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【発明の名称】 バイオディーゼル燃料油製造装置
【発明者】 【氏名】吉原 清次

【氏名】広畑 雅裕

【氏名】杉岡 忠雄

【氏名】鵜川 直彦

【要約】 【課題】植物油からBDFを製造する場合、BDFの収率向上と排出される洗浄水中の有機物濃度を低減するため、BDF、グリセリン、洗浄水の各相を完全分離する必要がある。

【構成】エステル交換反応を行う第1工程の回分式反応槽3において、所定時間攪拌後静置し、分離する重液のグリセリンと軽液の粗BDFの界面を検知する界面センサー6、界面センサーより下部にグリセリン抜き出し弁7、界面センサーより上部に粗BDF抜き出し弁10を備え、洗浄を行う第2工程の回分式洗浄槽13において、静置し分離する重液の洗浄水と軽液のBDFの界面を検知する界面センサー17、界面センサーより下部に洗浄水抜き出し弁18、界面センサーより上部にBDF抜き出し弁21を備え、各工程における攪拌静置、弁の開閉等一連の操作を逐次制御するシーケンサーを有するBDF製造手段からなる装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
菜種油、大豆油等の植物油を原料に軽油代替燃料であるバイオディーゼル燃料油を製造する第1工程の回分式反応槽において、植物油とメタノールを混合する攪拌翼、所定時間攪拌後静置し分離する重液のグリセリンと軽液の粗バイオディーゼル燃料油の界面を検知する回分式反応槽下部に設置した界面センサー、界面センサーより下部に設置したグリセリン抜き出し弁、界面センサーより上部に設置した粗バイオディーゼル燃料油抜き出し弁を備えると共に、第2工程の回分式洗浄槽において、第1工程から送液された粗バイオディーゼル燃料油と洗浄水を混合する攪拌翼、所定時間攪拌後静置し分離する重液の洗浄水と軽液の洗浄後バイオディーゼル燃料油の界面を検知する回分式洗浄槽下部に設置した界面センサー、界面センサーより下部に設置した洗浄水抜き出し弁、界面センサーより上部に設置したバイオディーゼル燃料油抜き出し弁を備えていることを特徴とするバイオディーゼル燃料油製造装置
【請求項2】
第1工程では植物油とメタノールを所定時間攪拌後停止し、所定時間後にグリセリン抜き出し弁を開とし、界面が界面センサーの位置に下降したらグリセリン抜き出し弁を閉とした後、粗バイオディーゼル燃料油抜き出し弁を所定時間開として第2工程に送液し、第2工程では粗バイオディーゼル燃料油と洗浄水を所定時間攪拌後停止し、所定時間後に洗浄水抜き出し弁を開とし、界面が界面センサーの位置に下降したら洗浄水抜き出し弁を閉とした後、バイオディーゼル燃料油抜き出し弁を所定時間開とするよう逐次制御するシーケンサーを備えていることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料油製造装置
【請求項3】
界面センサーとしてフロート式レベルセンサーを備えていることを特徴とする請求項1および2に記載のバイオディーゼル燃料油製造装置
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本特許は主として、菜種油、大豆油等の植物油を原料に軽油代替燃料であるバイオディーゼル燃料油(以下BDFと呼称する)を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
BDFは酸性雨の原因となる硫黄酸化物がほとんど発生せず、バイオマス資源由来であることから温暖化ガスである炭酸ガスを発生しないカーボンニュートラル燃料として期待されており、その生産量が伸びている。
【0003】
菜種油や大豆油等の植物油から、BDFを生産する従来法としてはいくつかあるが、大気圧下、60℃前後の比較的穏やかな反応条件で、触媒であるアルカリを加えてメタノールとエステル交換反応を起こす均相アルカリ法が、反応速度が速く、反応装置も比較的簡単で扱いやすいことから事実上の世界標準として最も広く用いられている(非特許文献1参照)。本法によるBDF製造法では、エステル交換反応後に生成する粗BDFと副生するグリセリンとの分離がまず第1工程で必要になるが、比重差を利用して分離する方法が使用されている。すなわち、静置後重液であるグリセリンは下部より、軽液である粗BDFは上部より抜き出すが、この際重液と軽液の界面は直接目視によるか、抜き出した液の色により検出する方法が一般に採用されている。また、エステル交換反応後の粗BDFには、原料植物油中の不純物遊離脂肪酸からエステル交換反応中の副反応により生じた石鹸や、未反応のアルコールおよびグリセリン等を微量含むため、第2工程で水により洗浄する必要がある。本第2工程でも第1工程と同様に、洗浄後の水とBDFは比重差を利用して分離する方法が使用されている。すなわち、静置後重液の水は下部より、軽液であるBDFは上部より抜き出すが、この際も重液と軽液の界面は直接目視によるか、抜き出した液の色により検出する方法が一般に採用されている(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】北川,米本「バイオディーゼル燃料製造技術−現状と展望−」,化学工学,Vol.70 No8,p399-400 (2006)
【非特許文献2】手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」オンラインウェブページ,p1-10:http://journeytoforever.org/jp/biodiesel_processor10.html,検索日2006/8/8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来使用されてきた目視による重液と軽液の分離方法には、以下のとおり多くの不都合がある。
【0005】
分離界面を直接目視による検出するには、慎重を期するために長時間を要するのみでなく、熟練した作業者であっても、完全に重液と軽液を分離するのは容易では無かった。例えば目視により界面を観察したり、抜き出した液の色により界面を検知する方法では弁の操作に遅れを生じ、重液と軽液を完全分離するのは困難であった。
【0006】
重液と軽液の分離が不完全であると、以下のとおり種々の不具合が起きる。第1工程のエステル交換反応では、グリセリンに生成した粗BDFが混入すると、BDFの収率が低下してしまう。また、逆に粗BDF中にグリセリンが混入すると、第2工程の水による洗浄工程でグリセリンやグリセリンに溶解して同伴されるメタノールが水中に溶け出す結果、洗浄排水の有機物濃度が非常に大となる。有機物濃度が上昇するのに伴い生物化学的酸素要求量(BOD)も著しく高くなるため、排水の生物処理が必要となるが、この際BOD負荷が上昇すると処理が困難になるため、処理装置が大きくなり、汚泥の排出量も増す不都合をきたす。
【0007】
また、第2工程の水による洗浄工程で重液と軽液の分離が不完全であると、種々の不都合が起きる。重液の洗浄後排水にBDFが混入すると、BDFの収率が低下するばかりでなく、排水中の有機物濃度の上昇に伴うBODの上昇により、上述のとり排水処理が困難になる。また逆にBDFに排水が混入すると、BDF中の水分が増加してしまい、ディーゼル燃料としての品質確保が困難になる。因みに経済産業省資源エネルギー調査会石油分科会石油部会燃料政策小委員会企画検討ワーキンググループ(第9回)配布資料「FAME混合軽油強制規格およびニート規格(案)」によれば、BDF中の水分は500ppm以下の非常に小さい数値に規定されている。
【0008】
本発明は上記の課題を解決しようとするものであり、第1工程のエステル交換および第2工程の水洗浄において、それぞれ重液と軽液を完全分離してBDFの収率と品質を確保すると共に、洗浄排水中の有機物濃度を下げて排水の処理負荷を低減する装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、BDFを製造する第1工程の回分式反応槽において、植物油とメタノールを混合する攪拌翼、所定時間攪拌後静置し分離する重液のグリセリンと軽液の粗BDFの界面を検知する回分式反応槽下部に設置した界面センサー、界面センサーより下部に設置したグリセリン抜き出し弁、界面センサーより上部に設置した粗BDF抜き出し弁を備えると共に、第2工程の回分式洗浄槽において、第1工程から送液された粗BDFと洗浄水を混合する攪拌翼、所定時間攪拌後静置し分離する重液の洗浄水と軽液のBDFの界面を検知する回分式洗浄槽下部に設置した界面センサー、界面センサーより下部に設置した洗浄水抜き出し弁、界面センサーより上部に設置したBDF抜き出し弁を備える装置を提供するものである。
【0010】
また、請求項2の発明は、第1工程では植物油とメタノールを所定時間攪拌後停止し、所定時間後にグリセリン抜き出し弁を開とし、界面が界面センサーの位置に下降したらグリセリン抜き出し弁を閉とした後、粗BDF抜き出し弁を所定時間開として第2工程に送液し、第2工程では粗BDFと洗浄水を所定時間攪拌後停止し、所定時間後に洗浄水抜き出し弁を開とし、界面が界面センサーの位置に下降したら洗浄水抜き出し弁を閉とした後、BDF抜き出し弁を所定時間開とするよう逐次制御するシーケンサーを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置を提供するものである。
【0011】
さらに請求項3の発明は、界面センサーとしてフロート式レベルセンサーを備えている請求項1および2に記載の装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果について各工程別に以下に詳述する。第1工程では植物油とアルカリ触媒である水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含むメタノールであるメトキサイドを加熱し所定時間混合攪拌することで、エステル交換反応を進行させる。植物油は1分子のグリセリンと3分子の脂肪酸がエステル結合したトリグリセリドであるが、本エステル交換反応により、エステル化しいわゆるBDFを生成すると共に、グリセリンが分離され副生物となる。BDFは常温の比重が0.86〜0.90、グリセリンは比重が1.25程度であるため、反応終了後静置すると、両者は重液がグリセリンと軽液がBDFとなり、比重差により分離する。実際の操作では、エステル交換反応の進行促進のため反応当量以上のメタノールを加えるため余剰のメタノールがグリセリンに溶解してグリセリンの比重は上記数値より下がるが、比重差による分離が可能であることには変わりはない。
【0013】
所定時間静置することで、グリセリンと粗BDFの界面が形成されたのち、回分式反応槽下部に設置した界面センサーよりさらに下部に設置したグリセリン抜き出し弁が開くことで、まず重液のグリセリンが回分式反応槽外に排出される。重液と軽液の界面が、界面センサーの位置に下降したら、グリセリン抜き出し弁を閉とすることで、グリセリンおよびグリセリンに溶解したメタノールの大部分を抜き出すと共に粗BDFが流出するのを防止する。界面センサー位置とグリセリン抜き出し弁に間隙があるため、グリセリンは僅かに残留するものの、粗BDFがグリセリンに混入して流出するのは完全に防止できる。次に、界面上部に溜まった軽液の粗BDFを界面センサーより上部に設置した粗BDF抜き出し弁より抜き出し、第2工程の回分式洗浄槽に送液する。所定時間送液することで粗BDF抜き出し弁より上部に溜まった粗BDFは送液が完了する。界面センサーと粗BDF抜き出し弁の間には間隙があるため、粗BDFの大部分は送液されるとともに、界面下に溜まったグリセリン相の粗BDFへの混合は完全に防止できる。粗BDFの抜き出し弁と界面センサーには間隙があるため、この部分に溜まった粗BDFは僅かに残留するが、同様に僅かに残留するグリセリンと共に、次回の回分反応時に新たに生成した粗BDFとグリセリンと共に分離排出されるので問題ない。
【0014】
上記のとおり、第1工程ではエステル交換反応により生成した粗BDFとグリセリンは互いに混合することなく完全に分離した状態で第2工程と系外へ送液されるため、BDFの収率向上と第2工程での洗浄負荷低減効果をもたらす。また原料の植物油の種類や性状、加えるメタノール量によっては、生成する粗BDF量やグリセリンの量が変化する場合があるが、この場合でも分離界面を直接センサーにて検知して抜き出しをする本第1工程の装置によれば、不都合なく完全に分離して排出することが可能となる。
【0015】
抜き出し量を計量しそれぞれを分離排出する方法も考えられるが、上記のように分離対象の量が変化する場合には、簡単な対応ができない。さらに、エステル交換反応は平衡反応であることから、BDFの収率をあげるためには、反応系のメタノールを過剰に添加する一方、生成物のグリセリンを系外に取り除くことが有利とされているが、本第1工程の装置では、メタノールを複数に分割して供給し、そのたびにグリセリンを粗BDFの混入を防止しながら排出することも極めて簡単にできる。
【0016】
第2工程の回分式洗浄槽では、洗浄水と第1工程より送液された粗BDFを攪拌後所定時間静置することで、洗浄水と洗浄を終えたBDFが分離し界面が形成される。BDFの比重は前述のとおり0.86〜0.90、水はほぼ1であるため、洗浄終了後静置すると、両者は重液が洗浄水、軽液がBDFとなり比重差により分離する。次に回分式洗浄槽下部に設置した界面センサーより下部に設置した洗浄水抜き出し弁を開とすることで、まず重液の洗浄水が回分式洗浄槽外に排出される。界面が界面センサーの位置に下降したら、洗浄水抜き出し弁を閉とすることで、洗浄水の大部分を抜き出すと共にBDFが流出するのを防止する。界面センサー位置と洗浄水抜き出し弁に間隙があるため、洗浄水は僅かに残留するものの、BDFが洗浄水に混入して流出するのは完全に防止できる。次に、界面上部に溜まった軽液のBDFを界面センサーより上部に設置したBDF抜き出し弁より抜き出し製品とする。界面センサーとBDF抜き出し弁の間には間隙があるため、BDFの大部分は抜き出されるとともに、界面下に溜まった洗浄水のBDFへの混入は完全に防止できる。BDF抜き出し弁と界面センサー間および洗浄水抜き出し弁と界面センサー間の間隙にそれぞれ僅かに残留するBDFと洗浄水は、次回の回分洗浄操作時に排出されるので問題ない。
【0017】
上記の第2工程は、洗浄水とBDFを完全に分離した状態で、系外へ排出する効果をもたらす。また原料の植物油の種類や酸化劣化の程度によっては、洗浄対象の粗BDF中の不純物量に変化が生じるため、加える洗浄水量を変化させる必要が生じるが、この場合でも界面を直接センサーにより検知して抜き出しをする本第2工程の装置によれば、BDFと洗浄水を不都合なく完全に分離して排出することが可能になる。
【0018】
以上のとおり、第1工程と第2工程の組み合わせにより、分離対象の各液の量が変化しても完全分離できるため、操作条件の変化に対し柔軟に対応できる装置とすることができる。
【0019】
また、第1工程と第2工程における上述の一連の操作は、その手順にそって逐次制御するシーケンサーを備えることで、省力化が図れると共に人による目視観察では限界のある界面検知誤差を除くことができる。またシーケンサーにより攪拌時間や静置時間を簡単に調整することが可能であり、供給する植物油の性状変化に応じて最適操作条件を設定し、製品BDFの品質確保が可能となる。
【0020】
さらに上記の界面センサーをフロート式レベルセンサーとすることで、検知誤差を防ぐことが可能となる。すなわち、重液に接触している場合にはフロートは浮上し、軽液に接触するとフロートは沈む簡単な構造のセンサーを適用することで、第1および第2工程の一連の操作は安定して制御可能となる。液界面を検知するレベルセンサーとしては、他に静電容量と電導度の変化をとらえるいわゆる静電容量式レベルセンサー等の適応も考えられるが、第1工程においては重液であるグリセリンには反応後の余剰メタノールが混入し、前述のとおりその混入比率は原料の植物油の種類や性状、加えるメタノール量等によって変化するため電導度等も変化してしまい適切に検知できなくなる懸念がある。一方、第2工程では重液である洗浄水と軽液のBDFがエマルションを生成する場合があり、この際には電導度等が不規則に変化してしまい、安定な界面検知が困難になる。因みに本発明者らは酸化劣化の進んだ植物油を原料とした場合、石鹸の副生量が増加するため、第2工程でエマルションが生成しやすく界面検知が困難になるとを観察している。
【0021】
以上、本発明の各工程を構成する効果により、従来の装置では困難であった粗BDFとグリセリンおよびBDFと洗浄水の完全分離が安定的に可能になり、BDFの収率向上と排出される洗浄水の有機物濃度低減が可能になる。また省力化が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は本発明の請求項1および請求項2に関わる第1実施形態例の説明図である。
【0023】
原料の植物油と、メタノールに触媒である水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム等のアルカリを溶解させたメトキサイドは、それぞれ植物油供給ライン1とメトキサイド供給ライン2より回分式反応槽3に供給される。回分式反応槽3には攪拌用モーター4に連結された攪拌翼5が設置されており、供給された植物油とメトキサイドは回分式反応槽3内に設置された過熱器(図示なし)にて加熱されながら、所定時間混合攪拌される。エステル交換反応が終了したら、攪拌を停止し所定時間静置するとエステル交換反応で生成した粗BDFが軽液として上部に、グリセリンが重液として下部に分離し両者の間には界面が形成される。回分式反応槽3の下部には界面センサー6と界面センサー6より下部にグリセリン抜き出し弁7が設置されており、所定時間後にグリセリン抜き出し弁7が開とされてグリセリンがグリセリン排出ライン8より排出される。グリセリンの排出にともない界面位置が下がり、界面センサー6に達すると、界面センサー6のフロートが沈むことでその位置が検知され、調節計9に信号が送られる。調節計9からの信号を受けてグリセリン抜き出し弁7は自動的に閉とされる。次に界面センサー6より上部に設置された粗BDF抜き出し弁10が開き送液ポンプ11および送液ライン12を経由して粗BDFが第2工程の回分式洗浄槽13に送られる。
【0024】
回分式洗浄槽13には攪拌用モーター14に連結された攪拌翼15が設置されており、送液された粗BDFは洗浄水供給ライン16より供給される洗浄水と所定時間混合攪拌される。必要に応じて回分式洗浄槽内に設置された加熱器(図示なし)により温度が一定値に保持される。攪拌を停止し所定時間静置すると、洗浄を終えたBDFが軽液として上部に、洗浄水が重液として下部に分離し両者の間には界面が形成される。回分式洗浄槽13の下部には界面センサー17と界面センサー17より下部に洗浄水抜き出し弁18が設置されており、所定時間後に洗浄水抜き出し弁18が開とされて洗浄水排出ライン19より排出される。洗浄水の排出にともない界面位置が下がり、界面センサー17に達すると、その位置が検知され、調節計20に信号が送られる。調節計20からの信号を受けて洗浄水抜き出し弁18は自動的に閉とされる。次に界面センサー17より上部に設置されたBDF抜き出し弁21が開き、その位置にBDFの液面が下がるまでBDF抜き出しライン22を通して排出される。排出されたBDFはBDF製品タンク(図示なし)に送られる。本実施例では洗浄は一回の場合をしめしたが、これに限定されるものではなく複数の洗浄が可能である。その場合には洗浄水排出ライン19より洗浄水を抜き出したのち、再度洗浄水供給ライン16より洗浄水を供給し混合攪拌と洗浄水の抜き出し操作をくり返す。
【0025】
上記一連の操作において原料や洗浄水の投入、攪拌時間、静置時間、各抜き出し弁の開閉等はその手順にそって逐次制御するシーケンサー(図示なし)によって制御される。なお本一連の操作は回分で行われるため、一連の操作が終了し次の回分操作に移る前には、各抜き出し弁の開閉状況は本シーケンサーにより初期の状態に自動設定される。
【0026】
界面センサー6および界面センサー17の方式としては、前述の理由からフロート式界面センサーの採用が適当である。
【実施例】
【0027】
以下実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
前記図1の実施形態例に基づいた実施例1の結果を示す。本実施例で得られた結果は、同一条件で3回行った結果の平均値を示す。原料の菜種油の廃食用油に触媒として水酸化ナトリウムをメタノールに添加したメトキサイドを原料として供給した。第1工程では、廃食用油1に対しメトキサイド0.2の容量比で加え、60℃、1時間攪拌混合後、0.5h静置し、抜き出されたグリセリン量を測定したところ、容量比で平均0.175を得た。また抜き出されたグリセリンを静置し観察したところ、粗BDF相は形成されず、抜き出されたグリセリンに粗BDFは混入していないことを確認した。第2工程では洗浄を3回行った。洗浄水は供給廃食用油1に対しそれぞれ容量比で0.3供給し、それぞれ0.4h混合攪拌後、0.5h静置した。最終洗浄後抜き出したBDFの容量を測定したところ、供給した廃食用油容量比で平均1.0となった。また抜き出したBDFを静置し観察したところ、水相は観察されず、抜き出したBDFに洗浄水は混入していないことを確認した。一方排出された洗浄水の全量を集め静置したところ、BDF相は観察されず、洗浄水とBDFは完全に分離されていることを確認した。また、洗浄水中の有機炭素濃度を「燃焼−赤外線分析法」により測定したところ平均値として9020 mg/lの結果を得た。
【0029】
(実施例2)
実施例1において第1工程および第2工程の重液の抜き出し、すなわちグリセリンと洗浄水の抜き出しはそれぞれ回分式反応槽および回分式洗浄槽の側面に設置したガラス製のぞき窓から界面を観察しながら抜き出し弁の開閉を手動操作することにより行った。他は実施例1と同じ条件とした。抜き出したグリセリンは、供給した廃食用油に対する容量比で平均0.185となった。第1工程で抜き出したグリセリンを静置し観察したところ、上部に粗BDF相が形成されており、BDFの混入が認められた。また、第2工程で洗浄後抜き出したBDFの容量を測定したところ、容量比で0.97となり、実施例1よりBDFの収率は小となった。抜き出したBDFを静置し観察したところ水相は観察されなかった。一方排出された洗浄水を静置したところ、上部にBDFが分離浮上し、排出洗浄水にはBDFが混入していることが観察された。また洗浄水中の有機炭素濃度を実施例1と同じ方法で測定したところ、平均値として12100 mg/lとなり、実施例1より大となった。
【0030】
(実施例3)
実施例1において、第1工程の回分式反応槽のみを使い、エステル交換反応および洗浄を実施した。重液の抜き出しは、実施例2と同様に回分式反応槽の側面に設置したのぞき窓から界面を観察しながら抜き出し弁を手動操作することにより行った。他の条件は実施例1と同一とした。エステル交換反応後重液のグリセリン抜き出し量を測定したところ、容量比で供給廃食用油の0.186となった。その後本回分式反応槽に洗浄水を合計3回注入し、各洗浄終了のたびに重液の洗浄水を抜き出す操作を3回繰り返した。抜き出した洗浄水を全量あつめ静置したところ、上部にBDF相が浮上分離され抜き出した洗浄水中へのBDFの混入が観察された。また実施例1と同一方法で洗浄水中の有機炭素濃度を測定したところ、13500 mg/lとなり、実施例1に比較し大となった。一方最終洗浄終了後にBDFを抜き出し、その量を計量したところ、供給した廃食用油に対する容量比で0.96となり実施例1に比較しBDFの収率は低下した。
【0031】
以上実施例1、2、3を比較すると、本発明の構成要素である回分式反応槽と回分式洗浄槽、界面センサーによるBDFの収率向上、洗浄水中の有機物濃度低減効果が認められる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の請求項1〜3にかかわる第1実施形態例の説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 植物油供給ライン
2 メトキサイド供給ライン
3 回分式反応槽
4 攪拌用モーター
5 攪拌翼
6 界面センサー
7 グリセリン抜き出し弁
8 グリセリン排出ライン
9 調節計
10 粗BDF抜き出し弁
11 送液ポンプ
12 送液ライン
13 回分式洗浄槽
14 攪拌用モーター
15 攪拌翼
16 洗浄水供給ライン
17 界面センサー
18 洗浄水抜き出し弁
19 洗浄水排出ライン
20 調節計
21 BDF抜き出し弁
BDF抜き出しライン
【出願人】 【識別番号】000236104
【氏名又は名称】MHIソリューションテクノロジーズ株式会社
【出願日】 平成18年8月18日(2006.8.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−45056(P2008−45056A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223079(P2006−223079)