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【発明の名称】 燃料油添加剤組成物及びそれを含有する燃料油組成物
【発明者】 【氏名】杉浦 由紀

【氏名】並木 直人

【要約】 【課題】潤滑性、低温安定性及び防錆性に優れた燃料油添加剤組成物の提供。

【構成】式(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)
【化1】


(Rは、炭素数5〜19の炭化水素基を表し、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の数を表す)
で表わされる化合物A100質量部に対して、下記の一般式(2)
【化2】


(R及びRは、それぞれ独立して炭素数5〜19の炭化水素基を表し、pは、1〜5の数を表す)
で表わされる化合物Bを1〜100質量部含有してなることを特徴とする燃料油添加剤組成物。
【請求項2】
一般式(1)及び(2)において、m、n及びpがそれぞれ1である、請求項1記載の燃料油添加剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の燃料油添加剤組成物100質量部に対して、下記の一般式(3)
【化3】


(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数5〜19の炭化水素基を表す)で表わされる化合物Cを0.5〜10質量部含有してなることを特徴とする燃料油添加剤組成物。
【請求項4】
一般式(1)、(2)及び(3)中のR〜Rは、いずれも炭素数7〜17の直鎖アルキル基である、請求項1ないし3のいずれか1項記載の燃料油添加剤組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料油添加剤組成物を、燃料油に0.001〜1質量%含有させたことを特徴とする燃料油組成物。
【請求項6】
燃料油は、ガソリンまたは軽油である、請求項5記載の燃料油組成物。
【請求項7】
燃料油の硫黄含量が50質量ppm以下である、請求項5または6記載の燃料油組成物。
【請求項8】
更に、アンチノック剤、オクタン価向上剤、セタン価向上剤、表面着火防止剤、堆積物改良剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、清浄剤、氷結防止剤、腐食防止剤、微生物殺菌剤、帯電防止剤、流動性向上剤及び染料からなる群から選択される1種または2種以上のその他の添加剤を含有する、請求項5ないし7のいずれか1項記載の燃料油組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低温安定性が良好で、且つ潤滑性及び防錆性に優れた燃料油添加剤組成物及びそれを含有する燃料油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、船舶、航空機等のほとんどは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関が使用されており、これらの内燃機関を動かす動力源として、ガソリン、軽油、重油、灯油等の燃料油が使用されている。しかしながら、地球温暖化に代表される環境問題への関心の高まりから、これらの内燃機関から排出される排気ガスが、大気汚染の要因の一つであると指摘され、排出量削減をはじめとした様々な規制が行なわれている。
【0003】
排気ガスの中には、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物等、環境に悪影響を与えると考えられる物質が数多く含まれている。こうした物質の幾つかは、例えば、自動車の排ガス触媒等によって取り除かれ、環境に放出されないようになっている。しかし、全ての物質を取り除くことはできず、且つ、排気ガスの絶対量が莫大な量であることから、排気ガスそのものを削減するというのが大きな課題であった。
【0004】
排気ガスを削減するために、例えば、有機モリブデン等の摩擦低減剤を潤滑油に添加することが知られている。これらは内燃機関の稼働部分の摩擦抵抗を下げることにより、エネルギー損失を少なくし、燃料の消費量を減らして排気ガスを削減するものである。また、同様に、燃料油中に摩擦低減剤を添加して、同様の効果を引き出そうとするものもあった。
【0005】
こうした燃料油用の摩擦低減剤としては、例えばエステル結合やアミド結合を持つ化合物や、金属系の化合物が知られている。例えば、特許文献1には、(a)トリグリセライド型油脂又はそのアルキレンオキシド付加物と、アルコールとをエステル交換反応させた生成物を含有する燃料油添加剤組成物(請求項1)が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ガソリン油の沸点範囲の沸点を有する主要量の炭化水素と、下記成分(a)および(b)からなる燃料消費量を低減する量の燃料用添加剤組成物とからなる燃料組成物:(a)下記(1)および(2)からなる群より選ばれる少なくとも一つのアミン化合物:(1)炭化水素基の数平均分子量が700〜3,000の範囲にあって、少なくとも一個の塩基性窒素原子を有する、燃料に可溶性の脂肪族炭化水素置換アミン、及び(2)少なくとも一個の塩基性窒素原子を有するポリ(オキシアルキレン)アミンであって、オキシアルキレン単位を、該ポリ(オキシアルキレン)アミンを、ガソリン油の沸点範囲の沸点を有する炭化水素に可溶性とするのに十分な数で含むもの、および(b)カルボン酸と多価アルコールとのエステルであって、該カルボン酸が1〜4個のカルボン酸基と8〜50個の炭素原子とを有し、そして該多価アルコールが2〜50個の炭素原子と2〜6個のヒドロキシル基とを有するエステル(請求項1)が開示されている。
【0007】
特許文献3には、燃料油に熱分解開始温度が220℃以上であるアルカリ土類金属塩を添加したことを特徴とする燃料油組成物(請求項1)が開示されている。また、特許文献4には、6価のモリブデン原子を含有する化合物を、特定のアミンと反応させて得られるモリブデンアミン塩を含有することを特徴とする燃料油添加剤(請求項1)が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平7−26276号公報 特許請求の範囲
【特許文献2】特開平11−310783号公報 特許請求の範囲
【特許文献3】特開2002−302686号公報 特許請求の範囲
【特許文献4】特開2003−27073号公報 特許請求の範囲
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1または2に記載されているエステル結合やアミド結合を持つ化合物は、摩擦低減効果は高いものの、燃料油への溶解性が悪い。特に、極低温下における溶解性に劣るため、極寒地では析出したこれらの化合物によって、フィルターの目詰まりが発生する等の問題があった。更に、気温が低下した場合、結露等により燃料タンクに水分が混入することがあり、燃料油の容器に錆が発生する恐れが生じるが、これらの化合物にはいずれも防錆作用はなかった。また、特許文献3または4に記載されているような金属系の化合物は、燃焼により金属酸化物となり、排ガス触媒を被毒する場合や、屋外に放出されて環境に悪影響を与える場合がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、金属を含まず、潤滑性、低温安定性及び防錆性に優れた燃料油添加剤組成物及びそれを含有する燃料油組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明の燃料油添加剤組成物は、下記の一般式(1)
【化1】


(Rは、炭素数5〜19の炭化水素基を表し、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の数を表す)
で表わされる化合物A100質量部に対して、下記の一般式(2)
【化2】


(R及びRは、それぞれ独立して炭素数5〜19の炭化水素基を表し、pは1〜5の数を表す)
で表わされる化合物Bを1〜100質量部含有してなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の燃料油添加剤組成物は、上記燃料油添加剤組成物100質量部に対して、下記の一般式(3)
【化3】


(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数5〜19の炭化水素基を表す)で表わされる化合物Cを0.5〜10質量部含有してなることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の燃料油組成物は、上記燃料油添加剤組成物を、燃料油に0.001〜1質量%含有させたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の燃料油組成物は、更に、アンチノック剤、オクタン価向上剤、セタン価向上剤、表面着火防止剤、堆積物改良剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、清浄剤、氷結防止剤、腐食防止剤、微生物殺菌剤、帯電防止剤、流動性向上剤及び染料からなる群から選択される1種または2種以上のその他の添加剤を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金属を含まず、低温安定性及び防錆性に優れた燃料油添加剤組成物及びそれを含有する燃料油組成物を提供したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の燃料油添加剤組成物は、下記の一般式(1)
【化4】


(Rは、炭素数5〜19の炭化水素基を表し、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の数を表す)
で表わされる化合物A100質量部に対して、下記の一般式(2)
【化5】


(R及びRは、それぞれ独立して炭素数5〜19の炭化水素基を表し、pは1〜5の数を表す)
で表わされる化合物Bを1〜100質量部含有してなることを特徴とするものである。
【0017】
更に、本発明の燃料油添加剤組成物は、上記燃料油添加剤組成物100質量部に対して、下記の一般式(3)
【化6】


(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数5〜19の炭化水素基を表す)で表わされる化合物Cを0.5〜10質量部含有してなることを特徴とするものである。
【0018】
前記一般式(1)〜(3)において、R〜Rは、炭素数5〜19の炭化水素基を表す。こうした炭化水素基としては、例えばペンチル基、2級ペンチル基、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、2級オクチル基、ノニル基、2級ノニル基、デシル基、2級デシル基、ウンデシル基、2級ウンデシル基、ドデシル基、2級ドデシル基、トリデシル基、イソトリテシル基、2級トリデシル基、テトラデシル基、2級テトラデシル基、ヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、ステアリル基等のアルキル基;ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアリール基;メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0019】
これらの炭化水素基の中でも、未洗実在ガムの発生量が少ないことから、二重結合のないアルキル基やシクロアルキル基が好ましく、摩擦係数を下げる効果が高いことからアルキル基がより好ましく、アルキル基の中でも直鎖のアルキル基が更に好ましい。また、炭素数は7〜17が好ましく、9〜17がより好ましく、11〜17が更に好ましい。炭素数が5未満の場合は摩擦係数を下げる効果に劣り、炭素数が19を超えると、未洗実在ガムが大量に発生する場合や、低温安定性が悪くなるために好ましくない。
【0020】
ここで、未洗実在ガムについて詳しく説明する。燃料油組成物には酸化劣化等によりガム状物質が生成し、燃料フィルターやバルブ等に目詰まりの原因となる等の問題を生じる場合がある。そこで燃料油組成物から発生するガム量を規制するため、JISにより未洗実在ガム量は20mg/100ml以下と定められており、未洗実在ガムを発生し易い化合物(添加剤)は多量に添加することはできない。実際、燃料油組成物を製造するに際して、燃料油に添加剤を配合するときは、未洗実在ガム量に合わせて添加剤の添加量を定める場合が多い。このように未洗実在ガムの原因となる物質のほとんどが燃料油に添加させる添加剤であり、特に、不飽和結合を持つ化合物や分子量の大きな化合物は未洗実在ガムの発生量が多い。なお、一般式(1)〜(3)で表わされる化合物A〜C中のR〜Rが、二重結合を持つ炭化水素基の場合には、化合物A〜Cの未洗実在ガムの発生量が多くなることがあり、化合物A〜Cが添加剤として好ましくないこともある。また、R〜Rの炭素数が19を超えるような分子量の大きな化合物A〜Cは好ましくない。
【0021】
また、一般式(1)及び(2)において、m、n、pはオキシエチレン基の繰り返し数であり、好ましくは1〜4の数であり、より好ましくは1〜2の数であり、最も好ましくは1である。m、n、pの値が5を超えると、未洗実在ガムが増加する場合や、低温での安定性が悪くなる場合がある。
【0022】
本発明の燃料油添加剤組成物は、化合物Aと化合物Bとの混合物で、化合物A100質量部に対して化合物Bが1〜100質量部含有したものであるが、化合物Aに対して化合物Bの含有量が低いものほど潤滑性が良好になり、化合物Aに対して化合物Bの含有量が高いものほど低温安定性が良好になる。この二つの性能は相反するものであるため、必要に応じて化合物Aと化合物Bの配合割合を変えて使用すればよいが、二つの性能のバランスから、化合物A100質量部に対して化合物Bを2〜50質量部含有するものが好ましく、6〜40質量部含有するものがより好ましい。化合物Bの含有量が1質量部より少なくなると低温での安定性が悪くなり、化合物Bの含有量が100質量部より多くなると、潤滑性が悪くなるため好ましくない。
【0023】
更に、化合物Aと化合物Bからなる本発明の燃料油添加剤組成物100質量部に、化合物Cを0.5〜10質量部配合させることにより低温安定性を改善することができる。化合物Cの配合割合が0.5質量部未満の場合には、低温安定性を改善できない場合があり、10質量部より多く配合すると、潤滑性が低下する場合がある。なお、化合物Cの好ましい配合量は、0.5〜5質量部の範囲内である。化合物Cの含有量が0.5質量部未満の場合は、低温安定性が改善できない場合があり、10質量部より多く配合すると、潤滑性が下がる場合があるために好ましくない。
【0024】
上記化合物A〜Cを製造するには、既存の合成方法のいずれを使用してもよく、例えば、トリエタノールアミンに脂肪酸を反応させる方法、トリエタノールアミン脂肪酸アルキルエステル(アルキルは炭素数1〜4のアルキル基)反応させる方法、トリエタノールアミンに脂肪酸クロライドや脂肪酸ブロマイド等を反応させる方法が挙げられる。これらの反応の中でも反応が容易であることから、トリエタノールアミンと脂肪酸とを反応させる方法が好ましい。また、m、n、pが2以上の数の場合は、前述の反応によって得られた化合物にエチレンオキサイドを付加すればよい。
【0025】
トリエタノールアミンと脂肪酸等との反応比率は、目的とする化合物によって変化させることが望ましいが、トリエタノールアミンと脂肪酸等を反応させると、これら二つの化合物の反応比率によって、モノエステル、ジエステル、トリエステルの混合物が得られる場合がある。これらの混合物を本発明の組成物の配合比率にするためには、トリエタノールアミン1モルに対して、脂肪酸等を1〜2モル、好ましくは1〜1.5モル、より好ましくは1〜1.3モル反応させればよい。
【0026】
また、トリエタノールアミン1モルに対して、1モル未満の脂肪酸等を反応させると、未反応のトリエタノールアミンが残るもののモノエステルが多くでき、この反応系内にある未反応トリエタノールアミンを蒸留等で留去することにより、純度の高いモノエステルを得ることができる。更に、トリエタノールアミン1モルに対して、2モルより多い脂肪酸等を反応させると、ジエステルやトリエステルが多くでき、これらを蒸留等で分けることにより、純度の高いジエステルやトリエステルを得ることができる。こうして得られたモノエステル、ジエステル、トリエステルを混合することにより、本発明の燃料油添加剤組成物を所定の配合比率で得ることができる。
【0027】
トリエタノールアミンと脂肪酸の具体的な反応方法としては、例えば、両化合物を混合した後、減圧にて80〜250℃に加熱してやればよい。但し、あまり温度が低いと反応が進行せず、あまり温度が高いと生成物であるエステルが分解してしまう恐れがあるため、目的物であるエステルを得るためには、100℃〜250℃で反応させることが好ましく、100〜230℃で反応させることがより好ましい。
【0028】
また、これらの反応には触媒を使用することもでき、使用できる触媒としては、例えば、硫酸やトルエンスルフォン酸などの強酸;四塩化チタン、塩化ハフニウム、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化鉄、塩化スズ、フッ化硼素等の金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、ソジウムメチラート、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物やアルコラート物、又は炭酸塩;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム等の金属酸化物;テトライソプロピルチタネート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド等の有機金属化合物が挙げられる。なお、触媒の添加量は、0.1〜5.0質量%、好ましくは0.1〜3.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0029】
m、n、pの値が2以上の場合は、上記の反応で得られたエステル化合物にエチレンオキサイドを付加させればよい。この反応の具体的な方法としては、例えば、上記の反応で得られたエステル化合物にエチレンオキサイドを50〜180℃の反応温度でフィードしてやればよい。但し、あまり温度が高いと、反応が爆発的に進行する場合があり、あまり温度が低いと反応が進まない場合があるので、目的物を高収率で得るためには、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。なお、触媒として上記に挙げたものをいずれも使用することができる。
【0030】
本発明の燃料油組成物に使用できる燃料油としては、内燃機関で燃料として使用できる液体の燃料油であればいずれでもよく、例えば、ガソリン、軽油、重油、灯油、ジェット燃料、脂肪酸メチルエステル等のバイオ燃料等が挙げられる。これらの中でも、自動車の燃料として使用されるガソリン又は軽油が好ましく、ガソリンがより好ましい。
【0031】
また、使用するガソリンや軽油は、近年、環境負荷の面から硫黄含量を50質量ppm以下等に低減している場合があるが、硫黄元素は耐摩耗剤として働くことから、低硫黄燃料を使用するとエンジン内部の摩耗が促進されるという問題がある。本発明の燃料油添加剤組成物を、こうした低硫黄燃料に添加するとエンジン内部の摩耗を防ぐことができるので、低硫黄燃料を本発明の燃料油組成物の燃料油として使用することは、耐摩耗という観点から大きな効果が期待できる。
【0032】
上記化合物A及びBまたは化合物A、B及びCを含有してなる本発明の燃料油添加剤組成物は、本発明の燃料油組成物全体に対して、0.001〜1質量%含有することが好ましく、0.001〜0.5質量%がより好ましく、0.001〜0.1質量%が更に好ましい。一般式(1)の燃料油に対する添加量が0.001質量%未満になると、添加量が少なすぎて効果が現れない場合があり、添加量が1質量%を超えると、未洗実在ガムやスラッジの原因となってエンジン内部が汚れる場合があるために好ましくない。
【0033】
本発明の燃料油組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内でその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、テトラエチル鉛、テトラメチル鉛、ビスシクロペンタジフェニル鉄等のアンチノック剤;エタノール、メチルターシャリブチルエーテル、エチルターシャリブチルエーテル、メチルターシャリアミルエーテル等のオクタン価向上剤;硝酸ヘプチル、硝酸オクチル、硝酸シクロヘキシル等のセタン価向上剤;トリブチルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリクレジルホスフェート、メチルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルボロネート、ブチルジイソブチルボロネート等の表面着火剤;トリクレジルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、ポリブデン、ポリプロピレン等の堆積物改良剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジターシャリブチルフェノール、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−ターシャリブチルフェノール等の酸化防止剤;エチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジサリチリデン−2−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジサリチリデンエチレンジアミン、N,N’−ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(ジメチルサリチリデン)エチレンテトラミン、サリチルアルドキシム等の金属不活性化剤;リン酸アミド、アミノアルカン類、アルキルアミンリン酸エステル、ポリエーテルアミン、ポリブテニルアミン等の清浄剤;氷結防止剤、腐食防止剤、微生物殺菌剤、帯電防止剤、流動性向上剤、染料等を適宜添加することができ、これらの各添加剤の配合量は燃料油中に0.001〜1質量%であることが好ましい。なお、これらのその他の添加剤は、1種または2種以上を適宜併用して配合することができる。但し、上記のようなその他の添加剤を添加する場合には、金属を含有した添加剤の使用をできる限り避けることが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、以下の実施例等において、「ppm」は特に記載が無い限り質量基準である。
化合物A:
A−1:一般式(1)において、R=炭素数11の直鎖アルキル基、m=1、n=1
A−2:一般式(1)において、R=炭素数15の直鎖アルキル基、m=1、n=1
A−3:一般式(1)において、R=炭素数17の直鎖アルキル基、m=1、n=1
A−4:一般式(1)において、R=炭素数15の直鎖アルキル基、m=2、n=2
A−5:一般式(1)において、R=炭素数15の分岐アルキル基、m=1、n=1
A−6:一般式(1)において、R=炭素数4の直鎖アルキル基、m=1、n=1(比 較品)
【0035】
化合物B:
B−1:一般式(2)において、R=炭素数15の直鎖アルキル基、R=炭素数15 の直鎖アルキル基、p=1
B−2:一般式(2)において、R=炭素数17の直鎖アルキル基、R=炭素数17 の直鎖アルキル基、p=1
B−3:一般式(2)において、R=炭素数15の分岐アルキル基、R=炭素数15 の分岐アルキル基、p=1
B−4:一般式(2)において、R=炭素数4の直鎖アルキル基、R=炭素数4の直 鎖アルキル基、p=1(比較品)
【0036】
化合物C:
C−1:一般式(3)において、R、R、R=炭素数15の直鎖アルキル基
【0037】
D−1:モノヘキサデシルグリセリンエステル
D−2:モノヘキサデシルジエタノールアミド
【0038】
上記化合物を用いて表1及び表2の配合に従って燃料油添加剤組成物を作製した。
【0039】
【表1】


【0040】
【表2】


【0041】
<摩擦試験>
以下の表3に示す配合に従って、市販のレギュラーガソリン及び軽油に各添加剤を100質量ppmになるように配合して試験を実施した。試験は、バウデンレーベン試験機(新東科学製)を用いて行なった。下記の条件下、燃料油に浸漬した試験板と試験鋼球を接触させることで、両媒体間に生じる摩擦を測定して摩擦係数を求めた。結果を表3に示す。
なお、試験に使用した燃料油は、オクタン価90、硫黄含量10ppmの市販のレギュラーガソリン及び硫黄含量30ppmのJIS2号相当の軽油である。
試験機:バウデンレーベン試験機(新東科学製)
試験温度:25℃
荷重:200g
ストローク長さ:10mm
速度:10mm/秒
【0042】
<低温溶解性試験>
上記燃料油添加剤組成物を表3に示す配合で市販のレギュラーガソリンに調整し、低温溶解性試験を行った。即ち、各燃料油添加剤組成物を調整後、25℃で1時間撹拌した。およそ24時間、−5℃、−20℃で静置したのち、目視で沈殿の有無を確認した。この結果を表3に示す。完全に溶解し、沈殿がないものを○、濁りを生じたものを△、沈殿が生じたものを×でそれぞれ示す。結果を表3に併記する。
【0043】
<防錆試験>
各添加剤を表3に示す配合で市販のレギュラーガソリンに調整し、JISK2510の規定で定められた方法に準拠して防錆試験を行った。即ち、500mlのビーカーに、各燃料油添加剤組成物を調整したガソリン300mlと25g/リットルの食塩水を30ml加え、直径13mm×長さ80mmの円柱型鋼製の試験片をこのビーカー内に浸し、60℃に加熱した後、空気を巻き込むように24時間撹拌して試験片に現れる錆の有無を調べた。評価の基準を下記に示す。錆がなかったものを○、わずかな錆が生じたものを△、錆がはっきり生じたものを×でそれぞれ示す。結果を表3に併記する。
【0044】
【表3】


【0045】
比較品8は、燃料油だけで試験(燃料油添加剤組成物未添加)。
【0046】
表3の結果より、化合物Aのみでは、摩擦係数を下げる効果はあるが、低温安定性が悪くなり、化合物B、Cのみでは、それぞれ摩擦係数を下げる効果がないことが判る。また、既存の燃料油添加剤であるモノヘキサデシルグリセリンエステルやモノヘキサデシルジエタノールアミドは、摩擦係数を下げる効果はあるが、低温安定性が悪い。更に、防錆性については、化合物Aが入っていないものは、いずれも悪化する傾向にある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の燃料油添加剤組成物は、ガソリン、軽油、重油、灯油、ジェット燃料、バイオ燃料等の液体燃料油の添加剤として使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順

【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏


【公開番号】 特開2008−63374(P2008−63374A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−240176(P2006−240176)