を受けさせ(hydroisomerized)てもよいか、米国特許第4,943,672号または6,096,940号に開示されている方法を用いた水素化分解および水素化異性化を受けさせてもよいか、米国特許第5,882,505号に開示されている方法を用いた脱蝋を受けさせてもよいか、或は米国特許第6,013,171号、6,080,301号または6,165,949号に開示されている方法を用いた水素化異性化および脱蝋を受けさせてもよい。
【0064】
本明細書の上に開示した種類の鉱油もしくは合成油の未精製、精製および再精製油(ばかりでなくこれらのいずれか2種以上の混合物)を基油として用いることができる。未精製油は、鉱油もしくは合成源からさらなる精製処理なしに直接得られる油である。例えば、レトルト採収操作で直接得られるシェール油、一次蒸留で直接得られる石油、またはエステル化工程で直接得られるエステル油(さらなる処理なしに使用)が未精製油であろう。精製油は、1つ以上の特性を向上させる目的でさらなる処理を1段階以上の精製段階で受けさせた以外は未精製油と同様である。そのような精製技術は本分野の技術者に数多く知られており、例えば溶媒による抽出、二次蒸留、酸または塩基による抽出、濾過、パーコレーションなどが知られる。再精製油は、精製油を得る目的で用いられる処理と同様な処理を既に実用で使用されていた精製油に適用することで得られる油である。そのような再精製油はまた再生もしくは再処理油としても知られ、しばしば、それらは使用済み添加剤、汚染物および油分解生成物を除去することに向けた技術を用いた追加的処理を受けている。
【0065】
1つの面では、本潤滑用組成物のホウ素含有量を約325ppm未満にしてもよい。さらなる面では、本潤滑用組成物のホウ素含有量を約300ppm未満、例えばホウ素含有量を280ppm未満にしてもよい。
【0066】
この開示する潤滑用組成物は、この開示する潤滑用組成物が潤滑油として差されていない表面に比較して、ある機械の表面の境界摩擦を低下させ得る。1つの面では、本潤滑用組成物をいずれかの機械、例えばエンジン、ギアなどのいずれかの表面に供給/与えてもよい。
【0067】
本潤滑油組成物に場合により他の成分を存在させることも可能である。他の成分の非限定例には、抗摩耗剤、洗浄剤、希釈剤、消泡剤、乳化破壊剤、抗発泡剤、腐食抑制剤、極圧剤、シールウエル剤(seal well agents)、抗酸化剤、流動点降下剤、防錆剤および摩擦改良剤が含まれる。
[実施例]
【実施例1】
【0068】
潤滑油組成物を生じさせる目的で4種類の分散剤(A−D)および2種類の摩擦改良剤を基油といろいろな組み合わせでブレンド/混合/一緒にした。その結果として得た潤滑油組成物が示す境界摩擦係数の測定をSAE論文961142(1996年1月)(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている如き高振動数往復リグ(high frequency reciprocating rig)(HFRR)を用いて実施した。その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】


【0070】
比較実施例1および発明1の結果は、摩擦改良剤の存在無しにホウ素含有分散剤(分散剤A)を用いた時にもたらされた境界摩擦係数の方がホウ素を含有しない分散剤(分散剤B)を用いた時よりも高いことを示していた。特に、比較実施例1の潤滑油組成物にはホウ素が347ppm入っていた。
【0071】
比較実施例2は、窒素を含有しない化合物は摩擦改良剤を含有しない比較実施例1に比べて境界摩擦を27%低下させたことを示していた。しかしながら、窒素を含有しない化合物とホウ素を含有しない分散剤の組み合わせ(発明2)は比較実施例1に比べて境界摩擦を46%低下させた。その上、ホウ素含有化合物とホウ素を含有しない化合物と窒素を
含有しない化合物の混合物(発明3および4)がもたらした境界摩擦係数は比較実施例2のそれに比べて低かった。
【0072】
比較実施例3および4は、モリブデン含有化合物およびホウ素含有分散剤は境界摩擦をホウ素含有分散剤単独(比較実施例1)に比べてそれぞれ26%および30%低下させたことを示していた。しかしながら、モリブデン含有化合物とホウ素を含有しない分散剤の組み合わせ(発明5および6)は境界摩擦をそれぞれ36%および61%低下させた。
【0073】
比較実施例5は、ホウ素含有分散剤と窒素を含有しない化合物とモリブデン含有化合物の組み合わせは境界摩擦を比較実施例1のそれに比べて22%低下させたことを示していた。しかしながら、発明7は、ホウ素を含有しない分散剤と窒素を含有しない化合物とモリブデン含有化合物の組み合わせは境界摩擦を比較実施例1のそれに比べて37%低下させたことを示していた。
【0074】
本明細書全体に渡るいろいろな場所で数多くの米国特許、公開された外国特許出願および出版された技術論文を言及してきた。そのような示した資料は全部があたかも本明細書に詳細に示す如く全体が明らかに本開示に組み込まれる。
【0075】
本明細書および添付請求項の目的で、特に明記しない限り、量、パーセントまたは比率を表す数値および本明細書および請求項で用いた他の数値は全てのケースで用語「約」の修飾を受けていると理解されるべきである。従って、反対であると示さない限り、本明細書および添付請求項に示す数値パラメーターは、本開示で得ることを探求する所望特性に応じて変わり得る近似値である。最低限でも、本請求項の範囲に適用する相当物の原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも報告する有効数字の数に照らして通常の四捨五入技術を適用することで解釈されるべきである。
【0076】
本明細書および添付請求項で用いる如き単数形「a」、「an」および「the」は明瞭かつ明らかに1つの指示対象に限定しない限り複数の指示対象を包含することを特記する。このように、例えば「ある抗酸化剤」の言及は2種以上の異なる抗酸化剤を包含する。本明細書で用いる如き用語「包含」およびこれの文法的変形は限定を意図するものでなく、リストの中の項目を列挙することはその挙げた項目の代わりにか或はそれに加えて用いることができる他の同様な項目を排除するものでない。
【0077】
個々の態様を記述してきたが、現在予期しないか或は予期することができない代替物、修飾形、変形、改良物および実質的な相当物が本出願者または本分野の他の技術者に思い浮かぶ可能性がある。従って、出願したままおよび補正を行うことが可能な如き添付請求項にそのような代替物、修飾形、変形、改良物および実質的な相当物の全部を包含させることを意図する。
【出願人】 【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【出願日】 平成19年7月6日(2007.7.6)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉


【公開番号】 特開2008−19438(P2008−19438A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−178532(P2007−178532)