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【発明の名称】 ディーゼル燃料組成物の改良
【発明者】 【氏名】リナルド カプロッティ

【氏名】アンジェラ プリシラ ブレイクスピア

【氏名】テュシャー カンティ ベラ

【氏名】ジェイコブ エマート

【要約】 【課題】洗剤添加剤を含むディーゼル燃料組成物を提供する。

【構成】過半量のディーゼル燃料、少量の少なくとも一種の金属種及び少量の洗剤添加剤を含むディーゼル燃料組成物であって、洗剤添加剤が式(I)及び/又は式(II)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過半量のディーゼル燃料、少量の少なくとも一種の金属種及び少量の洗剤添加剤を含むディーゼル燃料組成物であって、洗剤添加剤が式(I)及び/又は式(II)
【化1】


(式中、夫々のArは独立にアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロ及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた0〜3個の置換基を有する芳香族部分を表わし、
夫々のLは独立に炭素-炭素単結合又は結合基を含む結合部分であり、
夫々のYは独立に-OR1”又は式H(O(CR12)n)yX-(式中、Xは(CR1'2)z、O及びSからなる群から選ばれ、R1及びR1'は夫々独立にH、C1-C6アルキル及びアリールから選ばれ、R1はC1-C100アルキル及びアリールから選ばれ、zは1〜10であり、nはXが(CR1'2)zである場合には0〜10であり、またXがO又はSである場合には2〜10であり、かつyは1〜30である)の部分であり、
夫々のaは独立に0〜3であり、但し、少なくとも一つのAr部分が少なくとも一つの基Yを有することを条件とし、かつ
mは1〜100である)
【化2】


(式中、
夫々のAr'は独立にアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアルコキシ、ハロ及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた0〜3個の置換基を有する芳香族部分を表わし、
夫々のL'は独立に炭素-炭素単結合又は結合基を含む結合部分であり、
夫々のY'は独立に式ZO-又はZ(O(CR22)n')y'X'-(式中、X'は(CR2'2)z、O及びSからなる群から選ばれ、R2及びR2'は夫々独立にH、C1-C6アルキル及びアリールから選ばれ、z'は1〜10であり、n'はX'が(CR2'2)z'である場合には0〜10であり、またX'がO又はSである場合には2〜10であり、y'は1〜30であり、ZはH、アシル基、ポリアシル基、ラクトンエステル基、酸エステル基、アルキル基又はアリール基である)の部分であり、
夫々のa'は独立に0〜3であり、但し、少なくとも一つのAr'部分が少なくとも一つの基Y'(式中、ZはHではない)を有することを条件とし、かつ
m'は1〜100である)
の少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする上記ディーゼル燃料組成物。
【請求項2】
前記化合物が式(II)(式中、Y'がZ(O(CR22)2)y'O-であり、Zがアシル基であり、かつy'が1〜6である)の化合物である、請求項1記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項3】
Ar'がナフタレンであり、Y'がZOCH2CH2O-であり、Zがアシル基であり、かつL'がCH2である、請求項1又は請求項2記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項4】
Ar'が2-(2-ナフチルオキシ)-エタノールから誘導され、かつm'が2〜25である、請求項1から3のいずれかに記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項5】
前記Zが(i)100から5000までの平均Mnを有するポリアルキル又はポリアルケニルコハク酸アシル化剤又は(ii)ヒドロカルビルイソシアネートから誘導される、請求項1から4のいずれかに記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項6】
前記化合物が式(III):
【化3】


〔式中、一つ以上のY'は基Z(O(CR22)n')y'X'-(式中、Zは式IVのラクトンエステル、式Vの酸エステル、又はこれらの組み合わせから誘導され、
【化4】


(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は独立にH、アルキル並びに200個までのCを含むポリアルキル及びポリアルケニルから選ばれる)、かつZは式VI:
【化5】


(式中、R10及びR11は独立にH、アルキル並びに300個までのCを含むポリアルキル及びポリアルケニルから選ばれる)のビスアシルである)であり、m'は0〜100であり、かつp及びsは夫々独立に約0〜約25であり、但し、pm';sm';かつp+s1であることを条件とする〕
の化合物である、請求項1から5のいずれかに記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項7】
前記化合物が式(III)(式中、Y'単位の約2%から約98%までがZ(O(CR22)2)y'O-(式中、Zがアシル基であり、かつy'が1〜6である)であり、またY'単位の約98%から2%までが-OR2″である)の化合物である、請求項6記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項8】
前記化合物が式(III)(式中、Ar'がナフタレンであり、Y'単位の約2%から約98%までがZOCH2CH2O-であり、Y'単位の約98%から2%までが-OCH3であり、かつL'がCH2である)の化合物である、請求項7記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項9】
前記化合物が式(III)(式中、Ar'がナフタレンであり、Y'単位の約40%から約60%までがZOCH2CH2O-であり、またY'単位の約60%から40%までが-OCH3であり、m'が約2から約25までであり、pが1から約10までであり、かつsが約1から約10までである)の化合物である、請求項8記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項10】
洗剤添加剤は、燃料が燃料の重量を基準として、50〜300ppm(重量基準)の式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を含むような量で存在する、請求項1から9のいずれかに記載のディーゼル燃料組成物。
【請求項11】
少量の金属含有種を含むディーゼル燃料を使用して運転されるディーゼルエンジン中のインジェクター付着物を実質的に除去し、又はその発生を減らす方法であって、その方法が請求項1から8のいずれかで定義される式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を含む洗剤添加剤をディーゼル燃料に添加することを含み、そのディーゼルエンジンが複数の噴霧穴を有する燃料インジェクターを備えており、夫々の噴霧穴が入口及び出口を有し、かつ燃料インジェクターが下記の特性:
(i) 噴霧穴の入口直径が出口直径より大きいようにテーパーをもたされている噴霧穴、
(ii) 0.10mm以下の出口直径を有する噴霧穴、
(iii) 入口の内部エッジが丸められている噴霧穴、
(iv) 6個以上の噴霧穴、
(v) 250℃を越える運転チップ温度
の一つ以上を有することを特徴とする上記方法。
【請求項12】
少量の金属含有種を含むディーゼル燃料を使用して運転されるディーゼルエンジン中のインジェクター付着物を実質的に除去し、又はその発生を減らすための請求項1から8のいずれかで定義される式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を含む洗剤添加剤の使用であって、そのディーゼルエンジンが複数の噴霧穴を有する燃料インジェクターを備えており、夫々の噴霧穴が入口及び出口を有し、かつ燃料インジェクターが下記の特性:
(i) 噴霧穴の入口直径が出口直径より大きいようにテーパーをもたされている噴霧穴、
(ii) 0.10mm以下の出口直径を有する噴霧穴、
(iii) 入口の内部エッジが丸められている噴霧穴、
(iv) 6個以上の噴霧穴、
(v) 250℃を越える運転チップ温度
の一つ以上を有することを特徴とする上記使用。
【請求項13】
燃料インジェクターが特性(i)〜(v)の二つ、好ましくは三つ、更に好ましくは四つ、最も好ましくは五つ全てを有する、請求項11記載の方法又は請求項12記載の使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は洗剤添加剤を含むディーゼル燃料組成物及び最新ディーゼルエンジン中の燃料インジェクター付着物を除去又は予防するためのそれらの使用に関する。燃料インジェクター付着物の除去又は予防のための方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンからの排出物を減少するようにとの絶え間ない法的圧力がある。ヨーロッパでは2008年までに、全ての新しいディーゼルエンジンはユーロV規格に応じる必要がある。これは複雑な噴霧穴形状、多くかつ狭い噴霧穴を有し、かつインジェクターチップで高温及び高圧で運転する燃料インジェクターを特徴とする最近燃料噴射装置の開発をもたらした。運転条件におけるこの増大するきびしさの結果として、最新の共同噴射ディーゼルエンジンのインジェクターは付着物を生成する傾向がある。これらの付着物(これらはインジェクターノズルの噴霧穴の内部及び外部の両方に見られる)は、エンジン出力の損失及び煙発生の増大に直接寄与する。
ディーゼル燃料インジェクターにおける付着物の生成は新しい現象ではなく、歴史的にはあらゆる問題が通常のディーゼル洗剤添加剤の使用により適当に取り組まれていた。しかしながら、ユーロV遵守であるように開発されているエンジンの一層きびしい運転条件下で生成される付着物の型は通常のディーゼル洗剤添加剤により適当に除去又は予防されないことが観察されていた。いずれかの理論により束縛されたくないが、最新エンジン中のインジェクター付着物の生成は燃料中の少量の金属含有種の存在により悪化されると現在考えられている。実際に、本件出願人の研究はわずかな量の金属を含む汚染のある燃料の使用が付着物による重大な問題を生じないことを示した。しかしながら、通常のディーゼル燃料は低いが測定できる量の金属を含む汚染、例えば、亜鉛、銅、鉄及び鉛をしばしば含み、金属含有種はまたその他の機能を奏するために計画的に添加されるかもしれない。最新ディーゼルエンジン中で生成される付着物の分析は、予想される炭素質物質に加えて、亜鉛及び銅の如き金属が検出し得ることを示す。本発明はこれらの新しい型のインジェクター付着物の除去及び予防に特別に取り組む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第一の局面によれば、本発明は過半量のディーゼル燃料、少量の少なくとも一種の金属種及び少量の洗剤添加剤を含むディーゼル燃料組成物であって、洗剤添加剤が式(I)及び/又は式(II)
【0004】
【化1】


【0005】
(式中、夫々のArは独立にアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロ及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた0〜3個の置換基を有する芳香族部分を表わし、
夫々のLは独立に炭素-炭素単結合又は結合基を含む結合部分であり、
夫々のYは独立に-OR1”又は式H(O(CR12)n)yX-(式中、Xは(CR1'2)z、O及びSからなる群から選ばれ、R1及びR1'は夫々独立にH、C1-C6アルキル及びアリールから選ばれ、R1はC1-C100アルキル及びアリールから選ばれ、zは1〜10であり、nはXが(CR1'2)zである場合には0〜10であり、またXがO又はSである場合には2〜10であり、かつyは1〜30である)の部分であり、
夫々のaは独立に0〜3であり、但し、少なくとも一つのAr部分が少なくとも一つの基Yを有することを条件とし、かつ
mは1〜100である)
【0006】
【化2】


【0007】
(式中、
夫々のAr'は独立にアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアルコキシ、ハロ及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた0〜3個の置換基を有する芳香族部分を表わし、
夫々のL'は独立に炭素-炭素単結合又は結合基を含む結合部分であり、
夫々のY'は独立に式ZO-又はZ(O(CR22)n')y'X'-(式中、X'は(CR2'2)z、O及びSからなる群から選ばれ、R2及びR2'は夫々独立にH、C1-C6アルキル及びアリールから選ばれ、z'は1〜10であり、n'はX'が(CR2'2)z'である場合には0〜10であり、またX'がO又はSである場合には2〜10であり、y'は1〜30であり、ZはH、アシル基、ポリアシル基、ラクトンエステル基、酸エステル基、アルキル基又はアリール基である)の部分であり、
夫々のa'は独立に0〜3であり、但し、少なくとも一つのAr'部分が少なくとも一つの基Y'(式中、ZはHではない)を有することを条件とし、かつ
m'は1〜100である)
の少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする上記ディーゼル燃料組成物を提供する。
【0008】
第二の局面によれば、本発明は少量の金属含有種を含むディーゼル燃料を使用して運転されるディーゼルエンジン中のインジェクター付着物を実質的に除去し、又はその発生を減らす方法であって、その方法が第一の局面に関して特定された少なくとも一種の式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を含む洗剤添加剤をディーゼル燃料に添加することを含み、そのディーゼルエンジンが複数の噴霧穴を有する燃料インジェクターを備えており、夫々の噴霧穴が入口及び出口を有し、かつ燃料インジェクターが下記の特性:
(i) 噴霧穴の入口直径が出口直径より大きいようにテーパーをもたされている噴霧穴、
(ii) 0.10mm以下の出口直径を有する噴霧穴、
(iii) 入口の内部エッジが丸められている噴霧穴、
(iv) 6個以上の噴霧穴、
(v) 250℃を越える運転チップ温度
の一つ以上を有することを特徴とする上記方法を提供する。
第三の局面によれば、本発明は少量の金属含有種を含むディーゼル燃料を使用して運転されるディーゼルエンジン中のインジェクター付着物を実質的に除去し、又はその発生を減らすための第一の局面に関して特定された式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を含む洗剤添加剤の使用であって、そのディーゼルエンジンが複数の噴霧穴を有する燃料インジェクターを備えており、夫々の噴霧穴が入口及び出口を有し、かつ燃料インジェクターが下記の特性:
(i) 噴霧穴の入口直径が出口直径より大きいようにテーパーをもたされている噴霧穴、
(ii) 0.10mm以下の出口直径を有する噴霧穴、
(iii) 入口の内部エッジが丸められている噴霧穴、
(iv) 6個以上の噴霧穴、
(v) 250℃を越える運転チップ温度
の一つ以上を有することを特徴とする上記使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の洗剤は最新ディーゼルエンジン燃料インジェクター中の付着物の発生を減らすのに特に有効であり、同様の条件下で広く使用されるPIBSA-PAM洗剤よりも極めて有効であることがわかった。しかしながら、旧型のディーゼルエンジン、例えば、工業規格XUD-9洗浄力試験に使用されるものでは、本発明における使用の反応生成物が通常のPIBSA-PAM洗剤よりも性能がすぐれていることに注目することは驚くべきであった。
先に説明されたように、インジェクター付着物の発生は燃料中の金属含有種の存在に関連していることが明らかである。幾つかのディーゼル燃料は測定できる金属含量を含まず、その場合、インジェクター付着物の発生が減少されるであろう。しかしながら、ディーゼル燃料中の金属含有種の存在又は不在が一般にユーザーに明らかではなく、同じ供給業者からの燃料でさえも、燃料製造により変化するであろう。こうして、本発明は金属含有種が存在する場合に有益であり、また未知の金属含量の燃料を再度燃料供給する場合のインジェクター付着物の影響を少なくするための予防手段として有益である。
本発明の第二の局面及び第三の局面の状況において、インジェクター付着物の実質的な除去はインジェクターノズルの噴霧穴の内部又は外部に存在し得る付着物がインジェクターの適切な機能が有意に損なわれない程度に除去されることを意味すると解されるべきである。これは、例えば、排出煙の増大又はエンジントルクの損失を測定することにより測定し得る。インジェクター付着物の全ての痕跡が除去されることは必要とされない。同様に、インジェクター付着物の発生の減少はどんな付着物でさえもが生成されないことを必要とせず、生成し得る付着物の量がインジェクターの適切な機能を有意に損なうのに充分ではないことのみを再度必要とする。
【0010】
燃料インジェクターの特性(i)〜(v)のすべてがインジェクター付着物の生成に寄与すると現在考えられる。複数のこれらの特性を有する燃料インジェクターを使用するディーゼルエンジンが付着物を一層生成する傾向があることが観察された。こうして、本発明の実施態様において、燃料インジェクターは特性(i)〜(v)の二つ、好ましくは三つ、更に好ましくは四つ、最も好ましくは五つ全てを有する。
好ましい実施態様において、燃料インジェクターは少なくとも特性(i)及び(ii)を有する。更に好ましい実施態様において、燃料インジェクターは少なくとも特性(i)、(ii)及び(iii)を有する。更に好ましい実施態様において、燃料インジェクターは少なくとも特性(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を有する。
全ての局面に適用し得る、本発明の種々の特徴が今更に詳しく記載されるであろう。
(a) 洗剤添加剤
洗剤添加剤は式(I)の少なくとも一種の化合物及び/又は式(II)の化合物を含む。式(I)及び(II)の化合物は2005年2月18日に出願された共同未決米国特許出願第11/061,800号(2006年8月24日に公開されたUS 2006/0189492 A2)に記載されており、その主題が参考として本明細書に含まれる。式(I)の化合物は下記の式により表わされる。
【0011】
【化3】


【0012】
式中、夫々のArは独立にアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロ及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた0〜3個の置換基を有する芳香族部分を表わし、夫々のLは独立に炭素-炭素単結合又は結合基を含む結合部分であり、夫々のYは独立に-OR1”又は式H(O(CR12)n)yX-(式中、Xは(CR1'2)z、O及びSからなる群から選ばれ、R1及びR1'は夫々独立にH、C1-C6アルキル及びアリールから選ばれ、R1”はC1-C100アルキル及びアリールから選ばれ、zは1〜10であり、nはXが(CR1'2)zである場合には0〜10であり、またXがO又はSである場合には2〜10であり、かつyは1〜30である)の部分であり、夫々のaは独立に0〜3であり、但し、少なくとも一つのAr部分が少なくとも一つの基Yを有することを条件とし、かつmは1〜100である。
式(I)の芳香族部分Arは単核炭素環式部分(フェニル)又は多核炭素環式部分であってもよい。多核炭素環式部分は二つ以上の縮合環を含んでもよく、夫々の環が4〜10個の炭素原子(例えば、ナフタレン)を有し、又は結合された単核芳香族部分、例えば、ビフェニルであってもよく、或いは結合された、縮合環(例えば、ビナフチル)を含んでもよい。好適な多核炭素環式芳香族部分の例として、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、シクロペンテノフェナントレン、ベンズアントラセン、ジベンズアントラセン、クリセン、ピレン、ベンズピレン及びコロネン並びにこれらの二量体、三量体及び更に高次のポリマーが挙げられる。Arはまた単核又は多核複素環部分を表わし得る。複素環部分Arとして、夫々が4〜10個の原子(N、O及びSから選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む)を含む一つ以上の環を含むものが挙げられる。好適な単環式複素環芳香族部分の例として、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン及びプリンが挙げられる。好適な多核複素環部分Arとして、例えば、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジピリジル、シノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン及びフェナントロリンが挙げられる。夫々の芳香族部分(Ar)は全ての部分Arが同じであり、又は異なるように独立に選ばれてもよい。多環式炭素環式芳香族部分が好ましい。夫々のArがナフタレンである式Iの化合物が最も好ましい。夫々の芳香族部分Arは独立に未置換であってもよく、又はアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロ、及びこれらの組み合わせから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよい。夫々のArは未置換であることが好ましい(一つ以上の基Y及び末端基を除く)。
【0013】
夫々の結合基(L)は同じであってもよく、又は異なっていてもよく、隣接部分Arの炭素原子間の炭素-炭素単結合、又は結合基であってもよい。好適な結合基として、アルキレン結合、エーテル結合、ジアシル結合、エーテル-アシル結合、アミノ結合、アミド結合、カルボアミド結合、ウレタン結合、及び硫黄結合が挙げられる。好ましい結合基はアルキレン結合、例えば、-CH3CHC(CH3)2-、又はC(CH3)2-;ジアシル結合、例えば、-COCO-又は-CO(CH2)4CO-;及び硫黄結合、例えば、-S1-又は-Sx-である。更に好ましい結合基はアルキレン結合、最も好ましくは-CH2-である。
式(I)のArはナフタレンを表わすことが好ましく、Arは2-(2-ナフチルオキシ)-エタノールから誘導されることが更に好ましい。夫々のArが2-(2-ナフチルオキシ)-エタノールから誘導され、かつmが2〜25であることが好ましい。式(I)のYが基H(O(CR2)2)yO-(式中、yが1〜6である)であることが好ましい。Arがナフタレンであり、YがHOCH2CH2O-であり、かつLが-CH2-であることが更に好ましい。
【0014】
式(I)の化合物の生成方法は当業者に明らかであるべきである。ヒドロキシル芳香族化合物、例えば、ナフトールがアルキレンカーボネート(例えば、エチレンカーボネート)と反応させられて式AR-(Y)aの化合物を与え得る。ヒドロキシル芳香族化合物とアルキレンカーボネートは塩基触媒、例えば、水酸化ナトリウム水溶液の存在下で、かつ約25℃〜約300℃の温度、好ましくは約50℃〜約200℃の温度で反応させられることが好ましい。その反応中に、水が共沸蒸留又はその他の通常の手段により反応混合物から除去されてもよい。得られる中間体生成物の分離が所望される場合、反応の完結(CO2発生の停止により示される)後に、反応生成物が集められ、冷却されて固化し得る。また、ヒドロキシル芳香族化合物、例えば、ナフトールが同様の条件下で、エポキシド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はスチレンオキサイドと反応させられて一つ以上のオキシ-アルキレン基を含み得る。
式(I)の化合物を生成するために、得られる中間体化合物Ar-(Y)aがポリハロゲン化(好ましくはジハロゲン化)炭化水素(例えば、1,4-ジクロロブタン、2,2-ジクロロプロパン等)、又はジ-もしくはポリ-オレフィン(例えば、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン等)と更に反応させられてアルキレン結合基を有する式(I)の化合物を生じ得る。部分Ar-(Y)aとケトン又はアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等)の反応はアルキレン結合された化合物を与える。アシル結合された化合物は部分Ar-(Y)aをジ酸又はその酸無水物(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、無水コハク酸等)と反応させることにより生成し得る。硫化結合、多硫化結合、スルフィニル結合及びスルホニル結合は部分Ar-(Y)aと好適な二官能性硫化剤(例えば、一塩化硫黄、二塩化硫黄、塩化チオニル(SOCl2)、塩化スルフリル(SO2Cl2)等)の反応により与えられてもよい。アルキレンエーテル結合を有する式(I)の化合物を得るために、部分Ar-(Y)aがジビニルエーテルと反応させられる。式(I)の化合物(式中、Lが直接炭素-炭素結合である)は、例えば、P. Kovacicら, J. Polymer Science: Polymer Chem. 編集, 21, 457 (1983)により記載されたように、塩化アルミニウムと塩化第一銅の混合物を使用して酸化カップリング重合により生成されてもよい。また、このような化合物は、例えば、“セシウム/ナノ多孔性カーボン触媒による接触ベンゼンカップリング”, M.G. Stevens, K.M. Sellers, S. Subramoney及びH.C. Foley, Chemical Communications, 2679-2680 (1988)に記載されたように部分Ar-(Y)aとアルカリ金属を反応させることにより生成されてもよい。
【0015】
アルキレン結合基、更に好ましくはメチレン結合基を有する、式(I)の好ましい化合物を生成するために、Ar-(Y)a反応混合物中に残っている塩基が酸、好ましくは過剰の酸(例えば、スルホン酸)で中和され、好ましくは残留酸の存在下で、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと反応させられて、式(I)のアルキレン、好ましくはメチレンブリッジされた化合物を与え得る。式Iの化合物の重合度は約2から約101まで(1から約100までのmの値に相当する)、好ましくは約2から約50まで、最も好ましくは約2から約25までの範囲である。
式(II)の化合物は式(I)の化合物をアシル化剤、アルキル化剤及びアリール化剤の少なくとも一種と反応させることにより生成でき、下記の式により表わされる。
【0016】
【化4】


【0017】
式中、夫々のAr'は独立にアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアルコキシ、ハロ及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた0〜3個の置換基を有する芳香族部分を表わし、
夫々のL'は独立に炭素-炭素単結合又は結合基を含む結合部分であり、
夫々のY'は独立に式ZO-又はZ(O(CR22)n')y'X'-(式中、X'は(CR2'2)z、O及びSからなる群から選ばれ、R2及びR2'は夫々独立にH、C1-C6アルキル及びアリールから選ばれ、z'は1〜10であり、n'はX'が(CR2'2)z'である場合には0〜10であり、またX'がO又はSである場合には2〜10であり、y'は1〜30であり、ZはH、アシル基、ポリアシル基、ラクトンエステル基、酸エステル基、アルキル基又はアリール基である)の部分であり、
夫々のa'は独立に0〜3であり、但し、少なくとも一つのAr'部分が少なくとも一つの基Y'(式中、ZはHではない)を有することを条件とし、かつ
m'は1〜100である。
式(II)の好ましい化合物は少なくとも一つのAr'部分が少なくとも一つの基Z(O(CR22)n')y')X'-(式中、ZはHではない)を有する化合物を含む。
好適なアシル化剤として、ヒドロカルビル炭酸、ヒドロカルビル炭酸ハライド、ヒドロカルビルスルホン酸及びヒドロカルビルスルホン酸ハライド、ヒドロカルビルリン酸及びヒドロカルビルリン酸ハライド、ヒドロカルビルイソシアネート並びにヒドロカルビルコハク酸アシル化剤が挙げられる。好ましいアシル化剤はC8以上のヒドロカルビルイソシアネート、例えば、ドデシルイソシアネート及びヘキサドデシルイソシアネート並びにC8以上のヒドロカルビルアシル化剤、更に好ましくはポリブテニルコハク酸アシル化剤、例えば、ポリブテニル無水コハク酸、又はポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)である。ヒドロカルビルコハク酸アシル化剤は100から5000まで、好ましくは200から3000まで、更に好ましくは450から2500までの数平均分子量(平均Mn)を有することが好ましいであろう。好ましいヒドロカルビルイソシアネートアシル化剤は100から5000まで、好ましくは200から3000まで、更に好ましくは200から2000までの数平均分子量(平均Mn)を有するであろう。当業者は数平均分子量(平均Mn)がしばしば絶対的な正確さで特定し得ない値であることを認めるであろう。先に示された数的制限はこれに鑑みて理解され、解釈されるべきである。
【0018】
アシル化剤は当業者に知られている通常の方法、例えば、塩素補助、熱及びラジカルグラフト方法により調製し得る。アシル化剤は一官能性又は多官能性であってもよい。アシル化剤は1.3以下の官能価を有することが好ましく、この場合、官能価(F)は下記の式に従って決められる。
F=(SAPx平均Mn)/((112,200xA.I.)-(SAPxMW))
式中、SAPはケン化価(即ち、ASTM D94に従って測定される、アシル基含有反応生成物1g中の酸基の完全中和に消費されたKOHのミリグラム数)であり、平均Mnは出発ポリアルケンの数平均分子量であり、A.I.はアシル基含有反応生成物(残部は未反応ポリアルケン、飽和物、アシル化剤及び希釈剤である)の活性成分%であり、かつMWはアシル基の分子量(例えば、無水コハク酸について98)である。アシル化剤は分散剤の製造に使用され、アシル化剤を生成するための方法の更なる詳細な記載が以下に示される、好適な分散剤の記載に記載される。
好適なアルキル化剤として、C8-C30アルカンアルコール、好ましくはC8-C18アルカンアルコールが挙げられる。好適なアリール化剤として、C8-C30、好ましくはC8-C18アルカン置換アリールモノ-又はポリヒドロキシドが挙げられる。
式(II)の化合物は式(I)の化合物を、好ましくは液体酸触媒、例えば、スルホン酸、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸もしくはポリリン酸又は固体酸触媒、例えば、アンバーリスト-15、アンバーリスト-36、ゼオライト、鉱酸クレーもしくはポリリン酸タングステンの存在下で、約0℃から約300℃まで、好ましくは約50℃から約250℃までの温度でアシル化剤と反応させることにより式(I)の化合物から誘導し得る。上記条件下で、好ましいポリブテニルコハク酸アシル化剤が式(I)の化合物とジエステル、酸エステル又はラクトンエステルを生成し得る。
【0019】
式(II)の化合物は式(I)の化合物を、好ましくはトリフェニルホスフィン及びジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、液体酸触媒、例えば、スルホン酸、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸もしくはポリリン酸又は固体酸触媒、例えば、アンバーリスト-15、アンバーリスト-36、ゼオライト、鉱酸クレーもしくはポリリン酸タングステンの存在下で、約0℃から約300℃まで、好ましくは約50℃から約250℃までの温度でアルキル化剤又はアリール化剤と反応させることにより式(I)の化合物から誘導し得る。
式(I)の化合物並びにアシル化剤、アルキル化剤及び/又はアリール化剤のモル量は基Yの全て、又はほんの一部、例えば、25%以上、50%以上もしくは75%以上が基Y'に変換されるように調節し得る。式(I)の化合物がヒドロキシ置換基及び/又はアルキルヒドロキシ置換基を有し、このような化合物がアシル化剤と反応させられる場合、このようなヒドロキシ置換基及び/又はアルキルヒドロキシ置換基の全部又は一部がアシルオキシ基又はアシルオキシアルキル基に変換されることが可能であろう。式(I)の化合物がヒドロキシ置換基及び/又はアルキルヒドロキシ置換基を有し、このような化合物がアリール化剤と反応させられる場合、このようなヒドロキシ置換基及び/又はアルキルヒドロキシ置換基の全部又は一部がアリールオキシ基又はアリールオキシアルキル基に変換されることが可能であろう。それ故、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基、アリールオキシ基及び/又はアリールオキシアルキル基で置換された式(II)の化合物は本発明の範囲内と考えられる。Zがアシル化基である式(II)の化合物の塩形態(その塩は塩基による中和(例えば、添加剤パッケージ又は配合潤滑剤中の金属洗剤との相互作用のために生じ得る)から生じる)がまた本発明の範囲内にあると考えられる。
一つの好ましい実施態様において、洗剤は下記の構造の化合物を含む。
【0020】
【化5】


【0021】
(式中、Qは、例えば、アルキル基である)
このような分子は、例えば、下記の種を含むモノマー混合物から調製し得る。
【0022】
【化6】


【0023】
その混合物はパラ-ホルムアルデヒドでオリゴマー化される。これに続いてアシル化剤、例えば、アルキル置換無水コハク酸(基Qが酸無水物のアルキル置換基である場合)とのそのオリゴマーの後反応が行なわれる。その他のモノマー混合物、又は単一モノマーが同等に使用されてもよく、またアシル化剤との後反応が任意の工程であることは当業者により理解されるであろう。また、反応条件を変えることにより、例えば、反応時間を延長することにより、残留酸官能基がラクトン官能基に変換し得ることが当業者に明らかであろう。
式(II)の化合物の特に好ましいクラスは式(III)の化合物を含む。
【0024】
【化7】


【0025】
式中、一つ以上のY'は基Z(O(CR22)n')y'X'-(式中、Zは式IVのラクトンエステル、式Vの酸エステル、又はこれらの組み合わせから誘導され、
【0026】
【化8】


【0027】
(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は独立にH、アルキル並びに200個までのCを含むポリアルキル及びポリアルケニルから選ばれる)、かつZは式VI:
【0028】
【化9】


【0029】
(式中、R10及びR11は独立にH、アルキル並びに300個までのCを含むポリアルキル及びポリアルケニルから選ばれる)のビスアシルである)であり、m'は0〜100であり、かつp及びsは夫々独立に約0〜約25であり、但し、pm';sm';かつp+s1であることを条件とする。
式(III)の好ましい化合物はY'単位の約2%から約98%までがZ(O(CR22)2)y'O-(式中、Zがアシル基であり、かつy'が1〜6である)であり、またY'単位の約98%から2%までが-OR2”である化合物、例えば、Arがナフタレンであり、Y'単位の約2%から約98%までがZOCH2CH2O-であり、Y'単位の約98%から2%までが-OCH3であり、かつL'がCH2である式(III)の化合物である。Ar'がナフタレンであり、Y'単位の約40%から約60%までがZOCH2CH2O-であり、かつY'単位の約60%から40%までが-OCH3であり、m'が約2から約25までであり、pが1から約10までであり、かつsが約1から約10までである式(III)の化合物が特に好ましい。式(III)の基Zが約100から約5000までの平均Mnを有するポリアルケン、又はヒドロカルビルイソシアネートから誘導されるポリアルキル又はポリアルケニルコハク酸アシル化剤から誘導されることが好ましい。
洗剤添加剤は燃料が燃料の重量を基準として、50〜300ppm(重量基準)の式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を含むような量で存在することが好ましい。
【0030】
(b) ディーゼル燃料
ディーゼル燃料は石油をベースとする燃料油、特に中間留出燃料油であることが好ましい。このような留出燃料油は一般に110℃から500℃まで、例えば、150℃から400℃までの範囲内で沸騰する。燃料油は大気圧留出物又は真空留出物、クラッキングされたガス油、或いはあらゆる比率の直留流並びに熱流及び/又は精油所流、例えば、接触クラッキングされた留出物及びハイドロクラッキングされた留出物のブレンドを含んでもよい。
ディーゼル燃料のその他の例として、フィッシャー-トロプッシュ燃料が挙げられる。フィッシャー-トロプッシュ燃料(またFT燃料として知られている)として、合成軽油(GTL)燃料、バイオマス液化(BTL)燃料及び石炭転化燃料として記載されたものが挙げられる。このような燃料をつくるために、合成ガス(CO+H2)が最初に生成され、次いでフィッシャー-トロプッシュ方法によりノルマルパラフィンに変換される。次いでノルマルパラフィンが接触クラッキング/リフォーミング又は異性化、ハイドロクラッキング及び水素異性化の如き方法により変性されて種々の炭化水素、例えば、イソ-パラフィン、シクロ-パラフィン及び芳香族化合物を生じる。得られるFT燃料はそのまま又はその他の燃料成分及び燃料型と組み合わせて使用し得る。また、植物源又は動物源に由来するディーゼル燃料、例えば、FAMEが好適である。これらは単独で、又はその他の型の燃料と組み合わせて使用されてもよい。
【0031】
ディーゼル燃料は好ましくはせいぜい0.05重量%、更に好ましくはせいぜい0.035重量%、特にせいぜい0.015%の硫黄含量を有する。更に低いレベルの硫黄を含む燃料、例えば、50ppm(重量基準)未満、好ましくは20ppm未満、例えば、10ppm以下の硫黄を含む燃料がまた好適である。
本明細書に説明されたように、本件出願人はユーロV遵守であるように開発されているエンジン中のインジェクター付着物の生成と関連する問題がディーゼル燃料中の金属含有種の存在と関連することを観察した。存在する場合に普通に、金属含有種は、例えば、燃料中に存在する酸性種による金属表面の酸化により汚染物質として存在するであろう。使用中に、ディーゼル燃料の如き燃料は、例えば、車両燃料供給系、燃料タンク、燃料輸送手段等中の金属表面と日常的に接触する。典型的には、金属を含む汚染は金属、例えば、亜鉛、鉄、銅及び鉛を含むであろう。
ディーゼル燃料中に存在し得る金属を含む汚染に加えて、金属含有種が燃料に計画的に添加され得る状況がある。例えば、当業界で知られているように、金属含有燃料によって運ばれる触媒種が粒状物トラップの再生を助けるために添加され得る。このような触媒は金属、例えば、鉄、セリウム及びII族金属、例えば、カルシウム及びストロンチウムを混合物として、又は単独でしばしばベースとする。また、白金及びマンガンが使用される。燃料がユーロV遵守であるように開発されているエンジン中で使用される場合に、このような触媒の存在がまたインジェクター付着物を生じ得る。
金属を含む汚染は、その源に応じて、不溶性粒状物又は可溶性化合物もしくは錯体の形態であり得る。金属を含む燃料によって運ばれる触媒はしばしば可溶性化合物もしくは錯体又はコロイド種である。本発明の状況の金属含有種は金属である種及び金属成分が配合された形態であるものの両方を含むことが理解されるであろう。
或る実施態様において、金属含有種は燃料によって運ばれる触媒を含む。
好ましい実施態様において、金属含有種は亜鉛を含む。
典型的には、種中の金属の合計重量に関して表わされる、ディーゼル燃料中の金属含有種の量は、ディーゼル燃料の重量を基準として、0.1〜50ppm(重量基準)、例えば、0.1〜10ppm(重量基準)である。
【0032】
(c) 燃料インジェクター特性
歴史的に、ディーゼルエンジン燃料インジェクターはデザインが単純であった。近年、インジェクターデザインとエンジン性能の間の関連が一層良く理解されるようになった。例えば、燃料液滴の微細な分布が排出物の減少を促進するという知識が燃料インジェクター噴霧穴の次第に狭くなること及び増大されたインジェクター圧力をもたらした。前記のように、きたるべきユーロV排出物規格を満足するための運転が燃料インジェクターデザインの更なる進歩をもたらした。
(i) テーパーをもたされている噴霧穴
燃料インジェクターの大半は断面が一様である噴霧穴を有する。本発明において、噴霧穴は燃料が噴霧穴に入る位置(入口)における直径が燃料が噴霧穴を出る位置(出口)における直径よりも大きいようにテーパーをもたされていることが好ましい。最も典型的には、噴霧穴が円錐形又は切頭円錐形の形状であろう。
(ii)噴霧穴直径
噴霧穴は好ましくは0.10mm以下、更に好ましくは0.08mm以下の出口直径を有する。これは典型的には0.25mmの噴霧穴を有していた10〜15年前のインジェクターと比較されるかもしれない。
【0033】
(iii) 丸められた噴霧穴
本発明の状況において、丸められた噴霧穴は穴の入口の内縁が傾斜プロフィールではなく、湾曲又は放射状プロフィールを有するように形成され、平滑にされ、又は浸蝕されたものである。
(iv)多重噴霧穴
歴史的に、燃料インジェクターは4個までの噴霧穴を有していた。本発明は好ましくは6個以上の噴霧穴、例えば、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上の噴霧穴を有する燃料インジェクターに関する。燃料インジェクターの将来のデザインは更に多くの噴霧穴を有するであろうと予想される。
(v) 運転チップ温度
多数の噴霧穴のための一層低い燃料流量、一層高い燃料圧力及び複雑な噴霧穴形状の組み合わせが増大されたインジェクターチップ温度をもたらす。典型的には、燃料インジェクターは250℃を越え、好ましくは300℃を越える運転チップ温度を有するであろう。
特性(i)〜(iv)はインジェクター中のそれ程乱れていない燃料流れをもたらす。これは一般に有利であるが、それは燃料が存在し得る付着物を物理的に浸蝕する可能性を少なくする。運転チップ温度の上昇はまた付着物の生成に寄与すると考えられる。
本発明が今実施例のみにより記載されるであろう。
調製経路
【実施例1】
【0034】
下記の種を含むモノマーの混合物を使用した。
【0035】
【化10】


【0036】
モノ-エトキシル化種(2-(2-ナフトールオキシ)-エタノール)はその混合物のほぼ60%を構成し、残部はジ-エトキシル化種及びトリ-エトキシル化種から構成された。パラ-ホルムアルデヒドによるモノマー混合物のオリゴマー化をトルエン中で油溶性酸触媒の存在下で行なった。溶媒の除去後に、オリゴマーをイソ-オクタデシル無水コハク酸と反応させて下記の種を生成した。
【0037】
【化11】


【0038】
式中、Q=イソ-オクタデシル
【実施例2】
【0039】
イソ-オクタデシル無水コハク酸に代えてポリイソブチレン無水コハク酸(PIBの分子量約450)を使用した以外は、実施例1を繰り返した。また、反応時間を延長することによりオリゴマーの残留酸官能基のほぼ半分をラクトン官能基に変換した。
【実施例3】
【0040】
反応時間を延長することによりオリゴマーの残留酸官能基の大半をラクトン官能基に変換した以外は、実施例2を繰り返した。
【実施例4】
【0041】
下記の反応スキームを使用した。この実施例はエトキシ基中にメチル分岐を含む単一モノマー種を使用した(以下に示されるように)。オリゴマー化後に、その物質を実施例2に使用されたのと同じポリイソブチレン無水コハク酸と後反応させた。また、実施例2と共通に、残留酸官能基の半分をラクトン官能基に変換した。
【0042】
【化12】


【0043】
試験プロトコル
使用したプロトコルはGraupnerら著“最新ディーゼルエンジンに関するインジェクター付着試験”, Technische Akademic Esslingen, 5th International Colloquium, 2005年1月12-13日, 3.10, 157頁, Wilfried J Bartz編集により記載されている。簡単に言えば、そのプロトコルは燃料インジェクターチップを強調して最新ディーゼルエンジンの運転条件を反復試験することを目的とする。試験を五つのステージに分ける。
a) エンジン出力の等速測定
b) 8時間の耐久運転
c) エンジンが停止され、冷却する間の延長されたソーキング期間(3〜8時間)
d) 2回目の8時間の耐久運転
e) エンジン出力の等速測定
本明細書に示されたデータについて、上記の五つのステージを使用したが、行なわれている試験プログラムに適するようにステージb)、c)及びd)を何回か繰り返すことができる。また、ステージa)及びe)を省いてもよいが、これらは結果の理解を改善するのに有益である。結果をステージa)中の試験の開始における平均トルクとステージe)中の試験の終了における平均トルクの差として報告する。また、等速操作が実施されない場合、測定された全負荷/全速における開始トルクと最終負荷/速度の差が使用し得る。また、煙発生の差を観察する。インジェクター付着物の生成は最終出力に悪影響を有し、観察される煙の量を増加するであろう。使用したインジェクターは上記された物理的特性(i)-(v)を有していた。
最新ディーゼルエンジンで予想される条件を反復試験するために、少量の亜鉛ネオデカノエートの形態の金属汚染を使用した燃料に加えてエンジンを運転した。
使用した燃料は下記の表1に示された特性を有する低硫黄含量ディーゼル燃料であった。
【0044】
【表1】


【0045】
上記プロトコルを使用して洗剤種を試験した。結果を下記の表2に示す。亜鉛ネオデカノエートの形態の3ppmのZnを全ての試験(未処理燃料単独を除いて)について燃料に添加した。
【0046】
【表2】


【0047】
結果は未処理燃料への亜鉛の添加がトルク損失の大きな増加を生じることを示す。市販のPIBSA-PAM洗剤は限界の改良を示した。全ての実施例の種が市販の洗剤よりも大きい改良を与えた。特に良好な性能が実施例1、2及び4の種について得られた。
比較目的のために、本発明の種を工業規格XUD9洗剤力試験で試験した。また、市販のPIBSA-PAMを試験した。結果を下記の表3に示す。
【0048】
【表3】


【0049】
これらの結果は市販のPIBSA-PAM洗剤がXUD9試験で予想された優れた性能を示したことを示す。対照的に、本発明の種は未処理燃料に対して改良を示さなかった。
【出願人】 【識別番号】500010875
【氏名又は名称】インフィニューム インターナショナル リミテッド
【出願日】 平成19年8月3日(2007.8.3)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤

【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治

【識別番号】100114007
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 孝二


【公開番号】 特開2008−56931(P2008−56931A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2007−224809(P2007−224809)