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【発明の名称】 燃料油の低温時の性質を向上するための添加剤
【発明者】 【氏名】ベッティーナ・ジッゲルコウ

【氏名】ヴェルナー・ライマン

【氏名】マティアス・クルル

【氏名】ウルリケ・ノイハウス

【氏名】マルクス・クペッツ

【氏名】アンドレ・グラフ

【要約】 【課題】燃料油の低温流動性を向上するための添加剤の提供。

【構成】A)エチレン、プロペン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のターポリマー、但しこのターポリマーは、i) C1〜C3アルキル基を有する少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルから誘導された構造単位を6.0〜12.0モル%の割合で含み、ii)100個の脂肪族炭素原子あたりプロペンから誘導されたメチル基を0.5〜4.0個含み、iii)100個のCH2基あたり鎖末端に由来するメチル基が8.0個よりも少ないものである;及びB1)エチレン及びエチレン性不飽和化合物からなるコポリマー、但しこのコポリマーのエチレン性不飽和化合物の含有率は、A)で定義したターポリマー中のエチレン性不飽和エステルの含有率よりも少なくとも2モル%多い;B2)櫛状ポリマー;及びB3)B1)とB2)との混合物;を含む添加剤混合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のA)及びB)を含む添加剤混合物。
A)エチレン、プロペン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のターポリマー、但しこのターポリマーは、
i) C1〜C3アルキル基を有する少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルから誘導された構造単位を6.0〜12.0モル%の割合で含み、
ii) 100個の脂肪族炭素原子あたりプロペンから誘導されたメチル基を0.5〜4.0個含み、
iii) 100個のCH2基あたり鎖末端に由来するメチル基が8.0個よりも少ないものである; 及び
B) A)を基準にして0.5〜20重量部の割合の、鉱油用の低温用添加剤として有効な少なくとも一種の更に別の成分、但しこの成分は次のB1)〜B3)から選択されるものである;
B1) エチレン及びエチレン性不飽和化合物からなるコポリマー、但しこのコポリマーのエチレン性不飽和化合物の含有率は、A)で定義したターポリマー中のエチレン性不飽和エステルの含有率よりも少なくとも2モル%多い;
B2) 櫛状ポリマー; 及び
B3) B1)とB2)との混合物。
【請求項2】
成分A)のエチレン性不飽和エステルが、炭素原子数1〜4のカルボン酸のビニルエステルである、請求項1の添加剤混合物。
【請求項3】
不飽和エステルが酢酸ビニルである、請求項2の添加剤混合物。
【請求項4】
不飽和エステルのモル含有率i)と、ポリマーの脂肪族炭素原子100個あたりのプロペンから誘導されるメチル基の数ii)との合計G、すなわち
G= [不飽和エステルのモル%]+[プロペン−CH3
が8.0〜14.0である、請求項1〜3のいずれか一つの添加剤混合物。
【請求項5】
成分A)が、カルボニル基を含むモデレータから誘導される少なくとも一種の構造単位を0.3〜5.0重量%の割合で追加的に含む、請求項1〜4のいずれか一つの添加剤混合物。
【請求項6】
コポリマーB1)中のエチレン性不飽和化合物の含有率が、ターポリマーA)中のエチレン性不飽和エステルの含有率よりも少なくとも3モル%多い、請求項1〜5のいずれか一つの添加剤混合物。
【請求項7】
エチレン、プロペン及び少なくとも一種のビニルエステルを含む混合物を、高められた圧力及び高められた温度下に、遊離基形成開始剤の存在下に反応させてターポリマーA)を製造する方法であって、この際、ターポリマーA)の分子量を、カルボニル基を含むモデレータで調節する、前記方法。
【請求項8】
燃料油の低温流動性を向上させるための、請求項1〜6のいずれか一つの添加剤混合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一つの添加剤混合物を燃料油に添加することによって燃料油の流動性を向上する方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一つの少なくとも一種の添加剤混合物及び少なくとも一種の油溶性極性窒素化合物を含む組成物。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一つの少なくとも一種の添加剤混合物及び少なくとも一種のアルキルフェノール−アルデヒド樹脂を含む組成物。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか一つの少なくとも一種の添加剤混合物及び少なくとも一種のオレフィンポリマーを含む組成物。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一つの少なくとも一種の添加剤混合物及び少なくとも一種のポリオキシアルキレン化合物を含む、請求項10〜12のいずれか一つの組成物。
【請求項14】
中間蒸留物及び請求項1〜6のいずれか一つの少なくとも一種の添加剤混合物を含む、燃料油組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した取り扱い性及び燃料油の低温用添加剤として向上した応用技術上の性能を有する、エチレン−プロピレン−ビニルエステルターポリマーを他の低温用添加剤の他に含む添加剤混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
原油や、原油を蒸留することによって得られる軽油、ディーゼル油または加熱油などの中間蒸留物は、原油の起源に依存して、様々な量のn−パラフィンを含む。これらのn−パラフィンは、温度が下がると小板状の結晶として晶出して、時折油を中に含んで凝集する。この結晶化及び凝集は、油もしくは蒸留物の流動性を劣化させ、鉱油及び鉱油蒸留物の採取、輸送、貯蔵及び/または使用の際の障害となる恐れがある。鉱油をパイプラインを通して輸送する際、この結晶化現象は、特に冬季には、パイプの壁上に堆積物を生じさせ、個々の場合、例えばパイプラインを休止する場合には、それの完全な閉塞さえもまねき得る。鉱油の貯蔵及び更なる加工においては、冬季には、流動性を保証するために鉱油を加熱されたタンク中に貯蔵する必要がある場合もある。鉱油蒸留物の場合には、結晶化の結果、ディーゼルエンジン及びボイラーの濾過器が閉塞することがあり、それにより燃料の確実な計量供給が妨げられ、場合によっては、燃料または加熱媒体の供給が完全に中断される結果となる。
【0003】
既に生じた析出物を単に除去することによる結晶化したパラフィンを除去する従来の方法(熱的、機械的または溶剤を用いた方法)の他に、流動性向上剤として知られる化学的な添加剤が益々使用されつつある。これらの添加剤はしばしば二つの成分からなる。第一の成分は、追加的な結晶種として働き、パラフィンと一緒に晶出して、変化した結晶形を有する数多くのより小さなパラフィン結晶を形成させ(成核剤(nucleats))、第二の成分は、結晶の形成後にそれの成長を制限するものである(制御剤(arrestors))。上記の変性されたパラフィン結晶は、凝集し難いために、これらの添加剤と混合された油は、添加剤を配合してない油の場合よりもしばしば20℃以上低い温度においてもなおポンプ輸送及び加工可能である。
【0004】
減少する世界の油備蓄量のために、より一層重質でパラフィンを多量に含む原油が採取、加工されつつあり、またそのために燃料油もパラフィンを多量に含むようになっている。加えて、環境的な理由から増えつつある燃料油の水素化脱硫処理は、原油の加工方法を変化させ、そのため、場合によっては、低温時に問題のあるパラフィンの燃料中での割合を増加させている。このような油では、従来公知の添加剤の溶解性及び効果はしばしば不満足である。更に、エミッション値の順守に必要な近代のエンジン技術の低い寛容性は非常にクリーンな燃料油を要求する。しかし、従来公知の添加剤、特に結晶種形成剤として使用される添加剤成分は、時には再結晶化して、噴射装置における問題や、上流の燃料濾過器中での堆積物を招く恐れのある比較的不溶性の成分をしばしば少量含む。
【0005】
鉱油及びそれから生産される中間蒸留物の低温時の性質を向上させるために多くの場合に使用される公知の部類の添加剤は、エチレンとビニルエステルとのコポリマー、特にエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。これらのポリマーは部分的に結晶性のポリマーであり、それらの作用モードは、温度低下時に中間蒸留物から析出するn−パラフィンと、上記ポリマーのポリ(エチレン)序列との共結晶化によって説明される。この物理的な相互作用は、析出するパラフィン結晶の形、大きさ及び粘着性を変化させ、それによって、燃料濾過器を通過して燃焼室まで運ばれ得る多数の小さな結晶を生じさせる。
【0006】
結晶種形成剤もしくは成核剤として使用されるエチレンコポリマーは、特に、油の冷却時にパラフィンと一緒にまたはそれの少し前に結晶化しなければならないために、それらの機能を果たすためには油に対して低い溶解度を有さなければならない。使用される結晶種形成剤は、好ましくは、低いコモノマー含有率を有し、かつそれゆえ最初に油から析出する長鎖のパラフィンと格別高程度に共結晶化することができる長い遊離のポリ(エチレン)序列を有するエチレンコポリマーである。しかし、油の曇り点より高い温度で完全に溶解しそしてそれら自体が濾過器の閉塞の原因とならないためには、これらのエチレン−ビニルエステルコポリマーは、それらの高められた固有結晶化度の故に、高められた温度下で取り扱い及び配合するか、あるいは溶剤で非常に薄く希釈して輸送及び加工する必要がある。そうしないと、添加剤が未溶解のまま残る結果、それらの効果が完全には発揮されず、更にはそれら自体が濾過器の被覆及び閉塞の原因となる恐れがある。
【0007】
加えて、現在のエンジン設計の噴射装置及びポンプは、特に、非常にクリーンな燃料を必要とする。これには少量の未溶解の添加剤成分でさえ極めて望ましくない。このようなポリマーからの二次成分を濾過によって除去することは、もし実際上可能であっても非常に困難である。
【0008】
エチレン−ビニルエステルコポリマー及びこれらの分散液の固有流動性を、例えば高温及び/または低圧で重合することによって為すことができる、高割合のいわゆる短鎖分枝(short-chain branches)によって向上できることも知られている。これらの短鎖分枝は、遊離基鎖重合の間に分子内連鎖移動反応(“バック−バイティングメカニズム”)を介して生成し、そして本質的にブチル基とエチル基からなる(例えば、Macromolecules 1997, 30, 246-256を参照)。しかし、これらの短鎖分枝は、低温用添加剤としてのこれらのポリマーの効果を著しく低減させる。
【0009】
短鎖分枝と同等の構造及びそれに伴う効果は、イソブチレン(欧州特許出願公開第0 099 646号明細書)、4−メチルペンテン(欧州特許出願公開第0 807 642号明細書)またはジイソブチレン(欧州特許出願公開第0 203 554号明細書)などの分枝状コモノマーをEVAコポリマー中に組み入れることによって得られる。これらのモノマーの割合を増やすにつれポリマーの流動性及び溶解性に改善が見られるが、低温用添加剤としてのそれらの効果も同時に低下する。
【0010】
米国特許第3 961 916号明細書は、低温流動性の改善のために、パラフィン結晶化の成核剤もしくは制御剤として機能するエチレン及び不飽和エステルからなる二種のコポリマーを含む燃料油を開示している。
【0011】
欧州特許出願公開第0 190 553号明細書は、8〜25CH3/100CH2基の分枝度を有する、エチレン、酢酸ビニル20〜40重量%及びプロペンからなるターポリマーを開示している。成長抑制剤として考えられ得るこれらのポリマーは、単独では低温流動性向上剤としての効果は殆ど発揮せず、酢酸ビニルを同等量含む慣用のEVAコポリマーの溶解性を向上するために使用される。
【0012】
米国特許第4 178 950号明細書は、エチレン、酢酸ビニル10〜45重量%、プロペンもしくはブテン0.01〜5.0重量%からなるターポリマー、及びこれらを残油のための流動点降下剤として使用することを開示している。ポリマー混合物は開示されていない。
【0013】
ドイツ特許出願公開第2 037 673号明細書は、エチレンの他に、オレフィンとしてプロペンも含むことができる異なる分子量のエチレン−酢酸ビニルコポリマーのポリマー混合物を低温流動性向上剤として開示している。
【0014】
欧州特許出願公開第0 406 684号明細書は、A)エチレン、酢酸ビニル25〜35重量%、場合により及びオレフィン5〜15重量%からなり、3〜15CH3基の分枝度を有するコポリマー、及びB)更に別のエチレン−酢酸ビニルコポリマー、場合により及びC)ポリアルキル(メタ)アクリレートからなるポリマー混合物を開示している。実施例に示されるエチレン、酢酸ビニル及びジイソブチレンからなるターポリマーは、コモノマー含有量が低くそして結晶種形成剤として考えられ得るEVAコポリマーと一緒に低温流動性向上剤として使用されている。成核剤のためにコモノマーとしてプロペンを使用することは、制御剤との組み合わせとしてもまたは櫛状ポリマーとの組み合わせとしても示唆されていない。
【0015】
エチレン及び不飽和エステルからなるポリマーの固有流動性を、短鎖分枝によってかまたは比較的長鎖で特には分枝状のオレフィンコモノマーによって改善することは可能であるが、これには、しばしば、低温流動性向上剤としての活性の損失が伴う。なぜならば、パラフィンとの共結晶化のためのポリエチレン序列の長さがその最適範囲を外れ、そして比較的少量のコモノマーでさえも、油のパラフィンとの効果的な共結晶化や、特にパラフィン結晶化の促進(核形成)がもはや可能でない程に大きい支障をポリエチレン序列に対して生じさせるからである。加えて、これらの成核剤は難溶性の画分をしばしば含み、これらの画分は、油から再晶出して、濾過器や噴射装置を閉塞させる恐れがある。
【0016】
イソブチレン、4−メチルペンテンもしくはイソブチレンなどの公知の分枝状オレフィンを、エチレン及び不飽和エステルからなるポリマーに比較的多量に導入することは、次の事実、すなわち、開始剤としての要件を商業使用にとっては禁制のレベルに到達させ、充分に高い分子量が得られず及び/または重合において商業的に有意な転化率を達成できなくなる程に、強い緩和効果をこれらのオレフィンが重合に及ぼすという事実によっても追加的に制限される。加えて、得られる高度に短鎖分枝状の生成物は、パラフィン結晶化のための成核剤としての十分な効果を示さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
それゆえ、本発明の課題の一つは、非常に低い温度において高度に濃縮された形で何の問題もなく自由流動性かつポンプ輸送可能であり、低温流動性向上剤として従来技術の添加剤よりも向上された効果を発揮し、かつ弁及び/または濾過器の閉塞をまねく不溶性画分を含まない、燃料油の低温流動性を向上するための添加剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
エチレン、プロペン及び不飽和エステルからなる若干の短鎖分枝を有するターポリマーをパラフィンの成核剤として含む添加剤濃厚物が、低温度において非常に良好な取り扱い性及び混和性を示すと共に、低温用添加剤として優れた効果を発揮することがここに見出された。加えて、これらの添加剤は、従来技術において公知のエチレンコポリマーと比べて難溶性の画分をより少量でしか含まない。
【0019】
本発明は、次のA)及びB)を含む添加剤混合物を提供する:
A) エチレン、プロピレン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のターポリマー、ただし、このターポリマーは、
i) C1〜C3アルキル基を有する少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルから誘導される構造単位を6.0〜12.0モル%含み、
ii) 脂肪族炭素原子100個あたり、プロペンから誘導されたメチル基を0.5〜4.0個含み、
iii) CH2基100個あたり、鎖末端に由来するメチル基の数が8.0未満である; 及び
B) A)に基づいて0.5〜20重量部の量の、次のB1)〜B3)から選択される、鉱油用の低温用添加剤として有効な少なくとも一種の更に別の成分、
B1) エチレン及びエチレン性不飽和化合物からなるコポリマー、但し、このコポリマー中のエチレン性不飽和化合物の含有率は、A)で定義したターポリマー中のエチレン性不飽和エステルの含有率よりも少なくとも2モル%多い;
B2) 櫛状ポリマー、及び
B3) B1)とB2)との混合物。
【0020】
本発明は更に、燃料油の低温流動性の向上のための、A)とB)との添加剤混合物の使用も提供する。
【0021】
本発明は更に、A)とB)との添加剤混合物を燃料油に加えることによって、燃料油の低温流動性を向上するための方法も提供する。
【0022】
本発明は更に、A)とB)との添加剤混合物を含む、向上した低温流動性を有する燃料油も提供する。
【0023】
本発明において成分A)に好適な不飽和エステルは、特に、炭素原子数1〜4のカルボン酸のビニルエステル、及び炭素原子数1〜3の脂肪アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステルである。
【0024】
特に好ましいエチレン性不飽和エステルは、炭素原子数2〜12のカルボン酸のビニルエステルである。これらは、好ましくは以下の式1で表されるものである。
【0025】
CH2=CH-OCOR1 (1)
式中、R1はC1〜C3アルキル、好ましくはC2〜C3アルキルである。適当なビニルエステルの例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及びイソ酪酸ビニルである。酢酸ビニルが特に好ましい。
【0026】
更に別の好ましいエチレン性不飽和エステルは、炭素原子数1〜12の脂肪アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステルである。これらは、好ましくは以下の式2で表されるものである。
【0027】
CH2=CR2-COOR3 (2)
式中、R2は水素またはメチルであり、そしてR3はC1〜C3アルキル、好ましくはC1〜C2アルキルである。アクリル酸もしくはメタクリル酸の適当なエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−もしくはイソプロピル、及びこれらのコモノマーの混合物などが挙げられる。アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルが特に好ましい。
【0028】
ターポリマーA)中の不飽和エステルの含有率は、好ましくは7.0〜11.5モル%、特に8.0〜11.0モル%、例えば8.5〜10.5モル%である。エチレン性不飽和エステルとして特に好ましい酢酸ビニルの場合は、その含有率は、好ましくは12.0〜29.0重量%、特に18〜28重量%、例えば20.0〜27.0重量%である。コモノマー含有率は、ポリマーの熱分解及びそれに次ぐ脱離したカルボン酸の滴定によって測定される。
【0029】
ターポリマーAは、比較的長いアルキル鎖を有する不飽和エステルから誘導される構造単位を、少量で、例えば4モル%までの量、好ましくは2.5モル%までの量、例えば0.1〜2.0モル%の量で追加的に含むことができる。この目的に適した不飽和エステルは、上記式(1)のビニルエステル及び/または上記式(2)中、R2及びR3が各々独立して炭素原子数4〜20のアルキル基である同式で表される(メタ)アクリル酸エステルである。これらのアルキル基は線状もしくは分枝状であることができる。これらは好ましくは分枝状である。
【0030】
ターポリマーA)中のプロペンから誘導されるメチル基の含有量は、脂肪族炭素原子100個あたり、好ましくは0.7〜3.5個のメチル基、特に1.0〜3.0個のメチル基、例えば1.1〜2.5個のメチル基である。
【0031】
ターポリマーA)中の100個の脂肪族炭素原子あたりのプロペンから誘導されるメチル基(プロペン−CH3)の数は、13C NMR分光分析によって測定される。例えば、エチレン、ビニルエステル及びプロペンからなるターポリマーは、ポリマー主鎖に結合したメチル基の特徴的なシグナルを約19.3〜20.2ppmの間に示す。これらはDEPT実験において正の符号を有する。ポリマー主鎖中のプロペンから誘導されたメチル側鎖のこのシグナルの積分は、約22〜44ppmの間のポリマー主鎖の全ての脂肪族炭素原子に対して求められる。不飽和エステルのアルキル基に由来しそしてポリマー主鎖のシグナルと重複するシグナルは全て、不飽和エステルのカルボニル基に隣接するメチン基のシグナルを基準にして、脂肪族炭素原子の全積分から減算される。このような測定は、例えば、CDCl3またはC22Cl4などの溶剤中30℃の温度において125MHzの測定周波数でNMR分光分析器を用いて行うことができる。
【0032】
ターポリマーA)中の鎖末端に由来するメチル基の数は、好ましくは2.0〜7.0CH3/100CH2基、特に2.5〜6.5CH3/100CH2基、例えば3.0〜6.0CH3/100CH2基である。
【0033】
鎖末端に由来するメチル基の数とは、コモノマーとして使用された不飽和エステルに由来するものではない、ターポリマーA)中のメチル基の全てを意味するものと理解される。これは、その結果、モデレータの構造単位から誘導されるメチル基及び短鎖分枝に由来するメチル基を含む主鎖末端上に存在するメチル基の両方を意味するものと理解される。
【0034】
鎖末端に由来するメチル基の数は、0.9〜1.9ppmに現れるメチレンプロトンのシグナルの積分に対して、1H NMRスペクトルにおいて典型的には約0.7〜0.9ppm(対TMS)の化学シフトに現れるメチルプロトンのシグナルの積分を求めることによって1H NMR分光分析によって測定される。コモノマーのアルキル基、例えば酢酸ビニルのアセチル基に由来するメチル基及びメチレン基は含まれないかまたは計算から排除される。モデレータの構造単位によって生ずるシグナルは、それゆえ、メチルもしくはメチレンプロトンに帰属させることができる。13C NMR分光分析によって測定されたプロペンに由来するメチル基の数は、鎖末端に由来するメチル基の数を得るために、得られた値から引かれる。適当な1H NMRスペクトルは、例えば、CDCl3もしくはC22Cl4などの溶剤中30℃の温度において500MHzの測定周波数で記録することができる。
【0035】
不飽和エステルのモル含有量i)と、ポリマーの脂肪族炭素原子100個あたりのプロペンから誘導されるメチル基の数ii)との合計G、すなわち
G = [不飽和エステルのモル%] + [プロペン−CH3
は、好ましくは8.0〜14.0、特に9.5〜13.0、例えば10.0〜12.5である。これらの二つの可数は、無次元数として加えられるべきである。
【0036】
ポリ(スチレン)標準に対してゲル透過クロマトグラフィによって測定したターポリマーA)の重量平均分子量Mwは、好ましくは2500〜50000g/モル、より好ましくは4000〜30000g/モル、例えば5000〜25000g/モルである。140℃で測定したターポリマーA)の溶融粘度は100〜5000mPas、好ましくは150〜2500mPas、特に200〜2000mPasである。
【0037】
分析の全てにおいて、減圧下(100mbar)140℃で2時間かけて残留モノマー及び溶剤画分を前もってポリマーから除去する。
【0038】
エチレンポリマーA)並びにB1)は、慣用の共重合方法、例えば懸濁重合、溶媒重合、気相重合または高圧塊状重合によって独立して製造することができる。好ましくは、100MPa以上、好ましくは100〜300MPa、例えば150〜275MPaの圧力及び100〜340℃、好ましくは150〜310℃、例えば200〜280℃の温度において高圧塊状重合を行う。反応条件及び使用するモノマーの量を適切に選択することにより、プロペン含有量及び短鎖分枝/鎖末端の程度を上述のように調節することができる。例えば、低い反応温度及び/または高い圧力は、特に、短鎖分枝の低い割合、それゆえ鎖末端の低い値を導く。
【0039】
モノマーの反応は、遊離基形成開始剤(遊離基鎖開始剤)によって誘発する。この部類の物質には、例えば、酸素、過酸化水素類、過酸化物類及びアゾ化合物、例えばクメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、過酸化ジラウロイル、過酸化ジベンゾイル、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキソジカーボネート、過ピバル酸t−ブチル、過マレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化t−ブチルクミル、過酸化ジ(t−ブチル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパノニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが含まれる。開始剤は、単独でまたは二種もしくはそれ以上の物質の混合物として、モノマー混合物を基準にして0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の量で使用される。
【0040】
高圧塊状重合は、公知の高圧反応器、例えばオートクレーブもしくは管状反応器中で、バッチ式にもしくは連続式に行われる。特に有用な反応器は、連続式管状反応器であることが判明した。脂肪族及び/または芳香族炭化水素あるいは炭化水素混合物、ベンゼンまたはトルエンなどの溶剤が反応混合物中に存在してもよい。好ましい方法は、本質的に溶剤が存在しない方法である。重合法の好ましい態様の一つでは、モノマーの混合物、開始剤、及び使用する場合にはモデレータを、反応器の入口及び一つもしくはそれ以上の側枝を介して管状反応器に供給する。コモノマー並びにモデレータは、エチレンと一緒にまたはこれとは別に側流として反応器に計量供給することができる。この場合、モノマー流は様々な組成を有することができる(欧州特許出願公開第0 271 738号明細書及び欧州特許出願公開第0 922 716号明細書)。
【0041】
プロペンの調節作用(moderating action)のみを介してポリマーの分子量を調節するのではなく、本質的にただ一つの連鎖を引き起こしそしてコモノマーのようにはポリマー鎖中に取り込まれないモデレータを追加的に使用することが有利であることが判明した。それ故、メチル基をポリマー主鎖中に阻害部位(disruption site)として選択的に組み入れることができ、そうして低温流動性向上剤として向上された効果を有するポリマーが得られる。好ましいモデレータは、例えば、飽和もしくは不飽和炭化水素、例えばプロパン、ヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサン、並びにアルコール、例えばブタノール、特にアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド及びイソブチルアルデヒド、並びにケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンである。水素もモデレータとして好適である。
【0042】
特に好ましい態様の一つでは、本発明のポリマーは、ビニルエステル及びプロペンの他に、少なくとも一つのカルボニル基を含むモデレータから誘導される構造単位を0.3〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.5重量%の量で含む。該ポリマー中で上記モデレータから誘導されるこれらの構造要素の濃度もまた、1H NMR分光分析によって測定することができる。これは、例えば、ポリマー中の割合が既知のビニルエステルに由来するシグナルの強度と、約2.4〜2.5ppmに現れるモデレータのカルボニル基に隣接するメチレンもしくはメチン基のシグナルとを相互に関係させることによって行うことができる。
【0043】
適当な成分B1は、エチレン及びオレフィン性不飽和化合物からなる一種もしくはそれ以上のコポリマーであって、ただしそのコモノマー総含有率が、成分Aのコモノマー総含有率よりも少なくとも2モル%、好ましくは少なくとも3モル%多い前記コポリマーである。適当なエチレンコポリマーは、特に、エチレンの他に、コモノマーを9〜21モル%、特に10〜18モル%の割合で含むものである。コモノマーは、オレフィン性不飽和エステルの他、他のオレフィン性不飽和化合物であることもできる。全コモノマー含有率とは、エチレン以外のモノマーの含有率のことである。
【0044】
オレフィン性不飽和化合物は、好ましくはビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル及び/またはアルケンであり、そしてこれらの化合物はヒドロキシル基によって置換されていることができる。一種もしくは二種以上のコモノマーがポリマー中に存在することができる。
【0045】
ビニルエステルは好ましくは以下の式3で表されるものである。
【0046】
CH2=CH-OCOR4 (3)
式中、R4はC1〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである。更に別の態様の一つでは、これらのアルキル基は、一つもしくは二つ以上のヒドロキシル基によって置換されていることができる。
【0047】
更に別の好ましい態様の一つでは、これらのエチレンコポリマーは、酢酸ビニルと、式3中、R4がC4〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである同式の少なくとも一種の更に別のビニルエステルとを含む。
【0048】
更に別の好ましい態様の一つでは、R4は、炭素原子数7〜11、特に8、9もしくは10の分枝状アルキル基またはネオアルキル基である。特に好ましいビニルエステルは、カルボニル基に対してアルファ位置に分枝を有する第二級、特に第三級のカルボン酸から誘導される。適当なビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及びバーサティック酸エステル、例えばネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ネオウンデカン酸ビニルなどが挙げられる。
【0049】
アクリル酸エステルは、好ましくは以下の式4で表されるものである。
【0050】
CH2=CR2-COOR5 (4)
式中、R2は水素またはメチルであり、そしてR5はC1〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである。好適なアクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−もしくはイソブチル、(メタ)アクリル酸のヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルエステル、並びにこれらのコモノマーの混合物などが挙げられる。更に別の態様の一つでは、これらのアルキル基は、一つもしくは二つ以上のヒドロキシル基によって置換されていることができる。このようなアクリル酸エステルの一例はメタクリル酸ヒドロキシエチルである。
【0051】
アルキルビニルエーテルは、好ましくは次式5で表される化合物である。
【0052】
CH2=CH-OR6 (5)
式中、R6はC1〜C30アルキル、好ましくはC4〜C16アルキル、特にC6〜C12アルキルである。これの例には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。更に別の態様の一つでは、これらのアルキル基は一つもしくは二つ以上のヒドロキシル基によって置換されていることができる。
【0053】
アルケンは、好ましくは、炭素原子数3〜30、特に4〜16、就中5〜12の単不飽和炭化水素である。適当なアルケンとしては、プロペン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン及びノルボルネン並びにこれの誘導体、例えばメチルノルボルネン及びビニルノルボルネンなどが挙げられる。更に別の態様の一つでは、これらのアルキル基は一つもしくは二つ以上のヒドロキシル基によって置換されていることができる。
【0054】
2−エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニルまたはネオデカン酸ビニルの特に好ましいターポリマーは、エチレンの他に、酢酸ビニルを好ましくは3.5〜20モル%、特に8〜15モル%、及び上記の各々の長鎖ビニルエステルを好ましくは0.1〜12モル%、特に0.2〜5モル%含み、この際、全コモノマー含有率は9〜21モル%、好ましくは12〜18モル%である。更に別の特に好ましいコポリマーは、エチレン及び8〜18モル%のビニルエステルの他に、プロペン、ブテン、イソブチレン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン及び/またはノルボルネンなどのオレフィンを0.5〜10モル%の量で含む。
【0055】
これらのエチレンコポリマー及びターポリマーは、好ましくは、140℃で測定して20〜10 000mPas、特に30〜5000mPas、就中50〜2000mPasの溶融粘度を有する。1H NMR分光分析で測定した分枝度は、コモノマーに由来しないものとして好ましくは1〜9CH3/100CH2基、特に2〜6CH3/100CH2基である。
【0056】
ターポリマーA)とエチレンコポリマーB1)との混合比は、用途に応じて広い範囲で変えることができ、この際、結晶種形成剤としてのターポリマーA)が多くの場合により少ない割合を占める。このような添加剤混合物は、成分Aを好ましくは2〜70重量%、より好ましくは3〜50重量%、特に5〜20重量%の割合で、及び成分B1を30〜98重量%、好ましくは50〜97重量%、特に70〜95重量%の割合で含む。
【0057】
成分B2)としての櫛状ポリマーは、これらが、長鎖分枝もしくは側鎖、例えば炭素原子数が約8〜50の炭化水素鎖が規則的な間隔で結合したポリマー主鎖を含むことを一般的な特徴とする。これらの側鎖は、C−C結合により直接か、またはエーテル、エステル、アミドもしくはイミド結合を介してポリマー主鎖に結合することができる。
【0058】
成分B2)としての好適な櫛状ポリマーは、例えば、以下の式によって表すことができる。
【0059】
【化1】


上記式中、
Aは、R'、COOR'、OCOR'、R''-COOR'、OR'であり、
Dは、H、CH3、AまたはR''であり、
Eは、H、Aであり、
Gは、H、R''、R''-COOR'、アリール基または複素環式基であり、
Mは、H、COOR''、OCOR''、OR''、COOHであり、
Nは、H、R''、COOR''、OCOR''、アリール基であり、
R'は、炭素原子数8〜50の炭化水素鎖であり、
R''は、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖であり、
mは、0.4〜1.0であり、そして
nは、0〜0.6である。
【0060】
R'は、好ましくは、炭素原子数10〜24の炭化水素基、特に炭素原子数12〜18の炭化水素基である。R'は、好ましくは線状かもしくはおおむね線状(すなわちR'がせいぜい一つのメチルもしくはエチル分枝を含む)である。
【0061】
適当な櫛状ポリマーは、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸もしくはフマル酸またはこれらの反応性誘導体と、他のエチレン性不飽和モノマー、例えばオレフィンもしくはビニルエステルとのエステル化されたコポリマーである。特に好適なオレフィンは、炭素原子数10〜24のα−オレフィン、例えば1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物である。オリゴマー化したC2〜C6オレフィンに基づく長鎖オレフィン、例えば末端二重結合を高割合で含むポリ(イソブチレン)も好適なコモノマーである。特に好ましいコポリマーは、マレイン酸もしくは無水マレイン酸及び/またはフマル酸とヘキサデセン、オクタデセンもしくはこれらのオレフィンの混合物からなるコポリマーである。更に別の好ましい態様の一つでは、上記コポリマーは、300〜5000g/モルの分子量Mwを有するポリ(イソブチレン)を15モル%まで、例えば1〜10モル%の割合で含む。コモノマーとして特に好適なビニルエステルは、炭素原子数1〜12、特に2〜8の脂肪酸から誘導され、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル及びネオウンデカン酸ビニルなどである。異なるビニルエステルの混合物も好適である。特に好ましいものは、フマル酸と酢酸ビニルからなるコポリマーである。
【0062】
典型的には、これらのコポリマーは、炭素原子数10〜24、例えば12〜18のアルコールで少なくとも50%の程度でエステル化される。適当なアルコールとしては、n−デカン−1−オール、n−ドデカン−1−オール、n−テトラデカン−1−オール、n−ヘキサデカン−1−オール、n−オクタデカン−1−オール、n−エイコサン−1−オール及びこれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいものは、n−テトラデカン−1−オール、n−ヘキサデカン−1−オール及びこれらの混合物である。
【0063】
櫛状ポリマーB2)として同様に好適なものは、α−オレフィンのポリマー及びコポリマー、並びにスチレンと無水マレイン酸とのエステル化されたコポリマー、及びスチレンとフマル酸とのエステル化されたコポリマーである。この場合もまた、エステル化に好ましいものは、炭素原子数10〜24の上記のアルコールである。加えて、炭素原子数12〜20のアルコールから誘導されたポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)及びポリ(アルキルビニルエーテル)、並びに炭素原子数12〜20の脂肪酸から誘導されたポリ(ビニルエステル)が櫛状ポリマーとして好適である。また、上記のアルキルアクリレート、メタクリレート、アルキルビニルエーテル及び/またはビニルエステルに基づくコポリマー、例えばアルキルアクリレート及びビニルエステルからなるコポリマーも好適である。二種もしくはそれ以上の櫛状ポリマーの混合物も本発明において好適である。
【0064】
成分B2)の櫛状ポリマーは、好ましくは約2000〜約50 000g/モル、好ましくは3000〜20 000g/モルの分子量Mwを有する。
【0065】
成分A)と櫛状ポリマーB2)との混合比は、典型的には10:1〜1:3、好ましくは6:1〜1:2、例えば5:1〜1:1の範囲である。成分B1と櫛状ポリマーB2)との混合比は、典型的には10:1〜1:3、好ましくは6:1〜1:2、例えば5:1〜1:1である。
【0066】
より良好な取り扱い性の目的のために、本発明の添加剤混合物は典型的には有機溶剤中の濃厚物の形で使用される。適当な溶剤または分散媒は、例えば、比較的高沸点の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、エステル、エーテル及びこれらの混合物である。本発明の添加剤混合物の溶液または分散液は、溶剤を好ましくは10〜90重量%、特に20〜80重量%、就中40〜75重量%の量で含む。
【0067】
驚くべきことに、本発明の添加剤混合物の溶液が、従来技術によるエチレン、不飽和エステル及び高級オレフィンからなるターポリマーに基づく対応する混合物よりも、低い固有流動点を有することが見出された。加えて、これらは、燃料油の低温流動性の向上、特に低温下でも燃料油中での向上された溶解性に関連して向上された効果を発揮する。それゆえ、これらの添加剤は、油及び/または添加剤を事前に加熱しなくとも低温で使用することができ、この際、この添加剤が配合された油では、ポリマーA)の未溶解もしくは再結晶化画分から生ずる濾過の問題は起きない。他方、本発明の添加剤は、対応する従来の添加剤よりも低い溶剤含有率で同じ温度下に輸送及び加工することができ、これは輸送及び貯蔵コストを減少させる。
【0068】
本発明の添加剤混合物は、中間蒸留物にそれの低温流動性を向上させるために加えることができ、この際、更に別の添加剤、例えば油溶性極性窒素化合物、アルキルフェノール樹脂、ポリオキシアルキレン化合物及び/またはオレフィンコポリマーと組み合わせてもよい。
【0069】
適当な油溶性極性窒素化合物は、好ましくは、脂肪アミンとアシル基含有化合物との反応生成物である。好ましいアミンは、式NR789で表される化合物であり、この式中、R7、R8及びR9は、同一かもしくは異なることができ、そしてこれらの基のうちの少なくとも一つは、C8〜C36アルキル、C6〜C36シクロアルキルまたはC8〜C36アルケニル、特にC12〜C24アルキル、C12〜C24アルケニルまたはシクロヘキシルであり、そして残りの基は、水素、C1〜C36アルキル、C2〜C36アルケニル、シクロヘキシル、または式−(A−O)x−Eもしくは−(CH2n−NYZで表される基のいずれかであり、但し、前記式中、Aはエチルまたはプロピル基であり、xは1〜50の数であり、EはH、C1〜C30アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはC6〜C30アリールであり、nは2、3または4であり、そしてY及びZは各々独立してH、C1〜C30アルキルまたは−(A−O)xである。前記アルキル及びアルケニル基は各々線状もしくは分枝状であることができ、そして二つまでの二重結合を含むことができる。これらは好ましくは線状で、そして実質的に飽和状である。すなわちこれらは、75gI2/g未満、好ましくは60gI2/g未満、特に1〜10gI2/gのヨウ素価を有する。特に好ましいものは、R7、R8及びR9基のうちの二つがそれぞれC8〜C36アルキル、C6〜C36シクロアルキル、C8〜C36アルケニル、特にC12〜C24アルキル、C12〜C24アルケニルまたはシクロヘキシルである第二級脂肪アミンである。好適な脂肪アミンは、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ベヘニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジエイコシルアミン、ジベヘニルアミン、及びこれらの混合物である。これらのアミンは、特に、天然原料、例えばヤシ脂肪アミン、獣脂肪アミン、水素化獣脂肪アミン、ジヤシ脂肪アミン、ジ獣脂肪アミン及びジ(水素化獣脂肪アミン)に基づく鎖分を含む。特に好ましいアミン誘導体は、アミン塩、イミド及び/またはアミド、例えば第二級脂肪アミンのアミド−アンモニウム塩、特にジヤシ脂肪アミン、ジ獣脂肪アミン及びジステアリルアミンのアミド−アンモニウム塩である。
【0070】
ここでアシル基とは、次の式で表される官能基のことを言う。
>C=O
アミンとの反応に好適なカルボニル化合物は、一つもしくはそれ以上のカルボキシル基を有するモノマー性またはポリマー性化合物のいずれかである。好ましいものは、カルボニル基数が2、3もしくは4のモノマー性カルボニル化合物である。またこれらは、酸素、硫黄及び窒素などのヘテロ原子を含むこともできる。好適なカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、コハク酸、C1〜C40アルケニルコハク酸、アジピン酸、グルタール酸、セバシン酸及びマロン酸、並びに安息香酸、フタル酸、トリメリト酸及びピロメリト酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、及びこれらの反応性誘導体、例えばエステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物である。有用なポリマー性カルボニル化合物は、特に、エチレン性不飽和酸のコポリマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸のコポリマーであることが判明した。特に好ましいものは、無水マレイン酸のコポリマーである。好適なコモノマーは、コポリマーに油溶性を与えるものである。ここで油溶性とは、コポリマーが、脂肪アミンとの反応の後に、実施の際の使用量において添加剤配合するべき鉱油蒸留物中に残渣を残すことなく溶解することを意味する。好適なコモノマーは、例えば、アルキル基中に2〜75個、好ましくは4〜40個、特に8〜20個の炭素原子を有するオレフィン、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステル、アルキルビニルエステル及びアルキルビニルエーテルである。オレフィンの場合には、上記の炭素原子数は、二重結合に結合するアルキル基に基づく値である。ポリマー性カルボニル化合物の分子量は、好ましくは400〜20000g/モル、より好ましくは500〜10000g/モル、例えば1000〜5000g/モルである。
【0071】
脂肪族もしくは芳香族アミン、好ましくは長鎖脂肪族アミンを脂肪族もしくは芳香族モノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラカルボン酸またはこれらの無水物と反応させることによって得られる油溶性極性窒素化合物(米国特許第4211534号参照)が特に有用であることが判明した。油溶性極性窒素化合物として同様に好適なものは、アミノアルキレンポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸もしくはエチレンジアミンテトラ酢酸と第二級アミンとのアミド及びアンモニウム塩である(欧州特許出願公開第0398101号参照)。他の油溶性極性窒素化合物は、無水マレイン酸及びα,β−不飽和化合物からなるコポリマー(これは場合によっては第一級モノアルキルアミン及び/または脂肪族アルコールと反応させてもよい)(欧州特許出願公開第0154177号、欧州特許出願公開第0777712号参照)、アルケニル−スピロ−ビスラクトンとアミンとの反応生成物(欧州特許第0413279B1号参照)、及び欧州特許出願公開第0606055A2号による、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物、α,β−不飽和化合物及び低級不飽和アルコールのポリオキシアルキレンエーテルに基づくターポリマーの反応生成物である。
【0072】
本発明の添加剤混合物と油溶性極性窒素化合物との混合比は用途に応じて変わり得る。このような添加剤混合物は、有効成分を基準にして、本発明の添加剤混合物1重量部当たり少なくとも一種の油溶性極性窒素化合物を好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部の量で含む。
【0073】
好適なアルキルフェノール−アルデヒド樹脂は、特に、OH基に対してオルト位および/またはパラ位に1または2個のアルキル基を有するアルキルフェノールから誘導されるアルキルフェノール−アルデヒド樹脂である。特に好ましい原料は、アルデヒドと縮合することができる少なくとも二つの水素原子を芳香族環上に有するアルキルフェノール、特にモノアルキル化フェノールである。前記アルキル基は、より好ましくは、フェノール性OH基に対しパラ位に存在する。アルキル基(アルキルフェノール樹脂に関しては、これは一般的に以下に定義するような炭化水素基を指す)は、本発明の添加剤混合物に有用なアルキルフェノール−アルデヒド樹脂において同一かまたは異なることができる。これらのアルキル基は、飽和もしくは不飽和であることができる。これらは線状または分枝状、好ましくは線状であることができる。これらは、1〜200個、好ましくは1〜24個、特に4〜16個、例えば6〜12個の炭素原子を有し、そしてこれらは、好ましくは、n−、iso−及びtert−ブチル、n−及びiso−ペンチル、n−及びiso−ヘキシル、n−及びiso−オクチル、n−及びiso−ノニル、n−及びiso−デシル、n−及びiso−ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、トリプロペニル、テトラプロペニル、ポリ(プロペニル)及びポリ(イソブテニル)基である。好ましい態様の一つでは、アルキルフェノール樹脂は、異なるアルキル基を有する複数種のアルキルフェノールの混合物を用いて製造される。例えば、1:10〜10:1のモル比で一方でブチルフェノールに、そして他方でオクチル−、ノニル−及び/またはドデシルフェノールに基づく樹脂が特に有用であることが判明した。
【0074】
好適なアルキルフェノール樹脂は、更に別のフェノール類似物、例えばサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸及びこれらの誘導体、例えばエステル、アミド及び塩の構造単位も含むかまたはこれらのみからなることもできる。
【0075】
アルキルフェノール−アルデヒド樹脂の好適なアルデヒドは、炭素原子数1〜12のアルデヒド、好ましくは炭素原子数1〜4のアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−エチルヘキサナール、ベンズアルデヒド、グリオキサル酸、及びこれらの反応性等価物、例えばパラホルムアルデヒド及びトリオキサンである。特に好ましいものは、パラホルムアルデヒド及び特にホルマリンの形のホルムアルデヒドである。
【0076】
THF中でポリ(スチレン)標準に対してゲル透過クロマトグラフィで測定したアルキルフェノール−アルデヒド樹脂の分子量は、好ましくは500〜25 000g/モル、より好ましくは800〜10 000g/モル、特に1000〜5000g/モル、例えば1500〜3000g/モルである。ここでの前提条件の一つは、アルキルフェノール−アルデヒド樹脂が、少なくとも、0.001〜1重量%の使用の際の濃度において、油溶性であることである。
【0077】
本発明の好ましい態様の一つでは、これらは、以下の式の繰り返し構造単位を有するオリゴマーもしくはポリマーを含むアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0078】
【化2】


式中、R10は、C1〜C200−アルキルもしくは−アルケニル、O−R11またはO−C(O)−R11であり、R11は、C1〜C200−アルキルもしくは−アルケニルであり、そしてnは2〜100である。R11は、好ましくはC1〜C20アルキルもしくは−アルケニル、特にC4〜C16−アルキルもしくは−アルケニル、例えばC6〜C12−アルキルもしくは−アルケニルである。R10は、より好ましくは、C1〜C20−アルキルもしくは−アルケニル、特にC4〜C16−アルキルもしくは−アルケニル、例えばC6〜C12−アルキルもしくは−アルケニルである。nは、好ましくは、2〜50、特に3〜25、例えば5〜15である。
【0079】
ディーゼル及び加熱油などの中間蒸留物中で使用する場合は、特に好適なものは、アルキルフェノールのアルキル基がC2〜C40アルキル基、好ましくはC4〜C20アルキル基、例えばC6〜C12アルキル基であるアルキルフェノール−アルデヒド樹脂である。これらのアルキル基は線状もしくは分枝状であることができるが、これらは好ましくは線状である。特に好適なアルキルフェノール−アルデヒド樹脂は、炭素原子数が8及び9の線状アルキル基から誘導される。
【0080】
重質の加熱油、特に蒸留残渣を含む燃料油で使用する場合には、特に好ましいものは、炭素原子数が4〜50、好ましくは10〜30のアルキル基を有するアルキルフェノール−アルデヒド樹脂である。この場合、重合度(n)は、好ましくは、2〜20個、より好ましくは3〜10個のアルキルフェノール単位である。
【0081】
これらのアルキルフェノール−アルデヒド樹脂は、例えば対応するアルキルフェノールをホルムアルデヒドと、すなわちアルキルフェノール1モル当たり0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルのホルムアルデヒドと縮合することによって得ることができる。縮合は溶剤なしで行うこともできるが、好ましくは水不混和性または部分的にのみ水と混和性の不活性有機溶剤、例えば鉱油、アルコール、エーテル及びこれらの類似物などの存在下に行われる。特に好ましいものは、水と共沸混合物を形成することができる溶剤である。使用されるこの種の溶剤は、特に芳香族類、例えばトルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、及び比較的高沸点の商業的な溶剤混合物、例えば(R)Shellsol AB及びソルベントナフサである。脂肪酸及びこれらの誘導体、例えば炭素原子数1〜5の低級アルコール、例えばエタノール、特にメタノールとのエステルも溶剤として好適である。縮合は、好ましくは、70〜200℃の温度、例えば90〜160℃の温度で行われる。縮合は、典型的には0.05〜5重量%の塩基または好ましくは0.05〜5重量%の酸で触媒される。酸性触媒としては、酢酸及びシュウ酸などのカルボン酸の他に、特に強鉱酸、例えば塩酸、リン酸及び硫酸、並びにスルホン酸が有用な触媒である。特に好適な触媒は、スルホン酸基を少なくとも一つ、及び炭素原子数1〜40、好ましくは3〜24の飽和もしくは不飽和で線状、分枝状及び/または環状の炭化水素基を少なくとも一つ含むスルホン酸である。特に好ましいものは、芳香族スルホン酸、特に一つもしくはそれ以上のC1〜C28アルキル基を有するアルキル芳香族モノスルホン酸、特にC3〜C22アルキル基を有するアルキル芳香族モノスルホン酸である。好適な例は、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸; ドデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸である。これらのスルホン酸の混合物も好適である。典型的には、反応の完了後は、これらはそのままでまたは中和された形で生成物中に残る。中和のためには、好ましくはアミン及び/または芳香族塩基が使用される。なぜならば、これらは生成物中に残留してもよいが、他方、金属イオンを含み、そのために灰を形成する塩は通常は除去されるからである。
【0082】
更に別の成分として、好適なポリオキシアルキレン化合物は、例えば、炭素原子数12〜30の少なくとも一つのアルキル基を有するポリオールのエステル、エーテル及びエーテル/エステルである。そのアルキル基が酸に由来する場合は、残りは多価アルコールに由来し、他方、アルキル基が脂肪アルコールに由来する場合は、その化合物の残りはポリ酸に由来する。
【0083】
好適なポリオールは、約100〜約5000g/モル、好ましくは200〜2000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びこれらのコポリマーである。また、ポリオールのアルコキシレート、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコール及びこれらを縮合することによって得ることができるモノマー単位数2〜10のオリゴマー、例えばポリグリセロールのアルコキシレートも好適である。好ましいアルコキシレートは、ポリオール1モル当たり1〜100モル、特に5〜50モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/またはブチレンオキシドを有するものである。エステルが特に好ましい。
【0084】
ポリオールと反応させてエステル添加剤を生成するためには炭素原子数12〜26の脂肪酸が好ましい。特に好ましいものは、C18〜C24脂肪酸、特にステアリン酸及びベヘン酸である。これらのエステルは、ポリオキシアルキル化アルコールをエステル化することによっても製造することができる。好ましいものは、150〜2000、好ましくは200〜600の分子量を有する完全にエステル化されたポリオキシアルキル化ポリオールである。PEG−600ジベヘネート及びグリセロールエチレングリコールトリベヘネートが特に好適である。
【0085】
本発明の添加剤の更に別の成分として好適なオレフィンコポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーから直接誘導し得るか、またはイソプレンもしくはブタジエンなどのポリ不飽和モノマーから誘導されたポリマーを水素化することによって間接的に製造することができる。好ましいコポリマーは、エチレンの他に、炭素原子数3〜24のα−オレフィンから誘導される構造単位を含みそして120 000g/モルまでの分子量を有する。
【0086】
好ましいα−オレフィンは、プロペン、ブテン、イソブテン、n−ヘキセン、イソヘキセン、n−オクテン、イソオクテン、n−デセン、イソデセンである。炭素原子数3〜24のα−オレフィンのコモノマー含有率は、好ましくは15〜50モル%、より好ましくは20〜35モル%、特に30〜45モル%である。これらのコポリマーは、少量の、例えば10モル%までの量の更に別のコモノマー、例えば非末端オレフィンまたは非共役オレフィンを含むこともできる。好ましいものはエチレン−プロペンコポリマーである。該オレフィンコポリマーは公知の方法、例えばチィグラー触媒もしくはメタロセン触媒を用いて製造することができる。
【0087】
更に別の好適なオレフィンコポリマーは、オレフィン性不飽和芳香族モノマーからなるブロックA及び水素化ポリオレフィンからなるブロックBを含むブロックコポリマーである。特に好適なブロックコポリマーは、(AB)nA及び(AB)m(nは1〜10であり、そしてmは2〜10である)で表される構造を有する。
【0088】
本発明の添加剤混合物とアルキルフェノール樹脂、ポリオキシアルキレン化合物及び/またはオレフィンコポリマーとの混合比は用途に応じて変わり得る。このような混合物は、有効成分を基準にして、本発明の添加剤混合物1重量部当たり、少なくとも一種のアルキルフェノール樹脂、ポリオキシアルキレン化合物及び/またはオレフィンコポリマーを各々好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部の量で含む。
【0089】
本発明の添加剤混合物は、単独でまたは他の添加剤と一緒に使用することができる。このような添加剤としては、例えば、他の流動点降下剤もしくは脱蝋助剤、酸化防止剤、セタン価向上剤、曇り除去剤(dehazars)、解乳化剤、清浄剤、分散剤、消泡剤、染料、腐蝕防止剤、潤滑性添加剤、スラッジ防止剤、臭気剤、及び/または曇り点を下げるための添加剤などが挙げられる。
【0090】
本発明の添加剤混合物は、動物性燃料油、植物性燃料油、鉱物性燃料油及び/または合成燃料油の低温流動性の向上に適している。これと同時に、これらの添加剤混合物及び鉱油に基づく溶剤中のこれらの濃縮された調合物は、低い固有流動点を有する。これは、従来技術の添加剤で可能な温度、濃度と比べてより低い温度及び/またはより高い濃度において該添加剤混合物を問題なく使用することを可能にする。
【0091】
該添加剤混合物は、良好な溶解性の故に、それらの未溶解もしくは再結晶化画分によって濾過器を閉塞させることなく、油中に配合することもできる。
【0092】
該添加剤混合物は、鉱油、及び中間蒸留物範囲の鉱油蒸留物、例えばジェット燃料、灯油、ディーゼル及び加熱油の性質を向上させるのに特に適している。成分A及びB1を含む添加剤混合物は、雲り点が+5℃以下、例えば−15℃〜+3℃の中間蒸留物に特に適している。これらは、炭素原子数が20またはそれ以上の炭素鎖長を有する特に低温臨界性のパラフィンを3.0面積%超、特に4.0面積%超の高含有率で含む油に特に好適である。成分A及びB2を含む添加剤混合物は、雲り点が−4℃以上、例えば−2℃以上の中間蒸留物に特に好適である。これらは、炭素原子数が20またはそれ以上の炭素鎖長を有する特に低温臨界性のパラフィンを3.5面積%超、特に4.5面積%超の高含有率で含む油に就中好適である。このパラフィン含有率は、FID検出器で検出しながら油をガスクロマトグラフィ分離し、そして少なくとも20個の炭素原子の鎖長を有するn−パラフィンの積分を、油の全積分に相対させて計算することによって測定される。硫黄含有率を減少させる目的で、これらはしばしば水素化条件の下での精製処理に付されており、そして硫黄を好ましくは350ppm未満、特に100ppm未満、例えば50ppmもしくは10ppm未満の量で含む。
【0093】
本発明の燃料油は、本発明の添加剤混合物を好ましくは5〜5000ppm、より好ましくは10〜2000ppm、特に50〜1000ppmの量で含む。
【0094】
中間蒸留物とは、特に、原油を蒸留することによって得られる、沸騰範囲が120〜450℃の範囲の鉱油、例えば灯油、ジェット燃料、ディーゼル及び加熱油のことを言う。本発明の添加剤混合物は、ASTM D86による90%蒸留点が340℃以上、特に360℃以上、特殊な場合には370℃以上の中間蒸留物に特に有利である。中間蒸留物は、更に、約120〜450℃の温度範囲で沸騰する合成燃料油、並びにこれらの合成及び鉱物性中間蒸留物の混合物も含む。合成中間蒸留物の例は、特に、石炭、天然ガスまたはバイオマスからフィッシャートロプシュ法によって生産される燃料である。この場合は、先ず合成ガスを製造し、そしてこれをフィッシャートロプシュ法を介してノルマルパラフィンに転化する。こうして製造されたノルマルパラフィンは、次いで、例えば接触分解、異性化、水素化分解または水素化異性化によって変性することができる。
【0095】
本発明の添加剤混合物は、動物及び/または植物由来の油を少量、例えば30体積%までの量で含む中間蒸留物においても特に効果的である。動物及び/または植物由来の適当な油の例は、トリグリセリド類、及びこれらから誘導される炭素原子数1〜5の低級アルコールとのエステル、例えばエチルエステル、特にメチルエステルであり、これらは、例えば綿、パーム核、セイヨウアブラナ、大豆、ヒマワリ、獣脂及びこれらの類似物などから得ることができる。
【実施例】
【0096】
以下の添加剤を使用した。
エチレンコポリマーAの製造
方法A): 連続式管状反応器中で、エチレン、プロペン及び酢酸ビニルを、種々の遊離基鎖開始剤の混合物及び表1に記載の分子量調節剤を加えて、200MPa及び250℃のピーク温度で共重合した。生成したポリマーを反応混合物から分離し、次いで残留モノマーをそれから除去した。
方法B): 連続式高圧オートクレーブ中で、エチレン、酢酸ビニル及びプロペンを、開始剤としてのビス(2−エチルヘキシル)パーオキソジカーボネートの10重量%溶液及び表1に記載の分子量調節剤を加えて共重合した。生成したポリマーを反応混合物から分離し、次いで残留モノマーをそれから除去した。
【0097】
比較のために、エチレン、酢酸ビニル及びプロペンからなるターポリマー(欧州特許出願公開第0 190 553号によるもの)、エチレン、酢酸ビニル及び4−メチルペンテン−1からなるターポリマー(欧州特許出願公開第0 807 642号によるもの)、及びエチレン、酢酸ビニル及びイソブチレンからなるターポリマーを使用した。
【0098】
酢酸ビニル含有率は、150℃/100mbarで残留モノマーを除去したポリマーを熱分解することによって測定した。このためには、100mgのポリマーを、密閉系中450℃で熱分解用フラスコ内において減圧下に5分間、純粋なポリエチレン200mgと一緒に熱的に解離させ、そしてその解離ガスを250ml容積の丸底フラスコ中に集める。この酢酸解離生成物をNaI/KIO3溶液と反応させ、そして遊離したヨウ素をNa223溶液で滴定する。
【0099】
ビニルエステルに由来しないポリマー中のメチル基の総数は、500MHzの測定周波数で1H NMR分光分析を用いて、C22Cl4中の10〜15%溶液について300Kで測定する。0.7〜0.9ppmのメチルプロトンの積分を、0.9〜1.9ppmのメチレン及びメチンプロトンの積分に対する比率として求める。
使用したモデレータから誘導されそして主鎖のシグナルと重複する構造単位についてのメチル基の数の補正は、離れて現れるモデレータのメチンプロトンに基づいて行う(例えば、メチルエチルケトンは2.4と2.5ppmで多重線を示す)。
【0100】
プロペンから誘導されるメチル基の含有量は、125MHzの測定周波数で13C NMR分光分析により、同様にC22Cl4中の10〜15%溶液について300Kで測定する。19.3ppm〜20.2ppmのプロペンから誘導されるメチル基の積分は、22ppm〜44ppmのポリマー主鎖の脂肪族炭化水素の積分に対する比率として測定する。1H NMR測定及び13C NMR測定を同じサンプルについて行うことが有利である。
【0101】
鎖末端の数は、13C NMRによって測定されたプロペンから誘導されるメチル基の数を、1H NMRによって測定されたメチル基の総数から引くことによって求める。これらの二つの値は、無次元数として扱うべきである。
【0102】
【表1】


流動性向上剤成分(B)及び更に別の流動性向上剤成分(C)の特徴:
B1−I) エチレン、酢酸ビニル14モル%及びネオデカン酸ビニル2モル%からなるターポリマー、140℃で測定して95mPasの溶融粘度。
B1−II) エチレン及び酢酸ビニル13.5モル%からなるコポリマー、140℃で測定して150mPasの溶融粘度。
B2−I) テトラデカノールとヘキサデカノールの等部混合物で完全にエステル化された、無類マレイン酸及びオクタデセンからなる交互コポリマー。
C−I) C16−α−オレフィン及び無水マレイン酸からなるコポリマーと2当量のジ(水素化獣脂肪)アミンとの反応生成物と、ノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との混合物(重量比2:1)。
【0103】
使用した添加剤A、B及びCの全ては、特に断りがない限り、比較的高沸点で主として脂肪族の溶剤中の50重量%希釈液として使用した。

表2: 使用した試験油の特徴
使用した試験油は、欧州の精油所からの現在流通している油であった。CFPP値は、EN116に従い、そして曇り点はISO3015に従い測定した。パラフィン含有量は、FID検出器により検出しながら油をガスクロマトグラフィにより分離し、そして炭素原子数が少なくとも20の鎖長を有するn−パラフィンの積分を、全積分に相対させて計算することによって求めた。
【0104】
【表2】


低温流動性向上剤としての添加剤の効果
鉱油及び鉱油蒸留物における本発明の添加剤の優れた効果を、CFPP試験(EN116準拠の低温濾過器目詰まり試験)に基づき示す。
【0105】
【表3】


【0106】
【表4】


【0107】
【表5】


【0108】
【表6】


【0109】
【表7】


ポリマーの取り扱い性及び濾過器閉塞傾向
本発明のポリマーの濃厚物の低温流動性を評価するために、表1に記載のポリマーを、沸騰範囲が175〜260℃でかつ引火点が66℃の主として脂肪族の溶剤混合物中に35重量%濃度で溶解した。このためには、ポリマー及び溶剤を攪拌しながら80℃に加熱し、そして均一化した後に、室温に冷却した。
【0110】
次いで、この濃厚物の流動点をDIN ISO 3016に従い測定した。
【0111】
【表8】


加えて、本発明の添加剤で処理した試験油の濾過器閉塞傾向をIP387/97に従い測定した。この試験では、添加剤を配合したディーゼル燃料300mlを、規定の温度及び20ml/分のポンプ出力で1.6μmのガラス繊維フィルターに通して濾過する。この試験は、300mlの体積が、圧力(P)が105kPaに到達するかまたはこれを超えることなく、上記フィルターを通過した時に合格したと判定される(濾過器閉塞傾向FBT=(1+(P/105)20.5≦1.41)。300mlの全体積(V)がフィルターを通過する前に圧力が105kPaに到達した場合には合格したとは判定されない(濾過器閉塞傾向FBT=(1+(300/V)20.5>1.41)。添加剤の評価には、添加剤未配合の燃料の濾過器閉塞傾向が、添加剤を加えることによって、可能なかぎり少しだけ高まることも重要である。
【0112】
試験の実施のためには、20〜22℃の温度の350mlの試験油6を、60℃の温度の添加剤(50%溶液)500ppmと混合した。手で振ってから60℃で30分間放置した後、この添加剤配合油を20℃で16時間貯蔵した。次いで、添加剤配合油を、再び振って混ぜることはしないで濾過に使用した。
【0113】
【表9】


上記の実験は、本発明の添加剤が、低温流動性の向上、特に中間蒸留物のCFPPの低下に関して、従来技術の添加剤よりも優れていることを示している。これと同時に、これらの添加剤は比較的低温においても有用である。特に、これらは、濾過器閉塞傾向が非常に低い格別クリーンな燃料が必要な用途においても有用である。
【出願人】 【識別番号】398025878
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド
【出願日】 平成19年7月17日(2007.7.17)
【代理人】 【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史

【識別番号】100093919
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 義道

【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實


【公開番号】 特開2008−24928(P2008−24928A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−185137(P2007−185137)