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【発明の名称】 バイオガス製造装置
【発明者】 【氏名】歌津 洋一

【氏名】森橋 大輔

【氏名】石村 忠昭

【氏名】信田 臣一

【氏名】橋本 民雄

【要約】 【課題】水産加工廃棄物を高倍率で希釈した場合であっても発酵槽内においてメタン発酵菌群を高濃度で維持することにより、メタン発酵菌群の活動阻害要因であるアンモニア濃度を減少させて、効率良くメタン発酵を行わせる。

【構成】水産加工廃棄物を主原料としてメタン発酵を行いバイオガスを発生させるバイオガス製造装置として、外部循環方式の発酵槽10と、発酵槽10内に収容するメタン発酵菌群の固定化担体とを備える。固定化担体は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に沿って複数の板状不織布21を傾斜配置した固定床20からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産加工廃棄物を主原料としてメタン発酵を行いバイオガスを発生させるバイオガス製造装置であって、
外部循環方式の発酵槽と、
前記発酵槽内に収容するメタン発酵菌群の固定化担体とを備え、
前記固定化担体は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に沿って複数の板状不織布を配置した固定床からなることを特徴とするバイオガス製造装置。
【請求項2】
前記板状不織布は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に対して傾斜して連続配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオガス製造装置。
【請求項3】
前記板状不織布は、その外周部が前記発酵槽の内面に密着するように外径形状を設定し、隣り合う前記板状不織布の傾斜方向をそれぞれ異ならせるとともに、隣り合う前記板状不織布の連続部に水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の流通孔を設けたことを特徴とする請求項2に記載のバイオガス製造装置。
【請求項4】
前記板状不織布は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオガス製造装置。
【請求項5】
前記板状不織布は、前記発酵槽の縦軸方向の中心部から周辺部に向かって放射状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のバイオガス製造装置。
【請求項6】
水産加工廃棄物の希釈媒体として、水、排水処理工程で発生する加圧浮上分離物、及び余剰汚泥の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバイオガス製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、魚腸骨等の水産加工廃棄物を原料として効率良くメタン発酵を行わせることが可能なバイオガス製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの有効利用及び地球温暖化の軽減等を目的として、生ゴミや家畜糞尿等の有機性廃棄物を原料としてメタン発酵を行わせ、メタンを主成分とするバイオガスを製造する技術が種々提案されている。
【0003】
このようなバイオガス関連技術として、水産加工廃棄物を原料としてバイオガスを発生させるとともに、生体機能材料を抽出するためのシステムが開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された技術は、水産加工廃棄物をメタン発酵させることにより得られたバイオガスを、水産加工廃棄物からタンパク質、アミノ酸、カルシウム、油脂等の生体機能材料を抽出処理する際のエネルギーとして利用するものである。
【0004】
また、ホタテ貝の中腸腺やイカの内臓等の水産加工廃棄物を処理してバイオガスを得るための方法が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献2に記載された技術は、酸生成菌とメタン生成菌とが共存する単一の反応槽に水産有機廃棄物を供給し、有機酸濃度を予め定めた上限値以下としてメタン発酵処理を行い、メタン発酵処理後の消化汚泥から重金属を抽出するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−160280号公報
【特許文献2】特開2003−190913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、魚腸骨等の水産加工廃棄物は、家畜糞尿等と比較してタンパク質を多く含むため、メタン発酵過程においてメタン発酵菌群の活動阻害要因であるアンモニアを発生させる。このため、メタン発酵原料として水産加工廃棄物を用いた場合には、メタン発酵過程においてアンモニア濃度が上昇し、メタン発酵が阻害されてしまうことが知られている。
【0007】
そこで、アンモニア濃度の上昇を抑制する対策として、メタン発酵原料である水産加工廃棄物を希釈水により希釈することが考えられる。しかし、アンモニア濃度の上昇を抑制するためにメタン発酵原料である水産加工廃棄物を希釈する場合には、7倍程度の高倍率で希釈する必要がある。このため、希釈水により増量されたメタン発酵原料の投入に伴って多量の消化液が排出され、発酵槽内においてメタン発酵菌群を高濃度で維持することが困難となる。
【0008】
この点、上記特許文献2には、反応槽内でタンパク質を多く含む水産有機廃棄物の分解に伴って発生したアンモニアが有機酸と中和反応を起こす旨の記載がある(段落0011)。しかし、上記特許文献2に記載された技術は、有機酸がアンモニアと中和反応を起こし、結果的にアンモニア濃度を低減させるものであるが、水産加工廃棄物を希釈した際にメタン発酵菌群を高濃度に維持することにより、積極的にアンモニア濃度の上昇を抑制しようとするものではない。
【0009】
このように、従来、水産加工廃棄物はメタン発酵過程においてメタン発酵菌群の活動阻害要因であるアンモニアが多量に発生するため、バイオガス製造の原料として積極的に用いることなく、焼却処理がなされる場合が多かった。そこで、水産加工廃棄物を有効利用するために、水産加工廃棄物をバイオガス製造の原料として用いることができる技術の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、水産加工廃棄物を高倍率で希釈した場合であっても発酵槽内においてメタン発酵菌群を高濃度で維持することにより、メタン発酵菌群の活動阻害要因であるアンモニア濃度を減少させて、効率良くメタン発酵を行わせることが可能な水産加工廃棄物を用いたバイオガス製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るバイオガス製造装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。
すなわち、本発明に係るバイオガス製造装置は、水産加工廃棄物を主原料としてメタン発酵を行いバイオガスを発生させるための装置であり、外部循環方式の発酵槽と、前記発酵槽内に収容するメタン発酵菌群の固定化担体とを備えている。前記固定化担体は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に沿って複数の板状不織布を配置した固定床からなることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成からなるバイオガス製造装置では、外部循環方式の発酵槽に、水産加工廃棄物を収容するメタン発酵原料タンク、希釈媒体供給装置、循環ポンプ等からなるメタン発酵原料の供給装置群を連通接続して、発酵槽内に水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料を循環させる。なお、メタンガス発酵菌群の固定化担体である固定床には、予めメタン発酵菌群を担持させておく必要がある。そして、メタン発酵原料のアンモニア濃度が所定値以下となるよう希釈を行いながら発酵槽に循環させると、発酵槽内に配置された固定床において、メタン発酵菌群が水産加工廃棄物をメタン発酵させてバイオガスが発生する。
【0013】
また、上記構成からなるバイオガス製造装置において、前記板状不織布は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に対して傾斜して連続配置することが好ましい。
【0014】
このような構成からなるバイオガス製造装置では、発酵槽内を循環する水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料が、傾斜配置された複数の板状不織布に接触しながら循環することにより、メタン発酵菌群と十分に接触してメタン発酵が促進される。
【0015】
また、上記構成からなるバイオガス製造装置において、前記板状不織布は、その外周部が前記発酵槽の内面に密着するように外径形状を設定し、隣り合う前記板状不織布の傾斜方向をそれぞれ異ならせるとともに、隣り合う前記板状不織布の連続部に水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の流通孔を設けることが好ましい。
【0016】
このような構成からなるバイオガス製造装置では、発酵槽内を循環する水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料が、流通孔を介して上流側の板状不織布から下流側の板状不織布に流動することにより、メタン発酵菌群と緊密に接触してメタン発酵が促進される。
【0017】
また、上記構成からなるバイオガス製造装置において、前記板状不織布は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に対して平行に配置することが可能である。なお、本発明において、平行とはメタン発酵原料の循環方向に対して完全に平行な場合だけではなく、略平行な状態を含むものである。
このような構成からなるバイオガス製造装置では、発酵槽内を循環する水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料が、平行配置された複数の板状不織布に接触しながら循環することにより、メタン発酵菌群と十分に接触してメタン発酵が促進される。
【0018】
また、上記構成からなるバイオガス製造装置において、前記板状不織布は、前記発酵槽の縦軸方向の中心部から周辺部に向かって放射状に配置することが好ましい。
このような構成からなるバイオガス製造装置では、発酵槽内に多くの板状不織布を配置することができるので、メタン発酵原料とメタン発酵菌群との接触が一層緊密になり、メタン発酵が促進される。
【0019】
また、上記構成からなるバイオガス製造装置において、水産加工廃棄物の希釈媒体として、水、排水処理工程で発生する加圧浮上分離物、及び余剰汚泥の少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0020】
このような構成からなるバイオガス製造装置では、水だけではなく、排水処理工程で発生する加圧浮上分離物や余剰汚泥によって水産加工廃棄物が希釈されて、メタン発酵に適した濃度となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るバイオガス製造装置では、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に沿って複数の板状不織布を配置した固定床を、メタン発酵菌群の固定化担体としている。このように、複数の板状不織布からなる固定床によりメタン発酵菌群が担持されているため、メタン発酵菌群の流出を効果的に抑制することができる。また、固定床に担持されたメタン発酵菌群が増殖してバイオフィルムを形成するので、固定床を設けない完全混合型のバイオガス製造装置と比較して、発酵槽の容積あたりの消化能力を向上させることができる。
【0022】
したがって、メタン発酵の過程でアンモニア濃度を低減させるために、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料を、加圧浮上分離物や余剰汚泥等の希釈媒体で希釈したとしても、発酵槽内にメタン発酵菌群を高濃度に維持することができるので、効率良くメタン発酵を行わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明に係るバイオガス製造装置の実施形態を説明する。
図1〜図5は本発明の第1の実施形態に係るバイオガス製造装置を示すもので、図1及び図2は第1の実施形態に係る固定床の斜視図、図3は第1の実施形態に係る固定床の側面図である。また、図4は第1の実施形態に係る発酵槽の斜視図、図5は第1の実施形態に係るバイオガス製造装置の概略構成図である。
【0024】
<バイオガス製造装置の概略構成>
本発明の第1の実施形態に係るバイオガス製造装置は、水産加工廃棄物を主原料としてメタン発酵を行いバイオガスを発生させるための装置である。水産加工廃棄物として、例えば水産加工工場の加工残渣として排出される魚腸骨を用いることができる。
【0025】
このバイオガス製造装置は、図5に示すように、外部循環方式の発酵槽10と、発酵槽10内に収容された固定床20を主要な構成要素としており、附属設備として、水産加工廃棄物を収容するメタン発酵原料タンク30、希釈媒体供給装置40、循環ポンプ50、ガス流量計60、脱硫装置70、及びガスタンク80等を備えている。
【0026】
<発酵槽>
本実施形態の発酵槽10は、図3及び図4に示すように、縦長の円筒状をなしており、上部にメタン発酵原料の供給口11を設けるとともに、下部に消化汚泥の排出口12を設けてある。この発酵槽10は、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料を供給口11から供給し、消化汚泥を排出口12から抜き出して再び供給口11から循環供給するようになっている。さらに、発酵槽10の上部には、バイオガスを取り出すための排気口13が設けられている。
【0027】
<固定床>
発酵槽10の内部には、メタン発酵菌群の固定化担体として固定床20を収容する。第1の実施形態に係る固定床20は、図1及び図2に示すように、メタン発酵原料の循環方向に沿って複数の板状不織布21を配置したものである。固定床20を形成する板状不織布21は、メタン発酵原料の循環方向に対して傾斜して連結配置されている。また、板状不織布21は、図3に示すように、その外周部が発酵槽10の内面に密着するような外径形状となっており、隣り合う板状不織布21の傾斜方向をそれぞれ異ならせている。さらに、隣り合う板状不織布21の連結部には、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の流通孔22が設けられている。
【0028】
第1の実施形態では、発酵槽10が円筒状となっているため、固定床20を形成する板状不織布21は円盤状となっている。この固定床20は、図1及び図2に示すように、支柱23を中心として板状不織布21を上下方向に並べて配置するとともに、各板状不織布21を支柱23に対して傾斜させている。隣り合う板状不織布21の傾斜方向は、交互に異なるようになっている。そして、上方に位置する板状不織布21の傾斜下端に、下方に位置する板状不織布21の傾斜上端を接続することにより、複数の板状不織布21が上下方向に連結されている。また、各板状不織布21は、傾斜下端に向かって放射状の切欠部を設けることにより、メタン発酵原料の流通孔22が形成されている。なお、第1の実施形態では、上方に位置する板状不織布21の傾斜下端と下方に位置する板状不織布21の傾斜上端とを連結しているが、若干の間隔をもって隣り合う板状不織布21、21を連続配置してもよい。
【0029】
第1の実施形態に係る固定床20は、複数の板状不織布21をメタン発酵原料の循環方向に対して傾斜配置しているため、固定床20の表面積を広くすることができる。そして、固定床20の表面積を広くすることにより、メタン発酵原料が固定床20に担持されたメタン発酵菌群と十分に接触して消化速度を向上させることができる。
【0030】
固定床20に担持するメタン発酵菌群として、例えば家畜糞尿処理施設由来の消化汚泥(中温菌)を使用することができる。また、板状不織布21は、例えばポリエステルにより構成されるが、メタン発酵菌群を担持することができる素材であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0031】
<第2の実施形態>
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係るバイオガス製造装置について説明する。図6〜図8は、本発明の第2の実施形態に係るバイオガス製造装置を構成する固定床を示すもので、図6は板状不織布の配置を示す斜視図、図7は板状不織布を支持するフレーム部材の斜視図、図8は固定床の平面図である。
【0032】
本発明の第2の実施形態に係るバイオガス製造装置は、上述した第1の実施形態に係るバイオガス製造装置と比較して固定床の構成が異なっている。なお、第2の実施形態に係るバイオガス製造装置を構成するその他の装置は、上述した第1の実施形態に係るバイオガス製造装置とほぼ同様となっているため、詳細な説明を省略する。
【0033】
<固定床>
第2の実施形態に係るバイオガス製造装置を構成する固定床は、円筒状の発酵槽内に配置する部材であり、板状不織布が水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に対して略平行に配置されている。また、各板状不織布は、発酵槽の縦軸方向の中心部から周辺部に向かって放射状に配置されている。
すなわち、第2の実施形態に係る固定床120は、図6及び図8に示すように、長方形状の板状不織布121が、発酵槽の縦軸方向の中心部から周辺部に向かって放射状に配置されている点に特徴がある。
【0034】
各板状不織布121は、フレーム部材90により支持されている。このフレーム部材90は、図7に示すように、対向して配置された一対の円環枠91、91と、一対の円環枠91、91を連結する複数の支柱枠92と、円環枠91の中心部から周辺部に向かって放射状に配置された複数の支持枠93とからなる。
フレーム部材90は、例えばステンレスを用いて構成することができるが、耐腐食性を有する材料であればどのような材質であってもよい。
【0035】
各板状不織布121は、対向配置された円環枠91、91の支持枠93、93の間に暖簾状に掛け渡すことにより、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料の循環方向に対して略平行に配置される。また、支持枠93が円環枠91の中心部から周辺部に向かって放射状に配置されているため、各板状不織布121は発酵槽の縦軸方向の中心部から周辺部に向かって放射状に配置されることになる。
【0036】
このように、第2の実施形態に係る固定床120は、複数の板状不織布121を発酵槽の縦軸方向の中心部から周辺部に向かって放射状に配置しているため、固定床120の表面積を広くすることができる。そして、固定床120の表面積を広くすることにより、メタン発酵原料が固定床120に担持されたメタン発酵菌群と十分に接触して消化速度を向上させることができる。
【0037】
<メタン発酵原料の希釈>
メタン発酵原料の希釈媒体は、水、排水処理工程で発生する加圧浮上分離物、及び余剰汚泥の少なくとも1つを用いることができる。すなわち、本実施形態では、水だけではなく、排水処理工程で発生する加圧浮上分離物や余剰汚泥を希釈媒体として積極的に使用することにより、水産加工過程で発生する副産物を有効利用してメタン発酵原料を希釈している。このため、最終的に排出される廃棄物量を減らして環境負荷を低減することができる。
【0038】
発酵槽に循環させるメタン発酵原料は、メタン発酵を促進するために、35℃程度に保温することが好ましい。また、発明者等が事前に行った実験結果では、アンモニア濃度の増加を抑制するために、魚腸骨の重量に対して7倍程度の希釈を行うことが好適であることが確認された。そこで、本実施形態では、水、排水処理工程で発生する加圧浮上分離物、及び余剰汚泥を用いて、メタン発酵原料を7倍程度に希釈している。
【実施例】
【0039】
次に、本発明に係るバイオガス製造装置の具体的な実施例を説明する。図9及び図10は、本発明の実施例に係るバイオガス製造装置を用いて連続培養を行った際におけるアンモニア濃度及びメタン濃度の遷移をそれぞれ示す説明図である。
【0040】
本実施例では、容量5リットルの発酵槽を使用し、第1の実施形態と同様の固定床を用いて実験を行った。また、メタン発酵原料として、魚腸骨、フロス(水処理施設で発生する加圧浮上分離物)及び余剰汚泥(活性汚泥の余剰分)の混合物を水で希釈したものを使用した。なお、希釈倍率は7倍程度としている。
【0041】
本実施例によるバイオガス発生実験における有機物負荷量は、概略以下のとおりである。実験開始から7日目までは、0.86g−VS/リットル/日(1.5g−VS/リットル、4回投入)とした。8日目から28日目までは、2.21g−VS/リットル/日(3.0g−VS/リットル、14回投入)とした。29日目から56日目までは、2.81g−VS/リットル/日(4.0g−VS/リットル、19回投入)とした。57日目から73日目までは、4.12g−VS/リットル/日(5.0g−VS/リットル、14回投入)とした。88日目から135日目までは、3.59g−VS/リットル/日(5.0g−VS/リットル、46回投入)とした。
【0042】
本実施例では、図9に示すように、実験開始当初、約3,250mg/リットルであったアンモニア濃度は、40日目付近から約1,500mg/リットル〜約1,750mg/リットルとなり、130日以上連続的にメタン発酵を行った場合においても、消化汚泥中のアンモニア濃度がメタン発酵を阻害するまで増加することはなかった。
【0043】
また、図10に示すように、発生したバイオガス中のメタン濃度は、実験開始当初から130日以上経過するまで、平均70%程度であり、良好なメタン発酵を行っていることがわかる。
【0044】
このように、本発明の実施例に係るバイオガス製造装置を用いて、魚腸骨をメタン発酵原料としてメタン発酵を行った場合には、発酵阻害要因であるアンモニア濃度を増加させることなく培養を継続することができた。また、7倍程度の高倍率で希釈を行っても、固定床によりメタン発酵菌群を確実に担持しているので、メタン発酵菌群の流出を抑制して、高濃度のメタンを含む良好なメタン発酵を行うことができた。
【0045】
<他の実施形態>
本発明に係るバイオガス製造装置は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、発酵槽の構造は上述したものに限られず、内部に固定床を収容して、水産加工廃棄物を含んだメタン発酵原料を循環供給することができれば、どのような構造であってもよい。
また、メタン発酵の工程は、所定期間毎にメタン発酵原料を供給するバッチ処理であってもよいし、連続的にメタン発酵原料を供給する連続処理であってもよい。
また、メタン発酵原料として使用する水産加工廃棄物の種類、希釈媒体の濃度及び種類等に応じて、メタン発酵原料の供給量、希釈倍率、保温温度等を適宜変更して設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固定床の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る固定床の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る固定床の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る発酵槽の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るバイオガス製造装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る固定床における板状不織布の配置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る固定床における板状不織布を支持するフレーム部材の斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る固定床の平面図である。
【図9】本発明の実施例に係るバイオガス製造装置を用いて連続培養を行った際におけるアンモニア濃度の遷移を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係るバイオガス製造装置を用いて連続培養を行った際におけるメタン濃度の遷移を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
10 発酵槽
11 供給口
12 排出口
13 排気口
20、120 固定床
21、121 板状不織布
22 流通孔
23 支柱
30 メタン発酵原料タンク
40 希釈媒体供給装置
50 循環ポンプ
60 ガス流量計
70 脱硫装置
80 ガスタンク
90 フレーム部材
91 円環枠
92 支柱枠
93 支持枠
【出願人】 【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
【識別番号】593065556
【氏名又は名称】芙蓉海洋開発株式会社
【識別番号】596175050
【氏名又は名称】信田缶詰株式会社
【識別番号】706000090
【氏名又は名称】株式会社システムインテック
【出願日】 平成18年8月2日(2006.8.2)
【代理人】 【識別番号】100130362
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 嘉英


【公開番号】 特開2008−37903(P2008−37903A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−210428(P2006−210428)