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【発明の名称】 吸着剤を利用したバイオ発酵ガスからのメタンの回収、精製方法
【発明者】 【氏名】泉 順

【氏名】王 鴻香

【要約】 【課題】本発明は、吸着剤を利用したバイオ発酵ガスからのメタンの回収、精製方法を提供する。

【構成】(1)吸着工程終了後の相対的高圧の当該吸着剤で充填された1塔と脱着工程終了後の相対的低圧の当該吸着剤で充填された他塔を塔後方で結んで、吸着工程終了後の1塔から残留するメタンを脱着工程終了後の他塔に移行してメタン回収率を向上する共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。(2)脱着したCOを主成分とするガスを吸着工程終了後の当該吸着剤吸着塔に塔前方から供給して塔内に残留するメタンを塔後方からパージしてパージガスを原料ラインに還流してメタン回収率を向上する共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。吸着剤として酸処理したシリカゲル、シリカライト又は酸処理を施したシリカライト及びシリカコートを施したCa−A又はNa−A型ゼオライトを使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を嫌気性発酵させることによって発生されたバイオガスを圧力スイング法によってメタンガスを回収し、精製する方法であって、下記の工程:
(1)バイオガスを昇圧して吸着塔に供給し、
(2)水分、CO及びシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタンの中の少なくとも一種以上を含有するメタンガスを水分吸着剤、シロキサン吸着剤として酸処理したシリカゲル、硫化水素、メチルメルカプタン吸着剤としてシリカライト又は酸処理を施したシリカライト、CO吸着剤として結晶表面にシリカコートを施したCa−A又はNa−A型ゼオライトを使用し、相対的高圧条件で水分、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分を先ず吸着させて、次いでCOを吸着させてメタンと分離した後、水分、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、COを吸着した当該吸着剤を相対的低圧条件に導いて離脱することによる、メタンと水分、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタンの少なくとも1種以上の共存ガスとの圧力スイング法によるメタンの回収、精製方法。
【請求項2】
請求項1工程で大気圧近傍で水分、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、COを吸着せしめ、真空減圧条件で脱着せしめるメタンと共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。
【請求項3】
吸着工程終了後の相対的高圧の当該吸着剤で充填された1塔と脱着工程終了後の相対的低圧の当該吸着剤で充填された他塔を塔後方で結んで、吸着工程終了後の1塔から残留するメタンを脱着工程終了後の他塔に移行してメタン回収率を向上する共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。
【請求項4】
脱着したCOを主成分とするガスを吸着工程終了後の当該吸着剤吸着塔に塔前方から供給して塔内に残留するメタンを塔後方からパージしてパージガスを原料ラインに還流してメタン回収率を向上する共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。
【請求項5】
バイオ発酵ガスが、水分、CO、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン及びメタンを含有する請求項1記載の精製方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤を利用したバイオ発酵ガスからのメタンの回収、精製方法に関する。
【0002】
資源の有効利用や環境の保全のため、生物由来の有機資源であるバイオマスを単に焼却するのでなく、有効利用するための検討が種々なされている。これらのバイオマスには、生ゴミなどの食品廃棄物、家畜糞尿、有機性廃水、下水処理場で発生する下水汚泥などの有機性廃棄物、資源作物あるいはその廃棄物が含まれる。これらのバイオマスを嫌気性発酵させることでバイオガスを発生させて、このバイオガスをエネルギーとして利用する技術の開発が進められている。下水処理場において沈殿池で発生する下水汚泥を嫌気性発酵させて生成させるバイオガス(消化ガス)は、メタン及びCOを主成分と、微量の不純物として硫化水素、メチルメルカプタンのような硫黄などを含むガスである。なお、都市部の消化ガスには、シャンプー由来のシロキサン化合物が含まれていることが知られている。
【0003】
水分、CO、シロキサン、硫化水素及びメチルメルカプタンの中の少なくとも1種以上を含有するメタンガスを主成分とするバイオ発酵ガスから、水分、CO及びシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタンを除去してメタンを回収、精製する方法として最も頻繁に採用されている方法は、次のようにして行なわれている。化学吸収法で硫化水素、メチルメルカプタンを吸収して除去し、シロキサンを活性炭吸着剤に吸着させて除去し、他の化学吸収法でCOを吸収して除去する方法である。
【0004】
この方法は、化学吸収法が大きなスケールアップ因子を有することから大容量処理には適しているものの、最大で2,000mN/h程度の中小容量のバイオ発酵ガスの精製には適さない。また、共存不純物による吸収剤の劣化は避けられず、吸収剤の継続的な補充、吸収剤処理に伴う2次汚染の問題等が生じる。同じく、活性炭吸着法についても、吸着されたシロキサンを除去した後に、活性炭を廃棄する必要があり、経年的な消費量は大きく活性炭の廃棄処理も負担となる。
【0005】
これらの課題を克服するものとして、吸着剤を使用して相対的に高い圧力で水分、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタンを吸着し、次いでCOを吸着してメタンを回収、精製し、吸着した終了後、シロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、COを相対的に低い圧力で除去する圧力スイング法(PSA)が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、現在提案されているPSAでは、CO吸着剤として活性炭、X型ゼオライトが採用されているが、CO吸着に伴うメタンの共吸着が無視できず、前処理に使用するシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタンを吸着の為の高シリカゼオライトは、長期的な使用により徐々に硫化水素、メチルメルカプタンに起因する固体硫黄の析出、シロキサンに起因するシリカの析出で吸着性能が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、気相でのバイオガスからシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタンを吸着し、次いでCOを吸着除去してメタンの回収、精製試験を行う中で、Na−A型ゼオライト又はCa−A型ゼオライトおよびそれらの有機ケイ素化合物の加水分解生成物を気相又は液相でシリカコートしたゼオライトを水分選択型吸着剤として使用してメタン、CO2成分ガスからのCO除去を行うと、メタン、CO2成分ガス中のCOを選択的に吸着し、メタンを高い濃度、高い回収率で回収、生成し得ることを見出した。これは、上記吸着剤がメタン−CO2成分系において高いCO/メタン分離係数でCOを選択的に吸着するためと判断される。
【0008】
更にシロキサンについては酸処理したシリカゲルがシリカを殆ど析出することなく、安定して吸−脱着しうること、硫化水素、メチルメルカプタンについてはシリカライト又は酸処理をしたシリカライトが固体硫黄を殆ど析出することなく吸−脱着しうること、水分についてはシリカゲルが安定して吸−脱着しうることを見いだした。又前処理用の酸処理したシリカライト、シリカゲルは吸着負荷が大きいためハニカム型の吸着剤を使用することが最も適している事が確認された。
【0009】
発明者等はシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分を吸着し、次いでCOを吸着した上記吸着剤を減圧条件下、脱着して再生する連続的なメタン回収、精製の可能なことを見出した。
【0010】
また、メタンの回収率の向上法として、
(1)吸着工程終了後の相対的高圧の当該吸着剤で充填された1塔と脱着工程終了後の相対的低圧の当該吸着剤で充填された他塔を塔後方で結んで、吸着工程終了後の1塔から残留するメタンを脱着工程終了後の他塔に移行してメタン回収率を向上する共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。
(2)脱着したCOを主成分とするガスを吸着工程終了後の当該吸着剤吸着塔に塔前方から供給して塔内に残留するメタンを塔後方からパージしてパージガスを原料ラインに還流してメタン回収率を向上する共存ガスとの圧力スイング法による分離方法。
の有効なことも見いだした。
【発明の効果】
【0011】
バイオ発酵ガスを含む排気ガスより、廃棄物を除去し、環境を汚すことが無い。また、メタンを有効に回収し、燃料その他に利用することができ、資源を有効に回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を以下に説明する。
本発明において水分、シロキサンを吸着させるのに用いる酸処理したシリカゲル吸着剤は、市販されているシリカゲルを酸水溶液で処理して得られる。シリカゲルは、水酸基とシロキサンとが反応し、シロキサンが加水分解して吸着活性点にケイ酸が析出して吸着性能の低下につながっている。ここで、シリカゲルの酸処理を行うと、水酸基はプロトン化されてシロキサンの加水分解が著しく抑制される。この為シロキサンの吸着は可逆的となり、円滑な吸−脱着が進行する。シリカゲルを処理するのに用いる酸は、特に限定されず、任意の酸を使用してよいが、入手の容易な硫酸、硝酸等を用いるのが一般的である。また、酸水溶液の酸濃度も特に限定されず、任意の濃度でよい。シリカゲルを酸水溶液で処理する際の温度や時間も特に限定されず、任意の温度を用いてよいが、温度が高い方が、処理時間も短くてすむ。
【0013】
本発明において硫化水素、メチルメルカプタンを吸着させるのに用いる吸着剤は、シリカライト又は酸処理を施したシリカライト吸着剤である。シリカライトは、市販されているものを用いてよい。酸処理を施したシリカライトは、酸として塩酸、リン酸、ホウ酸等を用い、酸を純粋又は脱イオン水に加えて、pH0.5〜6程度の水溶液を調製し、塩酸を用いる場合には水溶液にシリカライトを懸濁させて約10分〜3時間攪拌して、シリカライトに酸を担持させる。
【0014】
水酸基とHS、メチルメルカプタンが反応して加水分解が進行して吸着活性点に元素硫黄が析出して吸着性能の低下につながっている。ここでシリカライトを用いると、吸着剤表面の水酸基濃度が低いため、元素硫黄の析出が抑制される。更に、シリカライトの酸処理を行うと、更に残留する水酸基はプロトン化されて元素硫黄の析出が著しく抑制される。このため、HS、メチルメルカプタンの吸着は可逆的となり、円滑な吸−脱着が進行する。シリカライト及び酸処理を施したシリカライトは、混合して用いてもよい。
【0015】
本発明においてCOを吸着させるのに用いる結晶表面にシリカコートを施したCa−A又はNa−A型ゼオライトは、溶剤、例えばメチルアルコールにスラリー状にゼオライトパウダーを懸濁させ、これにテンプレート、例えばテトラエトキシオルソシリケート(TEOS)を結晶表面に必要厚さに相当する量加え、これにHO/TEOS比5〜20程度で水分を加えると、シリカが析出する。
【0016】
コーティング終了後、シリカゾルを加えてゼオライト:シリカゾル:脱イオン水=5〜30:1〜10:100程度でスラリーを調製し、これをハニカム基材に浸積して担持させ、温度約90〜150℃で約0.5〜3時間表面水分を除去し、約30〜80℃/hで昇温して約250〜450℃、約0.5〜3時間保持してケイ酸の脱水を完了してゼオライト結晶表面のSi−O−Siのネットワークを完成し且つ、脱水による活性化が終了する。このコーテイング条件で結晶表面に0.05〜0.1μmのシリカ薄膜が精製する。
【0017】
CO吸着量はCa−Aが大きく、CO/CH分離係数ではNa−Aの方が大きい。このコーテイング条件で結晶表面に0.05〜0.1μmのシリカ薄膜が精製する。
Na−Aの窓径が4Å、Ca−Aの窓径が5Å、CO分子径が3.2Å、CH分子径が4.2ÅのためNa−A、Ca−AともCO吸着速度はCH吸着速度よりも大きい。シリカコートを施したCa−A及びNa−A型ゼオライトは、混合して用いてもよい。
【0018】
以下に、本発明の1実施態様のシーケンスを第1表に示し、第1図を用いて説明する。
【0019】
【表1】


【0020】
第1ステップ(A塔、B塔−塔間均圧工程)
第1図に於いて、吸着工程の終了したA塔と再生工程の終了したB塔を塔後方のバルブ8a,8bを開くとA塔後方に残留するメタンがB塔に移行して高効率に回収され、又A塔、B塔とも塔内圧力は均圧化されるため、吸着工程にとっては円滑な昇圧、減圧工程にとっては円滑な減圧が進行する。
【0021】
第2ステップ(A塔−昇圧工程、B塔−減圧工程)
均圧に昇圧したA塔と製品タンク12の間をバルブ8bで結ぶと、A塔の後方から製品メタンが供給され、吸着圧力80〜150kPAに近いところまで昇圧する。均圧に減圧したB塔をバルブ9bを通じて真空ポンプと結ぶと塔内圧力は減圧して吸着したシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分、COが脱着する。ここで最下流のCO吸着剤から脱着するCOは、上流の強吸着成分であるシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分脱着時のパージガスとして作用し、塔内のこれらガスの分圧を著しく引き下げるため高効率に脱着が進行する。
【0022】
第3ステップ(A塔−吸着工程、B塔−再生工程)
メタン、CO、水分、硫化水素、メチルメルカプタン、シロキサンを含有するバイオ発酵ガスを流路1からブロワー2、バルブ3aを通じて硫化水素、メチルメルカプタン吸着剤としてシリカライト又は酸処理を施したシリカライト、水分吸着剤、シロキサン吸着剤として酸処理したシリカゲルのハニカム、CO吸着剤として結晶表面にシリカコートを施したCa−A又はNa−A型ゼオライトの粒状品又はハニカムの充填塔4aに供給する。充填塔4aには、シリカライト系硫化水素、メチルメルカプタン吸着剤、シリカゲル系シロキサン、水分選択型吸着剤、A型ゼオライトシリカコート品のCO吸着剤がこの順番で上流から充填されたハニカム吸着剤5が充填されている。(充填塔4a後方からCOが流過する直前にバイオ発酵ガスの供給を停止する。充填塔4bは塔後方までCO吸着帯が減圧によりある程度移動した状態であり、流路7から供給される製品メタンを減圧弁18、バルブ8bを通じて供給し、吸着剤ハニカム5と向流接触させることでシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分、COが脱着する。
【0023】
脱着されたシロキサン、COについては無害なので系外に排出する。硫化水素、メチルメルカプタンについてはアルカリ溶液への吸収固定化が一般的である。このように、本発明に従えば、有害物質を環境に放出することが無い。
【0024】
ここで第1〜3ステップと同じ操作をA塔とB塔を変更して、第4〜6ステップで実施する。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0025】
本発明の方法を、第1及び2図に示す装置を使用して、下記の条件で実施した。
第1ステップ(A塔、B塔−塔間均圧工程)
第1図において、吸着工程の終了した吸着圧力120kPAのA塔と再生工程の終了した再生圧力5kPaのB塔を塔後方のバルブ8a,8bを開くとA塔後方に残留するメタンがB塔に移行して高効率に回収され、又A塔、B塔とも塔内圧力は60kPa程度に均圧化されるため、吸着工程にとっては円滑な昇圧、減圧工程にとっては円滑な減圧が進行する。
【0026】
第2ステップ(A塔−昇圧工程、B塔−減圧工程)
60kPa程度に昇圧したA塔と製品タンク12の間をバルブ8bで結ぶと、A塔の後方から製品メタンが供給され、吸着圧力120kPAに近いところまで昇圧する。60kPa程度に減圧したB塔をバルブ9bを通じて真空ポンプと結ぶと塔内圧力は10kPA以下に減圧して吸着したシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分、COが脱着する。ここで最下流のCO吸着剤から脱着するCOは、上流の強吸着成分であるシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分脱着時のパージガスとして作用し、塔内これらガスの分圧を著しく引き下げるため高効率に脱着が進行する。
【0027】
第3ステップ(A塔−吸着工程、B塔−再生工程)
メタン60vol%、CO 35vol%、水分5vol%、硫化水素100ppm、メチルメルカプタン10ppm,シロキサン100ppm程度を含有するバイオ発酵ガス100m3N/hを流路1からブロワー2、バルブ3aを通じて硫化水素、メチルメルカプタン吸着剤としてシリカライト又は酸処理を施したシリカライト、水分吸着剤、シロキサン吸着剤として酸処理したシリカゲルのハニカム、CO吸着剤として結晶表面にシリカコートを施したCa−A又はNa−A型ゼオライトの粒状品又はハニカムの充填塔4aに供給する。充填塔4aは直径30cm、高さ120cmの大きさでありここに90lのシリカライト系硫化水素、メチルメルカプタン吸着剤、シリカゲル系シロキサン、水分選択型吸着剤、A型ゼオライトシリカコート品のCO吸着剤がこの順番で上流から充填されたハニカム5が充填されている。(空塔速度は0.5m/sec、吸着負荷は650m3N/h/tonで有る。)充填塔4a後方からCOが流過する直前にバイオ発酵ガスの供給を停止する。充填塔4bは塔後方までCO吸着帯が減圧によりある程度移動した状態であり、流路17から供給される4m3N/hの製品メタンを減圧弁18、バルブ8bを通じて供給し、吸着剤ハニカム5と向流接触することでシロキサン、硫化水素、メチルメルカプタン、水分、COが脱着する。
【0028】
ここで第1〜3ステップと同じ操作をA塔とB塔を変更して、第4〜6ステップで実施する。
【0029】
実施例1:CO選択型吸着剤としてのシリカコートを施したCa−A、Na−A型ゼオライトの調製例及び性能評価
CO選択型吸着剤ハニカム5として、Na−A、Ca−A、Na−A(10nm)、Ca−A(10nm)、Na−A(50nm)、Ca−A(50nm)、Na−A(100nm)、Ca−A(100nm)の比較評価を行った。
【0030】
ここでNa−A、Ca−Aの( )内はシリカコートの薄膜厚さである。ここでNa−A、Ca−Aのシリカコートによるゼオライト結晶上の薄膜成長には、メチルアルコールにスラリー状にゼオライトパウダーを懸濁させ、これにテトラエトキシオルソシリケート(TEOS)を結晶表面に必要厚さに相当する量加え、これにHO/TEOS比10程度で水分を加えると、シリカが析出する。(今回は1回のコーティングで10〜20nmのシリカが析出するように調整し、今回は3回で50nm、5回で100nmになるように調整した。)
【0031】
コーティング終了後、シリカゾルを加えてゼオライト:シリカゾル:脱イオン水=15:3:100でスラリーを調製し、これをハニカム基材に浸積して嵩比重0.4程度に担持し、110℃1時間で表面水分を除去し、50℃/hで昇温して350℃、1時間保持してケイ酸の脱水を完了してゼオライト結晶表面のSi−O−Siのネットワークを完成し且つ、脱水による活性化が終了する。
結果を第2表に示す。
【0032】
【表2】


【0033】
いずれも原料ガス中メタン濃度60vol%を越えており、又現在CO吸着剤として使用されているLi−X(SiO/Al比2)のメタン回収率を越えており、本発明の有効性が示される。
【0034】
特にNa−A、Ca−A及びこれらのシリカコート品はメタンに対し分子篩効果を示す高いCO吸着性能を示した。最も高いCO除去性能を示したのはCa−A(50nm)であった。これは比較的大きなCO吸着速度とメタンに対する分子篩効果を有する程度の窓径(結晶のガスの通り道)で有るためと思われる。
【0035】
実施例2:硫黄化合物選択型吸着剤としての酸処理をしたシリカライトの調製例及び性能評価
硫黄化合物選択型吸着剤ハニカム5として、酸処理をしたシリカライトSilicalite(1),Silicalite(4)、Silicalite(PO4−0.5)、Silicalite(PO4−0.5)、Silicalite(PO4−1)、Silicalite(PO4−2)、Silicalite(PO4−4)、Silicalite(BO3−0.5)、Silicalite(BO3−0.5)、Silicalite(BO3−1)、Silicalite(BO3−2)、Silicalite(BO3−4)と未処理のシリカライトの比較評価を行った。
【0036】
ここでSilicaliteの( )内はHClで酸処理をしたときの処理液のpH又はリン酸処理をしたときの担持量(質量%)、ホウ酸を担持したときの担持量(質量%)である。先ずHCl溶液処理に溶液によるシリカライトの酸処理には、純水にHClを加えてpH1及びpH4のHCl溶液を調製し、これら水溶液にシリカライトを懸濁させて30分間攪拌した。
【0037】
攪拌終了後、ろ過してシリカゾルを加えてゼオライト:シリカゾル:脱イオン水=15:3:100でスラリーを調製し、これをハニカム基材に浸積して嵩比重0.4程度に担持し、110℃1時間で表面水分を除去し、50℃/hで昇温して350℃、1時間保持してシリカライトの酸処理が終了する。
【0038】
次にリン酸及びホウ酸については脱イオン水100gにシリカライト15g、リン酸又はホウ酸Aグラム(g)を加え、ここでAグラム(g)は目標担持率をCw%とすると(1)式で計算する。
A = 15×C×1/100 (1)
【0039】
結果を第3表に示す。
【0040】
【表3】



HCl処理、リン酸ドープ、ホウ酸ドープのいずれも未処理のシリカライトに比べ長時間運転時の硫化水素、メチルメルカプタンとの除去に対する耐久性を示している。これは吸着剤への720時間運転後の硫黄析出量が未処理シリカライトに比べ抑制されていることからも確認される。ここでHCl処理についてはpH1のものがもっと優れた耐久性を示し、リン酸ドープ、ホウ酸ドープについては2g程度の添加が最適と評価された。
【0041】
これは吸着活性点近傍の酸点強度が上昇すると、硫化水素、メチルメルカプタンの化学吸着量が減少し、吸着活性点でのクラウス反応((2.1〜2.3)式)が減少するためと思われる。
H2S + 1/2O → S + HO (2.1)
H2S + 3/2O → SO + HO (2.2)
2H2S + SO → 3S + 2HO (2.3)
【0042】
実施例3:シロキサン選択型吸着剤としたの酸処理をしたシリカゲルの調製例及び性能評価
シロキサン選択型吸着剤ハニカム5として、酸処理をしたシリカライトシリカゲル(1)、シリカゲル(4)、シリカゲル(PO4−0.5)、シリカゲル(PO4−0.5)、シリカゲル(PO4−1)、シリカゲル(PO4−2)、シリカゲル(PO4−4)、シリカゲル(BO3−0.5)、シリカゲル(BO3−0.5)、シリカゲル(BO3−1)、シリカゲル(BO3−2)、シリカゲル(BO3−4)と未処理のシリカゲルの比較評価を行った。
【0043】
ここでシリカゲルの( )内はHClで酸処理をしたときの処理液のpH又はリン酸処理をしたときの担持量(質量%)、ホウ酸を担持したときの担持量(質量%)である。先ずHCl溶液処理に溶液によるシリカゲルの酸処理には、純水にHClを加えてpH1及びpH4のHCl溶液を調製し、これら水溶液にシリカゲルを懸濁させて30分間攪拌した。
【0044】
攪拌終了後、ろ過してシリカゾルを加えてシリカゲル:シリカゾル:脱イオン水=15:3:100でスラリーを調製し、これをハニカム基材に浸積して嵩比重0.4程度に担持し、110℃1時間で表面水分を除去し、50℃/hで昇温して350℃、1時間保持してシリカゲルの酸処理が終了する。
【0045】
次にリン酸及びホウ酸については脱イオン水100gにシリカゲル15g、リン酸又はホウ酸Aグラム(g)を加え、ここでAグラム(g)は目標担持率をCw%とすると(1)式で計算する。
A = 15×C×1/100 (1)
【0046】
結果を第4表に示す。
【0047】
【表4】


【0048】
HCl処理シリカゲルは、未処理のシリカゲルに比べ長時間運転時のシロキサン除去に対する耐久性を示している。これは吸着剤への720時間運転後のシリカ析出量が未処理シリカゲルに比べ抑制されていることからも確認される。ここでHCl処理についてはpH1のものがもっと優れた耐久性を示し、リン酸ドープ、ホウ酸ドープについては2g程度の添加が最も最適と評価された。
【0049】
これは吸着活性点近傍の酸点強度が上昇すると、シロキサンの化学吸着量が減少し、吸着活性点でのシロキサンの加水分解反応((3)式)が減少するためと思われる。
Rl・Sim・On + kHO → mSiO + lROH (4)
【0050】
次に吸着剤としてシロキサン吸着剤としてpH1のHCl溶液で酸処理したシリカゲル、硫化水素、メチルメルカプタン吸着剤としてpH1のHCl溶液で酸処理したシリカライト、水分吸着剤としてシリカゲルのハニカム、CO吸着剤として結晶表面にTEOSを使用して3回シリカコート(コート厚さ50nm)を施したCa−A型ゼオライトの粒状成型品(直径1.6mmペレット)を使用し、原料流量と製品メタン濃度、製品メタン回収率の関係を調べた。結果を第5表に示す。
【0051】
【表5】


【0052】
原料流量の減少に伴い吸着塔出口のメタン濃度は増大するが、メタン回収率は減少する。この為流量を80m3N/h程度に減少するとメタン濃度は96vol%に上昇し、一方原料流量を150m3N/hに上昇すると、メタン回収率は95%に上昇する。
【0053】
次に、同一吸着剤充填条件での原料ガス流量100m3N/hにおけるサイクルタイムと製品メタン濃度、製品メタン回収率の関係を調べた。結果を第6表に示す。
【0054】
【表6】


【0055】
サイクルタイムの短縮に伴い製品濃度は増大し、製品メタン回収率も増大する。サイクルタイム1分で製品メタン濃度は95vol%に達し、製品メタン回収率も94%に達した。これはCa−Aの分子篩効果で分子径の小さなCOは短サイクルタイムでも吸着されるが、大きな分子径のメタンは吸着されにくいためと思われる。従ってサイクルタイムの短縮で吸着剤の使用量を削減、製品メタン濃度の向上、製品メタン回収率の向上が同時に達成できることとなる。
【0056】
次に製品メタンパージガス量と製品メタン濃度、製品メタン回収率の関係を調べた。結果を第7表に示す。
【0057】
【表7】


【0058】
製品メタンパージ量の増大に伴い製品メタン濃度は上昇し、8m3N/hでは98vol%に達する。しかし一度回収したメタンをパージガスに使用するためメタン回収率は86%に低下する。一方製品メタンパージ量を2m3N/hに削減すると、製品メタン濃度は84%に低下する。回収率は94%に上昇するので高いメタン濃度を要求しない場合はこの条件を採用することもあり得る。
【0059】
ここまでの製品メタン回収は全て吸着工程終了後の吸着塔(吸着圧力120kPA)と再生終了後の吸着塔(再生圧力5kPa)を後方で結んで、塔内圧力を62.5kPa程度にする塔間均圧を採用した。ここで塔間均圧を採用せず、吸着工程終了後減圧工程に移行し、一方で再生工程終了後昇圧工程に移行した場合との、製品メタン濃度、製品メタン回収率の関係を調べた。結果を第8表に示す。
【0060】
【表8】


【0061】
塔間均圧が無い場合は製品メタン濃度は94vol%に上昇するが、製品メタン回収率は72%に留まる。一方これまで紹介した塔間均圧を採用すると製品メタン濃度は92vol%と若干低下するが、回収率は92%と非常に高い。塔間均圧は吸着−脱着−吸着の圧力変化を容易に移行できるので、回収率の向上、円滑なPSA操作の観点から非常に有効であることが判る。
【0062】
実施例4
第1実施例に於いては「吸着工程」では塔間均圧−昇圧−吸着、「再生工程」では塔間均圧−減圧−向流パージで製品メタンの回収を行ったが、この方法では向流パージにおけるパージガスとして製品メタンを使用するため、製品メタンの損失が無視できない。メタンの損失を避ける方法としては、「再生工程」において吸着工程終了後の吸着塔に塔前方からCOを主成分とする脱着ガスでパージすると吸着塔に残留するメタンがCOと置換して、塔後方からメタンが流過し、脱着工程に於けるメタンの損失が著しく低下する。
【0063】
この時の装置のフローシートを第2図に、装置フローシ−トを第9表に示す。
【0064】
【表9】


【0065】
図中第1図と同一の番号は同一の部品を示す。第2図において吸着工程終了後のB塔に脱着ガスタンク14から真空ポンプ11をブロワーとして使用し、バルブ15,16,19、9b、20bを開くと塔に残留する製品メタンが流過して流路21から流路1に還流して回収される。
【0066】
この操作を並流パージと呼ぶが脱着ガス量をG2(m3N/h),並流パージガス流量をG4(m3N/h)とすると並流パージ率Kを、
K = G4/G2
で定義する。なお脱着ガス量G3はG3=G2−G4である。
【0067】
ここで並流パージ率と製品メタン濃度、製品メタン回収率の関係を調べた。結果を第10表に示す。
【0068】
【表10】


【0069】
並流パージ率の増加に伴ない、製品メタン回収率は上昇し、並流パージ率70%で回収率は98%に達する。しかし並流パージ率の増大で製品メタン濃度も低下するので並流パージ率の最大値は70%程度にとどめるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
バイオ発酵ガスを含む排気ガスより廃棄物を除去することができ、廃棄物を外部に排出しない。また、メタンを有効に回収し、燃料その他に資源として有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第一の実施態様を示す。
【図2】本発明の第二の実施態様を示す。
【符号の説明】
【0072】
4a、4b 充填塔
5 吸着剤ハニカム
12 製品タンク
14 脱着ガスタンク
18 減圧弁
【出願人】 【識別番号】506233117
【氏名又は名称】吸着技術工業株式会社
【出願日】 平成18年8月18日(2006.8.18)
【代理人】 【識別番号】100093919
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 義道

【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實

【識別番号】100085774
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 弘志

【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史


【公開番号】 特開2008−45060(P2008−45060A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223211(P2006−223211)