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【発明の名称】 消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置
【発明者】 【氏名】山口 英男

【氏名】加藤 卓己

【要約】 【課題】消化ガス中のシロキサンを、圧力と温度に基づいて容易に除去できて、除去に要するコストの低減が可能であるとともに、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することが可能で、当該システム中で合理的にシロキサンを除去することができる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置の提供を目的とする。

【構成】消化ガスからシロキサンを除去する装置であって、消化ガスの流れ方向上流から下流に順次、消化ガスを圧縮処理する圧縮装置1と、圧縮処理後の消化ガスを冷却処理する冷却装置2を設けた。消化ガスで運転される発電装置3を備え、圧縮装置は発電装置の排ガスで作動されるターボチャージャー1aで構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化ガスからシロキサンを除去する方法であって、上記消化ガスを圧縮処理し、その後、該消化ガスを冷却処理することを特徴とする消化ガス中のシロキサン除去方法。
【請求項2】
前記消化ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの排ガス圧力で、該消化ガスを圧縮処理することを特徴とする請求項1に記載の消化ガス中のシロキサン除去方法。
【請求項3】
前記消化ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの回転出力で、該消化ガスを圧縮処理することを特徴とする請求項1に記載の消化ガス中のシロキサン除去方法。
【請求項4】
前記消化ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置で生成される電力で、該消化ガスを圧縮処理することを特徴とする請求項1に記載の消化ガス中のシロキサン除去方法。
【請求項5】
消化ガスからシロキサンを除去する装置であって、上記消化ガスの流れ方向上流から下流に順次、該消化ガスを圧縮処理する圧縮装置と、圧縮処理後の該消化ガスを冷却処理する冷却装置を設けたことを特徴とする消化ガス中のシロキサン除去装置。
【請求項6】
前記消化ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の排ガスで作動されるターボチャージャーであることを特徴とする請求項5に記載の消化ガス中のシロキサン除去装置。
【請求項7】
前記消化ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の回転出力軸に連結されて作動されるスーパーチャージャーであることを特徴とする請求項5に記載の消化ガス中のシロキサン除去装置。
【請求項8】
前記圧縮装置が電力で駆動されるコンプレッサであることを特徴とする請求項5に記載の消化ガス中のシロキサン除去装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、消化ガス中のシロキサンを、圧力と温度に基づいて容易に除去できて、除去に要するコストの低減が可能であるとともに、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することが可能で、当該システム中で合理的にシロキサンを除去することができる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥などの有機物を嫌気性発酵処理等することで得られる可燃性の消化ガスを、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関で燃焼させ、熱だけでなく、発電も行えるようにしたコジェネレーションシステムが注目されている。しかしながら、消化ガス中には、シロキサン(無機または有機珪素)が含まれていて、消化ガスを燃焼させると、酸化反応によってシロキサンからシリカ(SiO2)が生成され、このシリカがガスエンジン等の内部などに燃焼残渣物として析出して、機械部品等に悪影響を及ぼす。
【0003】
具体的には、シリカは硬い固形物であって、燃焼室への付着、排気弁やピストンとシリンダライナ間での噛み込み、アドミッション弁への流入・固着を生じ、また潤滑油への混入によって部品の短寿命化をもたらし、さらにそれら不具合に対するメンテナンス間隔の短縮化などを招く。また、熱機関の後段に、NOxコンバータを設置している場合には、触媒表面にシリカが付着して、NOx除去率の低下や圧損増大を生じさせるおそれもある。
【0004】
消化ガス中からシロキサンを除去する技術については、例えば特許文献1〜3が知られている。特許文献1の「消化ガス発電装置」では、消化ガスを、消化ガス前処理装置の保有水の深さ200mm以下の部分に導入し、バブリングさせて水溶成分を保有水中に除去するとともに、消化ガス前処理装置のガス通流空間に、バブリング後の消化ガスを0.1m/sec以下の低速度で通流させ、不水溶性のミスト状異物を除去するようにしている。
【0005】
特許文献2の「消化ガス中のシロキサン化合物除去システムおよび除去方法」では、シロキサン化合物を含有する消化ガスを、減温装置に導入して冷却し、冷却された消化ガスを、消化ガス精製装置に導入して、水と向流接触させ、消化ガス精製装置で処理された消化ガスを、ヒータで加温するようにしている。
【0006】
特許文献3の「消化ガスの精製装置及びその方法」では、シロキサン化合物除去部と、その下流側のメタン濃縮部とを有する消化ガス精製装置であって、シロキサン化合物除去部が、シロキサン化合物吸着剤を充填した充填層を備え、再生するための再生手段を有する圧力スウィングまたは熱スウィング吸着装置を備え、メタン濃縮部の再生処理により発生するガスを、シロキサン吸着剤の再生の際のパージガスとして使用するようにしている。
【特許文献1】特開2006−8875号公報
【特許文献2】特開2006−45247号公報
【特許文献3】特開2006−83311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シロキサン除去については、特許文献3のように、吸着剤を用いた吸着除去が主流であるが、吸着装置自体の設備コストに加え、吸着剤は適宜に交換する必要があって、ランニングコストも嵩むという課題があった。また、特許文献1や2のように、消化ガスを水に接触させることは、その後のガスエンジン等での燃焼利用に対し、前処理が必要になるという課題があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、消化ガス中のシロキサンを、圧力と温度に基づいて容易に除去できて、除去に要するコストの低減が可能であるとともに、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することが可能で、当該システム中で合理的にシロキサンを除去することができる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる消化ガス中のシロキサン除去方法は、消化ガスからシロキサンを除去する方法であって、上記消化ガスを圧縮処理し、その後、該消化ガスを冷却処理することを特徴とする。
【0010】
前記消化ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの排ガス圧力で、該消化ガスを圧縮処理することを特徴とする。前記消化ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの回転出力で、該消化ガスを圧縮処理することを特徴とする。前記消化ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置で生成される電力で、該消化ガスを圧縮処理することを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる消化ガス中のシロキサン除去装置は、消化ガスからシロキサンを除去する装置であって、上記消化ガスの流れ方向上流から下流に順次、該消化ガスを圧縮処理する圧縮装置と、圧縮処理後の該消化ガスを冷却処理する冷却装置を設けたことを特徴とする。
【0012】
前記消化ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の排ガスで作動されるターボチャージャーであることを特徴とする。前記消化ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の回転出力軸に連結されて作動されるスーパーチャージャーであることを特徴とする。前記圧縮装置が電力で駆動されるコンプレッサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置にあっては、消化ガス中のシロキサンを、圧力と温度に基づいて容易に除去できて、除去に要するコストを低減できるとともに、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することができて、当該システム中で合理的にシロキサンを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態にかかる消化ガス中のシロキサン除去装置は基本的には図1に示すように、消化ガスからシロキサンを除去する装置であって、消化ガスの流れ方向上流から下流に順次、消化ガスを圧縮処理する圧縮装置1と、圧縮処理後の消化ガスを冷却処理する冷却装置2を設けて構成される。
【0015】
また、消化ガスで運転される発電装置3を備え、圧縮装置1として、発電装置3の排ガスで作動されるターボチャージャー1aが用いられる。冷却装置2には、発電装置3の排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aが備えられる。冷却装置2の下流には、消化ガスを減圧処理する減圧装置4が設けられる。
【0016】
消化ガスは、下水汚泥等の高含水バイオマスを、発酵槽等で嫌気性発酵処理することなどで生成される。消化ガスは、メタンや二酸化炭素を主成分とする可燃性ガスとして生成される。この消化ガス中には、シロキサンが含有されている。シロキサンは、主にシャンプーやリンス、スキンケア商品がその発生由来であると考えられている。
【0017】
シロキサンは、Si−O−を主骨格とし、側鎖にメチル基等の有機基を持つものの総称である。消化ガス中には、[(CH3)2SiO]nのうち、重合度3〜6のものが多く含まれている。これらには鎖状のもの(L3〜L6)と環状のもの(D3〜D6)とがあり、消化ガス中のシロキサンはほとんど、D4(オクタメチル−シクロ−テトラシロキサン:[(CH3)2SiO]4)やD5(デカメチル−シクロ−ペンタシロキサン:[(CH3)2SiO]5)で占められている。
【0018】
本実施形態にあっては、発酵槽で生成された可燃性の消化ガスは、発電装置3の一例であるガスエンジン発電機3aに供給され、ガスエンジン発電機3aは、消化ガスを燃焼して、熱エネルギーや電気エネルギーに変換するようになっている。
【0019】
図示しない発酵槽とガスエンジン発電機3aとの間には、これらを接続して消化ガスを流通させる供給系6が設けられる。供給系6には、発酵槽から送り出されてガスエンジン発電機3aに供給される消化ガスの流れ方向上流に位置させて、消化ガスを圧縮するための圧縮装置1が設けられるとともに、圧縮装置1の下流に位置させて、消化ガスを冷却して凝縮させるための冷却装置2が設けられ、これら圧縮装置1と冷却装置2とは、供給系6を介して接続される。冷却装置2の下流には供給系6を介して、減圧装置4として、減圧度合いの調整が可能な減圧弁4aが接続される。減圧弁4aは、冷却装置2から流れ込む消化ガスの圧力を減圧してシロキサンの凝縮処理を終了させるとともに、消化ガスのガスエンジン発電機3aへの導入圧力等を調整するために設けられる。
【0020】
減圧弁4aの下流には供給系6を介して、ガスエンジン発電機3aが接続される。また、減圧弁4aの下流には、必要に応じて他のガス利用先に消化ガスを供給するための配管7が接続される。
【0021】
減圧弁4aは必要に応じて設ければよい。また、供給系6には、圧縮装置1の上流に位置させて、消化ガス中のダストを予め除去するフィルタを設けることが望ましい。
【0022】
第1実施形態にあっては、圧縮装置1は、ガスエンジン発電機3aの排ガスで作動されるターボチャージャー1aで構成される。ターボチャージャー1aは、ガスエンジン発電機3aの排ガス系8に介設される。ターボチャージャー1aは、排ガスで回転駆動されて、消化ガスを圧縮する。排ガス系8には、ターボチャージャー1aをバイパスするバイパス系9が設けられ、バイパス系9には、開度調整可能なバイパス制御弁9aが設けられる。排ガス系8には、バイパス系9とターボチャージャー1aの入口側との間に位置させて、開度調整可能な第1制御弁10aが設けられる。排ガス系8には、ターボチャージャー1aの出口側であって、バイパス系9よりも下流側に位置させて、開度調整可能な第2制御弁10bが設けられる。
【0023】
第1実施形態にあっては、冷却装置2は、循環される冷媒で消化ガスを冷却する熱交換器2bと、冷媒を冷却して熱交換器2bとの間で循環させる吸収式冷凍機2aとから構成される。吸収式冷凍機2aは、ターボチャージャー1a下流の排ガス系8に介設され、熱源として排ガスが供給されて、この排ガスの排熱によって冷媒を冷却するようになっている。吸収式冷凍機2aの入口側は、第2制御弁10bの上流側で排ガス系8と接続され、当該入口側には、開度調整可能な排ガス調整弁11が設けられる。また、吸収式冷凍機2aの出口側は、第2制御弁10bの下流側で排ガス系8に接続される。これら吸収式冷凍機2aおよびターボチャージャー1aから排出された排ガスは、排ガス系8を介して送り出されて、排熱回収もしくは大気放散される。
【0024】
第1制御弁10a、第2制御弁10b、バイパス制御弁9aおよび排ガス調整弁11は、ガスエンジン発電機3aの運転状態に応じて適宜に開度調節されて、ターボチャージャー1aおよび吸収式冷凍機2a両者への排ガス供給量を調整し、ひいてはそれらの運転を制御するようになっている。
【0025】
第1実施形態にかかる消化ガス中のシロキサン除去方法について説明すると、基本的には、まず消化ガスを圧縮処理し、その後、冷却処理するようになっている。消化ガス中に含まれるシロキサンは、当該消化ガス中にガス態として存在できる量が、温度に依存する飽和蒸気圧によって左右される。他方、飽和蒸気圧は、圧力には依存しない。
【0026】
例えば、D5を例にとって説明すると、D5が消化ガス中にガス態で存在できる量は、20℃での飽和蒸気圧13.3Pa(0.1mmHg)で2171mg/m3N、5℃での飽和蒸気圧0.133Pa(0.001mmHg)で21.8mg/m3Nである。一例として、消化ガス中のD5の量が、50mg/m3Nとすると、ガス温度が20℃の場合は、50mg/m3N<2171mg/m3N(飽和蒸気圧)の関係にあって、D5は凝縮しないが、5℃まで冷却すると、50mg/m3N>21.8mg/m3N(飽和蒸気圧)の関係になって、28.2mg/m3N(=50−21.8)凝縮する。このときの除去率は、56.4%となる。
【0027】
そして、冷却する前に予め消化ガスを圧縮処理するようにすると、一例として、0.1MPaから1MPa程度に圧縮すると、凝縮処理する消化ガス中のD5量を、500mg/m3N(<2171mg/m3N(飽和蒸気圧))程度にまで高めることが可能で、このように圧縮処理した消化ガスを5℃まで冷却すると、478.2mg/m3N(500−21.8)の量のD5を凝縮させることができる。このときの除去率は、95.6%となる。
【0028】
圧縮処理は、消化ガス中のシロキサン分圧を高める目的で行われ、圧縮処理時の温度における飽和蒸気圧中に含み得るガス態のシロキサン量を超えない圧力に設定される。D4の場合は、5℃のときに消化ガス中に存在できる量が約270mg/m3Nであり、D5の場合と同様に、当初50mg/m3Nであってそれを圧縮して500mg/m3Nとすれば、230mg/m3N(=500−270)だけ除去することができる。
【0029】
第1実施形態では、圧縮装置1として、ガスエンジン発電機3aの排ガス圧力で作動されるターボチャージャー1aを用いていて、発酵槽で生成された消化ガスは、フィルタでダストが除去された後、供給系6を介して、ターボチャージャー1aに導入される。以下、便宜上、消化ガス中のシロキサン濃度は、実際の単位時間当たりの消化ガス量A(m3/h)中の濃度を、0℃、0.1MPaに換算した基準状態の消化ガス量(ノルマルガス量)B(m3N/h)中の濃度として説明する。発酵槽から送り出されるガス量A(m3/h)(=B(m3N/h))の消化ガス中のシロキサン濃度が、D4が0.05g/m3N、D5が0.05g/m3Nと仮定して、以下説明する。例えばターボチャージャー1aに導入される前、ガス温度が20℃、ガス圧力が0.1MPaである消化ガスは、ターボチャージャー1aで圧縮されることにより、ガス温度20℃で、ガス圧力が1MPaに昇圧される。これにより、単位体積あたりのシロキサン含有量(シロキサン濃度)が10倍程度高められる(圧縮によりガス量が0.1A(m3/h)となる)。ターボチャージャー1aによる消化ガスの圧縮率の調整は、第1,第2制御弁10a,10bやバイパス制御弁9a等の開度調整による排ガス流量制御で行われる。
【0030】
シロキサンの凝縮作用に関わる飽和蒸気圧は、圧力を変化させても変わらず、温度のみに依存するので、ターボチャージャー1aによる圧縮では、シロキサンの凝縮作用は生じない。ターボチャージャー1aで圧縮処理された消化ガスは供給系6を介して、ガスエンジン発電機3aの排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aから冷媒が供給される熱交換器2bに送り込まれ、例えば5℃まで冷却される(冷却によりガス量が0.095A(m3/h)となる)。熱交換器2bへの冷媒温度の調整は、排ガス調整弁11の開度調整による排ガス流量制御によって行われる。消化ガスが冷却されると、消化ガス中のシロキサン量は飽和蒸気圧分に対応する量、すなわちD4が約0.027g/m3Nとなり、D5が約0.002g/m3Nとなって、D4およびD5は、その差の約0.023g/m3Nおよび約0.048mg/m3Nが凝縮分として熱交換器2b部分で消化ガス中から除去される。
【0031】
その後、消化ガスは供給系6を介して、減圧弁4aに送り込まれ、ガス温度5℃で、ガス圧力が0.1MPaに減圧される(減圧によりガス量が0.95A(m3/h)となる)。減圧弁4aによる減圧操作により、シロキサンの凝縮作用が終了されてその後の凝縮が防止されるとともに、ガスエンジン発電機3aへの消化ガスの導入圧力等が適正化される。減圧弁4aで減圧された消化ガスは供給系6を介して、ガスエンジン発電機3aへと送り込まれる。また必要に応じて、消化ガスは配管7から他のガス利用先へと供給される。
【0032】
ガスエンジン発電機3aへ送り込まれた消化ガスは、ガスエンジン部分で燃焼されて発電機部分を駆動し、これにより電力エネルギーに変換されるとともに、またガスエンジン発電機3aを冷却する冷却水等を加熱するなどして、熱エネルギーとしても回収される。さらに消化ガスの熱エネルギーを含む排ガスは、排ガス系8を介して、上記ターボチャージャー1aに送り込まれて、当該ターボチャージャー1aを回転駆動し、消化ガスを圧縮処理する。また排ガスは、排ガス系8を介して、吸収式冷凍機2aへと送り込まれ、熱交換器2bに循環される冷媒を冷却するための熱源として利用される。排ガス系8を流通した排ガスは最終的には、ターボチャージャー1aや吸収式冷凍機2aなどから排出されて、排熱回収されたり、大気放散される。
【0033】
第1実施形態にあっては、排ガスで作動されるターボチャージャー1aや排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aを用いているので、十分な排ガス量が得られるまで、除去装置の起動用として、ガスエンジン発電機3aをLPGで始動するなどの始動用機器を備えることが好ましい。しかしながら、起動期間中等の短期間であってシロキサン除去を必要としない場合には、上記構成にて除去装置を運転してもよいことはもちろんである。
【0034】
以上説明した第1実施形態にかかる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置にあっては、圧縮した後で冷却処理するようにしたので、冷却処理によってシロキサンを凝縮させて効率よく消化ガス中からシロキサンを除去できることはもちろんのこと、事前の圧縮操作により消化ガスの単位流量中のシロキサン量を高めた上でシロキサンを凝縮させるようにしたので、さらに容易かつ高効率でシロキサンを消化ガス中から除去することができる。
【0035】
すなわち、シロキサンの飽和蒸気圧が温度のみに依存し、圧力に依存しないことから、圧縮によるシロキサン量が当該圧縮時の温度における飽和蒸気圧中に含み得るシロキサン量を超えない限りの範囲で消化ガスを圧縮処理することで、ターボチャージャー1a内でのシロキサンの凝縮を防止しつつ、その後の冷却処理で極めて高い除去率でシロキサンを除去することができる。
【0036】
冷却処理についても、必要に応じてできる限り低温に設定することで、シロキサンの凝縮率を高めることができる。これにより、上記背景技術のように吸着装置自体の設備コストやランニングコストが嵩んだり、また消化ガスを水に接触させるためにガスエンジン等での燃焼利用に対し前処理が必要になる背景技術に比べて、シロキサン除去に要するコストを低減することができる。本実施形態にかかる除去装置を、吸着装置を設置した消化ガス発電設備の当該吸着装置の上流側に付加した場合には、吸着装置での除去量が少なくて済むので、吸着剤の交換周期の長期化など、メンテナンス作業の軽減化・ランニングコストの低減化を達成できることはもちろんである。
【0037】
消化ガスの圧縮装置1として、消化ガスで運転されるガスエンジン発電機3aの排ガスを利用するターボチャージャー1aを採用しているので、別駆動源で駆動される圧縮装置を用いる場合に比べて、処理対象物である消化ガスの熱エネルギーを利用して消化ガスを圧縮することができ、合理的かつ効率よく圧縮処理することができる。また、消化ガスの冷却装置2に、消化ガスで運転されるガスエンジン発電機3aの排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aを備えているので、別熱源で冷却する冷却装置を用いる場合に比べて、ターボチャージャー1aと同様に、処理対象物である消化ガスの熱エネルギーを利用して消化ガスを冷却することができ、合理的かつ効率よく冷却処理することができる。
【0038】
消化ガスを冷却した後、減圧弁4aで消化ガスを減圧処理するようにしたので、熱交換器2b通過後におけるシロキサンの凝縮作用を防止できるとともに、ガスエンジン発電機3aへの消化ガス導入圧力等を適切に設定することができる。
【0039】
図2および図3にはそれぞれ、本発明にかかる消化ガス中のシロキサン除去方法および除去装置の第2実施形態および第3実施形態が示されている。第2実施形態には、圧縮装置1として、ターボチャージャー1aに代えて、ガスエンジン発電機3aの回転出力軸3bと連結されて、当該ガスエンジン発電機3aからの回転出力で回転駆動されるスーパーチャージャー1bが採用されている。第2実施形態では、発電効率が低下するものの、配管等の設備構成を簡略化することができる。第3実施形態は、圧縮装置1として、商用電力やガスエンジン発電機3aで発電した電力を用いて駆動されるコンプレッサ1cが採用されている。第3実施形態では、電力消費分コストアップするものの、配管等の設備構成を簡単化することができるとともに、ターボチャージャー1aやスーパーチャージャー1bの場合と異なり、起動時用にこれらを作動させるための別の駆動源を用意しなくてもよいという利点がある。
【0040】
上記いずれの実施形態にあっても、発電装置3としてガスエンジン発電機3aを例示して説明したが、ガスエンジンに限らず、ガスタービン等その他の熱機関を組み込んだ発電機であってもよい。熱交換器2bへ冷媒を循環させる装置としては、排ガスの排熱を利用する吸収式冷凍機2aに限らず、その他の熱源等を利用する冷却機器であってもよい。また、消化ガスの初期温度や初期圧力、ターボチャージャー1aやスーパーチャージャー1b、コンプレッサ1cによる圧縮率、熱交換器2bによる冷却温度、減圧弁4aでの減圧率などは、上記実施形態の説明に限られることなく、適宜に設定してよい。また、ガスエンジン発電機3a等の発電装置3上流側には、当該発電装置3を駆動する熱機関のガス入口条件に合わせるために、消化ガスを昇温させるヒータなどを設置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかるシロキサン除去装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明にかかるシロキサン除去装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明にかかるシロキサン除去装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1 圧縮装置
1a ターボチャージャー
1b スーパーチャージャー
1c コンプレッサ
2 冷却装置
2a 吸収式冷凍機
2b 熱交換器
3 発電装置
3a ガスエンジン発電機
3b 発電装置の回転出力軸
4 減圧装置
4a 減圧弁
【出願人】 【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
【出願日】 平成18年8月1日(2006.8.1)
【代理人】 【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知


【公開番号】 特開2008−37901(P2008−37901A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−210388(P2006−210388)