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【発明の名称】 潤滑油組成物
【発明者】 【氏名】光井 秀明

【氏名】藤巻 好朝

【要約】 【課題】高温酸化時においても動粘度及び粘度指数の変化の変動幅が少なく、摩擦特性を維持しながら何時でも同じような状態で使用可能な潤滑油組成物を得ようとする。

【構成】合成油及び/または鉱油の基油に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートと、フェノール系の酸化防止剤を配合して潤滑油組成物とする。更に、これにスルフォネート、フェネート、サリシレートのアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を配合して潤滑油組成物とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成油及び/または鉱油の基油に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートと、フェノール系の酸化防止剤を配合した潤滑油組成物。
【請求項2】
合成油及び/または鉱油の基油に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートと、フェノール系の酸化防止剤、及びスルフォネート、フェネート、サリシレートのアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を配合した潤滑油組成物。
【請求項3】
合成油及び/または鉱油の基油に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートと、アミン系の酸化防止剤と、サリシレートのアルカリ土類金属塩を配合した潤滑油組成物。
【請求項4】
上記基油が、合成油のGTLであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑油に関し、特に摩擦特性、耐摩耗性が良好で、かつ酸化安定性、熱安定性が要求される潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油、特に自動変速機油はトルクコンバーター、湿式クラッチ、歯車軸受機構、油圧機構を含む自動変速機に使用される潤滑油であるが、この自動変速機を円滑に作動させるためには、動力の伝導媒体、歯車などの潤滑、伝熱媒体、一定の摩擦特性の維持など多様な機能がバランスよく備わっていることが求められている。
こうした自動変速機において、変速時のショックの低減を図ると共に、良好なトルク伝達機能を発揮し、エネルギー損失を減少させるために、潤滑油の粘度の調整、摩擦の調整が必要である。
潤滑油に対するこうした調整のために、ポリメタクリレート系の粘度調整剤を使用したり(特許文献1)、リン酸エステル化合物が使用されている。(特許文献2、3、4)
【0003】
更に、最近では、従来の個々の摩擦調整剤や粘度指数向上剤によって調整を行うのとは異なり、粘度指数向上と共に摩擦調整を同時に行う添加剤も提案されているが、酸化安定性において充分ではなく、高温使用時における熱安定性についても解決すべき課題が残っていた。
【特許文献1】特開2001−181664号公報
【特許文献2】特開平3−39399号公報
【特許文献3】特開平7−268375号公報
【特許文献4】特開2000−63869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、摩擦調整剤と酸化防止剤を組み合わせた場合、これらの組み合わせ適合が良くないと高温時における酸化が問題となることが判ったところから、高温酸化時においても動粘度及び粘度指数の変化の変動幅が少なく、何時でも同じような状態で使用可能な潤滑油組成物を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、合成油及び/または鉱油の基油に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートと、フェノール系の酸化防止剤を配合して潤滑油組成物としたものである。更に、これにスルフォネート、フェネート、サリシレートのアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を配合して潤滑油組成物としたものである。
また、合成油及び/または鉱油の基油に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートと、アミン系の酸化防止剤と、サリシレートのアルカリ土類金属塩を配合することによって潤滑油組成物としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の潤滑油組成物は、摩擦特性を維持しながら飛躍的に酸化安定性の良い潤滑油組成物とすることができ、高温酸化時においても動粘度及び粘度指数の変化の変動幅が少なく、動力の伝導媒体、歯車などの潤滑、伝熱媒体、一定の摩擦特性の維持など多様な機能がバランスよく備わっており、何時でも同じような状態で長く使用することができる。
また、この潤滑剤組成物は自動車用ギヤ油、AT油、MT油、CVT油等の変速機油、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、ガスエンジン等の内燃機関用潤滑油、工業用ギヤ油、油圧作動油、圧縮機油等の工業用潤滑油にも広く有効に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本潤滑油組成物の基油には、通常の潤滑油に使用される鉱油、合成油を使用することができ、特に、API(American Petroleum Institute;米国石油協会)基油カテゴリーでグループ1、グループ2、グループ3、グループ4などに属する基油を、単独または混合物として使用することができる。ここで使用する基油は、硫黄元素分が700ppm未満、好ましくは500ppm未満がよい。また密度は0.8〜0.9がよい。アロマ分は5%以下、好ましくは3%以下がよい。
【0008】
グループ1基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤精製、水素化精製、脱ろうなどの精製手段を適宜組合せて適用することにより得られるパラフィン系鉱油がある。粘度指数は80〜120、好ましくは95〜120がよい。40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。また全硫黄分は700ppm未満、好ましくは500ppm未満がよい。全窒素分も300ppm未満、好ましくは100ppm未満がよい。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは90〜120℃のものを使用するのがよい。
【0009】
グループ2基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組合せて適用することにより得られたパラフィン系鉱油がある。ガルフ社法などの水素化精製法により精製されたグループ2基油は、全イオウ分が10ppm未満、アロマ分が5%以下であり、本発明に好適である。これらの基油の粘度は特に制限されないが、粘度指数は80〜120、好ましくは100〜120がよい。40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。また全硫黄分は300ppm未満、好ましくは200ppm未満、更に好ましくは10ppm未満がよい。全窒素分も10ppm未満、好ましくは1ppm未満がよい。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは100〜135℃のものを使用するのがよい。
【0010】
グループ3基油及びグループ2プラス基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油や、脱ろうプロセスにて生成されるワックスをイソパラフィンに変換・脱ろうするISODEWAXプロセスにより精製された基油や、モービルWAX異性化プロセスにより精製された基油も好適である。アメリカの広告審議を担当するNAD(National Advertising Division)の評決により「合成油」として表記が可能なものを含む。
これらの基油の粘度は特に制限されないが、粘度指数は95〜160、好ましくは100〜160がよい。40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。また全硫黄分は、0〜100ppm、好ましくは10ppm未満がよい。全窒素分も10ppm未満、好ましくは1ppm未満がよい。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは110〜135℃のものを使用するのがよい。
【0011】
天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)は、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本発明の基油として好適である。GTL基油の粘度性状は特に制限されないが、通例、粘度指数は130〜180、より好ましくは135〜180である。また40℃における動粘度は、2〜680mm/s、より好ましくは5〜120mm/sである。また、通例、全硫黄分は10ppm未満、全窒素分1ppm未満である。そのようなGTL基油商品の一例として、SHELL XHVI(登録商標)がある。
【0012】
合成油としては、例えば、ポリオレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油などが挙げられる。
【0013】
上記ポリオレフィンには、各種オレフィンの重合物又はこれらの水素化物が含まれる。オレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5以上のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィンの製造にあたっては、上記オレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特にポリαオレフィン(PAO)と呼ばれているポリオレフィンが好適であり、これはグループ4基油である。
これら合成基油の粘度は特に制限されないが、40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。
【0014】
本発明の潤滑油組成物における上記基油の含有量は特に制限されないが、潤滑油組成物の全量基準で60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
【0015】
上記した末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートは、下記一般式(1)で示される少なくとも1種の単量体と、一般式(2)で示される少なくとも1種の単量体を共重合したもので、3,000〜500,000の重量平均分子量を有する油溶性の共重合体である。
CH=C(R)−Q−(Z−A−X (1)
CH=C(R)−CO−(O−A−OR (2)
上記式中、Xは式−(O)−P(=O)(ORで示される極性基、aおよびbの一方は1であり、他方は0または1であり、2個のRは同一または異なる、H,炭素数1〜24のアルキル基,式−(A−Z)−Q−C(R)=CHで示される基または式M1/fのカチオンであり、Mはf価(1価または2価)のカチオンである。
上記RはHまたはメチル基であり、Zは−O−または−NH−であり、Aは炭素数2〜18のアルキレン基であり、mは0または1もしくは2〜50の整数であり、Qは−CO−または炭素数1〜22の2価の炭化水素基であり、mが0のときはQが炭素数1〜22の2価の炭化水素基である。
また、上記のRはHまたはメチル基であり、nは0または1〜30の整数であり、Aは炭素数2〜18のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜32の脂肪族炭化水素基,炭素数5〜7の脂環族炭化水素基または炭素数7〜32のアラルキル基であり、複数個ある場合のA,Z,Q,R,mおよびAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0016】
上記式(1)において、X式;−(O)−P(=O)(OR中のRは炭素数1〜24のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、特にメチルおよびエチル基である。
【0017】
が−(A−Z)−Q−C(R)=CHである場合のQ、ZおよびAとしては、以下のものが挙げられる。
Qの炭素数1〜22の2価の炭化水素基には、直鎖および分岐の脂肪族炭化水素基(例えば、メチレン、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2−へキシレン、1,6−へキシレンおよび1,2−ドデシレン基)、脂環式炭化水素基(例えば、シクロヘキシレン、シクロヘキシルメチレン、シクロヘキシルエチレンおよびシクロオクチルへキシレン基)および芳香族炭化水素基(例えば、フェニレン、フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルへキシレン、フェニルビスメチレンおよびフェニルビスエチレン基)がある。これらの炭化水素基のうちで好ましいのはC1〜10、特にC1〜2のものである。
Qのうち好ましいのは、脂肪族炭化水素基(特にメチレン基)および特に−CO−である。Zは−O−が、好ましい。
【0018】
の例には、上記Qの2価の脂肪族炭化水素基のうちのC2〜18のアルキレン基が含まれる。好ましいのはC2〜4のアルキレン基である。
−(Z−A)m−は、m個のオキシアルキレン基またはアミノアルキレン基を表す。Qが−CO−のときのmは好ましくは1または2〜20、さらに好ましくは1または2〜6、特に1である。Qが炭素数1〜22の炭化水素基のときのmは0でもよく、好ましくは0または1である。
【0019】
上記式(1)におけるCH=C(R)−Q−(Z−A)m−のQ、ZおよびAも上記と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0020】
Xの式−(O)−P(=O)(ORで示される極性基には、リン酸基、ホスホン酸基、亜リン酸基およびそれらのエステルおよび塩が含まれる。好ましいのはbが1のもの、特にaもbも1のものである。
上記式(1)のうち、Xが−(O)−P(=O)(ORである単量体の例としては以下のものが挙げられる。
【0021】
a=1、b=1、RがいずれもHの単量体:
モノアルケニル(C3〜12)ホスフェート[例えばモノ(メタ)アリル、モノ(イソ)プロペニル、モノブテニル、モノペンテニル、モノオクテニル、モノデセニルおよびモノドデセニルホスフェート]、モノ(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)ホスフェート[例えばモノメタクリロイロキシエチルホスフェート(以下、EPMAと略記)、モノアクリロイロキシエチルホスフェート、およびモノ(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]、並びにモノメタクリロイルポリ(重合度2〜20)オキシエチレンホスフェート(以下、PEPMAと略記)など。市販品としては、共栄社化学株式会社製の「ライトエステルP−1M」(組成はEPMA)およびUni Chemical社製の「Phosmer PE」(組成は重合度4〜5のPEPMA)などがある。
【0022】
a=1、b=1、Rのうち少なくとも1つがアルキル基の単量体:
モノアルケニル(C3〜12)モノアルキル(C1〜24)ホスフェート[例えばアリルモノメチルおよびアリルモノエチルホスフェート]、モノアルケニル(C3〜12)ジアルキル(C1〜24)ホスフェート[例えばアリルジメチルおよびアリルジエチルホスフェート]、並びにモノ(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)モノアルキル(C1〜24)フォスフェート[例えばモノ(メタ)アクリロイロキシエチルモノメチルホスフェート]。
【0023】
a=1、b=1、Rのうち少なくとも1つが−(A−Z)m−Q−C(R)=CHの単量体:
ジ(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)ホスフェート[例えばジメタクリロイロキシエチルホスフェート(以下、DEPMAと略記)、ジアクリロイロキシエチルおよびジ(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]。市販品としては、共栄社化学株式会社製の「ライトエステルP−2M」(組成はDEPMA)など。
【0024】
a=0、b=1、RがいずれもHの単量体:
アルケン(C3〜12)ホスホン酸[例えば2−プロペン−1−、1−プロペン、デセンおよびドデセンホスホン酸]、モノ(メタ)アクリロイロキシアルカン(C2〜12)ホスホン酸[例えばモノ(メタ)アクリロイロキシエタンおよびモノ(メタ)アクリロイロキシイソプロパンホスホン酸]、並びにモノ(メタ)アクリロイルポリ(重合度2〜20)オキシエチレンホスホン酸。
【0025】
a=0、b=1、Rのうち少なくとも1つがアルキル基の単量体:
モノアルキル(C1〜24)モノアルケン(C3〜12)ホスホネート[例えばモノメチルおよびモノエチル2−プロペン−1−ホスホネート]、ジアルキル(C1〜24)アルケン(C3〜12)ホスホネート[例えばジメチルおよびジエチル2−プロペン−1−ホスホネート]、並びにモノアルキル(C1〜24)モノ(メタ)アクリロイロキシアルカン(C2〜12)ホスホネート[例えばモノメチルモノ(メタ)アクリロイロキシエタンホスホネート]。
【0026】
a=0、b=1、Rのうちの少なくとも1つが−(A−Z)m−Q−C(R)=CHの単量体:
(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)(メタ)アクリロイロキシアルカン(C2〜12)ホスホネート[例えば(メタ)アクリロイロキシエチル(メタ)アクリロイロキシエタンおよび(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリロイロキシプロパンホスホネート]。
【0027】
a=1、b=0、RがいずれもHの単量体:
モノアルケニル(C3〜12)ホスファイト[例えばモノアリル、モノプロペニル、モノデセニルおよびモノドデセニルホスファイト]、モノ(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)ホスファイト[例えばモノ(メタ)アクリロイロキシエチルおよびモノ(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスファイト]、並びにモノ(メタ)アクリロイルポリ(重合度2〜20)オキシエチレンホスファイトなど。
【0028】
a=1、b=0、Rのうち少なくとも1つがアルキル基の単量体:
モノアルケニル(C3〜12)モノアルキル(C1〜24)ホスファイト[例えばアリルモノメチルおよびアリルモノエチルホスファイト]、モノアルケニル(C3〜12)ジアルキル(C1〜24)ホスファイト[例えばアリルジメチルおよびアリルジエチルホスファイト]、並びにモノ(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)モノアルキル(C1〜24)ホスファイト[例えばモノ(メタ)アクリロイロキシアルキルエチルモノメチルホスファイト]。
【0029】
a=1、b=0、Rのうち少なくとも1つが−(A−Z)m−Q−C(R)=CHの単量体:
ジ(メタ)アクリロイロキシアルキル(C2〜12)ホスファイト[例えばジ(メタ)アクリロイロキシエチルおよびジ(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスファイト]。
【0030】
上記式(1)の単量体のうち好ましいのは、摩擦調整効果の観点から、上記(a=1、b=1)、(a=0、b=1)、特に(a=1、b=1)である。(a=1、b=1)のうち、好ましいのは(a=1、b=1、RがいずれもHの単量体)、(a=1、b=1、Rのうち少なくとも1つが−(A−Z)m−Q−C(R)=CHの単量体)および両者の併用、とりわけEPMA、DEPMA、PEPMAおよびこれらの併用である。併用の場合、好ましいのは50%(重量%;以下同じ)以上、特に60〜95%の両者の併用である。
【0031】
上記一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基であり、メチル基が好ましい。AはC2〜18のアルキレン基であり、例えば、上記のAと同様の基が挙げられ、好ましいものも同様である。nは、好ましくは0または1〜10、さらに好ましくは0または1である。
【0032】
の炭素数1〜32の脂肪族炭化水素基としては、C1〜32の直鎖もしくは分岐のアルキル基、C2〜32の直鎖もしくは分岐のアルケニル基がある。
アルキル基としては前述のアルキル基の他にヘキサコシル、オクタコシル(2−ドデシルヘキサデシルなど)、トリアコシル並びにドトリアコシル基(2−テトラデシルオクタデシル基など);アルケニル基としては、ビニル、(メタ)アリル、イソプロペニル、ブテニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、ペンタデセニル、オクタデセニル、ドコセニル、テトラコセニル、オクタコセニルおよびトリアコセニル基が挙げられる。
のC5〜7の脂環族炭化水素基としては、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル基など、C7〜32のアラルキル基(アルキル基は直鎖もしくは分岐の基)としては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルブチル、フェニルノニルおよびフェニルドデシル基などが挙げられる。
がC2〜3の場合は、油溶性の観点から、nは好ましくは0もしくは1〜10の整数、さらに好ましくは0もしくは1特に0である。
【0033】
上記した一般式(2)で示される単量体には、以下のものがある。
(2−1):
C1〜7(好ましくはC1〜6、さらに好ましくはC1〜4とくにC1)のアルキル基、C2〜7(好ましくはC2〜3)のアルケニル基、C5〜7(好ましくはC6)のシクロアルキル基またはC7〜8のアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル:例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル、ブチルおよびヘキシル(メタ)アクリレート;アリルおよびイソプロペニル(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレート;ベンジルおよびフェニルエチル(メタ)アクリレート。
【0034】
(2−2):
C8〜32(好ましくはC8〜24、さらに好ましくはC12〜24)のアルキル基またはアルケニル基、またはC9〜32(好ましくはC9〜18)のアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル:例えば、ドデシルメタクリレート(以下、MA−12と略記)、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−デシルテトラデシルメタクリレート、ドデシル,テトラデシル,ヘキサデシル,オクタデシルおよび2−デシルテトラデシルアクリレート、2−エチルヘキシル,n−オクチル,デシル,イソデシル,トリデシル,エイコシルおよびテトラコシル(メタ)アクリレート、オクテニル,デセニル,ドデセニルおよびオクタデセニル(メタ)アクリレートなど。
【0035】
(2−3):
(ポリ)アルキレン(C2〜18)グリコールモノアルキル(C1〜32、好ましくはC1〜8)、アルケニル(C2〜32、好ましくはC2〜3)もしくはアラルキル(C7〜32、好ましくはC7〜8)エーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル:アルキレン基、アルキル基、アルケニル基およびアラルキル基としては、前述と同様の基、アルキレングリコールの重合度は、好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜10である。
例えば、(ポリ)エチレングリコール(重合度1〜9)モノメチルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(重合度1〜5)モノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルおよびポリプロピレングリコール(重合度2〜4)モノブチルエーテル モノ(メタ)アクリレートなど。
【0036】
上記式(2)の単量体のうち、好ましいのは上記(2−1)、(2−2)、(2−3)のうちの2種以上の併用であり、更に好ましいのは(2−1)のうちの1〜2種と、(2−2)のうちの2種以上、特に2〜4種の併用である。
併用の場合の(2−1)/(2−2)の重量比は、好ましくは50/50〜2/98、特に35/65〜3/97である。(2−2)が50以上であれば共重合体が油溶性になりやすく、98以下であれば摩擦調整効果が特に良好に発揮できる。また、上記式(2)の単量体中の[(2−1)+(2−2)]の量は、上記式(2)の単量体の重量に基づいて好ましくは80〜100%、さらに好ましくは100%である。
なお、上記式(2)の単量体の式中のnが0または1であり、Rが炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基または炭素数7〜8のアラルキル基である単量体(2−1)が2〜50%と、一般式(2)の式中のnが0または1であり、Rが炭素数8〜32のアルキル基もしくはアルケニル基または炭素数9〜32のアラルキル基である単量体(2−2)が50〜98%からなるものが好ましい。
【0037】
共重合体の重量に基づく上記式(1)の単量体の含量は、好ましくは0.01〜50%、さらに好ましくは0.05〜40%、特に0.1〜15%、最も好ましくは0.2〜5%である。上記式(1)の単量体が0.01%以上であれば摩擦調整効果に優れている点で好ましく、50%以下であれば油溶性になりやすいとの観点で好ましい。
共重合体の重量に基づく上記式(2)の単量体の含量は、好ましくは50〜99.99%、さらに好ましくは60〜99.95%、特に85〜99.9%、最も好ましくは95〜99.8%である。
【0038】
この末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートは、従来から知られているラジカル重合方法、例えば溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法により、好ましくは溶液重合法により製造することができる。通常、溶剤中で、開始剤および必要により連鎖移動剤の存在下で、上記式(1)の単量体、上記式(2)の単量体をラジカル重合させることにより製造できる。
【0039】
溶剤には、鉱油[溶剤精製油、水素化改質油(例えば粘度指数100〜160の高粘度指数油)、ナフテン系オイル]並びに合成油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油など)およびエステル系合成潤滑油]などの高引火点溶剤(引火点130℃以上);その他の溶剤[脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、アルコール系溶剤[イソプロピルアルコール、オクタノール、ブタノール等]、ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)]およびこれらの2種以上の併用が含まれる。好ましいのは、高引火点溶剤、芳香族炭化水素およびアルコール系溶剤、特にイソプロピルアルコールである。
【0040】
開始剤には、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤およびレドックス系開始剤がある。
アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、AVNと略記)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩(例えば塩酸塩など)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミドなどが挙げられる。
【0041】
過酸化物系開始剤としては無機過酸化物[例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど]、有機過酸化物[例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ラウリルパーオキシドなど]が挙げられる。
【0042】
レドックス系開始剤には、アルカリ金属の亜硫酸塩および重亜硫酸塩(例えば、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウムなど)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、アスコルビン酸などの還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、有機過酸化物などの酸化剤との組合せよりなるものが含まれる。連鎖移動剤には、例えばメルカプタン類[n−ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノールなど]、チオカルボン酸類(チオグリコール酸、チオリンゴ酸など)、2級アルコール類(イソプロパノ−ルなど)、アミン類(ジブチルアミンなど)、次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウなど)などが含まれる。
【0043】
重合温度は、好ましくは30〜140℃、さらに好ましくは50〜130℃、特に70〜120℃である。重合温度は断熱重合法または温度制御重合法によって制御される。
また、熱による重合開始の方法の他に、放射線、電子線、紫外線などを照射して重合を開始させる方法を採ることもできる。好ましいものは温度制御した溶液重合法である。
さらに、共重合としては、ランダム付加重合および交互共重合のいずれでもよく、またグラフト共重合およびブロック共重合のいずれでもよい。
【0044】
この末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレートは、希釈剤で溶解・希釈することにより基油への溶解が容易になる。
希釈剤としては、上記した共重合体の製造法において挙げた溶剤が使用でき、重合工程で使用した溶剤を除去せずにそのまま残しておいてもよい。希釈剤のうち、好ましいのは鉱油、合成油である。
希釈剤への溶解は、必要により加熱(好ましくは40〜150℃)下に行われる。
この端にリン酸エステルを付加した添加剤の量は0.0001%〜15%が好ましく、0.001%〜10%がより好ましい。
【0045】
潤滑油組成物に配合する上記したフェノール系酸化防止剤には、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用することもできる。
これらフェノール系酸化防止剤の含量は好ましくは0.01%〜5%であり、より好ましくは0.05%〜2%である。0.01%より少ないと効果がなくまた5%より多く含んでもそれ以上の効果は見られない。
【0046】
上記したアミン系酸化防止剤としては、例えば、芳香族アミンとして、フェニル−α−ナフチルアミン系化合物、ジアルキルジフェニルアミン系化合物が挙げられる。
このフェニル−α−ナフチルアミン系化合物としては、下記一般式(3)で表されるフェニル−α−ナフチルアミンが好ましく用いられる。
【0047】
【化1】


[式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示す。]
【0048】
一般式(3)中のRがアルキル基である場合、当該アルキル基は前述の通り炭素数1〜16の直鎖上又は分岐状のものである。このようなアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、及びヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。なお、Rの炭素数が16を超える場合には分子中に占める官能基の割合が小さくなり、酸化防止性能に悪影響を与える恐れがある。
【0049】
一般式(3)中のRがアルキル基である場合、溶解性に優れる点から、Rは、炭素数8〜16の分枝アルキル基が好ましく、さらに炭素数3又は4のオレフィンのオリゴマーから誘導される炭素数8〜16の分枝アルキル基がより好ましい。炭素数3又は4のオレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレンが挙げられるが、溶解性の点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。
更に優れた溶解性を得るためには、Rは、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの5量体から誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましく、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基が特に好ましい。
【0050】
また、Rがアルキル基である場合、フェニル基の任意の位置に結合可能であるがアミノ基に対してp−位であることが好ましい。更に、アミノ基はナフチル基の任意の位置に結合可能であるが、α位であることが好ましい。
【0051】
一般式(3)で表されるフェニル−α−ナフチルアミンとしては、市販のものを用いても良く、また合成物を用いても良い。合成物は、フリーデル・クラフツ触媒を用いて、フェニル−α−ナフチルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物との反応、あるいはフェニル−α−ナフチルアミンと炭素数2〜16のオレフィン又は炭素数2〜16のオレフィンオリゴマーとの反応を行うことにより容易に合成することができる。フリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄等の金属ハロゲン化物;硫酸、リン酸、五酸化リン、フッ化ホウ素、酸性白土、活性白土等の酸性触媒;等を用いることができる。
【0052】
ジアルキルジフェニルアミン系化合物としては、下記一般式(4)で表されるジアルキルジフェニルアミンが好ましく用いられる。
【0053】
【化2】


[式(4)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
【0054】
及びRで表されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。
これらの中でも、溶解性に優れる点から、R及びRとしては、炭素数3〜16の分枝アルキル基が好ましく、炭素数3又は4のオレフィン又はそのオリゴマーから誘導される炭素数3〜16の分枝アルキル基がより好ましい。炭素数3又は4のオレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレン等が挙げられるが、溶解性に優れる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。
【0055】
また、R又はRとしては、更に優れた溶解性が得られることから、それぞれプロピレンから誘導されるイソプロピル基、イソブチレンから誘導されるtert−ブチル基、プロピレンの2量体から誘導される分枝ヘキシル基、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの5量体から誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましく、イソブチレンから誘導されるtert−ブチル基、プロピレンの2量体から誘導される分枝ヘキシル基、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基が最も好ましい。
【0056】
なお、R又はRの一方又は双方が水素原子である化合物を用いると、当該化合物自体の酸化によりスラッジが発生する恐れがある。また、アルキル基の炭素数が16を超える場合には、分子中に占める官能基の割合が小さくなり、高温での酸化防止性が低下する恐れがある。
【0057】
又はRで示されるアルキル基は、それぞれフェニル基の任意の位置に結合可能であるが、アミノ基に対してp−位であることが好ましく、すなわち一般式(4)で表されるジアルキルジフェニルアミンはp,p’−ジアルキルジフェニルアミンであることが好ましい。
【0058】
一般式(4)で表されるジアルキルジフェニルアミンは市販のものを用いても良く、また合成物を用いても良い。合成物は、フリーデル・クラフツ触媒を用い、ジフェニルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物とジフェニルアミンとの反応、あるいはジフェニルアミンと炭素数2〜16のオレフィン又は炭素数2〜16のオレフィン又はこれらのオリゴマーとの反応を行うことにより容易に合成することができる。フリーデル・クラフツ触媒としては、上記フェニル−α−ナフチルアミン系化合物の説明において例示された金属ハロゲン化物や酸性触媒等が用いられる。
【0059】
上記一般式(3)、(4)で表される芳香族アミンは1種を単独で用いても良いし、構造の異なる2種以上の混合物を用いても良いが、高温での酸化防止性をより長期にわたって維持できることから、一般式(3)で表されるフェニル−α−ナフチルアミンと一般式(4)で表されるジアルキルジフェニルアミンとを併用することが好ましい。この場合の混合比は任意であるが、重量比で1/10〜10/1の範囲にあることが好ましい。
これらアミン系酸化防止剤の含量は好ましくは0.01%から5%、より好ましくは0.05%から2%、である。0.01%より少ないと効果がなく、また5%より多く含んでもそれ以上の効果は見られない。
【0060】
この潤滑油組成物に配合されるものとして、金属清浄剤として知られている、例えばスルフォネート、フェネート、サリシレートなどのアルカリ土類金属塩がある。これらは単独あるいは二種類以上組み合わせて使用できる。アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムが挙げられる。通常、カルシウム又はマグネシウムのスルフォネート、フェネート、サリシレートが好ましく用いられる。
【0061】
スルフォネートとして、上記アルキルベンゼンスルホン酸またはアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ土類金属塩には、一般式(5)又は一般式(6)のものが挙げられる。
【化3】


【0062】
【化4】


【0063】
上記一般式(5)及び一般式(6)中、M、M3はアルカリ土類金属であり、R、R12は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基であり、それらが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なってもよい。また、h,kは1〜2である。
過塩基性アルカリ土類金属のスルフォネートは、正塩に過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩の炭酸塩又はホウ酸塩を炭酸ガスの存在下で反応させて得られる塩基性スルフォネートを用いることもできる。
【0064】
これらのアルカリ土類金属スルフォネートの塩基価(BN)は50〜500mgKOH/gである、アルカリ土類金属塩が含有されているスルフォネートである。なお、塩基価は、JIS K2501の塩酸法によって測定することができる。
【0065】
アルカリ土類金属フェネート としては、例えば、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩又はカルシウム塩などが挙げられる。具体的には、下記一般式(7)、(8)で表されるものを挙げることができる。
過塩基性アルカリ土類金属のフェネートは、アルキルフェノール又は硫化アルキルフェノールのアルカリ土類金属塩であり、通常、アルキルフェノールまたは硫化アルキルフェノールのアルカリ土類金属塩を炭酸化する方法により得られる。
【0066】
【化5】


【0067】
【化6】


【0068】
上記一般式(7)、及び(8)において、R41、R42、R43、R44はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、M、M及びMは、それぞれアルカリ土類金属、好ましくはカルシウム又はマグネシウムを示し、xは1または2を示す。
【0069】
上記R41、R42、R43、R44で表されるアルキル基としては、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、及びトリアコンチル基等が挙げられる。これらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。
【0070】
アルカリ土類金属フェネートの塩基価(BN)は40〜400mgKOH/g、好ましくは、60〜300mgKOH/gである。
この塩基価が40mgKOH/g未満であると、潤滑油としての全塩基価を高めるために多量の配合が必要となり経済性の面で好ましくない、一方、この塩基価が400mgKOH/gを超えると、潤滑油中に存在するフェネート成分が少なくなり、充分な清浄効果が得られないことがある。
【0071】
上記基油中に添加される上記金属清浄剤には、金属サリシレートもあり、これはサリシレートのアルカリ土類金属塩である。アルカリ土類金属サリシレートの塩基価は40〜400mgKOH/gであり、好ましくは100〜300mgKOH/gである。
この塩基価が40mgKOH/g未満であると、潤滑油としての全塩基価を高めるために多量の配合が必要となり経済性の面で好ましくない、一方、この塩基価が400mgKOH/gを超えると、潤滑油中に存在するサリシレート成分が少なくなり、充分な清浄効果が得られないことがある。
【0072】
上記サリシレートのアルカリ土類金属塩のアルカリ金属としてはカルシウム、マグネシウムが好ましい。より好ましくはカルシウム(Ca)である。
このCa型サリシレートは、上記の塩基価の範囲内であれば、正塩のまま用いることもできるが、Ca型サリシレートの正塩を過剰のCa塩やCa塩基と水の存在下で加熱することにより得られる塩基性Caサリシレートや、Ca型サリシレートの正塩をCaの炭酸塩又はホウ酸塩を炭酸ガスの存在下で反応させることにより、得られる過塩基性Caサリシレートを用いることもできる。
【0073】
この成分の具体例としては、一般式(9)のCaサリシレートなどが挙げられる。
【化7】


式(9)中、R13は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基であり、それらが複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なってもよい。nは1〜4の整数である。
【0074】
このCaサリシレートは単独で用いてもよいし、必要に応じて複数のものを混合して用いてもよい。また、場合によって、Caサリシレート以外の他の金属型清浄剤を併用することもできる。
【0075】
上記各金属系清浄剤の含有量は、適応する潤滑油の種類、目的によって任意に選ぶことができるが、その含有量は0.1〜10.0%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。
また、潤滑油組成物に上記アミン系の酸化防止剤を配合した場合には、サリシレートのアルカリ土類金属塩、すなわち、アルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩を用いることが好ましい。
【実施例】
【0076】
表1、表2に示す実施例及び比較例を作成するために、下記の材料を用意した。
1. 末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレート(PMA):(重量平均分子量;約30000, 化学式(1)の単量体の含量が0.5%−化学式(2)の単体の含量が99.5%)、「PAS−447」(三洋化成工業株式会社製)
今回使用した添加剤のリン(P)の含有量は0.03%である(添加剤は鉱油に希釈されているからポリマーとしては0.05%である。)。
2. 従来型のポリメタクリレート(PMA):非分散型ポリメチルメタクリレート
(重量平均分子量;約33000、化学式(2)が100%の重合体)
3. カルシウム(Ca)スルフォネート:塩基価;約400mgKOH/g
4. カルシウム(Ca)サリシレート:塩基価;約160mgKOH/g
5. カルシウム(Ca)フェネート:塩基価;約250mgKOH/g
6. フェノール系酸化防止剤:オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
7. アミン系酸化防止剤A:ジアルキルジフェニルアミンでアルキル基がオクチル基とブチル基のもの
8. アミン系酸化防止剤B:フェニル-α-ナフチルアミン
9. 基油A:100℃動粘度が4.2mm2/s、粘度指数が120のパラフィン系水素化精製鉱油(ASTM−D3238による環分析結果、%CP:78、%CN:22、%CA:0)
10. 基油B:フィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL基油で、API(米国石油協会)基油分類によりグループ3に分類されるもの。(特性:100℃における動粘度;5.10mm/s、40℃における動粘度;23.5mm/s、粘度指数;153、15℃密度;0.821、硫黄分含有量(硫黄元素換算値);10ppm未満、窒素分含有量(窒素元素換算値);1ppm未満、ASTM D3238法による環分析のアロマ分:1%未満)
【0077】
(実施例1)
表1に示す配合に基づき、基油A225.75部(重量部、以下同じ)に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレート22.5部、カルシウムスルフォネート0.5部、フェノール系酸化防止剤1.25部を加えてよく攪拌混合して潤滑油組成物を得た。
【0078】
(実施例、2、3、4)
実施例2は、実施例1のカルシウムスルフォネート0.5部に代えて、代わりにカルシウムサリシレート1.25部を使用し、実施例3では、カルシウムフェネート0.8を使用し、実施例4では何れも使用しなかった他は、実施例1に準じて潤滑油組成物を得た。
なお、カルシウム塩を使用したものは、そのカルシウム量が実施例1と同じになるように配合したものであり、総量が250部となるように基油量を調整した。
【0079】
(実施例5)
基油A225部に、末端にリン酸エステルを付加したポリメタクリレート22.5部、カルシウムサリシレート1.25部、アミン系酸化防止剤A1.25部を加えてよく攪拌混合して潤滑油組成物を得た。
(実施例6、7)
実施例6は実施例4の基油Aに代えて基油Bを使用したものであり、実施例7は実施例5のアミン系酸化防止剤Aの代わりにアミン系酸化防止剤Bを使用したものであって、上記実施例1〜5と同様に、よく攪拌混合して潤滑油組成物を得た。
【0080】
(比較例1、2、3、4)
比較例1は、実施例1のフェノール系酸化防止剤の代わりにアミン系酸化防止剤Aを使用したもの。比較例2は、実施例3のフェノール系酸化防止剤の代わりにアミン系酸化防止剤Aを使用したもの。比較例3は、実施例1のフェノール系酸化防止剤を使用しないものである。比較例4は、従来型PMAとカルシウムスルフォネートを使用したものである。
【0081】
(酸化性能試験)
作成した実施例及び比較例の潤滑油組成物について、酸化性能試験を行った。
酸化性能試験は、JIS K2514に規定する内燃機関用潤滑油酸化安定度試験(ISOT)に準拠した試験法を用いて、165.5℃で60時間の加熱試験を行い、試験前後における下記項目について測定した。
1.100℃動粘度
2.40℃動粘度
3.粘度指数(VI)
4.酸価(AN)
5.塩基価(BN)JIS K
2501に規定する塩酸法
6.色相(ASTMによる)
また、下記項目について数値を求めた。
7.100℃動粘度増加率
8.酸価(AN)増減
【0082】
(結果)
上記試験の結果を表1、表2に示す。
(考察)
表1に示すように、各実施例は、試験の前後における100℃動粘度、40℃動粘度、粘度指数(VI)、酸価(AN)、塩基価(BN)及び色相のいずれにおいても変化が少なく、良好な結果を示している。
一方、表2に示すように、比較例のものでは、100℃動粘度及び40℃動粘度の増加が大きく、粘度指数の大幅な低下が見られる。また、比較例2では、酸価(AN)の大幅な増加と、塩基価(BN)の低下がみられる。このように各比較例では、その熱酸化安定性が劣り、性能の低下が生じていることが判る。
このことから、基油に配合するものとして、実施例4、6に示すような末端リン酸エステル結合PMAとフェノール系酸化防止剤の組み合わせは良好であり、また、これに実施例1、2,3、に示すようにカルシウムスルフォネート、カルシウムサリシレート、カルシウムフェネート等を加えたものも良好である。そして、実施例5、7のよう末端リン酸エステル結合PMAとアミン系酸化防止剤とカルシウムサリシレートの組合せは良い組合せであることが判る。
その一方で、比較例1のように末端リン酸エステル結合PMAとアミン系酸化防止剤とカルシウムスルフォネートの組合せ、比較例2のような末端リン酸エステル結合PMAとアミン系酸化防止剤とカルシウムフェネートの組合せ、比較例3のような末端リン酸エステル結合PMAとカルシウムスルフォネートの組合せ、比較例4のように従来型PMAとカルシウムスルフォネートの組合せは、いずれも好ましくないことが判る。
【0083】
【表1】


【0084】
【表2】


【出願人】 【識別番号】000186913
【氏名又は名称】昭和シェル石油株式会社
【出願日】 平成19年4月23日(2007.4.23)
【代理人】 【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示


【公開番号】 特開2008−1887(P2008−1887A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−113319(P2007−113319)