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CO2排出量削減方法 - 特開2008−31312 | j-tokkyo
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【発明の名称】 CO2排出量削減方法
【発明者】 【氏名】境 隆志

【要約】 【課題】セルロースアシレートの廃材を発電燃料として有効利用するとともに、CO排出量を削減する。

【構成】偏光板製造工程21で偏光板製品22とならずに不要とされた第1残部と、パネル製造工程25でパネル製品26とならずに不要とされた第2残部とを、チップ化して発電用の燃料とする。第1残部及び第2残部中のセルロースアシレートフィルム18は、アシル基を除く第2構造部がセルロースに由来するバイオマス部分であるので、第1残部及び第2残部を燃焼させて発生するCO排出量から、第2構造部から発生すると仮定されるCO量分だけ減じる。第2構造部から発生するCO量は、第2構造部の重量に基づいて求められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて発電するときのCO排出量の削減方法において、
アシル基である第1構造部と、セルロースから水酸基の水素を除いたバイオマスとしての第2構造部とを有するセルロースアシレートを前記燃料が含み、
前記第2構造部から発生するCO量を算出する算出工程を有し、
算出されたCO量分だけ前記燃料の燃焼によるCO排出量を減じることを特徴とするCO排出量の削減方法。
【請求項2】
前記算出工程は、前記燃料に含まれる前記第2構造部の重量に基づいて前記CO量を算出することを特徴とする請求項1記載のCO排出量の削減方法。
【請求項3】
前記第2構造部の重量は、前記燃料の重量値に応じて算出されることを特徴とする請求項2記載のCO排出量の削減方法。
【請求項4】
前記セルロースアシレートがフィルムであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のCO排出量の削減方法。
【請求項5】
前記セルロースアシレートは、前記フィルムが粉砕されたフィルム小片または粉体であることを特徴とする請求項4記載のCO排出量の削減方法。
【請求項6】
前記燃料は、偏光膜とこの偏光膜の表面を保護する保護膜としての前記セルロースアシレートを有する偏光板を含むことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載のCO排出量の削減方法。
【請求項7】
前記燃料は、前記偏光板を有する液晶表示装置を含むことを特徴とする請求項6記載のCO排出量の削減方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、CO排出量削減方法に関し、特にセルロース系バイオマスを燃料として発電するときのCO排出量削減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスとは、ある時点で任意の空間内に存在する生物体の量であり、近年では、エネルギー源または工業原料として利用される生物体を意味するようになってきている。後者の意味での例としては、農業生産物や副生産物、木材、植物等がある。このような生物体は、太陽エネルギー、空気、水、土壌等の作用により生成されるので、無限に再生可能なものと言われている。そこで、バイオマスの利用を図る種々の提案がなされている。例えば、燃焼炉の燃料としてバイオマスを用いることにより電気エネルギー等の各種エネルギーを得るシステム等である。
【0003】
しかし、バイオマスを燃料として用いる場合には、石炭等を燃料とする場合とは異なる問題が発生する。例えば、バイオマスを燃料として燃焼炉やガス化炉に投入すると、石炭等を燃料とする場合に比べてスラッギングが多発してしまう。そこで、バイオマスを燃料として用いる場合には、予めバイオマスに含まれる灰分を低減させてスラッギングを抑制する方法ならびシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、バイオマスの中で、最も注目されているものとしてはセルロース系バイオマスがある。セルロース系バイオマスとは、セルロースを含む種々の物質、例えば、木材(チップ、粉)、樹皮、葉、バガス、古紙、泥炭、農産廃棄物、林産廃棄物、その他の各種有機性廃棄物等である。その他の有機性廃棄物としては、食品産業からの廃棄物、都市ゴミ、汚泥等があげられる。
【0005】
しかし、セルロース系バイオマスは、通常、水分を多く含み、特に有機性廃棄物は含水量が多い。そのため、これを乾燥するためには大量の水の蒸発潜熱が必要となる。したがって、セルロース系バイオマスを燃料として使用する発電は、エネルギー収支の観点では好ましくない。
【0006】
そこで、ガス化炉でセルロース系バイオマスをガス化して燃料とする方法(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。
【0007】
ところで、セルロースを原料として多種大量の製品が工業的に製造されている。例えば、セルロースをカルボン酸によりエステル化したセルロースアシレートは、たばこのフィルタとしての需要が大きく、また、フィルムとしたときの光学特性に優れることから古くから写真感光用材料の支持体として利用されており現在も広く利用されている。そして、近年では、液晶表示装置の表示部材の一部に使われ、その需要は急速に伸びる一方である。
【0008】
図6は、製造されてから液晶表示装置に使用されるまでのセルロースアシレートのフロー図である。フィルム製造工程2で製造されたセルロースアシレートフィルム3は、偏光板製造工程4で偏光板5の一部とされる。そして、切り取られた後の残りのフィルム部分は、第1廃棄工程6に送られて廃棄される。偏光板製造工程4に送られた長尺状のセルロースアシレートフィルム3のうち、概ね30%が廃棄処分となる。偏光板の一部に組み込むべきシートにフィルム3をカッティングする際には、長尺方向と45°の角度をもって矩形にカッティングする必要があるために廃棄分をこれ以上少なくすることはできない。
【0009】
偏光板5は、パネル製造工程7に送られて液晶表示装置の表示部材であるパネル8の一部として組み込まれ、液晶表示装置製造工程10に送られる。偏光板5をパネル8に組み込む際には、偏光板5をパネル8の大きさに応じて切断する。そしてパネル8として組み込まれた面積を除いた偏光板5の残り部分は、第2廃棄工程9に送られて廃棄される。なお、パネルとして一旦組み込まれたものであっても、パネルとしての品質評価試験で不合格とみなされたものに組み込まれた偏光板5は、上記残り部分と同じく廃棄処分となる。このようにパネル製造工程7では、セルロースアシレートフィルム3は、偏光板製造工程4に送られたうちの概ね30%が廃棄される。したがって、偏光板製造工程4に送られたセルロースアシレートフィルム3のうち概ね60%が、偏光板製造工程4とパネル製造工程7とから廃棄物としてでてくることになる。
【特許文献1】特開平11−172262号
【特許文献2】公報特開2004−352962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、セルロースアシレートフィルム3は廃棄される量が非常に大きく、例えば4×10kgのセルロースアシレートフィルムが偏光板製造工程4に送られた場合には、そのうち2.4×10kgもの量が有効利用されずに廃棄されることになる。しかも、液晶表示装置の需要拡大に応じてセルロースアシレートフィルムの需要が多くなるに従い、偏光膜や液晶セル等と組み合わされた状態のセルロースアシレートフィルムの廃棄量も多くなる。このことにより、廃棄処理設備の増大が必要となるともに、原料となるセルロースの消費量が増えて、かつ、そのうちの有効利用されない量も増えてしまう、という懸念がある。
【0011】
また、セルロースアシレートフィルム製造工程2では、温度制御のためや、乾燥風使用、冷却装置の使用、フィルム乾燥や溶媒回収用の各種装置等の各運転のために消費する電力量が非常に大きく、フィルム製造量の増大に伴い消費電力量は増す一方である。そして、CO排出量は、消費電力量の増大に伴い多くなる一方となる。例えば電力1KWh発電時のCO排出量は、100g以上ともいわれており、消費電力量の増大にともない、発電量の需要が増大してCO排出量も増えてしまうことになる。
【0012】
そして、特許文献1によると、セルロース型バイオマスを燃料とする場合について述べてはいるが、偏光板や液晶表示パネルとして組み込まれた大量のセルロースアシレートを燃料に用いる場合には言及しておらず、CO排出量とセルロースアシレートの廃棄量の増大とを連関させる記載はない。特許文献2では、セルロースアシレートフィルムのように、工業製品として大量に生産され、かつ大量に廃棄されているものをガス化することについては言及されておらず、さらに、水分が多く含まれるセルロース系バイオマスのガス化するために、大量の触媒とバイオマスを溶解するための液が大量に必要となるとともに、非常に大きな設備と多量の原材料とが要求されてしまうという問題がある。このように、いずれも大量の工業生産物を有効利用して、かつ、CO排出量を削減するという発想はない。
【0013】
そこで、本発明では、廃棄対象とされてきたセルロースアシレートフィルムを発電の燃料として有効利用するとともに、CO排出量を削減する方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題に鑑み、本発明は、燃料を燃焼させて発電するときのCO排出量の削減方法において、アシル基である第1構造部と、セルロースから水酸基の水素を除いたバイオマスとしての第2構造部とを有するセルロースアシレートを燃料が含み、第2構造部から発生するCO量を演算する演算工程を有し、演算されたCO量分だけ前記燃料の燃焼によるCO排出量を減じることを特徴として構成されている。
【0015】
前記演算工程は、燃料に含まれる第2構造部の重量に基づいて前記CO量を演算することが好ましく、第2構造部の重量は燃料の重量値に応じて演算されることが好ましい。
【0016】
前記セルロースアシレートがフィルムであることが好ましく、このフィルムが粉砕されたフィルム小片または粉体であることがより好ましい。また、燃料は、偏光膜とこの偏光膜の表面を保護する保護膜としての前記セルロースアシレートを有する偏光板を含むことが好ましく、偏光板を有する液晶表示装置を含むことがより好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、廃棄対象とされてきたセルロースアシレートフィルムを発電の燃料として有効利用するとともに、CO排出量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、セルロースアシレートを製造してから燃料として利用するまでの工程を示すフロー図である。ただし、この工程はいずれも本発明の一様態を示すものであり、本発明はこの様態に限定されるものではない。セルロースアシレート製造工程11で製造されたセルロースアシレート12は、ドープ製造工程15で他の原料とともにドープ16とされる。フィルム製造工程17ではドープ16からセルロースアシレートフィルム18が製造される。なお、以降の説明においては、セルロースアシレートフィルム18を単にフィルムと称する。
【0019】
偏光板製造工程21では、フィルム18は偏光膜の表面に貼着される保護膜として使用されて偏光板製品22が得られる。例えば、偏光膜の両面に長尺のフィルム18が貼着された後、所定のサイズに切り取られて偏光板製品22が製造される。なお偏光膜とフィルムとを所定の大きさに切ってから両者を貼り合わせてもよい。貼着は接着剤を介して行われることもあるし、接着剤を介さずにまたは接着剤使用に加えてフィルム18と偏光膜との少なくともいずれか一方の貼着面を改質処理して貼着機能を付与することにより行われることもある。
【0020】
なお、偏光膜は、ヨウ素型と呼ばれる一般的なものとしている。ヨウ素型偏光膜は、一般には、ポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを主成分とするポリマーフィルムをヨウ素−ヨウ化カリウム等の水溶液に含浸させて染色し、これを延伸配向させることによって製造される。ヨウ素型の代わりに二色性色素で染色したタイプの偏光膜を使用してもよい。PVA系ポリマーとしては、PVAの他にアルキル変性PVAを例示することができる。PVA系ポリマーの染色は、一般的染色方法である気相吸着法あるいは液相吸着法によってなされる。
【0021】
パネル製造工程25では、偏光板製品22は、液晶セル等と一体とされて、液晶表示パネル(以降、単にパネルと称する)26が製造される。パネル製品26は、液晶表示装置製造工程31で、液晶表示装置の一部として組み込まれる。
【0022】
偏光板製造工程21で偏光板製品22として用いられなかった偏光板材料、つまり、偏光膜とフィルム18との貼着物の残り部分(以降、第1残部と称する)は、チップ化工程35で小片(以降、チップと称する)36とされる。チップ36は、エネルギー変換工程41の発電部42における発電用燃料とされる。一方、パネル製造工程25でパネル製品26として用いられなかったパネル材料、つまり偏光板とその他のパネル部材との一体化物の残り部分(以降、第2残部と称する)も、チップ化工程35でチップ36とされる。チップ36とすることにより、後述する発電工程での燃焼効率が向上する。チップの代わりに粉体とされてもよい。なお、第1残部と第2残部とは、互いに異なる第1と第2のチップ化工程でそれぞれチップ化されてもよいし、一のチップ化工程でチップ化されてもよい。
【0023】
第1残部と第2残部とのチップは、そのまま燃料として用いられることもあるし、燃料とするために取り除くべき物質や再生することにより燃料以外の用途に有効利用出来うる物質を取り除いて、それらの物質が取り除かれたものを燃料として用いることもある。あるいは、セルロースアシレートのみを取り出して燃料として利用することもある。
【0024】
エネルギー変換工程41では、ひとつのエネルギー源から2つ以上の有効なエネルギーを発生させるいわゆるコージェネレーションシステムが用いられる。つまり、発電部42による電力44はフィルム製造工程17の電気エネルギーとして使用されるとともに、排熱45は熱エネルギーとしてフィルム製造工程17で有効利用される。排熱45の熱エネルギーは、熱エネルギーのままで暖房や温水利用設備に利用されることもあるし、熱電変換されて電気エネルギーとして利用されることもある。
【0025】
このように、発電部42で生じた排熱45までも利用することで、発生したエネルギーが効果的に活用される。例えば、上記のような物質燃焼による発電、つまり火力発電の場合には、電気エネルギーとして利用できるエネルギー量は、燃焼により発生する全エネルギーの20〜40%程度と一般的に算定されているが、排熱45の熱エネルギーも利用することによりエネルギーの節約になる。
【0026】
電力42と排熱45とは、フィルム製造工程17に代えて、あるいは加えて、他の工程で利用することができる。つまり、セルロースアシレート製造工程11,ドープ製造工程15,偏光板製造工程21,パネル製造工程25、画像表示装置製造工程31や、各種事業所設備等におけるエネルギーとして利用することができる
【0027】
フィルム製造工程17で製造されて偏光板製造工程21に供されるフィルム18の重量を第1重量W1、偏光板製品22の保護膜として使用されたフィルム重量を第2重量W2、パネル製品26に使用されたフィルム重量を第3重量W3、第1残部中のセルロースアシレート重量を第4重量W4、第2残部中のセルロースアシレート重量を第5重量W5とする。つまり、W4=W1−W2、W5=W2−W3である。
【0028】
ここで、偏光板製品22と液晶表示パネル製品26について、図を参照しながら説明する。図2は偏光板の一例を示す断面図である。偏光板製品22は、先に述べたように、偏光膜51と、その両面に貼り合わされた保護膜としてのセルロースアシレートフィルム18とを有する。両者の各間には、接着剤層がある場合もある。また、図3は液晶表示パネルの一例を示す断面図である。液晶表示パネル製品26は、液晶セル55と、この液晶フィルムを挟む光学補償フィルム56とを有し、偏光板製品22が各光学補償フィルム56の上に備えられる。なお、液晶セル55と光学補償フィルム56、及び光学補償フィルム56と偏光板製品22とは、接着剤層57,58を介して接着されることがある。
【0029】
偏光板の構成がわかっている場合には、第4重量W4は、偏光板の重量から偏光膜の重量を減じた値として求めることができる。第5重量W5についても同様に、液晶表示パネルの構成がわかっている場合には、構成部材の各重量または重量比率から求めることができる。なお、第4重量W4と第5重傷W4との以降における扱いについては基本的に同じであるので、第4重量W4の扱いについてのみ説明する。
【0030】
ところで、セルロースのすべての水酸基がカルボン酸により完全にエステル化にされているセルロースアシレートは置換度が3となる。このように置換度が3となったときのセルロースアシレートを化1に示す。化1に示すセルロースアシレートは、化2に示すセルロースの水酸基が化3に示すカルボン酸によりエステル化されており、水酸基の水素がアシル基に置換されている。例えば、セルロースアセテートでは、セルロースの水酸基の水素がアセチル基に置換されている。なお、化1においては、アシル基(以降、第1構造部と称する)を破線で囲み、また、Rは脂肪族炭化水素基を示す。このように、セルロースアシレートは、分子全体でみてこれを工業生産物とみなすことが多いが、実はアシル基を除く分子部分(以降、第2構造部と称する)はセルロース由来の分子構造をもつ。つまり、セルロースアセテートの場合には、アセチル基(−COCH)を除く第2構造部を生物体に直接由来する部分としてみなすことができる。このようにして、第4重量W4と第5重量W5のうち、アシル基を除く分子部分、つまり第2構造部の重量をバイオマス燃料の重量としてみなす。なお、置換度が3に満たない場合のセルロースアシレートは、化1における破線で囲む部分の一部がHであるので、このHは第2構造部に含まれることになる。
【0031】
【化1】


【0032】
【化2】


【0033】
【化3】


【0034】
第1構造部の重量WA及び第2構造部の重量WBは、セルロースアシレートの平均アシル基置換度とアシル基の種類と第4重量W4とから式(1)、(2)でそれぞれ求めることができる。式(1)、(2)においては、平均アシル基置換度をxとし、第1構造部、つまりアシル基の式量をM1とし、第2構造部のうち、アシル基に置換される水素を除く部分の式量をM2とする。
WA=[x×M1/{(M2+3−x)+x×M1}]×W4・・・(1)
WB=[(M2+3−x)/{(M2+3−x)+x×M1}]×W4・・・(2)
【0035】
これらの式によると、例えば、平均アシル基置換度xが2.87であり、アシル基がアセチル基(CHCO−)である場合には、M1=43.04,M2=159とすると、
WA=0.44×W4
WB=0.56×W4
となる。
【0036】
図4は、発電工程42(図1参照)を行う発電設備の概略図である。CO排出量の算出と発電とは、発電設備61で行われる。発電設備61は、チップ36を燃焼させて発電する発電機62と、この発電機62にチップ36を送る送出装置63と、発電機62に供給するチップ36の量と発電機62における発電量とからCO2排出量を算出する演算装置66とを備える。発電機62は、外部から取り込んだ空気を圧縮するコンプレッサ62aと、このコンプレッサ62aで圧縮された空気が供給され、燃料であるチップ36を燃やす燃焼器62bと、この燃焼器62bで発生した高温高圧の燃焼ガスによって駆動されるタービン62cとを有する。発電部62dは、タービン62cの回転力を駆動力として駆動される。なお、タービン62cの駆動力は、発電部62dの他にコンプレッサ62aの駆動にも用いられる。発電部62dからは電力44が得られ、タービン62cからは排熱45が出る。
【0037】
演算装置66には、燃焼器62bに供給されるチップ36の重量と、供給されたチップ36の量に対応して生じた電力44の量、つまり発電量とが入力される。チップ36の重量は、図4のように送出装置63から信号として演算装置66に送る場合の他に、偏光板製造工程21(図1参照)やパネル製造工程(図1参照)22のデータを演算装置66に入力する場合とがある。
【0038】
ところで、バイオマス発電を行わずに発電したときに排出されるCO量は発電量1kWhあたり0.421kg(2004年、電気事業連合会による値)であると仮定すると、10000kWhをバイオマス発電で発電する場合には、10000×0.421(kg)のCOの排出が削減されることになる。演算装置66では、バイオマス発電を行わずに発電したときに排出されるCO量を発電量1kWhあたり0.421kgとすると、上記の例に挙げたセルロースアシレート、つまりx=2.87のセルローストリアセテートを燃料として発電量Eの電気を発電した場合には、下記式(3)により削減されるCO排出量を求めることができる。この式により求められる「削減されるCO排出量」が、第2構造部からもCOが発生したと仮定した場合のそのCO排出量である。
削減されるCO排出量(kg)
={WB/(WA+WB)}×(W4+W5)×E×0.421
【0039】
以上のようにして、発電機62におけるCO排出量を、第2構造部から発生すると仮定した場合のCO量分だけ削減することができる。
【0040】
また、セルロースアシレートは、一般的なバイオマスに比べて含水率が小さい。例えば、セルロースと比べると、セルロースアシレートは親水性基が少ないために水との親和性が低く、一般には含水率が小さくなっている。これにより、燃焼の際の水の蒸発潜熱のトータル量がセルロース等の従来のバイオマス発電用燃料に比べて小さいので、燃料効率が向上する。したがって、燃焼効率の観点からは、セルロースアシレートの中でも、アシル基置換度がより高いものが好ましい。
【0041】
偏光板に用いられる一般的なセルロースアシレートとしてはトリアセチルセルロース(TAC)があり、これは、アセチル化されたセルロースの中でも最もアシル基置換度が高い化合物である。TACとしては、リンター綿とパルプ綿とのいずれから得られたものでもよいが、好ましくはリンター綿から得られたものである。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、セルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90質量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
【0042】
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
【0043】
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、D6S/(DS2+DS3+DS6)は0.32以上が好ましく、より好ましくは0.322以上、特に好ましくは0.324〜0.340である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。
【0044】
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.2〜2.86であり、特に好ましくは2.40〜2.80である。また、DSBは1.50以上であることが好ましく、特に好ましくは1.7以上である。さらにDSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.80以上であり特に好ましくは0.85以上であるセルロースアシレートを用いることである。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)が作製できる。特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。更に粘度が低く濾過性の良い溶液の作成が可能となる。
【0045】
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ケプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
【0046】
発電装置における燃料としてのセルロースアシレートは、フィルムとされたものが好ましい。セルロースアシレートフィルムは、一般には溶液製膜方法により製造されており、この方法では有機溶媒に一旦セルロースアシレートを溶解し、フィルム形状とした後、有機溶媒をできるだけ蒸発させるために、十分な乾燥が施されるので、フィルムとされる前よりもフィルムとなってからの方が、一般には含水率が小さくなっているからである。また、重量あたりの表面積がペレットのセルロースアシレートよりも光学部材用フィルムの形態の方が大きいので、燃焼の際に、燃焼炉内の酸素との結合頻度を向上させて燃焼効率が上がるという効果もある。
【0047】
発電燃料としてのセルロースアシレートフィルムは、偏光板の構成部材として組み込まれているものがより好ましい。好ましい理由は以下の効果による。偏光板は、製造する過程で乾燥工程が繰り返されており、全重量あたりの含水量が非常に小さくなっているので、燃焼効率がセルロースアシレートフィルムのみの場合よりも大きいということである。さらに、偏光膜としてPVAが用いられているときには、燃焼効率がより向上するということが挙げられる。なお、偏光膜がヨウ素型である場合には、ヨウ素を別途回収し、燃料以外の他の用途に用いることが好ましい。また、従来廃棄していた偏光板を燃料として、これを電気エネルギーや熱エネルギーとして用いることは資源の有効利用につながり、環境保全の上でも好ましい。
【0048】
さらに、セルロースアシレートのみを燃料とするよりも、セルロースアシレートと他の材料との混合物を燃料とした方が、燃焼残渣の発生が抑制される。このような傾向は、偏光板のみならず、例えば、セルロースアシレートフィルムと紙との混合物を燃料として燃焼させた場合にも見られる。
【0049】
また、セルロースアシレートフィルムは、液晶表示パネルの構成部材として組み込まれた状態で発電燃料として用いられることが好ましい。従来廃棄していた液晶表示パネルを燃料として、これを電気エネルギーや熱エネルギーとして用いることは、資源の有効利用につながり、環境保全の上で好ましいからである。
【0050】
なお、第1残部と第2残部とは、風送装置により、チップ化工程に送られる。図5は、風送装置81の概略図である。風送装置81は、吸引口82を有する吸引ダクト83と、ロータリカッタ86と、サイレンサ87と、カットブロワ88と、セパレータ91と、クラッシャ92と、これら各機器を連結し、内部を所定方向に流れる風により第1残部及び第2残部を送る配管95〜101とを備えている。なお、符号111〜113は配管99,101に設けたシャッタを示しており、これらのシャッタ111〜113は、開度調整により配管内の風速を調整するものである。また、シート状等の第1残部や第2残部を細い帯形状に切断するために、ロータリカッタ86の前にスリッタを設けてもよい。
【0051】
第1残部と第2残部とは、同じ方法で風送装置で風送されるので、第1残部の場合のみを説明する。第1残部を風送装置81内に取り込むための吸引ダクト83の下部にはロータリカッタ86が接続されている。ロータリカッタ86は、送られてくる第1残部を切断し、例えば短冊状片とすることができる。第1残部を短く切断するものであれば、ロータリカッタ86に代えて公知の各種切断刃を用いることができる。
【0052】
吸引ダクト83からロータリカッタ86までの工程における振動や音等を減退させるためのサイレンサ87としては、本実施形態では音を吸収することができる管形状のものを用いているがこれに限定されず、各種の公知吸音手段等を用いることができる。
【0053】
また、カットブロア88は、ロータリカッタ86により切断された短冊状片をさらに切断してチップとし、これをセパレータ91に送る。このカットブロア88は、送風手段(図示なし)を有しており、配管95〜101の内部に気流を発生させる。なお、ロータリカッタ86が設置されない場合には、このカットブロア88は長尺状の第1残部を側端部小片となるように切断することができる。そしてチップと空気とを分離するためのセパレータ91としては、本実施形態では遠心力を利用したサイクロン分離器を用いている。サイクロン分離器は、固体と気体との混相流すなわち含固体気流から固体を遠心分離するものであり、その構造が簡単で保守点検が容易であることからセパレータ91として好適であるが、チップと空気とを分離できるものであれば他の公知の各種分離器を用いてもよい。
【0054】
チップをさらに細かくするためのクラッシャ92は、セパレータ91の下流に設けられている。本実施形態ではクラッシャ92としては市販品を用いており、このクラッシャ92には、チップが細かく破砕された状態で貯留されるサイロ45が接続されている。
【0055】
上記の風送装置81を用いて、第1残部は以下に説明するように徐々に細かくされ再使用に供される。第1残部は、吸引ダクト83の吸引口82から風送装置81内に吸引される。吸引ダクト83の直前に設けられたフィードローラ対(図示せず)の搬送力と気流による吸引力とにより、第1残部は、吸引ダクト83内に吸引される。そして第1残部は吸引ダクト83からロータリカッタ86に至ると、ここで短冊状片に切断される。
【0056】
短冊状片は、配管95,60の気流による吸引力によりロータリカッタ86から配管95に入り込み、気流にのってサイレンサ87を通り、さらに配管96の気流にのりカットブロア88に導かれる。短冊状片は、カットブロア88によりさらに小さく切断されてチップとされた後、配管97内部の気流によりセパレータ91に送られて空気と分離される。
【0057】
そして、チップはクラッシャ92によりさらに細かく破砕された後、配管101によりサイロ115に風送されて貯留され、送出装置63(図4参照)へ送られる。一方、セパレータ91でチップと分離された空気の大半は、配管98,99を通り、吸引ダクト83から再び配管95に導かれ、第1残部の風送に利用される。
【0058】
以上のように、サイロ116への気流を除き、気流の大部分は閉鎖系内で循環されている。上記の排出気流により循環系内における気流が減速しないように、シャッタ112の開度を大きくして外気を取り込み、カットブロア88からの送風力を高める。気流が所定の状態よりも大きい場合には、各シャッタ111〜113の開度を小さくしたり、シャッタ72を閉じる。このように、循環系内における気流は、カットブロア88の運転条件とシャッタ111〜113の開度調整により制御される。
【0059】
以上のようにして、本発明によると、廃棄対象とされてきたセルロースアシレートフィルムを発電の燃料として有効利用するとともに、CO排出量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】セルロースアシレートの製品フロー図である。
【図2】偏光板の断面図である。
【図3】液晶表示パネルの断面図である。
【図4】発電設備の概略図である。
【図5】風送装置の概略図である。
【図6】セルロースアシレートの従来の製品フロー図である。
【符号の説明】
【0061】
18 セルロースアシレートフィルム
21 偏光板製造工程
25 パネル製造工程
35 チップ化工程
36 チップ
42 発電工程
61 発電設備
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲

【識別番号】100095234
【弁理士】
【氏名又は名称】飯嶋 茂

【識別番号】100117536
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英了


【公開番号】 特開2008−31312(P2008−31312A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206767(P2006−206767)