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【発明の名称】 潤滑剤組成物
【発明者】 【氏名】根来 雅之

【氏名】河田 憲

【要約】 【課題】機械的摩擦摺動部において、耐摩耗性、極圧性及び低摩擦特性に優れる潤滑組成物を提供する。

【構成】下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物を主成分として含有することを特徴とする潤滑剤組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物を主成分として含有することを特徴とする潤滑剤組成物:
一般式(1)
【化1】


式中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは、各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し、mは、2〜11の整数を表し;
一般式(2)
31−SO2NH2
式中、R31は置換基を表す。
【請求項2】
上記一般式(1)中のDが、5〜7員環構造の複素環残基であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
上記一般式(1)中のm個のRのうち少なくとも1つが、エステル結合を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物:
一般式(3)
【化2】


式中、X1、X2及びX3は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R11、R12及びR13は、各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し、但し、R11、R12及びR13のうち少なくとも1つは、エステル結合を含む。
【請求項5】
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物:
一般式(4)
【化3】


式中、X21、X22及びX23は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R21、R22及びR23は、各々独立に、置換基を表し、R21、R22及びR23のうち少なくとも1つは、エステル結合を含み、a21、a22及びa23は各々独立して1〜5の整数を表す。
【請求項6】
上記一般式(2)中のR31が、置換アリール基を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される化合物1モルに対し、前記一般式(2)で表される化合物を0.5〜5モル含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物が錯体を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的摩擦摺動部等に供給される潤滑剤組成物の技術分野に属し、より詳細には、極圧下における低摩擦特性及び耐摩耗性、ならびにその効果の持続性に優れる潤滑剤組成物の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤に求められる性能は、広い温度範囲及び広い圧力範囲において、機械的摩擦摺動部の摩擦係数を低下することができ、さらにその効果ができるだけ持続することである。また、潤滑剤には、摩擦摺動部材間の潤滑性を向上させるという効果だけでなく、それによって摩擦摺動部材自体に耐磨耗性が付与できることも望まれる。エンジンオイル等の潤滑油の、摩擦摺動部における摩擦係数の低減効果及びその長寿命化は、機械駆動のための燃費の向上、すなわちエネルギーの節約に直結する。エンジンオイルの長寿命化は、廃オイル量の低減のみならず、CO2排出量の低減をも可能とするので、近年注目されている環境適合性の面でも好ましい。また、産業機械系の摺動部の中でも、特に苛酷な摩擦条件で摺動する軸受やギヤなどでは、従来の潤滑油やグリースなどの潤滑剤を用いた場合、潤滑条件が苛酷になると、潤滑剤が膜切れや焼付けを起こし、摩耗傷のために、所望の低摩擦係数を得られなくなる場合がある。その結果、装置の信頼性を損ねることがあり、特に装置を小型化した場合に、摺動部の摩擦条件が過酷化する傾向になり、装置の小型化の妨げにもなっていた。従って、苛酷な条件においても、摩耗や焼付きを生じず、装置の信頼性を向上させることができ、さらに装置の小型化に寄与することができるような省エネルギーな潤滑剤が望まれている。
【0003】
ところで、従来、潤滑剤としては、一般的には、潤滑剤基油を主成分とし、これに有機化合物等の潤滑助剤を配合したものが用いられる。特に近年では、有機モリブデン化合物が、潤滑助剤として注目されている。有機モリブデン化合物は、機械装置の摺動部が、高温、高速又は低速、高負荷、小型軽量化など、苛酷な摩擦条件で運動している場合も、なお耐摩耗性、極圧性(耐荷重性)、低摩擦特性などの性能に優れ、通常圧での流体潤滑条件より高圧下、即ち境界潤滑条件において効果的に潤滑性能を発揮できる素材として注目されている。
【0004】
しかし、有機モリブデン化合物は、激しい摩擦条件下でも優れた潤滑効果を奏する、優れた素材ではあるが、潤滑油中にはモリブデン及び亜鉛といった重金属、容易に酸化されて潤滑油のみならず摺動部材そのもの、さらには環境にも悪影響を及ぼす硫黄酸化物のもととなる硫化物、及び河川や海を富栄養化してしまうリン酸がかなり含まれていて、環境適合性の点からは明らかに好ましくない。さらに、摺動面に形成される酸化/硫化モリブデン被膜は、摩擦で徐々に削り取られ、新たな被膜を形成するため、その元となる有機モリブデン化合物や有機亜鉛化合物のいずれかが不足すると急激にその効果を失う。しかし、有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を増量すると、その皮膜が削られることによって副生される副生物が系内に増え、摺動機械そのものに悪影響を及ぼすため、増量することは有効ではなく、前記有機モリブデン化合物を利用した系では、潤滑剤の長寿命化による燃費改善等の効果はあまり期待できないのが実状である。この様に、従来の潤滑剤は、重金属元素、リン酸化合物及び硫化物等の環境有害物質又は環境汚染物質を含むことなく、潤滑剤としての優れた性能を示すとともに、その性能を長期的に維持できる材料は、未だに提供されていない。
【0005】
本発明者らは、このような従来技術がもつ欠点を改良するために鋭意研究を重ね、先に、トリアジン構造を有する化合物を主成分とする潤滑剤組成物が、環境適合性あるいは潤滑剤の長寿命化による燃費改善に優れ、摩擦係数の低減剤、極圧剤又は磨耗防止剤として有用な潤滑性能示すことを見出した(特許文献1)。しかしながら、潤滑剤は多様な性能が要求され、しかも、近年、種々の機械の高性能化、苛酷な使用条件などに伴い、さらなる高度な性能が要求されてきている。
【特許文献1】特開2003−64390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、従来の潤滑剤基油と混合した形態のみならず、潤滑剤基油を混合しない形態でも、優れた潤滑剤性能を示す潤滑剤組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、摺動面において低摩擦性及び耐摩耗性を長期的に維持できる、特に極圧下においても、低摩擦性及び耐摩耗性を期的に維持できる潤滑剤組成物を提供することを課題とする。さらに、本発明は、環境適合性に乏しい重金属元素、リン酸基及び硫化物を排除することにより、長寿命化及び環境適合性を両立し得る潤滑剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、特定の二種の構造式で表される化合物のそれぞれを含有する組成物が、優れた潤滑性能を示すとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物を主成分として含有することを特徴とする潤滑剤組成物:
一般式(1)
【化1】


式中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは、各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し、mは、2〜11の整数を表し;
一般式(2)
31−SO2NH2
式中、R31は置換基を表す。
【0009】
[2] 上記一般式(1)中のDが、5〜7員環構造の複素環残基であることを特徴とする[1]の潤滑剤組成物。
[3] 上記一般式(1)中のm個のRのうち少なくとも1つが、エステル結合を含むことを特徴とする[1]又は[2]の潤滑剤組成物。
【0010】
[4] 上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの潤滑剤組成物:
一般式(3)
【化2】


式中、X1、X2及びX3は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R11、R12及びR13は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表し、但し、R11、R12及びR13のうち少なくとも1つは、エステル結合を含む。
【0011】
[5] 上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの潤滑剤組成物:
一般式(4)
【化3】


式中、X21、X22及びX23は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R21、R22及びR23は、各々独立に、置換基を表し、R21、R22及びR23のうち少なくとも1つは、エステル結合を含み、a21、a22及びa23は各々独立して1〜5の整数を表す。
【0012】
[6] 上記一般式(2)中のR31が、置換アリール基を表すことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの潤滑剤組成物。
[7] 前記一般式(1)で表される化合物1モルに対し、前記一般式(2)で表される化合物を0.5〜5モル含有する[1]〜[6]のいずれかの潤滑剤組成物。
[8] 上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物が錯体を形成することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの潤滑剤組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機械的摩擦摺動部において、耐摩耗性、極圧性及び低摩擦特性に優れる実用的な潤滑組成物を提供することができる。また、本発明によれば、広い温度領域でかかる性能を発揮する潤滑剤組成物を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明は、特定の環状構造の化合物及びスルファモイル基をもつ特定の化合物を主成分として含有する潤滑剤組成物に関するものである。
[一般式(1)で表される化合物]
本発明の潤滑剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する。前記一般式(1)で表される化合物は、その中心部に円盤状(環状)の分子部分を有する円盤状化合物である。側鎖部を除いた中心部の円盤状の形態的特徴は、例えば、その原形化合物である水素置換体について、以下のように表現され得る。まず、分子の大きさを以下のようにして求める。
1)該分子につき、できる限り平面に近い、好ましくは平面分子構造を構築する。この場合、結合距離、結合角としては、軌道の混成に応じた標準値を用いる事が好ましく、例えば日本化学会編、化学便覧改訂4版基礎編、第II分冊15章(1993年刊 丸善)を参照することができる。
2)前記1)で得られた構造を初期値として、分子軌道法や分子力場法にて構造最適化する。方法としては例えば、Gaussian92、MOPAC93、CHARMm/QUANTA、MM3が挙げられる。好ましくはGaussian92である。
3)構造最適化によって得られた構造の重心を原点に移動させ、座標軸を慣性主軸(慣性テンソル楕円体の主軸)にとる。
4)各原子にファンデルワールス半径で定義される球を付与し、これによって分子の形状を記述する。
5)ファンデルワールス表面上で各座標軸方向の長さを計測し、それらそれぞれをa、b、cとする。
以上の手順により求められたa、b、cをもちいて円盤状の形態を定義すると、a≧b>cかつa≧b≧a/2、好ましくはa≧b>cかつa≧b≧0.7aと表すことができる。またb/2>cであることが好ましい。
【0015】
また円盤状化合物の具体的化合物として挙げると、例えば日本化学会編、季刊化学総説No.22「液晶の化学」第5章、第10章2節(1994年刊 学会出版センター)、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.liq.Cryst.71巻、111頁(1981年)、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)、J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhang、J.s.Mooreらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.,116巻、2655頁(1994年)に記載の母核化合物の誘導体が挙げられる。
例えば、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、アントラセン誘導体、ヘキサエチニルベンゼン誘導体、ジベンゾピレン誘導体、コロネン誘導体及びフェニルアセチレンマクロサイクル誘導体が挙げられる。さらに、日本化学会編、“化学総説No.15 新しい芳香族の化学”(1977年 東京大学出版会刊)に記載の環状化合物及びそれらの複素原子置換等電子構造体を挙げることができる。
【0016】
一般式(1)
【化4】


【0017】
一般式(1)中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは、各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。mは、2〜11の整数を表す。
【0018】
前記一般式(1)中、Dは、好ましくは芳香族基又は複素環基を表す。芳香族基の芳香族環としては、例えば、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環及びピレン環があげられる。芳香族基は置換基を有していてもよい。複素環基は、5員、6員又は7員の複素環を有することが好ましい。5員環又は6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環が含まれる。トリアジン環が好ましく、1,3,5−トリアジン環があげられる。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。ただし、単環式複素環が好ましい。
【0019】
前記一般式(1)中、Xは単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。Xが単結合の場合、複素環基でピペリジンのように遊離原子価をもった窒素原子で直接結合してもよく、さらに、遊離原子価がなくともヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成してもよい。一般式(1)のXは、硫黄原子又はNR1基が好ましく、R1は、炭素数が3以下のアルキル基又は水素原子が好ましい。
【0020】
前記一般式(1)式中、Rが、アルキル基の場合、アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは2〜30であり、さらに好ましくは4〜30であり、よりさらに好ましくは6〜30である。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ等)、スルフィド基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ、プロピルアミノ等)、アシル基(アセチル、プロパノイル、オクタノイル、ベンゾイル等)及びアシルオキシ基(アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)や、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基及びウレイド基等が挙げられる。
【0021】
前記一般式(1)中、Rがアルケニル基又はアルキニル基の場合、炭素数及び形状は、アルキル基と同義であり、また、同様の置換基を有していてもよい。
【0022】
前記一般式(1)中、Rがアリール基の場合、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基及びピレニル基等が挙げられるが、フェニル基やナフチル基が好ましい。さらに、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、上記アルキル基の置換基で例示したものの他、アルキル基が挙げられ、炭素数8以上の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基、例えばアルキル基(オクチル、デシル、ヘキサデシル、2−エチルヘキシル等)、アルコキシ基(ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ等)、スルフィド基(ヘキサデシルチオ等)、置換アミノ基(ヘプタデシルアミノ等)、オクチルカルバモイル基、オクタノイル基及びデシルスルファモイル基等で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0023】
前記一般式(1)中、Rが複素環基の場合、Dと同様に、5員〜7員環構造の複素環残基が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、6員環が最も好ましい。これらの骨格の具体的な例としては、岩波理化学辞典 第3版増補版(岩波書店発行)の付録11章 有機化学命名法 表4.主要複素単環式化合物の名称 1606頁及び表5.主要縮合複素環式化合物の名称 1607頁に記載される化合物が挙げられる。また、これらは、アリール基と同様に、置換基を有していてもよく、炭素数8以上の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0024】
前記一般式(1)中、m個のRのうち少なくとも1つは、エステル結合を含むのが好ましい。
前記一般式(1)中、mは、2〜11の整数を表す。mが2以上の場合、2以上のX及びRは各々同一でも異なってもよい。mは3以上が好ましい。
【0025】
前記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0026】
一般式(3)
【化5】


【0027】
一般式(3)中、X1、X2及びX3は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。
【0028】
1、X2又はX3が単結合の場合、複素環基でピペリジンのように遊離原子価をもった窒素原子で直接結合してもよく、さらに、遊離原子価がなくともヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成してもよい。X1、X2又はX3が、単結合でない場合、NR1基(R1は、炭素数が1〜30のアルキル基又は水素原子)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基、例えば、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ウレイレン基、オキシスルホニル基、スルファモイル基等を表す。硫黄原子又はNR1基が好ましく、R1は、炭素数が3以下のアルキル基又は水素原子が好ましい。この中でも、NR1基は、イミノ基(−NH−)がより好ましい。
【0029】
前記一般式(3)中、R11、R12及びR13は、各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。R11、R12及びR13のうち少なくとも1つは、エステル結合を含む。
【0030】
11、R12及び/又はR13がアルキル基の場合、炭素数が1〜30であり、2〜30であることが好ましく、4〜30であることがより好ましく、6〜30であることがさらにより好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ等)、スルフィド基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ、プロピルアミノ等)、アシル基(アセチル、プロパノイル、オクタノイル、ベンゾイル等)及びアシルオキシ基(アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)や、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基及びウレイド基等が挙
げられる。
【0031】
11、R12及び/又はR13がアルケニル基、アルキニル基の場合、その炭素数及び形状は、アルキル基と同義であり、また、同様の置換基を有していてもよい。
【0032】
11、R12及び/又はR13がアリール基の場合、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基及びピレニル基等が挙げられるが、フェニル基やナフチル基が好ましい。さらに、炭素数8以上の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基、例えばアルキル基(オクチル、デシル、ヘキサデシル、2−エチルヘキシル等)、アルコキシ基(ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、2−ヘキシルデシルオキシ、ヘキシルオキシエチレンオキシエチレンオキシ等)、スルフィド基(ヘキサデシルチオ等)、置換アミノ基(ヘプタデシルアミノ等)、オクチルカルバモイル基、オクタノイル基及びデシルスルファモイル基等で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等で置換されていてもよい。
【0033】
11、R12及び/又はR13が複素環基の場合、一般式(1)のDと同様に、5員〜7員環構造の複素環残基が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、6員環が最も好ましい。これらの骨格の具体的な例も、岩波理化学辞典 第3版増補版(岩波書店発行)の付録11章 有機化学命名法 表4.主要複素単環式化合物の名称 1606頁及び表5.主要縮合複素環式化合物の名称1607頁に記載される化合物が挙げられる。また、これらは、アリール基と同様に、炭素数8以上の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0034】
さらに前記一般式(3)で表される化合物のより好ましい態様として、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0035】
下記一般式(4)
【化6】


【0036】
前記一般式(4)中、X1、X2及びX3は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。
【0037】
1、X2、X3が単結合の場合、複素環基でピペリジンのように遊離原子価をもった窒素原子で直接結合してもよく、さらに、遊離原子価がなくともヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成してもよい。X1、X2、X3は、単結合でない場合、NR1基(R1は、炭素数が1〜30のアルキル基又は水素原子)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基、例えば、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ウレイレン基、オキシスルホニル基、スルファモイル基等を表す。硫黄原子又はNR1基が好ましく、R1は、炭素数が3以下のアルキル基又は水素原子が好ましい。この中でも、NR1基は、イミノ基(−NH−)がより好ましい。
【0038】
置換基R21、R22及びR23は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニリルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシアミノカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が含まれるものが好ましい。さらに、置換基R21、R22及びR23は、これらの置換基から選ばれる1種以上の置換基によって置換されたこれらの置換基であってもよい。R21、R22及びR23のうち少なくとも1つは、エステル結合を含む。特に、R21、R22及びR23のうち少なくとも1つはエステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基が好ましい。さらに、R21、R22及びR23は、各々独立に置換基を表し、R21、R22及びR23のうち少なくとも1つは、エステル結合を含むものが好ましい。a21、a22及びa23は各々独立して1〜5の整数を表す。a21、a22及びa23が2以上の場合、R21、R22及びR23はいずれの位置であってもよい。また、複数のR21、R22及びR23は互いに異なっていてもよい。
【0039】
[一般式(2)で表される化合物]
本発明の潤滑剤組成物が含有する下記一般式(2)で表される化合物について詳細に説明する。
一般式(2)
31−SO2NH2
一般式(2)中、R31は置換基を表し、好ましくは、置換もしくは無置換の、アルキル基又はアリール基を表し、さらに好ましくは置換アリール基を表す。
【0040】
31がアルキル基の場合、炭素数が1〜30であり、2〜30であることが好ましく、4〜30であることがより好ましく、6〜30であることがさらにより好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニリルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシアミノカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
【0041】
31がアリール基の場合、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基及びピレニル基等が挙げられるが、フェニル基やナフチル基が好ましい。さらに、1種以上の置換基で置換されることが好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニリルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシアミノカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。さらに、これらの置換基から選ばれる1種以上の置換基によって置換されたこれらの置換基であってもよい。
【0042】
31は、炭素原子数4〜30のアルキル鎖を含む置換基によって置換された置換アリール基であるのが好ましく、炭素原子数6〜25のアルキル鎖を含む置換基によって置換された置換アリール基であるのがより好ましい。
【0043】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例(代表として一般式(3)で表される化合物の具体例)を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
【0044】
【化7】


【0045】
【化8】


【0046】
【化9】


【0047】
【化10】


【0048】
【化11】


【0049】
以下に、前記一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
【0050】
【化12】


【0051】
【化13】


【0052】
【化14】


【0053】
【化15】


【0054】
【化16】


【0055】
【化17】


【0056】
【化18】


【0057】
上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物の混合割合は、モル比で、一般式(1)で表される化合物1に対し、一般式(2)で表される化合物が、好ましくは0.5〜5であり、より好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜3である。
前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物とを併用することによって、低い低摩擦係数が低温から高温度域までの広い温度域で維持される。また、流体潤滑から境界潤滑などの様々な潤滑条件でも低摩擦の潤滑性能を発揮する。
【0058】
上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物のうち、より好ましい組み合わせとしては、例えば、一般式(3)において、X1、X2及びX3がイミノ基(−NH−)である化合物と、一般式(2)において、R31がアルキレンオキシ鎖を含有する置換基(例えば、アルキレンオキシ鎖を含有するC4〜C48アルキル基)である化合物との組み合わせが挙げられる。さらに好ましい組み合わせとして、上記一般式(4)において、X1、X2及びX3がイミノ基(−NH−)である化合物と、一般式(2)において、R31がアルキレンオキシ鎖を含有する置換基(例えば、アルキレンオキシ鎖を含有するC4〜C48アルキル基)である化合物との組み合わせが挙げられる。
【0059】
本発明の潤滑剤組成物に用いられる上記化合物の混合物は、それ自体のみで、潤滑剤組成物の基材油として用いることができる。また、潤滑油組成物の基油として用いられる鉱油や合成油と、混合して本発明の潤滑剤組成物の基材油としても用いられる。混合基材油として用いられる鉱油や合成油は、特に限定されるものではなく、一般に潤滑油基油として用いられているものならば何でも使用することができる。すなわち、これらに該当するものとしては、鉱油、合成油、或いはそれらの混合油がある。鉱油としては、例えば、パラフィン系、中間基系又はナフテン系原油の常圧又は減圧蒸留により誘導される潤滑油原料をフェノール、フルフラール、N−メチルピロリドンの如き芳香族抽出溶剤で処理して得られる溶剤精製ラフィネート、潤滑油原料をシリカーアルミナを担体とするコバルト、モリプデン等の水素化処理用触媒の存在下において水素化処理条件下で水素と接触させて得られる水素化処理油、水素化分解触媒の存在下において苛酷な分解反応条件下で水素と接触させて得られる水素化分解油、ワックスを異性化用触媒の存在下において異性化条件下で水素と接触させて得られる異性化油、あるいは溶剤精製工程と水素化処理工程、水素化分解工程及び異性化工程等を組み合わせて得られる潤滑油留分等を挙げることができる。特に、水素化分解工程や異性化工程によって得られる高粘度指数鉱油が好適なものとして挙げることができる。いずれの製造法においても、脱蝋工程、水素化仕上げ工程、白土処理工程等の工程は、常法により、任意に採用することができる。鉱油の具体例としては、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油及びブライトストック等が挙げられ、要求性状を満たすように適宜混合することにより基油を調整することができる。合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングルコールエーテル、シリコーン油等を挙げることができる。これらの基油は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油を組み合わせて使用してもよい。本発明の潤滑剤組成物の混合基材油として使用してもよい、このような通常基油は、100℃において、一般に、2〜20mm2/sの動粘度を有し、好適な動粘度は3〜15mm2/sの範囲である。本発明の潤滑剤組成物が用いられる機械的摩擦摺動部の潤滑条件に適するように、適宜、最適な動粘度を有した混合基材油が選択される。
【0060】
本発明の潤滑剤組成物において、通常基油との配合割合は、基材油全量基準で、通常、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との合計の含有量が0.1〜20重量%であり、後者の通常基油、すなわち鉱油及び/又は合成油が80〜99.9重量%である。好ましくは、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との合計の含有量が0.1〜10重量%であり、最も好ましくは、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との合計の含有量が0.1〜5重量%である。しかし、本発明の潤滑剤組成物は、前記したように、それ自体のみでも、潤滑剤組成物の基材油として用いることができ、単独で用いる方が効果的な場合が多く、苛酷な潤滑条件でも広い温度範囲で低摩擦係数が得られ、同時に耐摩耗性にも優れた効果が発揮される。
【0061】
本発明の潤滑剤組成物は、種々の用途に適応した実用性能を確保するため、さらに必要に応じて、潤滑剤、例えば軸受油、ギヤ油、動力伝達油などに用いられている各種添加剤、すなわち摩耗防止剤、極圧剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、消泡剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0062】
酸化防止剤としては、具体的には、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の連鎖停止型の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛系、ジチオカルバミン酸亜鉛系、ジチオリン酸モリブデン系、ジチオカルバミン酸モリブデン系等の過酸化物分解型の酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、銅系酸化防止剤等、潤滑油用の酸化防止剤として使用される公知の酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
【0063】
摩耗防止剤としては、例えば、(亜)リン酸エステル類、チオ(亜)リン酸エステル類、これらのアミン塩、チオリン酸エステルの金属塩(ジチオリン酸亜鉛等)、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、ジチオカルバミン酸亜鉛等の硫黄含有化合物等が挙げられる。
【0064】
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体若しくは共重合体又はその水添物などのいわゆる非分散型粘度指数向上剤、又はさらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる。)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
【0065】
本発明の潤滑剤組成物は、苛酷な潤滑条件において、摩擦係数が低いこと、耐摩耗性と極圧性に優れていること等の特徴を有している。本発明の潤滑剤組成物は、一般式(1)で表される化合物、好ましくは一般式(3)、より好ましくは一般式(4)で表される構造を有する化合物と一般式(2)で表される化合物を混合して、最適なもの、すなわち、−40℃でも液状なものとすることにより、低温でも使用可能になり、実用的なものとできる。
【0066】
さらに、本発明の潤滑剤組成物は、前記のような特徴を活かして、従来の潤滑油やグリースなどの潤滑剤では、油膜切れを生じるような苛酷な潤滑条件であっても、焼付きを生じるようなことなく、耐摩耗性であって、低摩擦係数を得ることができ、苛酷な潤滑条件の軸受やギヤなどにおいて、省エネルギーな潤滑剤として好適に使用することができる。しかも、本発明の潤滑剤組成物は、苛酷な潤滑条件であっても、焼付きを生じないため、摺動部装置の信頼性が向上し、摺動部装置の小型化に寄与することができる。
【実施例】
【0067】
本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
前記一般式(1)及び(2)でそれぞれ表される化合物、及び潤滑剤基油を用いて下記表1に示す潤滑剤組成物(実施例1〜24)を調製した。また、比較例として、潤滑剤基油のみ、あるいは下記比較化合物M−2を用いて同様に下記表2に示す潤滑剤組成物(比較例1〜8)を調製した。
【0069】
【化19】


【0070】
調製したこれらの組成物のそれぞれについて以下の条件で摩擦試験を実施し、摩擦係数を測定した。なお、実施例における摩擦係数は、往復動型摩擦試験機(SRV摩擦摩耗試験機)を用いて測定した。
[試験条件]
試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
シリンダ:φ15×22mm
温度:80℃
荷重:100N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:試験開始5分間
実施例1〜24の結果を表1に、比較例1〜8の結果を表2に示した。
【0071】
【表1】


【0072】
【表2】


【0073】
上記表1及び表2に示した実施例と比較例の評価結果から、本発明の潤滑剤組成物は、従来の潤滑油と比較して格段に優れた耐摩擦性を示すことが理解できる。
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス


【公開番号】 特開2008−7634(P2008−7634A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179506(P2006−179506)