トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 エマルジョン燃料
【発明者】 【氏名】安藤 伸章

【氏名】角田 豊

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油と機能水とからなることを特徴とする、エマルジョン燃料。
【請求項2】
請求項1記載のエマルジョン燃料において、機能水は電子水及び高調波還元水であることを特徴とする、エマルジョン燃料。
【請求項3】
請求項1または2記載のエマルジョン燃料において、更に塩化ナトリウムを含むことを特徴とする、エマルジョン燃料。
【請求項4】
燃料油と高調波還元水とを撹拌混合してエマルジョンを得る第1工程と、次いで該1工程で得られたエマルジョンと電子水とを混合撹拌する第2工程とからなることを特徴とする、エマルジョン燃料の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のエマルジョン燃料の製造方法において、更に高調波還元水に予め塩化ナトリウムを溶解させることを特徴とする、エマルジョン燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエマルジョン燃料に関し、特に長期間の保存状態にあっても油水分離をおこさず、安定的な燃焼状態で効率の良い燃焼を実現することができるエマルジョン燃料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用されている燃料の大部分は、化石燃料等が主流を成している。
しかし、かかる燃料を燃焼させると、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、一酸化炭素(CO)、粉塵等のような公害物質が排出され、環境汚染の主原因として問題となっている。
これに対し、大気環境の汚染物質を減少させるための多角的な研究と共に代替燃料等の開発事業等が活発に行われるようになってきた。
【0003】
化石燃料を燃焼させるには酸素が必要であり、この酸素源として、一般的には空気が利用されるが、空気には約78%の窒素が含まれており、これが排出ガス損失をもたらすと共に、窒素酸化物の発生源となる。
排気ガス損失を削減する目的で燃焼用空気を余熱すると、排気ガス中の窒素酸化物は飛躍的に増加してしまい、省エネルギーと大気汚染防止は二律背反という現状がある。
一方、酸素を用いた燃焼が窒素酸化物を殆ど発生させないことが確認されているが、燃焼温度が高いため利用し難いという問題がある。
【0004】
最近では、大気公害防止対策の一環として、燃料油に水を混合させたエマルジョン燃料の使用に関する多数の研究が行われており、エマルジョン燃料は産業上の基本的な課題である省エネルギー、公害防止に関し、有効な燃料である。
【0005】
一般に、燃料油に水を混合させたエマルジョン燃料は、油中に微細な水滴を含有している油中水滴型(water in oil)と水中に微細な油滴を含有している水中油滴型(oil in water)の二つの種類があり、燃料用として用いられるエマルジョンは一般的に油中水滴型が多く用いられている。
このような油中水滴型エマルジョン燃料は、燃焼の際、水蒸気が油を細かくして油の表面積を広げ、これにより油と空気との接触面積を増大させ完全燃焼させる利点を有する。
【0006】
しかしながら、上記のような効果を得るためは、エマルジョン燃料は、最適の燃料油/水の割合を維持してエマルジョンを安定な状態に維持させなければならない。
特に、ボイラー等の燃焼負荷が変動される際には、燃料油/水の混合割合に対する最適状態の調整が要求されるので、燃料油/水の混合調節装置が必要であるという問題点を有する。
また、エマルジョン燃料の場合、窒素酸化物の生成は大幅に削減され、これは微粒子化した水分の効果である。
【0007】
従来のエマルジョン燃料としては、重質油等の燃料油を混合添加剤(乳化材・安定剤・界面活性剤など)を用いて水と混合することで、安定なエマルジョン燃料が得られることは良く知られている(特許第3776188号・特許第3103923号等)。
しかし、かかる添加剤を混合しても、長期貯蔵安定性が不足することや乳化剤の使用量が多く必要なことが課題となっており、近年のエマルジョン燃料の開発は添加剤等の研究に指向しているのが現状である。
【0008】
しかし、乳化剤等を用いてエマルジョン燃料を製造しても、従来のエマルジョン燃料は、長期間、場合によっては20分〜7日間程度経過すると油と水が分離してしまい、長期保存が不可能であった。
実際には、得られたエマルジョン燃料をタンクに貯蔵する場合においては、徐々に底部に水が滞留してしまうので、水を抜き出す必要がある。
【0009】
更に、従来のエマルジョン燃料は、混入される水に対する熱損失があるため、高い熱効率が求められるボイラー等の用途には使用することができないといった問題がある。
このように従来のエマルジョン燃料は、油と水が時間の経過とともに分離され、エマルジョン燃料中の油と水の組成が変化するなどの問題が発生している。
【特許文献1】特許第3776188号
【特許文献2】特許第3103923号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、乳化剤や安定剤等の添加剤を用いなくとも、長期間保存しても燃料油と水とが分離することなく乳化状態を維持することができ、更に温度変化によっても燃料油と水とが分離することがない、長期の貯蔵安定性に優れるとともに、安定的にかつ最適の燃焼効率を呈することができる、新規なエマルジョン燃料を提供することである。
更に、本発明の目的は、効率のよい燃焼を実現することでエネルギーの節減ができると共に窒素酸化物と二酸化炭素等の公害排出物を低減し、省エネルギー化を促進することができる、エマルジョン燃料を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記本発明のエマルジョン燃料を容易にかつ確実に製造することができる、エマルジョン燃料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意研究した結果、機能水を用いることにより、従来のエマルジョン燃料には必須添加成分であった乳化剤や安定剤等の添加剤を配合する必要性なく、燃料油と水とが良好な乳化状態を長期間保持することができることを見出し、本発明を到達した。
【0012】
本発明のエマルジョン燃料は、燃料油と機能水とからなることを特徴とするものであり、特に、当該機能水は、電子水及び高調波還元水であることを特徴とする。
好適には、本発明のエマルジョン燃料は、上記エマルジョン燃料において、更に塩化ナトリウムを含むことを特徴とする。
本発明のエマルジョン燃料の製造方法は、燃料油と高調波還元水とを撹拌混合してエマルジョンを得る第1工程と、次いで該1工程で得られたエマルジョンと電子水とを混合撹拌する第2工程とからなることを特徴とする。
好適には、上記エマルジョン燃料の製造方法において、更に高調波還元水に予め塩化ナトリウムを溶解させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエマルジョン燃料は、長期間保存しても、燃料油と水とが分離することがないため、長期間の貯槽安定性に優れるものである。
従って、取り扱いも容易であり、安定した燃焼効率を長期にわたり維持することができ、窒素酸化物や粉塵の発生量を低減させることができる。
特に、温度変化によっても燃料油と水とが分離することがないため、寒冷地、熱帯地を問わず、長期に有効利用することが可能となり、従来の燃料と比べて実用的効果が非常に高く、その商品価値も極めて高いものである。
また、本発明のエマルジョン燃料の製造方法は、安定した燃焼効率を呈し、かつ窒素酸化物や粉塵の発生量を低減させることができる等の、上記エマルジョン燃料を容易にかつ確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を好適例を用いて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のエマルジョン燃料は、燃料油と機能水とを乳化させてなるものである。
本発明においては、上記構成を採用することで、界面活性剤や乳化剤、安定剤等を混合することなく、燃料油と水とを均一に乳化させることができ、しかも長期間保存しても燃料油と水とが分離することがない、安定なエマルジョン燃料を得ることができる。
【0015】
本発明のエマルジョン燃料に用いることができる燃料油としては、重質油、石油、灯油、軽質油等の石油系燃料油、石炭系燃料油、バンカー油を含む、燃料油として使用されている公知のものであれば、任意の燃料油を単独でまたは混合して用いることができる。
【0016】
特にエマルジョン燃料は、重質油を有効に使用することができるものであり、重質油とは常温で固体または半流動状のものをいい、例えば、石油系アスファルト類これらの混合物、石油系アスファルト各種処理物、その中間製品、残留物及びこれらの混合物、高温で流動しない高流動点油あるいは原油、石油系タールピッチ及びこれらの混合物、ビチューメン(オリノコタール、アサバスカビチューメ)等が挙げられる。
【0017】
また、本発明のエマルジョン燃料に用いられる機能水としては、電子水や高調波還元水が該当する。
機能水とは、主に物理的処理を施して何らかの機能を水にもたせたものであり、具体的には、電場、磁場、遠赤外線、音波、圧力などのエネルギー場の中において処理された水をいうものであり、例えば、電子水及び高調波還元水を含むものである。
電子水とは、高調波電圧を印加し、次いで炭素光を照射した水をいうものである。
また、高調波還元水とは、水に高調波を付加し、炭素光照射し、更に炭素電極放電によるエネルギー印加されて炭素が溶け込んだ水をいうものである。
【0018】
具体的には、本発明に用いる機能水を調製するにあたり、まず、工業用水、水道水、好ましくは純水に、高調波電圧を印加し、次いで炭素光を照射して電子水(機能水A)を調製する。
電子水(機能水A)を製造するにあたり、図1に示すように、電子水(機能水A)製造装置1は、高調波電圧発生装置2、炭素電極11及び12を備えた高調波電圧印加タンク3、炭素光発生装置13を備えた炭素光照射タンク4等で構成されている。
【0019】
高調波電圧発生装置2は、例えば、商用100Vを入力電圧とし、1k〜50kVの範囲の任意に設定された高電圧で、商用60Hzに高調波が重畳された高調波電圧を発生する変圧器等を用いることができ、発生した高調波電圧を炭素電極(炭素棒)11を介して高調波印加タンク3内の水に印可する装置である。
【0020】
この高調波電圧発生装置2としては、例えば特開2−100661号公報に開示されている変圧器等を使用することができ、また例えば、高調波電圧発生装置2としては、変圧器の二次線輪に複数の導電リング筒体を互いに絶縁した状態で外嵌し、線状及び筒状に積重したものを用いることができ、一次線輪から二次線輪に電流を流すと、二次線輪で反作用が生じて電流が乱調する(台形波形)ものである。
即ち、一次線輪から二次線輪に電流を流すと、導電リング筒体は、鉄心内の磁束により導電リング筒体の形状に応じた起電力を生じ、この起電力による磁束が二次線輪の基本電位波形(正弦波曲線)に変位を与え(正弦波曲線上に数個の突出波形)、高調波電位が二次線輪内に発生し、当該発生した高調波電圧を用いて安定化された電子水(機能水A)を製造することができる。
【0021】
高調波電圧印加タンク3は、管14から、例えば水道水が一定量(例えば、1t)供給され、当該供給された水を保持するとともに、上記高調波電圧発生装置2からの上記高調波電圧を水に印可するためのタンクである。
高調波印加タンク3の底には接地電極となる炭素電極(炭)12が位置し、水面近くに浸水した炭素電極11と高調波印加タンク2の底面に位置する炭素電極12との間に高調波電圧が印加され、この間に雷放電が生じる。
【0022】
より詳細には、本発明の好適な実施例において、上記高調波電圧を印加して電子水(機能水)を製造するには、図1に示す高調波電圧印加タンク3内の水に、例えば、19,500ボルト(V)の高調波電圧を1tの水に60分間印加して、高電界あるいは雷放電によるエネルギーを付与した。
これにより、水のクラスタが分解されて小さくなり、水分子の集団が小さくなり、好ましくは単分子水となり分子運動が活発化される。
高電圧を印加することにより水の分子集団は小さくなり、リング状の水が多くなり、その上結合のエネルギーが高く他のものと結びつきにくい構造化された活性水である電子水(機能水A)が得られるのである。
【0023】
該高調波電圧印加タンク3には、炭素光照射タンク4で炭素光が照射された水が必要に応じて循環されて再供給される管15を備え、更には、必要に応じて循環手得られた電子水(機能水A)を取り出すための管16も備える。
【0024】
炭素光照射タンク4は、高調波電圧印加タンク3から管17を介して供給された水を保持するとともに、炭素光発生装置13からの炭素光を当該水に十分に照射するためのタンクである。
なお、炭素光発生装置13は、フィラメントとして炭素を用いた電球に電圧を印加して発光させ、その光を炭素光照射タンク4内の水に照射する装置である。
当該水に炭素光を照射した水が電子水(機能水A)として本発明に利用される。
【0025】
より詳細には、炭素光照射については、水集団が小さくなった高調波電圧印加タンク4からの水または電子水(循環された場合)に、炭素光発生装置13からの炭素光を照射するが、炭素光が水に対して十分に照射されるように、例えば、本発明の好適な実施例においては、10リットル単位で、炭素光を発する電球2,400ワット(60W×40)を用いて約1時間かけて炭素光を照射した。
この照射によって、水には、炭素をフィラメントとする電球から発せられる炭素光により、太陽光に類似したスペクトルを有する振動エネルギーを水に付与することができることとなる。
【0026】
この炭素光照射により水分子の酸化還元電位は低位となり、また還元作用を持たせるには水分子のエネルギーを高めると共に強力な還元力を持った活性水素を安定化させて存在させることが重要となる。原子状の水素は還元力が強いため、水に金属イオンが含まれる場合には、当該金属元素イオンを還元して活性水素の含有率を低下させでしまうので、水には可能な限り含まれる金属イオンを少なくする必要がある。
従って、原子状の水素と弱く結合して還元力を作用させない物質である原子状の炭素を水中に存在させる必要があり、これは、第2工程における炭素スパーク放電により、原子状炭素が活性化した電子水に溶解する。
【0027】
該炭素光照射タンク4には、得られた電子水(機能水A)を取り出すための管18のほかに、該炭素光照射タンク4から高調波電圧印加タンク3に、炭素光照射後の水を循環させる管15を備え、必要応じて、上記操作を複数回繰り返して、水を循環させて得られた循環電子水(機能水A)も用いることができる。
このようにして、本発明のエマルジョン燃料に用いる電子水(機能水A)を得る。
【0028】
次いで更に、得られた電子水(機能水A)を用いて、本発明のエマルジョン燃料に用いる高調波還元水(機能水B)を調製する。
具体的には、本発明に用いる高調波還元水(機能水B)の調製には、上記電子水(機能水A)に、炭素光を照射し、その後炭素電極スパーク照射して、高調波還元水(機能水B)を調製する。
【0029】
高調波還元水(機能水B)を製造するにあたり、図2に示すように、高調波還元水(機能水B)製造装置5は、炭素光発生装置20を備えた炭素光照射タンク6及び炭素電極によるスパーク放電発生装置を備えたスパーク放電タンク7等で構成されている。
炭素光照射タンク6は、上記電子水(機能水A)を製造するのに用いた炭素光照射タンク4と同様のものを使用することができ、図1の装置で製造された電子水(機能水A)を当該タンク6に管19により導入して、炭素光発生装置20からの炭素光を十分に照射するものである。その炭素光照射は、上記図1の炭素光照射タンクにおける炭素光照射タンクと同様のものである。
該炭素光照射タンク6は、スパーク放電タンク7に炭素光照射水を循環させるための管21も備える。
また、スパーク放電タンク7でスパーク放電に課された水が、必要に応じて循環されて再供給される管22を備え、更には、循環された場合の高調波還元水(機能水B)を取り出すための管24も備える。
【0030】
炭素光が照射された水は、管21を通して、炭素光スパーク放電タンク7に導入されるが、該炭素光スパーク放電タンク中7には、軸対象に1対以上の炭素電極が設置されるスパーク放電発生装置が備えられている。更にタンク1と連通される管が備えられる。
当該タンク7には、炭素光照射タンク6からの水が供給されて、炭素電極スパーク放電が行われ、これにより、水中に炭素が含有することとなる。このように、スパーク放電を実施した水が高調波還元水(機能水B)として本発明に利用される。
【0031】
更には、該スパーク放電タンク7には、得られた高調波還元水(機能水B)を取り出すための管23のほかに、該スパーク放電タンク7から炭素光照射タンク6に、スパーク放電に課した水を循環させる管22を備え、必要応じて、当該操作を複数回繰り返して、水を循環させて得られた高調波還元水(機能水B)も用いることもできる。
このようにして、本発明のエマルジョン燃料に用いる高調波還元水(機能水B)を得る。
【0032】
より詳細には、図2に概略的に示す炭素電極スパーク放電装置7は、微粒子炭素を水中に含有させる処理を行うものである。
水分子が高温で分解すると原子状の水素を生成するが、該原子状水素は強い還元力を有しており、金属イオンを還元して水素の状態になる。水素になると還元力は有さない。この原子状水素を水中に安定させるには、金属イオンを少なくすること、原子状の水素と結合できる原子状、或いは分子状の物質を水中に存在させ、その物質にトラップさせる必要がある。その物質としてスパーク放電の結果として水和の状態で存在する「微粒子炭素」がある。
この微粒子炭素は原子状態の活性水素を効率的にトラップすることができる。活性水素を多量に含有する水を生成するには原水として金属イオンを含有しない純水を使用することが望ましく、活性水素が金属イオンの還元に消費されないようにし、水素と炭素の親和力を利用して結合させ、水和の状態で存在する微粒子炭素が原子状水素を活性な状態で存在させる。
【0033】
炭素電極を使用してスパーク放電をすると炭素電極から炭素が原子状で気化・蒸発する。この原子状の炭素は媒自体で再結合して微粒子となるが、その過程で酸素が存在すると燃焼して二酸化炭素となる。この燃焼を防止することで気化・蒸発した炭素をスパーク放電処理した水の中により多く存在させることを可能とする。
炭素スパーク放電に用いるスパーク放電発生装置には、炭素電極が複数本備わり、当該電極2本以上が軸対称に設置されている。2本の棒状の炭素電極は漏電電流が発生しないことが重要である。放電間隔は、気化・蒸発の粒子状の落下速度、水量、スパーク放電の光と熱の効果などを考慮して決定する。通常、10〜50センチメートルの範囲になるが、大容量の場合は、1メートル以上の距離を維持する。炭素電極は熱の良導体であるため、絶縁部は耐熱性材質を使用する。
炭素電極スパーク放電は、炭素電極が消耗し、特に空気中では消耗が著しい。消耗を抑制するには、電極間の距離の増加を抑え、一定に維持する必要がある。スパーク放電の電極間電圧は、電極間距離が2〜30mmの場合、700ボルト(V)以上であり、これにより本発明においては、安定的にスパーク放電を実施することができる。
本発明の好適な実施例においては、該スパーク放電は、炭素光照射タンク6で処理された水1tに対して、700Vで、5分間スパーク放電を行った。
【0034】
スパーク放電の衝撃波によって水分子は微細化がもたらされる。水分子の微細化はNMRの半値幅は60Hzとされ、水道水と比較すると粘度が高くなる。また蒸気圧が低く蒸発し難い。水道水が蒸発(恒温、恒湿度)するに必要な時間を10とすると炭素電極スパーク放電による処理した水は20となる。
炭素電極スパーク放電によって処理した水は、水分子のエネルギーが高く、活性な状態である。この活性な状態の水分子は員環を形成する。員環の水と原子状の炭素が結合すると糖と同様な分子構造になる。水分子が分解して生成した原子状の水素の一部は酸素と結合して水に戻る。残りの原子状の活性水素は、水和の状態で存在する炭素が作る糖に近い分子構造状態の炭素に保持されるか、水和している炭素原子に結合していると考えられる。原水が含有している塩素は炭素光照射とスパーク放電を受け除去される。
【0035】
本発明に用いる機能水中には、活性水素が1,000ppb程度存在する。
原水である水道水の溶存水素量は5ppb以下であるので、上記スパーク処理過程で微粒子状の水が酸素と水素に分解し、その活性水素が溶解していると考えられる。
本発明に用いる機能水中には超微粒子の炭素が水和の状態で存在し、この炭素が活性水素を結合させている。
炭素電極から気化・蒸発する原子状の炭素以外に原子状の炭素を生成するには、炭素を含有した気体中、例えば、二酸化炭素中でスパーク処理を行い、スパーク放電の熱で二酸化炭素を分解して原子状の炭素を生成する方法も有効である。
【0036】
このようにして得られた高調波還元水(機能水B)に、更に好ましくは、塩化ナトリウムを添加して、塩素イオンを含む機能水とすることが好ましい。
当該塩化ナトリウムは、機能水1Lに対して、飽和濃度以下の量で配合することができ、当該塩素イオンは、得られるエマルジョン中に含有される燃料油と機能水とのバインダーとして機能するので、より良好な乳化状態を維持することができるものである。
【0037】
このようにして得られた機能水と燃料油とを撹拌混合することにより、本発明のエマルジョン燃料が得られる。
燃料油としてA重質油を用いた本発明のエマルジョン燃料の例を以下に詳述する。
高調波還元水である機能水B(必要に応じて塩化ナトリウムを添加したものも含む)とA重質油とを撹拌混合して得られたエマルジョンに、更に機能水Aを撹拌混合することにより、エマルジョン燃料を製造する。
高調波還元水(機能水B)とA重質油とを混合撹拌させて乳化させる第1工程においては、高調波還元水(機能水B)とA重質油とは、例えば、質量比で9:1〜3:7の割合で配合されて、十分な乳化状態が均一に得られるまで、例えば、ドラム缶1本あたりの量を製造するにあたり4000rpmで3分間撹拌されて、第1工程エマルジョンが製造される。この配合割合は、所望する燃料効率や、燃焼カロリー、着火温度に応じて、適宜決定することができる。
また、かかる撹拌条件は、良好な乳化状態が形成できれば特に限定されず、使用する燃料油や、機能水と燃料油との配合割合に応じて、適宜決定することができる。
【0038】
次いで、該第1工程で得られたエマルジョンと電子水(機能水A)とを混合撹拌させて乳化させ、本発明のエマルジョン燃料を得る第2工程においては、その第1工程エマルジョンと電子水との配合割合は、質量比で9:1〜5:5であり、十分な乳化状態が均一に得られるまで、例えば、ドラム缶1本あたりの量を製造するにあたり4000rpmで1分間撹拌することにより、本発明のエマルジョン燃料を得ることができる。かかる配合割合も、所望する燃料効率や、燃焼カロリー、着火温度に応じて、適宜決定することができる。
また、かかる撹拌条件は、良好な乳化状態が形成できれば特に限定されず、使用する燃料油や、機能水と燃料油との配合割合に応じて、適宜決定することができる。
【0039】
混合撹拌装置としては、公知のものを使用することができるが、例えば、ラインミキサ、矢羽タービン翼、フルマージン型翼、高せん断型タービンミキサ、ホモジライザ等の高せん断速度の撹拌装置を有効に用いることができる。
【0040】
好適な実施例においては、上記好適な実施例として記載して得られた高調波還元水(機能水B)とA重質油とを混合撹拌させる第1工程において、高調波還元水(機能水B)とA重質油との配合割合は、質量比で1:5とし、良好な乳化状態が均一に得られるまで撹拌混合すればよく、例えばその撹拌条件はドラム缶1本あたりの量を製造するにあたり4000rpmで3分間混合撹拌したものであり、これにより、十分に均一な乳化状態となった第1工程エマルジョンを得た。
但し、高調波還元水(機能水B)には、飽和量の塩化ナトリウムが溶解されているものを用いた。
次いで当該第1工程で得られた第1工程エマルジョンと上記好適な実施例として記載して得られた電子水(機能水A)とを混合撹拌させる第2工程における第1工程エマルジョンと電子水(機能水A)との配合割合は、質量比で6:4とし、良好な乳化状態が均一に得られるまで撹拌混合すればよく、例えばその撹拌条件はドラム缶1本あたりの量を製造するにあたり4000rpmで1分間撹拌混合したものであり、これにより、十分に均一な乳化状態となった、本発明の実施例である乳白色のエマルジョン燃料を得た。
【0041】
このように、本発明のエマルジョン燃料は、乳化剤や界面活性剤や安定剤等を一切添加混合することなく、燃料油と水とが分離しない良好な乳化状態を保持するエマルジョン燃料であり、安定な長期貯蔵性に優れるエマルジョン燃料である。
【0042】
また、比較例として、A重質油、水道水、界面活性剤であるアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを、質量比で70:25:5の割合で配合して、撹拌混合した。これらの原材料の配合順序は、まずA重質油と界面活性剤とを撹拌混合して、これに水を添加して、良好な乳化状態が均一に得られるまで撹拌混合した。例えば、8000rpmで12分間撹拌することができる。これにより、十分で均一な乳化状態となった、乳白色のエマルジョン燃料を得た。
なお、製造時においては、上記実施例のエマルジョン燃料と、比較例のエマルジョン燃料とは、共に、視覚的に均一な乳白色の乳濁状態のエマルジョン燃料であった。
【0043】
上記好適な実施例の本発明のエマルジョン燃料を、常温常圧(25℃、大気圧)で静置して保存した後の経時的変化(3ヵ月後、半年後、1年後)と、上記比較例の界面活性剤が混入されているエマルジョン燃料を、常温条圧(25℃、大気圧)で静置して保存した後の経時的変化(1週間後)による乳化状態(分離状態)について試験した。
その結果を図3〜6に示す。
【0044】
このように、本発明の実施例のエマルジョン燃料は、界面活性剤が入っている従来のエマルジョン燃料と比較して、同じ条件で保管しても、従来のエマルジョン燃料が3ヵ月後には油と水とが分離してしまっているのに対し、3ヵ月後、6ヵ月後でも製造時と同様の乳白色の乳濁状態を保持するもので、油と水とが全く分離せず、また、1年経ってもほとんど分離しておらず、高い安定性を示すことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のエマルジョン燃料は、特定の調節装置を必要とすることなく、鉄道車両用燃料、船舶用燃料、バスやトラックを含む自動車用燃料等の乗り物燃料、石油火力発電所、産業上発電機(常用、非常用)、及び種々の大きさのボイラーに有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のエマルジョン燃料に用いる電子水を製造するための装置の概略図。
【図2】本発明のエマルジョン燃料に用いる高調波還元水を製造するための装置の概略図。
【図3】本発明の一例のエマルジョン燃料を3ヶ月保管した際の状態を示す写真図。
【図4】本発明の一例のエマルジョン燃料を6ヶ月保管した際の状態を示す写真図。
【図5】本発明の一例のエマルジョン燃料を1年保管した際の状態を示す写真図。
【図6】従来の一例の、界面活性剤を含むエマルジョン燃料を1週間保管した際の状態を示す写真図。
【符号の説明】
【0047】
1・・・電子水製造装置 2・・・高調波電圧発生装置
3・・・高調波印加タンク 4、6・・・炭素光照射タンク
5・・・高調波還元水製造装置 7・・・スパーク放電タンク
11、12・・・炭素電極 13、20・・・炭素光発生装置
14、15、16、17、18、19、21、22、23・・・管
【出願人】 【識別番号】504425749
【氏名又は名称】安藤 伸章
【識別番号】506279182
【氏名又は名称】加藤 日出丸
【出願日】 平成18年8月15日(2006.8.15)
【代理人】 【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾

【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子


【公開番号】 特開2008−45022(P2008−45022A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−221440(P2006−221440)